JPH06122763A - 硬化性難燃樹脂組成物、これより製造したプリプレグ及び難燃電気用積層板 - Google Patents

硬化性難燃樹脂組成物、これより製造したプリプレグ及び難燃電気用積層板

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JPH06122763A
JPH06122763A JP19688993A JP19688993A JPH06122763A JP H06122763 A JPH06122763 A JP H06122763A JP 19688993 A JP19688993 A JP 19688993A JP 19688993 A JP19688993 A JP 19688993A JP H06122763 A JPH06122763 A JP H06122763A
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常深  秀成
Toshinobu Nakada
年信 中田
Kiyoyuki Minamimura
清之 南村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高周波領域、特にギガヘルツ帯で優れた低誘
電率、低誘電正接を有し、且つ、吸湿性が低い難燃性シ
アン酸エステル系硬化樹脂組成物、これより製造される
プリプレグ及び電気用積層板を提供する。 【構成】 (Ra,Rb及びRcは、水素、アルキル基、アリール
基又はハロゲンである。)の化合物5〜45モル%、及
(R1及びR2は、水素、アルキル基又はアリール基で
あり、Aは、単結合、(水素原子の1つ又は2つをアル
キル基及び/又はアリール基で置換した置換)メチレン
基等である。)の化合物55〜95モル%を含有する硬
化性樹脂組成物、これを基材に含浸させてなるプリプレ
グ、及び該プリプレグを積層し加熱加圧して一体に成形
してなる電気用積層板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波下での優れた誘
電特性が求められる電気用積層板及びプリプレグのマト
リックス樹脂や接着剤、コーティング剤、塗料、注型用
樹脂、封止用樹脂、電気・電子機器等のハウジング材料
用樹脂等に使用できる硬化性樹脂組成物に関する。更
に、本発明は、かかる優れた高周波特性が求められる電
気用積層板及びプリプレグに関する。ここで電気用積層
板とは、各種電気及び電子部品の基板として用いられる
絶縁積層板や、印刷回路基板として用いられる金属箔張
積層板を意味する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子工業や通信、コンピューター
などの分野において使用される周波数はメガ、ギガヘル
ツ帯のような高周波領域になりつつある。このような高
周波領域で用いられる電気用積層板などの絶縁層には低
誘電率、低誘電正接の材料が求められている。
【0003】このため各種の低誘電率、低誘電正接樹脂
が開発されてきた。中でもシアン酸エステル樹脂系は熱
硬化性樹脂のなかでは誘電率、誘電正接が優れている。
たとえば、ビスフェノールAのジシアン酸エステルは積
層板用のマトリックス樹脂にすでに使用されている。ま
た、特開昭63−250359にはフッ素含有ジシアン
酸エステルが開示されている。
【0004】また、電気用積層板には、UL94におい
てV−0レベルの難燃性が求められるものが多いが、高
周波下での誘電特性、特に誘電正接が十分に低く且つV
−0の難燃性を満たした、実用的な積層板用の材料は現
在までに得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のシアン酸エステ
ル樹脂では、一般に電気用積層板に用いられるエポキシ
樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド
樹脂に比べれば低い誘電率及び誘電正接を示すものの、
高周波領域とくにギガヘルツ帯での誘電正接は十分に満
足のいくものではなかった。特にUL94でV−0の難
燃性を有するシアン酸エステル樹脂は、変性前のシアン
酸エステル樹脂に比べて誘電正接が大きくなり、ギガヘ
ルツ帯での通信用に用いられる電気用積層板用途等には
特性が不十分であった。一方、上記の特開昭63−25
0359に開示されているフッソ含有のシアン酸エステ
ルは、変性しなくてもV−0の難燃性が得られるが、原
料の価格が高くて実用的ではない。ギガヘルツ帯での通
信用に使用される電気用積層板に求められる誘電正接
は、0.005以下が好ましく、更に好ましくは0.0
04以下が望ましい。従って、このような用途に用いら
れる硬化性樹脂組成物は、その硬化物の特性として、当
然低い誘電正接が必要である。すなわち、0.006以
下が好ましく、更に好ましくは0.005以下である。
【0006】また、誘電率が低いという特性も、コンピ
ューターの高速化により重要度が増してきており、電気
用積層板の誘電率としては4以下が求められている。一
般に電気用積層板は、Eガラスのガラスクロスを基材と
して用いることが多く、マトリックス樹脂としては、誘
電率が3以下、更に好ましくは2.9以下が望ましい。
【0007】さらに、樹脂の吸湿は、高周波領域とくに
ギガヘルツ帯での誘電正接や誘電率などの電気特性を著
しく低下させる。従来のシアン酸エステル樹脂は優れた
電気特性を有しながら、その吸湿により電気特性を低下
させるという問題点を有していた。
【0008】また、電気用積層板のマトリックス樹脂に
は高い耐熱性が求められる。中でも特に、高いTgを有
することが基板の寸法安定性、信頼性にとって重要であ
る。多層板として用いるためには、TMAによるTgで
少なくとも160℃以上であることが必要であり、好ま
しくは170℃以上、更に好ましくは180℃以上のT
gを有することが望ましい。しかしながら、ギガヘルツ
帯での誘電正接が小さく且つTgの高いマトリックス樹
脂は未だ知られていない。
【0009】本発明は上記の従来の問題点を解決するも
ので、高周波領域とくにギガヘルツ帯での樹脂硬化物の
誘電特性、特に誘電正接に優れ、かつ、吸湿性が低い難
燃性シアン酸エステル系硬化性樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。更に本発明は、高周波領域特にギガヘ
ルツ帯での樹脂硬化物の誘電特性、特に誘電正接に優れ
且つ吸湿による誘電特性の劣化の少ないシアン酸エステ
ル樹脂を用いた、高周波下での誘電特性に優れ且つ難燃
性にも優れるプリプレグ及び電気用積層板を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明の硬化性樹脂組成物は一般式I,
【化6】 (Ra,Rb及びRcは、同一でも異なってもよく、水
素、アルキル基、アリール基又はハロゲンであり、且
つ、Ra、Rb及びRcのうち少なくとも1つはハロゲ
ンである。)で示される芳香族単官能シアン酸エステル
5〜45モル%、及び一般式II、
【化7】 (R1及びR2は、同一でも異なってもよく、水素、ア
ルキル基又はアリール基であり、Aは、単結合、未置換
メチレン基、水素原子の1つ又は2つをアルキル基及び
/又はアリール基で置換した置換メチレン基、5員もし
くは6員の環状脂肪族基、スルホン基、2価の硫黄、酸
素、2価のカルボニル基、メチレン基が置換または未置
換のキシリレン基、又はフェニレン基である。)で示さ
れる2官能シアン酸エステルあるいは該2官能シアン酸
エステルプレポリマー55〜95モル%(該2官能シア
ン酸エステルモノマーに換算した値)を反応させたプレ
ポリマーを含有する樹脂組成物である。
【0011】なお、ここでいう「シアン酸エステル」と
は、シアン酸エステルモノマーの意味であり、また、
「シアン酸エステルプレポリマー」とは、シアン酸エス
テルモノマーの一部又は全部が反応し、三量体等のオリ
ゴマーに変化したものであり、より具体的には、シアン
酸エステルモノマーとオリゴマーの混合物又はオリゴマ
ーの意味であり、特に好ましくは、シアン酸エステルの
トリアジン環への転化率T(%)は0<T<60の範囲
にある。
【0012】また、上記目的を達成するための本発明の
プリプレグ及び電気用積層板は、かかる樹脂組成物を基
材に含浸したプリプレグ、及び該プレプレグを所用枚数
重ねて加熱加圧して得られる積層板である。
【0013】
【作用】上記の硬化性シアン酸エステル樹脂組成物を使
用することにより、高周波領域、特にギガヘルツ帯での
誘電正接が小さく、伝送損失の小さい難燃性プリント配
線板や難燃性多層プリント配線板を得ることができるほ
か、同様の特性を備えた注型材料、塗料、接着剤等をも
得ることができる。
【0014】なお、本発明の硬化性樹脂組成物の芳香族
2官能シアン酸エステルは一般式IIの構造のものが好ま
しい。すなわち、4,4’−ジシアナ−トフェニルタイ
プのものが好ましい。
【0015】2,2’−ジシアナ−トフェニルタイプの
シアン酸エステルの硬化物がギガヘルツ帯での誘電正接
が非常に小さいことについては、本出願人の特願平4−
75148に記載されている。しかし、このような構造
の2官能シアン酸エステルは、単独硬化させても十分に
誘電正接が小さく、単官能のシアン酸エステルをブレン
ド硬化させるとかえって誘電正接を大きくしてしまうこ
とがある。ところが、一般式IIに示したような4,4’
−ジシアナ−フェニルタイプのシアン酸エステルは、一
般式Iに示した構造の単官能シアン酸エステルをブレン
ドすることによって、単独硬化物に比べて大幅に誘電正
接を下げることができる。
【0016】このような構造のシアン酸エステルの原料
である4,4’−ジヒドロキシフェニルタイプのジフェ
ノールは比較的容易にかつ安価に入手できる原料であ
り、コスト的にも有利である。この芳香族2官能シアン
酸エステルのR1及びR2は同一でも異なってもよい。
R1及びR2のアルキル基としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、t−ブチル基及び異性体ペンチル基など
を用いることができる。なかでもC1〜C4のアルキル
基が好ましい。さらに好ましくは、メチル基、エチル
基、イソプロピル基、t−ブチル基である。R1及びR
2が水素である場合、あるいはR2が水素である場合も
重要である。アリール基としては、フェニル基、p−メ
チルフェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフ
ェニル基やC2〜C4のアルキル基でモノ置換したフェ
ニル基又はC1〜C2のアルキル基で2置換したフェニ
ル基や1−ナフチル基、2−ナフチル基、C1〜C4の
アルキル基で置換されたナフチル基などを用いることが
できる。なかでもフェニル基、C1〜C4のアルキル基
でモノ置換したフェニル基及びC1〜C4のアルキル基
でジ置換したフェニル基が好ましい。さらに好ましくは
フェニル基及びメチル基でモノ置換したフェニル基であ
る。
【0017】Aとしては単結合、未置換メチレン基のほ
か、メチレン基の1つ又は2つの水素原子をアルキル基
及び/又はアリール基で置換したメチレン基として、イ
ソプロピリデン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、
ジフェニルメチレン基、フェニル(メチル)メチレン
基、フェニル(エチル)メチレン基、1,1−エチレン
基、1,1−プロピレン基、フェニルメチレン基等を用
いることができる。2価の5員もしくは6員の環状脂肪
族基として1,1−シクロペンチレン基、1,1−シク
ロヘキシレン基などを用いることができる。また、スル
ホン酸、2価の硫黄、2価の酸素、2価のカルボニル
基、メチレン基が置換又は未置換のキシリレン基やフェ
ニレン基も好ましい。キシリレン基とは2個のメチレン
基で置換されたベンゼンのことであり、テトラメチルキ
シリレン基とは置換キシリレン基の1つの例であって、
2個のイソプロピリデン基で置換されたベンゼンのこと
である。この中で、好ましくは未置換メチレン基、イソ
プロピリデン基、酸素、硫黄、2価のカルボニル基、テ
トラメチルキシリレン基、特に好ましくは、未置換メチ
レン基、イソプロピリデン基、酸素である。入手の容易
さやコスト面からみて、ビスフェノールAのジシアン酸
エステルやテトラメチルビスフェノールFのジシアン酸
エステル、ビスフェノールCのジシアン酸エステル等が
特に好ましい。
【0018】また、本発明の硬化性樹脂組成物の単官能
芳香族シアン酸エステルのRa,Rb及びRcは同一で
も異なってもいてもよく、水素、アルキル基、アリール
基、ハロゲンであり、Ra、Rb、Rcのうち少なくと
も1つ以上がハロゲンである。Ra、Rb、Rcとして
は特に水素、アルキル基、ハロゲンが好ましい。これら
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、tert−ブチル基及び異性体ペンチル基などを用
いることができる。なかでもC1〜C4のアルキル基が
好ましい。さらに好ましくは、メチル基、エチル基、イ
ソプロピル基、t−ブチル基である。アリール基として
は、フェニル基、p−メチルフェニル基、o−メチルフ
ェニル基、m−メチルフェニル基やC2〜C4のアルキ
ル基でモノ置換したフェニル基又はC1〜C2のアルキ
ル基で2置換したフェニル基や1−ナフチル基、2−ナ
フチル基、C1〜C4のアルキル基で置換されたナフチ
ル基などを用いることができる。なかでもフェニル基、
C1〜C4のアルキル基でモノ置換したフェニル基及び
C1〜C4のアルキル基でジ置換したフェニル基が好ま
しい。さらに好ましくはフェニル基及びメチル基でモノ
置換したフェニル基である。ハロゲンとしては、特に臭
素、塩素が好ましい。
【0019】この単官能シアン酸エステルの置換基R
a,Rb,Rcのうち少なくとも1つはハロゲンである
ことが必要である。2個以上がハロゲンであることが難
燃性に関してより好ましい。また、これらの混合物も用
いることができる。最も好ましい実施態様としては、
2,4−ジブロモフェノールのシアン酸エステル、2,
6−ジブロモフェノールのシアン酸エステル、2,4,
6−トリブロモフェノールのシアン酸エステル、2,4
−ジブロモ−6−メチルフェノールのシアン酸エステ
ル、2,6−ジブロモ−4−メチルフェノールのシアン
酸エステル及びオルトもしくはパラブロムフェノールの
シアン酸エステル等が例示され、これらの単独または混
合物を用いることができる。
【0020】特表平2−503003にジシクロペンタ
ジエンとフェノールの重合体のシアン酸エステルと各オ
ルト位がメチル基で置換された単官能フェノールのシア
ン酸エステルのブレンド硬化物が靱性を改良することが
報告されている。しかしながら、この場合は、誘電特性
に関する記載はなく、また、単官能シアン酸エステルの
各オルト位にアルキル基のごとき置換基が存在すること
が必須である。
【0021】この特表平2−503003は、樹脂の機
械的特性に注目しているが、例えば樹脂組成物を基材に
含浸させて使用する電気用積層板などの用途の場合に
は、樹脂の機械的強度は元々充分に高く、例えばエポキ
シ樹脂などよりも強靱であることから、機械的強度の点
が問題となることは殆どどない。また、たとえ本発明の
ような、2種のシアン酸エステルのブレンドにより機械
的強度が低下するような傾向が生じたとしても、基材が
存在し機械的な補強の役割を果たしているため何ら問題
とならない。それよりも、本発明にはその目的とする極
めて良好な低誘電率、低誘電正接、低吸水率、低コス
ト、良好な機械的特性のバランスが、本発明の構成によ
ってはじめて達成できるという利点がある。
【0022】本発明で用いることのできる単官能シアン
酸エステルは、必ずしも各オルト位に置換基を持つ必要
はない。全くオルト位に置換基がなくてもよいし、片方
のオルト位のみに置換基を持っていてもよい。
【0023】この硬化性樹脂組成物に使用する芳香族シ
アン酸エステルは、多官能フェノール又は単官能フェノ
ールとハロゲン化シアンをトリエチルアミン等の存在下
で反応させて合成することができ、例えば米国特許35
53244に記載されている方法を用いることができ
る。すなわち、1例をあげるとアセトン溶媒中でフェノ
ールと臭化シアンの当量混合物の中に0℃〜10℃で臭
化シアンと当量のトリエチルアミンを加える。この際に
生じたトリエチルアミンの臭化水素酸塩を除去した後、
溶媒を留去して得られた粗生成物を再結晶などの方法で
精製して得られる。
【0024】本発明の硬化性樹脂組成物に対して、エポ
キシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウ
レタンアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ス
ピロピラン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の
熱硬化性樹脂や、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートな
ど熱可塑性樹脂の1種類以上の樹脂と上記硬化性樹脂組
成物を混合して使用してもかまわない。また、硬化反応
を促進させるために硬化触媒や硬化促進剤をいれてもよ
いが必ずしも必要ではない。
【0025】硬化触媒としてはイミダゾール類、第3級
アミン、有機金属化合物等が用いられる。有機金属化合
物が好ましく、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、
ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等が用いられる。
また、非イオン性の金属キレート化合物の亜鉛、コバル
ト、銅、マンガン、鉄のアセチルアセトナート等も好ま
しい。硬化促進剤としては不揮発性のフェノール類を使
用することが好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ビスフェノールS等の各種ビスフェノール類や
ノニルフェノール等が例示される。
【0026】また、硬化性樹脂組成物に対しては無機フ
ィラーを混合しても良いが必ずしも必要とするわけでは
ない。無機フィラーとしては、アルミナ、水酸化アル
ミ、クレー、タルク、三酸化アンチモン、五酸化アンチ
モン、酸化亜鉛、酸化チタン、溶融シリカ、ガラス粉、
石英粉、シラスバルーン等を単独で混合しても良いし、
2種類以上を混合使用してもよい。
【0027】このシアン酸エステル樹脂組成物を注型材
料として使用する場合は加熱溶融し、プレポリマー化し
てある程度増粘させてから型に注型して加熱硬化させれ
ばよい。この際、硬化触媒や硬化促進剤を使用してもよ
いし、使用しなくてもよい。
【0028】接着剤として使用する場合は、ワニスを作
製して被接着物にコーティングして加熱加圧して用いる
ことができる。また、プレポリマーを加熱溶融して直
接、被接着物に塗ることもできる。
【0029】次に、本発明のプリプレグを作製するに
は、シアン酸エステル樹脂ワニスを調整する必要があ
る。まず、ハロゲン含有単官能シアン酸エステル5〜4
5モル%と2官能シアン酸エステル又は該シアン酸エス
テルプレポリマー55〜95モル%(2官能シアン酸エ
ステルモノマーに換算した値)をブレンドし、加熱して
反応させたプレポリマーを含む樹脂組成物をこれに可溶
な溶剤に溶解させてワニスを調製する。
【0030】この時に樹脂組成物中の単官能シアン酸エ
ステルの割合が45モル%を超えると、機械特性や耐熱
性が劣化し、好ましくない。また、単官能シアン酸エス
テルの割合が5モル%より少ないと改良の効果がでな
い。低誘電正接化及び低吸湿率化及び難燃性の効果を十
分に引き出すためには、単官能シアン酸エステルを7〜
40モル%、2官能シアン酸エステル又は該シアン酸エ
ステルプレポリマー60〜93モル%ブレンドすること
が好ましい。単官能シアン酸エステルが10〜35モル
%で、2官能シアン酸エステル又は該シアン酸エステル
プレポリマー65〜90モル%のブレンドはさらに好ま
しい。
【0031】V−0の難燃性及び誘電正接、吸湿率、耐
熱性(Tg)のバランスを考えると、マトリックス樹脂
中のハロゲン含率をコントロールし、他物性が出る配合
比率にすることが好ましい。例えばハロゲンが臭素の場
合はマトリックス樹脂中の臭素含量を4〜30重量%程
度にするのが好ましく、6〜25重量%がさらに好まし
い。誘電正接及び吸湿率は、単官能シアン酸エステルを
7〜40%ブレンドするのが好ましいので、そのブレン
ド比率に合わせて、単官能シアン酸エステル中の臭素含
率を調整することが望ましい。例えば、2,4,6−ト
リブロモフェノールのシアン酸エステル、2,4−ジブ
ロモフェノールのシアン酸エステル、パラブロムフェノ
ールのシアン酸エステル等を単独に用いたり、これらの
ブレンドにより臭素含率を調整することが好ましい。臭
素含率が多すぎると長期耐熱性、熱分解温度等に問題が
発生するので積層板用のマトリッスク樹脂や注型用樹
脂、塗料等としては適切ではない。
【0032】また、ワニス中には硬化反応を促進させる
ために硬化触媒や硬化促進剤をいれてもよい、が必ずし
も必要ではない。
【0033】ワニスに用いる溶媒としては、たとえばア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類やトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール
モノメチルエーテル等のエーテル類、エタノール、メタ
ノール、i−プロピルアルコール等のアルコール類、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド等の単独あるいは混合溶媒を用いることができ
るが、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類やト
ルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が良好である。
【0034】プリプレグの作製は、布あるいは紙状の連
続基材に対して通常のプリプレガーを用いてワニスを含
浸、乾燥して作製することができる。プリプレガーとし
ては、タテ型、横型いずれでもよいがタテ型の方が好ま
しい。
【0035】また、シアン酸エステル樹脂プレポリマー
を加熱溶解させてそのまま基材に含浸させてプリプレグ
を作製することもできる。この際、硬化触媒及び硬化促
進剤を加熱溶解した樹脂に配合しても良いし、配合しな
くてもよい。
【0036】布あるいは紙状連続基材としてはガラスク
ロス、ガラス不織布などのガラス基材、クラフト紙、リ
ンター紙などの紙基材、アラミド不織布、アラミド織布
などの合成繊維基材の単体又は複合が使用できる。ガラ
スクロスの原料ガラスの材質としてはEガラス、Dガラ
ス、Sガラス、Tガラス、石英ガラス等が例示される。
【0037】更に、電気用積層板を作製する場合、多段
積層プレス法、加圧連続製造法、無圧連続製造法などの
方法を問わない。積層プレス法を用いる場合は、シアン
酸エステル樹脂を含浸したプリプレグを通常の方法でプ
レス熱板間にセットして上下に金属箔を配して加熱加圧
硬化させることによって両面金属張積層板を製造でき
る。加圧連続積層法の場合は、紙管に連続的に巻取った
プリプレグと金属箔を用いることにより、積層板を得る
ことができる。無圧連続積層法を用いる場合は、連続的
に繰り出される複数の基材に対して、加熱溶解したシア
ン酸エステル又はシアン酸エステルプレポリマーを連続
的に含浸した後、これらの含浸基材を金属箔と連続的に
積層し、硬化させることによって金属箔張積層板が得ら
れる。
【0038】また電気用積層板用マトリックス樹脂には
無機フィラーを混合しても良いが必ずしも必要とするわ
けではない。無機フィラーとしては、アルミナ、水酸化
アルミ、クレー、タルク、三酸化アンチモン、五酸化ア
ンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、溶融シリカ、ガラス
粉、石英粉、シラスバルーン等を単独で混合しても良い
し、2種類以上を混合使用してもよい。以下実施例に基
づき本発明を説明する。
【0039】
【実施例】
(誘電特性の測定)矩型空洞共振器摂動法により測定し
た。共振周波数は、約2.5GHzの島田理化製矩型共
振器に用いて、ネットワークアナライザー(HP841
0B)を用いて測定した。
【0040】(吸湿率の測定)銅箔をエッチングした5
cm×5cmの積層板を用いて、恒温恒湿器によるC−
96/40/90処理後の吸湿率を測定した。
【0041】(Tgの測定)昇温速度10℃/minで
測定したTMAの屈曲点を求めTgとした。
【0042】A. 硬化性難燃樹脂組成物 合成例1:2,4−ジブロモフェニルシアナートの合成 滴下ロート、温度計、攪拌プロペラを取り付けた3つ口
フラスコに臭化シアン58.3gを仕込みイソプロピル
アルコール200mlに溶解させた後、窒素置換して−
5℃〜3℃に冷却した。次に、2,4−ジブロモフェノ
ール126gをイソプロピルアルコール300mlに溶
解させた後、トリエチルアミン53.1gを加えて十分
に攪拌した溶液を滴下ロートに仕込み、攪拌しながらフ
ラスコ内温が10℃以上にならないような速度で滴下し
た。滴下終了後、2時間10℃以下の温度下で攪拌し、
生じた白色沈澱を濾過により取り出し、大量の水で十分
に水洗した後、減圧乾燥して白色固体83.1g得た。
この化合物のIRスペクトルは2270cm-1にシアナ
ート基(OCN)の吸収を持ち、また、NMRスペクト
ルより、目的のジシアン酸エステルである2,4−ジブ
ロモフェニルシアナート(DBP−CY)であることが
確認できた。収率は、60%であった。
【0043】合成例2:ジブロモクレゾールシアナート
の合成 ジブロモクレゾール(マナック株式会社製DBC)を原
料フェノールとして用い、合成例1と同様の合成方法で
目的のシアン酸エステルすなわちジブロモクレゾールシ
アナート(DBC−CY)を合成した。減圧乾燥後の収
率は60%で白色固体であった。このもののIRスペク
トルは2260cm-1にシアナート基(OCN)の吸収
があり、原料の水酸基の吸収はみられず、NMRスペク
トルの結果と合わせて目的物であることが確認された。
【0044】合成例3:4−ブロモフェニルシアナート
の合成 パラブロモフェノールを原料フェノールとして用い、合
成例1と同様の合成方法で目的のシアン酸エステルすな
わち4−ブロモフェニルシアナート(PBP−CY)を
合成した。減圧乾燥後の収率は63%で白色固体であっ
た。このものもIRスペクトルは2260cm-1にシア
ナート基(OCN)の吸収があり、原料の水酸基の吸収
はみられず、NMRスペクトルの結果と合わせて目的物
であることが確認された。
【0045】合成例4: 2,4,6−トリブロモフェ
ニルシアナートの合成 滴下ロート、温度計、攪拌プロペラを取り付けた3つ口
フラスコに臭化シアン58.3gを加え、イソプロピル
アルコール200mLに溶解させた後、窒素置換して−
5℃〜3℃に冷却した。次に、2,4,6−トリブロモ
フェノール165gをイソプロピルアルコール300m
Lに溶解させた後、トリエチルアミン53.1gを加え
て十分に攪拌した溶液を滴下ロートに仕込み、攪拌しな
がらフラスコ内温が10℃以上にならないような速度で
滴下した。滴下終了後、2時間10℃以下の温度にて攪
拌し、生じた白色沈澱を濾過により取り出し、大量の水
で十分に洗浄した後、減圧乾燥して白色固体を得た。こ
れをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製
し、白色の結晶を得た。この化合物は、IRスペクトル
で2270cm-1にシアナート基(OCN)の吸収を有
すること及びNMRスペクトル、元素分析結果より、目
的のシアン酸エステル、2,4,6−トリブロモフェニ
ルシアナート(TBP−CY)であることが確認でき
た。収率は60%。
【0046】合成例5: 2,2−ビス(4−シアナー
トフェニル)プロパンの合成 滴下ロート、温度計、攪拌プロペラを取り付けた3つ口
フラスコに臭化シアン46.6gと2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン45.7gを加え、アセ
トン300mLに溶解させた後、−5℃〜3℃に冷却し
た。次に、トリエチルアミン43.5gを滴下ロートに
仕込み、攪拌しながらフラスコ内温が10℃以上になら
ないような速度で滴下した。滴下終了後、2時間10℃
の温度にて攪拌し、生じた白色沈澱を濾過により除いた
後、大量の水にあけると白色固体が得られた。これを、
エタノールで再結晶して白色結晶43.2gを得た。こ
のものは、IRスペクトルで2260cm-1にシアナー
ト基(OCN)の吸収を有すること及びNMRスペクト
ルより、目的のジシアン酸エステル、2,2−ビス(4
−シアナートフェニル)プロパンであることが確認でき
た。再結晶の後の収率は78%。
【0047】〔実施例A1〜A3〕合成例1〜3のハロ
ゲン含有単官能芳香族シアン酸エステル30gをビスフ
ェノールAのジシアン酸エステルモノマーすなわち2,
2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン70gに
ブレンドし、150℃でプレポリマー化させた後、テフ
ロンの型に流し込んで200℃で1〜5時間、250℃
で3時間加熱硬化させて5mm厚のシアン酸エステル樹
脂硬化物を作製した。これを加工して、長さ10cmの
4mm角の角棒を作製し、サンプルとした。この時のプ
レポリマーのシアナート基(OCN)の転化率は、10
%から40%であり、完全硬化後のシアナート基の転化
率は、FT−IRで測定して、99%以上であった。
【0048】これらの樹脂硬化物サンプルを用いて、
2.5GHzでの誘電特性、吸湿率、Tg、UL94難
燃性を測定した結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】〔実施例A4〜A9〕2,4,6−トリブ
ロモフェニルシアナート(以下「TBP−CY」と略
す。)と2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロ
パン(以下「ビスA−CY」と記す。)をそれぞれ以下
の表2に示したモル%で混合し、オーブン中にて150
℃で2時間加熱しプレポリマー化させた後、テフロン型
に注型し、200℃で2時間加熱し硬化させた。更に、
型から外した後、250℃で3時間加熱して完全硬化さ
せて注型板を作製した。
【0051】〔比較例A1〕2,2−ビス(4−シアナ
ートフェニル)プロパンを用いて実施例A4と同様にし
て注型板を作製した。
【0052】〔比較例A2〕TBP−CYを50モル%
とビスA−CYの50モル%のブレンド物を用いて実施
例A4と同様にして注型板を作製した。
【0053】表2に実施例A4〜A9及び比較例A1,
A2の注型板の2.5GHzでの誘電率、誘電正接、T
g、吸湿率を示した。表より明らかなように比較例に比
べて実施例A4〜A9は優れた低誘電正接、低吸湿率及
び難燃性を示し且つ高い耐熱性を維持している。
【0054】
【表2】
【0055】合成例6: 2,2−ビス(3,5−ジメ
チル−4−シアナートフェニル)プロパンの合成 合成例5と同様の方法で2,2−ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンと臭化シアンを
反応させて、白色結晶を得た。エタノールから再結晶し
た後の収率で75%であった。このものは、IRスペク
トルで2262cm-1にシアナート基(OCN)の吸収
を有すること及びNMR、元素分析結果より2,2−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)プロ
パン(以下「TMビスA−CY」と略す。)であること
を確認した。
【0056】〔実施例A10〜A13〕TMビスA−C
YとTBP−CYをそれぞれ以下の表3に示したモル%
で混合し、オーブン中にて150℃で2時間加熱してプ
レポリマー化させた後、テフロン型に注型し、200℃
で2時間加熱して硬化させた。更に、型から外した後、
250℃で3時間加熱して完全硬化させて注型板を作製
した。
【0057】〔比較例A3〕TMビスA−CYを用い
て、実施例A10〜A13と同様の方法で注型板を作製
した。
【0058】〔比較例A4〕TMビスA−CYを50モ
ル%とTBP−CYを50モル%のブレンド物を用いて
実施例A10〜A13と同様にして注型板を作製した。 表2に、実施例A10〜A13及び比較例A3、A4の
注型板の、2.5GHzでの誘電率、誘電正接、Tg、
吸湿率及び難燃性を示す。表より明らかなように、比較
例に比べて実施例A7〜A10は優れた低誘電正接、低
吸湿率、難燃性を示し、且つ、高い耐熱性を維持してい
る。
【0059】
【表3】
【0060】〔実施例A14〜A17〕ビスA−CYと
合成例1のDBP−CYをそれぞれ以下の表4に示した
モル%で混合し、オーブン中にて150℃で2時間加熱
しプレポリマー化させた後、テフロン型に注型し、20
0℃で2時間加熱し硬化させた。更に、型から外した
後、250℃で3時間加熱して完全硬化させて注型板を
作製した。
【0061】〔比較例A5〕ビスA−CY50モル%と
DBP−CY50モル%のブレンド物を用いて、実施例
A14〜A17と同様に注型板を作製した。 表4に実施例A14〜A17及び比較例A1、A5の注
型板の2.5GHzでの誘電率、誘電正接、Tg、吸湿
率及び難燃性を示す。表より明らかな通り、比較例に比
べて実施例A14〜A17は優れた誘電正接、吸湿率、
難燃性を示し、且つ、150℃以上の高い耐熱性を維持
している。
【0062】
【表4】
【0063】B. プリプレグ及び電気用積層板 〔実施例B1〜B6)2,4,6−トリブロモフェニル
シアナート(「TBP−CY」)と2,2−ビス(4−
シアナートフェニル)プロパン(「ビスA−CY」)を
それぞれ以下の表5に示すモル分率で混合し、150℃
で3時間反応させ、シアナート基が40%反応したプレ
ポリマーを得た。それらのプレポリマーをメチルエチル
ケトンに溶解させ、不揮発分65%の樹脂溶液を得た。
これらの樹脂溶液100重量部に対して硬化触媒とし
て、オクチル酸亜鉛を0.03部、硬化促進剤としてビ
スフェノールAを1.3部入れたワニスを調整し、これ
らを180μ厚のEガラスクロス(7628タイプ)に
含浸させ、乾燥させることにより、樹脂含率約50%の
プリプレグを得た。これらのプリプレグ7枚を積層し、
上下に18μの銅箔を重ね、170℃にて20〜30k
g/cm2 の圧力で90分間加熱加圧成形した後、22
0℃で120分間アフターキュアーして1.6mm厚の
両面銅張積層板を得た。
【0064】〔比較例B1、B2〕2,2−ビス(4−
シアナートフェニル)プロパン単独又は2,2−ビス
(4−シアナートフェニル)プロパン及び2,4,6−
トリブロモフェニルシアナートの50モル%ずつのブレ
ンドを150℃で5時間反応させて得られたプレポリマ
ーを用いて、実施例B1〜B6と同様にワニス、プリプ
レグ、積層板を作製した。
【0065】表5に実施例B1〜B6及び比較例B1、
B2の積層板の誘電率、誘電正接、Tg、吸湿率を示し
た。実施例B1〜B6は比較例に比べて2.5GHzの
高い周波数において優れた誘電正接を示し、かつ、吸湿
率も優れていた。また、Tgも非常に高い値を示し、難
燃性も大幅に改良された。
【0066】
【表5】
【0067】〔実施例B7〜B10〕2,4,6−トリ
ブロモフェニルシアナート(「TBP−CY」)と2,
2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニ
ル)プロパン(「TMビスA−CY」)をそれぞれ以下
の表6の割合で混合し、反応させたプレポリマーを用い
て、実施例B1〜B6と同様に1.6mm厚の銅張積層
板を作製した。
【0068】〔比較例B3、B4〕TMビスA−CY単
独又はTMビスA−CY及びTBP−CYの50モル%
ずつのブレンド物を150℃にて4時間反応させて得ら
れたプレポリマーを用いて、実施例B1〜B6と同様に
ワニス、プリプレグ、積層板を作製した。
【0069】表6に実施例B7〜B10及び比較例B
3、B4の積層板の誘電率、誘電正接、Tg、吸湿率を
示す。実施例B7〜B10は比較例に比べて2.5GH
zの高い周波数において優れた低誘電正接を示し、且
つ、吸湿率においても優れていた。また、Tgも非常に
高い値を示し、難燃性も優れていた。
【0070】
【表6】
【0071】〔実施例B11〜B14〕2,4−ジブロ
モフェニルシアナート(DBP−CY)とビスA−CY
をそれぞれ表7に示したモル分率で混合し反応させたプ
レポリマーを用いて、実施例B1〜B6と同様にワニ
ス、プリプレグ、1.6mm厚の銅張積層板を作製し
た。
【0072】〔比較例B5〕ビスA−CY及びDBP−
CYの50モル%ずつのブレンド物を150℃にて4時
間反応させて得られたプレポリマーを用いて、実施例B
1〜B6と同様にワニス、プリプレグ、1.6mm厚の
銅張積層板を作製した。
【0073】表7に実施例B11〜B14及び比較例B
1、B5の積層板の誘電率、誘電正接、Tg、吸湿率を
示す。実施例B11〜B14は、比較例に比べて2.5
GHzの高い周波数において優れた低誘電正接を示し、
且つ、吸湿率も低かった。またTgも非常に高く、難燃
性も優れていた。
【0074】
【表7】
【0075】
【発明の効果】以上のように、本発明の硬化性樹脂組成
物を採用することにより、従来の芳香族多官能シアン酸
エステルに比較して、硬化物のギガヘルツ帯における誘
電正接、誘電率、難燃性及び吸湿特性を大幅に改良でき
る。また該組成物より作製した本発明のプリプレグ及び
電気用積層板を用いたプリント配線板も同様の特性を有
する。従って、本発明の樹脂組成物は、高周波下での優
れた誘電特性が求められる接着剤、コーティング剤、塗
料、注型用樹脂、封止用樹脂、電気・電子機器等のハウ
ジング材料用樹脂及び特に電気用積層板及びプリプレグ
のマトリックス樹脂としての使用に特に好適であり、該
樹脂より製造される本発明のプリプレグ及び電気用積層
板は、ギガヘルツ帯のような高周波数領域での使用に特
に好適である。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式I、 【化1】 (Ra,Rb及びRcは、同一でも異なってもよく、水
    素、アルキル基、アリール基又はハロゲンであり、且
    つ、Ra、Rb及びRcのうち少なくとも1つはハロゲ
    ンである。)で示される芳香族単官能シアン酸エステル
    5〜45モル%、及び一般式II、 【化2】 (R1及びR2は、同一でも異なってもよく、水素、ア
    ルキル基又はアリール基であり、Aは、単結合、未置換
    メチレン基、水素原子の1つ又は2つをアルキル基及び
    /又はアリール基で置換した置換メチレン基、5員もし
    くは6員の環状脂肪族基、スルホン基、2価の硫黄、酸
    素、2価のカルボニル基、メチレン基が置換または未置
    換のキシリレン基、又はフェニレン基である。)で示さ
    れる2官能シアン酸エステルあるいは該2官能シアン酸
    エステルプレポリマー55〜95モル%(該2官能シア
    ン酸エステルモノマーに換算した値)を含有する硬化性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】R1及びR2が水素である請求項1に記載
    の硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】R1及びR2がアルキル基である請求項1
    に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】R1がアルキル基、R2が水素である請求
    項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】Aが未置換メチレン基又はジアルキル置換
    メチレン基である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】Aが2価の酸素又は硫黄である請求項1に
    記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】単官能シアン酸エステルのRbが水素であ
    る請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】単官能シアン酸エステルのRa,Rb,R
    cがハロゲンである請求項1に記載の硬化性樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】単官能シアン酸エステルのRaが水素,R
    b,Rcがハロゲンである請求項1に記載の硬化性樹脂
    組成物。
  10. 【請求項10】一般式I、 【化3】 (Ra,Rb及びRcは、同一でも異なってもよく、水
    素、アルキル基、アリール基又はハロゲンであり、且
    つ、Ra、Rb及びRcのうち少なくとも1つはハロゲ
    ンである。)で示される芳香族単官能シアン酸エステル
    5〜45モル%、及び一般式II、 【化4】 (R1及びR2は、同一でも異なってもよく、水素、ア
    ルキル基又はアリール基であり、Aは、単結合、未置換
    メチレン基、水素原子の1つ又は2つをアルキル基及び
    /又はアリール基で置換した置換メチレン基、5員もし
    くは6員の環状脂肪族基、スルホン基、2価の硫黄、酸
    素、2価のカルボニル基、メチレン基が置換または未置
    換のキシリレン基、又はフェニレン基である。)で示さ
    れる2官能シアン酸エステルあるいは該2官能シアン酸
    エステルプレポリマー55〜95モル%(該2官能シア
    ン酸エステルモノマーに換算した値)を反応させて得ら
    れるプレポリマーを含有する樹脂組成物を基材に含浸さ
    せてなるプリプレグ。
  11. 【請求項11】R1及びR2が水素である請求項10に
    記載のプリプレグ。
  12. 【請求項12】R1及びR2がアルキル基である請求項
    10に記載のプリプレグ。
  13. 【請求項13】R1がアルキル基、R2が水素である請
    求項10に記載のプリプレグ。
  14. 【請求項14】Aが未置換メチレン基又はジアルキル置
    換メチレン基である請求項10に記載のプリプレグ。
  15. 【請求項15】Aが2価の酸素又は硫黄である請求項1
    0記載のプリプレグ。
  16. 【請求項16】単官能シアン酸エステルのRbが水素で
    ある請求項10に記載のプリプレグ。
  17. 【請求項17】単官能シアン酸エステルのRa,Rb,
    Rcがハロゲンである請求項10に記載のプリプレグ。
  18. 【請求項18】単官能シアン酸エステルのRaが水素,
    Rb,Rcがハロゲンである請求項10に記載のプリプ
    レグ。
  19. 【請求項19】請求項10乃至18に記載のプリプレグ
    を所用枚数積層し、加熱加圧により一体に成形してなる
    ことを特徴とする電気用積層板。
  20. 【請求項20】下記一般式Iで表されるハロゲン含有単
    官能芳香族シアン酸エステル。 【化5】 (Ra,Rb及びRcは同一でも異なっていてもよく、
    水素、アルキル基、アリール基またはハロゲンであり、
    Ra,Rb,Rcのうち少なくとも1つはハロゲンであ
    る。)
  21. 【請求項21】Ra,Rcのうち1つが水素またはハロ
    ゲンである請求項20記載の単官能芳香族シアン酸エス
    テル。
  22. 【請求項22】ハロゲンが臭素である請求項20記載の
    単官能芳香族シアン酸エステル。
  23. 【請求項23】2,4−ジブロモフェニルシアナート、
    2,6−ジブロモフェニルシアナート、2,4−ジブロ
    モ−6−メチルフェニルシアナート、2,6−ジブロモ
    −4−メチルフェニルシアナート、2−ブロモフェニル
    シアナート、4−ブロモフェニルシアナートまたは2,
    4,6−トリブロモフェニルシアナートから選ばれる請
    求項20記載の単官能芳香族シアン酸エステル。
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