JPH06128732A - 薄膜形成装置および薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置および薄膜形成方法

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JPH06128732A
JPH06128732A JP30302392A JP30302392A JPH06128732A JP H06128732 A JPH06128732 A JP H06128732A JP 30302392 A JP30302392 A JP 30302392A JP 30302392 A JP30302392 A JP 30302392A JP H06128732 A JPH06128732 A JP H06128732A
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JP
Japan
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thin film
grid
film forming
forming apparatus
thermoelectrons
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JP30302392A
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English (en)
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Toru Miyabori
透 宮堀
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属粒子と反応性ガスとの反応物薄膜を効率
良く形成可能である。 【構成】 真空槽40内に反応性ガスを導入し、真空槽
内において蒸発物質を蒸発源4から蒸発させて、対電極
12上の基板13に蒸着物質と反応性ガスとの反応物薄
膜を形成する。ところで、本発明では、対電極12と蒸
発源4との間に2つのグリッド8,9を設け、グリッド
8に向けて熱電子が放出されるようにフィラメント6を
配設し、グリッド8の電位V1とグリッド9の電位V2
対電極12の電位V3とを、0<V1<V3<V2の関係を
満たすように保持する。この結果、イオン化された反応
性ガスプラズマを2枚のグリッド8,9間の空間に長時
間留めることができ、蒸発物質と反応性ガスプラズマと
の衝突頻度を増加させて、蒸発物質の正イオン化を促進
し、また、蒸発物質と反応性ガスとの反応効率を高め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子等のよう
に金属酸化物などを薄膜化して用いる分野に利用される
薄膜形成装置および薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示素子等では、透明電極
材料として低表面抵抗値を有する導電性金属酸化物を用
いるときに、該金属酸化物の薄膜形成が必要となる。こ
の種の金属酸化物薄膜を形成するのに、従来では、特開
平1−53351号公報に開示のような薄膜形成装置が
知られている。図5は従来の薄膜形成装置の構成図であ
り、この薄膜形成装置では、ベースプレート51にベル
ジャー52がパッキング71を介して取付けられてお
り、ベースプレート51とベルジャー52とにより真空
槽90を形成している。また、ベースプレート51に
は、支持体兼用電極53,55,57,61が貫設され
ている。なお、これらの支持体兼用電極53,55,5
7,61は、真空槽内の気密状態を損なわないような仕
方でベースプレート51を貫通しているが、ベースプレ
ート51とは電気的に絶縁されている。また、ベースプ
レート51の中央部には、真空槽内を真空排気するため
の孔51Aが穿設されている。
【0003】支持体兼用電極53には、インジウム等の
金属を加熱し蒸発させるための抵抗加熱式の蒸発源54
が支持され、電極53に交流電源64から電流を流すこ
とによって蒸発源54を加熱し、インジウム等の金属を
蒸発させるようになっている。また、支持体兼用電極5
5には、熱電子発生用のフィラメント56が支持され、
電極55に電源65から電流を流すことによってフィラ
メント56を加熱し、フィラメント56から熱電子を放
出させるようになっている。また、支持体兼用電極57
には、1枚のグリッド58が支持され、電極57に電源
66から所定電圧を印加することによって、グリッド5
8を所定電位に保持するようになっている。また、支持
体兼用電極61には、対電極62が支持されている。ま
た、対電極62のグリッド58と対向する面には、薄膜
が形成されるべき基板63が設けられている。
【0004】このような構成の薄膜形成装置では、基板
63上に酸化インジウム等の金属酸化物薄膜を形成する
に際し、真空槽90内に反応ガスとして酸素ガスを導入
すると、この酸素ガスはフィラメント56から放出され
る熱電子との衝突によって正イオン化され、これによっ
て、正イオン化された酸素ガス,すなわち酸素プラズマ
雰囲気が真空槽90内に,特にグリッド58と対電極6
2との間に形成される。
【0005】このような状態の下で、蒸発源54からイ
ンジウム等の金属が金属粒子として蒸発すると、この金
属粒子は、酸素プラズマ雰囲気中を通過し、そこで酸化
され金属酸化物粒子となって基板63に到達し、基板6
3上に堆積する。このようにして、基板63上に酸化イ
ンジウム等の金属酸化物薄膜を形成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属酸
化物薄膜を形成する際に、蒸発源54から発生する金属
粒子中の金属電子は、その最外殻軌道電子が自由電子で
あることによって、熱電子との衝突等により容易に正イ
オン化する。このように、上述のような従来の薄膜形成
装置では、酸素ガス,金属粒子が両者とも正イオン化さ
れるので、金属粒子は、酸素ガスと反応しにくく、金属
酸化物薄膜の形成効率が悪いという問題があった。
【0007】また、上述した従来の薄膜形成装置を用い
て金属酸化物薄膜を形成する場合には、金属酸化物,例
えば酸化インジウム薄膜の形成時に(すなわち薄膜の堆
積プロセス中に)、酸素とインジウムとの化学量論的組
成比が変化するため、形成された薄膜の物性的な特性あ
るいは電気的な特性が不安定になるという問題もあっ
た。
【0008】また、上述した従来の薄膜形成装置では、
熱電子と対電極とを用いて導入ガスの正イオン化を促
し、プラズマを発生させるようにしているが、熱電子発
生用のフィラメントが対電極、換言すれば被蒸着基板と
対向しているために、発生したプラズマを介し、フィラ
メントからの熱輻射が発生し、被蒸着基板の温度を必要
以上に上昇させるという欠点があった。また、フィラメ
ントからの熱電子は自然放出型で何等制御を行なってい
ないため、発生させた熱電子のプラズマ生成、維持に必
要な量を確保するために、必要以上の電流をフィラメン
トに流し、多量の熱電子を発生させ、余剰熱電子の吟味
を行なわないままプラズマの安定を図ってきた。このた
め、不必要な熱の発生に伴って被蒸着基板の温度上昇が
発生し、例えばプラスティックフィルム上に連続的に製
膜を実施する場合には、温度上昇を制御するための基板
冷却機構をさらに付加しなければならない。また、従来
では、この連続製膜時において、グリッドの蒸発源側
(以下裏面)に蒸発物質が付着し、付着量が一定以上に
なると付着した蒸発物質中に電荷が蓄積され、それが一
度に放電されたり、あるいは付着物のために所定の電界
を形成できず、アーク放電が発生するという問題があっ
た。このように、メッシュ状のグリッドの蒸発源側に蒸
発物質が付着し、これが原因で発生する異常放電(アー
ク放電)のために従来のグリッド構造では製膜に制約を
受け、特に連続製膜(ロールフィルム等)時にはグリッ
ド交換の必要性が生じ、このため十分に長い全製膜長を
得ることができないという欠点があった。
【0009】本発明は、金属粒子と反応性ガスとの反応
効率を高め、金属粒子と反応性ガスとの反応物である反
応物薄膜をより効率良く形成することができ、さらに
は、物性的あるいは電気的な特性の安定した反応物薄膜
を形成することの可能な薄膜形成装置および薄膜形成方
法を提供することを目的としている。
【0010】また、本発明は、フィラメントからの熱輻
射に関する影響を極力小さくするとともに、熱電子の運
動方向を制御してプラズマを効率的に発生させ、また発
生したプラズマの安定化を図ることが可能であって、さ
らには、異常放電の発生をグリッド交換することなく制
御することができて、連続製膜(ロールフィルム等)時
において十分に長い全製膜長を得ることの可能な薄膜形
成装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、真空槽内に反応性ガスを導
入する反応性ガス導入手段と、真空槽内において蒸発物
質を蒸発させるための蒸発源と、蒸着物質と反応性ガス
との反応物からなる薄膜が形成されるべき基板を前記蒸
着源と対向するように保持する対電極と、蒸発源と対電
極との間に設けられた2つのグリッドと、蒸発源側のグ
リッドに向けて熱電子が放出されるように配設された熱
電子放出手段とを備え、蒸発源側のグリッドの電位V1
と対電極側のグリッドの電位V2と対電極の電位V3
を、0<V1<V3<V2の関係を満たすように保持する
ことを特徴としている。
【0012】また、請求項2または5記載の発明は、反
応性ガスには捕獲される蒸発物質から自由電子を放出さ
せるが前記熱電子放出手段からの熱電子の運動エネルギ
ーを、程度のものに減速させる減速機構がさらに設けら
れていることを特徴としている。
【0013】また、請求項3記載の発明は、前記真空槽
内の雰囲気並びに上記各電位V1,V2,V3間の電位差
が初期状態時のものに維持されるよう、これらを制御す
る制御手段がさらに設けられていることを特徴としてい
る。
【0014】また、請求項4記載の発明は、前記反応性
ガスは酸素ガスであり、前記蒸発物質は金属インジウム
であって、真空槽内の雰囲気は、酸素ガスと不活性ガス
との混合ガスであり、酸素の分圧比が70〜80%の範
囲内に維持され、2つのグリッド間電位差(V2−V1
が15〜300Vの範囲内で一定に保たれ、120℃以
下の温度で酸化インジウム薄膜が基板上に形成されるよ
うになっていることを特徴としている。
【0015】また、請求項6記載の発明は、真空槽内に
反応性ガスを導入する反応性ガス導入手段と、真空槽内
において蒸発物質を蒸発させるための蒸発源と、蒸着物
質と反応性ガスとの反応物からなる薄膜が形成されるべ
き基板を前記蒸着源と対向するように保持する対電極
と、蒸発源と対電極との間に設けられた1つのグリッド
と、熱電子を放出するための熱電子放出手段とを備え、
前記熱電子放出手段は、反射機能を有するハウジング内
に設置され、該ハウジングからの熱電子を加速するため
の熱電子加速手段がさらに設けられていることを特徴と
している。
【0016】また、請求項7記載の発明は、上記熱電子
加速手段により加速されて放出される熱電子の方向を制
御するための熱電子方向制御手段がさらに設けられてい
ることを特徴としている。
【0017】また、請求項8記載の発明は、上記グリッ
ドを構成する金属線には、タングステンが用いられてい
ることを特徴としている。
【0018】また、請求項9記載の発明は、グリッド電
圧,蒸着速度,アーク放電の発生回数等をモニタするモ
ニタ手段がさらに設けられていることを特徴としてい
る。
【0019】また、請求項10記載の発明は、上記グリ
ッドには、直流電圧が印加されるとともに、該グリッド
を加熱して蒸発物質の除去を行なうために、該直流電圧
よりも充分に低い実効電圧値を持つ交流電圧・電流が印
加されるようになっていることを特徴としている。
【0020】また、請求項11記載の発明は、さらに、
グリッドに印加する上記交流電圧・電流と振幅は同じで
あるが位相の逆転した交流電圧・電流が対電極に印加さ
れるようになっていることを特徴としている。
【0021】
【作用】請求項1記載の発明では、反応性ガス導入手段
から真空槽内に反応性ガスを導入し、真空槽内において
蒸発物質を蒸発源から蒸発させて、対電極上の蒸着源と
対向した基板に蒸着物質と反応性ガスとの反応物からな
る薄膜を形成する。ところで、本発明では、対電極と蒸
発源との間に2つのグリッドを設け、蒸発源側のグリッ
ドに向けて熱電子が放出されるように熱電子放出手段を
配設し、蒸発源側のグリッドの電位V1と対電極側のグ
リッドの電位V2と対電極の電位V3とを、0<V1<V3
<V2の関係を満たすように保持するので、2枚のグリ
ッド間の空間にイオン化された反応性ガスプラズマを長
時間留めることができ、これにより、蒸発物質と反応性
ガスプラズマとの衝突頻度がより増加し、蒸発物質の正
イオン化がより促進され、また、蒸発物質と反応性ガス
との反応効率が高まる。
【0022】また、請求項2または5記載の発明では、
上記熱電子放出手段からの熱電子の運動エネルギーを蒸
発物質から自由電子を放出させるが反応性ガスには捕獲
される程度のものに減速させる減速機構がさらに設けら
れているので、反応性ガスは熱電子を捕獲することで負
イオン化し、これにより、2枚のグリッド間の空間に
は、負イオン化された反応性ガスプラズマを長時間留め
ることができ、正イオン化された蒸発物質と負イオン化
された反応性ガスとの衝突頻度の増加によって、蒸発物
質と反応性ガスとの反応効率を一層高めることができ
る。
【0023】また、請求項3記載の発明では、真空槽内
の雰囲気並びに上記各電位V1,V2,V3間の電位差が
初期状態時のものに維持されるよう、これらを制御する
制御手段がさらに設けられているので、蒸発物質と反応
性ガスとの安定したかつ均一な品質の反応物薄膜を良好
に形成することができる。
【0024】また、請求項4記載の発明では、反応性ガ
スが酸素ガスであり、蒸発物質が金属インジウムであっ
て、真空槽内の雰囲気は、酸素ガスと不活性ガスとの混
合ガスであり、酸素の分圧比が70〜80%の範囲内に
維持され、2つのグリッド間電位差(V2−V1)が15
〜300Vの範囲内で一定に保たれ、120℃以下の温
度で酸化インジウム薄膜が基板上に形成されるようにな
っているので、良質の酸化インジウム薄膜を効率良く形
成することができる。
【0025】また、請求項6記載の発明では、熱電子発
生用のフィラメントがハウジング内に設置されている。
これにより、漏れ熱電子、及びフィラメントからの熱輻
射が被蒸着基板に与える熱的影響を除去することがで
き、さらにこのハウジングは反射機能を有しているの
で、より効率的な熱電子の利用が可能となる。また、ハ
ウジングから射出される熱電子を加速するための熱電子
加速手段が設けられており、これによって熱電子を加速
することにより速度の平均化された均一性の高い熱電子
を得ることができ、これをプラズマの発生・維持、蒸発
物質のイオン化に用いることができる。この結果とし
て、プラズマ発生に要するフィラメントの電力を軽減す
ることができる。
【0026】また、請求項7記載の発明では、ハウジン
グからの射出熱電子の方向制御を行なう熱電子方向制御
手段がさらに設けられている。これにより、熱電子の方
向の制御性を高めることができて、フィラメント構造体
の配置に大きな自由度をもたせることが可能となる。
【0027】また、請求項8記載の発明では、グリッド
材料にタングステンが用いられているので、これに電流
を印加して加熱し、グリッドに付着した蒸発物質の除去
を行なうことができて、異常放電の発生を防止し、ま
た、グリッドの長寿命化を図ることができる。
【0028】また、請求項9記載の発明では、グリッド
電圧,蒸着速度,アーク放電の発生回数等をモニタする
モニタ手段がさらに設けられているので、異常放電現象
の開始時期をモニタすることによりグリッドのクリーニ
ングを自動的に行なうことができる。
【0029】また、請求項10記載の発明では、グリッ
ドクリーニングのために、本来のプラズマ形成に用いる
直流電流・電圧ではなく、それと独立を保てる交流電流
・電圧をグリッドに印加することにより、プラズマ蒸着
に影響を与えにくいクリーニングが可能となる。
【0030】また、請求項11記載の発明では、グリッ
ドに印加する上記交流電圧・電流と振幅は同じであるが
位相の逆転した交流電圧・電流を対電極に印加するの
で、プラズマの安定を図ることができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明に係る薄膜形成装置の第1の実施例
の構成図である。この薄膜形成装置は、ベースプレート
1にベルジャー2がパッキング21を介して取付けられ
ている。ベースプレート1とベルジャー2とにより真空
槽40が形成され、この真空槽40内には、不活性ガス
源19a,反応性ガス源19bからの不活性ガス,反応
性ガスがマスフローコントローラ20a,20bによっ
て流量調節され、導入口22を介して導入されるように
なっている。また、ベースプレート1には、支持体兼用
電極3,5,7,10,11が貫設されている。なお、
これらの支持体兼用電極3,5,7,10,11は、真
空槽40内の気密状態を損なわないような仕方でベース
プレート1を貫通しているが、ベースプレート1とは電
気的に絶縁されている。また、ベースプレート1の中央
部には、真空槽40内を真空排気するための孔1Aが穿
設されている。
【0032】支持体兼用電極3には、蒸発物質を加熱し
蒸発させるための蒸発源4が支持され、電極3に交流電
源14から電流を流すことによって蒸発源4を加熱し、
蒸発源4から蒸発物質を発生させるようになっている。
なお、蒸発源4は、本実施例においては、タングステ
ン,モリブデン,タンタル等の金属をボート状に形成し
た抵抗加熱式のものとなっているが、このかわりに、ビ
ーム蒸発源等のような従来の真空蒸着方式で採用されて
いる蒸発源を適宜使用しても良い。また、支持体兼用電
極5には、熱電子発生用のフィラメント6が支持され、
電極5に電源15から電流を流すことによってフィラメ
ント6を加熱し、フィラメント6から熱電子を放出させ
るようになっている。また、支持体兼用電極7には、蒸
発物質を通過させるのに十分な大きさの間隙を有する第
1のグリッド8が支持され、電極7に直流電源17から
所定電圧を印加することによって、第1のグリッド8を
所定電位V1に保持するようになっている。また、支持
体兼用電極10には、第1のグリッド8と同様に、蒸発
物質を通過させるのに十分な大きさの間隙を有する第2
のグリッド9が支持され、電極10に直流電源16から
所定電圧を印加することによって、第2のグリッド9を
所定電位V2に保持するようになっている。なお、第1
のグリッド8,第2のグリッド9は、例えばメッシュ状
のものとなっている。また、支持体兼用電極11には、
対電極12が支持され、電極11に直流電源18から所
定電圧を印加することによって、対電極12を所定電位
3に保持するようになっている。また、対電極12の
蒸発源4と対向する面には、ガラスあるいはプラスチッ
ク等で形成されている被蒸着基板13が設けられてい
る。換言すれば、蒸発源4の方向から見て、基板13の
背後に対電極12が配設されている。
【0033】また、この第1の実施例では、上記フィラ
メント6は、真空槽40内において、第1のグリッド8
と第2のグリッド9との間にあって、第1のグリッド8
に向けて熱電子を放出するように配設されており、フィ
ラメント6から放出される熱電子によって、真空槽40
内に導入されたガスをイオン化してプラズマの状態に
し、また蒸発物質の一部をイオン化するようになってい
る。また、第1のグリッド8の電位V1,第2のグリッ
ド9の電位V2,対電極12の電位V3は、V1<V3<V
2の関係を満たすように保持されている。また、第1の
グリッド8と第2のグリッド9との電位差(V2−V1
は、例えば15〜300Vの範囲内で調整可能となって
いる。
【0034】さらに、第1の実施例の薄膜形成装置に
は、フィラメント6から発生する熱電子を減速させるた
めの電子減速機構41が設けられている。この電子減速
機構41としては、蒸発物質の経路を遮らないようにフ
ィラメント6の近傍に配置され、フィラメント6の近傍
の空間を冷却して熱電子の熱エネルギー,すなわち運動
エネルギーを減少させることによって熱電子を減速させ
る冷却器が考えられる。なお、電子減速機構41を冷却
器とする場合、冷却器は、具体的には、例えば液体窒素
が循環する銅製のコイル状のパイプをフィラメント6の
近傍に配置することによって構成することができる。こ
の場合、熱電子の熱エネルギー3kT/2(k:ボルツ
マン定数,T:絶対温度)は、T=400°KからT=
180°K付近までの温度変化により減少し、この結
果、熱電子の運動エネルギーを減少させることができ
る。あるいは、上記のような冷却器のかわりに、フィラ
メント6から第1のグリッド8に至る経路中の適当な位
置にデフレクタ電極を配置し、該デフレクタ電極に小さ
な正電位(すなわち第1のグリッド8に対しては負電
位)を与えることで、熱電子の運動を電気的に減速させ
る電気的減速器として電子減速機構41を構成しても良
い。このように電子減速機構41は、冷却器として構成
されても良いし、あるいは電気的減速器として構成され
ても良い。但し、いずれの場合でも、熱電子は、反応性
ガスに捕獲される程度に減速される必要はあるが、蒸発
物質に捕獲される程度までには減速させてはならない。
従って、電子減速機構41は、フィラメント6からの熱
電子を、反応性ガスに捕獲させる程度に、かつ蒸発物質
に対してはその最外殻軌道にある自由電子を放出させる
程度の運動エネルギーに減速する。
【0035】さらに、この第1の実施例の薄膜形成装置
には、図2に示すように(図1には図示せず)、真空槽
40内のガス雰囲気を計測するための雰囲気計測器42
と、第1のグリッド8と第2のグリッド9と対電極12
との間の電位差を計測するための電位差計測器43と、
雰囲気計測器42からのガス雰囲気計測データに基づき
ガス雰囲気を制御し、また、電位差計測器43からの電
位差計測データに基づき第1のグリッド8と第2のグリ
ッド9と対電極12との間の電位差を制御するプロセス
コントローラ(CPU)44とが設けられている。
【0036】上記雰囲気計測器42は、具体的には分圧
真空計(例えば日電アネルバ社製QIG066)であ
る。また、上記プロセスコントローラ44は、雰囲気計
測器42で計測されたガス雰囲気計測データに基づき、
真空槽40内の反応性ガス分圧比がプロセスプログラム
中に予め記憶されているプラズマの初期状態の反応性ガ
ス分圧比となるように、制御信号をマスフローコントロ
ーラ20a,20bに与えるようになっている。より具
体的には、外部制御電源(図示せず)を介して必要なア
ナログ信号をマスフローコントローラ20a,20bの
制御電源に入力することにより、マスフローコントロー
ラ20a,20bを制御するようになっている。
【0037】また、上記電位差計測器43は、具体的に
は、第1のグリッド8と第2のグリッド9との間のプラ
ズマを介した電位差,および第2のグリッド9と対電極
12との間のプラズマを介した電位差を計測するように
なっており、上記プロセスコントローラ44は、電位差
計測器43で計測された電位差の計測データに基づき、
これらの電位差がプロセスプログラム中に予め記憶され
ているこれらの電位差の初期状態値に適合するように、
各電源17,16,18に制御信号を与えるようになっ
ている。より具体的には、外部制御電源を介して必要な
制御信号を各電源17,16,18に与え、各電位差を
初期状態値に維持するようになっている。
【0038】次にこのような構成の薄膜形成装置によっ
て蒸発物質と反応性ガスとの反応物薄膜を基板上に形成
させる方法および動作について説明する。先づ、反応物
薄膜を形成するに当たり、真空槽40内を真空に減圧
し、しかる後、不活性ガス源19a,反応性ガス源19
bから不活性ガス(例えばアルゴンガス),反応性ガス
(例えば酸素ガス)をそれぞれ真空槽40内に導入す
る。この際、不活性ガス,反応性ガスの導入量は、マス
フローコントローラ20a,20bによって所定量に制
御され、これにより、真空槽40内に反応性ガス,不活
性ガス,あるいは両者の混合ガスを導入することができ
る。
【0039】また、電源17,16,18によって、第
1のグリッド8,第2のグリッド9,対電極12にそれ
ぞれ所定の電位V1,V2,V3を与える。これらの電位
1,V2,V3は、0<V1<V3<V2の関係を満たすよ
うに設定されるが、第1のグリッド8と第2のグリッド
9との電位差(V2−V1)は、15〜300Vの範囲内
で調整可能に設定される。また、蒸発源4の電位は、対
電極12の電位V3と同電位か、あるいはV3よりも小さ
な正電位に設定される。これにより、真空槽40内に
は、第2のグリッド8から基板13に向かう電界と、第
2のグリッド9から第1のグリッド8に向かう電界と、
蒸発源4から第1のグリッド8に向かう電界とが形成さ
れる。
【0040】また、真空槽40内の第2のグリッド9と
第1のグリッド8との間に位置するフィラメント6に
は、電源15からの電流が流れ、これにより、フィラメ
ント6からは熱電子が発生する。
【0041】このような状態で、蒸発源4に電源14か
ら電流を流し、そのジュール熱で蒸発源4から蒸発物質
を蒸発させると、蒸発した蒸発物質は、基板13に向け
て進むが、その一部は、フィラメント6から放出された
熱電子と衝突することにより、最外殻軌道にある自由電
子を失い、正イオンにイオン化される。このように一部
が正イオン化された蒸発物質は、第1のグリッド8を通
過し、さらに反応性ガス原子と衝突して正イオン化が促
進されて、上述した電界の作用により基板13方向に加
速され、基板13の表面上に高エネルギーの状態で衝突
する。なお、第1のグリッド8を通過後、上記蒸発物質
の一部は、反跳などによって低いエネルギー状態にある
熱電子を捕獲し、負イオン化されるが、蒸発物質全体と
しては正イオン化が促進される。また、フィラメント6
からの熱電子は、フィラメント温度に対応する運動エネ
ルギーでフィラメント6から放出された後、正電位のグ
リッド8,9を一旦通過する場合でも、グリッドによる
クーロン力により引き戻され、グリッドを中心として振
動運動を繰返し、最終的にはグリッドに捕獲されるの
で、基板13には到達しない。従って、基板13は電子
衝突を受けず、これによる加熱は無い。
【0042】一方、真空槽40内に導入された反応性ガ
ス(例えば酸素ガス)も、フィラメント6から放出され
た熱電子によって、一部がイオン化されプラズマの状態
となる。この際、第1のグリッド8と第2のグリッド9
との電位差(V2−V1)を調整することにより、反応性
ガスプラズマを2つのグリッド8,9間の空間に長時間
留めることができる。従って、蒸発源4からの蒸発物質
は、第1のグリッド8を通過後、第1のグリッド8と第
2のグリッド9との間の空間中で、反応性ガスプラズマ
との衝突確率が従来に比べて大きく、これにより、蒸発
物質の正イオン化をより促進させ、また、蒸発物質と反
応性ガス原子あるいはプラズマとの衝突頻度を増加さ
せ、蒸発物質と反応性ガスとの反応効率を高め、基板1
3上に蒸発物質と反応性ガスとの反応結果的,すなわち
薄膜をより効率良く形成することができる。
【0043】また、真空槽40内に電子減速機構41が
設けられている場合、フィラメント6からの熱電子は、
この電子減速機構41によって運動エネルギーが減少す
るので、反応性ガスに捕獲され易くなる。これによっ
て、反応性ガスは、正イオン化ではなく、負イオン化さ
れる。但し、この場合でも、熱電子は、蒸発物質から自
由電子を放出させるに十分な運動エネルギーをもってい
るので、蒸発物質は正イオン化される。このように、電
子減速機構41を設けることによって、蒸発物質を正イ
オン化させる一方で、反応性ガスを負イオン化させるこ
とができて、従来に比べ、プラズマ中における負の反応
性ガスイオンの割合を増加させることができるので、蒸
発物質と反応性ガスとの反応をより一層促進させ、基板
13上に薄膜をより一層効率良く形成することができ
る。
【0044】また、図1の薄膜形成装置においては、基
板13上に上記のようにして薄膜を形成中、真空槽40
内の雰囲気,すなわち不活性ガスと反応性ガスとの分圧
比等を雰囲気計測器42で計測し、その計測データに基
づき、プロセスコントローラ44は、真空槽40内の雰
囲気が初期状態と同じ状態に維持されるようマスフロー
コントローラ20a,20bを制御する。これにより、
フィラメント6の加熱等に伴なう真空槽40内の温度の
上昇や真空槽40の内壁でのプラズマのスパッタリング
等によって真空槽40内の雰囲気が薄膜形成中に変動す
るような場合でも、この変動を有効に抑え、真空槽40
内の雰囲気を常にほぼ一定の状態に保つことができる。
また、第1のグリッド8と第2のグリッド9との間のプ
ラズマを介した電位差,および第2のグリッド9と対電
極12との間のプラズマを介した電位差を電位差計測器
43で計測し、その計測データに基づき、プロセスコン
トローラ44は、上記各電位差がこれらの初期状態値に
維持されるよう、各電源17,16,18を制御する。
これにより、薄膜形成中に上記電位差が変動するような
場合にも、この変動を有効に抑え、各電位差を常にほぼ
一定値に保ち、プラズマの安定性を得ることができる。
【0045】このように、真空槽40内の雰囲気,およ
び上記各電位差をほぼ一定の状態に保つことによって、
物性的あるいは電気的な特性の安定した良質の薄膜を基
板13上に形成することができる。
【0046】本願の発明者は、実際に、不活性ガスとし
てアルゴン(Ar)ガスを使用し、反応性ガスとして酸
素ガスを使用し、蒸発物質として金属インジウムを使用
して、図1の薄膜形成装置により基板13上に酸化イン
ジウム薄膜を形成した。すなわち、先づ、真空槽40内
の圧力を10-5〜10-6Paにした後、アルゴンガス5
SCCM,酸化ガス20SCCMの混合ガスを10-1
10-2Paの圧力で真空槽40内に導入した。なお、酸
化インジウム薄膜を得るには、プラズマ雰囲気中の酸素
ガスの分圧比が70%以上である必要がある。但し、酸
素ガスの分圧比が85%以上になると、過剰な酸素ガス
の存在によって過剰な酸化反応を招き、酸化インジウム
薄膜の表面抵抗値が増大する。従って、酸素ガスの分圧
比は70〜85%に保たれるのが良く、酸素インジウム
薄膜を形成中、プロセスコントローラ44の制御により
この分圧比を維持させた。
【0047】真空槽40内に上記のような分圧比となる
ようにアルゴンガス,酸素ガスを導入後、電源17,1
6,18を作動させ、第1のグリッド8,第2のグリッ
ド9,対電極12をそれぞれ所定電位V1,V2,V
3(0<V1<V3<V2)に保持した。なお、薄膜を形成
中、第1のグリッド8と第2のグリッド9との電位差
(V2−V1)が15〜300Vの範囲内で一定に保たれ
るよう、プロセスコントローラ44によって電源を制御
した。第1のグリッド8,第2のグリッド9,対電極1
2を上記の関係を満たすような所定電位V1,V2,V3
にそれぞれ設定した後、電源15を作動させてフィラメ
ント6に電流を流し、フィラメント6から熱電子を放出
させて、真空槽40内に導入されたガスをイオン化しプ
ラズマを発生させた。さらに、電源14を作動させて蒸
発源4に電流を流し、そのジュール熱で蒸発物質である
金属インジウムを蒸発させ、初期プラズマ状態を安定さ
せた。このとき、金属インジウムの蒸発速度は、4〜6
Å/秒であるのが望ましい。蒸発したインジウム粒子
は、基板13に向けて進むが、その一部は、フィラメン
ト6から放出された熱電子と衝突して正イオン化され、
第1のグリッド8と第2のグリッド9との間の空間を通
過する。この際、インジウム粒子は、グリッド8,9の
近傍で振動運動をしている熱電子,あるいはグリッド
8,9間に存在するガスとの衝突,捕獲により、さらに
正イオン化が促進され、第1,第2のグリッド8,9を
通過する。第1,第2のグリッドを通過した正イオン化
されたインジウム粒子は、グリッド8,9から対電極1
2に向かう電界の作用により基板13に向かって加速さ
れ、基板13の表面上に高エネルギーをもって衝突す
る。これにより、基板13上に酸化インジウム薄膜を形
成することができる。このようにして、実際に、200
0Åの膜厚の酸化インジウム薄膜を基板13上に形成し
た。この酸化インジウム薄膜は、表面抵抗値が18Ω/
cm2と低い値を示し、塩酸(12規定):塩化第二鉄:
水=1:1:1のエッチング溶液中において40〜70
秒でエッチングを完了し、液晶表示素子用透明電極とし
て良好な性能を示した。なお、上記酸化インジウム薄膜
の形成温度は、120℃以下であるのが望ましい。
【0048】図3は本発明に係る薄膜形成装置の第2の
実施例の構成図である。なお、図3において図1と対応
する箇所には同じ符号を付す。第1の実施例では、支持
体兼用電極10は、第2のグリッド9を支持し、直流電
源16からの直流電圧を第2のグリッド9に加えるよう
に構成されているが、この第2の実施例では、第2のグ
リッド9に対応したグリッドは設けられておらず、支持
体兼用電極10には、グリッドクリーニング用交流電源
25からのグリッドクリーニング用交流電流が加わり、
電極10はこのグリッドクリーニング用交流電流を第1
のグリッド8に与えるように構成されている。ここで、
グリッド8としては、第1の実施例におけると同様に蒸
発物質が通過することの可能な充分な大きさの間隙を有
し、かつ各グリッドライン間の間隙がラインの作るシー
ス厚よりも充分に大きなメッシュ状のものが用いられ、
また、グリッドを構成する金属線には、タングステンが
用いられる。すなわち、この第2の実施例では、第1の
グリッド8には直流電源16からの本来の直流電圧を印
加しつつ、該直流電圧よりも充分に低い実効電圧値をも
つクリーニング用交流電圧・電流を印加して、この交流
電流によりグリッド8を加熱し、第1のグリッド8に付
着している物質を蒸発させ除去することが可能に構成さ
れている。
【0049】また、この第2の実施例では、グリッド8
への物質の付着の程度をモニタするモニタ装置26が設
けられており、このモニタ装置26によってグリッド8
への物質の付着量がある程度になったと判断されたとき
に、上記交流電源25を自動制御し、グリッド8を自動
加熱することができるよう構成されている。ここで、モ
ニタ装置26としては、例えばグリッド電圧,蒸着速
度,アーク放電の発生回路等をモニタして付着量を検出
しうるものが用いられる。また、グリッド対電極間のプ
ラズマの電位に変動が生じないように、対電極12には
グリッド8に印加する交流電圧・電流と振幅は等しいが
位相が逆の交流電圧・電流が交流電源28から支持体兼
用電極11を介して印加されるようになっている。
【0050】ところで、この第2の実施例では、熱電子
発生用のフィラメント36は、これから放出される熱電
子が対電極12あるいは被蒸着基板13に直接到達しな
い位置に配設され、かつ、このフィラメント36の背後
には放物面をもつ熱電子反射板等が配置されている。図
4はこのようなフィラメント構造体の構成例を示す図で
ある。図4を参照すると、このフィラメント構造体は、
フィラメント36と、その背後に配置された放物面をも
つ熱電子反射板30と、該熱電子反射板30を冷却(例
えば水冷)する冷却機構(例えば水冷パイプ)31と、
熱電子を加速するための熱電子加速用電極32とを有し
ている。ここで、熱電子反射板30と冷却機構31と
は、フィラメント36に対するハウジング(例えばステ
ンレス製のハウジング)として機能し、また、上記熱電
子加速用電極32は、このハウジングの熱電子の射出口
に設けられ、ランダムな速度分布を持つ熱電子群を一定
の速度範囲に分布した熱電子線に変換してこのフィラメ
ント構造体から放出し、これにより、真空槽40内に発
生するプラズマの安定化を図るようになっている。ま
た、この加速用電極32は、フィラメント36,反射板
30から飛来する熱電子の引出し電極としての機能をも
有している。
【0051】また、加速用電極32を設けたことによ
り、熱電子は従来のように熱による運動エネルギーに加
え、加速電極による電磁エネルギーを持つため、より高
エネルギーになっており、従って、導入ガス原子,ある
いは蒸発粒子と衝突してそれらを効率良くイオン化す
る。この際、上記フィラメント構造体を、蒸発源4とグ
リッド8との間に配置するのではなく、グリッド8(円
形)の作る円筒形の空間領域外に該フィラメント構造を
配置するのが良い。特に、プラズマの生成と蒸発物質の
イオン化、プラズマの安定維持のために熱電子をグリッ
ドの近傍,かつグリッドの両面に打ち込むことが必要と
なる。このため、第2の実施例では、さらに、上記フィ
ラメント構造を図示のようにグリッド8と同平面上に
し、フィラメント構造にさらにデフレクター電極37を
配設し、このデフレクター電極37の作る電界によって
電子の放出方向を制御可能にしている。なお、図4にお
いて、フィラメント36には交流電源35が接続され、
熱電子加速電極32には直流電源33が接続され、デフ
レクター電極37にはデフレクタ用パスル交流電源34
が接続されている。また、ハウジングと加速用電極32
とデフレクター電極37とは、絶縁体38によって、互
いに電気的に切り離されている。
【0052】次にこのような構成の第2の実施例の薄膜
形成装置の動作について説明する。通常、プラズマ発生
・維持のために必要なフィラメント36への電流印加は
7〜10V,70〜85A程度を必要とする。このた
め、フィラメント36から発生する熱量は膨大なものと
なる。従来の方法によればフィラメントから発生した熱
電子の大部分は蒸着源のイオン化とグリッド近傍でのプ
ラズマ発生に寄与はするが、かなりの熱電子が熱電子を
必要とする箇所以外の部分に飛来する。例えば、真空槽
40の外壁に飛来し、そこで反射され二次電子を生成し
て被蒸着基板へと到着する。これらの熱電子や、誘電体
を介した熱輻射が、基板の温度上昇の原因となってい
る。本発明の第2の実施例では、フィラメント36を熱
電子射出口以外を閉鎖したハウジング(実質的には反射
板30)内に設置し、このハウジングの射出口の反対側
に設けられている熱電子反射板30によって、フィラメ
ント30から発生する熱電子の利用効率を増加させるこ
とができる。これにより、フィラメント30に印加する
電流値を従来に比べて低減することが可能となる。な
お、この際、反射板30,すなわちハウジング全体は、
熱電子の熱量によって加熱されるが、冷却機構31によ
り冷却することができる。また、この反射板30は、鏡
面研磨されたステンレスの放物面鏡からなり、さらに熱
電子の反射効率を高めるために正電位となっている。ま
た、このハウジングの射出口には熱電子加速用電極3
2、さらにデフレクター電極37が設けられており、加
速用電極32によって、フィラメント36から直接放出
された熱電子,および反射板30により反射された熱電
子を加速し、これらのランダムな速度分布をもつ熱電子
群を一定の速度範囲のものに変換する。また、デフレク
ター電極37の作る電界によって、熱電子の放出方向を
制御し、熱電子の射出方向の制御性を高め、熱電子をグ
リッド8平面の上下、すなわち蒸発源側と対電極側の双
方に供給することが可能となる。
【0053】また、従来技術においてグリッドにはステ
ンレスメッシュ(#10〜#25)が用いられていた。
このグリッドは自己清浄機能を有しておらず、蒸発物質
の飛程を遮る位置に置かれているため、該金属メッシュ
の蒸発源側の面には蒸発物質が付着,堆積し、また、蒸
発物質が付着,堆積してもこれを自動的に除去すること
ができなかった。このため、反応性プラズマ中で酸素ガ
スを使用して金属酸化物を製膜しようとすると、グリッ
ドに付着した金属物が過剰に酸化されて導電性を失い完
全な絶縁物となり、グリッドの表面の導電性を維持する
ことができなくなる。また、この絶縁物は電荷を蓄積す
るので、容量(コンデンサ)が構成されて充電、放電を
不定期に繰り返し、この放電によってプラズマ蒸着中に
異常放電が引き起こされ、プラズマの安定性,換言すれ
ば製膜の安定性が失われるという問題があった。本発明
では、グリッドメッシュの構成金属をステンレスからタ
ングステンに変更し、このタングステングリッドに適当
な電流を印加することにより、グリッドを加熱すること
で、グリッドに付着した蒸発物質を再度蒸発させ、除去
することができる。これにより、グリッドの導電性が維
持され、上記のような異常放電が生ずる事態を解消する
ことができ、プラズマの安定性,製膜の安定性を確保す
ることができる。
【0054】なお、上記のようにグリッド8に電流を流
し、これを加熱することで、グリッド8のクリーニング
を行なうことができるが、クリーニング中はグリッドに
プラスマの発生,維持とは異なる電圧が印加されるの
で、クリーニングの回数、及び時間を正確に決定しない
限り、効率的な薄膜形成装置の稼働が不可能となる。通
常、異常放電が発生し始める初期の状態から異常放電が
長期間連続するようになるまでの終期状態までには数分
から数十分の時間を要するので、異常放電の発生をグリ
ッド電圧の変動、蒸着速度の急激な変動としてモニタす
ることができる。特に、モニタ装置26からの蒸着速度
データはこの異常放電現象を適確に捉えるので、これを
トリガーとして、上述したクリーニング機構を作動させ
る方法が現実的である。また、上記方法は、バッチ処理
のように一時的にプラズマを停止してクリーニングを行
なうことが許容されている場合に用いられるが、例え
ば、ロール状のプラスティックフィルム上に透明導電膜
を形成する場合等には、このプラズマの一時的停止が許
容されない。このため、プラズマ蒸着を実行しながら、
かつグリッドのクリーニングを実行する必要がある。こ
のため、本発明ではプラズマ発生用の直流電圧をグリッ
ド8に印加しながら、同時に上記のモニタ方法によりク
リーニングの必要が発生した場合には、このグリッド8
にプラズマ発生,維持用の直流電圧よりも充分に小さな
交流電圧・電流を印加し、この交流電流によりグリッド
8の構成金属の加熱を行なう。これにより、プラズマ蒸
着を停止することなく、グリッド8のクリーニングが可
能となる。
【0055】なお、上記の方法においても、小さくはあ
るが無視することのできない実効電圧値を持つ交流電流
をグリッド8に印加するために、この影響を受けて、プ
ラズマ発生,維持を司る直流グリッド電圧が変動するこ
とがある。この影響が顕著になるとプラズマはその安定
性を失い、明減を開始したり、不定期な振動を発生した
りする。この状態では、最早、製膜の安定性が失なわれ
る。グリッド8へのこの交流電圧・電流の印加による影
響を制御するために、この第2の実施例では、さらに、
グリッドクリーニングに用いる交流電圧・電流の電圧変
化分と振幅が等しく、位相が逆転した交流電圧・電流
(電流値はそれほど高い必要がない)を対電極12に印
加する。これにより、グリッド8に交流電圧・電流を印
加する場合にも、対電極12とグリッド8との間の電位
差を一定に保つことができ、プラズマに与える影響を極
めて小さなものにすることができて、プラズマの安定性
を確保することができる。
【0056】このような第2の実施例の薄膜形成装置を
用いて、酸化インジウム薄膜を実際に形成した。すなわ
ち、先づ、基板13を図3のようにセットし、蒸発物質
として金属インジウムを蒸発源4に装填した。一方、真
空槽40内を予め10-5〜10-6Paの圧力に減圧し、
これに酸素ガス50sccmを導入して、真空槽40内
を10-1Pa程度の圧力にした。
【0057】この状態で各電源装置を作動させ、グリッ
ド8に300V,2.0Aの直流電圧を印加した。ま
た、フィラメント36には、従来では7.8V,77.
5Aの直流電流を印加していたが、本発明では、前述の
ように、従来よりもこの直流電流を小さくすることがで
きて、実際、これには7.0V,68Aの直流電流を印
加した。この状態で、グリッド電圧100V、グリッド
電流2.0Aの従来方法によるものと同等の酸素プラズ
マを発生することができた。また、フィラメント構造体
において、加速電極32には20Vの直流電圧を印加
し、デフレクター電極37には100V,60Hzのパ
ルス交流電圧を印加した。
【0058】さらに、蒸発源4に蒸発源用交流電源14
から電流を印加し、そのジュール熱で蒸発物質である金
属インジウムを蒸発させ、初期プラズマ状態を安定させ
た。このとき、酸化インジウムの製膜速度を7〜10Å
/秒と、従来の50〜100%増加させることができ
た。なお、この状態でのグリッド電圧は58.3V、グ
リッド電流は2.33A、真空槽40内の圧力は2.5
×10-2Paであった。
【0059】このようにして形成された酸化インジウム
薄膜は、膜厚が2000Åで表面抵抗値の平均が17Ω
/□と従来方法によるものと同等の値を有しており、エ
ッチングテストを行なった結果、従来方法による酸化イ
ンジウムと同等の膜質であることが確認された。製膜工
程における被蒸着基板13の最大温度は、従来では11
0℃程度であったものが、これを70℃程度に低下させ
ることができ、本発明によるフィラメント構造体が従来
に比べて優れていることが証明された。また、バッチ処
理での製膜においては従来の加熱処理不可能なグリッド
を用いた場合、15バッチ程度で異常放電が発生し始
め、製膜不能になっていたが、本発明による加熱型グリ
ッドでは10バッチ毎に5V,30Aの交流電圧・電流
を印加し、クリーニング処理を行なったため、現在に至
る43バッチ目においても異常放電は発生していない。
さらに、製膜中のクリーニング処理においても、グリッ
ド8への交流電圧・電流の印加によってプラズマの不安
定性が生ずるものの、このプラズマの不安定性は製膜に
大きな影響を与える程ではなかった。この際、グリッド
8に印加する交流電圧・電流と振幅が同じで位相の逆転
した交流電圧・電流を対電極に印加することによって、
プラズマは安定した。
【0060】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1記載の
発明では、反応性ガス導入手段から真空槽内に反応性ガ
スを導入し、真空槽内において蒸発物質を蒸発源から蒸
発させて、対電極上の蒸着源と対向した基板に蒸着物質
と反応性ガスとの反応物からなる薄膜を形成する。とこ
ろで、本発明では、対電極と蒸発源との間に2つのグリ
ッドを設け、蒸発源側のグリッドに向けて熱電子が放出
されるように熱電子放出手段を配設し、蒸発源側のグリ
ッドの電位V1と対電極側のグリッドの電位V2と対電極
の電位V3とを、0<V1<V3<V2の関係を満たすよう
に保持するので、2枚のグリッド間の空間にイオン化さ
れた反応性ガスプラズマを長時間留めることができ、こ
れにより、蒸発物質と反応性ガスプラズマとの衝突頻度
がより増加し、蒸発物質の正イオン化がより促進され、
また、蒸発物質と反応性ガスとの反応効率が高まる。
【0061】また、請求項2または5記載の発明では、
上記熱電子放出手段からの熱電子の運動エネルギーを蒸
発物質から自由電子を放出させるが反応性ガスには捕獲
される程度のものに減速させる減速機構がさらに設けら
れているので、反応性ガスは熱電子を捕獲することで負
イオン化し、これにより、2枚のグリッド間の空間に
は、負イオン化された反応性ガスプラズマを長時間留め
ることができ、正イオン化された蒸発物質と負イオン化
された反応性ガスとの衝突頻度の増加によって、蒸発物
質と反応性ガスとの反応効率を一層高めることができ
る。
【0062】また、請求項3記載の発明では、真空槽内
の雰囲気並びに上記各電位V1,V2,V3間の電位差が
初期状態時のものに維持されるよう、これらを制御する
制御手段がさらに設けられているので、蒸発物質と反応
性ガスとの安定したかつ均一な品質の反応物薄膜を良好
に形成することができる。
【0063】また、請求項4記載の発明では、反応性ガ
スが酸素ガスであり、蒸発物質が金属インジウムであっ
て、真空槽内の雰囲気は、酸素ガスと不活性ガスとの混
合ガスであり、酸素の分圧比が70〜80%の範囲内に
維持され、2つのグリッド間電位差(V2−V1)が15
〜300Vの範囲内で一定に保たれ、120℃以下の温
度で酸化インジウム薄膜が基板上に形成されるようにな
っているので、良質の酸化インジウム薄膜を効率良く形
成することができる。
【0064】また、請求項6記載の発明によれば、熱電
子発生用のフィラメントをハウジング内に設置すること
により、漏れ熱電子、及びフィラメントからの熱輻射が
被蒸着基板に与える熱的影響を除去することができ、さ
らにこのハウジングは反射機能を有しているので、より
効率的な熱電子の利用が可能となる。また、ハウジング
から射出される熱電子を加速するための熱電子加速手段
が設けられており、これによって熱電子を加速すること
により速度の平均化された均一性の高い熱電子を得るこ
とができ、これをプラズマの発生・維持、蒸発物質のイ
オン化に用いることができる。この結果として、プラズ
マ発生に要するフィラメントの電力を軽減することがで
きる。
【0065】また、請求項7記載の発明によれば、ハウ
ジングからの射出熱電子の方向制御を行なう熱電子方向
制御手段がさらに設けられているので、これにより熱電
子の方向の制御性を高めることができて、フィラメント
構造体の配置に大きな自由度をもたせることが可能とな
る。すなわち、従来では蒸発源とグリッドの中間に蒸発
物質を遮るように位置決めされていたフィラメントを、
この位置ではなく、グリッドの真横に位置させて、蒸発
物質の飛行経路から外すことが可能となる。このため、
より効果的なプラズマ発生と蒸発物質のイオン化を行な
うことができ、副次的に、フィラメントであるタングス
テンの原子の薄膜への混入を防止することができる。
【0066】また、請求項8記載の発明によれば、グリ
ッド材料にタングステンが用いられているので、これに
電流を印加して加熱することが可能となる。グリッドを
加熱することによってグリッドに付着した蒸発物質の除
去を行ない、異常放電の発生を防止し、また、グリッド
の長寿命化を図ることができる。
【0067】また、請求項9記載の発明によれば、グリ
ッド電圧,蒸着速度,アーク放電の発生回数等をモニタ
するモニタ手段がさらに設けられているので、異常放電
現象の開始時期をモニタすることによりグリッドのクリ
ーニングを自動的に行なうことができて、薄膜形成装置
の運転,メンテナンスをより容易なものにすることがで
きる。
【0068】また、請求項10記載の発明によれば、グ
リッドクリーニングのために、本来のプラズマ形成に用
いる直流電流・電圧ではなく、それと独立を保てる交流
電流・電圧をグリッドに印加することにより、プラズマ
蒸着に影響を与えにくいクリーニングが可能となる。
【0069】また、請求項11記載の発明によれば、グ
リッドに印加する上記交流電圧・電流と振幅は同じであ
るが位相の逆転した交流電圧・電流を対電極に印加する
ので、プラズマの安定を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置の第1の実施例の構
成図である。
【図2】図1の薄膜形成装置にさらに付加される計測器
等の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る薄膜形成装置の第2の実施例の構
成図である。
【図4】図3のフィラメント構造体の構成例を示す図で
ある。
【図5】従来の薄膜形成装置の構成図である。
【符号の説明】
1 ベースプレート 2 ベルジャー 3,5,7,10,11 支持体兼用電極 4 蒸発源 6 フィラメント 8,9 グリッド 14,15,16,17,18 電源 19a,19b ガス源 20a,20b マスコントローラ 40 真空槽 41 電子減速機構 42 雰囲気計測器 43 電位差計測器 44 プロセスコントローラ 25 交流電源 26 モニタ装置 28 交流電源 30 熱電子反射板 31 冷却機構 32 熱電子加速用電極 34 デフレクタ用パスル交流電源 36 フィラメント 37 デフレクター電極 38 絶縁体

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内に反応性ガスを導入する反応性
    ガス導入手段と、真空槽内において蒸発物質を蒸発させ
    るための蒸発源と、蒸着物質と反応性ガスとの反応物か
    らなる薄膜が形成されるべき基板を前記蒸着源と対向す
    るように保持する対電極と、蒸発源と対電極との間に設
    けられた2つのグリッドと、蒸発源側のグリッドに向け
    て熱電子が放出されるように配設された熱電子放出手段
    とを備え、蒸発源側のグリッドの電位V1と対電極側の
    グリッドの電位V2と対電極の電位V3とを、0<V1
    3<V2の関係を満たすように保持することを特徴とす
    る薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜形成装置において、
    蒸発物質から自由電子を放出させるが反応性ガスには捕
    獲される程度のものに前記熱電子放出手段からの熱電子
    の運動エネルギーを減速させる減速機構がさらに設けら
    れていることを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の薄膜形成装置において、
    前記真空槽内の雰囲気並びに上記各電位V1,V2,V3
    間の電位差が初期状態時のものに維持されるよう、これ
    らを制御する制御手段がさらに設けられていることを特
    徴とする薄膜形成装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の薄膜形成装置において、
    前記反応性ガスは酸素ガスであり、前記蒸発物質は金属
    インジウムであって、真空槽内の雰囲気は、酸素ガスと
    不活性ガスとの混合ガスであり、酸素の分圧比が70〜
    80%の範囲内に維持され、2つのグリッド間電位差
    (V2−V1)が15〜300Vの範囲内で一定に保た
    れ、120℃以下の温度で酸化インジウム薄膜が基板上
    に形成されるようになっていることを特徴とする薄膜形
    成装置。
  5. 【請求項5】 真空槽内へ酸素ガス,または酸素とアル
    ゴンとの混合ガスを導入し、蒸発源として金属インジウ
    ムを用い、前記導入ガスを負イオン化することにより発
    生するプラズマと前記金属インジウムの蒸発粒子とを反
    応させることにより酸化インジウム薄膜を基板上に形成
    することを特徴とする薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 真空槽内に反応性ガスを導入する反応性
    ガス導入手段と、真空槽内において蒸発物質を蒸発させ
    るための蒸発源と、蒸着物質と反応性ガスとの反応物か
    らなる薄膜が形成されるべき基板を前記蒸着源と対向す
    るように保持する対電極と、蒸発源と対電極との間に設
    けられた1つのグリッドと、熱電子を放出するための熱
    電子放出手段とを備え、前記熱電子放出手段は、反射機
    能を有するハウジング内に設置され、該ハウジングから
    の熱電子を加速するための熱電子加速手段がさらに設け
    られていることを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の薄膜形成装置において、
    前記熱電子加速手段により加速されて放出される熱電子
    の方向を制御するための熱電子方向制御手段がさらに設
    けられていることを特徴とする薄膜形成装置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の薄膜形成装置において、
    前記グリッドを構成する金属線には、タングステンが用
    いられていることを特徴とする薄膜形成装置。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の薄膜形成装置において、
    グリッド電圧,蒸着速度,アーク放電の発生回数等をモ
    ニタするモニタ手段がさらに設けられていることを特徴
    とする薄膜形成装置。
  10. 【請求項10】 請求項6記載の薄膜形成装置におい
    て、前記グリッドには、直流電圧が印加されるととも
    に、該グリッドを加熱して蒸発物質の除去を行なうため
    に、該直流電圧よりも充分に低い実効電圧値を持つ交流
    電圧・電流が印加されるようになっていることを特徴と
    する薄膜形成装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の薄膜形成装置におい
    て、さらに、グリッドに印加する前記交流電圧・電流と
    振幅は同じであるが位相の逆転した交流電圧・電流が対
    電極に印加されるようになっていることを特徴とする薄
    膜形成装置。
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