JPH06116372A - 親水性ポリエステルジオールおよびその製造方法 - Google Patents

親水性ポリエステルジオールおよびその製造方法

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JPH06116372A
JPH06116372A JP27195092A JP27195092A JPH06116372A JP H06116372 A JPH06116372 A JP H06116372A JP 27195092 A JP27195092 A JP 27195092A JP 27195092 A JP27195092 A JP 27195092A JP H06116372 A JPH06116372 A JP H06116372A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な親水性ポリエステルジオールの提供。 【構成】 特定のラクトンと特定のポリアルキレングリ
コールとの開環生成物を酸触媒の存在下重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なラクトン系ポリ
エステルジオールおよびその製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、本発明はラクトンとポリアルキレ
ングリコールの開環生成物であるエステルジオールを繰
り返し単位とした両末端に水酸基を有するポリエステル
ジオールに係り、このものは、ポリウレタン、ポリエス
テル、エポキシ樹脂などに適用されるエラストマー、塗
料、接着剤、弾性繊維、シーラントなどの各種工業製品
の原料として用いられるが、生分解性のよいことと高い
分子量を持ちながら液状を保っていることで原料として
非常に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルポリオールは、分子中に2
個以上の水酸基を有するポリマーで、特に脂肪族ポリエ
ステルは、合成高分子の中で唯一の生分解性ポリマーと
して注目されている。
【0003】従来、脂肪族ポリエステルの製造法として
は脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを縮合脱水する
方法、またラクトンなどを開環重合する方法などが知ら
れている。
【0004】縮合系ポリエステルポリオールとしては、
エチレンアジペート、ブチレンアジペートなどがあるが
酸を完全に反応させることは難しく生成物中に酸が残存
する欠点がある。
【0005】これに対し、開環重合により得られるポリ
エステルポリオールは低酸価で一層有用であり、ε−カ
プロラクタム、環状二量体であるグリコリド、ラクチド
から得られたものが市販されている。特に、ポリグリコ
ール酸繊維は生体内で分解・吸収されるポリエステルと
して外科用縫合糸に用いられている。
【0006】しかしながら、開環重合によって得られた
ポリマーは、結晶性が高く硬すぎるため成型、加工で使
用する場合には不利である。
【0007】この点を改良する方法として、ポリエステ
ルにエーテル基を導入し成型、加工容易な液状高分子に
することが知られている。
【0008】例えば、ラクトンとエチレンオキサイドや
プロピレンオキサイドなどの1,2エポキシドから開環
重合体を得る方法があるが、高温、高圧を要し経済的に
も好ましくない。
【0009】また、ラクトン重合体、グリコリド、ラク
チドとポリエーテルとのブロック共重合により柔軟性、
親水性を付与した例があるが、製造工程が増えかつ再現
性よく共重合体を得ることは難しい問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の脂肪
族ポリエステルポリオールの上記問題点を解決したポリ
エステルおよびその製造方法に関するものであり、液状
であること、生分解性を有すること、そして親水性に優
れたポリオールを安価に簡単な設備で製造することを目
的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラクトンとポ
リアルキレングリコールの開環生成物であるエステルジ
オールを脱水縮合することにより得られる両末端に水酸
基を有するポリエステルジオールの発明であり、繰り返
し鎖中のエステル基は生分解性を与え、またオキシエチ
レン基が導入されているので親水性、柔軟性を持ち、し
かもかなりの高分子でありながら液状を保っているポリ
オールが提供される。
【0012】本発明に使用されるラクトンとしては、例
えばβ−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−
ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラク
トン、ε−カプロラクトンの低級アルキル置換体などが
用いられるが、中でもγ−ブチロラクトンが優れた生成
物を与える。これらのラクトン類は単独にて用いられる
他、二種以上を混合して用いられる。
【0013】ポリアルキレングリコールとしては、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコールなどが用いられ
る。これらのグリコールは単独に用いられる他、二種以
上を混合しても用いられる。ポリアルキレングリコール
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ルなどが用いられる。使用するグリコールにより得られ
るポリエステルジオールの物性は、変化する。例えば、
エチレングリコールを用いた場合、繰り返し鎖中のオキ
シエチレン基は1個であり全体としてエステル結合の割
合が増えるため生分解性は最も良い。一方、テトラエチ
レングリコールを用いた場合、親水性のオキシエチレン
基数が繰り返し鎖中4個となるためポリエステルジオー
ルの水への溶解性は最も良好となり、またエステル結合
数の相対的な減少という点では生分解性は落ちるが、高
分子の親水性による水の吸着、分解速度が早まるため大
きな低下にはならない。本発明の実施に用いる酸触媒と
しては、硫酸、塩酸などの鉱酸、パラトルエンスルホン
酸などの有機酸、フッ化ホウ素エーテラートなどのルイ
ス酸、活性白土、酸性イオン交換樹脂などが使用でき
る。特に、得られるポリオールの色調、触媒除去の簡便
さにおいて活性白土が優れている。
【0014】本発明の製造方法における重合反応は、ラ
クトンとポリアルキレングリコールの溶液に酸触媒を添
加後、加熱、脱水することにより行われる。そしてこの
反応は水と分離可能な溶媒、例えばトルエン、キシレン
などを加えることにより脱水を効率的に進めることがで
きる。
【0015】反応温度としては、100〜200℃の範
囲で行われるが、時間と着色のかねあいの点で130〜
160℃が好ましく、もし使うならキシレンが溶媒とし
て好ましい。
【0016】反応時間は、反応温度により異なるが、通
常5時間〜12時間で、キシレン還流では8〜10時間
である。ラクトン、ポリアルキレングリコールの混合割
合は、特に限定されないが等モル付近が好ましい。
【0017】本発明の反応は、まずラクトンとポリアル
キレングリコールが酸触媒存在下加熱され、ラクトンと
ポリアルキレングリコールが1対1の開環生成物エステ
ルジオールを与えるが、このジオールは平衡混合物であ
る。ジオールはさらに酸触媒により脱水反応して平衡が
ずれ、目的のエステルジオールが生成される。
【0018】一般式(I)において繰り返し単位となる
(R−COO−G)の繰り返し数は、単純に数値で示す
ことはできないが、本発明の目的に適うポリエステルジ
オールの構成物として150にも及ぶものは考え難い。
【0019】
【実施例】次に、この発明を実施例によって具体的に説
明する。
【0020】(実施例1)Dean−Stark水分離
器を付した500ml四つ口フラスコにγ−ブチロラク
トン86.1g(1.0mol)、トリエチレングルコ
ール150.2g(1.0mol)、キシレン50m
l,活性白土4.3g(和光純薬製)を加え窒素気流
中、攪拌、加熱した。還流を10時間続け脱水した。溶
剤を減圧下留去し、収率82%、重量平均分子量460
0、水酸基価47、粘度1200cps(25℃)のポ
リエステルジオールを得た。このものは一般式(I)に
おいてRはトリメチレン基であり、mは3である。
【0021】(実施例2)実施例1のトリエチレングリ
コ−ルをエチレングリコール62.1gに変え同様に反
応、処理を行った。収率58%、重量平均分子量240
0、水酸基価61、粘度600cps(25℃)のポリ
エステルジオールを得た。このものは一般式(I)にお
いてRはトリメチレン基であり、mは1である。
【0022】(実施例3)実施例1の活性白土を硫酸
4.3gに変え同様に反応、処理を行った。収率47
%、重量平均分子量4300、水酸基価45、粘度90
0cps(25℃)のポリエステルジオールを得た。こ
のものは一般式(I)においてRはトリメチレン基であ
り、mは3である。
【0023】(実施例4)実施例1のγ−ブチロラクト
ンをβ−プロピオラクトンに変え同様に反応、処理を行
った。収率78%、重量平均分子量480、水酸基価2
40の液状ポリエステルジオールを得た。このものは一
般式(I)においてRはエチレン基であり、mは3であ
る。
【0024】(実施例5)実施例1のγ−ブチロラクト
ンをβ−ブチロラクトンに変え同様に反応、処理を行っ
た。収率64%、重量平均分子量440、水酸基価24
5の液状ポリエステルジオールを得た。このものは一般
式(I)においてRはプロピレン基でありmは3であ
る。
【0025】(実施例6)実施例1のトリエチレングリ
コールをジエチレングリコール106.1gに変え、同
様に反応、処理を行った。収率55%、重量平均分子量
15000、水酸基価18、粘度1800cps(25
℃)のポリエステルジオールを得た。このものは一般式
においてRはトリメチレン基であり、mは2である。
【0026】(実施例7)実施例2のγブチロラクトン
をε−カプロラクトンに変え、同様に反応、処理を行っ
た。収率86%、重量平均分子量2400、水酸基価8
1、粘度550cps(25℃)のポリエステルジオー
ルを得た。このものは一般式においてRはペンタメチレ
ン基であり、m=1である。
【0027】
【発明の効果】新規な親水性ポリエステルジオールが得
られた。このものは繰り返し鎖中にエステル結合を持つ
ことにより生分解性に優れており、かつオキシエチレン
基により親水性を有し高分子にもかかわらず液状のポリ
マーであり、生分解性の要求されるエラストマー、塗
料、接着剤、弾性繊維、シーラントなどの材料に広く使
用することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 で示されるエステルジオールの脱水縮合物であってnは
    150を越えず、水酸基価10ないし400、粘度10
    0ないし3000cps(25℃)および重量平均分子
    量300ないし30000であるもの。
  2. 【請求項2】 ラクトンとポリアルキレングリコールを
    酸触媒の存在下、開環、脱水縮合を行なわせることを特
    徴とするポリエステルジオールの製造方法。
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