JP2002069605A - 鉄系基材の硬質化表面処理方法 - Google Patents

鉄系基材の硬質化表面処理方法

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JP2002069605A
JP2002069605A JP2000254998A JP2000254998A JP2002069605A JP 2002069605 A JP2002069605 A JP 2002069605A JP 2000254998 A JP2000254998 A JP 2000254998A JP 2000254998 A JP2000254998 A JP 2000254998A JP 2002069605 A JP2002069605 A JP 2002069605A
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hardening
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Toyohiko Ichikawa
豊彦 市川
Koji Takada
幸路 高田
Norishige Sawada
徳重 澤田
Kazutoshi Tsuge
和俊 柘植
Toshio Matsui
敏男 松井
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NIPPON YUTEKU KK
TEIKOKU CHROME KK
Toyota Motor Corp
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NIPPON YUTEKU KK
TEIKOKU CHROME KK
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗面処理をしなくても、密着性の良好な且つ
薄肉の硬質の溶射皮膜を鉄系基材の素地に形成すること
ができる鉄系基材の硬質化表面処理方法を提供するこ
と。 【解決手段】 鉄系基材の素地に、粗面処理を経ずに、
WC−Co合金の溶射材料を用いて溶射皮膜を形成する
硬質化表面処理方法。溶射皮膜の形成を、前記WC−C
o合金としてCo含量13%以上を用いて、液体燃料燃
焼型の高速フレーム溶射(HVOF)により行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、鉄系基材に、粗面化処理を経ず
に、WC−Co合金の溶射材料を用いて溶射皮膜を形成
する硬質化表面処理方法に関する。特に、高精度で且つ
三次元形状を有して均一研摩(研削)が困難なプレス金
型の硬質化表面処理に好適な表面処理方法である。
【0002】ここでは、自動車車体の成型用プレス金型
に耐摩耗性を付与する場合を、主として例にとり説明す
るがこれに限られるものではない。例えば、他の機械部
品等のプレス金型、更には、通常の、鋳造型、樹脂成形
用金型、更には、耐摩耗性が要求される種々の鉄系機械
部品に硬質溶射膜を形成する場合にも適用可能である。
【0003】なお、本明細書で合金組成を示す「%」
は、特に断らない限り、「質量%」である。
【0004】
【背景技術】自動車車体の成形用プレス金型の装着態様
一例を図1に示す。
【0005】プレス金型1は、上盤12に取り付け固定
されるダイス14と、下盤16に取り付け固定されるポ
ンチ18と、ポンチ18の外周部に配設され下盤16に
保持されるクッション(突き出しブロック)20とから
なる。突き出しブロック20には成形後の板金ワーク2
2を突き出すための突き出しピン24が一体化されてい
る。
【0006】そして、上記自動車車体の成型用プレス金
型(ダイス、ポンチ、クッション等)は、通常、ねずみ
鋳鉄品(FC)、球状黒鉛鋳鉄品(FCD)が主流であ
った。
【0007】そして、プレス金型の耐摩耗性を向上さ
せ、長寿命化を図るために、プレス金型表面に硬質クロ
ムめっきを施して硬質化表面処理が行なわれてきた。
【0008】硬質化表面処理が必要な部位は、ダイス1
4のしわ押え面(クッション20と接合する面)14
a、クッション20のしわ押え面(ダイス14と接合す
る面)20a等、摩耗の激しい部位である(図1参
照)。
【0009】しかし、最近、六価クロムの環境問題が深
刻となったため、硬質クロムめっきの代替技術が要望さ
れるようになってきている。
【0010】そこで、硬質クロムメッキの代替技術とし
て、特開平8−300067号公報において提案されて
いる長尺プレス金型(実施例:CrMo鋼製)における
硬質溶射膜の技術を使用することが考えられる。
【0011】当該技術は、フレーム溶射(Flame sprayi
ng) の1種である高速フレーム溶射(HVOF:High V
elocity Oxygen Fuel)を用いて、炭化タングステン系
(WC、W2 C、WC−Co)等の硬質溶射膜を素地
(長尺プレス金型の摩耗発生面)に形成する方法であ
る。
【0012】ここで、フレーム溶射とは、「酸素と燃焼
燃料との燃焼炎を用いて溶射材料を加熱し、溶融または
それに近い状態にして素地に吹き付けて皮膜を形成する
溶射。」をいう。そして、HVOF溶射は、「フレーム
溶射法の一種で、燃焼室の圧力を高めることによって、
連続燃焼炎でありながら爆発溶射炎に匹敵する高速火炎
を発生させるもの。」をいう(JIS H 8200 「溶射用
語」参照)。
【0013】そして、前記公報において、HVOF溶射
には、液体燃料燃焼法と気体燃料燃焼法がある旨記載さ
れ、さらに、液体燃料燃焼法(液体燃焼式溶射法)で
は、「溶射材を完全に溶融した状態とせず、せいぜい軟
化した状態でこれに高加速エネルギーを与えて射出し被
加工材料面に溶射材の皮膜を盛り重ねる状態にするの
で、形成された皮膜は、収縮応力が起こらず逆に圧縮応
力が発生し、この圧縮応力により圧縮皮膜が生成す
る。」旨記載されている(
【0012】
【0013】参照)。
【0014】「したがって、素地に硬質溶射膜を形成す
るに際して、液体燃料燃焼式のHVOFを用いると、基
材の処理部分以外は熱的な影響を受けることなく、基材
全体の熱による変形を抑制できるとともに、比較的肉厚
の健全溶射皮膜を密着性(付着性)良く得ることができ
る。」旨記載されている(
【0017】)。
【0015】そして、フレーム溶射においては、通常、
皮膜の密着性を向上させるために、、前者処理としてブ
ラスト処理(abrasive blasting)等の粗面処理(surfac
ingroughing)を行なうことが、当業者常識であった。
溶射皮膜の素地との密着性は、投錨効果(anchoring ef
fect)「溶射粒子が素地の粗面に機械的にかみ合うこと
により皮膜と素地の密着度を向上させる働き。」による
とされているためである。(JIS 同参照) しかし、上記公報に記載されたHVOFにより硬質表面
処理をしたプレス金型は、精度が要求されるプレス金型
に適用することはできない。
【0016】すなわち、溶射皮膜の厚みは、少なくとも
0.1mm(100μm)以上必要とされた(同公報
【0020】参照)。密着性向上のために粗面処理され
た凹凸状の素地上に溶射皮膜を形成した場合、該溶射皮
膜の膜厚が薄いと該溶射皮膜の表面も凹凸状となり耐摩
耗性の見地から望ましくないためである。
【0017】他方、溶射皮膜が厚いことは、プレス成形
隙間のバラツキに影響を与え易く望ましくない。
【0018】ちなみに、従来の高精度プレス金型の表面
処理においては、硬質クロムめっきの膜厚は、金型精度
を阻害しない範囲の10〜60μmとされていた。ま
た、硬質クロムめっきを行なう金型の表面は充分平滑に
され、粗面処理は原則的に禁じられていた。
【0019】すなわち、高速フレーム溶射法を硬質クロ
ムめっきの代替技術としてプレス金型に適用するための
課題としては、硬質クロムめっきの処理と同様、金型表
面を粗面化することなく、60μm以下の溶射皮膜を形
成させ、かつその皮膜が硬質クロムめっきと同等以上の
硬度、耐摩耗性、密着性等を持つものであることが要求
される。
【0020】この要求は、昨今、自動車の車体板金の薄
肉化及び流線化(曲面部分の増大)にともない、従来に
もましてプレス型面間の隙間に精度が要求されるように
なってきたため、必然的である。精度が低いと、プレス
にかじりが発生したり、車体板金(プレス成形体)に皺
(しわ)が発生するためである。
【0021】なお、厚肉に形成しておいて、上記60μ
m以下にグラインダー等により機械研削して薄膜化する
ことも考えられるが、自動車車体板金の如く、三次元構
造を有しているものでは、均一な研削が困難で、熟練と
工数を要して実際的ではない。
【0022】本発明は、上記にかんがみて、粗面処理を
しなくても、密着性の良好な且つ薄肉の硬質の溶射皮膜
を鉄系基材の素地に形成することができる鉄系基材の硬
質化表面処理方法を提供することを目的とする。
【0023】
【発明の開示】本発明者らは上記の課題を解決するため
に、数多く且つ広範囲な実験を繰り返した結果、プレス
金型の表面処理に適用可能な燃料、溶射材料等の組み合
わせを発見し、従来の知見では不可能と考えられていた
プレス金型への高速フレーム溶射技術の実用化に成功し
下記構成の本発明を完成した。
【0024】鉄系基材の素地に、粗面処理を経ずに、W
C−Co合金の溶射材料を用いて溶射皮膜を形成する硬
質化表面処理方法であって、前記溶射皮膜の形成を、W
C−Co合金としてCo含量13〜22%を用いて、液
体燃料燃焼型の高速フレーム溶射HVOFにより行うこ
とを特徴とする。
【0025】このように、WC−Co合金を特定組成と
することにより、粗面処理をしなくても、鉄系素地に対
する密着性が良好な薄膜を形成することが可能となる
(後述の実験例1・2参照)。
【0026】なお、特開平8−71705号公報におい
て、銅系基材(連続鋳造用鋳型)の素地に対して粗面化
処理を経ずに密着性の良好な硬質溶射膜を形成すること
が開示されている。しかし、鉄系基材と銅系基材とは、
同一に論じることができない。すなわち、鉄と銅とは、
融点、線膨張係数、熱伝導率、等が下記の如く大幅に異
なるためである(国立天文台編「理科年表平成12年
版」(平11−11−30)丸善、p.469・475・479 ) 鉄(Fe)…融点:1536℃、線膨張率(800k) :16.2、
熱伝導率 (300 ℃) (W ・m-1 ・K-1 ):56 銅(Cu)…融点:1084℃、線膨張率(800k) :20.3、
熱伝導率 (300 ℃) (W ・m-1 ・K-1 ):381 さらに、同公報において、好適な溶射材として挙げられ
ているのは、本発明の範囲外であるCo12%含有のW
C−Co合金に過ぎない。
【0027】また、特開平10−121220号公報に
おいて、鉄系基材(スチール製金型本体)の素地にWC
−Co合金に対して密着性の良好な硬質溶射膜を形成す
る技術が開示されている。しかし、当該公報においては
明示されていないが、前述の如く粗面処理していると推
定される。このことは、本発明の範囲外であるCo12
%含有のWC−Co合金の硬質溶射膜でも良好な密着性
を示していることから支持される。
【0028】そして、上記において、WC−Co合金と
してCo含量約15〜20%を用いることが、溶射皮膜
の鉄系基材素地に対する密着性がより確実に担保される
とともに、硬さも確保し易くて望ましい。すなわち、C
o含量が多くなるにしたがって、硬さも低下するためで
ある。
【0029】ここで、溶射皮膜の肉厚は、60μm以
下、望ましくは約10〜50μmとすることが、高精度
のクリアランスが要求される自動車用プレス金型等に、
本発明を適用可能となる。10μm未満では、素地に対
する溶射皮膜による耐摩耗性の付与が困難となる。
【0030】上記各構成の本発明は、鋳鉄製のプレス金
型本体に適用することが、本発明の効果がより顕著とな
り望ましい。
【0031】さらに、溶射皮膜は、平滑化を目的として
研摩仕上げすることが望ましい。
【0032】上記本発明の効果をまとめると、下記の如
くになる。
【0033】本発明によるとプレス金型の表面をサンド
ブラスト等により粗面化することなく、硬質クロムめっ
きと同等の密着性を持つ皮膜を精度よく形成させること
が可能となる。
【0034】また、ダイヤモンド研摩材により比較的容
易に研摩することが可能で、その硬度は硬質クロムめっ
きのHv900前後と比較してHv1200〜1300
と高く、耐摩耗性に優れた皮膜が得られるのでプレス金
型の長寿命化に寄与することができる。
【0035】さらに、硬質クロムめっきの如く6価クロ
ムに起因する環境汚染の心配がないプレス金型の表面処
理方法を提供するもので、工業上有意義な発明である。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態をプレ
ス金型を例にとり説明する。
【0037】従来と同様、ポンチ、ダイス及びクッショ
ンの各ブロックは、通常、鋳造品で製造する。鋳造に使
用する鋳鉄としては、汎用のねずみ鋳鉄(FC)、球状
黒鉛鋳鉄(FCD)を使用可能であり、例えば、FC2
50、FCD540等を好適に使用可能である。FCと
FCDで強度が異なるものを使用する(250及び54
0はそれぞれ最低引張強さ(N/mm2) を示す。)理由
は、FCDの方が延性(ductility) の富み、硬さが相対
的に低いためである。ちなみに、FC250は241H
B以下であり、FCD500は150〜230HBであ
る(日本規格協会編「JISハンドブック鉄鋼I−20
00」(2000-4-24) 日本規格協会、p.939・944 参
照)。ここで、「HB」はブリネル硬さ(JIS Z 2243に
準ずる) を意味する。
【0038】したがって、本発明者らが確認した範囲で
は、100〜300HB、望ましくは150〜250H
Bの硬さを備えた金属系素地が、溶射皮膜の密着性が得
易い。当然、これらの硬さの範囲にある鋳鉄品、さらに
は、鋼板等にも本発明は適用可能である。
【0039】そして、本発明は前述の如く、ダイス14
のしわ押え面(クッション20と接合する面)14a、
クッション20のしわ押え面(ダイス14と接合する
面)20aに対して、粗面処理を経ずに、WC−Co合
金の溶射材料を用いて溶射皮膜を形成する。
【0040】粗面処理を行なわない理由は、下記の如く
である。
【0041】プレス金型にサンドブラスト等の粗面処理
を行うと、その上層に形成される溶射皮膜も粗面化され
た状態となるため、プレス金型の精度に問題が生じる。
【0042】ここで、粗面処理は行なわないが、鋳物品
に必要な鋳物砂落し、さらには、素地調整(汚れ落し、
脱脂、切削仕上げ等)等の前処理は当然行なう。
【0043】そして溶射皮膜の形成を、前記WC−Co
合金としてCo含量13%以上(望ましくは約15〜2
0%、さらに望ましくは17%前後)を用いて、液体燃
料燃焼型の高速フレーム溶射(HVOF)により行う。
【0044】Co含量13%未満では、後述の実験例で
支持する如く(実験例1の表1及び実験例2の表2参
照)、実施例プレス金型用鋳造品(鉄系素材)に対する
密着性が得難い。Co含量の上限は、特に限定されない
が、溶射皮膜として硬質皮膜を形成する見地から、せい
ぜいCo含量30%、望ましくはCo含量22%とす
る。
【0045】そして、液体燃料燃焼型のHVOFとは、
気体燃料燃焼型のHVOFに対するもので、前述のよう
な特徴を有するものである。
【0046】すなわち、気体燃料燃焼型に比して、燃焼
室の圧力を後者に比して相対的に高く設定できて火炎の
高速化が容易で、且つ、火炎温度も後者に比して相対的
に低くい。このため、溶射材が完全に溶融せずに高速で
噴射でき密着強度が確保し易く、緻密な溶射膜を得易
い。
【0047】なお、溶射前の素地の平均粗さRaは、
0.1〜0.3μm程度であることが、溶射皮膜表面も
平滑化され易く、金型精度の向上につながる。
【0048】そして、本実施形態では、精度が要求され
るプレス金型であるので、溶射皮膜の膜厚は10〜60
μm、望ましくは20〜55μm、さらに望ましくは3
0〜50μmとする。10μm以下では耐摩耗性を確保
し難く、特に、後述の平滑化研摩処理における研摩代を
考慮した場合、絶対的である。60μmを越えると、金
型精度を出すために薄肉化するためのグラインダー等に
よる機械研削加工が必要となり、従来の問題点「研削加
工の工数増大と熟練の必要性」の問題を解決し難くな
る。さらには、過剰品質となり、硬質材料の無駄づかい
となる。
【0049】溶射材の形態は、通常、粉末状とする。粉
末の平均粒径は、10〜100μm、望ましくは20〜
60μm、さらに望ましくは30〜40μmとする。平
均粒径が小さすぎると、完全溶融してしまうおそれがあ
り、前述の如く、溶射皮膜が気体燃料噴射と同様なもの
となるおそれがある。平均粒径が大き過ぎると、溶射に
際して、扁平化しても60μm以下の膜厚が得難くなる
とともに、膜厚を60μm以下に設定した場合、均一膜
厚を得難くなる。
【0050】そして、溶射施工における溶射条件は、例
えば、下記の如くとする(括弧内は実験例における溶射
条件)。
【0051】溶射距離:350〜450mm(400mm) 燃焼圧:0.5〜1.5MPa(1.0MPa) ガス速度:1000〜3000m/s (2200m/s ) 粒子速度:500〜1500m/s (1150m/s ) 燃料:ケロシン(灯油)または軽油(ケロシン) 燃料供給流速:15〜30L/h (22.7L/h) 酸素供給流速:40〜70m3 /h(56.6m3
h) パウダー供給:40〜120g/min (70g/min ) 燃焼温度:2000〜4000℃(3090℃) そして、上記皮膜は、平滑化のための表面研摩がダイヤ
モンドツール等による仕上加工がされ、該仕上加工終了
後には、10〜30μmの厚みの溶射皮膜とされる。
【0052】
【実験例】以下、本発明の効果を確認するために、実施
例及び比較例について行った実験例について詳述する。
【0053】使用した鉄系基材は、それぞれ、下記のも
のをテストピース用素材として使用した。
【0054】ねずみ鋳鉄品:FC250製 球状黒鉛鋳鉄品:FCD540製 冷間圧延鋼板:SPCC−1製 そして、密着性試験は、一般に電気めっき及び化学めっ
きの密着性試験として用いられる方法に準じて行なっ
た。具体的には、鋳鉄品については、たがね打込による
方法に基づいて、冷間圧延鋼板については、素地が切断
されるまで180°曲げ試験を繰り返す方法に基づいて
行なった。
【0055】判定は、溶射皮膜(めっき)のはく離又は
膨れが明らかなときは「不合格(密着不良)」と、はく
離または膨れは明らかではないがクラックが発生したと
きは「クラック」と、それ以外を「合格」とした。
【0056】<実験例1>高速フレーム溶射装置として
液体燃料(ケロシン)を使用するプラックスエアータフ
ァ(PRAXAIR-TAFA) 社製「 JP-5000」を使用し、溶射材
料として表1に示す各溶射材料のパウダーを使用して前
記各鉄系基材の素地に対して溶射皮膜を形成(施工)し
た。
【0057】溶射条件は前記の括弧内のものとし、溶射
膜厚は約50μmとなるように2パスで形成した。
【0058】上記で得た各実施例・比較例の溶射皮膜に
ついて前記密着性試験を行ない、それらの試験結果を表
1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1に示す結果から、本発明の要件を満た
す各実施例は、いずれも密着性が良好であることが判
る。これに対して、本発明の要件(WC−Co合金のC
o含量:13〜22%)を満たさない各比較例は、密着
不良ないしクラック発生(Co含量12%)であった。
【0061】<実験例2>上記の実験例1と同じ溶射材
料を用い、高速フレーム溶射装置として気体燃料を用い
るスルザーメテコ社製 DJ-2600を使用して実験例1と同
様の鉄系基材に約50μmとなるように2パスにより溶
射皮膜を形成した。
【0062】このときの溶射条件は、下記のものとし
た。
【0063】溶射距離:400mm 燃焼圧:0.4MPa ガス速度:1300m/s 粒子速度:640m/s 燃料:プロピレン 燃料供給流速:4.6m3 /h 酸素供給流速:15.1m3 /h パウダー供給:30g/min 燃焼温度:2760℃ 上記で得た各比較例の溶射皮膜について前記密着性試験
を行ない、それらの試験結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】表2に示す結果から、使用溶射材が本発明
の要件(WC−Co合金のCo含量:13〜22%)を
満たさない場合は勿論、満たす場合であっても(比較例
17〜22)全て溶射皮膜が剥離してしまい、十分な密
着性を得ることはできないことが判る。
【0066】上記表1・2から、鉄系基材の素地をサン
ドブラスト等で粗面化しないで密着性のある溶射皮膜を
与える条件は、液体燃料燃焼型のHVOFを用いて、且
つ炭化タングステン系焼結合金でCo含有量が15〜2
0%の溶射材料を用いたときのみであり、例外的に密着
性の良好な溶射皮膜が得られることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理方法を施工可能なプレス金型
の概略断面図。
【符号の説明】
14 ダイス(鉄系基材) 14a ダイスのしわ押え面 18 ポンチ(鉄系基材) 20 クッション(突き出しブロック) 20a クッションのしわ押え面 22 板金ワーク
フロントページの続き (72)発明者 市川 豊彦 愛知県名古屋市熱田区沢上二丁目8番9号 帝国クロム株式会社内 (72)発明者 高田 幸路 愛知県名古屋市熱田区沢上二丁目8番9号 帝国クロム株式会社内 (72)発明者 澤田 徳重 愛知県名古屋市熱田区沢上二丁目8番9号 帝国クロム株式会社内 (72)発明者 柘植 和俊 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松井 敏男 神奈川県川崎市幸区小倉1224 日本ユテク 株式会社内 Fターム(参考) 4K031 AA01 AA03 AB02 AB08 CB14 CB45 DA01 FA04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系基材の素地に、粗面処理を経ずに、
    WC−Co合金の溶射材料を用いて溶射皮膜を形成する
    硬質化表面処理方法であって、 前記溶射皮膜の形成を、前記WC−Co合金としてCo
    含量13%以上を用いて、液体燃料燃焼型の高速フレー
    ム溶射(HVOF)により行うことを特徴とする鉄系基
    材の硬質化表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記WC−Co合金としてCo含量約1
    5〜20%を用いることを特徴とする請求項1記載の鉄
    系基材の硬質化表面処理方法。
  3. 【請求項3】 前記溶射皮膜の肉厚が60μm以下であ
    ることを特徴とする請求項2記載の鉄系基材の硬質化表
    面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記溶射皮膜の肉厚が10〜50μmで
    あることを特徴とする請求項3記載の鉄系基材の硬質化
    表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記溶射皮膜の肉厚が60μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の鉄系基材の硬質化表
    面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記溶射皮膜の肉厚が10〜50μmで
    あることを特徴とする請求項5記載の鉄系基材の硬質化
    表面処理方法。
  7. 【請求項7】 前記鉄系基材が鋳鉄製のプレス金型本体
    であることを特徴とする請求項3、4、5又は6記載の
    鉄系基材の硬質化表面処理方法。
  8. 【請求項8】 さらに、前記溶射皮膜に対して平滑化の
    ための研摩仕上げを行なうことを特徴とする請求項7記
    載の鉄系基材の硬質化表面処理方法。
  9. 【請求項9】 鋳鉄製のプレス金型本体が、請求項3、
    4、5または6記載の鉄系基材の硬質化表面処理方法に
    より表面処理されていることを特徴とするプレス金型。
  10. 【請求項10】 さらに、前記溶射皮膜に対して平滑化
    のための研摩仕上げがされていることを特徴とする請求
    項9記載のプレス金型。
JP2000254998A 2000-08-25 2000-08-25 鉄系基材の硬質化表面処理方法 Withdrawn JP2002069605A (ja)

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