JPH0325850Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、割り出し可能な刃物台に固定される
組合せ工具に関する。

「従来の技術」 従来、例えばNC旋盤では、割り出し可能な刃
物台の各面に、加工状態（荒加工、仕上加工、外
形、内径、溝入れ等）に応じた１個のバイトがバ
イトホルダを介して保持されるようらなつてお
り、加工状態に応じ刃物台が回転して割り出され
加工が進められるものが一般的であつた。

「考案が解決しようとする問題点」 しかしながら、このような従来のバイトの取付
方では、被加工物の形状が複雑になると、多くの
行程が必要になつて、その度に刃物台を割り出す
のでロスタイムが大きくなり、加工コストが嵩
み、また、限られた刃物台の工具取付部位に取付
けることが困難になり、バイトをセツトしなおす
という非能率なことになる。

そこで、複数のバイトを１つのバイトホルダに
並べて取付けることが考えられ、バイトのセツト
しなおしも不要であるし、割り出しの回数も減る
ので加工コストを低減することはできるが、並べ
てバイトを取付けると数に制限があり、多数のバ
イトを取付けると被加工物と干渉しやすくなつて
被加工物に制限が生じるという問題点があつた。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、最小限の割り出しで全ての加工
状態に対応することができるようにして上記問題
点を解決した組合せ工具を提供することを目的と
している。

「問題点を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本考案の用途とす
るところは、NC旋盤の割出し自在な刃物台に固
定される組合せ工具であつて、主軸軸線と平行な
方向および主軸軸線と直交する方向に少なくとも
２つ以上の工具取付け溝を形成し、前記刃物台に
着脱自在に固定されるバイトホルダーと、前記工
具取付け溝に取付けられるとともに、少なくとも
一つの工具取付け溝に、被加工物に対し同時加工
可能に同方向に向けて固定された複数のチツプを
有するバイトとからなる組合せ工具に存する。

「作用」 しかして、旋盤の主軸に向かう方向と略平行な
方向とに設けた工具取付溝に方向を異ならせて多
数のバイトを保持し、かつ、保持されたバイトに
は複数のチツプを備えて、全体として多数のチツ
プを備え、かつ干渉することなく加工が可能な組
合せ工具とし、多くの加工工程に対応することが
できるようにしたものである。

「実施例」 以下、図面に基づき本考案の各種実施例を説明
する。なお、以下の各実施例につき同様の部位に
は同一符号を付し重複した説明を省略する。

第１図〜第５図は本考案の第１実施例を示して
いる。

第１図〜第３図に示すように、割出し可能なタ
レツト刃物台１０にバイトホルダ２０がボルト１
１，１１で固定され、バイトホルダ２０には旋盤
の主軸軸線に直交する方向に延びる直バイト３０
と主軸と略平行な方向に延びる平行バイト４０と
が保持されて組合せ工具１をなしている。

バイトホルダ２０は、旋盤の主軸に略平行な方
向に延びる第１支持部２１と主軸に略直角な方向
に延びる第２支持部２２とが一体的に形成された
略Ｌ字形をしており、第１支持部２１と第２支持
部２２との懐部の両側にボルト１１用の座ぐり穴
２３が形成されている。

第１支持部２１の先端部には、旋盤の主軸に向
かう方向に直バイト３０のシヤンク３１を嵌装さ
せる第１工具取付溝２４が刻設され、第１工具取
付溝２４の一方の側壁にはバイト押えボルト２
５，２５の螺合孔２４ａ，２４ａが穿設されてい
て、第１工具取付溝２４に直バイト３０のシヤン
ク３１を嵌挿し、位置を決めてから螺合孔２４
ａ，２４ａに螺合したバイト押えボルト２５，２
５の先端でシヤンク３１を押し付けて締結し直バ
イト３０を保持してある。

第２支持部２２の先端部には、旋盤の主軸に向
かう方向に平行バイト４０のシヤンク４１を嵌装
させる第２工具取付溝２６が刻設され、第２工具
取付溝２６の一方の側壁にはボルト座が陥入形成
され、そこにバイト押えボルト２７，２７の螺合
孔２６ａ，２６ａが穿設されていて、第２工具取
付溝２６に平行バイト４０のシヤンク４１を嵌挿
し、位置を決めてから螺合孔２６ａ，２６ａに螺
合したバイト押えボルト２７，２７の先端でシヤ
ンク４１を押し付けて締結して保持してある。

直バイト３０には、外径チツプ３２と溝チツプ
３３とが固設され、平行バイト４０には内径チツ
プ４２が固設されている。第５図でわかるよう
に、外径チツプ３２は被加工物Ａの外径Ａ１を、
溝チツプ３３は溝Ａ２を、内径チツプ４２は内径
Ａ３を加工するものである。

第１支持部２１と第２支持部２２との懐部の中
央部は斜面部２８をなしており、そこに、３個の
クーラント噴出口５０，５０，５０が設けられて
いる。

クーラント噴出口５０は、略球形のノズル５１
に穿設されており、第４図でわかるように、斜面
部２８から内方に段部５２を有する支持穴５３が
穿設され、ノズル５１は段部５２に係合するよう
に支持穴５３に嵌入され、抜け止めボルト５４で
押えられ、縦横に方向調節可能に支持されてい
る。

さらに、バイトホルダ２０の内部にはタレツト
刃物台１０に連通するクーラント流通５５が穿設
され、クーラント流路５５の先端部は支持穴５３
に接続してクーラント噴出口５０に連通してい
る。

そして、位置が定まつた外径チツプ３２、溝チ
ツプ３３、内径チツプ４２に向け、各クーラント
噴出口５０を調節してクーラントをそれらに適切
に流しかけることができるようにしてある。

上記構成を有する組合せ工具１において、切削
加工は次のようにしてなされる。

第５図に示すように、直バイト３０の外径チツ
プ３２は２点鎖線の位置にある被加工物Ａの外径
Ａ１をその形状に沿つて移動して切削する。溝チ
ツプ３３は１点鎖線の位置にある被加工物Ａの溝
Ａ２を加工する。平行バイト４０の内径チツプ４
２は被加工物Ａの内側に入り込んで内径Ａ３を切
削する。これら切削の間クーラント噴出口５０か
らはクーラントが各チツプへ流しかけられる。

直バイト３０と平行バイト４０との延びる方向
が違い懐が深いので、干渉することなくこれらの
加工がなされる。加工はNC制御されている。

第６図〜第８図は第２実施例を示しており、直
バイト３０ａと平行バイト４０ａとがバイトホル
ダ２０の第１工具取付溝２４、第２工具取付溝２
６に保持され、直バイト３０ａには外径チツプ３
４および溝チツプ３５が固設され、平行バイト４
０ａには内径チツプ４３が固設されて組合せ工具
１Ａが構成されている。

第７図および第８図でわかるように、外径チツ
プ３４はシヤンク３１の頭部に小ボルト３４ａで
位置決めして固定され、溝チツプ３５も同様に小
ボルト３５ａで位置決めして固定されている。

本実施例でも、前記第１実施例と同様、被加工
物Ａの外径Ａ１が外径チツプ３４で、溝Ａ２が溝
チツプ３５で、内径Ａ３が内径チツプ４３で切削
され、各クーラント噴出口５０から各チツプにク
ーラントが流しかけられる。

第９図は第３実施例を示しており、直バイト３
０ｂと平行バイト４０ｂとがバイトホルダ２０の
第１工具取付溝２４、第２工具取付溝２６に保持
されて組合せ工具１Ｂが構成されている。

直バイト３０ｂには端面チツプ３６が固設さ
れ、平行バイト４０ｂには荒仕上チツプ４４およ
び仕上チツプ４５ならびに溝チツプ４６が固設さ
れている。クーラント噴出口はチツプの数に応じ
て増設してある。

本実施例では、平行バイト４０ｂに３個のチツ
プが固設されていて、その平行バイト４０ｂが被
加工物Ｂの内側へ旋盤の主軸に平行な方向から挿
入して切削する。端面チツプ３６は被加工物Ｂの
端面を切削する。

このように、被加工物の形態によつてはバイト
が主軸に平行な方向に延びていることが大きな威
力を発揮する。

なお、前記各バイトの組合わせは被加工物に応
じて適宜なされるのは当然であるが、同一の組合
わせのバイトを備えた組合せ工具を刃物台に複数
固設し、チツプの摩耗に応じて交代させ、多数の
被加工物を連続的に製造することが可能である。

また、複雑な加工を要する被加工物である場合
に、異なつた組合わせのバイトを備えた組合せ工
具をそれぞれ刃物台に固設し、それらを交代させ
つつ１つの被加工物に他種類の加工をすることが
できる。

組合せ工具に備えるバイトの数は２本以上必要
に応じて適宜増やすことができる。

「考案の効果」 本考案に係る組合せ工具によれば、バイトホル
ダに方向を異ならせた複数のバイトを保持させた
ものとし、かつ保持されるべきバイトに複数のチ
ツプを備えるようにしたから、加工の自由度が増
し、複雑な被加工物でも適切な条件で連続的に量
産することができ、刃物台の割出し回数も少なく
なつてロスタイムも減少し、加工コストを大幅に
低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の第１実施例を示して
おり、第１図は組合せ工具の平面図、第２図はバ
イトホルダの斜視図、第３図は組合せ工具の斜視
図、第４図は第１図−線断面図、第５図は動
作説明図、第６図〜第８図は第２実施例を示して
おり、第６図は組合せ工具の平面図、第７図は直
バイトの平面図、第８図は同じく正面図、第９図
は第３実施例を示しており、組合せ工具の部分平
面図である。 １，１Ａ，１Ｂ……組合せ工具、１０……タレ
ツト刃物台、２０……バイトホルダ、２４……第
１工具取付溝、２６……第２工具取付溝、３０，
３０ａ，３０ｂ……直バイト、４０，４０ａ，４
０ｂ……平行バイト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 NC旋盤の割出し自在な刃物台に固定される組
   合せ工具であつて、 主軸軸線と平行な方向および主軸軸線と直交す
   る方向に少なくとも２つ以上の工具取付け溝を形
   成し、前記刃物台に着脱自在に固定されるバイト
   ホルダーと、 前記工具取付け溝に取付けられるとともに、少
   なくとも一つの工具取付け溝に、被加工物に対し
   同時加工可能に同方向に向けて固定された複数の
   チツプを有するバイトとからなる組合せ工具。