JPH06111910A - 手持ち式の圧着機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 掌握可能な直径のケーシング内部に動力源と
伝動機構とを収容し、ケーシング先端に圧着作用部を設
けた手持ち式の圧着機を提供すること。 【構成】 ケーシング(1)一端側の内部にモーター(2)が
収容され、その出力軸(3)がギヤ減速機構(4)と摩擦クラ
ッチ(5)とを介しケーシング中央部の先端開放筒形駆動
軸(6)の基部(6a)へ連結され、該軸の回転を圧着ロッド
(7)の直進運動に変えるべく、該軸内面に突設された断
面長円形のカムフォロワー(6b)と、回転を拘束されてい
る該ロッドの基部(7a)に刻設された立体的８字形のカム
溝(17)とからなる変換機構(8)が形成され、ケーシング
他端から前進後退可能に突出した該ロッドの先端には、
ガイドレール(9),(9)に挟まれ直進する圧着ダイス(10)
が取付けられ、該レール先端部の間には受けダイス(11)
が固着されていて、圧着ダイスの後退に伴い該ダイスと
受けダイスとの間には、未圧着電線端部が仮取付された
圧着端子の挿入と、圧着ずみ電線付端子取出しとのため
の空間(12)が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電線端部へ圧着端子を
圧着すべく用いられる手持ち式かつ動力式の圧着機に関
する。

【０００２】

【従来の技術】本出願人は、従来より据置式の大型自動
ないし半自動圧着機、携帯式かつ手動型の圧着工具、あ
るいは空気圧を動力源として利用する中間サイズの圧着
機、等々種々提案し、それらは既に広汎に実用化されて
いる。

【０００３】据置式の大型機は、比較的少数種の端子を
電線端部へ大量かつ高能率に連続圧着するに適してはい
るが、比較的多種の端子を配線現場の近傍等においてケ
ースバイケースで手軽に圧着するには手動型のもので十
分である。しかし、ペンチ式等の手動型の場合、手の握
力などにより圧着を行うため、作業頻度が高ければ疲労
により能率が低下する。その場合には、指先でのボタン
スイッチ操作により運転できる空気圧利用式のものが好
都合である。ところが、配線工事の現場には必ずしも小
型コンプレッサー等の圧縮空気源があるとは限らず、そ
のため止むを得ず手動型のものを使用するというケース
もまゝ見受けられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】したがって、このよう
な従来の問題に鑑みてなされた本発明の目的は、携帯可
能かつ手持ち操作可能な比較的小型の機械でありながら
動力源を内蔵し、従って作業の反復によっても疲労を来
すことなく高能率に多数の端子への電線圧着を行える手
持ち式の圧着機を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】該目的を達成するための
本発明に係る手持ち式の圧着機の概要を、図中の符号を
用い先ず説明すると、該圧着機は、掌握可能な直径のケ
ーシング(1)の内部に動力源と伝動機構とを収容し、該
ケーシング(1)の先端に圧着作用部を設けたものにおい
て、ケーシング(1)一端側の内部には小型モーター(2)が
前記動力源として収容され、該モーターの出力軸(3)が
前記伝動機構を構成するギヤ減速機構(4)と摩擦クラッ
チ(5)とを介しケーシング中央部の先端開放筒形駆動軸
(6)の基部(6a)へ連結され、この駆動軸の内部には該軸
の回転運動を圧着ロッド(7)の直進運動に変えるべく、
該軸内面に突設された断面長円形のカムフォロワー(6b)
と、回転を拘束されている該ロッドの基部(7a)に立体的
８の字を描き刻設されていて該カムフォロワー(6b)へ摺
動自在に係合したカム溝(17)とからなる変換機構(8)が
前記伝動機構の一部として形成され、ケーシング他端か
ら前進後退可能に突出した該ロッドの先端には、ガイド
レール(9),(9)に挟まれ直進する圧着ダイス(10)が前記
圧着作用部として取付けられ、該レール先端部の間には
受けダイス(11)が固着されていて、圧着ダイスの後退に
伴い該ダイスと受けダイスとの間には、未圧着電線端部
が仮取付された圧着端子の挿入と、圧着ずみ電線付端子
取出しとのための空間(12)が形成されるよう構成してあ
る。

【０００６】ケーシングに内蔵した小型モーターへの給
電は、作業場所近傍の１００ボルト配線コンセント等へ
接続し、もしくは前記ケーシングの外部へ装着したバッ
テリーへ接続し、或は両者切替え可能とすることにより
可能である。

【０００７】本発明の圧着機は、片手で把持できるよう
ケーシングの直径を約５▲▼程度とし、長さも約３０▲
▼程度としてあることが望ましい。しかも一方の手で圧
着機を持ち他方の手で電線仮付け端子を操作する作業を
楽に行うには、本発明圧着機はできるだけ軽量であるこ
とが望ましく、そのためには、一例としてケーシングを
強化プラスチックで形成し、伝動機構の各要素はアルミ
ニウム合金等の軽合金で形成することも可能である。

【０００８】本発明の圧着機は、種々の端子、例えばフ
ァストン型端子、丸型端子、片端閉鎖端子、等々のみな
らず、両側から裸電線端部を挿入するスリーブ型端子
（接続子）も対象とする。

【０００９】

【作用】本発明の圧着機は、このような構造としたもの
であるから、前記両ダイス間の空間へ電線裸端部仮止め
状態の端子被圧着部を挿入し、小型モーターのスイッチ
を入れて回転させれば、その出力軸の回転は減速機構に
より減速されたうえでクラッチを介し駆動軸へ伝達され
る。この駆動軸の回転は変換機構により圧着ロッドをケ
ーシング外方へ向かって前進させるから、該ロッド先端
の圧着ダイスは受けダイスへの最接近位置をとることで
端子を電線へ圧着する。該圧着ロッドの前進限の位置
は、前記カム溝の後端部により規制され、該ロッドは自
動的に後退運動に転じる。その際、前記モーターに万一
過負荷がかかれば、前記クラッチにより駆動軸への伝動
が遮断されるから、一端手元スイッチ等により強制的に
モーターを停止さたうえ、連動各部に異常がないか否か
チェックし、要すれば調整あるいは修正などを行ったの
ち、該モーターのスイッチを入れなおすならば、連動各
部が破損する虞れを排除することができる。

【００１０】圧着ロッドが前記カム溝の前端部、つまり
圧着ダイス側の端部、により後退限の位置をとったこと
は、例えばリミットスイッチにより検出されモーターの
回転が停止する。これにより前記両ダイス間に前記空間
が再度出現するから圧着端子付き電線端部を受けダイス
から取出すことができる。なお本発明におけるカムフォ
ロワーは断面長円形とされているから、８の字形でエン
ドレスのカム溝が交差する中央部を通過する際に非正規
の溝部分へ誤って進入することはなく、常に円滑なカム
追従運動が保証されると共に、圧着ロッドを軸線方向に
押し引きする力も十分かつ円滑にかけることができる。

【００１１】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
ると、図１〜３に示した圧着機は、掌握可能な直径のケ
ーシング(1)の内部一端側に小型モーター(2)を動力源と
して収容し、該モーターの出力軸(3)をギヤ減速機構(4)
へ連動連結したものである。この減速機構(4)は、出力
軸(3)先端外周面に形成した小径の第１ピニオン(4a)
が、該出力軸に平行な副軸(4b)に固着の第１ギヤ(4c)に
咬合し、該副軸先端に形成した小径の第２ピニオン(4d)
が、前記出力軸(3)と同一軸線上にある駆動軸(6)の基部
へ相対回転自在に遊嵌した第２ギヤ(4e)へ咬合した構造
である。摩擦クラッチ(5)を構成するクラッチ板(5a)
は、駆動軸(6)のスプライン部(6c)へ該軸と一体回転す
べく套嵌され軸線方向の摺動が自在である。該クラッチ
板(5a)は同じく該駆動軸基部(6a)へ套嵌されたコイルス
プリング(5b)により前記モーターの方へ付勢され、第２
ギア(4e)へ押付けられている。

【００１２】ケーシング中央部に位置し、前記モーター
とは反対側の先端が開放した筒形駆動軸(6)の内部に
は、該軸の回転運動を圧着ロッド(7)の直進運動に変え
るべく、該軸内面に突設された断面長円形のカムフォロ
ワー(6b)と、回転を拘束されている該ロッド基部(7a)の
外周面に立体的８の字を描き刻設されていて該カムフォ
ロワー(6b)へ摺動自在に係合したカム溝(17)とからなる
変換機構(8)が形成されている。すなわち、内周面にカ
ムフォロワー(6b)が突出状に固着されたブロック(6B)
は、駆動軸(6)先端側の拡径部(6d)へ収容され、そのフ
ランジ状部が先端のカバー(6f)のフランジ状部と拡径部
(6d)のフランジ状部との間に挟着されボルト(6g)により
固定されている。そして該カバー(6f)の段部と拡径部(6
d)の肩状部とにはスラストベアリング(8a),(8a)がそれ
ぞれ配置され、駆動軸(6)および圧着ロッド(7)をケーシ
ング(1)の内面で支持している。以上のように本例で
は、カムフォロワー(6b)が駆動軸の筒状部へ内嵌した前
記ブロック(6B)の内面に設けられているが、該筒状部自
体の内面へ直接形成することも可能である。なお、ブロ
ック(6B)にカムフォロワーを設けるには、該ブッロクを
２つ割り構造とすれば都合がよい。

【００１３】ケーシング他端から前進後退可能に突出し
た該ロッドの、駆動軸(6)の外方に位置した部位には鍔
状体(7b)が固着されている。該鍔状体は円周方向一部位
の前記モーター側の端面が、圧着ロッド後退限位置を検
出すべくリミットスイッチ(7c)を蹴り、円周方向反対側
へ突出したフォーク状部(7d)が、ケーシング先端閉鎖壁
から伸びているガイドバー(7e)を摺動自在に挟む構造で
ある。このフォーク状部(7d)とガイドバー(7e)との係合
により、圧着ロッド(7)は駆動軸(6)との「共回り」を阻
止されている。

【００１４】ケーシング(1)の先端から外方へ突出した
圧着ロッド(7)の先端部には、ガイドレール(9),(9)に挟
まれ直進する圧着ダイス(10)が固着され、該レール先端
部の間には受けダイス(11)が固着されていて、圧着ダイ
スの後退に伴い該ダイスと受けダイスとの間には、未圧
着電線端部が仮取付された圧着端子の挿入と、圧着ずみ
電線付端子取出しとのための空間(12)が形成される。な
お、前記ガイドレール(9),(9)の先端にはカバー(9a)が
固着され、圧着時のロッド(7)の推力を受支している。

【００１５】この第１実施例に係る圧着機の作動の概要
は上述の通りであが、二三補足すると、８の字形のカム
溝(17)に係合したカムフォロワー(6b)が圧着ロッド(7)
を後退させ、前記リミットスイッチがモーターを停止さ
せると、圧着ダイス(10)が受けダイス(11)から離間した
図３（ａ）の位置に保たれるから、電線裸端部(D)を差
し込んだ端子金属筒部(T)を受けダイス中央の凹部(11a)
に嵌める。次いで、手元スイッチ部(13)（図１）により
モーター(2)を再び回転させ圧着ロッド(7)を前進させる
と、圧着ダイス(10)は図３（ｂ）の姿勢となり、その中
央先端面からの突起(10a)は端子筒部(T)を圧し潰す。つ
いで自動的に圧着ロッドは後退し、図３（ａ）に示した
後退限の姿勢をとる。なお、手元スイッチに代え、或は
これと併用可能に、足踏みスイッチ(14)を設けてあれば
好都合である。

【００１６】図４に示した第２実施例は、一方のガイド
レール(9b)を短くし、その先端とカバー(9a)との間に隙
間(9c)を設けた点において第１実施例と相異している。
したがって、スリーブ型端子（接続子）のように端子両
側からエンドレス状の電線が伸びている場合に、該端子
を横スベリ式に該隙間(9c)へ通すことにより圧着作業を
支障なく遂行できるという利点がある。尚、第１実施例
のガイドレールを本例のガイドレールと取替え可能に構
成してあれば一層好都合である。図２〜４における符号
(16)はガイドレール部を取り替えるためのボルトを示
す。

【００１７】図５に示した第３実施例は、ケーシング
(1)の基部から掌握に適した形状のハウジング(1b)を突
出させ、その内部にモーター駆動用電源としてのバッテ
リー(15)を収納したものである。その他の点では、第１
若しくは第２実施例と同様である。

【００１８】以上本発明の代表的と思われる実施例につ
いて説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造
ないしは方法のみに限定されるものではなく、本発明の
構成要件を備え、かつ本発明の目的を達成し、下記の効
果を有する範囲内において適宜改変して実施することが
できる。たとえば、減速機構として遊星歯車装置を用い
れば副軸が不要となり、該副軸に起因するケーシングの
張出し部分をなくすことができ、構造の一層の簡潔化と
軽量化とに資することができ好都合である。また、摩擦
クラッチは円錐形のクラッチ板を用いたものとし、或
は、摩擦クラッチ以外のクラッチに代えること、等々も
可能である。さらに上記実施例とは逆に、カム溝を圧着
ロッド外周面に形成し、カムフォロワーを駆動軸内周面
に設けてもよい。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明から既に明らかなように、本
発明は、圧着ロッドのための駆動軸を筒軸とすることに
より、その内部に回転運動を直進運動に変換する機構が
コンパクトに収容できるから、ケーシングにモーターを
内蔵しているにも拘わらず、全体として軽量かつ小型化
し、手持ち式かつ動力式の作業性に優れた圧着機を提供
し得るに至ったものである。特に該変換機構として、回
転する駆動軸内面に突設したカムフォロワーと、これに
係合する８の字形のカム溝を刻設形成した圧着ロッドと
を組み合わせた構成を採用しているため、モーターは一
方向回転型のものでよく、しかも圧着ロッドは前進限の
位置をとったのち自動的に後退運動に転じるから、スイ
ッチ操作等による正逆転切替えも不要であり、本発明の
圧着機は製作費低廉であるのみならず、その運転も容易
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示した縦断面図。

【図２】同じく要部拡大斜視図。

【図３】図３（ａ）及び（ｂ）は同じく作動状態を示し
た拡大側面図。

【図４】第２実施例の要部拡大側面図。

【図５】第３実施例を示した側面図。

【符号の説明】

(1) ケーシング (2) 小型モーター (3) 出力軸 (4) ギヤ減速機構 (5) 摩擦クラッチ (6) 駆動軸 (6a) 基部 (6b) カムフォロワー (7) 圧着ロッド (7a) 基部 (8) 変換機構 (9) ガイドレール (10) 圧着ダイス (11) 受けダイス (12) 空間 (17) 立体８字形カム溝

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 掌握可能な直径のケーシング(1)の内部
   に動力源と伝動機構とを収容し、該ケーシング(1)の先
   端に圧着作用部を設けた圧着機であって、ケーシング
   (1)一端側の内部には小型モーター(2)が前記動力源とし
   て収容され、該モーターの出力軸(3)が前記伝動機構を
   構成するギヤ減速機構(4)と摩擦クラッチ(5)とを介しケ
   ーシング中央部の先端開放筒形駆動軸(6)の基部(6a)へ
   連結され、この駆動軸の内部には該軸の回転運動を圧着
   ロッド(7)の直進運動に変えるべく、該軸内面に突設さ
   れた断面長円形のカムフォロワー(6b)と、回転を拘束さ
   れている該ロッドの基部(7a)に立体的８の字を描き刻設
   されていて該カムフォロワー(6b)へ摺動自在に係合した
   カム溝(17)とからなる変換機構(8)が前記伝動機構の一
   部として形成され、ケーシング他端から前進後退可能に
   突出した該ロッドの先端には、ガイドレール(9),(9)に
   挟まれ直進する圧着ダイス(10)が前記圧着作用部として
   取付けられ、該レール先端部の間には受けダイス(11)が
   固着されていて、圧着ダイスの後退に伴い該ダイスと受
   けダイスとの間には、未圧着電線端部が仮取付された圧
   着端子の挿入と、圧着ずみ電線付端子取出しとのための
   空間(12)が形成される構成であることを特徴とする手持
   ち式の圧着機。