JPH0611835Y2 - インプリント装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は銀行のキャッシュカードや病院の受診券等に用
いられるエンボスカードの表面側に突出形成されている
文字や記号等のエンボス表示を用紙等の媒体に転写する
インプリント装置に関するものである。

〔従来の技術〕

第４図は従来のインプリント装置によりエンボス表示を
転写している状態を示す要部側断面図であり、図におい
て１はエンボスカードで、このエンボスカード１はその
カードを使用する個人を特定して認識するための文字や
数字及び記号等の表示が突出するように形成されたエン
ボス表示部１ａをその表面側に有している。

２はこのエンボスカード１のエンボス表示部１ａを上側
にした状態にエンボスカード１を支持固定するカード受
台である。

３は感圧紙等により作成された２枚一組の媒体で、エン
ボスカード１の上側に重ねてセットされている。

４はたとえばゴム等の弾性を有する素材から成るインプ
リントローラで、前記エンボスカード１をカード受台２
上にセットした時、エンボスカード１のエンボス表示部
１ａの上方に対応して水平方向に移動可能に配置されて
いる。

上述した構成により、前記エンボスカード１の上側に重
ねた媒体３の上方からインプリントローラ４により加圧
しながら、このインプリントローラ４をエンボス表示部
１ａをなぞるように水平方向に図示しない手段により移
動することにより、エンボスカード１のエンボス表示部
１ａのエンボス表示を媒体３上に転写記録していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら上述した従来の技術によりインプリントロ
ーラを加圧しながら移動させると、インプリントローラ
はゴム等の弾性を有する素材により形成されているた
め、媒体を加圧する際エンボス表示部に当接した部分が
へこんで変形してしまい、第５図の従来例の作用を示す
要部拡大側面図に示すように下側の１枚目の媒体と、上
側の２枚目の媒体とではエンボス表示部に当たる接触面
積（図中斜線部分）が異なることになり、このためイン
プリントローラの圧力も均等にかからなくなってしまう
ことになる。

その結果、１枚目と２枚目の媒体に転写されるエンボス
表示の文字や記号等の線の太さが変わってしまい、特に
２枚目が不鮮明な内容となって場合によっては判読が不
可能となってしまう恐れが出てくる。

また、上述したような問題を避けるためにエンボス表示
部に当接しても変形することのない金属性のインプリン
トローラを用いた場合は、エンボスカードのエンボス表
示部の表面の高さが異なっていたりすると、インプリン
トローラとエンボス表示部が接触しない部分が生じ、こ
のため媒体に移し出されない欠落部分が発生し、やはり
弾性素材からなるインプリントローラを用いた場合と同
様に判読が不可能となってしまう恐れがあり、またこの
欠落部分をなくそうとしてインプリントローラの圧力を
強くすると、今度はエンボスカードのエンボス表示部を
破壊してしまうという問題がある。

そこで、本考案は前記問題点を解決するためになされた
ものであり、複数枚の媒体にエンボス表示を鮮明に転写
することができるインプリント装置を実現することを目
的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上述した目的を達成するため本考案は、表面側に文字や
記号等の表示を突出させて刻印したエンボス表示を有す
るエンボスカードをカード受台上に固定し、このエンボ
スカードに感圧紙等から成る複数枚の媒体を重ね、弾性
材から成るインプリントローラを前記媒体の上方から前
記エンボス表示部分に圧接して移動させることにより媒
体上にエンボス表示を転写するインプリント装置におい
て、前記インプリントローラを移動可能支持した支持体
に一対のばね部材を取りつけ、前記インプリントローラ
の材質より硬いプラスチックフィルム等の可撓性部材か
ら成るシート材を前記一対のばね部材に取りつけて、前
記インプリントローラと前記媒体との間に介在するよう
に前記インプリントローラの移動方向と同方向に張設し
たことを特徴とする。

〔作用〕

このような構成を有する本考案は、まず、エンボスカー
ドと複数枚の媒体を所定の位置にセットし、インプリン
トローラと媒体の間に張設したシート材を介在した状態
でインプリントローラをエンボスカードのエンボス表示
部分に圧接して回転移動させることにより媒体にエンボ
ス表示を転写する。

このとき、媒体とインプリントローラとの間に介在して
いるシート材はばね部材に取りつけられて張設されてい
るため、エンボス表示部の凹凸をある程度吸収すると共
に、エンボス表示の表面の高さが異なっている場合はそ
の高さに追従して変形し、しかもシート材はインプリン
トローラよりも硬いため、インプリントローラの押圧力
を分散する。

従って、複数枚の媒体に加えられる押圧力及びエンボス
表示に対する各媒体の押圧面積が均等になり、エンボス
表示を破壊することなく複数枚の媒体にエンボス表示を
鮮明に転写することができると共に、エンボス表示の表
面の凹凸もシート材により幾分滑らかにしてインプリン
トローラに伝えられるので、インプリントローラの変形
量も抑えられ、これによりインプリントローラの寿命も
のばすことが可能となる。

また、可撓性を有するシート材がばね部材により張設さ
れており、これによりインプリントローラのの移動方向
の力はばね部材にある程度吸収されるので、エンボス表
示に対して媒体がずれを生じることがない。

そのため、媒体にはインプリントローラの圧接方向の力
しか加えられず、この点でも鮮明な転写を実現できると
共に、インプリントローラを押圧させた状態で往復移動
することができる。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の実施例を示すインプリント装置の要部
正面図、第２図は第１図の側面図、第３図は本実施例の
作用を示す要部拡大側面図であり、図において１はエン
ボスカードで、このエンボスカード１はそのカードを使
用する個人を特定して認識するための文字や数字及び記
号等の表示が突出して形成されたエンボス表示部１ａを
その表面側に有している。

２はこのエンボスカード１のエンボス表示部１ａを上側
にした状態にエンボスカード１を支持して固定するカー
ド受台である。

３は感圧紙等により作成された２枚一組の媒体で、エン
ボスカード１の上側に重ねてセットされる。

４はたとえばゴム等の弾性を有する素材から成り、水平
方向に移動可能なインプリントローラ、５はこのインプ
リントローラ４のシャフトで、インプリントローラ４の
幅より長く左右に突出しており、その両端にローラ６が
取りつけられている。

７はインプリントフレームであり、前記インプリントロ
ーラ４を覆うように設けられており、このインプリント
フレーム７の両側面下部には水平方向に前記エンボスカ
ード１とほぼ同じ長さを有する切り欠き部８ａと、この
切り欠き部８ａの両端から斜め上方に広がる方向に溝部
８ｂが形成されている。

９は前記インプリントフレーム７及びインプリントロー
ラ４を支持する支持体としてのサイドフレームであり、
このサイドフレーム９はその下辺部分により前記切り欠
き部８ａの下方を塞いでこれを溝状の長穴とし、この長
穴となった切り欠き部８ａに前記シャフト５の両端に設
けられたローラ６を取りつけることにより、インプリン
トローラ４を前記エンボスカード１がカード受台２上に
セットされた時、そのインプリントローラ４がエンボス
表示部１ａの上方に対応するように移動可能に支持す
る。

またこのサイドフレーム９の両端下部にはばね部材とし
ての一対の板ばね１０が取りつけられている。

１１は前記インプリントローラ４の弾性材よりの硬い材
質の塩化ビニール樹脂等から成るプラスチックフィルム
等のシート材で、このシート材１１はその両端を前記板
ばね１０に取りつけてインプリントローラ４と媒体３と
の間に介在するように張設したものである。

１２は前記インプリントローラ４を保護するためのロー
ラフレームである。

上述した構成により、エンボスカード１のエンボス表示
部１ａを媒体３に転写する場合は、まずエンボスカード
１を図示しない搬送ベルト等の搬送手段により搬送し
て、エンボス表示部１ａが上側となるようにカード受台
２上の所定の位置に固定する。次に、媒体３を前記エン
ボスカード１の搬送方向と直行する方向に、これも図示
しない搬送手段により搬送してエンボスカード１上に重
ねるように配置して固定する。

こうしてエンボスカード１と媒体３が所定の位置にセッ
トされると、予めインプリントフレーム７の切り欠き８
ａの両端に設けられた溝部８ｂのうちのどちらか一方に
待機していたインプリントローラ４を図示しない検出手
段により検出し、図示しないモータを駆動して他方の溝
部８ｂ方向へと移動させる。

すなわち、インプリントローラ４は一方の溝部８ｂから
傾斜に沿って移動して切り欠き部８ａへと入り込み、こ
の切り欠き部８ａ内に入り込むことにより媒体３及びシ
ート材１１を介在した状態でエンボスカード１のエンボ
ス表示部１ａを圧接する。

この時、インプリントローラ４は可撓性部材から成って
いるためエンボス表示部１ａの凹凸に沿って変形する
が、媒体３とインプリントローラ４との間には１枚のシ
ート材１１が挟まれており、第３図に示すようにこのシ
ート材１１がエンボス表示部１ａの凹凸をある程度吸収
すると共に、エンボス表示部１ａの表面の高さが異なっ
ている場合は、その高さに対応するように追従して変形
し、インプリントローラ４に均一された凹凸を幾分滑ら
かにして伝えることになり、このためインプリントロー
ラ４の変形量が抑えられて媒体３に加えられる押圧力が
均等になる。

こうして均等に圧接することのできるインプリントロー
ラ４を他端の溝部８ｂ方向へと移動させることにより、
エンボス表示部１ａをなぞって媒体３にそのエンボス表
示を転写する。

なお、上述した実施例においてはシート材１１をサイド
フレーム９の板ばね１０に接着して固定することとした
が、ねじ止めすることとしてもよく、ねじ止めすれば取
り外し可能となり、交換も容易となる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、インプリントローラを移
動可能支持した支持体に一対のばね部材を取りつけ、前
記インプリントローラの材質より硬いプラスチックフィ
ルム等の可撓性部材から成るシート材を前記一対のばね
部材に取りつけて、前記インプリントローラと前記媒体
との間に介在するように前記インプリントローラの移動
方向と同方向に張設した構成とし、この張設したシート
材を介してインプリントローラをエンボスカードのエン
ボス表示部分に圧接して回転移動させることにより媒体
にエンボス表示を転写するようにしている。

これにより、ばね部材に取りつけられて張設された状態
で媒体とインプリントローラとの間に介在しているシー
ト材がエンボス表示部の凹凸をある程度吸収すると共
に、エンボス表示の表面の高さが異なっている場合はそ
の高さに追従して変形し、しかもシート材はインプリン
トローラよりも硬いため、インプリントローラの押圧力
を分散する。

従って、複数枚の媒体に加えられる押圧力及びエンボス
表示に対する各媒体の押圧面積が均等になり、エンボス
表示を破壊することなく複数枚の媒体にエンボス表示を
鮮明に転写することができるという効果が得られると共
に、ばね部材により張設された可撓性を有するシート材
によりエンボス表示の表面の凹凸を幾分滑らかにしてイ
ンプリントローラに伝えられるので、インプリントロー
ラの変形量も抑えられ、これによりインプリントローラ
の寿命ものばすことが可能となるという効果も得られ
る。

また、本考案は、可撓性を有するシート材がばね部材に
より張設されており、これによりインプリントローラの
の移動方向の力はばね部材にある程度吸収されるので、
エンボス表示に対して媒体がずれを生じることがない。

そのため、媒体にはインプリントローラの圧接方向の力
しか加えられず、この点でも鮮明な転写を実現できると
いう効果が得られると共に、インプリントローラを押圧
させた状態で往復移動することができるという効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すインプリント装置の要部
正面図、第２図は第１図の側断面図、第３図は実施例の
作用を示す要部拡大側面図、第４図は従来のインプリン
ト装置の要部側断面図、第５図は従来の作用を示す要部
拡大側面図である。 １……エンボスカード、１ａ……エンボス表示部 ２……カード受台、３……媒体 ４……インプリントローラ ７……インプリントフレーム ８ａ……切り欠き部、８ｂ……溝部 ９……サイドフレーム、１０……板ばね １１……シート材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表面側に文字や記号等の表示を突出させて
   刻印したエンボス表示を有するエンボスカードをカード
   受台上に固定し、このエンボスカードに感圧紙等から成
   る複数枚の媒体を重ね、弾性材から成るインプリントロ
   ーラを前記媒体の上方から前記エンボス表示部分に圧接
   して移動させることにより媒体上にエンボス表示を転写
   するインプリント装置において、 前記インプリントローラを移動可能支持した支持体に一
   対のばね部材を取りつけ、前記インプリントローラの材
   質より硬いプラスチックフィルム等の可撓性部材から成
   るシート材を前記一対のばね部材に取りつけて、前記イ
   ンプリントローラと前記媒体との間に介在するように前
   記インプリントローラの移動方向と同方向に張設したこ
   とを特徴とするインプリント装置。