JPH06122946A - 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼Info
- Publication number
- JPH06122946A JPH06122946A JP795993A JP795993A JPH06122946A JP H06122946 A JPH06122946 A JP H06122946A JP 795993 A JP795993 A JP 795993A JP 795993 A JP795993 A JP 795993A JP H06122946 A JPH06122946 A JP H06122946A
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- Japan
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- stainless steel
- corrosion resistance
- intergranular
- austenitic stainless
- intergranular corrosion
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、優れた耐孔食性、応力腐食割れ性
を有するMo含有オーステナイト系ステンレス鋼の欠点
である硝酸環境中における耐粒界腐食性を大幅に改善
し、硝酸製造装置及び核燃料再処理設備の構造用素材と
して長期間使用できるMo含有オーステナイト系ステン
レス鋼を提供する。 【構成】 重量%でC:0.025%以下、Si:0.
35%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%未
満、S:0.01%以下、Ni:13.5%以上15%
以下、Cr:17%以上19%以下、Mo:2.0%以
上3.0%以下を含有して、残部が実質的に鉄からなる
ことを特徴とする耐粒界腐食性に優れたオーステナイト
系ステンレス鋼である。
を有するMo含有オーステナイト系ステンレス鋼の欠点
である硝酸環境中における耐粒界腐食性を大幅に改善
し、硝酸製造装置及び核燃料再処理設備の構造用素材と
して長期間使用できるMo含有オーステナイト系ステン
レス鋼を提供する。 【構成】 重量%でC:0.025%以下、Si:0.
35%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%未
満、S:0.01%以下、Ni:13.5%以上15%
以下、Cr:17%以上19%以下、Mo:2.0%以
上3.0%以下を含有して、残部が実質的に鉄からなる
ことを特徴とする耐粒界腐食性に優れたオーステナイト
系ステンレス鋼である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核燃料再処理設備のよう
な高濃度硝酸溶液中、あるいは原子炉のような高温高圧
水環境中で、優れた耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐食割
れ性を示すMo含有オーステナイト系ステンレス鋼に関
するものである。
な高濃度硝酸溶液中、あるいは原子炉のような高温高圧
水環境中で、優れた耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐食割
れ性を示すMo含有オーステナイト系ステンレス鋼に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食
性に優れた性質からたとえば原子炉の配管、あるいは高
濃度硝酸を扱う核燃料再処理設備のような普通鋼が使用
できない環境の構造材料として広範囲に使用されている
が、従来より溶接熱影響部では、しばしば粒界のみが選
択的に腐食されていく粒界腐食及び粒界応力腐食割れが
発生し、問題となっていた。かかる腐食現象は600〜
700℃付近の温度に加熱される溶接熱影響部におい
て、固溶限を超えた鋼中Cが粒界にCr23C6 として析
出し、Cr炭化物の周囲のCr濃度が低下するため、こ
のCr欠乏領域が選択的に腐食され粒界腐食を発生す
る。それゆえ粒界腐食の発生を防止するために鋼中C濃
度を0.025重量%以下に低減した低炭素ステンレス
鋼や、Cと親和力の強いTi,Nbを添加しTiC,N
bCとして炭素を固着した安定化ステンレス鋼が開発さ
れており、このようなステンレス鋼は溶接熱影響部にお
いても粒界腐食が起こりにくいとされている。
性に優れた性質からたとえば原子炉の配管、あるいは高
濃度硝酸を扱う核燃料再処理設備のような普通鋼が使用
できない環境の構造材料として広範囲に使用されている
が、従来より溶接熱影響部では、しばしば粒界のみが選
択的に腐食されていく粒界腐食及び粒界応力腐食割れが
発生し、問題となっていた。かかる腐食現象は600〜
700℃付近の温度に加熱される溶接熱影響部におい
て、固溶限を超えた鋼中Cが粒界にCr23C6 として析
出し、Cr炭化物の周囲のCr濃度が低下するため、こ
のCr欠乏領域が選択的に腐食され粒界腐食を発生す
る。それゆえ粒界腐食の発生を防止するために鋼中C濃
度を0.025重量%以下に低減した低炭素ステンレス
鋼や、Cと親和力の強いTi,Nbを添加しTiC,N
bCとして炭素を固着した安定化ステンレス鋼が開発さ
れており、このようなステンレス鋼は溶接熱影響部にお
いても粒界腐食が起こりにくいとされている。
【0003】しかしながら耐孔食性、応力腐食割れ性を
改善するために、Moを2〜3重量%添加したSUS3
16系のオーステナイト系ステンレス鋼の場合は、鋼中
C濃度を0.025%以下に低減しても、溶接熱影響部
を模擬するために600〜750℃の温度で数時間加熱
し(このような熱処理は一般的に鋭敏化処理と呼ばれて
いる)、高濃度硝酸溶液中で腐食試験〔ヒューイ試験
(Huey)−JISG0573:沸騰65%の硝酸溶
液中に試料を浸漬し、48時間毎に液を新液に交換しな
がら240時間まで浸漬を行う腐食試験であり、ステン
レス鋼の粒界腐食性を評価する目的で用いられる。粒界
腐食の発生の程度を腐食速度で評価することができ
る。〕した場合には図1に示すごとく、著しい粒界腐食
の発生により結晶粒の脱粒現象を生じ、非常に大きな腐
食速度を示す。それゆえ耐孔食性及び耐応力腐食割れ性
に優れた316系ステンレス鋼も硝酸を用いるプラント
では、ほとんど使用されていないのが現状である。
改善するために、Moを2〜3重量%添加したSUS3
16系のオーステナイト系ステンレス鋼の場合は、鋼中
C濃度を0.025%以下に低減しても、溶接熱影響部
を模擬するために600〜750℃の温度で数時間加熱
し(このような熱処理は一般的に鋭敏化処理と呼ばれて
いる)、高濃度硝酸溶液中で腐食試験〔ヒューイ試験
(Huey)−JISG0573:沸騰65%の硝酸溶
液中に試料を浸漬し、48時間毎に液を新液に交換しな
がら240時間まで浸漬を行う腐食試験であり、ステン
レス鋼の粒界腐食性を評価する目的で用いられる。粒界
腐食の発生の程度を腐食速度で評価することができ
る。〕した場合には図1に示すごとく、著しい粒界腐食
の発生により結晶粒の脱粒現象を生じ、非常に大きな腐
食速度を示す。それゆえ耐孔食性及び耐応力腐食割れ性
に優れた316系ステンレス鋼も硝酸を用いるプラント
では、ほとんど使用されていないのが現状である。
【0004】この316L系(低炭素:0.03%以
下)ステンレス鋼で発生する粒界腐食の発生原因はCr
炭化物ではなく、熱処理によって粒界に析出するσ相
(FeCrの金属間化合物)に起因すると考えられてお
り、この考え方に基づき粒界へのσ相の析出を抑制する
ために(C+N≦0.15%、120C+36N(Cr
+Mo+1.5Si)−Ni−0.5Mn−11.6)
なる式を満足するNを積極的に添加した316L鋼が開
発されている。このNを添加した316L鋼は700℃
×10時間加熱・空冷の鋭敏化処理を受けた場合にも優
れた耐粒界腐食性を有することが報告されている(特公
昭57−28740号公報参照)。しかしながら、現場
操業において上記の関係式を満足すべくN濃度を制御す
るのは必ずしも容易な方法ではない。
下)ステンレス鋼で発生する粒界腐食の発生原因はCr
炭化物ではなく、熱処理によって粒界に析出するσ相
(FeCrの金属間化合物)に起因すると考えられてお
り、この考え方に基づき粒界へのσ相の析出を抑制する
ために(C+N≦0.15%、120C+36N(Cr
+Mo+1.5Si)−Ni−0.5Mn−11.6)
なる式を満足するNを積極的に添加した316L鋼が開
発されている。このNを添加した316L鋼は700℃
×10時間加熱・空冷の鋭敏化処理を受けた場合にも優
れた耐粒界腐食性を有することが報告されている(特公
昭57−28740号公報参照)。しかしながら、現場
操業において上記の関係式を満足すべくN濃度を制御す
るのは必ずしも容易な方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は耐孔食性に優
れるMo含有オーステナイト系ステンレス鋼の欠点であ
る耐粒界腐食性を改善し、再処理設備、原子炉炉心の構
造用材料として長期間使用できる鋼の製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
れるMo含有オーステナイト系ステンレス鋼の欠点であ
る耐粒界腐食性を改善し、再処理設備、原子炉炉心の構
造用材料として長期間使用できる鋼の製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために、多くの実験を試みた結果、従来σ相
の粒界析出によって発生していたと考えられていた粒界
腐食が、粒界に析出したLaves 相(Fe2 Mo)及びχ
相(Fe18Cr6 Mo5 )自身が溶解することによって
発生していることを明らかにした。すなわち、かかる粒
界腐食を防止するには、σ相の粒界析出ではなく、Lave
s 相及びχ相の粒界析出を抑制する必要がある。本発明
者らは、粒界腐食の防止技術を見いだすために鋭意検討
した結果、鋼中C濃度、Si,P濃度を低減し、さらに
Ni,Cr濃度を増加させることによって、粒界へのLa
ves 相及びχ相の粒界析出を抑制し、耐粒界腐食性に優
れたMo含有オーステナイト系ステンレス鋼を得ること
ができることを知見した。
を達成するために、多くの実験を試みた結果、従来σ相
の粒界析出によって発生していたと考えられていた粒界
腐食が、粒界に析出したLaves 相(Fe2 Mo)及びχ
相(Fe18Cr6 Mo5 )自身が溶解することによって
発生していることを明らかにした。すなわち、かかる粒
界腐食を防止するには、σ相の粒界析出ではなく、Lave
s 相及びχ相の粒界析出を抑制する必要がある。本発明
者らは、粒界腐食の防止技術を見いだすために鋭意検討
した結果、鋼中C濃度、Si,P濃度を低減し、さらに
Ni,Cr濃度を増加させることによって、粒界へのLa
ves 相及びχ相の粒界析出を抑制し、耐粒界腐食性に優
れたMo含有オーステナイト系ステンレス鋼を得ること
ができることを知見した。
【0007】本発明は、上記の知見に基づいて完成した
ものであって、以下の構成を要旨とするものである。す
なわち、 C :0.025%以下、 Si:0.35%以
下、Mn:2.0%以下、 P :0.03
%未満、S :0.01%以下、 Ni:1
3.5〜15%、Cr:17〜19%、 M
o:2.0〜3.0% を含有し、残部が実質的に鉄から成る耐粒界腐食性に優
れたオーステナイト系ステンレス鋼である。このよう
に、本発明は、Moを2〜3%含有する耐孔食性、耐粒
内応力腐食割れ性に優れたオーステナイト系ステンレス
鋼の硝酸環境における耐食性を向上すべく目指したもの
で、その特徴として粒界腐食の発生原因となるLaves 相
及びχ相の粒界析出を抑制するために、鋼中Si,P濃
度を低減し、さらに鋼中Cr,Ni濃度を増加せしめた
ものである。
ものであって、以下の構成を要旨とするものである。す
なわち、 C :0.025%以下、 Si:0.35%以
下、Mn:2.0%以下、 P :0.03
%未満、S :0.01%以下、 Ni:1
3.5〜15%、Cr:17〜19%、 M
o:2.0〜3.0% を含有し、残部が実質的に鉄から成る耐粒界腐食性に優
れたオーステナイト系ステンレス鋼である。このよう
に、本発明は、Moを2〜3%含有する耐孔食性、耐粒
内応力腐食割れ性に優れたオーステナイト系ステンレス
鋼の硝酸環境における耐食性を向上すべく目指したもの
で、その特徴として粒界腐食の発生原因となるLaves 相
及びχ相の粒界析出を抑制するために、鋼中Si,P濃
度を低減し、さらに鋼中Cr,Ni濃度を増加せしめた
ものである。
【0008】次にそれぞれの元素について、その作用及
び限定理由について説明する。 C:Cは溶接熱影響部あるいは、固溶化熱処理後の冷却
速度が遅い場合に粒界にCr23C6 として析出し、Cr
欠乏による粒界腐食及び、粒界応力腐食割れを引き起こ
す元素であり、粒界へのCr炭化物の析出を抑制するた
めにその濃度は0.025%以下とする。
び限定理由について説明する。 C:Cは溶接熱影響部あるいは、固溶化熱処理後の冷却
速度が遅い場合に粒界にCr23C6 として析出し、Cr
欠乏による粒界腐食及び、粒界応力腐食割れを引き起こ
す元素であり、粒界へのCr炭化物の析出を抑制するた
めにその濃度は0.025%以下とする。
【0009】Si:通常オーステナイト系ステンレス鋼
には耐酸化性の改善を目的として、0.4から0.6%
程度のSiが添加されている。しかしながら本発明者ら
の研究過程において、オーステナイト系ステンレス鋼の
粒界腐食性に及ぼす鋼中Siの影響について、詳しく検
討した結果、Siは粒界へのLaves 相及びχ相の粒界析
出を著しく促進する元素である新知見を得た。かかる知
見に基づき、鋼中のSi濃度は0.35%以下に規定す
る。
には耐酸化性の改善を目的として、0.4から0.6%
程度のSiが添加されている。しかしながら本発明者ら
の研究過程において、オーステナイト系ステンレス鋼の
粒界腐食性に及ぼす鋼中Siの影響について、詳しく検
討した結果、Siは粒界へのLaves 相及びχ相の粒界析
出を著しく促進する元素である新知見を得た。かかる知
見に基づき、鋼中のSi濃度は0.35%以下に規定す
る。
【0010】Mn:Mnは2.0%を超えた場合には熱
間加工性を劣化させるので、その含有量を2.0%以下
とする。ただし、Mn濃度はその含有量のなかで、高い
方が望ましい。
間加工性を劣化させるので、その含有量を2.0%以下
とする。ただし、Mn濃度はその含有量のなかで、高い
方が望ましい。
【0011】P:Pは粒界においてP化物として析出
し、特にCr6+等の高酸化性イオンを含む硝酸溶液中に
おいてステンレス鋼の粒界腐食の発生原因となる元素で
あるが、本発明者らは、さらにLaves 相析出に及ぼすP
の影響についても検討した結果、PはLaves 相の析出を
促進していることを明らかにした。図2にヒューイ試験
における650℃×2時間空冷の鋭敏化処理を施したF
e−17.5Cr−14Ni−2.2Mo鋼の粒界腐食
性に及ぼす鋼中P濃度の影響を調べた結果を示すが、鋼
中P濃度が0.03%の鋼は粒界腐食の発生により、非
常に高い腐食速度を示すのに対して、P濃度を0.01
5%まで低減した鋼は、粒界腐食の発生が抑制され、非
常に低い腐食速度を示す。これらの知見により、P濃度
は0.03%未満に規定する。
し、特にCr6+等の高酸化性イオンを含む硝酸溶液中に
おいてステンレス鋼の粒界腐食の発生原因となる元素で
あるが、本発明者らは、さらにLaves 相析出に及ぼすP
の影響についても検討した結果、PはLaves 相の析出を
促進していることを明らかにした。図2にヒューイ試験
における650℃×2時間空冷の鋭敏化処理を施したF
e−17.5Cr−14Ni−2.2Mo鋼の粒界腐食
性に及ぼす鋼中P濃度の影響を調べた結果を示すが、鋼
中P濃度が0.03%の鋼は粒界腐食の発生により、非
常に高い腐食速度を示すのに対して、P濃度を0.01
5%まで低減した鋼は、粒界腐食の発生が抑制され、非
常に低い腐食速度を示す。これらの知見により、P濃度
は0.03%未満に規定する。
【0012】S:Sは硫化物の形成により、孔食等の耐
食性を劣化させる元素であるので、その含有量を0.0
1%以下に規定する。
食性を劣化させる元素であるので、その含有量を0.0
1%以下に規定する。
【0013】Ni:Niは、オーステナイト組織を安定
にするのに必要な元素であり、Moを2〜3%含有する
ステンレス鋼には通常12%近く添加されている。しか
しながら12%では、本発明の目的を達成することはで
きず、Si,P濃度を上記成分に規定した上に、Ni含
有量を13.5%以上にし、オーステナイト組織を安定
にする必要がある。ただし15.0%を超えて添加する
とオーステナイト組織が安定になりすぎ、鋳造時の凝固
割れを引き起こすので、その上限を15.0%とする。
にするのに必要な元素であり、Moを2〜3%含有する
ステンレス鋼には通常12%近く添加されている。しか
しながら12%では、本発明の目的を達成することはで
きず、Si,P濃度を上記成分に規定した上に、Ni含
有量を13.5%以上にし、オーステナイト組織を安定
にする必要がある。ただし15.0%を超えて添加する
とオーステナイト組織が安定になりすぎ、鋳造時の凝固
割れを引き起こすので、その上限を15.0%とする。
【0014】Cr:Crはステンレス鋼表面に不動態皮
膜を形成させる基本元素であり、Moを2〜3%含有す
るステンレス鋼は通常、16〜17%程度のCrを含有
している。本発明者らは、CrについてもLaves 相及び
χ相の粒界析出に及ぼす影響について詳細に検討した結
果、Cr濃度を17%以上にすることが粒界腐食の発生
を防止するうえで極めて有効であることを見いだした。
かかる知見に基づき、Cr濃度は、17%以上とする。
ただし、19%を超えて添加すると、オーステナイト組
織の安定性が得られなくなるので、19%を上限とす
る。
膜を形成させる基本元素であり、Moを2〜3%含有す
るステンレス鋼は通常、16〜17%程度のCrを含有
している。本発明者らは、CrについてもLaves 相及び
χ相の粒界析出に及ぼす影響について詳細に検討した結
果、Cr濃度を17%以上にすることが粒界腐食の発生
を防止するうえで極めて有効であることを見いだした。
かかる知見に基づき、Cr濃度は、17%以上とする。
ただし、19%を超えて添加すると、オーステナイト組
織の安定性が得られなくなるので、19%を上限とす
る。
【0015】Mo:Moは耐孔食性及び耐粒内応力腐食
割れ性の改善のために、必要な元素であるが、Mo濃度
を高くしすぎると、Laves 相及びχ相の粒界析出を促進
し、耐粒界腐食性の劣化を招くので、その含有量は2%
以上3%以下とする。上記のような本発明によって得ら
れたMo含有オーステナイト系ステンレス鋼は溶接熱影
響部を含めて、高酸化性硝酸溶液中において優れた耐粒
界腐食性を示す。
割れ性の改善のために、必要な元素であるが、Mo濃度
を高くしすぎると、Laves 相及びχ相の粒界析出を促進
し、耐粒界腐食性の劣化を招くので、その含有量は2%
以上3%以下とする。上記のような本発明によって得ら
れたMo含有オーステナイト系ステンレス鋼は溶接熱影
響部を含めて、高酸化性硝酸溶液中において優れた耐粒
界腐食性を示す。
【0016】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表1
に通常のSUS316L,316ULC鋼(比較鋼)及
び本発明鋼の化学成分(含有量はいずれも重量%)を示
した。
に通常のSUS316L,316ULC鋼(比較鋼)及
び本発明鋼の化学成分(含有量はいずれも重量%)を示
した。
【0017】また表2に表1の各試料について固溶化熱
処理まま、鋭敏化処理別にヒューイ試験結果を示した。
本発明に従い鋼中Si,P濃度を低減し、鋼中Cr,N
i濃度を増加させたMo含有オーステナイト系ステンレ
ス鋼は、通常のSUS316L,316ULC鋼と比較
して、鋭敏化処理した場合も優れた耐粒界腐食性を示
す。
処理まま、鋭敏化処理別にヒューイ試験結果を示した。
本発明に従い鋼中Si,P濃度を低減し、鋼中Cr,N
i濃度を増加させたMo含有オーステナイト系ステンレ
ス鋼は、通常のSUS316L,316ULC鋼と比較
して、鋭敏化処理した場合も優れた耐粒界腐食性を示
す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明法により得
られたオーステナイト系ステンレス鋼は、優れた耐孔食
性と共に高温,高濃度の硝酸溶液中における優れた耐粒
界腐食性を有するため、核燃料再処理設備や硝酸製造装
置に晒される環境の構造用素材として長期間使用でき
る。
られたオーステナイト系ステンレス鋼は、優れた耐孔食
性と共に高温,高濃度の硝酸溶液中における優れた耐粒
界腐食性を有するため、核燃料再処理設備や硝酸製造装
置に晒される環境の構造用素材として長期間使用でき
る。
【図1】C濃度の異なる316系ステンレス鋼に675
℃×1時間・空冷の鋭敏化処理を施し、ヒューイ試験に
供した場合の腐食速度のC濃度依存性を示す。
℃×1時間・空冷の鋭敏化処理を施し、ヒューイ試験に
供した場合の腐食速度のC濃度依存性を示す。
【図2】ヒューイ試験におけるMo含有オーステナイト
系ステンレス鋼の鋭敏化処理した場合の腐食速度に及ぼ
す鋼中P濃度の影響を示す。
系ステンレス鋼の鋭敏化処理した場合の腐食速度に及ぼ
す鋼中P濃度の影響を示す。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で C :0.025%以下、 Si:0.35%以下、 Mn:2.0%以下、 P :0.03%未満、 S :0.01%以下、 Ni:13.5〜15%、 Cr:17〜19%、 Mo:2.0〜3.0% を含有して、残部が実質的に鉄からなることを特徴とす
る耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP795993A JPH06122946A (ja) | 1992-08-25 | 1993-01-20 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-226293 | 1992-08-25 | ||
JP22629392 | 1992-08-25 | ||
JP795993A JPH06122946A (ja) | 1992-08-25 | 1993-01-20 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06122946A true JPH06122946A (ja) | 1994-05-06 |
Family
ID=26342369
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP795993A Pending JPH06122946A (ja) | 1992-08-25 | 1993-01-20 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06122946A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4835445A (en) * | 1987-04-06 | 1989-05-30 | Futaba Denshi Kogho K.K. | Fluorescent display device |
US8172959B2 (en) | 2004-01-13 | 2012-05-08 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Austenitic stainless steel, manufacturing method for the same, and structure using the same |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6167761A (ja) * | 1984-09-12 | 1986-04-07 | Hitachi Ltd | 原子炉用オ−ステナイト系ステンレス鋼冷間加工部材 |
-
1993
- 1993-01-20 JP JP795993A patent/JPH06122946A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6167761A (ja) * | 1984-09-12 | 1986-04-07 | Hitachi Ltd | 原子炉用オ−ステナイト系ステンレス鋼冷間加工部材 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4835445A (en) * | 1987-04-06 | 1989-05-30 | Futaba Denshi Kogho K.K. | Fluorescent display device |
US8172959B2 (en) | 2004-01-13 | 2012-05-08 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Austenitic stainless steel, manufacturing method for the same, and structure using the same |
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A02 | Decision of refusal |
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