JPH06122018A - Alめっき溶接鋼管の製造方法 - Google Patents

Alめっき溶接鋼管の製造方法

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JPH06122018A
JPH06122018A JP4300377A JP30037792A JPH06122018A JP H06122018 A JPH06122018 A JP H06122018A JP 4300377 A JP4300377 A JP 4300377A JP 30037792 A JP30037792 A JP 30037792A JP H06122018 A JPH06122018 A JP H06122018A
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plated
welded
steel strip
layer
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JP4300377A
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Shoji Inoue
正二 井上
Katsuhiko Fukumura
勝彦 福村
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 過酷な腐食雰囲気に曝される自動車排ガス系
のフレキシブルチューブ等に適したAlめっき溶接鋼管
を製造する。 【構成】 砥粒を分散させた可圧縮性の繊維集合体を素
材とする研削工具を使用してAlめっき鋼帯の幅方向両
端部の表裏面にあるAlめっき層を研削除去した後、A
lめっき鋼帯を円筒形状に成形し、幅方向両端部を突合
せ溶接する。次いで、溶接部及びAlめっき層除去部を
ショットブラストし、Alワイヤ又はAl合金ワイヤを
用いたアーク溶射によってAl溶射層を形成する。 【効果】 Alめっき層が研削除去された部分の鋼帯
は、Al分が付着していない平滑な表面をもち、溶接時
にめっき層から溶接金属にAlが取り込まれることが防
止される。また、ショットブラストによって高密着性A
l溶射層形成に適した下地となる。そのため、Al溶射
により補修されたAlめっき溶接鋼管は、優れた加工性
及び耐食性を呈する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Alめっき又はAl合
金めっきが施された鋼帯(以下、これをAlめっき鋼帯
という)から耐食性及び加工性に優れたAlめっき溶接
鋼管を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車マフラー等の排ガス流路構成部材
には、大別して外部塩害及び内部腐食の二つの腐食形態
がある。外部塩害では、大気中の塩素イオンや冬期の融
雪塩によって構成部材の外側から腐食が進行する。内部
腐食は、排ガスの結露によって生じる凝縮水に起因した
腐食である。凝縮水に含まれている塩素イオン,硫酸イ
オン,亜硫酸イオン等の腐食性イオンは、走行中に発生
するガスで加熱されることにより濃縮され、腐食作用を
強める。腐食性の強い凝縮水が高温で構成部材に接触す
ることにより、比較的短時間に腐食が進行し、穴開き等
の損傷が発生する。
【0003】このような腐食環境に耐える材料として、
溶融Alめっき鋼板が従来から使用されている。最近で
は、エンジンの高出力化に伴って腐食環境がより苛酷に
なる傾向にあり、更に耐食性が優れた材料が要求されて
いる。たとえば、SUS304のステンレス鋼をベース
とし、Ni含有量を高めると共に、Si,Nb,Mo等
の合金元素を添加することにより、耐食性を高めた材料
がフレキシブルチューブの素材として使用されている。
【0004】高合金化によって、確かに耐食性の向上が
図られるものの、鋼材コスト、ひいては自動車の製造コ
ストが上昇する。この点、本発明者等は、Alめっき層
が優れた耐高温塩害性を呈することに着目し、素材自体
でも耐食性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼にA
lめっき又はAl−Si等のAl合金めっき(以下、こ
れをAlめっきで総称する)を施すとき、要求特性を満
足する比較的安価な構成材料からフレキシブルチューブ
用鋼管が得られることを見い出し、実開平3−9499
2号公報で紹介した。
【0005】しかし、Alめっき鋼帯を円筒形状に成形
加工した後、幅方向両端部を突合せ溶接すると、めっき
層から溶接部にAlが混入する。混入したAlは、Fe
と反応して脆いFe−Al系の硬質金属間化合物を形成
し、溶接部の靭性及び加工性を著しく低下させる。その
結果、縮径,拡径等の加工によってフレキシブルチュー
ブを製造しようとすると、溶接部に亀裂,破断等の欠陥
が多発する。
【0006】加工性に優れた溶接部を得るためには、め
っき層からAlが溶接金属に混入することを防止する必
要がある。そこで、突合せ溶接に先立ってAlめっき鋼
板の幅方向両端部にあるAlめっき層を部分的に除去し
て下地鋼を露出させ、Alめっき層のない状態で突合せ
溶接する方法が採用される。しかし、得られた鋼管の溶
接部及びその近傍にAlめっき層がなく、他の部分に比
較して耐食性が劣るため、溶接後にAl層を再度形成す
る補修作業が必要になる。
【0007】たとえば、特開平4−33781号公報で
は、ショットブラスト等で溶接部及び近傍の鋼表面を粗
面化した後、Alを溶射している。Al溶射層は、粗面
化された表面を介して下地鋼と接合するため、良好な密
着性で形成される。また、特開平4−100690号公
報では、溶射ガンを母材表面に可能な限り接近させて溶
射することにより、気孔のない緻密なAl層を形成して
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】幅方向両端部にあるA
lめっき層を予め除去して突合せ溶接するとき、溶接部
に混入するAlは大幅に軽減され、脆いFe−Al系硬
質金属間化合物の析出が抑制される。しかし、依然とし
てFe−Al系金属間化合物が析出した溶接部やフェラ
イト相が混在した溶接部が形成される場合がある。すな
わち、強力なフェライト形成元素であるAlは、溶接時
に微量でも混入すると、溶接金属に大量のフェライトを
析出させる。また、局部的にFe−Al系金属間化合物
をも析出させる。
【0009】欠陥のある溶接部は、Alめっき層の除去
が完全でないことに起因するものと考えられる。しか
し、溶接部に悪影響を及ぼさないようにAlめっき層を
除去する有効な手段は、今までのところ開発されていな
い。
【0010】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、繊維集合体を素材とした弾性研削
工具でAlめっき層を研削除去することにより、めっき
層から溶接金属にAlが混入することを防止し、加工性
に優れた溶接部をもつAlめっき溶接鋼管を得ることを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のAlめっき溶接
鋼管製造方法は、その目的を達成するため、砥粒を分散
させた可圧縮性の繊維集合体を素材とする研削工具を使
用してAlめっき鋼帯の幅方向両端部の表裏面にあるA
lめっき層を研削除去した後、前記Alめっき鋼帯を円
筒形状に成形し、前記幅方向両端部を突合せ溶接し、溶
接部及びAlめっき層除去部をショットブラストし、次
いでAlワイヤ又はAl合金ワイヤを用いたアーク溶射
によってショットブラストされた表面部分にAl層を形
成することを特徴とする。
【0012】本発明で使用される鋼帯は、要求特性を満
足する限り材質が特に制約されるものではないが、一般
に板厚0.3〜0.4mmのSUS304を代表とする
オーステナイト系ステンレス鋼等がある。この鋼帯の表
面に、たとえば溶融めっき法によりAlめっき層が形成
される。Alめっき層の目付け量は、使用雰囲気に応じ
た耐食性を得るため、片面当り30〜60g/m2 の範
囲で選定することが好ましい。
【0013】Alめっき鋼帯は、溶接に先立って、幅方
向両端部の表裏両面にあるAlめっき層が研削除去され
る。本発明においては、Alめっき層の研削除去に、砥
粒を分散させた可圧縮性の繊維集合体を素材とする研削
工具を使用している。
【0014】繊維集合体は、無機質又は有機質の繊維を
フェルト状に加工し、Al23 ,SiO2 ,SiC等
の砥粒を分散させたものである。繊維集合体を素材とす
る研削工具の圧縮性は、繊維の充填密度,結合材の種類
等によって高い自由度で調整することができる。他方、
Alめっきオーステナイトステンレス鋼帯の幅方向両端
部からAlめっき層を除去する場合、Alめっき層の除
去幅は溶接に悪影響を及ぼす範囲に設定される。具体的
には、Alめっき層の除去幅は、幅方向両端部から5m
m程度の範囲である。このような幅狭のAlめっき層を
除去するためには、0.7〜1.5g/cm3 の充填密
度でポリビニルアルコールを繊維状に成形したものが好
適である。
【0015】Alめっき層の除去に際し、繊維集合体を
円形盤状に成形して研削工具とし、Alめっき鋼帯の搬
送方向と平行に研削工具の回転軸を保持する。そして、
Alめっき鋼帯の幅方向両端部における表裏両面4か所
に研削工具を回転可能に押し当てる。このようにAlめ
っき鋼帯の長手方向と直角にAlめっき層を研削した場
合、研削部がRz 値5μm以下の表面粗さをもつ平滑な
表面となり、しかも研削目が鋼管軸方向に直交する。し
たがって、溶接後の鋼管をバルジ加工等によってフレキ
シブルチューブに成形するとき、加工性が向上する。
【0016】Alめっき層を研削除去するとき、Alめ
っき層だけでなく鋼帯の素地までをも研削し、研削後の
Alめっき鋼帯の幅方向両端部が肉厚不足を生じること
がある。肉厚不足は、Alめっき鋼帯を円筒形状に成形
して幅方向両端部を突合せ溶接する際、溶接不良を発生
させる原因となり易い。また、得られた溶接鋼管をフレ
キシブルチューブに加工する際にも、加工割れが発生し
易くなる。
【0017】幅方向両端部に生じ易い肉厚不足は、研削
工具を駆動させるモータの負荷電流を計測し、その負荷
電流によって研削条件を制御することにより防止するこ
とができる。すなわち、素地の鋼がAlめっき層に比較
して硬質であることから、Alめっき層のみが研削され
ている状態と素地の鋼までもが研削されている状態とで
は、モータの負荷電流が大きく異なる。
【0018】たとえば、板厚0.4mmのAlめっきS
US304ステンレス鋼帯を5m/分の速度で送り、
2.2KWの三相交流モータによって直径300mm及
び幅25mmの研削工具を750r.p.m.で回転さ
せ、Alめっきステンレス鋼帯を研削した。研削される
Alめっき層は、Alめっきステンレス鋼帯の幅方向両
端部から5mmの範囲に設定した。この条件下で、Al
めっき層のみが除去されているとき、モータの負荷電流
は0.9±0.1Aであった。他方、下地の鋼も研削さ
れている状況では、モータの負荷電流が2.1±0.3
Aまで上昇した。このことから、Alめっき層のみが研
削されているのか、或いは鋼素地も研削されているのか
は、モータの負荷電流から明確に判別される。そこで、
このモータ負荷電流の差を利用し、Alめっき層のみが
除去されるように研削工具の押圧力を制御する。
【0019】繊維集合体を素材とする研削工具は、鋼帯
表面から剥離されたAlによる目詰りを起こすことな
く、一定した条件下での研削を可能にする。また、適度
の弾性をもっており、鋼素材を研削することなくAlめ
っき層のみが効率よく除去される。しかも、Alめっき
層が除去された下地鋼の表面は、剥離されたAl粉等の
付着がなく、滑らかな表面状態になっている。
【0020】Alめっき鋼板は、幅方向両端部のAlめ
っき層が研削除去された後、円筒形状に成形される。円
筒形状への成形には、従来のロール成形法を採用するこ
ともできる。しかし、フレキシブルチューブでは一般に
肉厚0.4mm以下の薄い素材が使用されている。この
ような薄肉材料を円筒形状に成形するとき、多数のタン
デムに配置されたカリバー付きの成形ロールを備えたロ
ール成形機を使用すると、成形過程における弾性変形に
よる影響やエッジストレッチに起因した縁波等の欠陥が
発生し易く、開先形状が変動して溶接条件を不安定に
し、製造された溶接鋼管の真円度も劣化し易い。しか
も、多数のスタンドやロールが必要とされることから設
備的な負担が大きくなるばかりか、径の異なる溶接鋼管
を製造しようとするとき成形ロールの組替えに長時間を
要する。
【0021】この点、本出願人が開発した曲げ歪みで鋼
帯を円筒状に弾性変形させるロールレスフォーミング法
によるとき、開先形状が安定し、高い真円度の溶接鋼管
が得られる。
【0022】ロールレスフォーミング法においては、概
略を図1及び図2に示した設備が使用される。Alめっ
き鋼帯1は、アンコイラ2から巻き出され、ガイドロー
ラ3を経て予変形部4に送られる。予変形部4は、小径
の曲げロール4a及び大径のサポートロール4bを備え
ており、サポートロール4bの周面にポリウレタン等の
弾性ライニング4cが施されている。Alめっき鋼帯1
は、成形され円筒体の内面側が曲げロール4aに接触す
るように、曲げロール4aとサポートロール4bとの間
に送り込まれる。
【0023】Alめっき鋼帯1は、曲げロール4aによ
り塑性曲げを受けるため、予変形部4を通過した後で幅
方向に一様な曲げ及び曲げ戻しによる曲げ応力が残留す
る。或いは、図2に示すように、一対の大径ロール4
d,4eの間に曲げロール4fを配置し、曲げロール4
fを周回して走行するAlめっき鋼帯1に曲げ応力を付
与することもある。
【0024】予変形部4を通過したAlめっき鋼帯1
は、下流側の保形ロール5,スクイズロール6等によっ
て長手方向の変形が拘束されているため、残留曲げ応力
によって円筒形状に弾性変形する。変形したAlめっき
鋼帯1の幅方向両端部を突き合せ、スクイズロール6で
拘束しながら溶接トーチ7で溶接され、送りロール8で
溶接鋼管9として下流側に搬送される。
【0025】この方式においては、従来の成形ロールに
相当するものがなく、曲げロール4a,4fだけがAl
めっき鋼帯1の表面を摺動する。したがって、Alめっ
き層の損傷が従来のロール成形法に比較して著しく軽減
され、溶接鋼管9の耐食性が向上する。また、Alめっ
き鋼帯1がロールと接触する機会が少ないので、鋼帯表
面に付着残留しているAl粉がロール表面に一旦移し取
られ、後続する鋼帯の表面部分にロールからAl粉が再
度移行することが少なくなる。その結果、溶接金属に対
するAl粉の混入が一層確実に防止される。
【0026】次いで、得られた溶接鋼管の溶接部及びA
lめっき除去部にAlをアーク溶射する。フレキシブル
チューブに成形加工される際、溶接部も高度の加工を受
けることから、溶射によって形成されるAl層の密着性
及び加工性も重要である。そこで、本発明者等は、密着
性及び加工性に及ぼす前処理方法及び溶射皮膜の影響を
調査した。
【0027】前処理としては、ショットブラストで鋼表
面を粗面化する。粗面化される鋼表面は、繊維集合体を
素材とする研削工具によって研削された滑らかな表面状
態にある。そのため、ショットが鋼表面に一様な密度分
布で衝突し、微細な凹凸が均一に形成される。したがっ
て、粗面化された鋼表面に形成される溶射Al層は、局
部的な密着不良を起こすことがなく、優れた密着性で均
一に付着する。
【0028】溶射皮膜は、母材部と同等の耐食性を得る
ため、Alめっき層の厚みと同じ又はそれ以上の厚みが
必要である。しかし、50μmを超える厚みでは、加工
後に溶射皮膜を貫通する割れが発生する傾向がみられ
る。
【0029】
【作 用】本発明においては、砥粒を分散させた可圧縮
性の繊維集合体を素材とする研削工具によって鋼表面か
らAlめっき層を研削除去しているので、Alめっき層
の除去が完全に行われると共に、研削後の鋼表面が平滑
になる。また、研削砥石を使用する場合のように鋼帯の
表面温度を過度に上昇させることがなく、剥離したAl
粉が鋼表面に付着残留することが防止される。したがっ
て、溶接金属に対するAlの混入が確実に防止され健全
な溶接部が得られると共に、後続工程でショットブラス
トによる粗面化が均一に行われ、溶接後に形成される溶
射皮膜の密着性も向上する。
【0030】
【実施例】Alめっき鋼帯として、板厚0.4mm及び
板幅160.0mmのSUS304ステンレス鋼帯に片
面当り40g/m2 の目付け量でAl−9%Si合金め
っきしたものを使用した。
【0031】Alめっき鋼帯の幅方向両端部から5mm
の範囲で、表裏両面にあるAlめっき層を研削除去し
た。本発明に従った研削工具としては、微細なアルミナ
粒子とポリビニルアルコールとを混合し、紡糸技術によ
り繊維状に形成したものを使用した。研削工具の回転軸
をAlめっき鋼帯の搬送方向と平行に維持し、Alめっ
き鋼帯の幅方向両端部に繊維の先端部を押し付けた状態
で600r.p.mの速度で研削工具を回転させた。こ
のとき、研削量を一定にするため、モータの負荷電流を
0.9〜1.1Aの範囲で調節した。また、研削工具の
押圧力は、5kgf/mm2 に一定値に維持した。
【0032】研削後の板厚は、0.36mmで、鋼帯の
長手方向に一定していた。未研削のAlめっき層や剥離
されたAl粉の残留等は、研削後の鋼表面に検出されな
かった。また、鋼表面は、表面粗度がRz 5μm以下の
平滑な表面状態であった。比較用の研削工具として、レ
ジノイドを結合材としてアルミナ砥粒及びフェノール樹
脂を成形した研削砥石を使用した。この研削砥石によっ
て同様にAlめっき鋼帯の幅方向両端部を研削したとこ
ろ、除去されたAlめっき層に起因するAl粉が鋼表面
に多数付着していた。また、一部に未研削のAlめっき
層がみられた。しかも、露出した鋼は、表面粗度がRz
20μmと粗い表面状態で、肉厚が0.3mm以下に減
少している部分もあった。
【0033】幅方向両端部のAlめっき層が研削除去さ
れたAlめっき鋼帯を、図1に示したロールレスフォー
ミング設備で直径50.8mmの管状に成形した。次い
で、幅方向両端部を突合せ溶接し、5m/分の速度で溶
接鋼管を製造した。溶接条件は、溶接電流を150Aと
し、シールドガスとして7体積%の水素を含むアルゴン
ガスを使用した。
【0034】溶接鋼管の溶接部及びAlめっき層除去部
に、粒度#100のアランダムをエアー圧力0.25P
aで吹き付けた。このショットブラストにより、溶接部
及びAlめっき層除去部は、微細な凹凸が均一に形成さ
れ、表面粗度Rz 15μmで粗面化された。他方、研削
砥石を使用してAlめっき層を除去したAlめっき鋼帯
から得られた溶接鋼管の溶接部及びAlめっき層除去部
を同一条件下でショットブラストしたところ、不均一な
粗面化状態となり、砥石研削によって生じた凹凸の残留
が一部に検出された。
【0035】ブラスト処理した溶接部及びAlめっき層
除去部に、99.7%以上のAlを含有するワイヤを用
いてアーク溶射し、厚み30μmのAl溶射層を形成し
た。溶射は、鋼表面から100mmの高さに設定した溶
射ガンを6m/分の速度で移動させながら行った。
【0036】製造された溶接鋼管について、加工性及び
耐高温塩害性を調査した。加工性は、溶接鋼管を加工す
る際に割れが発生し、フレキシブルチューブに加工でき
なかったものの割合で表した。また、加工後のAl溶射
層を観察し、クラックの発生状況を調査した。クラック
をカウントし、単位長さ当りの個数でAl溶射層の密着
性を評価した。なお、加工には液圧バルジ法を採用し、
山部の鋼管直径を71mm,一つの山の幅を8mmとす
るフレキシブルチューブに成形した。
【0037】耐高温塩害性は、加工されたフレキシブル
チューブから長さ100mmの試験片を切り出し、飽和
食塩水中に5分浸漬し、650℃に加熱した炉中で2時
間加熱し、その後放冷するサイクルを1サイクルとし、
これを10サイクル繰り返した後、母材部及び溶接部の
肉厚を測定し、腐食前後の肉厚減少率で評価した。
【0038】試験結果を示す表1から明らかなように、
本発明に従ったアルミニウムめっき鋼管は、母材部及び
溶接部共に優れた加工性及び耐高温塩害性を示してい
る。
【0039】これに対し、研削砥石で幅方向両端部のA
lめっき層を研削除去した比較例では、母材部の加工性
及び耐高温塩害性は本発明例と同レベルであるが、溶接
部の加工性及び耐高温塩害性にバラツキがみられ、本発
明例に比較して大きく劣るものもあった。これは、砥石
研磨によってAlめっき層を研削除去した後の母材が粗
い表面状態となっていること,局部的に肉厚不足を生じ
ていること,溶接金属へのAlの巻き込みがあること等
に原因があるものと推察される。実際に割れ発生箇所を
検査したところ、母材表面にある大きな凹凸を起点とす
る割れが散見された。また、割れに至らないまでも。A
l溶射層に微細なクラックがみられた。このクラックを
介して腐食が進行することから、比較例では耐高温塩害
性が低くなっているものと考えられる。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、砥粒を分散させた可圧縮性の繊維集合体を素材とす
る研削工具を使用してAlめっき鋼帯の幅方向両端部の
表裏面にあるAlめっき層を研削除去している。Alめ
っき層が除去された鋼表面は平滑であり、剥離したAl
粉等の付着もない。この幅方向両端部を突合せ溶接する
とき、Alめっき層に起因するAlが溶接部に混入する
ことがなく、健全な溶接部が得られる。また、溶接後に
アーク溶射で補修する際、下地鋼に対する密着性が優れ
たAl溶射層が形成される。このようにして得られたA
lめっき溶接鋼管は、加工性及び耐食性に優れ、過酷な
使用雰囲気に曝される自動車排気系のフレキシブルチュ
ーブ等として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ロールレスホーミング法によって溶接鋼管を
製造している状態
【図2】 ロールレスホーミング法における他のロール
構成
【符号の説明】
1 Alめっき鋼帯 2 アンコイラ 3
ガイドローラ 4 予変形部 4a,4f 曲げロール 5
保形ロール 6 スクイズロール 7 溶接トーチ 8
送りロール 9 溶接鋼管

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒を分散させた可圧縮性の繊維集合体
    を素材とする研削工具を使用してAlめっき鋼帯の幅方
    向両端部の表裏面にあるAlめっき層を研削除去した
    後、前記Alめっき鋼帯を円筒形状に成形し、前記幅方
    向両端部を突合せ溶接し、溶接部及びAlめっき層部を
    ショットブラストし、次いでAlワイヤ又はAl合金ワ
    イヤを用いたアーク溶射によってショットブラストされ
    た表面部分にAl層を形成することを特徴とするAlめ
    っき溶接鋼管の製造方法。
JP4300377A 1992-10-13 1992-10-13 Alめっき溶接鋼管の製造方法 Withdrawn JPH06122018A (ja)

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