JPH0611539B2 - 印刷機における用紙搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明はオフセット印刷機等の印刷機における用紙搬
送装置に関する。

「従来の技術」 例えばオフセット印刷機は、版の画像をゴムブランケッ
トに転写し、これをさらに用紙に転写することにより、
印刷を行うようになっている。

従来のこのようなオフセット印刷機を例えば第３図を参
照して説明すると、昇降自在の給紙台１１に載置された
用紙１２は真空式の紙送り出し装置１３の作用によって
上から１枚ずつ送り出される。この送り出された用紙１
２は、繰り出しローラ１４と繰り出しコロ１５とによっ
て搬送され、さらに２組の紙送りローラ１６とスチール
ボール１７とによって搬送される。

この搬送される用紙１２の先端が、非回転状態で離間し
ているフィードローラ２１とフィードコロ２２との間を
通過して前当て２３の手前に到達すると、このタイミン
グで繰り出しコロ１５が上昇して繰り出しローラ１４か
ら離間し、同時にフィードコロ２２が下降してフィード
ローラ２１に当接する。この後、用紙１２は２組の紙送
りローラ１６とスチールボール１７とによって搬送さ
れ、その先端が前当て２３に当接して一旦停止される。
用紙１２の横方向の位置決めは横見当装置２４によって
行われる。

所定のタイミングで前当て２３が前方に倒れもしくは上
方に逃げ、次いでフィードローラ２１が回転し始める
と、用紙１２は正規に搬送され、その先端を矢印方向に
回転している圧胴２５の爪２６によって爪台２７に押さ
え付けられ、圧胴２５の表面に巻回される。この巻回さ
れた用紙１２に印刷が行われることになるが、次にこれ
について説明する。

３つの明すなわち版胴２８、転写胴２９及び圧胴２５は
互いに同期してそれぞれ矢印方向に回転される。版胴２
８の表面に巻回された版（図示せず）に塗布されたイン
キは、転写胴２９の表面に巻回されたゴムブランケット
（図示せず）に転写され、さらに圧胴２５の表面に巻回
されている用紙１２に転写され、かくして印刷が行われ
る。

印刷後の用紙１２は、所定のタイミングでその先端を圧
胴２５の爪２６から解放され、代わりに圧胴２５と同期
して矢印方向に回転している排紙胴３１の爪３２によっ
て爪台３３に押さえ付けられ、排紙胴３１の表面に巻回
される。この巻回された用紙１２は、所定のタイミング
でその先端を排紙胴３１の爪３２から解放され、排紙ベ
ルト３４によって昇降自在の排紙台３５に排出される。

ところで、従来のこのようなオフセット印刷機では、よ
り詳細には、フィードローラ２１によって搬送される用
紙１２の速度を圧胴２５の表面速度よりも幾分速い速度
とし、その先端を矢印方向に回転している圧胴２５の見
当当て（図示せず）を追跡させてこれに突き当てなが
ら、爪２６によって爪台２７に押さえ付け、圧胴２５の
表面に巻回させた後転写胴２９と圧胴２５との間を通過
させて印刷を行っている。

しかしながら、用紙１２の先端を圧胴２５の見当当てを
追跡させてこれに突き当てながら、爪２６によって爪台
２７に押さえ付けているので、用紙１２の先端の位置を
常に一定としがたく、印刷精度が劣るという問題があっ
た。

このような問題は小型機に多く、大型機では特殊な装置
の使用により、印刷精度の向上が図られている。例え
ば、スインググリッパと称される装置がそれで、前当て
２３に当接して一旦停止された用紙１２の先端を爪及び
爪台でくわえ、揺動して用紙１２の速度を圧胴２５の表
面速度に次第に近づけ、等速となったらこの速度を保持
しつつ、用紙１２の先端を圧胴２５の爪２６及び爪台２
７に渡し、用紙１２が圧胴２５の表面に巻回され転写胴
２９と圧胴２５との間を通過して印刷が行われるように
なっている。

しかしながら、従来のこのような装置では、構成が複雑
でコストも高く、また調整が大変であり、さらには印刷
機の大型化を招いてしまうので小型機には不向きである
という問題があった。

また、以上のようなオフセット印刷機では、用紙１２を
圧胴２５に巻回させているので、用紙１２が厚紙である
場合には腰が強すぎて巻回させることができず、ひいて
は印刷を行うことができないことになる。

一方、厚紙に印刷を行うことのできるオフセット印刷機
では、図示していないが、フィードローラとフィードコ
ロの前段に給紙ボックスが設けられ、これに収容された
用紙を下から１枚ずつその後端を金属片等で突いて送り
出し、転写胴と圧胴との間を水平状態のまま通過させて
印刷を行い、印刷後の用紙を排紙ベルトによって排紙台
に排出するようになっている。

しかしながら、従来のこのようなオフセット印刷機で
は、用紙の後端を金属片等で突いて送り出しているだけ
であるので、用紙の先端の位置を常に一定としがたく、
印刷精度が劣るという問題があった。

「発明が解決しようとする問題点」 このように、従来のオフセット印刷機では、簡単な装置
の場合には、用紙の先端の位置を常に一定としがたく、
印刷精度の向上を図ることができず、一方、複雑な装置
の場合には、コストが高く、調整も大変であり、さらに
大型化を招くので小型機には不向きであるという問題が
あった。

この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡
単な構成で印刷精度の向上を図ることのできる印刷機に
おける用紙搬送装置を提供することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 この発明では、フィードローラの回転により用紙を転写
胴と圧胴との間に送り込み、この間を通過する用紙に印
刷を行うようにした印刷機において、フィードローラに
設けられたピニオンと、このピニオンに噛合されたラッ
クと、転写胴もしくは圧胴に設けられたカムと、このカ
ムの回転に伴いラック及びピニオンを介してフィードロ
ーラを正方向に回転させた後逆方向に回転させるための
回転力伝達手段とを用紙搬送装置に具備させ、カムの作
用により、フィードローラによって搬送される用紙の速
度が転写胴の表面速度まで上昇するように構成したもの
である。

この発明によれば、カムの作用によってフィードローラ
を回転させるだけでよいので、構成の簡略化を図ること
ができ、またフィードローラによって搬送される用紙の
速度を転写胴の表面速度まで上昇させることができるの
で、用紙の先端の位置が安定し、印刷精度の向上を図る
ことができることになる。

「実施例」 以下、実施例につきこの発明を詳細に説明する。

第１図〜第３図はこの発明の一実施例におけるオフセッ
ト印刷機の要部を表したものである。第１図及び第２図
において第３図と同一部分には同一の符号を付し、その
説明を適宜省略する。

このオフセット印刷機では、転写胴２９の軸４１の端部
に所定の形状のカム４２が設けられている。カム４２の
近傍にはレバー４３が配置されている。レバー４３の上
端部は図示しない機枠に軸４４を介して回動自在に取り
付けられている。レバー４３の中央部には軸４５を介し
てコロ４６が回動自在に設けられている。レバー４３は
バネ４７によって時計方向に付勢されているが、後で説
明する調節ボルト７２の先端に当接するとそれ以上の回
動を阻止されるようになっている。

レバー４３の下端部には軸５１を介してラック５２の一
端部が回動自在に取り付けられている。ラック５２は、
バネ５３によって、フィードローラ２１の軸５４の端部
に設けられたピニオン５５と常に噛合する状態に保持さ
れるようになっている。レバー４３、コロ４６及びバネ
５３等により、ラック５２及びピニオン５５を介してフ
ィードローラ２１を回転させるための回転力伝達手段が
構成されている。

機枠の所定の箇所には軸６１を介してレバー６２の下端
部が回動自在に取り付けられている。レバー６２は、そ
の中央部に形成されたガイド孔６３を介して機枠に設け
られたピン６４にその回動動作を規制されるようになっ
ている。

レバー６２の所定の箇所には係止板６５が設けられてい
る。係止板６５の近傍にはカム６６が配置されている。
カム６６は機枠に軸６７を介して回動自在に取り付けら
れている。カム６６には切り換えハンドル６８が取り付
けられている。レバー６２はバネ６９によって反時計方
向に付勢されているが、係止板６５がカム６６に当接す
るとそれ以上の回動を阻止されるようになっている。

レバー６２の所定の２個所には支持板７１が設けられて
いる。これらの支持板７１には、コロ４６のカム４２に
対する初期位置を調節するための調節ボルト７２が螺装
されている。調節ボルト７２はロックナット７３によっ
てロックされるようになっている。

このオフセット印刷機では、２通りの方法で印刷を行う
ことができるようになっている。すなわち、切り換えハ
ンドル６８が第１図に示す状態にされると、調節ボルト
７２の先端に当接するレバー４３が同図に示す状態とな
り、コロ４６の通常の状態における位置がカム４２の軸
４１に近接する近接位置となる。一方、切り換えハンド
ル６８が第２図に示す状態にされると、調節ボルト７２
の先端に当接するレバー４３が同図に示す状態となり、
コロ４６の通常の状態における位置がカム４２の軸４１
から離間する離間位置となる。

このオフセット印刷機で第１図または第２図に示す状態
で印刷が開始され、用紙１２の先端が前当て２３に当接
して一旦停止された後、前当て２３が前方に倒れもしく
は上方に逃げたとする。すると、所定のタイミングで転
写胴２９と共に矢印方向に回転しているカム４２がコロ
４６に当接し、これによりレバー４３が反時計方向に回
動し、ラック５２とピニオン５５の噛合作用により、フ
ィードローラ２１が矢印方向に回転し始め、用紙１２が
正規に搬送される。

カム４２の形状は、第１図及び第２図に示すいずれの状
態の場合でも、フィードローラ２１によって搬送される
用紙１２の速度が転写胴２９の表面速度に次第に近づ
き、等速となったらこの速度を保持しつつ用紙１２の先
端を転写胴２９と圧胴２５との接点部に送り込むことが
できるようになっている。用紙１２の先端が転写胴２９
と圧胴２５との接点部に送り込まれるタイミングは、調
節ボルト７２を調節することにより、精密に調節するこ
とができる。

ここで、既に説明したように、第１図に示す状態と第２
図に示す状態とでは、コロ４６の位置が異なるので、カ
ム４２がコロ４６に当接するタイミングに差が生じるこ
とになる。すなわち、第１図に示す状態の場合に対し、
第２図に示す状態の場合には、カム４２がコロ４６に当
接するタイミングが所定の時間だけ遅れることになる。

したがって、第１図に示す状態の場合に対し、第２図に
示す状態の場合には、フィードローラ２１が回転し始め
るタイミングが所定の時間だけ遅れることになる。これ
は、第１図に示す状態の場合には、用紙１２の先端が矢
印方向に回転している圧胴２５の爪２６によって爪台２
７に押さえ付けられ、圧胴２５の表面に巻回されるのに
対し、第２図に示す状態の場合には、矢印方向に回転し
ている圧胴２５の爪２６の部分が用紙１２の先端よりも
先行し、用紙１２の先端が圧胴２５の爪２６によって爪
台２７に押さえ付けられないようにするためである。

以上のことから、このオフセット印刷機で薄紙やコート
紙等に印刷を行う場合には、第１図に示すような状態で
行うことになる。すなわち、薄紙やコート紙等からなる
用紙１２は、転写胴２９と圧胴２５との接点部を通過し
て若干（３〜５mm）突出したらその先端を圧胴２５の爪
２６によって爪台２７に押さえ付けられ、圧胴２５の表
面に巻回され、印刷が行われる。印刷後の用紙１２は、
所定のタイミングでその先端を圧胴２５の爪２６及び爪
台２７から排紙胴３１の爪３２及び爪台３３に渡され、
次いで所定のタイミングで排紙胴３１の爪３２から解放
され、排紙ベルト３４によって昇降自在の排紙台３５に
排出される。

一方、このオフセット印刷機で名刺やハガキ、カード類
等に印刷を行う場合には、第２図に示すような状態で行
うことになる。すなわち、名刺やハガキ、カード類等か
らなる用紙１２は、転写胴２８と圧胴２５との接点部を
通過して若干（３〜５mm）突出してもその先端を圧胴２
５の爪２６によって爪第２７に押さえ付けられることは
なく、転写胴２９と圧胴２５との間を水平状態のまま通
過し、印刷が行われる。印刷後の用紙１２は、圧胴２５
の後段に設けられた排紙ベルト７４によって昇降自在の
排紙台３５に排出される。このとき、排紙台３５は、排
紙ベルト３４の後段ではなく、排紙ベルト７４の後段に
配置されることになる。

第２図に示すような状態の場合には、金縁等のカードの
ように印刷後に断載仕上げを行うことができないもの、
爪跡を付けられないもの、用紙の先端から印刷を行うも
の等に印刷を行うこともできる。

なお、上記実施例ではカム４２を転写胴２９に設けてい
るが、これに限定されるものではなく、例えば圧胴２５
に設けてもよい。

「発明の効果」 以上説明したようにこの発明によれば、カムの作用によ
ってフィードローラを回転させるだけでよいので、構成
が簡単でコストも安く、また小型化することができ、小
型機への適用が可能であり、さらにフィードローラによ
って搬送される用紙の速度を転写胴の表面速度のまで上
昇させることができるので、用紙の先端の位置が安定
し、印刷精度の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はこの発明の一実施例を説明するために
示すもので、このうち第１図は薄紙に印刷を行う場合を
示す概略側面図、第２図は厚紙に印刷を行う場合を示す
概略側面図、第３図は給紙台から排紙台までの要部を示
す概略側面図である。 １１……給紙台、１２……用紙、２１……フィードロー
ラ、２２……フィードコロ、２３……前当て、２５……
圧胴、２６……爪、２８……版胴、２９……転写胴、３
１……排紙胴、３２……爪、３４……排紙ベルト、３５
……排紙台、４２……カム、４３……レバー、４６……
コロ、４７……バネ、５２……ラック、５３……バネ、
５４……ピニオン、６２……レバー、６６……カム、６
８……ハンドル、６９……バネ、７２……調節ボルト、
７４……排紙ベルト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フィードローラの回転により用紙を転写胴
   と圧胴との間に送り込み、この間を通過する用紙に印刷
   を行うようにした印刷機において、フィードローラに設
   けられたピニオンと、このピニオンに噛合されたラック
   と、転写胴もしくは圧胴に設けられたカムと、このカム
   の回転に伴いラック及びピニオンを介してフィードロー
   ラを正方向に回転させた後逆方向に回転させるための回
   転力伝達手段とを具備し、カムの作用により、フィード
   ローラによって搬送される用紙の速度が転写胴の表面速
   度まで上昇するように構成したことを特徴とする印刷機
   における用紙搬送装置。