JPH06116410A - 熱硬化性樹脂プリプレグ及び積層材 - Google Patents

熱硬化性樹脂プリプレグ及び積層材

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Publication number
JPH06116410A
JPH06116410A JP26513892A JP26513892A JPH06116410A JP H06116410 A JPH06116410 A JP H06116410A JP 26513892 A JP26513892 A JP 26513892A JP 26513892 A JP26513892 A JP 26513892A JP H06116410 A JPH06116410 A JP H06116410A
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JP
Japan
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resin
prepreg
condensed polycyclic
polycyclic aromatic
laminated material
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Withdrawn
Application number
JP26513892A
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English (en)
Inventor
Masato Ohira
正人 大平
Kunitoshi Taniguchi
邦利 谷口
Haruyuki Kano
治之 狩野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ガラス繊維に樹脂を含浸したプリプレグと、
このプリプレグの積層体を加熱加圧成形した積層材。含
浸樹脂として、縮合多環芳香族化合物(例、ナフタレ
ン)単独またはこれとフェノールとの混合物と、2以上
のヒドロキシメチル基またはハロメチル基を有する芳香
族化合物(例、パラキシレングリコール)とを、これら
の反応成分の一方と反応性の有機スルホン酸化合物を触
媒として反応させて得た縮合多環系芳香族樹脂に、固体
潤滑剤を樹脂+潤滑剤の合計量に基づいて10〜50重量%
の量で配合した潤滑剤含有樹脂を使用する。 【効果】 耐熱性、機械的強度、摺動性の各特性に優
れ、摺動部材として最適の積層材が比較的安価かつ容易
に得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な熱硬化性樹脂プ
リプレグと、これから得られる積層材に関し、特に一般
産業用、航空宇宙用などに使用可能な高耐熱性を有し、
かつ摺動性に優れた熱硬化性樹脂プリプレグおよび積層
材に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチックの1つとして、合
成樹脂を補強用繊維に含浸させたプリプレグと呼ばれる
基材を積層し、加圧加熱成形したものが知られており、
スポーツ・レジャー用品から自動車・航空機用に至る各
種部材の製造に広く利用されている。
【0003】また、鉄鋼、造船、ガラス、製紙などの工
業分野では、上記プリプレグの積層材は各種摺動部材と
しても使用されており、特に耐熱性と摩擦・摩耗特性
(耐摩耗性・低摩擦係数) とを併せ持つ摺動部材の開発
が望まれている。摺動部材にとって、摩擦熱による材料
の劣化を防止するために、耐熱性は非常に重要な性質で
ある。
【0004】このプリプレグ系摺動部材のマトリックス
樹脂 (含浸に用いる樹脂) としては、従来からフェノー
ル樹脂または変性フェノール樹脂が使用されているが、
これらの樹脂の耐熱性が不十分であるため、得られる積
層材の耐熱性も満足できるものではなかった。
【0005】耐熱性と摺動性に優れる樹脂として、ポリ
イミド (PI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、
ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)樹脂などのいわゆるエンジニアリ
ング・プラスチックが使用されている。しかし、PI樹
脂は高価であり、PEEK、PES、PAIおよびPT
FEの各樹脂は、樹脂単味では剛性や耐クリープ性に劣
るため、摺動部材の用途に応じて、例えば、黒鉛、二硫
化モリブデン、ガラス繊維などの充填材を配合するが、
樹脂の溶融粘度および成形温度が高いため、成形が難し
いという問題を抱えていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来のプリプレグ系摺動部材の問題点を克服し、特に摺動
部材として優れた剛性、耐熱性および摩擦・摩耗特性を
有する熱硬化性プリプレグ積層材(例、積層板、積層
管)と、その製造に用いる熱硬化性プリプレグとを提供
することを目的とする。
【0007】本発明者らは、先に、耐熱性に優れ、且つ
比較的安価な熱硬化性樹脂として、縮合多環芳香族化合
物または縮合多環芳香族化合物と単環芳香族化合物との
混合物からなる原料物質と、少なくとも2個のヒドロキ
シメチル基またはハロメチル基を有する芳香族化合物か
らなる架橋剤とを、前記原料物質もしくは架橋剤の少な
くとも一方と反応性を有する有機スルホン酸化合物を触
媒として反応させることにより得られる縮合多環系芳香
族樹脂を提案した(特開平3−393 号)。
【0008】さらに、本発明者らは、反応を適度な段階
で止めて、得られた低粘度の縮合多環系芳香族樹脂を補
強用繊維に含浸させて熱硬化性樹脂プリプレグを製造す
る方法も提案した (特願平2−320114号、同4−114908
号) 。
【0009】この方法で得られる熱硬化性樹脂プリプレ
グは、マトリックス樹脂である上記縮合多環系芳香族樹
脂が耐熱性に優れ、かつ比較的安価な樹脂であることか
ら、耐熱性を必要とする摺動部材の製造への適用の可能
性がある。
【0010】しかし、このプリプレグの積層と加熱加圧
成形により得た積層材を実際に摺動部材として試してみ
たところ、耐熱性と剛性は良好であるものの、摩擦・摩
耗特性の面で不十分であった。摩擦・摩耗特性が不十分
であると、摩耗による減肉で積層材自体の寿命が短くな
るばかりでなく、相手材を過度に傷つけてしまう場合も
あり、望ましくない。特に、プリプレグ用の補強用繊維
として最も一般的なガラスクロスを用いた場合、相手材
を傷つけるという問題が著しく、摺動部材として使用す
ることは不適当であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、縮合多環
系芳香族樹脂をマトリックス樹脂とするプリプレグから
製造される積層材の摩擦・摩耗特性を改善することによ
り上記目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、縮合多
環系芳香族樹脂に固体潤滑剤を配合してから補強用繊維
に含浸させることで、耐熱性と摺動性を兼ね備えた摺動
部材に最適の積層材を得ることができることを見出し、
本発明を完成させた。
【0012】ここに、本発明の要旨は、縮合多環芳香族
化合物または縮合多環芳香族化合物と単環芳香族化合物
との混合物からなる原料物質と、少なくとも2個のヒド
ロキシメチル基またはハロメチル基を有する芳香族化合
物からなる架橋剤とを、前記原料物質および架橋剤の少
なくとも一方と反応性を有する有機スルホン酸化合物を
触媒として反応させて得た縮合多環系芳香族樹脂に、固
体潤滑剤を樹脂と固体潤滑剤の合計量に基づいて10〜50
重量%の量で配合してなる固体潤滑剤配合樹脂で含浸さ
れた補強用繊維からなる、熱硬化性樹脂プリプレグにあ
る。
【0013】別の側面において、本発明は、複数の上記
熱硬化性樹脂プリプレグを重ね合わせ、加熱加圧成形し
てなる、積層材を要旨とする。
【0014】
【作用】以下、本発明の構成をその作用と共に詳述す
る。本発明のプリプレグにおいてマトリックス樹脂とし
て用いる縮合多環系芳香族樹脂およびその製造法につい
てまず説明する。
【0015】この樹脂の原料物質は、縮合多環芳香族化
合物またはこれと単環芳香族化合物との混合物である。
縮合多環芳香族化合物としては、ナフタレン、アセナフ
テン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、クリセ
ン、ナフタセン、フルオランテン、ペリレン、ピセンお
よびそれらのアルキル誘導体、各種ベンゾピレン、各種
ベンゾペリレン等の縮合多環炭化水素類、ならびにナフ
トールおよびそのアルキル置換体等のヒドロキシ含有誘
導体が挙げられ、これらの2種以上の混合物も使用でき
る。
【0016】この縮合多環芳香族化合物に混合して原料
物質として使用しうる単環芳香族化合物としては、フェ
ノール、アルキルフェノール、レゾルシン等のフェノー
ル類やジフェニル、ジフェニルエーテル、アルキルベン
ゼン等が挙げられる。
【0017】また、以上のような縮合多環または単環芳
香族化合物から誘導された2以上の芳香族単位がメチレ
ン基、フェニレン基またはキシリレン基等で連結されて
なる多核構造の芳香族化合物も多環または単環の原料物
質として使用できる。さらには、上記のような芳香族化
合物を主成分とする石炭系または石油系の重質油類、ピ
ッチ類も原料物質として使用可能である。好ましい原料
物質は、縮合多環芳香族化合物としてナフタレンを含む
もの、即ち、ナフタレン単味、或いはナフタレンと他の
縮合多環芳香族化合物および/または単環芳香族化合物
との混合物である。
【0018】本発明で用いる樹脂の製造に使用する架橋
剤は、少なくとも2個のヒドロキシメチル基またはハロ
メチル基を有する芳香族化合物であり、このような化合
物の例としては、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、ア
ントラセン、ピレン等の単環もしくは縮合多環芳香族化
合物またはそれらのアルキル誘導体等の炭化水素化合物
のポリ (ヒドロキシメチル) またはポリ (ハロメチル)
置換誘導体が挙げられる。好ましい架橋剤は、ジヒドロ
キシメチルベンゼン (キシリレングリコール)、ジヒド
ロキシメチルキシレン、トリヒドロキシメチルベンゼ
ン、ジヒドロキシメチルナフタレン等のポリ (ヒドロキ
シメチル) 置換芳香族化合物である。
【0019】上記の原料物質と架橋剤とを酸触媒の存在
下に反応させるが、本発明で用いる樹脂の製造において
は、原料物質または架橋剤の少なくとも一方と反応性の
ある酸触媒を使用する。
【0020】反応性の酸触媒の例としては、架橋剤のヒ
ドロキシメチル基またはハロメチル基と反応し易い有機
芳香族スルホン酸、あるいは原料芳香族化合物と反応す
るヒドロキシメチル基、ハロメチル基またはホルミル基
を有する有機芳香族スルホン酸を挙げることができる。
【0021】架橋剤のヒドロキシメチル基やハロメチル
基と反応し易い酸触媒としては、縮合多環芳香族核 (ナ
フタレン核など) またはフェノール核を有する有機スル
ホン酸、またはカルボキシル基、アミノ基、エポキシ
基、不飽和炭化水素基等を有する有機芳香族スルホン酸
が挙げられる。このうち特に好ましいのは、縮合多環芳
香族スルホン酸およびフェノールスルホン酸であり、具
体的には、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレン
スルホン酸、アセナフテンスルホン酸、アントラセンス
ルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフトールスルホン
酸等である。
【0022】一方、原料芳香族化合物と反応するヒドロ
キシメチル基、ハロメチル基またはホルミル基を有する
有機スルホン酸としては、ヒドロキシメチルベンゼンス
ルホン酸、ヒドロキシメチルナフタレンスルホン酸、ジ
ヒドロキシメチルナフタレンスルホン酸、クロロメチル
ベンゼンスルホン酸、クロロメチルナフタレンスルホン
酸、ホルミルベンゼンスルホン酸、ホルミルナフタレン
スルホン酸等が挙げられる。
【0023】酸触媒の使用量は、原料物質の反応性、反
応温度などにより異なるが、一般的には原料物質と架橋
剤との混合物に対し0.2 重量%以上必要で、好ましくは
1〜20重量%である。酸触媒の使用量が0.2 重量%以下
では、十分に縮合反応が進行せず、生成する樹脂が十分
な熱硬化性を示さない。また、20重量%以上では、反応
速度が速くなり過ぎて反応制御が困難となるばかりでな
く、生成する樹脂も不均質なものとなり好ましくない。
【0024】架橋剤と被架橋原料 (原料物質+酸触媒)
の配合比は、モル比で0.7 〜6が好ましい。0.7 以下で
あると生成する樹脂は熱硬化性を示さず、逆に6以上に
なると架橋剤が過剰となり、反応が逆に抑制傾向を示
し、やや不均質な生成物を与えることとなる。より好ま
しい範囲としてはモル比で1〜3である。
【0025】反応温度は約50〜200 ℃、好ましくは80〜
180 ℃である。反応圧力は、通常常圧ないし若干の加圧
であるが、反応の結果生成する縮合水を反応系から除去
して反応効率を高めるためには、減圧下で反応せしめる
こともできる。
【0026】反応は、溶融状態で行なうのが簡単である
が、適当な溶媒または分散媒を用いて実施することもで
きる。
【0027】前記の反応の進行に伴って反応物の粘度が
上昇し、熱硬化性樹脂 (Bステージ樹脂) が得られる
が、さらにこれを加熱して反応を進めると、不溶不融性
の硬化体が生成する。従って、プリプレグ製造用のマト
リックス樹脂として使用するには、Bステージの段階で
温度を下げて反応を停止させる。この段階の樹脂は未だ
加熱溶融性を有している。プリプレグのマトリックス樹
脂としては、70℃における粘度が10,000〜30,000 cpsの
範囲内であるものが好ましい。この状態の樹脂は100〜3
50 ℃に加熱することによって容易に熱硬化物となる。
【0028】こうして得た縮合多環系芳香族樹脂に、固
体潤滑剤を、樹脂と固体潤滑剤の合計量に基づいて10〜
50重量%の量で配合し、この固体潤滑剤配合樹脂で強化
用繊維を含浸することにより、本発明のプリプレグが得
られる。
【0029】本発明のプリプレグに用いる固体潤滑剤と
しては、黒鉛、二硫化モリブデン、フッ素樹脂(PTF
E)、炭化珪素(SiC)、硫酸バリウム、液晶ポリマ
ー、芳香族ポリアミド樹脂等の粉末状またはウィスカー
状の固体潤滑剤が挙げられる。固体潤滑剤の平均粒径
(ウィスカー状の場合には平均径) は 0.1〜20μmのも
のが好ましい。これらの固体潤滑剤は、1種もしくは2
種以上を使用することができる。
【0030】固体潤滑剤の配合量が、樹脂+固体潤滑剤
の合計量に対して10重量%未満では、プリプレグから得
られる積層材の摩擦・摩耗特性の改善が不十分となる。
一方、この配合量が50重量%を超えると、樹脂量が相対
的に少なくなり、含浸が困難となり、良好なプリプレグ
を得ることができないばかりでなく、得られた積層材
は、層間の接着力が低くなるため、機械的強度が低下す
る。
【0031】補強用繊維としては、炭素繊維、ガラス繊
維、金属繊維などの無機繊維、芳香族ポリアミド繊維、
ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、耐炎化繊維な
どを含む有機繊維、さらには炭化珪素繊維、炭化チタン
繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維など、製品に求められ
る特性に応じていかなるものを使用することもできる
が、最も一般的にはガラス繊維である。好ましいガラス
繊維としては、Cガラス、Tガラス(例、日東紡製)、
ECRガラス(例、旭ファイバーグラス製)などがあ
る。
【0032】補強用繊維の形態も、長繊維フィラメント
を一方向に引きそろえたロービング、クロス、不織布な
どのシート状のもの、さらにはチョップドストランドマ
ットなど、積層体を形成することができるものであれば
特に制限はない。
【0033】プリプレグの製造は溶剤法とホットメルト
法のいずれの方法でも実施できる。溶剤法による場合、
縮合多環系芳香族樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂ワニス
を調製し、これに固体潤滑剤を均一に分散するように混
合した潤滑剤配合樹脂ワニスを補強用繊維に含浸させ、
加熱により脱溶媒してプリプレグを製造する。ホットメ
ルト法では、まず縮合多環系芳香族樹脂を加熱溶融して
低粘度の液状とし、これに固体潤滑剤を均一に分散する
よう混合してから、この溶融樹脂を離型紙に塗工する。
少なくとも片方にこの方法で樹脂が塗工されている2枚
の離型紙の間に補強用繊維を挟み、これを加熱ロールの
間に通して樹脂を溶融させ、繊維に樹脂を含浸させる
と、プリプレグが得られる。離型紙は通常はプリプレグ
の使用時に剥離する。
【0034】プリプレグ中における樹脂の含有量は、強
化用繊維を一体に結合し、成形後にボイドやクラックの
ない積層材を得るのに十分な程度であれば特に制限され
ないが、通常は樹脂と固体潤滑剤の合計量がプリプレグ
の重量に基づいて20〜60重量%となる範囲内が好まし
い。
【0035】本発明のプリプレグは、プレス成形、オー
トクレーブ成形、ロール巻き成形、テープワインディン
グ成形等、従来のエポキシ系プリプレグで用いられてき
た各種の方法で積層することにより成形することができ
る。得られた積層材は、最後に 180〜230 ℃の温度に4
〜12時間加熱することによりポストキュア (後硬化)さ
せることが好ましい。この熱処理により架橋がさらに進
み、積層材の耐熱性および機械的特性が著しく向上す
る。
【0036】以下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。実施例において、部および%は、特に指定
のない限り、重量部および重量%である。
【0037】実施例1 縮合多環芳香族化合物としてナフタレン(NAP) を100
部、架橋剤としてパラキシレングリコール(PXG) を173
部(PXG/NAPモル比 1.6) 、酸触媒として架橋剤のヒドロ
キシメチル基と反応性のあるβ−ナフタレンスルホン酸
8.3部からなる混合物を、110 ℃で3時間加熱・攪拌す
ることにより付加縮合反応させて、Bステージ状態の縮
合多環系芳香族樹脂を得た。この樹脂は外観が褐色透明
であり、70℃における溶融粘度が16,500 cps、数平均分
子量が580 であった。
【0038】この樹脂を100 部をテトラヒドロフラン(T
HF) 80%とジオキサン20%の混合溶媒100 部に溶解さ
せ、常温における粘度が100 cps の樹脂ワニスを調製し
た。この樹脂ワニス100 部に、黒鉛粉末 (ロンザジャパ
ン製、KS6、平均粒径6μm)25部を配合し、均一に分
散するよう十分に混合した。この黒鉛配合樹脂ワニス中
にCガラスクロス (平織り、210 g/m2、厚み0.25 mm)を
通過させることにより、Cガラス繊維に黒鉛配合樹脂を
含浸させた。その後、含浸物を60℃で1時間乾燥させて
溶媒を除去し、黒鉛粉末を含有する縮合多環系芳香族樹
脂が含浸されたガラスクロスプリプレグを得た。このプ
リプレグ中の樹脂と黒鉛粉末の合計含有量は45% (プリ
プレグ重量に基づいて) であった。
【0039】こうして得たガラスクロスプリプレグを、
成形後の厚みが15 mm となる枚数だけ積層し、120 ℃で
20分間予熱した後、ホットプレスにより100 kgf/cm2
圧力下、190 ℃で60分間加圧加熱成形した。さらにオー
ブン中にて200 ℃で4時間、さらに230 ℃で4時間ポス
トキュアを行い、積層板を得た。得られた積層板はボイ
ド、クラック等はなく、成形性も良好であった。
【0040】この積層板の肉厚中央部分から厚さ5mmの
曲げ試験片を採取し、常温(RT)と250 ℃で曲げ強度
を測定した。250 ℃で100 時間熱エージングした後の曲
げ強度も同様に測定し、耐熱性を評価した。
【0041】さらに、摩擦・摩耗特性の評価は、ピン・
オン・ディスク試験により行った。試験条件は、滑り速
度1m/秒、荷重10 kgf/cm2、相手材はS45C (炭素鋼)
である。
【0042】試験結果を表1に示す。表1から分かるよ
うに、この積層板は耐熱性に優れ、250 ℃で高強度を保
持し、熱エージング後の強度低下もわずかであった。ま
た、この積層板は摩擦・摩耗特性にも優れていた。
【0043】実施例2 実施例1と同様の方法で縮合多環系芳香族樹脂の樹脂ワ
ニスを調製し、この樹脂ワニス100 部に、実施例1で用
いた黒鉛粉末16.5部とPTFE粉末(ダイキン工業製、
ルブロンL-2 、平均粒径5μm)16.5 部を配合し、これ
らの粉末が均一に分散するよう十分に攪拌した。この黒
鉛/PTFE配合樹脂ワニスを用いて、実施例1と同様
の方法でプリプレグの作製と、得られたプリプレグから
の積層板の作製を行った。プリプレグ中の樹脂と黒鉛/
PTFE粉末の合計含有量は51%であった。
【0044】この積層板の耐熱性および摩擦・摩耗特性
を実施例1と同様の方法で評価したところ、表1に示す
ように、耐熱性および摩擦・摩耗特性のいずれにも優れ
ていた。
【0045】実施例3 実施例2において、PTFE粉末の代わりに二硫化モリ
ブデン微粉末 (住鉱潤滑剤製、モリパウダーPS 、平均
粒径 0.4μm) を用いた以外は、すべて実施例2と同様
の方法で積層板を作製した。得られたプリプレグ中の樹
脂と黒鉛/MoS2粉末の合計含有量は58%であった。この
積層板の耐熱性および摩擦・摩耗特性を実施例1と同様
の方法で評価したところ、表1に示すように、耐熱性お
よび摩擦・摩耗特性のいずれにも優れていた。
【0046】実施例4 実施例1と同様の方法で縮合多環系芳香族樹脂の樹脂ワ
ニスを調製し、この樹脂ワニス100 部に、実施例1で用
いた黒鉛粉末11部、実施例2で用いたPTFE粉末11
部、さらに実施例3で用いた二硫化モリブデン微粉末11
部を配合し、これらの粉末が均一に分散するよう十分に
攪拌した。この黒鉛/PTFE/二硫化モリブデン配合
樹脂ワニスを用いて、実施例1と同様の方法でプリプレ
グの作製と、得られたプリプレグからの積層板の作製を
行った。プリプレグ中の樹脂と黒鉛/PTFE/MoS2
末の合計含有量は54%であった。
【0047】この積層板の耐熱性および摩擦・摩耗特性
を実施例1と同様の方法で評価したところ、表1に示す
ように、耐熱性および摩擦・摩耗特性のいずれにも優れ
ていた。
【0048】比較例1 実施例1と同様の方法で縮合多環系芳香族樹脂の樹脂ワ
ニスを調製し、この樹脂ワニス中に、Cガラスクロス
(平織り、210 g/m2、厚み0.25 mm)を通過させることに
より、Cガラス繊維に樹脂を含浸させた。その後、含浸
物を60℃で1時間乾燥させて溶媒を除去し、プリプレグ
中に39%の縮合多環系芳香族樹脂を含有するCガラスク
ロスプリプレグを得た。
【0049】このガラスクロスプリプレグを成形後の厚
みが15 mm となる枚数だけ積層し、120 ℃で20分間予熱
した後、ホットプレスにより100 kgf/cm2 の圧力下、19
0 ℃で60分間加圧加熱成形した。さらにオーブン中にて
200 ℃で4時間、さらに230℃で4時間のポストキュア
を行い、積層板を得た。得られた積層板はボイド、クラ
ック等はなく、成形性も良好であった。
【0050】この積層板の耐熱性および摩擦・摩耗特性
を実施例1と同様の方法で評価したところ、表1に示す
ように、耐熱性は優れていたが、摩擦・摩耗特性が悪
く、特に摩擦係数が高かった。
【0051】比較例2 市販のフェノール樹脂積層板の耐熱性および摩擦・摩耗
特性を実施例1と同様の方法で評価したところ、摩擦・
摩耗特性については優れていたが、熱エージング後の強
度が常温と熱間のいずれも著しく低く、耐熱性が非常に
劣っていた。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明のプリプレグは、耐熱性に優れた
比較的安価な熱硬化性樹脂である縮合多環系芳香族樹脂
をマトリックス樹脂とし、この樹脂に適正量の固体潤滑
剤を配合するだけで、常法により簡便かつ比較的安価に
製造できる。このプリプレグから製造された積層材は、
耐熱性、機械的強度、摺動性の各特性に優れている。従
って、この積層材は摩擦熱に耐えることが要求される摺
動部材として、また高温環境下で使用される摺動部材と
して非常に好適であり、摺動部材の性能改善やコスト低
減に寄与する技術である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮合多環芳香族化合物または縮合多環芳
    香族化合物と単環芳香族化合物との混合物からなる原料
    物質と、少なくとも2個のヒドロキシメチル基またはハ
    ロメチル基を有する芳香族化合物からなる架橋剤とを、
    前記原料物質および架橋剤の少なくとも一方と反応性を
    有する有機スルホン酸化合物を触媒として反応させて得
    た縮合多環系芳香族樹脂に、固体潤滑剤を樹脂と固体潤
    滑剤の合計量に基づいて10〜50重量%の量で配合してな
    る固体潤滑剤配合樹脂で含浸された補強用繊維からな
    る、熱硬化性樹脂プリプレグ。
  2. 【請求項2】 複数の請求項1記載のプリプレグを重ね
    合わせ、加熱加圧成形してなる、積層材。
JP26513892A 1992-10-02 1992-10-02 熱硬化性樹脂プリプレグ及び積層材 Withdrawn JPH06116410A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1990010686A1 (fr) * 1989-03-07 1990-09-20 Nippon Petrochemicals Co., Ltd. Procede de production d'huile isolante comprenant du dibenzylbenzene
JP2007009039A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Sumikou Junkatsuzai Kk 乾性潤滑被膜組成物

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