JPH06115066A

JPH06115066A - 印刷方法及びこれにより印刷されたテープカセット、ディスクカートリッジ

Info

Publication number: JPH06115066A
Application number: JP28534792A
Authority: JP
Inventors: Kenichi Kano; 賢一鹿野
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1992-09-30
Filing date: 1992-09-30
Publication date: 1994-04-26

Abstract

(57)【要約】【構成】被印刷体に対して、インクの発色を助ける白
ベタの役割と、インクの吸収材としての役割とを有する
下塗り層を予め形成してから、水溶性塗料インクを用い
ていわゆるインクジェット式の印刷ヘッドによりフルカ
ラー印刷を行い、さらに、透明のトップコート層を形成
する。この方法によってテープカセット及びディスクカ
ートリッジが印刷される。【効果】テープカセット等に対して、水性のインクを
用いた高品位のフルカラー印刷を効率良く施すことがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック板等の被
印刷物にフルカラー印刷を行う印刷方法、及び印刷され
たテープカセット、ディスクカートリッジに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】例えば、磁気テープが収納されたテープ
カセットや、光ディスクや光磁気ディスク等が収納され
てなるカセット、ディスクカートリッジ等においては、
自社製のものであることを主張するためのロゴマークや
商品価値を高めるために付加する種々のデザインを施し
た印刷がなされている。かかるカセット等に印刷を施す
には、一般に以下の手順に従って行われる。

【０００３】先ず、テープカセットに印刷するデザイン
が描かれた原稿をカラースキャナーで色分解する。そし
て、その色分解に応じてカラーポジフィルムを作製した
後、各色の製版をそれぞれ作製する。次に、これを校正
した後、テープカセットに試し刷りしてインク粘度を調
整する。そして、最後に、各色版を見当合わせしてテー
プカセットに印刷を行う。

【０００４】印刷の方法としては、オフセット印刷、Ｐ
ＡＤ、シルクスクリーン、熱転写等が用いられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の印刷
工程は、いずれもこの分野に熟練した作業者が職人的感
覚によって行われ、そのほとんどの工程が手作業で行わ
れている。このため、下地として塗る白色の顔料を含ん
だいわゆる白ベタ、三原色、墨、トップコートの絵柄合
わせや、インク調色、インク粘度調整等にばらつきを生
じやすい。また、製版交換、各色合わせの見当作業が極
めて難しく、しかも時間がかかる上、複数個まとめて印
刷できない等の問題がある。また、各色に合わせて製版
を作製する必要があるために、コストの面で不利であ
る。

【０００６】また、通常、テープカセット等は、樹脂を
射出成形することにより形成されるものがそのほとんど
である。したがって、射出成形工程で発生する樹脂特有
の冷却による収縮によって、僅かながらも反り、曲が
り、ヒケ等が生じ、テープカセット印刷面の平面性が悪
化する。特に、テープカセット平面部の全面ベタ印刷で
は、微小の反り、曲がり、凹凸等があると転写ローラと
の当たり不足となり色むら、色抜け、文字カスレ等が発
生し、印刷の品質が劣化する。

【０００７】このため、テープカセットに対する転写ロ
ーラの当たり改善として印刷転写圧力を高めることが考
えられる。しかしながら、転写圧力を高めてしまうと、
転写ローラゴム層のゆがみが発生し、転写される画像、
文字がゆがんで印刷されてしまう。また、高印圧により
テープカセットの変形復元時に陰画、印字にブチリ、汚
れが発生し著しく印刷品位が低下するばかりか、テープ
カセットの材質によってはクラックや欠け等が発生す
る。したがって、これまでは、テープカセット平面部の
みしか印刷できなかのが現状である。

【０００８】また、白ベタ印刷は上述のように、むら、
カスレ等が発生しやすいとともに、テープカセットの樹
脂色はグレーやブラック系であることが多いため、カラ
ー着色の発色性を考慮して、この白ベタ印刷を複数回繰
り返して行う必要がある。さらに、通常この白ベタ下地
は、水溶性インクをはじいてしまうので、印刷に用いる
ことができるインクは油性インクに限られる。

【０００９】そこで本発明は、かかる実情に鑑みて提案
されたものであり、水溶性の塗料インクを用いて高品位
に印刷可能な印刷方法を提供することを目的とする。ま
た、上記印刷方法を適用した高品位印刷が施されたテー
プカセット及びディスクカートリッジを提供することを
目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために提案されたものである。本発明の印刷方
法は、高密着層と、充填材及び結着剤を含有する層とが
順次形成された被印刷体に対して、水溶性塗料インクを
用いて非接触式の印刷ヘッドにより印刷を行い、その
後、透明のトップコート層を形成することを特徴とする
ものである。

【００１１】ここで、充填材及び結着剤を含有する層と
は、水溶性塗料インクの吸収材やインクの発色を助ける
白色の顔料が含有される印刷のための下塗り層というべ
き層である。また、高密着層とは、上記下塗り層を被印
刷体である樹脂に密着させるための層である。そして、
トップコート層は、表面コーティングの役割と、上記高
密着層にまで浸透することで被印刷体に設けられたこれ
ら全ての層を高密着させる役割とのために設けられる。

【００１２】すなわち、本発明は、水溶性の塗料インク
を吸収できるとともに白色の下地も兼ねるような下塗り
層を被印刷体表面に予め設けておくことによって、水溶
性塗料インクを用いるいわゆるインクジェット式印刷を
プラスチック板等に施すことを可能とし、高密着層を設
け透明のトップコート剤を塗布することで、プラスチッ
ク板等に高密着化させることを可能とする印刷方法であ
る。

【００１３】そして、本発明のテープカセット及びディ
スクカートリッジは、上述の印刷方法を適用して印刷が
施されたものである。

【００１４】

【作用】本発明の印刷方法においては、映像情報に所定
の画像変換処理を施し、その画像変換処理された情報に
基づいて非接触の印刷ヘッドによりカセットの表面に印
刷するようにしているので、これまで使用されてきた各
色版が画像出力に代わることになり、結果として製版、
版交換、各色版見当合わせ、インク調色、インク粘度調
整等の面倒な作業が一切不要となり、生産性の向上並び
にコストダウンが図れる。

【００１５】さらには、印刷ヘッドが被印刷体に対して
非接触とされるので、当該被印刷体に反り、曲がり、凹
凸等があってもこれらに左右されることなく、高品位に
印刷が行える。したがって、色むら、色抜け、文字カス
レが生じない。

【００１６】また、本発明の印刷方法においては、水溶
性の塗料インクを吸収できるとともに白色の下地も兼ね
るような下塗り層を被印刷体表面に予め設けておくこと
によって、白ベタ印刷を繰り返すことなく、水溶性塗料
インクを用いて良好な発色性で印刷を行える。そして、
上述の下塗り層の下に設けられている高密着層が、被印
刷体である樹脂と上記下塗り層との密着性を高めてい
る。さらに、透明のトップコート剤を塗布すると、これ
が上記高密着層にまで浸透し、被印刷体に設けられた全
ての層が高密着化される。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の印刷
方法は、母材であるテープカセットの表面に第１層目と
して高密着層、第２層目として充填材及び結着剤を含有
する層を形成し、その上にフルカラー印刷を行い、最後
にトップコート処理をするものである。

【００１８】先ず、テープカセット表面に対して第１層
目の高密着層２（図１に示される。）を形成する。ここ
で、高密着層２とは、アンカー層、接着層としての役割
をするものであり、第２層目以降の層とカセット樹脂と
の密着性を高めるための層である。

【００１９】この高密着層に用いる物質は、テープカセ
ットをなす樹脂との接着性を考慮して適宜選択される
が、次のようなものが挙げられる。１．溶剤系接着剤（カセット表面を溶解させて接着す
る。）２．溶剤系シルクスクリーン系のインク３．アルミナ＋水溶性樹脂＋水４．上面に水性のりが塗布され、下面はカセット表面と
接着する粘着剤が塗布されたような両面テープでも代用
可能である。

【００２０】そして、上記の物質を５０〜５００μｍの
厚みになるように設ける。好ましくは２００μｍ程度の
厚みになるように塗布する。

【００２１】次に、第２層目として充填材と結着剤を含
有する層３を設ける。この層は、水溶性塗料インクを吸
収材やインクの発色を助ける白色の顔料が含有される印
刷のための下塗り層というべき層である。以下に、この
層を形成するために塗布する塗料の成分例を示す。シリカ１００重量部ゼラチン３０重量部合成樹脂（水系）５重量部水２００〜２８０重量部

【００２２】上記の例の他に、充填材としては、シリカ
の代わりにアルミナ、炭酸カルシウム、タルク、ケイソ
ウ土、ゼオライト等、吸水量の大きい材料が好ましく、
この層の吸インク量が１０ml/cm²以上となるように作製
するのが好ましい。また、結着剤としては、ゼラチンや
ポリアミドアルキシドの代わりにポリアクリルアミド等
の水溶性高分子、デンプン、アラビアゴム等が使用可能
である。さらに、上記合成樹脂としてはポリアミド樹
脂、アルキド樹脂等が挙げられる。

【００２３】なお、上記成分比は、ノズルの径や被印刷
体の地色、隠蔽率等により適宜変化させ調製する。

【００２４】上述の塗料を１０〜５０μｍの厚みになる
ように塗布するのであるが、好ましくは２０〜３５μｍ
の厚みとする。このようにして、フルカラー印刷を行う
ための下地ができあがる。

【００２５】そして、上述の層の上に非接触式の印刷ヘ
ッドによりフルカラー印刷を行う。ここで用いる印刷ヘ
ッドは、例えば微細なノズルの先端からインクを被印刷
体に向けて噴射することにより非接触で印刷する、いわ
ゆるインクジェット記録方式の印刷ヘッドである。かか
る印刷ヘッドは、画像処理部より出力される各色分解デ
ィジタル信号に応じてカセットの印刷指定部にフルカラ
ー印刷を行うようになされている。

【００２６】すなわち、図２に示すように、上記印刷ヘ
ッド８は、被印刷体収納容器９に収納される複数個のテ
ープカセット１４に対してこの印刷ヘッドを上下方向及
び左右方向に移動自在となす印刷ヘッド作動機構部１５
に取り付けられることにより、ヘッド部１６に設けられ
るノズルの先端より水溶性塗料インクを噴射して上記テ
ープカセット１４に印刷指定部分にフルカラー印刷を行
うようになされている。

【００２７】なお、上記印刷ヘッド８は、被印刷体の凹
凸を検出する検出手段を有し、被印刷体との高さが制御
されるようになされているため、被印刷体に反り、曲が
り、凹凸があっても色むら、色抜け、文字カスレ等が生
ずることなく、平面部から凹凸面、傾斜面、湾曲面、楕
円部、多角部へと連続して印刷を行うことも可能であ
る。

【００２８】そして、この印刷ヘッド８には、シアン，
マゼンダ，イエローの三原色及び墨をそれぞれ収容して
なる各インクタンク１７から導出されるインクパイプ１
８が接続されるようになっている。すなわち、上記印刷
ヘッド８のヘッド部１６に設けられる各ノズルに、上記
各インクタンク１７から導出されるそれぞれのインクパ
イプ１８が接続されている。また、上記インクタンク１
７は、上記画像処理部７と接続され、この画像処理部７
からの各色分解ディジタル信号に応じて動作しそれぞれ
のノズルに水溶性塗料インクを送るようになっている。

【００２９】以下に、上記水溶性塗料インクの成分比を
示す。染料２〜３重量部ジエチルアルコール３０重量部水５０〜７０重量部

【００３０】上述のような印刷ヘッドにより、水溶性塗
料インクがテープカセット１４上に導出され、フルカラ
ー印刷がなされる。このようにして形成された水溶性塗
料インクの層４を第３層目とする。

【００３１】最後に、第４層目として透明トップコート
層５を形成する。この層には上記水溶性塗料インクの層
４をコーティングするとともに、第１層目の高密着層２
にまで浸透して、上述した全ての層の密着性を高めると
いう役割も担っている。

【００３２】この透明トップコート層５は、油性のもの
（有機溶剤可溶性樹脂）を主成分としても水性のもの
（水溶性樹脂や水性ニス等）を主成分としても良い。例
示するならば、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリアミ
ド、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルホルマ
ール、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポ
リビニルブチラール、合成ゴム系合成樹脂ラテックス等
が挙げられる。

【００３３】上記主成分に水７０重量部と有機溶剤１０
〜２０重量部を加えたものをトップコート剤として、上
記フルカラー印刷によって形成された水溶性塗料インク
の層４の上に５０〜５００μｍの厚みで、好ましくは１
００〜２００μｍの厚みで塗布する。

【００３４】以上のようにして下塗り層の形成、フルカ
ラー印刷、トップコート処理が連続して行われ、その結
果、母材であるテープカセットの上に、高密着層２、充
填材と結着剤を含有する層３、水溶性塗料インクの層
４、トップコート層５なる４つの層が形成される。

【００３５】本実施例では、テープカセットに対して印
刷する方法を例に挙げて説明したが、本発明は上記テー
プカセットやディスクカートリッジの印刷に適用できる
他に、これらを収納するための収納容器にも用いること
ができるものである。また、これに限らず、プラスチッ
ク板を始めあらゆる材料に対してフルカラー印刷する方
法として有用である。

【００３６】

【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の印刷方法においては、映像情報に所定の画像変換処
理を施し、その画像変換処理された情報に基づいて非接
触の印刷ヘッドによりテープカセットの表面に印刷する
ようにしているので、これまで使用されてきた各色版が
画像出力に代わることになり、結果として面倒な作業が
一切不要となる。よって、生産性の向上が図れるととも
に、大幅なコストダウンを達成することができる。

【００３７】さらには、印刷ヘッドが被印刷体に対して
非接触とされるので、当該被印刷体に反り、曲がり、凹
凸等があっても色むら、色抜け、文字カスレが生じるこ
となく、高品位な印刷が行うことができる。

【００３８】また、本発明の印刷方法においては、水溶
性の塗料インクを吸収できるとともに白色の下地も兼ね
るような下塗り層を被印刷体表面に予め設けておくた
め、白ベタ印刷を繰り返すことなく、水溶性塗料インク
を用いて良好な発色性で印刷を行うことが可能である。

【００３９】そして、上述の下塗り層の下に設けられて
いる高密着層が、被印刷体である樹脂と上記下塗り層と
の密着性を高めている。さらに、透明のトップコート剤
を塗布すると、これが上記高密着層にまで浸透し、被印
刷体に設けられた全ての層が高密着化される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の印刷方法で印刷されたテープカセット
の表面を模式的に示す拡大断面図である。

【図２】印刷ヘッド構成部分を示す斜視図である。

【符号の説明】

１・・・テープカセット２・・・高密着層３・・・充填材及び結着剤を含有する層４・・・水溶性塗料インク層５・・・トップコート層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】高密着層と、充填材及び結着剤を含有す
る層とが順次形成された被印刷体に対して、水溶性塗料
インクを用い非接触式の印刷ヘッドにより印刷を行い、
その後、透明のトップコート層を形成することを特徴と
する印刷方法。
【請求項２】被印刷面に高密着層と充填材及び結着剤
を含有する層とが順次形成され、その上に水溶性塗料イ
ンクを用いた非接触式の印刷ヘッドによる印刷が施さ
れ、さらに透明のトップコート層が形成されてなること
を特徴とするテープカセット。
【請求項３】被印刷面に高密着層と充填材及び結着剤
を含有する層とが順次形成され、その上に水溶性塗料イ
ンクを用いた非接触式の印刷ヘッドによる印刷が施さ
れ、さらに透明のトップコート層が形成されてなること
を特徴とするディスクカートリッジ。