JPH06111305A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH06111305A
JPH06111305A JP7846092A JP7846092A JPH06111305A JP H06111305 A JPH06111305 A JP H06111305A JP 7846092 A JP7846092 A JP 7846092A JP 7846092 A JP7846092 A JP 7846092A JP H06111305 A JPH06111305 A JP H06111305A
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JP
Japan
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magnetic recording
magnetic
surface treatment
powder
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JP7846092A
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Yoshiteru Matsubayashi
芳輝 松林
Masashi Yoshikawa
正志 吉川
Junji Oshita
順二 尾下
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Victor Company of Japan Ltd
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Victor Company of Japan Ltd
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気記録媒体に用いるマグネタイト粉の表面
処理方法において、工程数を削減し、且つ、分散工程に
悪影響のない方法により表面処理を行えるようにする。 【構成】 磁性粉の結合剤として用いるバインダーは、
塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ニトロセルロー
ス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂
の内1種以上を含んだ有機溶媒であり、該バインダー溶
液と、前記磁性粉を混合することにより、表面処理を行
う。処理後においても前記磁性粉が粉体の状態を維持し
ていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性支持体上に、主
としてマグネタイト粉と結合剤とから成る磁性層を設け
て成る磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】非磁性支持体上に、主として磁性粉と結
合剤(以下バインダーと書く)とから成る磁性層を塗布
している磁気記録媒体は、フロッピーディスク、オーデ
ィオテープ、ビデオテープなど様々な分野において使用
されている。従来これらの磁気テープの磁気記録媒体に
使用されてきた磁性粉は、γ−Fe2 3 などの比較的
磁気特性の安定した磁性粉を用いてきた。しかしながら
これらの記録媒体に対して高S/N比、高出力が要求さ
れてきている。
【0003】この要求に対して磁性粉にマグネタイト粉
を使用することは大変に有効な手段である。該マグネタ
イト粉は、前記γ−Fe2 3 どよりも飽和磁化量が高
く、媒体とした場合再生出力が向上し、高S/N比を実
現でき、更にその電気的性質により、媒体の表面電気抵
抗を下げることもできるという特徴を持つ。
【0004】しかし、前記マグネタイト粉は、前記γ−
Fe2 3 などに比べ磁気特性の安定性が悪く、空気中
に放置しておくと徐々に酸化が進行することにより飽和
磁化量が低下し、更に表面電気抵抗を下げる効果も弱く
なる。記録媒体作製後では、前記マグネタイト粉はバイ
ンダー中に分散しているので空気には余り触れず酸化を
防ぐことはできるが、磁性塗料となる前の粉体状のマグ
ネタイト粉は空気と接触する面積が広く、酸化による飽
和磁化量の低下は無視できないものとなる。
【0005】このような磁性粉の酸化を防ぐ手段として
は、磁性粉に表面処理を施すことが一般的である。この
表面処理方法には大きく分けて2通りある。1つは、磁
性粉の製造工程において表面処理を行う方法であるが、
一般的に磁性体表面にアルミナ、SiO2 を付着させて
行う。しかし、このように磁気特性を安定なものにする
程度の表面処理を行うと磁性粉の磁気特性が損なわれ、
飽和磁化量が減少してしまう。
【0006】また、磁性体の酸化を防ぐもう一つの方法
として、磁性粉として完成したものに表面処理を行う方
法がある。この方法においては、磁性粉を有機化合物の
稀薄溶液に浸漬し、磁性粉の表面に有機化合物を付着さ
せるのが一般的である。しかし、この方法により処理を
行った場合、磁性粉は比較的多量の溶媒中に入ったこと
になり、固形分濃度の低い塗料となってしまい、高粘
度、高固形分濃度における分散ができなくなり、その後
の分散工程に大きな影響を与えることとなる。この問題
に対して、前記磁性粉を、前記稀薄溶液より濾別して分
離し、更にその後に前記磁性粉を乾燥させて磁性塗料と
する方法も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで上述の従来の
磁気記録媒体の製造方法によるバインダー溶液による表
面処理方法は、強磁性粉末を、例えば該強磁性粉末の重
量の25倍以上の樹脂成分の稀薄溶液(樹脂成分濃度
0.5〜2.5重量%)中に浸漬する。前述したよう
に、このような方法による表面処理によれば、固形分濃
度の低い塗料となってしまい、高粘度、高固形分濃度に
おける分散ができなくなる。そのため、その後の分散工
程に大きな悪影響を与えることとなる。
【0008】また、前記固形分濃度の低い強磁性粉末を
前記稀薄溶液より濾別して分離し、更にその後に前記磁
性粉を乾燥して磁性塗料とする場合においても、工程的
に大変な負担となる。更に、乾燥工程において磁性粉の
磁気特性も損なわれてしまうという問題も同時に生じて
くる。これらのことを考慮すると現実的な手法ではな
い。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するため非磁性支持体上に、マグネタイト粉が結合
剤に分散された磁性層を設けた磁気記録媒体の製造方法
において、表面処理後においても前記マグネタイト粉が
粉体の状態を維持するように前記マグネタイト粉と、適
量の結合剤とを混合して表面処理を行う表面処理工程
と、前記表面処理後のマグネタイト粉に有機溶媒を添加
し、攪拌機により分散して磁性塗料とする工程と、前記
磁性塗料を、前記非磁性支持体上へ塗布し、その後乾
燥、カレンダリング、熱硬化等の所定の工程とを経て磁
気記録媒体を製造することを特徴とする磁気記録媒体の
製造方法を提供するものである。
【0010】ここで、前記結合剤は、塩化ビニル、ポリ
ビニルブチラール、ニトロセルロース、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂の内1種以上を含
み、更に前記マグネタイト粉の比表面積BET値が30
〜55m2 /gであり、かつ前記表面処理後において粉
体の状態であるマグネタイト粉の固形分濃度は、70〜
90%である。
【0011】また、前記マグネタイト粉と結合剤とを混
合する前に前記マグネタイト粉と、潤滑剤を混合し、そ
の後、前記結合剤を添加し、これらを更に混合すること
で表面処理を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造
方法を提供するものである。ここで、前記潤滑剤は、脂
肪酸、脂肪酸エステル、シリコン変性物、フッ素変性物
の内1種以上を含むことを特徴としている。
【0012】また、前記マグネタイト粉と結合剤とを混
合する前に前記マグネタイト粉と、界面活性剤を混合
し、その後、前記結合剤を添加し、これらを更に混合す
ることで表面処理を行うことを特徴とする磁気記録媒体
の製造方法を提供するものである。ここで、前記界面活
性剤は、シランカップリング剤、チタンカップリング
剤、アルミネートカップリング剤、ジルコニウムカップ
リング剤、TDO、オレイン酸、リン酸エステル、レシ
チンの内1種以上を含むことを特徴としている。
【0013】
【実施例】以下、本発明による磁気記録媒体の製造方法
について詳細に説明する。本実施例における磁気記録媒
体は、主としてマグネタイト粉と、バインダーにより磁
性層を構成するものである。前記マグネタイト粉は前述
したように、磁気記録媒体として使用した場合良好な磁
気特性を示す。しかし、該マグネタイトは従来広く用い
られてきたγ−Fe2 3 などよりも安定性が悪く、空
気中に放置しておくと徐々に酸化が進行し、その磁気特
性は悪化する。そのためマグネタイト粉の製造から塗料
化までは短期間のうちに行う必要がある。この様なマグ
ネタイト粉の安定性を増す手段としては、表面処理を施
すのが一般的である。
【0014】塗布型媒体の場合、磁性紛は溶媒中でバイ
ンダーや他の添加剤と混合され分散される。その後塗膜
を形成するのであるが、良好な媒体となるためには磁性
粉表面がバインダーや、他の添加剤に対し適切な吸着を
示す必要があり、単に磁性粉の安定性のみを考慮して表
面処理の内容を決定することはできない。また、非磁性
の物質による表面処理は磁気特性を低下させることにも
なる。
【0015】従来のマグネタイトの表面処理としては、
コバルト系、アルミ系、シリカ系による処理が一般的で
あるが、処理後においてもマグネタイト粉の酸化は進行
するのが現状である。
【0016】そこで、従来では、これらの点を克服する
手段として、結合剤として使用するバインダーによる表
面処理が提案されている。この方法においては、多量の
バインダー溶液に磁性粉を浸漬することにより表面処理
を施していたが、多量のバインダー溶液に磁性粉を浸漬
するため塗料の固形分濃度は低い値となってしまう。
【0017】分散において、塗料が高粘度、高固形分濃
度であることが、大変有利であるのだが、従来のような
表面処理方法においては、このような分散ができなくな
ってしまう。そこで前記バインダー溶液中のマグネタイ
ト粉を、濾別し、その後乾燥処理を施すことが提案され
ているが、乾燥処理中にマグネタイトが酸化してしまう
可能性や、また、工程的に大きな負担となることなどを
考慮すると現実的な手法ではない。
【0018】そこで、このような問題を解決するため、
本発明では、前記マグネタイト粉に前記バインダーの溶
液を適量添加し、攪拌機により混合し、前記マグネタイ
ト表面にバインダーを付着するのであるが、本発明にお
ける特徴は、前記マグネタイトの表面処理後においても
該マグネタイトは粉体の状態を維持していることであ
る。
【0019】ここで、該マグネタイト粉に付着させるバ
インダーとしては、表面処理に支障をきたすものでなけ
れば良いのであるが、検討の結果、マグネタイト粉の分
散性を考慮して、塩化ビニル、ポリビニルブチラール、
ニトロセルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポ
リウレタン樹脂を用いるのが望ましかった。
【0020】本発明において用いるマグネタイト粉の粒
径としては、作製する磁気記録媒体に対応するフォーマ
ット、特にその最短記録波長によって決定するものであ
り、ここで限定すべきではないが、本実施例において
は、VHS(日本ビクター(株)登録商標)規格のビデ
オテープについて実験を行ったので、特にVHS規格の
ビデオテープを作製する場合は、BET30〜55m2
/g程度の磁性粉が望ましかった。
【0021】また、前記マグネタイト粉に付着させるバ
インダーの量は、多量のほうが耐酸化性は向上する。し
かし、処理後のマグネタイトが粉体の状態を維持すると
いうことや、作製する磁気記録媒体の要求特性や、使用
する樹脂の種類により適切な付着量が変わってくるが、
検討の結果、前述したバインダー溶液の樹脂、及びマグ
ネタイト粉のBET値においては、前記マグネタイト粉
と、樹脂固形分の重量比が3:1〜10:1となること
が望ましかった。
【0022】以下具体的な実験結果をもとに本発明の実
施例1について説明する。マグネタイト粉として、保磁
力650(Oe)、BET40m2 /gのものを用意し
た。更に以下の組成により、バインダー溶液を作製し
た。 バインダー溶液組成 ニトロセルロース 20重量部 ポリウレタン樹脂 15重量部 MEK 35重量部 シクロヘキサノン 30重量部
【0023】これらを、デスパ攪拌機で攪拌し、バイン
ダー溶液とした。次に、前記マグネタイト粉を100重
量部、粉体用攪拌機に投入し、攪拌作業を行いながら、
前記バインダー溶液を60重量部添加し、2分間混合し
て処理を終了した。処理終了後の前記マグネタイト粉
は、粉体の状態であった。前記処理品を100Kgドラ
ム缶に入れ、蓋をせずに気温20℃、湿度60%の環境
に3か月間放置し、その後、以下の(1)、(2)の工
程により磁気記録媒体を作製した。
【0024】(1)ニーダによる分散工程 前記処理、及び、放置後のマグネタイト粉をニーダにお
いて混練し、マグネタイトペレットM1を得た。
【0025】(2)ボールミルによる分散工程 以下の組成物をサンドミルにより分散し、磁性塗料を得
た。 マグネタイトペレットM1 160重量部 ポリウレタン 10重量部 トルエン 150重量部 アルミナ 10重量部 ミリスチン酸 5重量部 イソシアネート樹脂 20重量部 前記組成物を、ボールミルにより12時間混練し、磁性
塗料を作製し、14μm厚のPET製ベースフィルムに
塗布、乾燥、カレンダリング、1/2インチ幅へのスリ
ッティング、熱硬化工程を経てVHS規格用のビデオテ
ープVT1とした。
【0026】次に、前記マグネタイト粉の表面処理とし
て、潤滑剤と、前記バインダーを加えた実施例2につい
て説明する。本実施例における磁気記録媒体の製造方法
は、磁性粉としてマグネタイトを用い、該マグネタイト
粉を粉体攪拌機の攪拌槽中で攪拌を行いながら潤滑剤を
混入する。その後、バインダー溶液を加え、更に攪拌を
行う。この処理後のマグネタイト粉は、実施例1同様粉
体の状態を維持している。ここで前記潤滑剤は、検討の
結果、脂肪酸もしくはそのエステル、シリコン変性物、
フッ素変性物が望ましい。
【0027】以下、具体的な実験結果をもとに本発明の
実施例2について説明する。マグネタイト粉として、保
磁力650(Oe)、BET40m2 /gのものを用意
した。更に以下の組成により、バインダー溶液を作製し
た。
【0028】 バインダー溶液組成 ニトロセルロース 20重量部 ポリウレタン樹脂 15重量部 MEK 35重量部 シクロヘキサノン 30重量部 これらを、デスパ攪拌機で攪拌し、バインダー溶液とし
た。
【0029】次に、マグネタイト粉を100重量部、粉
体用攪拌機に投入し、攪拌作業を行いながら、潤滑剤と
してミリスチン酸を1重量部添加し攪拌を行った。その
後、前記バインダー溶液を60重量部添加し、2分間混
合して処理を終了した。処理終了後の前記マグネタイト
粉は、粉体の状態であった。
【0030】前記処理品を100Kgドラム缶に入れ、
蓋をせずに気温20℃、湿度60%の環境に3か月間放
置し、その後、以下(1)、(2)の工程により磁気記
録媒体を作製した。 (1)ニーダによる分散工程 前記処理、及び、放置後のマグネタイト粉をニーダにお
いて混練し、マグネタイトペレットM2を得た。
【0031】(2)ボールミルによる分散工程 以下の組成物をサンドミルにより分散し、磁性塗料を得
た。 マグネタイトペレットM2 160重量部 ポリウレタン 10重量部 トルエン 150重量部 アルミナ 10重量部 ミリスチン酸 5重量部 イソシアネート樹脂 20重量部
【0032】前記組成物を、ボールミルにより12時間
混練し、磁性塗料を作製し、14μm厚のPET製ベー
スフィルムに塗布、乾燥、カレンタリング、1/2イン
チ幅へのスリッティング、熱硬化工程を経てVHS規格
用のビデオテープVT2とした。
【0033】次に、実施例3について説明する。本実施
例における磁気記録媒体の製造方法は、磁性粉としてマ
グネタイト粉を用い、該マグネタイト粉を粉体攪拌機の
攪拌槽中で攪拌を行いながら界面活性剤を混入する。そ
の後、バインダー溶液を加え、更に攪拌を行う。この処
理後のマグネタイト粉は、実施例1同様粉体の状態を維
持している。ここで、検討の結果、前記界面活性剤は、
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミ
ネートカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、
リン酸エステル、TDO、オレイン酸、レシチンが望ま
しい。
【0034】以下、具体的な実験結果をもとに本発明の
実施例3について説明する。マグネタイト粉として、保
磁力650(Oe)、BET40m2 /gのものを用意
した。更に以下の組成により、バインダー溶液を作製し
た。
【0035】 バインダー溶液組成 ニトロセルロース 20重量部 ポリウレタン樹脂 15重量部 MEK 35重量部 シクロヘキサノン 30重量部 これらを、デスパ攪拌機で攪拌し、バインダー溶液とし
た。
【0036】次に、マグネタイト粉を100重量部、粉
体用攪拌機に投入し、攪拌作業を行いながら、界面活性
剤としてレシチンを1重量部添加し攪拌を行った。その
後、前記バインダー溶液を60重量部添加し、2分間混
合して処理を終了した。処理終了後の前記マグネタイト
粉は、粉体の状態であった。
【0037】前記処理品を100Kgドラム缶に入れ、
蓋をせずに気温20℃、湿度60%の環境に3か月間放
置し、その後、以下(1)、(2)の工程により磁気記
録媒体を作製した。 (1)ニーダによる分散工程 前記処理、及び、放置後のマグネタイト粉をニーダにお
いて混練し、マグネタイトペレットM3を得た。
【0038】(2)ボールミルによる分散工程 以下の組成物をサンドミルにより分散し、磁性塗料を得
た。 マグネタイトペレットM3 160重量部 ポリウレタン 10重量部 トルエン 150重量部 アルミナ 10重量部 ミリスチン酸 5重量部 イソシアネート樹脂 20重量部
【0039】前記組成物を、ボールミルにより12時間
混練し、磁性塗料を作製し、14μm厚のPET製ベー
スフィルムに塗布、乾燥、カレンダリング、1/2イン
チ幅へのスリッティング、熱硬化工程を経てVHS規格
用のビデオテープVT3とした。
【0040】次に、比較例として以下の方法により磁気
記録媒体を作製した。マグネタイト粉を100Kgドラ
ム缶に入れ、蓋をせずに気温20℃、湿度60%の環境
に3か月間放置し、その後、以下の工程において磁気記
録媒体を作製した。
【0041】(1)ニーダによる分散工程 前記放置マグネタイト粉 100重量部 ニトロセルロース 12重量部 ポリウレタン樹脂 9重量部 MEK 21重量部 シクロヘキサノン 18重量部
【0042】前記組成物を、ニーダにより混練し、マグ
ネタイトペレットM4を得た。これを、前記工程(2)
ボールミルによる分散工程を行い、VHS規格用のビデ
オテープVT4とした。
【0043】以上、VT1(実施例1)、VT2(実施
例2)、VT3(実施例3)、VT4(比較例)につい
て測定した輝度、クロマそれぞれの信号におけるS/N
比(Y−S/N、C−S/N)、及び、表面電気抵抗、
ヤング率、媒体の耐久性、分散工程における設備の運転
状況を測定し、以下の評価項目に従い、評価した結果を
以下表1に記す。
【0044】評価項目 電磁変換特性(Y−S/N、C−S/N) VT2(実施例2)を基準(0dB)とし、測定結果を
基に以下の評価をした。 A:0dB B:0〜−1dB C:−1dB以下 電気抵抗 磁気記録媒体の表面電気抵抗が高いと媒体の表面に空気
中の塵や、ゴミを引き付けるいわゆるドロップアウトを
引き起こす。一般に表面電気抵抗は低い方が良いとさ
れ、通常のビデオテープでは5×109 Ω程度である。
そこで、磁気記録媒体の表面電気抵抗を測定し、その測
定結果をもとに以下の評価をした。 A:5×109 Ω以下 B:5×109 〜5×1011Ω C:5×1011Ω以上 ヤング率 ヤング率が高いと塗膜が硬くなり、低いと柔らかくなる
が、ヤング率が高すぎると塗膜が硬すぎて割れやすくな
り、低すぎると動摩擦係数が高くなり磁気記録媒体が走
行しずらくなる。本発明におけるバインダーや、その他
の組成は、塗膜の割れない程度にヤング率が高くなるよ
うに検討している。そこで、磁気記録媒体のヤング率を
測定し、その測定結果をもとに以下の評価をした。 A:15N/m2 以上 B:12〜15N/m2 C:12N/m2 以下 耐久性 VHS方式ビデオデッキにおいて多数回走行させた後
に、目視により磁気記録媒体表面の傷などの発生状況を
観察し、前記記録媒体の耐久性を評価した。 運転状況 分散工程におけるニーダ、サンドミル等の設備にかかる
負荷電流を測定し、その負荷電流が安定しているか、不
安定であるかを評価した。前記負荷電流が不安定である
と磁性粉の十分な分散が行えない。
【0045】
【表1】
【0046】表1の結果によれば、本発明に基づき、表
面処理を施したVT1、VT2、VT3において、電磁
変換特性は良好である。また電磁変換特性だけでなく、
記録媒体の表面電気抵抗にも効果がある。特にVT2、
VT3はバインダーの他に潤滑剤や、界面活性剤を加え
たことにより、電磁変換特性や、表面電気抵抗において
も、より効果的であることが分かる。つまり、バインダ
ーや、潤滑剤、界面活性剤をマグネタイト粉の表面に付
着することで、マグネタイト粉の酸化を防ぐことによ
り、マグネタイト粉の持つ磁気特性は損なわれずにすん
でいる。
【0047】しかし、マグネタイト粉を表面処理を施さ
ずに3か月間放置した後に記録媒体としたVT4は、マ
グネタイト粉の酸化が進行することにより、マグネタイ
トの電磁変換特性が損なわれていることが分かる。ま
た、電気伝導性の悪化により表面電気抵抗を下げる効果
も悪くなっている。
【0048】また、潤滑剤を添加したVT2について
は、前記潤滑剤の効果により記録媒体表面は潤滑性に優
れ、テープを走行させることによって磁気ヘッドや、各
種ポールや、ローラなどより受ける記録媒体表面の磨耗
は、潤滑剤を添加していないVT1や、VT4よりも格
段に少ない。
【0049】また、界面活性剤を添加したVT3につい
ては、界面活性剤を添加していないVT1や、VT4で
は、分散工程での設備の負荷電流が不安定であるなど運
転状況は大変厳しい状況であるが、界面活性剤を添加し
たことにより、前記設備の運転状況における負荷電流は
安定な状態を保つようになった。それにより、強力な分
散能力を持った攪拌機での高粘度、高固形分濃度での分
散がより確実なものとなり、更に、マグネタイト粉と、
バインダーとの接着性が良く、丈夫な塗膜を持つ磁気記
録媒体が得られた。
【0050】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る磁気記録媒体の製造方法によれば、表面処理後におい
てもマグネタイト粉が粉体の状態を維持しているため、
従来のような、濾別や、乾燥などの工程を経ることな
く、分散を行え、工程的負担も少なくなる。また、ニー
ダや、ロールミルのような強力な分散能力を持った装置
による分散に対しても容易に対応ができる。
【0051】更に、マグネタイト粉表面にバインダー
や、潤滑剤、界面活性剤などが付着することにより、マ
グネタイト粉の酸化を防ぐことができ、マグネタイト粉
の安定性の改善をすることが可能であり、マグネタイト
粉の磁気特性や、媒体の表面電気抵抗を下げる効果など
の磁気特性を損なうことなく、質の良い磁気記録媒体を
製造することができる。
【0052】また、潤滑剤を混入することで、潤滑性に
優れた塗膜を形成でき磁気記録媒体の耐久性は向上し、
界面活性剤を混入することで、ニーダや、ロールミルの
ような分散機において、十分な分散が可能となり、マグ
ネタイト粉とバインダーとの接着性がよく、丈夫な塗膜
を持つ記録媒体を製造することができる。よって、本発
明による磁気記録媒体の製造方法によれば、マグネタイ
トの持つ磁気特性を損なうことなく、かつ、媒体の耐久
性や、電磁変換特性、磁性粉の分散性の良い磁気記録媒
体を製造することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に、マグネタイト粉が結合
    剤に分散された磁性層を設けた磁気記録媒体の製造方法
    において、表面処理後においても前記マグネタイト粉が
    粉体の状態を維持するように前記マグネタイト粉と、適
    量の結合剤とを混合して表面処理を行う表面処理工程
    と、前記表面処理後のマグネタイト粉に有機溶媒を添加
    し、攪拌機により分散して磁性塗料とする分散工程と、
    前記磁性塗料を、前記非磁性支持体上へ塗布し、その後
    乾燥、カレンダリング、熱硬化等の所定の工程とを経て
    磁気記録媒体を製造することを特徴とする磁気記録媒体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法に
    おいて、前記結合剤は、塩化ビニル、ポリビニルブチラ
    ール、ニトロセルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹
    脂、ポリウレタン樹脂の内1種以上を含むことを特徴と
    する磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法に
    おいて、前記マグネタイト粉の比表面積BET値が30
    〜55m2 /gであることを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法に
    おいて、前記表面処理後において粉体の状態であるマグ
    ネタイト粉の固形分濃度が、70〜90%であることを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法の
    表面処理工程において、前記マグネタイト粉と結合剤と
    を混合する前に前記マグネタイト粉と、潤滑剤を混合
    し、その後、前記結合剤を添加し、これらを更に混合す
    ることで表面処理を行うことを特徴とする磁気記録媒体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5記載の磁気記録媒体の製造方法の
    表面処理工程において、前記潤滑剤は、脂肪酸、脂肪酸
    エステル、シリコン変性物、フッ素変性物の内1種以上
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法の
    表面処理工程において、前記マグネタイト粉と結合剤と
    を混合する前に前記マグネタイト粉と、界面活性剤を混
    合し、その後、前記結合剤を添加し、これらを更に混合
    することで表面処理を行うことを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の磁気記録媒体の製造方法の
    表面処理工程において、前記界面活性剤は、シランカッ
    プリング剤、チタンカップリング剤、アルミネートカッ
    プリング剤、ジルコニウムカップリング剤、TDO、オ
    レイン酸、リン酸エステル、レシチンの内1種以上を含
    むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5648150A (en) * 1994-09-05 1997-07-15 Victor Company Of Japan, Ltd. Magnetic recording medium having a backcoat layer containing carbon black and platelet inorganic powder

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