JPH06122340A - 抗菌性樹脂成形品およびその製造法 - Google Patents

抗菌性樹脂成形品およびその製造法

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JPH06122340A
JPH06122340A JP26667592A JP26667592A JPH06122340A JP H06122340 A JPH06122340 A JP H06122340A JP 26667592 A JP26667592 A JP 26667592A JP 26667592 A JP26667592 A JP 26667592A JP H06122340 A JPH06122340 A JP H06122340A
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resin
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守彦 丹羽
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吊り革の把持部など不特定多数の人が触れる
用途に適した安全でかつ抗菌作用の大きい抗菌性樹脂成
形品を提供すること、およびそのような抗菌性樹脂成形
品を製造する方法を提供することを目的とする。 【構成】 吊り革の把持部などの樹脂成形品を、無機系
微粒子あるいは無機系イオン交換体微粒子に銀、銅、亜
鉛などの抗菌性金属を担持させた無機系抗菌剤の水性分
散液と接触させた後、水洗および乾燥を行い、該樹脂成
形品の表面に無機系抗菌剤分散液の浸透による無機系抗
菌剤担持層を形成する。樹脂成形品と無機系抗菌剤水性
分散液との接触は、加温下に行うことが望ましく、さら
には減圧条件下または加圧条件下に行うことが望まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱硬化性樹脂や熱可塑
性樹脂製の成形品に抗菌性を付与した抗菌性樹脂成形品
に関するものである。殊に、吊り革の把持部など不特定
多数の人が触れる用途に使用される抗菌性樹脂成形品に
関するものである。また、そのような抗菌性樹脂成形品
を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】交通機関内で乗客の安全を保障する方法
として、吊り革が一般的に使用されている。吊り革の把
持部の材質としては、古くは尿素樹脂やメラミン樹脂な
ど圧縮成形法による熱硬化性樹脂が一般的に使用されて
きたが、最近ではより美麗なメタクリル樹脂、スチレン
樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、アクリ
ロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂などの射出成形法による熱可塑性樹脂も
使用されるようになってきている。
【0003】吊り革は、乗客の安全対策としては十分の
機械的強度を有するが、衛生面での考慮は払われていな
い。すなわち、吊り革の把持部は見た目には美麗である
が、不特定多数の人が使用するため実は非衛生的であ
り、汗や手垢による汚染のほか、カビ類、大腸菌、白癬
菌等の雑菌が多量に付着していて、接触伝染による皮膚
病などの感染のおそれがある。
【0004】交通機関の扉は全自動で手に触れることは
少ないが、吊り革は手でつかむものであるため、手に触
れないわけにはいかない。吊り革の把持部を使用の都度
消毒することも不可能である。
【0005】また吊り革に限らず、不特定多数の人が触
れる樹脂成形品、たとえば、浴場備品、便座シート、食
用ナイフ、浴槽についても同様のことが言える。
【0006】そこで上述の問題点を解決するための対策
が種々提案されている。たとえば、実開平1−1634
8号公報には、吊り革の輪の表面に銅を含む部材を露出
させた吊革用輪が提案されている。実開昭62−590
28号公報には、クロル化されたフェノール系化合物を
添加配合した抗菌性浴場備品が示されている。実開平2
−13487号公報には、抗菌性を有するシートを洋式
便器の便座に差し込むようにした抗菌性便座シートが示
されている。実開平1−178876号公報には、抗菌
性ゼオライトを配合した熱可塑性樹脂よりなるシートに
熱可塑性樹脂シートを融着または接着したシートからな
る抗菌性素材で食用ナイフの表面を構成した無菌性食用
ナイフが示されている。特開平1−313531号公報
には、一価の銀を含む水溶解性ガラスの粉粒状物を混合
担持させた合成樹脂成形体(風呂場用カーテン、浴槽
等)が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】樹脂成形品に抗菌性を
付与する方法としては、成形用樹脂に、予め有機系また
は無機系の抗菌剤を樹脂に練り込んだペレットを混合し
て成形に供するマスターバッチ方式が広く採用されてい
るが、この場合は樹脂内部に入った抗菌剤は全く効果が
出ないばかりでなく、樹脂表面近傍の抗菌剤も多くは樹
脂被膜に包まれるため十分な効果が期待できない。
【0008】加えて、抗菌効果を上げるためには多量の
抗菌剤を混入する必要があるが、無機系抗菌剤の場合は
抗菌剤微粒子の混入により樹脂成形品の機械的強度が低
下するおそれがあり、有機系抗菌剤の場合も機械的強度
の悪影響を与える上、抗菌性の強いものは毒性の点で人
が触れる用途には必ずしも適していないという制約があ
る。
【0009】本発明は、このような背景下において、吊
り革の把持部など不特定多数の人が触れる用途に適した
安全でかつ抗菌作用の大きい抗菌性樹脂成形品を提供す
ること、およびそのような抗菌性樹脂成形品を製造する
方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の抗菌性樹脂成形
品は、樹脂成形品の表面に無機系抗菌剤分散液の浸透に
よる無機系抗菌剤担持層を形成してなるものである。
【0011】また本発明の抗菌性樹脂成形品の製造法
は、樹脂成形品を無機系抗菌剤分散液と接触させた後、
水洗および乾燥を行い、該樹脂成形品の表面に無機系抗
菌剤分散液の浸透による無機系抗菌剤担持層を形成する
ことを特徴とするものである。
【0012】以下本発明を詳細に説明する。
【0013】樹脂成形品としては、不特定多数の人が触
れる用途に使用されるものが好適に用いられる。このよ
うな樹脂成形品の例としては、まず吊り革の把持部があ
げられ、そのほか、電話受話器、交通機関の乗客用イヤ
ホーン、便座、手摺り、浴場備品、階段の手摺り、待合
室の椅子やベンチ、手洗いの蛇口のコック、車のハンド
ルなどもあげられる。また、マーケットでの食品包装用
フィルムや食品用トレイなども不特定多数の人が手で触
れることが多いので、このような用途にも適用できる。
【0014】樹脂成形品を構成する樹脂の種類として
は、各種の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂があげられる。
たとえば樹脂成形品が吊り革の把持部である場合は、尿
素樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂や、メタクリ
ル樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共
重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共
重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂
などの熱可塑性樹脂があげられ、熱硬化性樹脂の場合に
は圧縮成形法により、熱可塑性樹脂の場合には射出成形
法により吊り革の把持部を成形する。
【0015】無機系抗菌剤としては、無機系微粒子ある
いは無機系イオン交換体微粒子に、銀、銅、亜鉛、水
銀、鉛、ビスマス、カドミウムおよびクロムよりなる群
から選ばれた少なくとも1種の金属(殊に銀、銅または
亜鉛)を担持させた無機系抗菌剤が用いられる。これら
の抗菌性金属を単独でまたは2種以上を複合して担持さ
せることにより、使用目的に合うように設計したり、相
乗効果を発揮できるようにする。なお有機系抗菌剤は、
移行性が大きいため長期間樹脂成形品表面に滞留させる
ことが困難であり、また人体に対し毒性があることが多
いので、本発明の目的には不適当である。
【0016】樹脂成形品の表面に無機系抗菌剤担持層を
形成するには、まず無機系抗菌剤微粒子の水性分散液を
調製する。無機系抗菌剤微粒子の懸濁安定性を高めるた
め、非イオン系、カチオン系、アニオン系、など各種の
界面活性剤を添加することができる。このほか、分散安
定剤として各種保護コロイドや分散助剤を添加したり、
必要に応じ微粒子定着化増強のため各種ポリマーを添加
することも効果的である。
【0017】無機系抗菌剤分散液における無機系抗菌剤
の粒径は、樹脂成形品の微細孔への浸透性および分散液
の安定性の点から、1μm 以下、好ましくは 0.7μm 以
下、さらには 0.5μm 以下であることが特に望ましい。
市販の無機系抗菌剤は粒径が数μm ないし数10μm で
あることが多いので、そのような場合にはこれを微粉砕
して用いる。
【0018】樹脂成形品を無機系抗菌剤分散液と接触さ
せるには含浸法が採用されるが、その際には無機系抗菌
剤分散液を加温しておくことが望ましい。ただし、むや
みに加温しても樹脂成形品を劣化させるだけで余り意味
はないので、高くとも70℃程度、通常は40〜60℃
程度の加温で十分である。処理時間は、5分〜30分程
度で十分である。
【0019】上記の含浸操作は常圧で行ってもよいが、
含浸効果をより確実なものとするため、含浸を減圧条件
下あるいは加圧条件下に行って、無機系抗菌剤を樹脂成
形品の表面および表面内部深くまで浸透させるようにす
ることが特に望ましい。
【0020】含浸操作完了後は、樹脂成形品を無機系抗
菌剤水性分散液より取り出し、水洗、乾燥を行う。これ
により、樹脂成形品の表面に無機系抗菌剤担持層が形成
される。
【0021】この担持層の厚みは樹脂成形品の素材樹脂
によって多少異なるが、通常は数μm ないし数10μm
に達し、最適の含浸条件を採用した場合においては数1
00μm にも達するようになる。
【0022】
【作用】樹脂成形品は、圧縮成形品、射出成形品、押出
成形品のいずれにあっても、表面に微細孔を有している
(顕微鏡で確認できる)。また樹脂を膨潤させることに
よっても、結晶構造の中に隙間を作ることができる。こ
の微細孔に無機系抗菌剤分散液が浸透するが、その浸透
深さは、無機系抗菌剤分散液を加温したとき、含浸を減
圧条件下あるいは加圧条件下に行うときに促進される。
【0023】本発明において使用される無機系抗菌剤
(無機系微粒子あるいは無機系イオン交換体微粒子に
銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属を担持させたもの)は、
揮発あるいは溶出により空気中や溶媒中に拡散して抗菌
作用を示す有機系抗菌剤と異なり、環境中に水分が存在
する場合は容易に解離して抗菌性金属イオンとなり抗菌
効果を示すが、主として抗菌性金属の触媒作用による抗
菌剤表面で発生する「活性酸素アニオン」により抗菌効
果を発揮し、広範囲の細菌とカビ、藻類の胞子に作用す
る。また、無味、無臭、無毒である。従って、安全性が
高く、しかも長期間効果を維持させることができる。
【0024】そして無機系抗菌剤担持層を形成させた樹
脂成形品は、無処理の樹脂成形品に比し、その外観、感
触、寸法、機械的強度、無臭性などを何ら変更するもの
ではない。
【0025】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「%」とあるのは重量%である。
【0026】実施例1〜9 〈無機系抗菌剤水性分散液の調製〉次の9種の無機系抗
菌剤水性分散液を調製した。(A)〜(I)がそれぞれ
実施例1〜9に対応する。
【0027】(A)シリカ系担体微粒子に銀などを担持
させた触媒化成工業株式会社製の「AIS−NAZ32
0」(平均粒径1〜5μm )を粒径 0.5μm 以下に粉砕
した微粒子約6%と、水約94%とからなる組成の無機
系抗菌剤水性分散液。
【0028】(B)シリカ系担体微粒子に銅などを担持
させた触媒化成工業株式会社製の「AIS−NAC41
0」(平均粒径1〜5μm )を粒径 0.5μm 以下に粉砕
した微粒子約6%と、水約94%とからなる組成の無機
系抗菌剤水性分散液。
【0029】(C)ゼオライト系担体微粒子に銀および
亜鉛などを担持させた鐘紡株式会社製の「バクテキラー
BM101A」(平均粒径2μm )を粒径 0.5μm 以下
に粉砕した微粒子約6%と、水約94%とからなる組成
の無機系抗菌剤水性分散液。
【0030】(D)ゼオライト系担体微粒子に銀および
亜鉛などを担持させた鐘紡株式会社製の「バクテキラー
BM501A」(平均粒径5μm )を粒径 0.5μm 以下
に粉砕した微粒子約6%と、水約94%とからなる組成
の無機系抗菌剤水性分散液。
【0031】(E)ゼオライト系担体微粒子に銀などを
担持させた株式会社シナネンゼオミック製の「ゼオミッ
クAJ10D」を粒径 0.5μm 以下に粉砕した微粒子約
6%と、水約94%とからなる組成の無機系抗菌剤水性
分散液。
【0032】(F)ゼオライト系担体微粒子に銀などを
担持させた株式会社シナネンゼオミック製の「ゼオミッ
クAG10NA」を粒径 0.5μm 以下に粉砕した微粒子
約6%と、水約94%とからなる組成の無機系抗菌剤水
性分散液。
【0033】(G)ゼオライト系担体微粒子に銀などを
担持させた株式会社シナネンゼオミック製の「ゼオミッ
クAW10D」を粒径 0.5μm 以下に粉砕した微粒子約
6%と、水約94%とからなる組成の無機系抗菌剤水性
分散液。
【0034】(H)リン酸カルシウムに銀および亜鉛な
どの抗菌性金属イオンを交換吸着させた株式会社サンギ
製の「アパサイダーAW3」(粒径1〜2μm )を粒径
0.5μm 以下に粉砕した微粒子約6%と、水約94%と
からなる組成の無機系抗菌剤水性分散液。
【0035】(I)ジルコン酸系担体微粒子に銀イオン
などを置換させた東亜合成化学工業株式会社製の「ノバ
ロンAG300」(粒径 0.2〜 0.5μm )約6%と、水
約94%とからなる組成の無機系抗菌剤水性分散液。
【0036】〈樹脂成形品に対する無機系抗菌剤担持層
の形成〉これらの無機系抗菌剤水性分散液を50〜60
℃に加温し、その中に別途成形して得られた樹脂成形品
の一例としての吊り革の把持部を浸漬して約20分間維
持した。ついで吊り革の把持部を取り出して常温の水で
洗浄した後、常温ないし約40℃で乾燥した。
【0037】これにより吊り革の把持部の表面全面に抗
菌剤分散液の浸透・定着による無機系抗菌剤微粒子の担
持層が形成され、その担持層の厚みは数μm に達した。
【0038】〈抗菌性試験の方法と結果〉上記で製造し
た抗菌性樹脂成形品の抗菌性を評価するため、上記に準
じてテストピース(30mm×30mm)を製造した。液体
培養で28℃、24時間培養した大腸菌(Escherichia
coli - IFO 12734)を被検菌として使用し、無菌性生理
食塩水を培地としてドロップ法により試験を行った。す
なわち、各試料表面にシリコーンリングを置き、菌液1
mlを添加し、室温で24時間および48時間放置後、生
菌数測定法に準じて生菌数を測定した。試験結果は表1
の通りであった。
【0039】 表1 24時間放置後 48時間放置後 生菌数 生菌数 死滅率 生菌数 死滅率 (個/ml) (個/ml) (%) (個/ml) (%) 無処理区 3.7×105 3.6×105 2.70 2.2×105 40.54 実施例1 3.7×105 2.7×101 99.99 0 100 実施例2 3.7×105 1.2×101 100 0 100 実施例3 3.7×105 3.5×101 99.99 0 100 実施例4 3.7×105 4.8×101 99.99 0 100 実施例5 3.7×105 2.3×101 99.99 0 100 実施例6 3.7×105 3.9×101 99.99 0 100 実施例7 3.7×105 6.2×101 99.98 0 100 実施例8 3.7×105 4.6×101 99.99 0 100 実施例9 3.7×105 1.8×101 100 0 100
【0040】上記各実施例で得た抗菌性吊り革把持部
は、水洗を繰り返しても抗菌力の低下はほとんど見られ
なかった。実使用条件は水洗下で使用するわけではない
ので、この抗菌性吊り革把持部はほぼ半永久的に使用に
耐え得るものであり、実用性は高い。
【0041】実施例10〜18 さらに抗菌剤担持層の厚みを高めるため次の実験を行っ
た。すなわち、無機系担体微粒子に抗菌性金属を担持さ
せた粒径 0.5μm 以下の微粒子約6%および水95%よ
りなる上記(A)〜(I)と同じ組成の無機系抗菌剤水
性分散液を調製した。
【0042】これらの無機系抗菌剤水性分散液を50〜
60℃に加温し、その中に別途成形して得られた樹脂製
の吊り革把持部を浸漬して約20分間維持した。ついで
吊り革把持部を浸漬したまま約100Torr以下の減圧条
件下に約20分間維持し、あるいは約2気圧の加圧下に
約20分間維持した。その後は実施例1〜9の場合と同
様に水洗、乾燥を行った。
【0043】このときの無機系抗菌剤の含浸・定着層の
厚みは数10μm まで達し、水洗を繰り返しても脱落す
ることなく、満足のいくものであった。
【0044】また上記で製造した抗菌性吊り革把持部の
抗菌試験を実施例1〜9の場合と同様にして行ったとこ
ろ、24時間後および48時間後の死滅率はいずれも1
00%であった。
【0045】実施例19〜27 抗菌剤水性分散液の安定を図るため、次の実験を行っ
た。すなわち、無機系担体微粒子に抗菌性金属を担持さ
せた粒径 0.5μm 以下の微粒子(実施例1〜9における
(A)〜(I)の微粒子)約6%、ポリオキシエチレン
アルキル系界面活性剤2〜5%、ポリオキシエチレンソ
ルビタン系界面活性剤2〜5%、ポリオキシエチレンパ
ーフロロアルキル系界面活性剤 0.1〜2%、安定剤1
%、定着剤1%、水88〜80%よりなる組成の無機系
抗菌剤水性分散液を調製し、実施例10〜18の場合と
同様にして減圧条件下または加圧条件下における含浸操
作を行った。
【0046】このときの無機系抗菌剤の含浸・定着層の
厚みは数10μm まで達し、水洗を繰り返しても脱落す
ることなく、満足のいくものであった。
【0047】また上記で製造した抗菌性吊り革把持部の
抗菌試験を実施例1〜9の場合と同様にして行ったとこ
ろ、24時間後および48時間後の死滅率はいずれも1
00%であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、吊り革の把持部など不
特定多数の人が触れる用途に用いる樹脂成形品にすぐれ
た抗菌性を付与することができる。得られた抗菌性樹脂
成形品は無味、無臭、無毒であり、安全性が高く、しか
もその効果は半永久的に持続する。
【0049】そしてこの抗菌剤樹脂成形品は、外観、感
触、寸法、機械的強度、無臭性などの点において、無処
理の樹脂成形品と何ら変るところがない。
【0050】本発明は、如何なる形状の樹脂成形品にも
利用することができ、処理数量にも制限はないので、利
用価値が高い。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】そこで上述の問題点を解決するための対策
が種々提案されている。たどえば、実開平1−634
8号公報には、吊り革の輪の表面に銅を含む部材を露出
させた吊革用輪が提案されている。実開昭62−590
28号公報には、クロル化されたフェノール系化合物を
添加配合した抗菌性浴場備品が示されている。実開平2
−13487号公報には、抗菌性を有するシートを洋式
便器の便座に差し込むようにした抗菌性便座シートが示
されている。実開平1−178876号公報には、抗菌
性ゼオライトを配合した熱可塑性樹脂よりなるシートに
熱可塑性樹脂シートを融着または接着したシートからな
る抗菌性素材で食用ナイフの表面を構成した無菌性食用
ナイフが示されている。特開平1−313531号公報
には、一価の銀を含む水溶解性ガラスの粉粒状物を混合
担持させた合成樹脂成形体(風呂場用カーテン、浴槽
等)が示されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】実施例10〜18 さらに抗菌剤担持層の厚みを高めるため次の実験を行っ
た。すなわち、無機系担体微粒子に抗菌性金属を担持さ
せた粒径0.5μm以下の微粒子約6%および水9
よりなる上記(A)〜(I)と同じ組成の無機系抗菌剤
水性分散液を調製した。
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】樹脂成形品としては、不特定多数の人が触
れる用途に使用されるものが好適に用いられる。このよ
うな樹脂成形品の例としては、樹脂板、ロッド、パイ
プ、シート、フィルム、発泡体、エラストマー、その他
各種成形物および複合成形物などで、具体的にはまず吊
り革の把持部があげられ、そのほか、電話受話器、交通
機関の乗客用イヤホーン、便座、手摺り、浴場備品、階
段の手摺り、待合室の椅子やベンチ、手洗いの蛇口のコ
ック、車のハンドルなどの内装材もあげられる。また、
マーケットでの食品包装用フィルムや食品用トレイ、壁
材のような建築材料、各種ホース類、食堂のテーブル、
エレベーターやNC機器の作動ボタン、自動キャッシャ
ーのタッチパネル、各種キーボードなども不特定多数
の人が手で触れることが多いので、このような用途にも
適用できる。さらに、家庭内にあっても、歯ブラシ、耳
栓、櫛、髭剃り用具、洗面台、流し台、まな板、玩具、
哺乳瓶、おしゃぶり、樹脂性飲料容器、ゴミ袋やゴミ
箱、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などは不特定多数が使用す
るわけではないが、このような用途に適用すれば、清潔
で衛生的に好ましい。また、病院内食器類、注射器本
体、聴診器、手術用手袋、各種トレイ、点滴瓶およびカ
テーテル、その他医療機器の樹脂部、樹脂性備品など医
療機関における院内感染を防止する用途にも適用でき
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】樹脂成形品を構成する樹脂の種類として
は、各種の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂があげられる
脂成形品が吊り革の把持部である場合は、尿素樹脂、
メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂や、メタクリル樹脂、
スチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹
脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂などの
熱可塑性樹脂があげられ、熱硬化性樹脂の場合には圧縮
成形法により、熱可塑性樹脂の場合には射出成形法によ
り吊り革の把持部を成形する。その他の用途に供される
樹脂素材としては、特に制限はないものの、熱硬化性樹
脂では、フェノール樹脂、不飽和ポリエスエル樹脂、エ
ポキシ樹脂、シリコーン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹
脂、ジアリルフタレート樹脂など、熱可塑性樹脂として
は、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、ポリ
ビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポ
リビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポ
リ酢酸ビニル樹脂、ポリ2塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ
エーテル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ
エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリアセタール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セル
ロース樹脂、酢酸・酪酸セルロース樹脂、プロピルセル
ロース樹脂、硝酸セルロース樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、各種
フッ素系樹脂、ポリウレタン樹脂など、エラストマーと
しては、天然ゴム、イソプレン系ゴム、アクリロニトリ
ル系ゴム、ブタジエン系ゴム、ブチル系ゴム、スチレン
系ゴム、クロロプレン系ゴム、アクリル系ゴム、クロル
ヒドリン系ゴム、エチレン・プロピレン・ターポリマー
系ゴム、エチレン・酢酸ビニル系ゴム、ウレタン系ゴ
ム、多硫化ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、フ
ロロシリコーンゴムなどがあげられる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂成形品の表面に無機系抗菌剤分散液の
    浸透による無機系抗菌剤担持層を形成してなる抗菌性樹
    脂成形品。
  2. 【請求項2】樹脂成形品が、不特定多数の人が触れる用
    途に使用されるものである請求項1記載の抗菌性樹脂成
    形品。
  3. 【請求項3】樹脂成形品(1) が吊り革の把持部である請
    求項2記載の抗菌性樹脂成形品。
  4. 【請求項4】無機系抗菌剤が、無機系微粒子あるいは無
    機系イオン交換体微粒子に抗菌性金属を担持させたもの
    である請求項1記載の抗菌性樹脂成形品。
  5. 【請求項5】樹脂成形品を無機系抗菌剤分散液と接触さ
    せた後、水洗および乾燥を行い、該樹脂成形品の表面に
    無機系抗菌剤分散液の浸透による無機系抗菌剤担持層を
    形成することを特徴とする抗菌性樹脂成形品の製造法。
  6. 【請求項6】無機系抗菌剤分散液における無機系抗菌剤
    の粒径が1μm 以下である請求項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】樹脂成形品と無機系抗菌剤分散液との接触
    を加温条件下に行うことを特徴とする請求項5記載の抗
    菌性樹脂成形品の製造法。
  8. 【請求項8】樹脂成形品と無機系抗菌剤分散液との接触
    を減圧条件下または加圧条件下に行うことを特徴とする
    請求項5記載の抗菌性樹脂成形品の製造法。
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ITUB20156321A1 (it) * 2015-12-04 2017-06-04 Maurizio Priori Metodo per sanificare un dispositivo medico, in particolare per il trattamento localizzato della cute

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