JPH0613205Y2 - 衣料用合成樹脂芯材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はブラジャー，ボディスーツ等のファンデーショ
ンやスリップ，キャミソール等のランジェリー等のイン
ナーウェアおよびアウターウェアや水着等におけるシル
エットの維持補強または補助芯材として保形効果と軽
さ，肌当りの柔らかさが要求される部分に使用する衣料
用合成樹脂芯材に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、ブラジャー，ボディスーツ，ガードル等には胸部
や腰部，腹部，臀部等を体型的に美しく整容すると同時
に着用安定性を発揮するため、金属製の芯材や硬質，軟
質の合成樹脂製の芯材がインナーウェアのカップの上
辺，下辺湾曲部や腰部から臀部にかけて装着されてい
る。

この芯材は、形状の固定化すなわち身体形状の保形を主
たる目的とする為の強い剛性と、着用時の変形や衣類洗
濯時の変形に対応する為の柔軟性との矛盾した両方の要
求を満たしている。この条件を満たさなければ衣料品、
特にインナーウェアのシルエット維持補助芯材としては
使用できなかった。

これら上記の要求を満足するものとして、合成樹脂のボ
ーンや金属線材を螺状に巻回したバネ作用のあるスパイ
ラルボーン，バネ材や超弾性材より成る金属ワイヤー等
の芯材が用いられていた。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、普通一般の合成樹脂のボーンは軽くて
も、剛性の弱い素材は折れ癖（座屈による塑性変形）が
つき易く、剛性の強い素材は破断し易い弱点がある。ま
た、スパイラルボーンは柔軟性があり彫性変形しにくい
が重い為衣服の生地に皺が発生し、着用感も悪い。さら
に鋼製バネ材では重くて汗等により錆が発生しやすく、
超弾性材は価格が高いと言った問題点があった。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたもので、ブ
ラジャーの下部周縁部分，カップ周辺部分や脇布部分
等、又はボディスーツ等の胸部，腰部等の身体形状の維
持を目的として、適切な剛性と柔軟性が必要とされてい
る部分に軽く，しなやかで、強く，柔軟で錆びない衣料
用合成樹脂芯材を提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本考案の衣料用合成樹脂芯材
は、引張強度が強くて剛性の高い合成樹脂材よりなる細
い線材(2)または薄い平板(3)を、柔軟で伸び率の大きい
合成樹脂芯材母材(1)の上下外縁側の長手方向に配した
ものである。

〔作用〕

着用者が運動することで芯材が変形し、弾力性と柔軟性
を持つ芯材母材(1)の弾力性と、その芯材を構成する細
い線材(2)または薄い平板(3)の補強材の剛性との補強材
同志の相対的な位置のずれ（引張力）によって生じる力
により、必要な弾力性と剛性を発揮すると共に、複合構
成の特徴であるしなやかさを発揮できる。すなわち、単
一素材では剛性は高いが折れ易くて利用できなかった素
材を、折れないが柔らかすぎて使用できなかった素材を
組み合わせることで、この芯材が合成樹脂であるにもか
かわらず、強い剛性を発揮し金属により近い特性を持
ち、一方では従来の芯材と比較して軽く、保型性に富み
着心地が良く錆びないので薄物の衣料品特にインナーウ
ェアのシルエット維持に適するものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を示す図面について説明する。合
成樹脂芯材母材(1)は、柔軟性に富み、伸び率の大きい
合成樹脂であり、その寸法は高さ1.0mm〜10mm、横幅0.3
mm〜2.5mmの範囲のものが好ましく、長さは用いられる
箇所によって寸法が異なるので特に制限はなく、実用可
能なものであればよい。長さ方向の両端部には肌に当り
傷つけないよう、また製品本体への挿入が容易となり、
ループからの突き出しを防止するため紫外線樹脂等によ
り端末処理をしてある。合成樹脂芯材母材(1)の上下外
縁側に配される線材(2)または平板(3)は引張強度が強く
て剛性の高い合成樹脂を用いる。

以下、さらに具体的な本考案の実施例を述べる。

（実施例１） ポリアミド合成樹脂からなる断面寸法が5.0mm×1.0mmの
縦長四角状の合成樹脂芯材母材(1)の内部上下端面の近
傍に直径0.2mmの超高分子ポリエチレン樹脂の丸素線(2)
を適宜間隔を存して長手方向に芯材母材(1)と並行に複
数本配して一体的に固着した。

（実施例２） ポリカーボネート樹脂からなる断面寸法が3.0mm×1.0mm
の縦長四角状の合成樹脂芯材母材(1)の上下端面に厚さ
0.2mmの超高分子ポリエチレン樹脂の薄平板(3)を長手方
向に芯材母材(1)と並行に層着した。

（実施例３） ポリアミド樹脂からなる断面寸法が6.0mm×1.0mmの縦長
四角状の合成樹脂芯材母材(1)の上下端面に厚さ0.2mmの
超高分子ポリエチレン樹脂の薄平板(3)(3)と、その薄平
板(3)(3)から小間隔を存して厚さ0.2mmの超高分子ポリ
エチレンよりなる薄平板(4)(4)を長手方向に芯材母材
(1)と並行に固着した。

上記のように構成した本考案による衣料用合成樹脂芯材
は、第４図に示すようなブラジャー(11)のカップ下端縁
(12)や脇布(13)等に取付けたり、第５図に示すボディス
ーツ(14)の胸部(15)や腰部(16)に装着するものである。
この複合構造の合成樹脂芯材は従来の芯材と比較してゴ
ツゴツした着心地でなく、身体の運動に応じて柔軟に変
形し着心地が良くなるほかに、身体形状の要求する形状
に予め加工することにより、より繊細なシルエットを表
現できる。さらに、脇布(13)に用いれば皺の発生がなく
なり、着用時に脇部にぴったり密着する。また、ボディ
スーツ(14)の胸部(15)や腰部(16)に使用すれば、生地の
持つ柔らかさ、しなやかさを失う事なく、かつ、ファン
デーションとしての必要な保型機能も備えているから、
身体のラインを出すボディコンシャス用に最適である。

〔効果〕

本考案は、引張強度が強くて剛性の高い合成樹脂材より
なる細い線材(2)または薄い平板(3)を、柔軟で伸び率の
大きい合成樹脂芯材母材(1)の上下外縁側の長手方向に
配した衣料用合成樹脂芯材に係るものであるから、必要
な剛性と弾力性があり、かつ柔軟性に富むと共に複合構
造によるしなやかさがあり、さらに合成樹脂材の細い線
材(2)または薄い平板により保型性に優れ軽くて発錆の
ない着心地の良い薄物の衣料品、特にインナーウェアに
対するシルエットの維持ができ、軽く、布地により近い
特性を有し、周辺の生地との違和感がなくなると共に取
り付け部の型くずれ、皺の発生がなく着用時に身体にぴ
ったりフィットする。

また、洗濯，乾燥を繰り返し長期間に亘って使用しても
折れ癖がつきにくい等の効果も従来合成樹脂製品以上で
ある。さらに、この芯材はファンデーションやランジェ
リーに限らず、他のシルエットの演出を要求される衣料
製品についても十分に応用可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図はその簡略
斜視図、第２，３図は他の実施例を示す簡略斜視図、第
４図はブラジャーに取付ける状態を示す斜視図、第５図
はボディスーツに取付ける状態を示す斜視図である。 (1)…合成樹脂芯材母材、(2)…線材、(3)…平板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】引張強度が強くて剛性の高い合成樹脂材よ
   りなる細い線材(2)または薄い平板(3)を、柔軟で伸び率
   の大きい合成樹脂芯材母材(1)の上下外縁側の長手方向
   に配したことを特徴とする衣料用合成樹脂芯材。