JPH0611903U - ワーク外周部切削用バイト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワーク外周部の切削時に、発生したばりを同
時に切除する。 【構成】 チップホルダ22の先端に、ワーク(エンジン
バルブ)２の外周部(マージン部)2b切削用の第１チップ2
4と、外周部2bの切削により発生したばり15を切除する
第２チップ26とを近接して並設したことにより、ワーク
２の外周部の切削した直後に、発生したばり15が自動的
に切除される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば、内燃機関用エンジンバルブの傘外周を旋削する際に用いる バイトに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３に示すエンジンバルブ(１)の傘部の弁フェース部(1a)は、連続して繰返し 激しい衝撃荷重を受けるので、たとえばステライトのような耐摩耗性の合金を盛 金することがしばしば行なわれる。

【０００３】 盛金は、まずプレスにより成形されたエンジンバルブ(１)の中間品(以下ワー クという)(２)を、図４に示すように、旋盤のチャック(３)に把持して、チップ ホルダ(４)の先端に方形の超硬チップ(５)を取り付けたバイト(６)により、傘外 周のマージン部(2a)を研削したのち、図５に示すように、ワーク(２)をプラズマ アーク溶接装置の傾斜する回転台(８)のワーク受(９)と回転ヘッド(10)との間に 挾持して回転させつつ、上記弁フェース部(1a)に形成された環状溝(2b)に、直上 のトーチ(11)よりステライト粉末(12)を流下溶融させて、環状溝(2b)に肉盛する 。

【０００４】 この際、回転台(８)は、その内部の冷却室(13)に突入する給水管(14)より噴出 する冷却水により冷却され、またワーク(２)も、傘表(2c)が密接するワーク受( ９)を介して冷却されて、環状溝(2b)が高熱のために溶融するのが防止される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

図４に示すマージン部(2a)の旋削工程において、マージン部(2a)と傘表(2c)の 境界に図６に示すような切削ばり(15)が発生することがある。 このようなワーク(２)が肉盛工程に送り込まれると、ばり(15)のため、傘表(2 c)がワーク受(９)の上面に密着せず、ワーク(２)と回転台(８)との熱伝導性が損 なわれて、環状溝(2b)が部分的に溶融したり変形したりすることがある。

【０００６】 この事故の発生を防止するため、従来はマージン部(2a)旋削後において、ワー ク(２)を個々に検査し、ばり(15)の発生したものは別工程によりこれを除去して おり、甚だ面倒で、かつ作業能率が悪かった。

【０００７】 本考案は、上記問題点を解決するためになされたもので、ワーク外周部の切削 時に、発生したばりも同時に除去しうるようにしたバイトを提供することを目的 としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上述目的を達成するため、本考案は、チップホルダの先端に、ワーク外周部切 削用の第１チップと、外周部切削時においてワークの端面に発生した切削ばり切 除用の第２チップとを、該第２チップがワークの端面側に位置するように、かつ 第２チップの切刃の先端が第１チップの切刃の先端よりも僅かにワークの軸心方 向に突出するように並設したことを特徴としている。

【０００９】

【作用】

第１チップがワーク外周部を切削すると、その直後に第２チップが、発生した ばりを自動的に切除する。

【００１０】

【実施例】

図１と図２は、本考案のバイト(21)を示すもので、チップホルダ(22)の先端左 部(図２においては右部)に切設した方形をなす凹入段部(23)には、正方形状の第 １超硬チップ(スローアウェイチップ)(24)が着脱可能に取り付けられている。

【００１１】 第１超硬チップ(24)は、その直交する両側面が凹入段部(23)の直交する両垂直 面に密接して、回転不能に保持されている。

【００１２】 ホルダ(22)の先端右部に切設した三角形の凹入段部(25)には、上記第１超硬チ ップ(24)と等高をなして近接する、三角形状の第２超硬チップ(26)が、着脱可能 に取り付けられている。

【００１３】 チップ(26)の各角部は、円弧形の曲面に成形され、その最先端が、第１超硬チ ップ(24)の最先端よりも僅かに前方に突出するようにして、両側面が三角形の凹 入段部(25)の両垂直面に密接して、回動不能に保持されている。

【００１４】 バイト(21)を、従来と同様に旋盤の刃物台(図示略)に取り付け、ワーク(２)を チャック(３)に把持して回転させ、図１に示すように、バイト(21)を矢印方向に 進行させると、第１超硬チップ(24)によりマージン部(2a)が所定寸法に切削し終 えた直後に、第２超硬チップ(26)の先端部が、直ちにマージン部(2a)と傘表(2c) の境界に発生したばり(15)を切除する。

【００１５】 なお、実施例では、第１、第２チップ(24)(26)を着脱可能なものを用いている が、超硬チップとチップホルダとが一体をなす通常のバイトにも適用しうる。 ワークは、エンジンバルブに限定されないのは勿論である。

【００１６】

【考案の効果】

本考案によれば、ワークの外周部を切除した際に発生するばりは、ばり除去用 の特別な工程を設けることなく、外周部の研削工程と同時に自動的に切除される ので、作業能率が向上し、かつ生産性が高まる。

【００１７】 従って、本考案のバイトを例えばエンジンバルブの傘外周部の切削用として用 いれば、ばりの発生が皆無となるので、耐摩耗性合金の環状溝への盛金工程にお いて、傘部とワーク受とが密着し、安定した肉盛を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のバイトの一実施例とそれを用いてワー
クのマージン部を研削中の状態を示す要部の拡大平面図
である。

【図２】図１のＸ−Ｘ線矢視図である。

【図３】エンジンバルブの側面図である。

【図４】従来のバイトによりワークのマージン部を研削
中の状態を示す平面図である。

【図５】ワークに肉盛する際の説明図である。

【図６】図４のＡ部の拡大図である。

【符号の説明】

(１)エンジンバルブ (1a)弁フェース
部 (２)ワーク (2a)マージン部 (2b)環状溝 (2c)傘表 (15)ばり (21)バイト (22)チップホルダ (23)凹入段部 (24)第１超硬チップ (25)凹入段部 (26)第２超硬チップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 チップホルダの先端に、ワーク外周部切
   削用の第１チップと、外周部切削時においてワークの端
   面に発生した切削ばり切除用の第２チップとを、該第２
   チップがワークの端面側に位置するように、かつ第２チ
   ップの切刃の先端が第１チップの切刃の先端よりも僅か
   にワークの軸心方向に突出するように並設したことを特
   徴とするワーク外周部切削用バイト。