JPH0613246A - 高周波昇圧トランス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】薄型化可能で巻線の容易な構造とする。 【構成】入出力端子20を取付けた平板状の絶縁基板10に
巻回した二次巻線30と、二次巻線30の外側を覆う絶縁体
40と、この絶縁体40を介して二次巻線30の外側に巻かれ
た一次巻線50とを具えた高周波昇圧トランス。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、携帯用パソコン等で使
われる液晶表示装置のバックライト用冷陰極管等を駆動
するインバータにおける高周波昇圧トランスの構成に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のインバータ用高周波昇圧トランス
は図６のように構成されている。複数の鍔１を有する中
空のボビン２には、低圧側一次巻線Ｌ₁ と高圧側二次巻
線Ｌ₂が鍔１で分離して巻回されている。高電圧が発生
する二次巻線Ｌ₂ は、さらに鍔１で複数段に分割して巻
かれることにより、重なり合う線間の電位差を低くして
絶縁破壊を防止するようにしてある。ボビン２の中空部
３には二つのＥ形コア４、５のそれぞれの中央脚６、７
が挿入され、コア４とコア５が互いに突き合わせて固定
されている。そして、これらのボビン２とコア４、５
が、端子を植設した絶縁性のベース（図示せず）の上に
固定された構造であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この種のトランスは、
パソコン等の機器が小型化、薄型化されるにつれて、ま
すます薄い形状のものが求められている。ところが従来
の構造では、隣接する巻線間の磁気結合を密にして効率
を高めるためにコア４、５が必須であった。しかし、こ
の場合にはボビン２が大きくなったり、コア４、５を支
持するベースが必要となったりするため、薄形のものが
得にくく、高価にならざるを得ない問題があった。ま
た、二次巻線Ｌ₂ を分割巻きしなければならないので、
巻線作業が複雑になり全体の体積が増加する欠点もあっ
た。

【０００４】

【発明の目的】本発明は、薄型に構成でき、しかも巻線
の容易な高周波昇圧トランスを提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、コアを省いた
構造としたものであり、入出力端子を設けた平板状の絶
縁基板に巻回した二次巻線と、二次巻線を覆う絶縁体
と、この絶縁体を介して外側に巻かれた一次巻線とを具
えたトランスの構成を特徴とする。

【０００６】

【実施例】図１及び図２は本発明による高周波昇圧トラ
ンスの一実施例を示すもので、図１は線材の太さを誇張
して示す正面断面図、図２は正面図である。コンポジッ
トまたはガラスエポキシのプリント基板等からなる平面
状の絶縁基板10には、図３に示すように両端部に入出力
端子20が植設してあり、中央部には両端部よりも幅が狭
い巻線部12が形成してある。この巻線部12の角の部分12
ａは面取りを施して丸みを持たせてある。また、絶縁基
板10の端子20を設けた端部側の一側面には、２本の端子
20の間まで延びた切欠部14を形成してある。

【０００７】巻線部12には、図４のように二次巻線30を
多数回巻回し、その両端末32を端子20に接続した後、マ
イラー等からなる絶縁シート40を二次巻線30の外側に被
せてある。二次巻線30は、高電位側の端の部分と低電位
側の端の部分とが重ならないようにして巻線部12に巻回
され、高電位側の端末32ａは、最も近い他の端子20ｂに
対し切欠部14で隔てられた端子20ａに接続される。これ
により、最も高電位となる端子20ａが、低電位となる端
子20ｂと切欠部14で隔てられることになり、沿面距離が
増して絶縁耐圧が大きくなる。

【０００８】この後、絶縁シート40の上から二次巻線30
の外側に一次巻線50を巻回し、その端末52を端子20に接
続してある。二次巻線30には細い線が用いられ、その巻
回数は例えば１７００ターン程度の多いものとなる。一
方、一次巻線50の方は比較的太い線で数十回ほどの少な
いターン数とされる。一次巻線50と二次巻線30を、高電
圧に耐える材料からなる絶縁シート40のような絶縁体を
介して重ね巻きしたことにより、コアを必要としないで
も両者間の結合は大きく、実用になる程度の高い効率が
得られる。なお、絶縁シート40を被せる代わりに、絶縁
塗料を二次巻線30の外側に塗布するようにしてもよい。
また、絶縁基板10を貫通した端子20に代えて、例えば図
５のように絶縁基板10の側面を挟持した板状の端子60を
設け、面付け型に構成するもできる。

【０００９】

【発明の効果】本発明によれば、コア付きのトランスの
ように特別のボビンやベースを必要とせず構造が簡単で
あるのに加え、著しく薄型化でき、絶縁耐圧も大きくと
れるのでバックライト用に適する高周波昇圧トランスが
得られる。重ね巻きすることによりコアなしでも実用的
な変換効率が得られるので、コア材料費やその組立コス
トを低減できる。また、二次巻線を複数段に分割巻きし
なくてもよいので、巻線工程の自動化が容易で生産性を
向上させることができる効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のトランスの一実施例を示す正面断面
図

【図２】 同トランスの正面図

【図３】 同トランスの絶縁基板の斜視図

【図４】 同トランスの組立工程の斜視図

【図５】 トランスの他の実施例を示す正面図

【図６】 従来のトランスの分解斜視図

【符号の説明】

１０ 絶縁基板 １４ 切欠部 ２０ 端子 ３０ 二次巻線 ４０ 絶縁体 ５０ 一次巻線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 薫明 埼玉県鶴ヶ島市大字五味ヶ谷18番地 東光 株式会社埼玉事業所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入出力端子を取付けた平板状の絶縁基板
   に巻回された二次巻線と、二次巻線の外側を覆う絶縁体
   と、該絶縁体を介して二次巻線の外側に巻かれた一次巻
   線とを具えたことを特徴とする高周波昇圧トランス。
2. 【請求項２】 ２本の端子の間まで延びた切欠部を絶縁
   基板の一側面に形成した請求項１の高周波昇圧トラン
   ス。