JPH0610997Y2 - 香り発生装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、建築物、乗り物の内部、および屋外等の種
々の空間に最適な香りを最適な時間に最適な濃度で供給
するために用いられる香り発生装置に関するものであ
る。

「従来の技術」 近来、生活環境を向上させる手段として香りに対する関
心が高まってきており、室内用芳香剤等によりたばこな
どの悪臭をマスキングするだけでなく、香りが人間に及
ぼす生理学・心理学的に優れた効果についても考慮され
るようになってきている。

従来、香りの人間に及ぼす生理・心理的効果は、“アロ
マテラピー”などとして経験的に知られていたが、最近
になって、人間の脳波の随伴性陰性変動（ＣＮＶ）等の
研究などから、ある種の香りが人間に覚醒・鎮静効果、
生理活性効果を持つことが証明された。また、会議室お
よびキーパンチャー室においてレモンなどの香りを空調
空気に混ぜて供給した場合に、会議の能率向上、キーパ
ンチャーのパンチミス率低下などの効果があることも実
験により確認されている。

このように、香りには、レモン系のように精神を活発化
させて覚醒（眠気覚まし）、循環機能の活発化などの効
果を有するもの、ラベンダ系のように精神を鎮静化させ
てストレス解消、不安解消、抗うつなどの効果を有する
もの、ローズマリー系のように食欲増進、リラックスな
どの効果を有するもの、あるいはフィトンチッドのよう
に人体に有害な細菌、ビールスを殺菌して肉体的に健康
を回復する効果を有するものなどがあり、これらの香り
の持つ効果を有効に利用することが生活循環の向上に役
立つと考えられている。

ところで、このような香りを発生させる装置としては、
超音波式香り発生装置、噴霧式香り発生装置などが知ら
れている。

超音波式香りの発生装置は、第５図に示すようにエアポ
ンプ（図示略）からの空気を供給する空気供給管１が下
部に連結されている筒状容器２内に香料気化室３が設け
られていると共に、この香料気化室３に、外部の超音波
発振回路４に連結されている超音波発振子５と、香料供
給ポンプ（図示略）から供給された液体香料を該超音波
発振子５の超音波発振振動面へ向けて噴出させる香料噴
出ノズル６とが設けられているものであって、該香料気
化室３内で発生させた香りを上記筒状容器２の上部に連
結された香りの供給管７へ流出させ、この香り供給管７
から目的の空間へ供給するように構成されているもので
ある。

噴霧式香り発生装置は、第６図に示すように、筒状容器
２内に設けられた香料気化室３に、先端部が上方へ向け
られた香料噴出ノズル８と、この香料噴出ノズル８と直
交してその先端部が該香料噴出ノズル８の先端部と近接
した状態で配置された空気噴出ノズル９と、この空気噴
出ノズル９の噴出方向に離間して配置された球状の衝突
部材１０とが設けられているものである。なお、この噴
霧式香り発生装置には、香料気化室３内の下部にその下
方の香料供給管１１から供給される液体香料を一旦貯留
しておく香料貯留槽１２が設けられており、この香料貯
留槽１２内の液体香料に上記香料噴出ノズル８の下端部
が浸された状態で設けられている。また、香料気化室３
内の底部には、該香料気化室３内で気化せずに流れ落ち
た液体香料を香料貯蔵タンク（図示略）へ返送する香料
返送管１３が連結されている。

「考案が解決しようとする課題」 ところで、普通、香りというものは、数種類から数百種
類にも及ぶ香気成分から構成されており、各香気成分は
その揮発性がそれぞれ異なるため、液体香料を気化（ガ
ス化）させる際にも、上記のような香料気化室３におい
て速やかに気化する成分もあれば、ミスト化（霧化）を
経て気化する成分もある。

このため、例えば上述の噴霧式香り発生装置では、必要
な量の液体香料を速やかに気化させ、かつ余分なミスト
を速やかに除去するために、該香料気化室３内の上部
に、上方へ空気を噴出する空気噴出ノズル１４と空気の
線速度を上げるノズル１５と気化せずに残った余分なミ
ストを衝突させて除去する衝突板方式のインパクター１
６が設けられている（第６図参照）。そして、上記空気
噴出ノズル１５から上方へ空気を噴出させることによっ
て、ノズル１５を通過させて空気の線速度を上げ、さら
にその空気をインパクター１６（衝突板方式のインパク
ター）に衝突させることによって液体香料の気化および
余分なミストの除去を促進するようにしている。

しかしながら、このような香り発生装置では、圧力損失
が大きいため、能力の大きなエアポンプが必要になり、
また、インパクター１４を設けない場合には、気化速度
が遅く、余分なミストの除去も不十分になるという問題
があった。

この考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、香料を
能率良く気化させると共に、余分なミストも効率的に除
去することのできる香り発生装置を提供することを目的
としている。

「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するために本考案では、香料気化室内に
おいて液体香料をミスト化して空気と混合することによ
りその液体香料を気化して香りを発生させる香り発生装
置において、 前記香料気化室は軸線を上下方向に向けた円柱状に形成
されるとともに、該香料気化室の下部位置には香り発生
部が設けられ、該香料気化室の上部位置には、香りを含
む空気を外部に噴出する噴出管が設けられ、更に、該香
料気化室には、該香料気化室の内周面の周方向に沿って
空気を噴出する空気噴出ノズルが設けられていることを
特徴とする。

ここで言う香りとは、良い香りで気分的に改善させるの
みならず、生理学・心理学的に作用して疲労回復、精神
の沈静化、活発化などの効果を発揮する各種の香料によ
るもの、あるいは植物が発散するフィトンチッドのよう
な殺菌作用、生理活性作用などを有する芳香性物質等を
含む。

「作用」 この考案では、空気噴出ノズルから噴出された空気は、
香料気化室の内周面の周方向に沿うように流動しつつ、
徐々に上昇して行き、最終的に該香料気化室の上部の噴
出管から外部に噴出される。そして、このとき、空気噴
出ノズルから噴出された空気は、香料気化室の内周面の
周方向に沿うように徐々に上昇して行くことから、香料
気化室内を螺旋状に旋回することになり、これによって
ミスト化した香料と空気との接触時間を長く保持でき、
かつ旋回流の遠心力を利用して、該香料気化室の内壁に
余分なミストを衝突させることができる。

「実施例」 以下、この考案の第１実施例を第１図および第２図を参
照して説明する。

この実施例の香り発生装置は、超音波式香り発生装置で
あって、第１図に示すように、筒状容器２内に香料気化
室３が設けられていると共に、この香料気化室３に、外
部の超音波発振回路４に連結されている超音波発振子５
と、香料供給ポンプ（図示略）から供給された液体香料
を該超音波発振子５の超音波発振振動面へ向けて噴出さ
せる香料噴出ノズル６とが設けられているものである。
そして、第２図に示すように、上記香料気化室３内の周
辺部には、該香料気化室３の内壁に沿って空気を噴出さ
せる空気噴出ノズル２０が設けられており、また、上記
筒状容器２の上部には、香料気化室３内で発生した香り
を目的の空間へ供給する香り供給管７が連結されてい
る。

この香り発生装置によって香りを発生させる場合には、
香料気化室３内において超音波発振子５を作動させると
共に、その超音波発振子５の超音波発振振動面へ向けて
香料噴出ノズル６から液体香料を噴出させることにより
その液体香料をミスト化し、かつ該香料気化室３内の周
辺部に設けられた空気噴出ノズル２０から該香料気化室
３の内壁に沿って空気を噴出させることにより旋回流を
生じさせる。このようにすると、その旋回流によって、
ミスト化した香料と空気との接触時間が長く保たれて気
化が促進されるため、液体香料に含まれる各香気成分が
全て同時に気化され、気化した香料に含まれる各香気成
分の割合が常に一定に保たれることとなると共に、旋回
流の遠心力により該香料気化室３の内壁に余分なミスト
が衝突し、それによって、気化せずに残った余分なミス
トが該香料気化室３の内壁に付着し、その内壁に沿って
該香料気化室３内の下部へ流下していくことにより余分
なミストが効果的に除去されていくこととなる。

次に、この考案の第２実施例の香り発生装置を第３図お
よび第４図を参照して説明する。

この実施例の香り発生装置は、噴霧式香り発生装置であ
って、第３図に示すように、筒状容器２内に設けられた
香料気化室３に、先端部が上方へ向けられた香料噴出ノ
ズル８と、この香料噴出ノズル８と直交してその先端部
が該香料噴出ノズル８の先端部と近接した状態で配置さ
れた空気噴出ノズル９と、この空気噴出ノズル９の噴出
方向に離間して配置された球状の衝突部材１０とが設け
られているものである。そして、第４図に示すように、
上記香料気化室３内の周辺部には、該香料気化室３の内
壁に沿って空気を噴出させる空気噴出ノズル２０が設け
られており、また、上記筒状容器２の上部には、香料気
化室３内で発生した香りを目的の空間へ供給する香り供
給管７が連結されている。

なお、この香り発生装置には、香料気化室３内の下部に
その下方の香料供給管１１から供給される液体香料を一
旦貯留しておく香料貯留槽１２が設けられており、この
香料貯留槽１２内の液体香料に上記香料噴出ノズル８の
下端部が浸された状態で設けられている。また、香料気
化室３内の底部には、該香料気化室３内で気化せずに流
れ落ちた液体香料を香料貯蔵タンク（図示略）へ返送す
る香料返送管１３が連結されている。

この香り発生装置によって香りを発生させる場合には、
香料気化室３内において空気噴出ノズル９から衝突部材
１０へ向けて空気を噴出させることによって、この空気
噴出ノズル９の先端部と近接して配置されている香料噴
出ノズル８の先端部から液体香料を噴出させてミスト化
し、かつ該香料気化室３内の周辺部に設けられた空気噴
出ノズル２０から該香料気化室３の内壁に沿って空気を
噴出させることにより螺旋流を生じさせる。このように
すると、その螺旋流によって、ミスト化した香料と空気
との接触時間が長く保たれて気化が促進されるため、液
体香料に含まれる各香気成分が全て同時に気化され、気
化した香料に含まれる各香気成分の割合が常に一定に保
たれることとなると共に、螺旋流の遠心力により該香料
気化室３の内壁に余分なミストが衝突し、それによっ
て、気化せずに残った余分なミストが該香料気化室３の
内壁に付着し、その内壁に沿って該香料気化室３内の下
部へ流下していくことにより余分なミストが効果的に除
去されていくこととなる。そして、このようにして該香
料気化室３内の底部まで流れ落ちた液体香料は、香料返
送管１３を通って図示しない香料貯蔵タンク等へ返送さ
れる。

なお、上記実施例において、超音波発振子５、香料噴出
ノズル６、空気噴出ノズル９、衝突部材１０、香料供給
管１１、香料貯留槽１２、香料返送管１３によって香り
発生部が構成される。

「考案の効果」 以上詳細に説明したように本考案では、空気噴出ノズル
から噴出された空気を、香料気化室の内周面の周方向に
沿うように徐々に上昇させて、螺旋流とすることができ
るので、これによってミスト化した香料と空気との接触
時間を長く保持でき、かつ旋回流の遠心力を利用して、
該香料気化室の内壁に余分なミストを衝突させることが
できる。

従って、本考案の香り発生装置では、ミスト化した香料
と空気との接触時間を長く保持できて、気化速度の異な
るミストを全て気化させることができるとともに、気化
せずに残った余分ミストも香料気化室の内壁に付着させ
て流れ落とすことによって空気内から効率良く除去でき
る効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、この考案の第１実施例を示す図
であって、第１図は香り発生装置の概略構成図、第２図
は第１図Ａ−Ａ線視断面図である。第３図および第４図
は、この考案の第２実施例を示す図であって、第３図は
香り発生装置の概略構成図、第４図は第３図Ｂ−Ｂ線視
断面図である。第５図および第６図は、それぞれ従来の
香り発生装置を示す図であって、第５図は超音波式香り
発生装置の概略構成図、第６図は噴霧式香り発生装置の
概略構成図である。 ２……筒状容器、 ３……香料気化室、 ４……超音波発振回路、 ５……超音波発振子、 ６……香料噴出ノズル、 ７……香り供給管、 ８……香料噴出ノズル、 ９……空気噴出ノズル、 １０……衝突部材、 １１……香料供給管、 １２……香料貯留槽、 １３……香料返送管、 ２０……空気噴出ノズル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】香料気化室内において液体香料をミスト化
   して空気と混合することによりその液体香料を気化して
   香りを発生させる香り発生装置において、 前記香料気化室は軸線を上下方向に向けた円柱状に形成
   されるとともに、 該香料気化室の下部位置には香り発生部が設けられ、該
   香料気化室の上部位置には、香りを含む空気を外部に噴
   出する噴出管が設けられ、 更に、該香料気化室には、該香料気化室の内周面の周方
   向に沿って空気を噴出する空気噴出ノズルが設けられて
   いることを特徴とする香り発生装置。