JPH0611414Y2 - 回転方向切換え可能な動力伝達装置 - Google Patents

回転方向切換え可能な動力伝達装置

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JPH0611414Y2
JPH0611414Y2 JP5493989U JP5493989U JPH0611414Y2 JP H0611414 Y2 JPH0611414 Y2 JP H0611414Y2 JP 5493989 U JP5493989 U JP 5493989U JP 5493989 U JP5493989 U JP 5493989U JP H0611414 Y2 JPH0611414 Y2 JP H0611414Y2
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、小型でかつ伝達可能なトルクが大きい、回転
方向の切り換えが可能な動力伝達装置に関する。
〔従来の技術〕
従来から、回転方向の切り換えが可能な動力伝達装置と
しては、第4図に示すようなものが用いられている。第
4図は従来装置の概要図である。
同図の装置は、その回転軸にプーリ(02)を装着した電動
機(01)を駆動源としている。プーリ(02)は、ベルト(04)
により、入力軸(07)に装着された他のプーリ(03)と連結
され、電動機(01)の回転を入力軸(07)に伝達する。
入力軸(07)には、該プーリ(03)のほかに、ギア(05)と他
のプーリ(06)とが、該プーリ(03)、ギア(05)、他のプー
リ(06)の順に装着されているとともに、全体が入力軸(0
7)の両端に配置されたベアリング(08)と(09)とにより支
承されており、回転自在である。
また、入力軸(07)と平行に補助軸(11)が配されおり、該
補助軸(11)は、その一端を入力軸(07)のギア(05)とプー
リ(06)の間に対応する位置に有し、他端をギア(05)とプ
ーリ(03)の間に対応する位置に有する。補助軸(11)には
ギア(10)が装着されており、該ギア(10)は、前記ギア(0
5)と噛合している。また、補助軸(11)は、ベアリング(1
2)により支承されているとともに、そのプーリ(06)側の
端部にクラッチ(13)の一方のクラッチ板を有し、補助軸
(11)と同軸上に配された出力軸(14)の端部のクラッチ(1
3)の他方のクラッチ板と連結・分離自在である。
出力軸(14)は、上記のようにクラッチ(13)の一方のクラ
ッチ板を有するとともに、その中間部に他のクラッチ(1
6)の一方のクラッチ板も有する。
また、出力軸(14)は、プーリ(15)を貫通しており、該プ
ーリ(15)は出力軸(14)に対し回転自在かつ軸方向に移動
自在である。さらに、出力軸(14)は、ベアリング(17)に
より支承され、回転自在である。ところで、前記プーリ
(15)は、ベルト(18)により、入力軸(07)のプーリ(06)と
連結されているとともに、クラッチ(16)の一方のクラッ
チ板に対向する面にクラッチ(16)の他方のクラッチ板を
有し、出力軸(14)と連結・分離自在である。
次に、第4図の装置の動作を説明すると、電動機(01)に
より発生した回転は、一対のプーリ(02)と(03)とによ
り、入力軸(07)に伝達され、入力軸(07)は常に電動機(0
1)と同方向に回転する。
出力軸(14)を電動機(01)と同方向に回転させるときに
は、クラッチ(13)を分離しクラッチ(16)を連結する。こ
のとき、入力軸(07)の回転は、一対のプーリ(06)と(15)
により出力軸(14)に伝達され、出力軸(14)は電動機(01)
と同方向に回転する。
一方、出力軸(14)を電動機(01)と逆方向に回転させると
きには、クラッチ(13)を連結しクラッチ(16)を分離す
る。このとき、入力軸(07)の回転は、一対のギア(05)と
(10)により、補助軸(11)およびクラッチ(13)を介して出
力軸(14)に伝達され、出力軸(14)は電動機(01)と逆方向
に回転する。
以上のように、クラッチ(13)とクラッチ(16)を交互に連
結・分離することで、出力軸(14)の回転方向を切り換え
るのである。
また、回転方向の切り換えが可能な動力伝達装置とし
て、実開昭60−164154号公報に第5図に示す装置が提示
されている。第5図は、実開昭60−164154号公報に提示
された動力伝達装置を示すものであり、同図において(8
0)は駆動軸であって、該駆動軸(80)の先端に駆動ベベル
ギア(81)を設け、該駆動軸(80)の先端外方に該駆動軸(8
0)と略直交させて筒状の出力軸(82)を配し、該出力軸(8
2)には、前記駆動ベベルギア(81)の両側に、歯部と軸部
とからなる正転ベベルギア(83)と逆転ベベルギア(84)と
を、その歯部を向かい合わせて出力軸(82)に対し回転自
在に配設し、かつ、その各々を駆動ベベルギア(81)に噛
合連結させている。出力軸(82)には、回転自在かつ軸方
向に移動自在に略円柱状のプッシュロッド(86)が軸挿さ
れており、該プッシュロッド(86)の一端部は出力軸(82)
の外部に達し、シフトカム(85)に当接している。また、
他端部には、プッシュピン(89)が回転自在に設けられて
おり、このプッシュピン(89)は、正転ベベルギア(83)と
逆転ベベルギア(84)との間で、出力軸(82)を半径方向に
貫通する棒状のドッグピン(88)に当接しているととも
に、該ドッグピン(88)の反プッシュピン(89)方向に配さ
れたリターンスプリング(90)により、該棒状のドッグピ
ン(88)を介してプッシュロッド(86)の方向に付勢されて
いる。このドッグピン(88)の両端部の、出力軸(82)の外
部に出ている部分には、シフタドッグ(87)が設けられて
いる。また、ドッグピン(88)は、正転ベベルギア(83)と
逆転ベベルギア(84)との間の出力軸(82)に設けられた、
軸方向を長手方向とする長穴に沿って軸方向にスライド
可能である。また、このシフタドッグ(87)の、正転ベベ
ルギア(83)側の端部には、該正転ベベルギア(83)に形成
された爪(83a)に係合するシフタドッグ爪(87b)が形成さ
れているとともに、逆転ベベルギア(84)側の端部には、
該逆転ベベルギア(84)に形成された爪(84a)に係合する
シフタドッグ爪(87a)が形成されており、両者は、シフ
タドッグ(87)を軸方向にスライドさせることで、選択的
に係合可能なように構成されている。
次に、第5図の装置の動作を説明すると、シフトカム(8
5)のストロークにてプッシュロッド(86)を追従移動させ
て、出力軸(82)外周部のシフタドッグ(87)をスライドさ
せ、該シフタドッグ(87)の爪(87b)(83a)を正転ベベルギ
ア(83)の爪(83a)および逆転ベベルギア(84)の爪(84a)に
選択的に結合させることにより、出力軸(82)の回転方向
を切り換えるのである。つまり、シフタドッグ(87)が正
転ベベルギア(83)と逆転ベベルギア(84)の間を軸方向に
スライドし、正転時にはシフタドッグ爪(87b)と正転ベ
ベルギア(83)の爪(83a)が係合し、逆転時にはシフタド
ッグ爪(87a)と逆転ベベルギア(84)の爪(84a)が係合する
することで回転方向を切り換えるのである。
〔考案が解決しようとする課題〕
第4図に示す従来装置には次のような問題がある。すな
わち、同図の装置は、平行二軸を有することから取り付
けに広いスペースを必要とし、装置全体が大型化すると
いう問題があった。
また、第5図に示す従来装置では、平行二軸を必要とし
ないので、第4図の場合よりは小型にできるものの、な
お、対向して配置されたへベルギアの間で回転方向を切
り換えているので、大きな船外機であれば良いが、回転
方向切り換え装置部分に30cm四方程度のスペースしかと
れないような場合には、正転ベベルギアと逆転ベベルギ
アの間としては数cmしかとることができず、したがっ
て、トルクを伝達するドッグ部分は極めて小さなものと
なるので、駆動軸のトルクを出力軸へ伝達するに必要な
ドッグの接触面積を確保するのが困難であるという問題
と、前記のように出力軸(82)に長穴をあけているので、
出力軸(82)自体のねじれ剛性を確保するのが困難である
という問題があり、やはり、小型の回転方向の切り換え
が可能な動力伝達装置としては不適当であった。
本考案は、かかる従来技術の問題に鑑み、小型で、かつ
伝達可能なトルクを大きく取れる、回転方向の切り換え
が可能な動力伝達装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本考案は、上記従来技術の課題を解決するためになされ
たものであって、その特徴は、駆動軸の先端に駆動ベベ
ルギアを設け、該駆動軸の先端外方に該駆動軸と略直交
させて出力軸を配し、該出力軸に、一端に各々正転ベベ
ルギアと逆転ベベルギアを有する正逆一対の筒状ベベル
ギア軸を、前記駆動ベベルギアの両側に正転ベベルギア
と逆転ベベルギアとを向かい合わせて、前記出力軸に対
し回転自在かつ軸方向に移動自在に嵌入し、かつ、前記
正転ベベルギアおよび逆転ベベルギアを各々駆動ベベル
ギアに噛合連結せしめるとともに、前記正逆一対の筒状
ベベルギア軸の他端に各々クラッチディスクを取付け、
前記出力軸に前記一対の筒状ベベルギア軸の各クラッチ
ディスクに対応する一対のクラッチディスクを出力軸に
対し回転不能に装着し、前記筒状ベベルギア軸側のクラ
ッチディスクと出力軸側のクラッチディスクとの間に間
隔を持たせるとともに、前記出力軸の一端に該出力軸を
常に一方向に付勢するバネを配置し、さらに、前記出力
軸に前記バネによる付勢方向と逆方向に該出力軸を移動
させる移動手段を設けたことにある。
〔作用〕
まず、本考案を構成する各部の動作を説明すると、駆動
軸の回転は、駆動ベベルギアにより正転ベベルギアと逆
転ベベルギアとに伝達され、正転ベベルギアと逆転ベベ
ルギアは常に反対方向に回転する。正転時においては、
正転ベベルギア軸側のクラッチディスクが結合し、逆転
ベベルギア軸側のクラッチディスクが引き離された状態
となっており、正転ベベルギアの回転が正転ベベルギア
軸側のクラッチディスクを介して出力軸に伝達される。
逆転時においては、逆転ベベルギア軸側のクラッチディ
スクが結合し、正転ベベルギア軸側のクラッチディスク
が引き離された状態となっており、逆転ベベルギアの回
転が逆転ベベルギア軸側のクラッチディスクを介して出
力軸に伝達されるのである。
回転方向の切り換えは、バネと移動手段によっておこな
う。すなわち、通常は、バネにより出力軸を一方向に付
勢しておき、いずれか一方のクラッチディスクを結合さ
せておく、切り換え時には、移動手段を作動させて出力
軸をバネ付勢方向と逆方向に移動させることで、バネに
より結合させられていたクラッチディスクの結合を切
り、他方のクラッチディスクを結合させるのである。
本考案になる回転方向切換え可能な動力伝達装置では、
駆動軸の先端に駆動ベベルギアを設け、該駆動軸の先端
外方に該駆動軸と略直交させて出力軸を配し、該出力軸
に、正転ベベルギアと逆転ベベルギアとを向かい合わせ
て配置するという構成を採用しているので、第4図に示
す従来例のように平行二軸を必要とせず、装置を小型に
することができる。
さらに、本考案になる回転方向切換え可能な動力伝達装
置では、向かい合わせて配置した正転ベベルギアと逆転
ベベルギアとの間ではなく、その外側部分に正逆一対の
クラッチディスクを配置するという構成を採用している
ので、第5図に示す従来例と異なり、クラッチディスク
に関してスペース上の制限がなく、その接触面積を大き
く取ることができ、小型の装置であっても十分なトルク
伝達を確保することができる。
〔実施例〕
第1図aおよび第1図bは、本考案になる回転方向切換
え可能な動力伝達装置の実施例を示すものであり、第1
図aは逆転時、第1図bは正転時の装置の主要部の状態
を示す正断面図である。
まず、第1図aにより装置の構成を説明すると、駆動軸
(20)の先端には、駆動ベベルギア(21)が嵌合されている
とともに、駆動軸(20)の先端外方には駆動軸(20)と直交
する如く出力軸(27)が配置されている。
出力軸(27)には、一端に正転ベベルギア(22a)を有する
筒状の正転ベベルギア軸(22)が回転自在かつ軸方向に移
動自在に嵌入されており、該正転ベベルギア(22a)は駆
動ベベルギア(21)と噛合している。また、この出力軸(2
7)には、一端に逆転ベベルギア(28a)を有する筒状の逆
転ベベルギア軸(28)が、前記正転ベベルギア(22a)に逆
転ベベルギア(28a)を向かい合わせた状態で、回転自在
かつ軸方向に移動自在に嵌入されており、該逆転ベベル
ギア(28a)も駆動ベベルギア(21)と噛合している。反正
転ベベルギア(22a)側の正転ベベルギア軸(22)端部に
は、環板状の正転クラッチディスク支持板(24)が嵌合さ
れ、該正転クラッチディスク支持板(24)の反正転ベベル
ギア(22a)側の環板面には、同じく環板状の正転クラッ
チディスク(23)が同芯的に固設されている。該正転クラ
ッチディスク(23)に対向して、該正転クラッチディスク
(23)と対となる環板状の他の正転クラッチディスク(25)
が、両クラッチディスクの間に間隔を持たせて配設され
ており、該他の正転クラッチディスク(25)は、同じく環
板状の第二の正転クラッチディスク支持板(26)の環板面
に同芯的に固設されている。この第二の正転クラッチデ
ィスク支持板(26)は、出力軸(27)に嵌入されているとと
もに、出力軸(27)に対し回転不能かつ軸方向に移動不能
に固定されている。
また、前記第二の正転クラッチディスク支持板(26)の正
転クラッチディスク(25)が設けられていない方の環板面
には、リング状のベアリング(34)を介して、皿状のアウ
ターカバー(36)が、その内面を正転クラッチディスク支
持板(26)に向けて配設されており、該アウターカバー(3
6)は、該ベアリング(34)により、前記第二の正転クラッ
チディスク支持板(26)に対し回転自在である。また、ア
ウターカバー(36)の内面底部は、他のベアリング(35)を
介して、出力軸(27)の軸端部に当接しており、アウター
カバー(36)は、出力軸(27)の軸端部に対しても回転自在
である。
さらに、アウターカバー(36)の外面底部にはピストン(3
7)が当接しており、該ピストン(37)は、図示してないシ
リンダとともに、出力軸(27)を逆転ベベルギア(28a)の
方向(第1図aの点線矢印Bの方向)に押す移動手段を
構成している。
一方、反逆転ベベルギア(28a)側の逆転ベベルギア軸(2
8)端部には、環板状の逆転クラッチディスク支持板(30)
が嵌合され、該逆転クラッチディスク支持板(30)の反逆
転ベベルギア(28a)側の環板面には、同じく環板状の逆
転クラッチディスク(29)が同芯的にに固設されている。
該逆転クラッチディスク(29)に対向して、該逆転クラッ
チディスク(29)と対となる環板状の他の正転クラッチデ
ィスク(31)が、両クラッチディスクを係合させて配設さ
れており、該他の逆転クラッチディスク(31)は、同じく
環板状の第二の逆転クラッチディスク支持板(32)の環板
面に同芯的に固設されている。該第二の逆転クラッチデ
ィスク支持板(32)は、出力軸(27)に嵌入されているとと
もに、出力軸(27)に対し回転不能かつ軸方向に移動不能
に固定されている。
また、前記第二の逆転クラッチディスク支持板(32)の逆
転クラッチディスク(31)が設けられてない方の環板面に
は、コイルバネ(38)が当接しており、該コイルバネ(38)
は、逆転クラッチディスク支持板(32)、および該逆転ク
ラッチディスク支持板(32)に固定されている出力軸(27)
を、正転ベベルギア(22a)の方向(第1図aの矢印Aの
方向)に付勢している。
次いで、第1図aおよび第1図bを用いて、この実施例
の装置の動作を説明する。
第1図aは逆転時の状態を示す図である。出力軸(27)
は、コイルバネ(38)により、第1図a中の矢印Aの方向
に付勢されており、一対の逆転クラッチディスク(29)と
(31)とが結合した状態で、他の一対の正転クラッチディ
スク(23)と(25)とが離れた状態である。この状態におい
て、駆動軸(20)で発生された回転は、駆動ベベルギア(2
1)、逆転ベベルギア軸(28)、逆転クラッチディスク(2
9)、他の逆転クラッチディスク(31)という経路を経て出
力軸(27)に伝達される。
一方、第1図bは、正転時の状態を示す図である。出力
軸(27)は、コイルバネ(38)により、第1図b中の矢印A
の方向に付勢されているが、より強い力でピストン(37)
により第1図b中の矢印Bの方向に押されており、結果
的に、一対の逆転クラッチディスク(29)と(31)とが離れ
た状態で、他の一対の正転クラッチディスク(23)と(25)
とが結合した状態である。
この状態においては、駆動軸(20)で発生された回転は、
駆動ベベルギア(21)、正転ベベルギア軸(22)、正転クラ
ッチディスク(23)、他の正転クラッチディスク(25)とい
う経路を経て出力軸(27)に伝達され、第1図aの逆転時
と異なる方向に出力軸(27)を回転させる。
なお、この状態から再び第1図aの逆転状態にするに
は、ピストン(37)の押し付け力を切れば、コイルバネ(3
8)の力により、出力軸(27)および出力軸(27)に固定され
ている正転クラッチディスク(25)と逆転クラッチディス
ク(31)とが、一体となって第1図b中の矢印Aの方向に
移動し、第1図aに示す状態に戻る。
第2図は、本考案のより具体的な実施例を示す一部断面
正面図である。電動機(40)の駆動軸(41)先端部には、駆
動ベベルギア(42)が嵌設されおり、該駆動ベベルギア(4
2)は、キー(43)により、駆動軸(41)に対し回転不能に固
定されているとともに、ピン(44)により、駆動軸(41)に
対し軸方向に移動不能に固定されている。また、駆動軸
(41)の先端外方には、この駆動軸(41)と直交する如く、
その一端から軸芯に沿った孔が穿設された出力軸(46)が
配置されている。出力軸(46)には、一端に正転ベベルギ
ア(47a)を有する筒状の正転ベベルギア軸(47)が、出力
軸(46)の孔のある方向から、該正転ベベルギア(47a)を
駆動ベベルギア(42)に向けて回転自在かつ軸方向に移動
自在に嵌入されており、該正転ベベルギア(47a)は、駆
動ベベルギア(42)と噛合している。また、この出力軸(4
6)には、一端に逆転ベベルギア(57a)を有する筒状の逆
転ベベルギア軸(57)が、前記正転ベベルギア(47a)に逆
転ベベルギア(57a)を向かい合わせて、回転自在かつ軸
方向に移動自在に嵌入されており、この逆転ベベルギア
(57a)も駆動ベベルギア(42)と噛合している。
反正転ベベルギア(47a)側の正転ベベルギア軸(47)の端
部には、環板部とその環板部より小径の円筒状の軸部と
からなる正転クラッチディスク支持板(48)が、その軸部
を正転ベベルギア(47a)側へ向けて嵌設されている。こ
の正転クラッチディスク支持板(48)は、セットボルト(5
0)により、正転ベベルギア軸(47)に対し軸方向に移動不
能に固定されているとともに、キー(51)により正転ベベ
ルギア軸(47)に対し回転不能に固定されている。
さらに、この正転クラッチディスク支持板(48)の反正転
ベベルギア(47a)側の環板面には、環板状の正転クラッ
チディスク(49)が同芯的に配設されており、該正転クラ
ッチディスク(49)は、ピン(52)により、正転クラッチデ
ィスク支持板(48)に固定されており、そのクラッチ面は
正転ベベルギア軸(47)の軸端部より少し張り出した状態
となっている。
また、該正転クラッチディスク(49)に対向させて、該正
転クラッチディスク(49)と対となる他の正転クラッチデ
ィスク(53)が配設されており、該他の正転クラッチディ
スク(53)は、環板部とその環板部より小径の円筒状の軸
部とからなる第二の正転クラッチディスク支持板(54)の
環板部に同芯的に固設されている。該第二の正転クラッ
チディスク支持板(54)は、出力軸(46)に嵌入されている
とともに、その孔部に軸方向に沿った溝(56)を有し、該
溝(56)に係合するキー(55)により、出力軸(46)に対し、
軸方向に移動自在であるが、回転不能な状態に固定され
ている。
また、前記第二の正転クラッチディスク支持板(54)の正
転クラッチディスク(53)が固設されてない方の環板面に
は、ベアリング(69)を介して、その周端部にフランジ部
を有する皿状のアウターカバー(68)のフランジ部が当接
されており、該アウターカバー(68)は、前記第二の正転
クラッチディスク支持板(54)に対し、回転自在である
が、分離することはできない。
また、アウターカバー(68)の内面底部は、頭部(70a)と
棒部(70b)とからなるプッシュバー(70)の頭部(70a)が、
ベアリング(71)を介して当接しているとともに、棒部(7
0b)は出力軸(46)に軸挿されており、その先端部は後述
の出力軸(46)に設けられた長穴(73)の先まで達してい
る。プッシュバー(70)はアウターカバー(68)に対し回転
自在であるとともに、出力軸(46)に対し軸方向に移動自
在である。また、アウターカバー(68)の外面底部には、
シリンダ(76)のピストン(75)の棒部が当接している。
一方、反逆転ベベルギア(57a)側の逆転ベベルギア軸(5
7)の端部には、環板部とその環板部よりも小径の円筒状
の軸部とからなる逆転クラッチディスク支持板(58)が、
その軸部を逆転ベベルギア(57a)側に向けて嵌設されて
いる。この逆転クラッチディスク支持板(58)は、セット
ボルト(60)により、逆転ベベルギア軸(57)に対し軸方向
に移動不能に固定されているとともに、キー(61)により
逆転ベベルギア軸(57)に対し回転不能に固定されてい
る。
さらに、この逆転クラッチディスク支持板(58)の反逆転
ベベルギア(57a)側の環板面には、環板状の逆転クラッ
チディスク支持板(59)が同芯的に配設されており、該逆
転クラッチディスク(59)は、ピン(62)により、逆転クラ
ッチディスク支持板(58)に固定されており、そのクラッ
チ面が、逆転ベベルギア軸(57)の軸端部より少し張り出
した状態となっている。
また、該逆転クラッチディスク(59)に対向させて、該逆
転クラッチディスク(59)と対となる他の逆転クラッチデ
ィスク(64)が配設されており、該他の逆転クラッチディ
スク(64)は、環板部とその環板部より小径の円筒状の軸
部とからなる第二の逆転クラッチディスク支持板(63)
の、反軸部側の環板部に同芯的に固設されている。該第
二の逆転クラッチディスク支持板(63)は、出力軸(46)に
嵌入されているとともに、その孔部に軸方向に沿った溝
(66)を有し、該溝(66)に係合するキー(65)により、出力
軸(46)に対し、軸方向に移動自在であるが、回転不能な
状態に固定されている。
また、前記第二の逆転クラッチディスク支持板(63)の逆
転クラッチディスク(64)が固設されてない方の環板面に
は、コイルバネ(67)が当接されており、前記逆転クラッ
チディスク(64)を、これと対をなす他の逆転クラッチデ
ィスク(59)の方向に付勢している。
さらに、前記第二の逆転クラッチディスク支持板(63)
の、逆転クラッチディスク(64)が固設されてない方の環
板面の軸芯に近い部分には、円孔状の凹部(63a)が設け
られている。また、後で第3図を用いて詳述するよう
に、該凹部(63a)部分に接している部分の出力軸(46)に
は、軸方向を長手方向とする長穴(73)が設けられてお
り、この長穴(73)は、前記プッシュバー(70)の棒部(70
b)が軸挿される孔と連通しているとともに、前記出力軸
(46)を貫通している。以下、出力軸(46)のこの長穴(73)
より中心側の部分を出力軸中心部(46b)、先端側の部分
を出力軸先端部(46a)とする。
また、前記出力軸(46)に軸挿されたプッシュバー(70)の
棒部(70b)に十字架の如く直交配設された二本のプッシ
ュピン(72)が、この長穴(73)をそれぞれ別方向に貫通
し、その先端部は前記逆転クラッチディスク支持板(63)
の凹部(63a)と逆転ベベルギア軸(57)軸端部とで形成さ
れる空間に達している。プッシュバー(70)が軸方向に移
動する際に、この凹部(63a)とプッシュピン(72)が接す
る部分には、ベアリング(74)が設けられており、逆転ク
ラッチディスク支持板(63)は、プッシュピン(72)に対し
回転自在である。
以上述べた本実施例の構成物は、電動機(40)の本体部
と、出力軸(46)の逆転機構側の先端部以外は、ケース(4
5)に囲撓されいる。このケース(45)は、ベアリング(77)
により正転ベベルギア軸(47)を回転自在に支承するとと
もに、他のベアリング(78)により逆転ベベルギア軸(57)
を回転自在に支承する。さらに、ケース(45)は、また別
のベアリング(78)により出力軸(46)も回転自在に支承し
ている。
ここで、第3図a〜第3図dを用いて、回転方向切り換
え時のプッシュピン(72)とその周辺部分の動きを説明す
る。
第3図aは逆転時におけるプッシュピン部分の拡大正断
面図、第3図bは逆転から正転への切り換え時における
プッシュピン部分の拡大正断面図、第3図cは正転時に
おけるプッシュピン部分の拡大正断面図、第3図dは正
転から逆転への切り換え時におけるプッシュピン部分の
拡大正断面図である。
第3図aに示す逆転時においては、コイルバネ(67)によ
り、図中の矢印Cの方向に逆転クラッチディスク支持板
(63)が付勢されており、一対の逆転クラッチディスク(5
9)と(64)とを結合させている。このコイルバネ(67)の付
勢力は、ベアリング(74)を介してプッシュピン(72)に伝
達され、さらにプッシュピン(72)から出力軸中心部(46
b)に伝達され、出力軸(46)全体を図中の矢印Cの方向に
移動させ、この出力軸(46)に固定され正転クラッチディ
スク(53)と、他方の正転クラッチディスク(49)を引き離
している。
次に、正転に切り換えるには、シリンダ(76)を作動さ
せ、プッシュバー(70)を、コイルバネ(67)の付勢力より
強い力で押す。このシリンダ(76)の力は、プッシュバー
(70)からプッシュピン(72)に、さらに、プッシュピン(7
2)からベアリング(74)を介して逆転クラッチディスク支
持板(63)に伝達され、逆転クラッチディスク支持板(63)
を第3図b中の矢印Dの方向に動かし、やがて、プッシ
ュピン(72)は出力軸先端部(46a)に当接する。この状態
を第3図bに示す。同図では、一対の逆転クラッチディ
スク(59)と(64)とが引き離されているとともに、正転側
の一対の正転クラッチディスク(49)と(53)も未だ結合し
ていない状態であり、正転・逆転いずれの回転力も出力
軸(46)に伝達されてない、いわゆるニュートラルの状態
である。
第3図bの状態からさらにプッシュバー(70)を押し、一
対の正転クラッチディスク(49)と(53)とが結合した正転
状態を示すのが第3図cであり、この図においては正転
の回転力のみが出力軸(46)に伝達されている。
次に、正転状態から逆転状態に切り換える時には、シリ
ンダ(76)の押し付け力を解除する。シリンダ(76)の押し
付け力を解除すると、コイルバネ(67)が有効に作用し、
コイルバネ(67)の付勢力が逆転クラッチディスク支持板
(63)に伝達され、さらに、ベアリング(74)を介してプッ
シュピン(72)に伝達され、プッシュバー(70)を図中の矢
印Cの方向に移動させる。プッシュバー(70)は、その頭
部(70a)がベアリング(71)を介してアウターカバー(68)
に当接しており、該アウターカバー(68)はベアリング(6
9)を介して正転クラッチディスク支持板(54)に当接して
いるため、プッシュバー(70)を図中の矢印Cの方向に押
すことで、一対の正転クラッチディスク(49)と(53)とが
引き離される。この状態を示すのが第3図dであり、こ
の図においては、一対の正転クラッチディスク(49)と(5
3)とが引き離されているとともに、逆転側の一対の逆転
クラッチディスク(59)と(64)も未だ結合していない状態
であり、正転・逆転いずれの回転力も出力軸(46)に伝達
されてない。この状態からさらに時が経過すると、コイ
ルバネ(67)の力により逆転クラッチディスク支持板(63)
が図中の矢印Cの方向に押され、一対の逆転クラッチデ
ィスク(59)と(64)とが結合し、第3図aの逆転状態に戻
る。
第2図に示すようなプッシュバーを有する構成をとる
と、回転方向の切り換え時に、いずれの回転方向の力も
加わってない、いわゆるニュートラルな状態が生じるの
で、確実に正逆転間のインタロックがとれるという効果
がある。
また、第2図に示す実施例においては、移動手段として
シリンダを用いたが、第5図に示す従来例のように手動
で切り換えることもできる。
〔考案の効果〕
本考案によれば、平行二軸を必要とせず、クラッチディ
スクの接触面積を大きく取ることができるので、小型で
かつ十分なトルク伝達をすることができる回転方向の切
り換えが可能な動力伝達装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図から第3図は、本考案の実施例を示すもので、第
1図aは本考案の実施例の逆転時の状態を示す要部正断
面図、第1図bは本考案の実施例の正転時の状態を示す
要部正断面図、第2図は本考案の実施例を示す一部断面
正面図、第3図aは逆転時におけるプッシュピン部分の
拡大正断面図、第3図bは逆転から正転への切り換え時
におけるプッシュピン部分の拡大正断面図、第3図cは
正転時におけるプッシュピン部分の拡大正断面図、第3
図dは正転から逆転への切り換え時におけるプッシュピ
ン部分の拡大正断面図、第4図は従来例を示す概要図、
第5図は従来装置の正断面図である。 (20)…駆動軸、(21)…駆動ベベルギア、(22)…正転ベベ
ルギア軸、(23)…正転クラッチディスク、(25)…正転ク
ラッチディスク、(27)…出力軸、(28)…逆転ベベルギア
軸、(29)…逆転クラッチディスク、(31)…逆転クラッチ
ディスク、(37)…ピストン(移動手段)、(38)…コイル
バネ。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動軸の先端に駆動ベベルギアを設け、該
    駆動軸の先端外方に該駆動軸と略直交させて出力軸を配
    し、該出力軸に、一端に各々正転ベベルギアと逆転ベベ
    ルギアを有する正逆一対の筒状ベベルギア軸を、前記駆
    動ベベルギアの両側に正転ベベルギアと逆転ベベルギア
    とを向かい合わせて、前記出力軸に対し回転自在かつ軸
    方向に移動自在に嵌入し、かつ、前記正転ベベルギアお
    よび逆転ベベルギアを各々駆動ベベルギアに噛合連結せ
    しめるとともに、前記正逆一対の筒状ベベルギア軸の他
    端に各々クラッチディスクを取付け、前記出力軸に前記
    一対の筒状ベベルギア軸の各クラッチディスクに対応す
    る一対のクラッチディスクを出力軸に対し回転不能に装
    着し、前記筒状ベベルギア軸側のクラッチディスクと出
    力軸側のクラッチディスクとの間に間隔を持たせるとと
    もに、前記出力軸の一端に該出力軸を常に一方向に付勢
    するバネを配置し、さらに、前記出力軸に前記バネによ
    る付勢方向と逆方向に該出力軸を移動させる移動手段を
    設けたことを特徴とする回転方向切換え可能な動力伝達
    装置。
JP5493989U 1989-05-12 1989-05-12 回転方向切換え可能な動力伝達装置 Expired - Lifetime JPH0611414Y2 (ja)

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