JPH0613160Y2 - 枚葉式印刷機の紙受部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、枚葉式印刷機の用紙搬送部に関し、特に、横
針装置に付随して設けられる伸縮自在な紙受部材に関す
る。

（従来の技術） 枚葉式印刷機においては、第４図に示すように、用紙１
が堆積されて準備される給紙部２と版胴３、ブランケツ
ト胴４及び圧胴５等から成る印刷ユニツト６との間が用
紙搬送部７によつて連結される。すなわち用紙１は、図
示しないサツカー等によつてフイーダボード８上に送り
出され、このフイーダボード８に設けられたエンドレス
のテープコンベア９によつて印刷ユニツト６の方向に進
行していく。

テープコンベア９の前方には、本考案が対象とする紙受
部材１０及び差板１１が設けられ、進行してきた用紙１
の先端は、差板１１の最前方に設けられたフロントゲー
ジ１２によつて進行方向についての位置規制を受ける。

また、用紙１は、第５図に示した公知の横針装置１３に
よつて横方向の位置規制を受け、その後、スインググリ
ツパ１４によつて把持されて印刷ユニツト６に送り込ま
れるのである。

第５図は、実開昭６２−２６３４４号公報によつて開示
された紙受部材１５を示したものであるが、このような
紙受部材１５がテープコンベア９と差板１１との間に設
けられる理由は、横針装置１３が用紙１の幅寸法に対応
して、左右個別に幅方向に移動できるようにするためで
ある。すなわち、用紙１を幅方向に引く紙引きコロ１６
等を有する公知の横針装置１３は、支持台１７上に設け
られ、この支持台１７は、用紙１の幅方向に配設された
ステー１８によつてガイドされつつ、紙寸に対応して用
紙１の進行方向とは直角の幅方向に自動又は手動により
移動されるのである。言い換えると、紙受部材１５は、
横針装置１３の幅方向の移動を許容しつつ、自身の上面
を用紙１が接触走行する伸縮自在な部材である。

紙受部材１５に関し、前記実開昭６２−２６３４４号公
報においては、弾性を有する薄板材を略Ｕ字状に形成
し、それを複数個ステー１８に並設するようにしてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記した分割式の紙受部材１５によれ
ば、最大紙寸（横針装置１３の支持台１７が幅方向に最
も退いた位置である。）の場合にもある程度の弾性力を
有するためには、逆に最小紙寸（支持台１７がフイーダ
ボード８の中心方向に最も移動した位置である。）の場
合に過剰な弾性力が発生することとなつてしまい、紙寸
に対応した横針装置１３の迅速、かつ、正確な移動にと
つて支障となる。

また、多数のパーツをステー１８に単に係合するもので
あるため、印刷機の運転中にがたつきや異音が発生す
る。

更に、第５図の矢印で示すように、略Ｕ字状の紙受部材
１５は、その上を用紙１が接触走行する際に進行方向の
左右にふらつきを与える原因となり、フロントゲージ１
２及び横針装置１３による位置規制に好ましくない影響
を生じさせる。

本考案は、上記した問題に鑑みてなされ、進歩した紙受
部材を提供するもので、その目的は、弾性力を適切に設
定することができ、また、横針装置の移動に確実に追従
してがたつき等を生じることがなく、更に、用紙を横針
装置側に好ましく誘導できる紙受部材を得ることにあ
る。

（問題点を解決するための手段） そして、このために本考案に係る紙受部材は、端部が各
々横針装置の支持台及びフイーダボードの一部分に固結
され、 巻き方向が用紙の幅方向外側に向けて傾斜されて支持台
のステーに巻回され、 一連のスパイラル状の弾性材により構成されている。

（作用） 本案紙受部材によれば、一連のスパイラル状の弾性材の
両端を固結したことにより、紙受部材の自由長を、最大
紙寸の場合と、最小紙寸の場合との中間に設定すること
ができ、このため、最大紙寸及び最小紙寸の場合にも過
剰な引力又は、反力を生じることがなく、横針装置の移
動に何等支障を生じることがない。

また、紙受部材の両端が固結され、かつ、全体がステー
に巻回されているので、がたつき等が生じることなく、
横針装置の支持台の移動に確実に追従できる。

更に、一連のスパイラル状の弾性材の巻き方向が一様に
幅方向外側に向けられているので、用紙を横針装置方向
に整序しつつ誘導できることとなり、このため、横針装
置の作用にも好ましい影響をもたらし、結果として見当
精度の向上に資する。

（実施例） 以下、図面を参照して、本考案の実施例につき詳細に説
明する。

第１図は、本考案の一実施例に係る紙受部材を備えた用
紙搬送部の部分的平面図、第２図は、第１図の要部斜視
図、第３図は、他の実施例の斜視図である。

なお、紙受部材を除く用紙搬送部の大略は、先に説明し
た第４図及び第５図のものとほぼ同一であるので、共通
の部材には同一の符号を付して、説明を割愛する。

図面に示すように、フイーダボード８には左右１対のテ
ープコンベア９が設けられ、これにより用紙１を搬送す
る。フイーダボード８の中心部の先端部分だけは、最小
紙寸よりも更に狭い幅で、直接的に差板１１に続いてい
るが、その他の部分は、横針装置１３の支持台１７のス
テー１８に巻回された本案紙受部材１９を経て差板１１
に到つている。

２本の平行な棒材から成るステー１８は、横針装置１３
の支持台１７を用紙１の幅方向（第１図の左右方向であ
る。）に移動させるためのガイドであり、その両端は、
図示しない印刷機の左右の側壁に固結されている。

紙引きコロ１６等を有する公知の横針装置１３は、手動
又は自動による支持台１７の移動とともに幅方向に移動
する。ちなみに、左右１対の横針装置１３は、それらが
同時に使用されることはなく、印刷の仕様に応じて、ど
ちらか一方のみが使用される。

既述の如く、紙受部材１９は、横針装置１３の支持台１
７の幅方向の移動を許容しつつ、その上面を用紙１が接
触走行する伸縮自在な部材であり、コイルスプリング等
の一連のスパイラル状の弾性材により構成された本案紙
受部材１９は、その端部が各々支持台１７及びフイーダ
ボード８の中央延出部分にねじ止め等により固結されて
いる。そしてまた、本案紙受部材１９は、第１図に最も
良く示すように、その巻き方向が一様に幅方向の外側に
向けて傾斜されてステー１８に巻回されている。

なお、第１図及び第２図に示した紙受部材１９は、その
断面が円形であるが、第３図に示すように、断面が矩形
で、かつ、用紙１の接する上面が平坦な紙受部材２０で
あつてもよい。

本考案に係る紙受部材１９は、一連のスパイラル状の弾
性材の端部を、各々支持台１７及びフイーダボード８の
一部分に固結しているので、紙受部材１９の自由長を、
最大紙寸の場合と最小紙寸の場合との中間に設定するこ
とができる。言い換えると、中間紙寸の場合にばね力が
ゼロで最大紙寸及び最小紙寸の場合にも過大なばね力を
生じさせずに済む。それ故、いかなる場合にも、支持台
１７ひいては横針装置１３の移動に支障を生じることが
ない。

また、紙受部材１９の両端が固結され、かつ、全体がス
パイラル状にステー１８に巻回されている。従つて、機
械の運転中にもがたつきや異音が生じないのは勿論のこ
と、支持台１７を紙寸に応じて移動させる際にも、確実
かつ滑らかに伸縮して追従できる。

更に、第１図と第５図とを対比することにより理解され
るように、一連のスパイラル状の弾性材の巻き方向が、
左右各別に、一様に幅方向外側に向けられているので、
用紙１を横針装置１３方向（左右１対のうちのどちらか
のもの。）に整序しつつ誘導できる。

（考案の効果） 以上のように、本案紙受部材によれば、横針装置の移動
に、確実かつ滑らかに追従し、しかも見当精度の向上に
資することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例に係る紙受部材を備えた用
紙搬送部の部分的平面図、第２図は、第１図の要部斜視
図、第３図は、他の実施例の斜視図、第４図は、一般的
な枚葉式印刷機の用紙搬送部等の説明図、第５図は、従
来の紙受部材を備えた用紙搬送部の部分的平面図であ
る。 １……用紙、２……給紙部、６……印刷ユニツト、７…
…用紙搬送部、８……フイーダボード、９……テープコ
ンベア、１１……差板、１２……フロントゲージ、１３
……横針装置、１７……支持台、１８……ステー、１
９，２０……紙受部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】枚葉式印刷機の用紙搬送部におけるフイー
   ダボードとその前方の差板との間に配設され、用紙の横
   規制を行なう横針装置の支持台の移動に応じて用紙の幅
   方向に伸縮され、上面を用紙が接触走行する紙受部材で
   あつて、 端部が各々上記横針装置の支持台及び上記フイーダボー
   ドの一部分に固結され、 巻き方向が用紙の幅方向外側に向けて傾斜されて前記支
   持台のステーに巻回され、 一連のスパイラル状の弾性材により構成されたもの。