JPH06117406A - 流体圧アクチュエータの駆動回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな慣性負荷に結合されたアクチュエータ
の起動時に発生する負荷圧の上昇を抑制するとともに、
他のアクチュエータの速度低下を抑える。 【構成】 油圧モータ２及び油圧シリンダ１に圧油を供
給する可変容量ポンプ９と、油圧モータ２または油圧シ
リンダ１への負荷圧に応じて可変容量ポンプ９の傾転角
を変化させるレギュレータ１９と、油圧モータ２及び油
圧シリンダ１と可変容量ポンプ９との間にそれぞれ介装
された方向切換弁７、８と、方向切換弁７、８の下流で
シャトル弁１０からのパイロット圧に応じて開閉する圧
力補償弁３、４と、圧力補償弁４の下流に配設されて油
圧モータ２への負荷圧に応じて開閉するシーケンス弁１
３と、圧力補償弁４に収装されてシーケンス弁１３から
の圧力に応じて圧力補償ばね６を押圧するプランジャ１
２と、シーケンス弁１３の下流に設けられた絞り１６と
を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建設機械などに備える
大きな負荷に結合された流体圧アクチュエータの駆動回
路の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】建設機械などでは、ブームまたはアーム
等のアクチュエータに加えて走行用または旋回用のアク
チュエータも備えている。これらのアクチュエータは原
動機に結合したポンプからの圧油により駆動されるが、
複数のアクチュエータを同時に駆動する場合には図２に
示すように、アクチュエータとしての油圧シリンダ１と
油圧モータ２の上流にそれぞれ方向切換弁７、８を介装
し、これら方向切換弁７、８から分流した油圧シリンダ
１または油圧モータ２への負荷圧のうち高圧のほうを選
択するシャトル弁１０を設け、油圧シリンダ１及び油圧
モータ２と方向切換弁７、８との間に介装した圧力補償
弁３、４へシャトル弁１０に選択された負荷圧をパイロ
ット圧として圧力補償弁３、４に収装された圧力補償ば
ね５、６側へ供給するとともに、可変容量ポンプ９の斜
板（又は斜軸）の傾転角を変化させるレギュレータ１９
へ供給する駆動回路が知られている。

【０００３】上記駆動回路では、可変容量ポンプ９の斜
板を制御するレギュレータ１９が可変容量ポンプ９の吐
出圧が予め設定した圧力を越えると、斜板の傾転角を吐
出圧に応じて下げて可変容量ポンプ９を駆動する図示し
ない原動機が定格トルクを越えないように吐出量を減少
させて方向切換弁７、８の上流側の圧力を規制する一
方、下流側の圧力は圧力補償弁３、４によって規制され
るため、方向切換弁７、８の前後における差圧は油圧シ
リンダ１又は油圧モータ２の負荷に影響されることなく
一定に保持されて、方向切換弁７、８の開度に応じた流
量が油圧シリンダ１及び油圧モータ２へ供給される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置において、いま、油圧モータ２に慣性の大きな
負荷が結合された場合、油圧モータ２の起動時の負荷圧
に過渡的なピークが発生するためレギュレータ１９が傾
転角を制御して吐出量を減少させ、可変容量ポンプ９の
吐出量が方向切換弁７、８の要求流量に対して不足し、
同時に駆動される油圧シリンダ１の作動速度が低下する
とともに、油圧モータ２の起動時の負荷圧がリリーフ弁
１１の設定圧まで上昇して圧油をタンクに戻すために原
動機の駆動損失も大きくなるという問題が発生した。

【０００５】そこで本発明は、大きな負荷に結合された
アクチュエータの起動時に発生する負荷圧の上昇を抑制
するとともに、他のアクチュエータの速度低下を抑える
流体圧アクチュエータの駆動回路を提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、複数のアクチ
ュエータに圧力を供給する可変容量ポンプと、前記アク
チュエータへの負荷圧に応じて可変容量ポンプの傾転角
を変化させるレギュレータと、各アクチュエータと可変
容量ポンプとの間にそれぞれ介装された方向切換弁と、
前記方向切換弁の下流でアクチュエータへの負荷圧をパ
イロット圧として開閉する圧力補償弁と、前記圧力補償
弁の下流に配設されてアクチュエータへの負荷圧に応じ
て開閉するシーケンス弁と、前記シーケンス弁からの圧
力に応じて圧力補償弁に収装された圧力補償ばねを押圧
するプランジャと、前記シーケンス弁の下流に設けられ
た絞りとを備える。

【０００７】

【作用】したがって、可変容量ポンプからの圧力により
駆動される複数のアクチュエータのうちシーケンス弁を
備えたアクチュエータに過大な負荷が加わると、アクチ
ュエータへの負荷圧が所定の圧力まで上昇してシーケン
ス弁が開弁する。シーケンス弁から供給される負荷圧に
よってプランジャは圧力補償弁に収装された圧力補償ば
ねを押圧するため圧力補償弁の設定圧力が上昇し、方向
切換弁の前後差圧を低減させてアクチュエータへ加わる
圧力を規制するため、過大な負荷が加わるアクチュエー
タの負荷圧の過大な上昇を抑制するとともに他のアクチ
ュエータの作動速度を低下させることがない。

【０００８】一方、過大な負荷に結合されたアクチュエ
ータが定常速度に達して負荷圧がシーケンス弁の設定値
以下になると、シーケンス弁が閉弁するためプランジャ
も復帰して圧力補償弁は所定の設定値に復帰する。

【０００９】

【実施例】図１に本発明の実施例を示す。

【００１０】図１において、１は図示しないアームなど
を駆動する油圧シリンダで、２は大きな慣性を備えた回
転負荷２１を駆動する油圧モータで、起動時において油
圧モータ２は油圧シリンダ１より大きな負荷を受ける。
これらアクチュエータとしての油圧シリンダ１及び油圧
モータ２は可変容量ポンプ９が供給する圧油によって駆
動される。

【００１１】油圧シリンダ１及び油圧モータ２と可変容
量ポンプ９との間にはそれぞれ方向切換弁７、８が介装
され、方向切換弁７、８を操作することにより油圧シリ
ンダ１及び油圧モータ２を交互または同時に駆動するこ
とができる。

【００１２】方向切換弁７、８の下流には圧力補償弁
３、４が介装され、圧力補償弁３、４は内部に収装した
圧力補償ばね５、６及びパイロット圧により設定される
油圧を制御して方向切換弁７、８へ供給する。

【００１３】方向切換弁７、８は内部に絞り７ａ、８ａ
をそれぞれ備えており、可変容量ポンプ９から供給され
た圧油はこれら絞り７ａ、８ａを通過した後に圧力補償
弁３、４で圧力を調整されてから方向切換弁７、８へ流
入する。

【００１４】方向切換弁７、８の下流からは油圧シリン
ダ１及び油圧モータ２へ加わる負荷圧が分流されてシャ
トル弁１０にそれぞれ接続され、シャトル弁１０は油圧
シリンダ１又は油圧モータ２の負荷圧のうち高圧のほう
を選択するとともに、選択した負荷圧を圧力補償弁３、
４へパイロット圧として供給し、さらにこのパイロット
圧は可変容量ポンプ９の斜板（または斜軸）を駆動する
レギュレータ１９にも供給し、レギュレータ１９はこの
パイロット圧に応じて可変容量ポンプ９の図示しない斜
板の傾転角を変化させて吐出量を制御する。

【００１５】さらにレギュレータ１９は可変容量ポンプ
９の吐出圧が所定の油圧を越えると同様にして図示しな
い斜板の傾転角を変化させて吐出量を減少させ、可変容
量ポンプ９を駆動する図示しない原動機の定格トルクを
越えないように制御する。

【００１６】圧力補償弁４と方向切換弁８との間には予
め設定した圧力を越えると開弁して圧油をタンク１７へ
戻すリリーフ弁１１が配設され、油圧回路の圧力を設定
値以内に保持する。

【００１７】さらに方向切換弁８の上流では圧力補償弁
４からの作動油を分流して所定の油圧で開弁するシーケ
ンス弁１３に接続し、シーケンス弁１３の下流は絞り１
６を介してタンク１７へ接続されるタンク管路１５と、
圧力補償弁４に収装された圧力補償ばね６を押圧するプ
ランジャ１２へ接続される制御管路１４とに分岐する。
なお、プランジャ１２は制御管路１４に流入する油圧モ
ータ２の負荷圧に応じて圧力補償ばね６を押圧して圧力
補償弁４を閉弁方向に駆動するよう配設される。

【００１８】以上のように構成され、次に作用について
説明する。

【００１９】方向切換弁７、８が操作されると可変容量
ポンプ９からの圧油が圧力補償弁３、４を介して油圧シ
リンダ１及び油圧モータ２へ供給される。

【００２０】このとき油圧モータ２に連結された回転負
荷２１が大きな慣性を備えているため、起動時に油圧モ
ータ２へ加わる負荷圧が上昇する。シャトル弁１０は油
圧モータ２の負荷圧を選択して圧力補償弁３、４及びレ
ギュレータ１９にパイロット圧として供給し、油圧シリ
ンダ１と油圧モータ２の負荷圧の差圧を圧力補償ばね
５、６のばね力に相当する圧力となるよう制御する。

【００２１】さらに油圧モータ２の負荷圧が上昇してシ
ーケンス弁１３の設定圧を越えると、この負荷圧がシー
ケンス弁１３を開弁させて制御管路１４に流入してプラ
ンジャ１２を押圧する一方、タンク管路１５にも流入し
て絞り１６を介してタンク１７に戻る。

【００２２】プランジャ１２は油圧モータ２の負荷圧を
受けて圧力補償弁４に収装された圧力補償ばね６を押し
縮め、圧力補償ばね６のばね力を増大させて圧力補償弁
４の設定差圧を一時的に上昇させる。このため負荷圧が
増大した方向切換弁８の前後差圧が減少して油圧モータ
２へ流入する圧油の流量も減少し、油圧モータ２の負荷
圧が過渡的に上昇するのを抑制するとともに、起動時に
おける回転負荷２１の急激な加速を防止する。一方、油
圧シリンダ１に加わる圧油は、圧力補償弁３にパイロッ
ト圧として加わるシャトル弁１０からの油圧モータ２の
負荷圧の上昇が抑制されるため、必要流量を供給して油
圧シリンダ１の作動速度を大幅に低下させることなく駆
動する。

【００２３】さらに回転負荷２１が加速されて油圧モー
タ２の定常回転速度に達すると、油圧モータ２の負荷圧
が減少してシーケンス弁１３の設定圧以下になるとシー
ケンス弁１３が閉弁する。

【００２４】シーケンス弁１３が閉弁に伴ってプランジ
ャ１２を押圧していた負荷圧の供給が停止するため、圧
力補償ばね６が復帰してプランジャ１２を押して作動油
を制御管路１４からタンク管路１５へ流入させて絞り１
６からタンク１７へ戻し、圧力補償弁４は圧力補償ばね
６による所定の設定圧で方向切換弁８の前後差圧の制御
を行う。

【００２５】なお、圧力補償ばね６が復帰してプランジ
ャ１２を押し戻す速度は絞り１６によって決定され、絞
り１６を適宜設定することで負荷圧が増大する回転負荷
２１の起動時から定常運転時への切換を円滑に行うこと
ができる。

【００２６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、複数のア
クチュエータのうちのひとつに大きな負荷が加わって
も、過渡的な負荷圧の増大を押えることが可能となっ
て、リリーフ弁からタンクへ戻る圧油を低減させるとと
もに、ポンプの駆動力の損失を減少させて原動機の燃費
を向上させることができ、高負荷のアクチュエータと低
負荷のアクチュエータとを同時にかつ低負荷のアクチュ
エータの動作速度を低下させることなく駆動することが
可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す回路図である。

【図２】従来例を示す回路図である。

【符号の説明】

１ 油圧シリンダ ２ 油圧モータ ３、４ 圧力補償弁 ５、６ 圧力補償ばね ７、８ 方向切換弁 ９ 可変容量ポンプ １０ シャトル弁 １２ プランジャ １３ シーケンス弁 １６ 絞り １９ レギュレータ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のアクチュエータに圧力を供給する
   可変容量ポンプと、前記アクチュエータへの負荷圧に応
   じて可変容量ポンプの傾転角を変化させるレギュレータ
   と、各アクチュエータと可変容量ポンプとの間にそれぞ
   れ介装された方向切換弁と、前記方向切換弁の下流でア
   クチュエータへの負荷圧をパイロット圧として開閉する
   圧力補償弁と、前記圧力補償弁の下流に配設されてアク
   チュエータへの負荷圧に応じて開閉するシーケンス弁
   と、前記シーケンス弁からの圧力に応じて圧力補償弁に
   収装された圧力補償ばねを押圧するプランジャと、前記
   シーケンス弁の下流に設けられた絞りとを備えたことを
   特徴とする流体圧アクチュエータの駆動回路。