JPH0611319U

JPH0611319U - 零相インピーダンス可変式変圧器

Info

Publication number: JPH0611319U
Application number: JP5058292U
Authority: JP
Inventors: 英志小平
Original assignee: Meidensha Corp
Current assignee: Meidensha Corp
Priority date: 1992-07-20
Filing date: 1992-07-20
Publication date: 1994-02-10

Abstract

(57)【要約】【目的】星形結線の一次巻線Ｐおよび二次巻線Ｓと三
角結線の三次巻線を有した変圧器において、三角結線の
三次巻線と他巻線間の零相インピーダンスを接地条件、
保護条件等の要求に応じて容易に変えられるようにす
る。【構成】一次巻線Ｐ、二次巻線Ｓの近傍に、各一端を
開閉自在に構成した三角結線の巻線Ｔ₁，Ｔ₂，Ｔ₃を配
設し、該巻線Ｔ₁，Ｔ₂，Ｔ₃の一端を各々「開」又は
「閉」とすることにより、所望の零相インピーダンスを
得る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は一次巻線および二次巻線のうち少なくともいずれか一方の巻線が星形結線で構成されるとともに、三次巻線が三角結線で構成された変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一次および二次巻線がともに星形結線の変圧器は一般的に図２（ａ），（ｂ）に示すように三角結線の三次巻線を有している。図２においてＰは星形結線の一次巻線、Ｓは星形巻線の二次巻線、Ｔは三角結線の三次巻線であり、各巻線は図２（ｂ）のように配置されている。また図２（ｃ）は零相インピーダンスを示している。前記三次巻線Ｔは負荷に電力を供給しなくても次の効果を有している。

【０００３】（１）励磁電流に含まれるべき第３高調波分を三角結線内に還流させることにより、各相に誘起される電圧を正弦波に保ち、星形結線の中性点に対地電位を生じないようにする。（２）変圧器の持つ零相インピーダンスを減少させ系統の所要の接地条件を満足させるとともに、系統事故時の零相電流を還流させる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

三角結線の三次巻線と他巻線間の零相インピーダンスは個別の変圧器においては、ある特定の値（図２のＺ_OP，Ｚ_OT）を持ちそれは一定である。従って系統地絡事故の際の故障電流は系統の条件が変わらなければ一定の値となる。このことは次のような場合に不都合を生じる。

【０００５】（１）系統全体の保護の観点から、地絡事故時の故障電流の値を変えたい。（２）２台以上の変圧器を並列運転すると地絡時の故障電流が２倍、３倍と増加するが、しゃ断器のしゃ断容量の点から地絡電流の増加を抑えたい。

【０００６】前記地絡電流の値を小さくするためには、一般的に変圧器の中性点に抵抗かリアクトル等のインピーダンスを新たに追加することになるが、逆に地絡電流を現状よりも大きくすることは直接接地の場合困難である。

【０００７】本考案は上記の点に鑑みてなされたものでその目的は、接地条件、保護条件等の要求に応じて零相インピーダンスの値を変えることを可能とした零相インピーダンス可変式変圧器を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、一次巻線および二次巻線のうち少なくともいずれか一方の巻線が星形結線で構成された変圧器において、前記一次巻線および二次巻線の近傍の所定位置に１組以上配設され、各一端が開閉自在に構成された三角結線の巻線を備えたことを特徴としている。

【０００９】

【作用】

一次巻線（星形結線巻線）といずれかの三角結線巻線間、または二次巻線（星形結線巻線）といずれかの三角結線巻線間の零相インピーダンスは各々の巻線配置の位置関係によって決まる。したがって複数の三角結線巻線の配置を互いに異なるようにしておけば、各々の巻線間の零相インピーダンスはそれぞれ異なる値を持つ。

【００１０】また星形結線巻線と三角結線巻線間の零相インピーダンスは、三角結線内に零相電流が還流することにより初めてその値を持つ。したがって三角結線巻線の一端を開放すると、零相電流は流れないのでその巻線と他の巻線との間には零相インピーダンスは存在しなくなる。

【００１１】そこで１組以上の三角結線巻線の一端を任意の組み合わせでそれぞれ開又は閉とすることにより、一次巻線または二次巻線からみた零相インピーダンスは数種類の値を有する。これによって１台の変圧器において、設置条件、保護条件等の要求に応じて零相インピーダンスの値を変えることができる。

【００１２】

【実施例】

以下図面を参照しながら本考案の一実施例を説明する。本考案は図１に示すように一次巻線Ｐおよび二次巻線Ｓがともに星形結線の変圧器において、各相に１組以上の三角結線の巻線Ｔ₁，Ｔ₂，Ｔ₃を図１（ｂ）のように配設し、各々の三角結線の一端を開閉器または接続線等により開閉可能としたものである。

【００１３】上記のように構成された変圧器においては、一次巻線Ｐといずれかの三角結線巻線Ｔ₁，Ｔ₂，Ｔ₃間、または二次巻線Ｓといずれかの三角結線巻線間の零相インピーダンスは、各々の巻線配置の位置関係によって決まる。したがって複数の三角結線巻線Ｔ₁，Ｔ₂，Ｔ₃を図１（ｂ）のような位置に配設しておけば各々の巻線間の零相インピーダンスは図１（ｃ）に示すようにそれぞれ異なる値を持つ。

【００１４】また星形結線と三角結線間の零相インピーダンスは、三角結線内に零相電流が還流することにより初めてその値を持つ。したがって三角結線の一端を開放するとその巻線と他巻線との間には零相インピーダンスは存在しなくなる。そこで１組以上の三角結線巻線Ｔ₁，Ｔ₂，Ｔ₃の一端を考えられる組み合わせでそれぞれ「開」または「閉」とすることにより、一次または二次巻線からみた零相インピーダンスは数種類の値を有する。これにより一台の変圧器において接地条件、保護条件等の要求に応じて零相インピーダンスの値を変えることができる。

【００１５】尚本考案は、一次巻線または二次巻線のうちいずれか一方が星形結線で構成され、いずれか他方が三角結線で構成される変圧器において、これらの巻線以外に１組以上の三角結線の巻線を設け、各々の三角結線の一端を前記同様に開閉器または接続線等により開閉可能に構成してもよい。この場合も前記同様の作用効果を奏する。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、一次巻線および二次巻線のうち少なくともいずれか一方の巻線が星形結線で構成された変圧器において、前記一次巻線および二次巻線の近傍の所定位置に、各一端が開閉自在に構成された三角結線の巻線を１組以上配設したので、一台の変圧器で、接地条件、保護条件等の要求に応じて零相インピーダンスの値を容易に変えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示し、（ａ）は結線図、
（ｂ）は巻線配置の説明図、（ｃ）は零相インピーダン
スの等価回路図。

【図２】従来の変圧器の構成を示し、（ａ）は結線図、
（ｂ）は巻線配置の説明図、（ｃ）は零相インピーダン
スの等価回路図。

【符号の説明】

Ｐ…一次巻線Ｔ₁，Ｔ₂，Ｔ₃…三角結線の巻線Ｓ…二次巻線

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】一次巻線および二次巻線のうち少なくと
もいずれか一方の巻線が星形結線で構成された変圧器に
おいて、前記一次巻線および二次巻線の近傍の所定位置
に１組以上配設され、各一端が開閉自在に構成された三
角結線の巻線を備えたことを特徴とする零相インピーダ
ンス可変式変圧器。