JPH06115873A - 吊下荷移載装置付き電車の制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 荷移載装置４を巻き上げ繰り出し自在な吊下
索３により吊り下げた電車１の走行経路下に、荷移載レ
ベルＬ２まで下降させた前記荷移載装置４との間で荷を
受渡しする荷取扱装置５を配設した設備に於いて、前記
荷移載装置４の昇降動作時間によって電車１の稼働効率
が低下するのを抑制し、荷移載作業のサイクルタイムを
短縮すること。 【構成】 走行している前記電車１が、荷取扱装置５に
対応する移載位置Ｐより一定距離手前に設定された減速
位置ＰΔを通過するときから、前記電車１の走行速度を
減速させると共に前記荷移載装置４の下降を開始させる
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、荷移載装置を巻き上げ
繰り出し自在な吊下索により吊り下げた電車の走行経路
下に、荷移載レベルまで下降させた前記荷移載装置との
間で荷を受渡しする荷取扱装置を配設した設備に於い
て、前記吊下荷移載装置付き電車の稼働効率を高めるた
めの制御方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及びその問題点】一般的にこの種の設備に
於ける前記吊下荷移載装置付き電車の走行経路は、作業
者や各種設置機械装置の邪魔にならないように、床面か
ら比較的高い天井近くのレベルに設けられている。そし
て吊下荷移載装置は、電車走行時には安全確保のために
上昇限位置まで吊り上げられている。而して、従来のこ
の種の設備に於いては、電車が荷取扱装置真上の移載位
置に到着停止した後、吊下荷移載装置を荷取扱装置に隣
接する荷移載レベルまで下降させていた。

【０００３】このような従来の制御方法では、比較的低
速で昇降する吊下荷移載装置の上昇限レベルと荷移載レ
ベルとの間の昇降動作の全部が電車停止状態で行われて
おり、この荷移載装置の昇降動作時間が電車の稼働効率
を低下させることになり、延いては荷移載作業のサイク
ルタイムが長くなる原因となっていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記のような従
来の問題点を解決するために成されたものであって、そ
の特徴を後述する実施例の参照符号を付して示すと、本
発明の吊下荷移載装置付き電車の制御方法は、先に説明
したように、荷移載装置４を巻き上げ繰り出し自在な吊
下索３により吊り下げた電車１の走行経路下に、荷移載
レベルＬ２まで下降させた前記荷移載装置４との間で荷
を受渡しする荷取扱装置５を配設した設備に於いて、走
行している前記電車１が、荷取扱装置５に対応する移載
位置Ｐより一定距離手前に設定された減速位置ＰΔを通
過するときから、前記電車１の走行速度を減速させると
共に前記荷移載装置４の下降を開始させることを特徴と
する。

【０００５】また、請求項２に係る本発明の制御方法で
は、前記荷移載装置４の下降速度が、減速走行している
前記電車１が移載位置Ｐに到着停止したときに、前記荷
取扱装置５に併設されている荷移載装置位置決め用ガイ
ド６よりも上方レベルに前記荷移載装置４があって、電
車停止後の荷移載装置４の下降により当該荷移載装置４
が前記位置決め用ガイド６に嵌合するように設定され
る。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付の例示図に基
づいて説明すると、図１に於いて、１は天井近くに架設
された１本のガイドレール２に案内されて自走するモノ
レール式搬送用電車であって、巻き上げ繰り出し自在な
複数本の吊下索（ベルトなど）３によって荷移載装置４
を吊り下げている。５は前記電車１の走行経路下に配設
された荷取扱装置であって、この荷取扱装置５には、前
記荷移載装置４に対し上下方向に嵌合して当該荷移載装
置４を位置決めする位置決め用ガイド６が併設されてい
る。

【０００７】図２に示すように、前記電車１には、走行
用駆動車輪７とこれを回転駆動するモータ８、前記吊下
索３の巻き上げ繰り出し用プーリ９とこれを回転駆動す
るモータ１０が設けられ、前記荷移載装置４には、荷Ｗ
を電車走行方向に対し左右水平方向に搬送する移載コン
ベヤ１１が設けられている。また、前記荷取扱装置５に
は、前記荷移載装置４の移載コンベヤ１１と接続して荷
Ｗを水平方向に搬送する移載コンベヤ１２が設けられて
いる。この荷取扱装置５は、図では１つだけを示してい
るが、実際には電車走行経路下の複数箇所に設置される
のが普通である。而して、当該荷取扱装置５は、受け取
った荷Ｗに対し部品の取付け、加工、塗装、その他の各
種作業を行う機械装置や、他の場所へ荷Ｗを搬送する搬
送装置、或いは他の機械装置や搬送装置へ荷を移載する
荷受け台などである。なお、図１では、荷移載装置４の
手前にある荷取扱装置５を、９０度横に移動させて仮想
線で示している。

【０００８】前記位置決め用ガイド６は、荷移載装置４
の四隅をガイドする昇降ガイドレール１３から構成さ
れ、下降してくる荷移載装置４が多少水平方向に位置が
ずれていても各昇降ガイドレール１３内に円滑に誘導し
得るように、各昇降ガイドレール１３の上端は外広がり
に形成されている。この位置決め用ガイド６としては、
前記昇降ガイドレール１３に限定されるわけではなく、
例えば、荷移載装置４の底面複数箇所に設けられた上下
方向の孔内に個別に進入するピンを上向きに突設したも
のであっても良いし、荷移載装置４の側辺に軸支された
ガイドローラが進入する昇降ガイドレールなどであって
も良い。

【０００９】図３に示すように前記電車１には、走行用
駆動車輪７を回転駆動するモータ８の制御を行うコント
ローラ１４、吊下索巻き上げ繰り出し用プーリ９を回転
駆動するモータ１０の制御を行うコントローラ１５、及
びこれらコントローラ１４，１５に制御信号を与えるメ
インコントローラ１６が搭載されており、このメインコ
ントローラ１６は、前記プーリ９に連動連結されたパル
スエンコーダ１７の発信パルスを加減算計数して、前記
荷移載装置４の昇降レベルを検出する機能を備えてい
る。また、メインコントローラ１６には、地上側のホス
トコンピュータより行き先（複数の荷取扱装置５の内、
作業対象となるものを特定する）指令を受けて電車１を
走行開始させるが、電車走行中、当該メインコントロー
ラ１６は、例えば走行経路脇に設置されたコード板を電
車側の検出器で検出することにより得られる現在位置情
報、或いは前記駆動車輪７に連動連結されたパルスエン
コーダ１８の発信パルスをメインコントローラ１６内で
加減算計数して得られる現在位置情報により、電車１の
現在位置を常時把握している。

【００１０】図１に示すように、電車１の走行経路中に
は、各荷取扱装置５の真上位置に相当する移載位置Ｐ
と、各移載位置Ｐより一定距離Ｄだけ手前の減速位置Ｐ
Δとが設定され、これら設定位置Ｐ，ＰΔに電車１が到
着したことは、これら各設定位置に設置されたコード板
を検出する方式やパルス計数方式などによってメインコ
ントローラ１６に与えられる現在位置情報と、行き先情
報及び当該行き先情報に基づいて選択された減速位置情
報との比較演算により検知される。また、荷移載装置４
は上昇限レベルＬ１と下降限に相当する荷移載レベルＬ
２との間で昇降し得るが、この昇降経路中には、前記位
置決め用ガイド６より若干上方の位置に走行開始レベル
Ｌ３が設定される。これら各レベルＬ１〜Ｌ３に荷移載
装置４が到着したことは、前記のようにパルス計数方式
によりメインコントローラ１６が検出している荷移載装
置４の昇降現在レベル値と設定レベル値との比較演算に
より検知される。

【００１１】而して、前記メインコントローラ１６に記
憶された制御プログラムにより、本発明の制御方法が図
４のフローチャートに示すように実行される。即ち、荷
Ｗを移載コンベヤ１１上に支持した電車１のメインコン
トローラ１６に行き先指令が与えられると、当該メイン
コントローラ１６は、走行モータコントローラ１４を介
してモータ８を稼働させ、走行用駆動車輪７を回転駆動
して当該電車１を、行き先である特定の移載位置Ｐに向
かって走行させる。この電車１が目的の移載位置Ｐに対
し一定距離Ｄだけ手前の減速位置ＰΔを通過するとき、
メインコントローラ１６は、走行モータコントローラ１
４を介してモータ８の回転速度、即ち電車１の走行速
度、を予め設定されている低速度まで減速させると同時
に、昇降モータコントローラ１５を介してモータ１０を
稼働させ、プーリ９を吊下索繰り出し方向に回転駆動し
て、上昇限レベルＬ１にある荷移載装置４を下降させ始
める。

【００１２】走行を継続している電車１が目的の移載位
置Ｐに到着すると、メインコントローラ１６は走行モー
タコントローラ１４を介してモータ８を停止させ、電車
１を目的の移載位置Ｐで停止させる。このとき、下降中
の荷移載装置４は位置決め用ガイド６よりも上方のレベ
ルにあるが、電車停止後も当該荷移載装置４は下降を継
続するので、その四隅が位置決め用ガイド６を構成する
昇降ガイドレール１３の内側に嵌合することになる。そ
して荷移載装置４が荷移載レベルＬ２に到着すると、メ
インコントローラ１６は昇降モータコントローラ１５を
介してモータ１０を停止させるので、荷移載装置４は荷
移載レベルＬ２で停止する。係る状態で、移載コンベヤ
１１と荷取扱装置５側の移載コンベヤ１２とが駆動さ
れ、荷Ｗは、荷移載装置４上から荷取扱装置５上へ、ま
たはその逆に、荷取扱装置５上から荷移載装置４上へ、
搬送移載される。

【００１３】荷Ｗの移載が完了すると、メインコントロ
ーラ１６は昇降モータコントローラ１５を介してモータ
１０を稼働させ、プーリ９を吊下索巻き上げ方向に回転
駆動して、荷移載レベルＬ２にある荷移載装置４を上昇
させる。そして、この荷移載装置４が位置決め用ガイド
６の昇降ガイドレール１３から上方に脱出して前記走行
開始レベルＬ３を通過するとき、メインコントローラ１
６は走行モータコントローラ１４を介してモータ８を回
転駆動し、電車１を次の目的位置、例えばホームポジシ
ョンに向けて走行させる。一方、電車１の走行状態で上
昇移動している荷移載装置４が上昇限レベルＬ１に到着
すれば、メインコントローラ１６が昇降モータコントロ
ーラ１５を介してモータ１０を停止させるので、当該荷
移載装置４は上昇限レベルＬ１で停止する。

【００１４】上記実施例では、電車１が移載位置Ｐに到
着したときに、下降している荷移載装置４がまだ位置決
め用ガイド６よりも上方のレベルにあるように、荷移載
装置４の下降速度を設定したが、荷移載装置４が下降に
よって嵌合するタイプの位置決め用ガイド６ではなく、
荷移載レベルＬ２に到着停止した荷移載装置４の一部を
チャッキングして位置決めするタイプのロック手段を荷
取扱装置５に併設してあるときは、電車１が位置位置Ｐ
に到着する前に荷移載装置４が荷移載レベルＬ２に到着
停止するように、荷移載装置４の下降速度を設定するこ
とも出来る。勿論、この場合は、荷移載完了後、電車１
の走行開始と荷移載装置４の上昇開始とを同時に行わせ
ることが出来る。

【００１５】

【発明の作用及び効果】以上のように本発明の吊下荷移
載装置付き電車の制御方法によれば、電車が目的の移載
位置に到着停止する前から荷移載装置を下降させるので
あるから、電車の走行時間の少なくとも一部を荷移載装
置の下降時間に活用することになり、電車を移載位置で
停止させた状態で、荷移載装置を上昇限レベルから荷移
載レベルまで下降させる場合と比較して、電車の稼働効
率を高め、荷移載作業のサイクルタイムの短縮を図るこ
とが出来る。

【００１６】しかも、電車が目的の移載位置に近づいた
ために減速状態となったときに荷移載装置を下降させる
のであるから、高速走行途中に荷移載装置を下降させる
ような、荷移載装置の大きな揺れを伴う危険な事態は回
避することが出来、安全に荷移載装置を下降させること
が出来る。

【００１７】特に、請求項２に記載の本発明の制御方法
によれば、前記荷移載装置の下降速度が、減速走行して
いる前記電車が移載位置に到着停止したときに、前記荷
取扱装置に併設されている荷移載装置位置決め用ガイド
よりも上方レベルに前記荷移載装置があって、電車停止
後の荷移載装置の下降により当該荷移載装置が前記位置
決め用ガイドに嵌合するように設定されるのであるか
ら、前記位置決め用ガイドに対しては、移載位置で電車
を停止させた状態での荷移載装置の下降運動を利用して
自動的に当該荷移載装置を嵌合させることになり、荷移
載レベルに停止した荷移載装置に対して係合離脱自在な
可動ロック装置を使用する場合よりも安価に実施するこ
とが出来るにも拘らず、荷移載作業時に吊り下げられて
いる荷移載装置の横揺れを防止し、安全な荷移載作業が
行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明制御方法を説明する概略側面図であ
る。

【図２】 吊下荷移載装置付き電車と荷取扱装置とを示
す一部切り欠き正面図である。

【図３】 電車の走行駆動系と荷移載装置の昇降駆動系
とを説明するブロック線図である。

【図４】 制御方法を説明するフローチャートである。

【符号の説明】

１ モノレール式搬送用電車 ２ ガイドレール ３ 巻き上げ繰り出し自在な吊下索 ４ 荷移載装置 ５ 荷取扱装置 ６ 荷移載装置の位置決め用ガイド ７ 走行用駆動車輪 ８ 走行駆動用モータ ９ 吊下索の巻き上げ繰り出し用プーリ １０ 昇降駆動用モータ １１ 荷移載装置の移載コンベヤ １２ 荷取扱装置の移載コンベヤ １３ 荷移載装置の四隅をガイドする昇降ガイドレール １７ パルスエンコーダ １８ パルスエンコーダ Ｌ１ 上昇限レベル Ｌ２ 荷移載レベル（下降限レベル） Ｌ３ 走行開始レベル Ｐ 移載位置 ＰΔ 減速位置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】荷移載装置を巻き上げ繰り出し自在な吊下
   索により吊り下げた電車の走行経路下に、荷移載レベル
   まで下降させた前記荷移載装置との間で荷を受渡しする
   荷取扱装置を配設した設備に於いて、走行している前記
   電車が、荷取扱装置に対応する移載位置より一定距離手
   前に設定された減速位置を通過するときから、前記電車
   の走行速度を減速させると共に前記荷移載装置の下降を
   開始させることを特徴とする吊下荷移載装置付き電車の
   制御方法。
2. 【請求項２】前記荷移載装置の下降速度が、減速走行し
   ている前記電車が移載位置に到着停止したときに、前記
   荷取扱装置に併設されている荷移載装置位置決め用ガイ
   ドよりも上方レベルに前記荷移載装置があって、電車停
   止後の荷移載装置の下降により当該荷移載装置が前記位
   置決め用ガイドに嵌合するように設定されている請求項
   １に記載の吊下荷移載装置付き電車の制御方法。