JP3707967B2 - 陽子線治療システムの治療台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽子線治療システムに使用される治療台に関し、詳しくは、陽子線を患者に的確に照射出来ると共に、使用に当たっての安全を重視した陽子線治療システムに使用される治療台に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線による癌治療には、X線、ガンマ線、電子線及び速中性子線等の放射線が利用されてきた。これらの放射線は、身体の表面近くで身体に最大の影響を及ぼし、身体内部に進入するに従って、その影響は弱くなる。そのため、身体深部の癌を治療するために必要な量の放射線を身体に照射すると、癌の治療によって正常な身体表面付近の組織をも傷つけてしまう可能性が強い。
【0003】
一方、陽子線には、身体表面から一定の深さで線量が最大になるブラックピークを形成しその後急速にゼロとなる、という特性がある。そのため身体の深部にある癌の治療を行う場合であっても、身体表面付近の癌以外の正常細胞に対して比較的障害を与えることなく深部の癌を治療することができる。又、陽子線自体の生物に与える効果(RBE)がX線のそれと略々同じことから、従来のX線治療における知識、経験の蓄積を十二分に活用できるという利点を陽子線治療は併せ持っている。これらの特長を生かし、機能器官を除去することなく癌治療するQ. O. L(Quality Of Life )を目指した治療装置としての陽子線治療装置の設置導入機運が最近とみに高まってきている。
【0004】
このような機運の中で、国内癌治療施設では、上記陽子線治療装置の設置導入を決め、現在実際の治療に使用する装置の完成を目指している。次に上記陽子線治療装置について説明する。図6は、陽子線治療システムの主要機器の配置図である。この陽子線治療システムは、概略、治療装置Aと、付属装置Bと、付帯設備装置Cを持つ。治療装置Aは、陽子を加速して、取り出された陽子ビームのエネルギーを変えかつエネルギーの広がりを制限する陽子線加速装置101と、その陽子ビームの安定軌道を確保し損失なく、照射室へ輸送するためのビーム輸送装置(BTS)102と、陽子ビームを成形処理し、身体の病巣位置に的確にこれを照射するためのガントリーと呼ばれる回転照射装置103及び固定照射装置104を持つ。
【0005】
陽子線加速装置101は、陽子を235(MeV)のエネルギーまで加速する加速器本体であるサイクロトロンと、それから照射された陽子ビームのエネルギーを必要に応じて、そのエネルギー分散を制限しながら変えるためのエネルギー分析装置(ESS)とからなる。回転照射装置103は、照射野、照射深さ等の照射要求条件を実現する照射部(ノズル)と、その入り口までビームを輸送するビーム輸送装置(BTS)102の端末部と、該ノズルとビーム輸送装置102の端末とその先端に取り付けたノズルを搭載した任意角度で照射を行うための構造体からなり、これに隣接して、患者の患部位置決めシステムを含む治療台が設けられている。固定照射装置104は、回転照射装置103と略々同じ装置であるが、ノズルから照射される陽子線が水平方向のみに固定されている点が回転照射装置103と相違する。
【0006】
付属装置Bは、照射治療を計画するための診断装置、治療計画システム及び治療具工作機器を含む。診断装置は、患者の体内患部情報を収集するためのMRI、CTスキャナー及び患部位置決め確認用のX線シュミレータからなる。治療計画システムは、診断装置で得られた体内患部情報を基に照射治療計画を実施するためのハードウエア及びソフトウエア等で構成される。治療具工作機器は、治療計画からのアウトプットに基づき患者コリメーターやボーラスをオンラインで加工するNC放電加工機、NCマシニングセンター及びNC三次元測定器によって構成される。なお、付属装置は、本願発明の要旨とから外れるものであるので、これ以上の説明は省略する。
【0007】
付帯設備装置Cは、加速器やビーム輸送機器へ電力を供給する直流電流電源を主体とした各種電源、電流導体(コイル)直接冷却用の純水冷却供給設備等からなるものである。なお、付帯設備装置Cは、本願発明の要旨とから外れるものであるので、これ以上の説明は省略する。
【0008】
上記陽子線治療システムは、医療装置であるとの観点から、患者及び医療スタッフに対しての安全を最優先にしているが、片や病院内で少人数でなお且つ医療スタッフ主導で運転されるとの観点からその安全性、操作性及び保守の容易性を追求したシステムである。このシステムは、加速器としてサイクロトロンを採用しており、他の加速器方式と比較してサイクロトロンから生成されるビームの特性として、
▲1▼最大電流値を大きく取れること(最大300nA)、
▲2▼その電流値及びビーム形状の短時間変動が極めて小さいこと、
▲3▼ビーム照射位置の時間変動が極めて小さいこと、
▲4▼時間構造的に連続ビームからパルスビームまでの多様構造をとることができること、
を挙げることができる。
【0009】
又、ビーム特性以外のサイクロトロンの大きな特徴として加速器定常運転での調整対象機器は3つだけという単純機器構成となっていることと、積極的に磁場変動や高周波変動を付加する他の加速器とは違い、サイクロトロンは一定磁場であることから早い磁場変動に影響されやすいMRIやCTシミュレータ等の性能に影響を与えにくいこと等の特徴を挙げることができる。これらサイクロトロンの特徴は本陽子線治療システムに対して次に挙げるような特徴点をもたらす。
(1)加速器自体で時間的、空間的に安定した治療照射ができるので、加速器以降の系を単純化し、信頼できるものに可能ならしめている(たとえば、照射野がφ20CM以下であれば構造的に簡単で安定した散乱方式が採用できる等)。
(2)患者の呼吸とともに規則、不規則変動する患部位置に対応させて長時間患者を拘束することなく、適切な照射ができる。
(3)治療照射として、近将来の理想照射形態である種々の3次元照射に十二分に対応する能力を有する。
(4)照射の立ち上げ立ち下げ時間が短く治療に供される時間を多くとれ、操作が簡単で又加速器の知識、経験を有する運転要員を必要としない。
(5)医療電子機器に対する磁場変動、高周波変動ノイズ対策が容易である。
【0010】
陽子線治療システム全体の観点からは、患者、医療スタッフが日常的にアクセスしなければならない照射治療部回りの装置が安全性の確保及び照射・運転性能の発揮の点から、加速装置以上に重要なところである。照射治療部回りの構成は上述したように、照射装置と患者の位置決めシステムから構成されるがこれらに対しては特に安全性の確保を最優先としている。
【0011】
安全施策に関しては、基本的にはフェールセーフの考え方を徹底したものとし、電気機械の基本的な安全設計及び放射線劣化防止等のための材質の選定等、機器そのものに対する安全施策実施は勿論のこと、患者に対する施策及び医療スタッフに対する施策を様々な場合を想定して織り込んでいる。例えば、患者に対する安全を確保するだけでも、設定線量を超えた過剰な線量照射の防止、ガントリー構造体駆動、受像管駆動及び治療台駆動等に起因する機械的障害事故の防止、機器事故発生時の患者の安全緊急避難の確保、患者コリメーター及びボーラスの交換時の機器落下の未然災害防止、患者自身の照射時の異変検知及び安全緊急対応等種々の事故想定をして安全施策を織り込んでいる。
【0012】
前記に要求される機能は、治療計画システムを用いて作成した照射条件通りに患部に照射すること、つまり照射対象の患部に対して計画通りの線量分布及び線量値になるように陽子線を許容誤差内で照射することである。これらを実現するためにはビームに対する患者患部の照射位置を精度よく決めなければならないことと、計画した線量分布をノズル内に配置された各種ビーム成形用機器にて精度よく実現することが要求される。前者要求を満足するために患者患部の位置決めは、まずビーム軸と患部の照射中心をノズル内と照射空間に設置したクロスレーザポインターに患部体表面上の基準マーキングと一致させることで水平垂直の粗決めを行い、その後照射空間に設置されたDRRから得られる患者患部の水平垂直のX線画像情報を治療計画で設定された照射位置に一致させるように治療台を移動させることで精密位置決めを行う手順で実施される。又、精密位置決めできる前提として、ビーム軸(ノズル)及び照射中心位置の再現性も含んだ位置精度が十分確保されることが要求される。
【0013】
後者の線量分布要求は、基本的にはビーム特性が治療に関わる代表時間内で再現性を含めて時間的、空間的に十分安定していれば大半解決されることであり、後の半分はファントム等を使用しての照射治療前の線量分布の測定をいかに精度を上げて短時間で実施できるかに依存している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如き陽子線治療システムでは、加速器としてのサイクロトロンからは極めて質のよい陽子線が発生するとともに、ノズルから患部方向に照射される陽子線ビームは、ビーム軸(ノズル)及び照射中心位置の再現性も含んだ位置精度が十分確保される。従って、陽子線照射を受ける患者側も、患部に対して正確に陽子線が照射されるような患者保持装置が必要である。
【0015】
一方、固定照射装置4は、ノズルから出射される陽子線が水平方向に固定されている。したがって、回転照射装置3のように、ノズル周りにガントリを必要としないので、ノズル部分の構造が簡単になる。しかし、患者に対して照射方向が患者軸心に対して直角方向から照射するコンプランナー照射のみならず、陽子線治療で要求される任意の方向からの照射、すなわち照射方向が患者軸心に対して任意の方向と距離からのノンコンプラナー照射を可能にする必要がある。しかしながら、従来は、固定照射装置に対して、単にノンコンプランナー照射が行える患者用の治療台しかなかった。
【0016】
本発明は、上述のような技術的な願望を満たすためになされたものであって、その目的は、固定照射装置に対して、ガントリを使用することなく、コンプランナー照射及びノンコンプランナー照射が行えるとともに、照射位置合わせが容易に行えるような陽子線治療システムの治療台を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述の如き本発明の目的を達成するために、本願の請求項1に係る発明では、照射ノズルから出射される陽子線を患者の患部に照射する陽子線治療システムに使用される治療台において、固定された一方向に陽子線ビームを出射する照射ノズル、陽子線ビームを照射する一方向を基準線とするとき、該基準線に対して直交する軸線が垂直に貫通する面に位置し、患者が座す座板、該座板の前縁でこれに回転自在に枢支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できるフットレスト、該座板の後縁で該フットレストが軸支される枢支軸と平行な枢支軸で回転自在に軸支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できる背板、該座板と基準線間の距離を可変にする昇降機、該座板を基準線と直交する軸線に対して回転させる回転手段、基準線と直交する軸線に対して直交し、且つ該基準線に対して平行方向に該座板を駆動する第1の駆動手段、基準線と直交する軸線に対して直交する方向で、且つ前記第1の駆動手段が駆動する方向と直交する方向に該座板を駆動する第2の駆動手段、を具備し、少なくとも座板上の患者の患部を基準線上に位置せしめて該患部に陽子線を照射することを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台が提供される。
【0018】
本願の請求項2に係る発明では、前記請求項1に係る発明に加えて、上記昇降機の一端は座板に固定され、他方端は基準線と直交し昇降機の伸縮軸線を中心にして回転する回転座上で前記第1と第2の駆動手段により駆動される基台に固定されていることを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台が提供される。
【0019】
本願の請求項3に係る発明では、前記請求項1に係る発明に加えて、前記背板の座板に枢支されている縁と対抗する縁部に、位置可変自在に設けられた頭部固定座を有することを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台が提供される。
【0020】
本願の請求項4に係る発明では、照射ノズルから出射される陽子線を患者の患部に照射する陽子線治療システムに使用される治療台において、固定された一方向に陽子線ビームを出射する照射ノズル、陽子線ビームを照射する一方向を基準線とするとき、該基準線を中心としてこれに直交する面上にある円の円周に沿って位置が可変であり、かつ該円の中心に向かってX線を放射するX線管、該基準線に対して直交する軸線が垂直に貫通する面に位置し、患者が座す座板、該座板の前縁でこれに回転自在に枢支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できるフットレスト、該座板の後縁で該フットレストが軸支される枢支軸と平行な枢支軸で回転自在に軸支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できる背板、該座板と基準線間の距離を可変にする昇降機、該座板を基準線と直交する軸線に対して回転させる回転手段、基準線と直交する軸線に対して直交し、且つ該基準線に対して平行方向に該座板を駆動する第1の駆動手段、基準線と直交する軸線に対して直交する方向で、且つ前記第1の駆動手段が駆動する方向と直交する方向に該座板を駆動する第2の駆動手段、を具備し、前記X線管から放射されるX線を用いて患者の患部位置を位置決めし、少なくとも座板上の患者の該患部を基準線上に位置せしめて該患部に陽子線を照射することを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台が提供される。
【0021】
本願の請求項5に係る発明では、請求項4に係る発明に加えて、上記昇降機の一端は座板に固定され、他方端は基準線と直交し昇降機の伸縮軸線を中心にして回転する回転座上で前記第1と第2の駆動手段により駆動される基台に固定されていることを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台。
本願の請求項6に記載の発明では、請求項4に係る発明に加えて、前記背板の座板に枢支されている縁と対抗する縁部に、位置可変自在に設けられた頭部固定座を有することを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の一実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係る陽子線治療システムの治療台と陽子線照射の座標位置関係を示す位置関係図である。図1において、基準線をLとし、照射ノズル1から放射される陽子線のビームはこの基準線Lを中心にして放射される。照射ノズル1の前方には、患者を載置する台座2が配置される。台座2は、患者が腰を掛ける座板3を中心として前方にフットレスト4が配置され、後方に背板5が配置されている。背板5の上縁には、頭部固定座6が設けられている。
【0023】
座板3は、照射座標系において、Xf−Zf平面上に位置している。また、座板3は基準線Lと直交しているYf方向に伸縮自在な昇降機7によりYf軸方向に昇降される。一方、昇降機7は、Xf−Zf平面で回転自在な回転座8上で直交する2方向に移動自在な基台9に固定されている。なお、回転座8が回転する回転軸をθsとし、回転座8上で基台9が移動する互いに直交する移動軸をそれぞれXs軸、Zs軸とする。なお、照射座標系において、Xz−Zzは、Xf−Zfと反対の座標系を表す。
【0024】
座板3の前縁に配置されたフットレスト4は、その前縁に位置するψs軸を中心として回転する。また、座板3の後縁に配置された背板5は、その後縁に位置するφs軸を中心として回転する。背板5の上縁に位置する頭部固定座6はその上縁に平行なω1s軸及びω2s軸を中心として回転する。
【0025】
照射ノズル1の前部には、患者の患部位置を確認するためのX線管10が配置される。X線管10は、基準線Lを中心とする照射座標系Xf−Yf平面上に描かれる円11の円周上を、中心点Oを中心として回転する。そして、X線管10のX線照射方向は、X線管10が該円11の円周上のどの位置にあっても、中心点O方向である。
【0026】
例えば、患者の頭頸部に発生した癌病巣の陽子線照射治療の順序について説明する。
患者を台座2に座らせた後、θs軸を回転させ、昇降機7を動作させ、座板3を上下方向に移動させてその高さ位置を調整し、Xs軸、Zs軸を調整して基台9を移動させ、患者の頭頸部を円11の中心点O付近に位置させる。X線管10を回転せしめてその位置を患者の例えば右側に移動させ、図には示されてはいないが、患者の左側にX線感光板を配置して患者の頭頸部をX線で透視撮影する。X線管10の位置を種々変えて、同様な患部の透視撮影を行う。
【0027】
上記のように、X線管10の位置を変えて撮影された撮影パターンから人体内の正確な患部の位置を割り出し、且つ、患者の頭頸部のどの方向から陽子線を照射した場合に、効率よく陽子線が患部に作用するかを検討する。この結論に基づいて、患者が座した台座2の各軸を駆動して患者の体位を調整し、人体の陽子線入射位置を基準線L上に位置させるとともに、体内にある患部も基準線上に位置させる。勿論患部が位置する基準線上の位置は、陽子線の焦点を結ぶ位置でもある。このように人体を位置決めした後、患部に陽子線を照射して治療を行う。
【0028】
患者の体内に存在する患部の位置によっては、例えば頭頸部の前面、両側面、後部のように、頭頸部の全周の複数箇所で撮影を行う必要が生じる場合がある。このような場合、図2に示すように、患者12を台座2に座らせた状態で撮影することは出来ない。このような場合、図1を参照して、ψs軸を中心にフットレスト4を回転させて座板3と同一平面に揃え、また、φs軸を回転させて背板5を座板3と同一平面に揃えて、座板3、フットレスト4,背板5をフルフラット状態にする。この状態で、患者12は台座2上で水平に仰臥した状態となる。
【0029】
その後、θs軸を回転させ、昇降機7を動作させて座板3を上下してその高さ位置を調整し、Xs軸、Zs軸を調整して基台9を移動させ、患者12の頭頸部を照射ノズル1方向に移動させ、θs軸を回転させ、昇降機7を動作させて座板3を上下してその高さ位置を調整し、Xs軸、Zs軸を調整して基台9を移動させ、患者12の頭頸部の陽子線入射位置を基準線L上に位置させるとともに、体内にある患部も基準線上に位置させる。勿論患部が位置する基準線L上の位置は、陽子線の焦点を結ぶ位置でもある。このように人体を位置決めした後、患部に陽子線を照射して治療を行う。
【0030】
次に、本発明に係る陽子線治療システムに使用される治療台の具体的な構造について説明する。
図3は、本発明に係る陽子線治療システムの治療台の詳細を示す側面図であり、図4はその背面図であり、図5は台座2を取り外した状態を示すその上面図である。なお、これらの図3乃至図5に示される治療台は、図1及びその説明で詳細に説明された治療台と同じであるので、同一部分には、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0031】
これらの図において、13は患者12の頭部である。前述のように座台2は、そのフットレスト4、背板5を水平に位置せしめることができるが、図3において、Hで示す状態は、昇降機7を動作させて座板3を支える水平座14を載せた可動載置台19を主柱15に沿って最上部まで上昇させた後、基台9を回転軸16を中心にして180度回転させ、基台駆動機構17を使って基台9を−Zs方向いっぱいに移動させた後、フットレスト4、背板5を水平に延ばした状態を示す。なお、18はフットレスト4の先端に設けられた足置き板である。また、基台9は、基台駆動機構17を使って基台9をXs方向に移動させることができる。
【0032】
以上、本発明を上述の実施の形態により説明したが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形や応用が可能であり、これらの変形や応用を本発明の範囲から排除するものではない。
【0033】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に係る発明は、治療台を構成する台座を、陽子線ビームを照射する一方向を基準線とするとき、該基準線に対して直交する軸線が垂直に貫通する面に位置し、患者が座す座板、該座板の前縁でこれに回転自在に枢支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できるフットレスト、該座板の後縁で該フットレストが軸支される枢支軸と平行な枢支軸で回転自在に軸支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できる背板、該座板と基準線間の距離を可変にする昇降機、該座板を基準線と直交する軸線に対して回転させる回転手段、基準線と直交する軸線に対して直交し、且つ該基準線に対して平行方向に該座板を駆動する第1の駆動手段、基準線と直交する軸線に対して直交する方向で、且つ前記第1の駆動手段が駆動する方向と直交する方向に該座板を駆動する第2の駆動手段で構成したので、患者を水平に仰臥させ、少なくとも患者の頭頸部に位置する患部を基準線上に位置させることが出来るので、患者に対して、少なくとも頭頸部にコンプランナー照射のみならず、陽子線治療で要求される任意の方向からの照射、すなわち照射方向が患者軸心に対して任意の方向と距離からのノンコンプラナー照射をも実現できる。
請求項2及び請求項5に係る発明は、台座を、昇降機の一端は座板に固定され、他方端は基準線と直交し昇降機の伸縮軸線を中心にして回転する回転座上で前記第1と第2の駆動手段により駆動される基台に固定されている構成を有するので、台座を構成する各部分は互いに円滑に且つ有機的に結合され、動作が極めて円滑に行われる。
請求項3及び請求項6に係る発明は、背板の座板に枢支されている縁と対抗する縁部に、位置可変自在に設けられた頭部固定座を有するので、患者の頭部を明確に位置決めでき、患者に対する治療を確実なものとすることが出来る。
請求項4に係る発明は、治療台に患部を位置決めするX線管を設けたので、請求項1に係る発明の効果に加えて、同じ治療台上で患部の位置決めと治療とを行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る陽子線治療システムの治療台の自由度を示す線図である。
【図2】図2は、図1に示す線図の一部分を拡大した部分線図である。
【図3】図3は、本発明に係る陽子線治療システムの治療台の側面図である。
【図4】図4は、本発明に係る陽子線治療システムの治療台の背面図である。
【図5】図5は、本発明に係る陽子線治療システムの治療台の上面図である。
【図6】図6は、陽子線治療システムの全体構成図である。
【符号の説明】
A・・・・・治療装置
B・・・・・付属装置
C・・・・・付帯設備装置
L・・・・・基準線
1・・・・・照射ノズル
2・・・・・台座
3・・・・・座板
4・・・・・フットレスト
5・・・・・背板
6・・・・・頭部固定座
7・・・・・昇降機
8・・・・・回転座
9・・・・・基台
10・・・・・X線管
11・・・・・円
12・・・・・患者
13・・・・・頭部
14・・・・・水平座
15・・・・・主柱
16・・・・・回転軸
17・・・・・基台駆動機構
18・・・・・足置き板
19・・・・・可動載置台
101・・・・・陽子線加速装置
102・・・・・BTS
103・・・・・回転照射装置
104・・・・・固定照射装置
Claims (6)
- 照射ノズルから出射される陽子線を患者の患部に照射する陽子線治療システムに使用される治療台において、
固定された一方向に陽子線ビームを出射する照射ノズル、
陽子線ビームを照射する一方向を基準線とするとき、該基準線に対して直交する軸線が垂直に貫通する面に位置し、患者が座す座板、
該座板の前縁でこれに回転自在に枢支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できるフットレスト、
該座板の後縁で該フットレストが軸支される枢支軸と平行な枢支軸で回転自在に軸支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できる背板、
該座板と基準線間の距離を可変にする昇降機、
該座板を基準線と直交する軸線に対して回転させる回転手段、
基準線と直交する軸線に対して直交し、且つ該基準線に対して平行方向に該座板を駆動する第1の駆動手段、
基準線と直交する軸線に対して直交する方向で、且つ前記第1の駆動手段が駆動する方向と直交する方向に該座板を駆動する第2の駆動手段、
を具備し、少なくとも座板上の患者の患部を基準線上に位置せしめて該患部に陽子線を照射することを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台。 - 上記昇降機の一端は座板に固定され、他方端は基準線と直交し昇降機の伸縮軸線を中心にして回転する回転座上で前記第1と第2の駆動手段により駆動される基台に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の陽子線治療システムに使用される治療台。
- 前記背板の座板に枢支されている縁と対抗する縁部に、位置可変自在に設けられた頭部固定座を有することを特徴とする請求項1に記載の陽子線治療システムに使用される治療台。
- 照射ノズルから出射される陽子線を患者の患部に照射する陽子線治療システムに使用される治療台において、
固定された一方向に陽子線ビームを出射する照射ノズル、
陽子線ビームを照射する一方向を基準線とするとき、該基準線を中心としてこれに直交する面上にある円の円周に沿って位置が可変であり、かつ該円の中心に向かってX線を放射するX線管、
該基準線に対して直交する軸線が垂直に貫通する面に位置し、患者が座す座板、
該座板の前縁でこれに回転自在に枢支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できるフットレスト、
該座板の後縁で該フットレストが軸支される枢支軸と平行な枢支軸で回転自在に軸支され、少なくとも座板とほぼ平面を保持する位置で座板に固定できる背板、
該座板と基準線間の距離を可変にする昇降機、
該座板を基準線と直交する軸線に対して回転させる回転手段、
基準線と直交する軸線に対して直交し、且つ該基準線に対して平行方向に該座板を駆動する第1の駆動手段、
基準線と直交する軸線に対して直交する方向で、且つ前記第1の駆動手段が駆動する方向と直交する方向に該座板を駆動する第2の駆動手段、
を具備し、前記X線管から放射されるX線を用いて患者の患部位置を位置決めし、少なくとも座板上の患者の該患部を基準線上に位置せしめて該患部に陽子線を照射することを特徴とする陽子線治療システムに使用される治療台。 - 上記昇降機の一端は座板に固定され、他方端は基準線と直交し昇降機の伸縮軸線を中心にして回転する回転座上で前記第1と第2の駆動手段により駆動される基台に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の陽子線治療システムに使用される治療台。
- 前記背板の座板に枢支されている縁と対抗する縁部に、位置可変自在に設けられた頭部固定座を有することを特徴とする請求項4に記載の陽子線治療システムに使用される治療台。
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