JPH06134041A - 放射線治療装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 天板の移動時における撓みを防止し、照射す
る放射線ビームを、常に確実に病巣部の所望の一点に集
中させることができる放射線治療装置の提供。 【構成】 照射ヘッドを装着したガントリと、床に放射
線のビーム軸と同軸に固設した垂直軸の回りに回動可能
に設置された回転盤と、該回転盤の外周部上に固着され
た治療台本体と、天板を有する治療台とを備えた放射線
治療装置において、前記回転盤上にＬ形状の一辺を固設
し、他の辺を治療台本体に沿わせたＬ形部材と、該Ｌ形
部材の治療台本体に沿う辺に設けたねじ軸および該ねじ
軸に螺合したナットと、該ナットと治療台本体とに接続
され前記ナットとともに天板の垂直方向の移動に追随し
て移動可能な連結部材と、下端部を前記ナットに固着さ
れ、上端部に、前記天板の両側部に設けたガイドレール
を支持し、かつ案内する複数のローラを配設した天板の
支持部材とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、放射線ビームを、天板
上に寝載した患者の病巣部の所望の一点（治療の対象
点）に集中させ、かつ該病巣部の回りに回動させて多方
向より照射するようにした定位法と呼ばれる放射線照射
法を使用する放射線治療装置に係わり、特に、天板の移
動時における撓みを防止して天板の高さを一定に保ち、
照射する放射線ビームを、常に確実に前記病巣部の所望
の一点に集中させるのに好適な放射線治療装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】放射線治療において、正常部位に対する
放射線の照射をできるだけ少なくするように、細く絞ら
れた放射線ビームを、天板上に寝載した患者の病巣部の
所望の一点に集中させ、かつ該病巣部の回りに回動させ
ることにより多方向より照射し、病巣部のみに高線量を
照射するようにした定位法と呼ばれる放射線照射法が行
われている。この治療法においては、前記病巣部を破壊
する際、その周囲の正常部位に対する放射線の照射が少
ないため、正常部位に悪影響を及ぼすことなく照射する
ことができる。

【０００３】しかし、前記病巣部の所望の一点に放射線
ビームを集中させて照射するためには、前記所望の一点
の正確な位置情報が必要であり、そして、その位置情報
に基づいて前記所望の一点に対して放射線の照射が行え
るように、装置を正確に位置決めしなければならない。

【０００４】前記位置情報を得るには、例えば、脳動静
脈奇形等の循環器系にはアンギオグラフィを、その他の
腫瘍にはＣＴ装置が使用されている。

【０００５】上記装置により得られた位置情報をもとに
治療計画が立てられ、患者の病巣部の治療対象の一点の
位置決めが行われる。該位置決めは、まず、患者を放射
線治療装置の天板上に移し、前記治療対象の一点の位置
が、放射線ビームの焦点、すなわち、アイソセンタに位
置するように患者を天板上に慎重に固定して行われる。
そして、固定した患者に対して前記治療計画に基づいて
放射線の照射が開始される。

【０００６】図４を参照して従来の電子加速器を使用し
た放射線治療装置を説明する。図において、１は床面に
直立する支持部、２は支持部１に設けた水平軸Ａの回り
に回動可能に支持されたガントリで、先端部には患者４
の病巣部の所望の一点に放射線ビームを集中させて照射
する照射ヘッド３を装着している。ガントリ２の１８０
°回動位置を２点鎖線で示す。照射ヘッド３は水平軸Ａ
と直交する軸Ｂの回りに回動可能であり、放射線のビー
ム軸は軸Ｂに一致している。５は床に前記放射線のビー
ム軸（軸Ｂ）と同軸に固設されている垂直軸、６は垂直
軸５の回りに回動可能に設置された円盤状の回転盤、７
は回転盤６の外周部上面に固着されて回転盤６と一体に
垂直軸５の回りに回動する治療台本体である。８は患者
４を寝載する天板で、治療台本体７の上面に取り付けら
れている。９は天板８の下面両側部に設けたガイドレー
ルで、符号８，９により治療台１０を形成している。治
療台１０は水平軸Ａに沿って水平方向に移動可能になっ
ているとともに、垂直方向にも移動可能になっている。

【０００７】上記構成において、照射ヘッド３より絞ら
れた放射線が患者４の病巣部の治療対象点に対して照射
されるが、該照射に先立ち治療台１０を水平および垂直
方向に移動させ、かつ垂直軸５の回りに回動させて、治
療対象点の位置を水平軸Ａと放射線のビーム軸Ｂとの交
点Ｃ（アイソセンタＣになる）に一致させる。放射線の
照射は、前記アイソセンタＣに対してガントリ２の回動
中も続けられ、しかも治療台１０の回動との複合動作に
より常にアイソセンタＣを捉えることができ、あらゆる
方向から照射することが可能になる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記照射位置
の位置決め精度は、定位法による放射線治療（以下、定
位放射線治療という）においては±１ｍｍ以下の精度を
必要とするが、一般の放射線治療装置の場合には、治療
台１０を突出させた図４に示す状態で、天板８のアイソ
センタＣにおける撓み量が、許容誤差±５ｍｍ以下とＪ
ＩＳに規定されていて、定位放射線治療に要求される精
度には到底及ばない。図４に示す撓み量の大きい状態
は、病巣が胸腹部に存在する場合に、その病巣部をアイ
ソセンタＣに一致させようとすると常に発生することに
なり、定位放射線治療に要求される精度が得られない問
題点を有する。

【０００９】また、病巣部が円形でなく、図５に示すよ
うに不定形な形状の場合には、治療台１０の位置を僅か
ずつ移動させて放射線を照射する。すなわち、図５にお
いて、１回目の照射は病巣部６０のうちの端の一部６０
ａをアイソセンタＣに合わせて行い、２回目は治療台１
０を図示矢印方向に移動して病巣部６０のうちのつぎの
一部６０ｂをアイソセンタＣに合わせて行い、３回目は
同様にして病巣部６０のうちの他端の一部６０ｃの照射
を行う。しかし、このように治療台１０を図示矢印方向
に順次移動すると、該移動に伴い天板８の撓み量も順次
異なるため、１回目にアイソセンタＣに合わせた位置決
めが、前記各病巣部分でずれを生じることになり、次第
にアイソセンタＣから離れて定位放射線治療に要求され
る精度を確保できなくなる。このため、治療台１０を移
動するたびに、該治療台１０の水平方向、垂直方向およ
び軸Ｂの回りの回動とによる煩雑で時間のかかる操作を
介して、天板８の撓み量を補正しなければならない問題
点を有していた。

【００１０】なお、上記問題点の対策として、治療台１
０の下面を支持する支持部材を、治療台本体７にて受け
る構成も考えられるが、その場合には治療台本体７に対
する天板８の撓みは防げるものの、治療台１０と治療台
本体７との全体が一体的に撓むことになるため、前記位
置決め精度の向上にはならない。

【００１１】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、
天板の移動時における撓みを防止して天板の高さを一定
に保ち、照射する放射線ビームを、常に確実に病巣部の
所望の一点に集中させることができる放射線治療装置を
提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、（１）床面に直立する支持部と、該支持
部に設けた水平軸の回りに回動可能に支持され、かつ先
端部に、患者の病巣部の所望の一点に放射線ビームを集
中させて照射する照射ヘッドを装着したガントリと、床
に前記放射線のビーム軸と同軸に垂直軸を固設し、該垂
直軸の回りに回動可能に設置された円盤状の回転盤と、
該回転盤の外周部上面に固着されて回転盤と一体に回動
する治療台本体と、該治療台本体上面に天板を取り付
け、該天板上に寝載した患者の病巣部の位置を前記放射
線ビーム軸に一致する位置まで前記支持部に設けた水平
軸に沿って移動させ、かつ前記水平軸と一致する位置ま
で垂直方向に移動させられる治療台とを備えた放射線治
療装置において、（２）前記回転盤上にＬ形状の一辺を
固設し、他の辺を前記治療台本体に沿わせて配設された
Ｌ形部材と、（３）該Ｌ形部材の治療台本体に沿う辺
に、上下端部を回動可能に支持されたねじ軸および該ね
じ軸に螺合したナットと、（４）該ナットと前記治療台
本体とに接続され、前記ナットとともに天板の垂直方向
の移動に追随して移動可能な連結部材と、（５）下端部
を前記ナットに固着され、上端部に、前記天板の両側部
に設けたガイドレールを支持し、かつ案内する複数のロ
ーラを配設した天板の支持部材と、を設ける構成にした
ものである。

【００１３】そして、前記天板の両側部に設けたガイド
レールを、断面コ字形の部材にて構成し、前記ローラ
を、ガイドレールのコ字形部材の下面を支持するローラ
と、側面を案内するローラとにより構成するとよい。

【００１４】また、前記ねじ軸を、その一端側の延長部
に、該ねじ軸の回動開始および停止に連動して制動制御
の可能なブレーキを付設する構成にすることが望まし
い。

【００１５】

【作用】上記構成としたことにより、患者および治療台
の重量は、常に、ローラ、支持部材、ナット、ねじ軸お
よびＬ形部材を順に介して回転盤６に支持されることに
なるから、天板にほとんど撓みを発生させることなく支
持することが可能になり、前記定位放射線治療に要求さ
れる精度を満たすことが可能になる。そして、治療台が
治療台本体上から突出した場合でも、天板の撓み量の変
化を防止して天板の高さを一定に保つことができるか
ら、当初の位置決めを補正することなく前記定位放射線
治療に要求される精度を維持し、常に、確実に病巣部の
所望の一点に集中させて放射線を照射することが可能に
なる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１ないし図３を
参照して説明する。図１は天板の支持機構を設けた放射
線治療装置の全体構成を示す図、図２は図１に示す天板
の支持機構の一部断面詳細図、図３は図２のＩＩＩ−Ｉ
ＩＩ矢視断面図である。図中、前記図４と同符号のもの
は同じものを示す。

【００１７】図１において、１１は天板８の支持機構
で、その構成を図２により説明する。図２において、１
２は回転盤６上にＬ形状の一辺１２ａを固設されている
Ｌ形部材で、他の辺１２ｂは治療台本体７に沿わせて配
設されている。１３はＬ形部材１２の他の辺１２ｂに、
上下の端部を軸受１５，１６により回動可能に支持され
たねじ軸、１４はねじ軸１３に螺合したナットである。
１７はナット１４と治療台本体７とに接続されている連
結部材で、ねじ軸１３の回動によりナット１４とともに
図示矢印Ｖ方向に天板８の移動に追随して移動可能にな
っている。１８は下端部をナット１４に固着されている
天板８の支持部材で、その上端部には、天板８の両側部
に設けたガイドレール９を支持する複数のローラ１９
と、天板８の図示矢印Ｈ方向への移動を案内する複数の
ローラ２０とが配設されている。支持部材１８が連結部
材１７と同様にナット１４に固着されているため、ナッ
ト１４および連結部材１７が移動するときには支持部材
１８も一体に移動する構成になっている。

【００１８】１３ａは、ねじ軸１３の一端側の延長部
で、延長部１３ａにはねじ軸１３の回動開始および停止
に連動して制動制御の可能なブレーキ２１が付設されて
いる。ブレーキ２１は、前記Ｖ方向の移動直前にブレー
キを解除してねじ軸１３の回動を自由にし、治療台１０
が所定の位置に移動してねじ軸１３の回動が停止した
後、速やかにブレーキを作動させて非回動状態になるよ
うに制御される構成になっている。

【００１９】図３に示すように、天板８の両側部に設け
たガイドレール９は、それぞれ断面コ字形の部材にて構
成されており、各ガイドレール９の下面が複数のローラ
１９により支持され、また、各ガイドレール９の断面コ
字形部材の内側面が、複数のローラ２０により案内され
る構成になっている。

【００２０】上記構成としたことにより、患者４および
治療台１０の重量は、常に、ローラ１９、支持部材１
８、ナット１４、ねじ軸１３およびＬ形部材１２を順に
介して回転盤６に支持されることになるから、天板８に
ほとんど撓みを発生させることなく支持することが可能
になり、前記定位放射線治療に要求される精度を満たす
ことが可能になる。そして、治療台１０が治療台本体７
上から突出した図１に示すような場合でも、天板８の撓
み量の変化を防止して天板８の高さを一定に保つことが
できるから、治療開始当初の位置決めを何ら補正するこ
となく前記定位放射線治療に要求される精度を維持し、
常に確実に病巣部６０の所望の一点を、アイソセンタＣ
に一致させて放射線を照射することが可能になる。

【００２１】なお、前記天板８の支持機構を構成する各
部の形状および配置は、図１に示すようにガントリ２お
よび照射ヘッド３が３６０°回動可能に考慮されている
から、病巣部６０の所望の一点に対して放射線を任意の
角度方向から照射することが可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、定位法と
呼ばれる放射線照射法を使用する放射線治療装置におい
て、天板の移動時における撓みを防止して天板の高さを
一定に保ち、照射する放射線ビームを、常に、確実に病
巣部の所望の一点に集中させることができる効果を奏す
る。

【００２３】そして、上記効果は、正常部位に対する放
射線被爆を最小限に抑制することが可能になり、患者の
保護と治療効果とをともに向上させる効果を生ずる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す天板の支持機構を設け
た放射線治療装置の全体構成図である。

【図２】図１に示す天板の支持機構の一部断面詳細図で
ある。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ矢視断面図である。

【図４】従来の電子加速器を使用した放射線治療装置の
全体構成図である。

【図５】不定形な病巣部に対する放射線照射方法の説明
図である。

【符号の説明】

１…支持部、２…ガントリ、３…照射ヘッド、５…垂直
軸、６…回転盤、７…治療台本体、８…天板、９…ガイ
ドレール、１０…治療台、１１…天板の支持機構、１２
…Ｌ形部材、１３…ねじ軸、１３ａ…ねじ軸の延長部、
１４…ナット、１７…連結部材、１８…支持部材、１
９，２０…ローラ、２１…ブレーキ、６０…病巣部、Ａ
…水平軸、Ｂ…水平軸Ａと直交する軸（放射線のビーム
軸）、Ｃ…水平軸Ａと軸Ｂとの交点（アイソセンタ）。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（１）床面に直立する支持部と、該支持部
   に設けた水平軸の回りに回動可能に支持され、かつ先端
   部に、患者の病巣部の所望の一点に放射線ビームを集中
   させて照射する照射ヘッドを装着したガントリと、床に
   前記放射線のビーム軸と同軸に垂直軸を固設し、該垂直
   軸の回りに回動可能に設置された円盤状の回転盤と、該
   回転盤の外周部上面に固着されて回転盤と一体に回動す
   る治療台本体と、該治療台本体上面に天板を取り付け、
   該天板上に寝載した患者の病巣部の位置を前記放射線ビ
   ーム軸に一致する位置まで前記支持部に設けた水平軸に
   沿って移動させ、かつ前記水平軸と一致する位置まで垂
   直方向に移動させられる治療台とを備えた放射線治療装
   置において、（２）前記回転盤上にＬ形状の一辺を固設
   し、他の辺を前記治療台本体に沿わせて配設されたＬ形
   部材と、（３）該Ｌ形部材の治療台本体に沿う辺に、上
   下端部を回動可能に支持されたねじ軸および該ねじ軸に
   螺合したナットと、（４）該ナットと前記治療台本体と
   に接続され、前記ナットとともに天板の垂直方向の移動
   に追随して移動可能な連結部材と、（５）下端部を前記
   ナットに固着され、上端部に、前記天板の両側部に設け
   たガイドレールを支持し、かつ案内する複数のローラを
   配設した天板の支持部材と、を設けたことを特徴とする
   放射線治療装置。
2. 【請求項２】 前記天板の両側部に設けたガイドレール
   が、断面コ字形の部材にて構成され、前記ローラが、ガ
   イドレールのコ字形部材の下面を支持するローラと、側
   面を案内するローラとにより構成されてなる請求項１記
   載の放射線治療装置。
3. 【請求項３】 前記ねじ軸が、その一端側の延長部に、
   該ねじ軸の回動開始および停止に連動して制動制御の可
   能なブレーキを付設されてなる請求項１記載の放射線治
   療装置。