JPH06108657A - プレキャストコンクリート板の製造方法における高強度繊維製二次元織物の緊張定着方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度繊維製二次元織物の緊張作業を簡易化
する。 【構成】 型枠１内に入れた高強度繊維製二次元織物２
の型枠１外にはみ出した緊張方向の両端部を、対向面に
ゴム状弾性材４を接着した上下に対をなす鋼製の定着板
３，３間にそれぞれ介在させて、上下の定着板３，３あ
るいは３’を圧締装置により相対方向に圧締することに
より強力に挟着し、この状態で定着板３，３を緊張定着
装置に取付けて二次元織物２を緊張することを特徴とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、プレキャストコンク
リート板の製造方法における高強度繊維製二次元織物の
緊張定着方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のプレキャストコンクリート板の製
造方法において、炭素繊維、アラミド繊維およびガラス
繊維などの高強度繊維をコンクリート薄板の補強材とし
て用いる場合、網状の二次元織物を型枠内に配置する方
法が知られているが、二次元織物を単に型枠内に置いて
コンクリートを打設する方法では、コンクリートのかぶ
り厚を調整することができず、高強度繊維で効果的に補
強したプレキャストコンクリート板が得られないという
問題がある。

【０００３】そこで図８〜図１０に示すように、二次元
織物Ｂを型枠Ａ内に装填した後、両端を緊張定着装置に
より緊張してプレストレスを導入した状態でコンクリー
トＣを打設する方法も知られている。

【０００４】そして従来、プレストレスを導入する場合
において、高強度繊維はその表面摩擦係数が小さいこと
及び局部応力に弱いことからこれを緊張定着装置で直接
引張ることが困難なため、二次元織物Ｂの端部を緊張グ
リップ用の型枠Ｄ内に入れてこれに充填したコンクリー
トもしくはレジンなどの硬化材料Ｅで固めることによ
り、織物Ｂの両端にブロック状のグリップを取付け、こ
のグリップを緊張定着装置で掴んで緊張する方法が採用
されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の緊張方法に
おいては、二次元織物Ｂの両端を緊張グリップ用の型枠
Ｄ内に入れて硬化材料Ｅで固めるため、その作業に労力
と時間を要する上に、緊張グリップ用の型枠Ｄ内の硬化
材料Ｅが硬化するまで緊張作業にとりかかれないこと、
さらにはコンクリート板の成形後に緊張用グリップは切
り取って捨ててしまうため、その成形に要した労力及び
二次元織物Ｂや硬化材料Ｅの材料が無駄になって不経済
である等の欠点がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、型枠１内に
入れた高強度繊維製二次元織物２の型枠１外にはみ出し
た緊張方向の両端部を、対向面にゴム状弾性材４を接着
した上下に対をなす鋼製の定着板３，３間にそれぞれ介
在させて、上下の定着板３，３あるいは３’を圧締装置
により相対方向に圧締することにより強力に挟着し、こ
の状態で定着板３，３を緊張定着装置に取付けて二次元
織物２を緊張するようにしたプレキャストコンクリート
板の製造方法における高強度繊維製二次元織物の緊張定
着方法を提案するものである。

【０００７】

【作用】高強度繊維は、せん断力や局部応力に弱く、ま
た表面の摩擦係数も小さいが、定着板の対向面にゴム状
弾性材４が接着されているため、高強度繊維製二次元織
物２はその圧締時あるいは緊張時に損傷することなく確
実に圧着保持されると共に、緊張定着装置により確実に
緊張される。

【０００８】また、定着板３の対向面を相互に噛み合う
曲面に形成した場合には、二次元織物２の圧締拘束力は
より強化される。

【０００９】

【実施例】コンクリート板成形用の型枠１内に、炭素繊
維、アラミド繊維、あるいはガラス繊維などの高強度繊
維からなる網状の二次元織物２をそのロールから順次繰
り出して装填し、型枠１外にはみ出した緊張方向の二次
元織物２の両端部を上下一対の鋼製の定着板３，３間に
それぞれ介在させて、この上下の定着板３，３を高力ボ
ルトによる締結機構、油圧シリンダ等の圧締装置により
相対方向に圧締することにより強力に挟着する。

【００１０】定着板３は、対向面に、例えば厚さ0.5〜1
0mm の天然ゴム、合成ゴムもしくはゴム状弾性を有する
合成樹脂等のゴム状弾性材４を接着剤により接着した鋼
製板で、その対向面は平坦であってよいが、挟着した二
次元織物２の圧締拘束力を増強するために互いに噛み合
う波型等の曲面に形成することが望ましい。

【００１１】また、２枚以上の二次元織物２を緊張定着
する場合には、上下の定着板３，３間に、上下の対向面
にゴム状弾性材を接着した定着板３’を介在させる。

【００１２】このように二次元織物２の両端を圧締した
状態で、緊張方向の前後に位置する各一対の定着板３，
３を緊張定着装置に取付けて前記二次元織物を緊張す
る。

【００１３】この緊張定着装置としては、片方の定着板
３，３を固定して、もう片方の定着板３，３を引張る機
構、もしくは両方の定着板３，３を引張る機構のいずれ
であってもよく、所要の緊張状態において係止板５等で
両方の定着板３，３を固定し、型枠１内にコンクリート
６を打設する。

【００１４】コンクリート６の養生硬化後、定着板３，
３の緊張を解除し、さらに定着板３，３の圧着を解放す
ると共に、型枠１の後端において二次元織物２を切断し
て成形コンクリート板を脱型し、再び型枠１内にロール
から繰り出した二次元織物２を装填し、順次同様の工程
で緊張する。

【００１５】なお、高強度繊維の伸びは、鋼材に比べて
大きく（2〜3倍）、繊維と定着板との滑りは少量なた
め、二次元織物２の引張力の管理はその伸び量で行うこ
とができる。

【００１６】また、本実施例では成形するプレキャスト
コンクリート板を平板として説明したが、図７に示すよ
うに定着板３の形態を緊張方向に直角な方向の断面形と
して円弧状あるいは鋸刃状等の各種断面形とすることに
より、二次元織物を種々の横断面形に折曲した状態で緊
張することができ、そのような断面形の二次元織物強化
プレキャストコンクリート板を製造することが可能とな
る。

【００１７】

【発明の効果】以上の通りこの発明によれば、定着板に
よる圧締後、直ちに緊張作業を行うことが可能となり、
高強度繊維によるプレストレスを導入したプレキャスト
コンクリート板を連続かつ能率的に製造することがで
き、さらに高強度繊維などの材料のロスを無くすことが
できる。

【００１８】さらに、定着板の形態を緊張方向に直角な
方向の断面形として円弧状あるいは鋸刃状等の各種断面
形とすることにより、二次元織物を種々の横断面形に折
曲した状態で緊張して、各種断面形の二次元織物強化プ
レキャストコンクリート板を製造することができ、また
定着板を３枚以上重ねて挟着することにより、２枚以上
の二次元織物も同時に緊張でき、コンクリートのかぶり
厚、二次元織物の間隔の調整も容易かつ精密に行うこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の緊張工程の一態様を示す縦断側面
図。

【図２】この発明の緊張工程の他の態様を示す縦断側面
図。

【図３】この発明の緊張工程の他の態様を示す側面図。

【図４】この発明に係る定着板の一例を示す縦断側面
図。

【図５】この発明に係る定着板の他の例を示す縦断側面
図。

【図６】この発明に係る定着板の他の例を示す縦断側面
図。

【図７】この発明に係る異なる形態の定着板による緊張
状態を示す斜視図。

【図８】従来の緊張工程の一態様を示す縦断側面図。

【図９】従来の緊張工程の他の態様を示す縦断側面図。

【図１０】従来の緊張工程の他の態様を示す縦断側面
図。

【符号の説明】

１ 型枠 ２ 二次元織物 ３ 定着板 ３’ 定着板 ４ ゴム状弾性材 ５ 係止板 ６ コンクリート Ａ 型枠 Ｂ 二次元織物 Ｃ コンクリート Ｄ 緊張グリップ用の型枠 Ｅ 硬化材料

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 型枠内に入れた高強度繊維製二次元織物
   の型枠外にはみ出した緊張方向の両端部を、対向面にゴ
   ム状弾性材を接着した上下に対をなす鋼製の定着板間に
   それぞれ介在させて、前記上下の定着板を圧締装置によ
   り相対方向に加圧することにより圧着し、この状態で前
   記定着板を緊張定着装置に取付けて前記二次元織物を緊
   張することを特徴とするプレキャストコンクリート板の
   製造方法における高強度繊維製二次元織物の緊張定着方
   法。
2. 【請求項２】 上下の定着板の対向面は、相互に噛み合
   う曲面に形成してなることを特徴とする「請求項１」記
   載のプレキャストコンクリート板の製造方法における高
   強度繊維製二次元織物の緊張定着方法。