JPH06107875A - 結晶性ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

結晶性ポリプロピレン系樹脂組成物

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JPH06107875A
JPH06107875A JP4283689A JP28368992A JPH06107875A JP H06107875 A JPH06107875 A JP H06107875A JP 4283689 A JP4283689 A JP 4283689A JP 28368992 A JP28368992 A JP 28368992A JP H06107875 A JPH06107875 A JP H06107875A
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carbon atoms
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雅史 吉村
Yasuyuki Kawahara
康行 川原
Kazuaki Mizoguchi
和昭 溝口
Kiyoshi Sadamitsu
清 定光
Naoki Ikeda
直紀 池田
Hiroshi Kitagawa
宏 北川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 工業的に有利な条件下で、効率よくβ晶を多
量に含有し、且つ着色のない成形品を製造する。 【構成】 結晶性ポリプロピレン樹脂に対し、β晶核剤
として、ジアミンとモノカルボン酸から得られるアミド
化合物を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、β型結晶構造を多量に
生成し得る核剤を配合してなる結晶性ポリプロピレン系
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性ポリプロピレンには、α、β、
γ、δの各変態と溶融ポリプロピレンを急冷した際に生
ずるスメクチック変態が知られている。このうちβ変態
(以下「β晶」という。)は、従来汎用のナチュラルペ
レットに見られるα変態(以下「α晶」という。)と比
較して、融点が低く、密度も小さく、又、両者の結晶状
態や破壊の状態が異なる等、応用上興味ある特性を有し
ている(高分子化学、30、694〜698、(1978))。
【0003】β晶の製造方法としては、溶融ポリプロピ
レンを温度勾配下に結晶化させる方法と微量の核剤(以
下「β晶核剤」という。)を添加混合する方法がある
が、前者は長時間を要し、しかも微量の試料しか得られ
ないため、後者の方法がより実用的である。
【0004】かかるβ晶核剤として、これまでにγ−キ
ナクリドンが有名である(POLYMERLETTERS,6,539-546,
(1968))。しかしながら、当該核剤を適用した場合、得
られる製品が赤く着色し、ポリマーとの混合において特
別の装置や操作を必要とする等の欠点がある。
【0005】本発明は、キナクリドン系化合物の欠点を
解消し、色相に優れ、β晶系ポリプロピレンを多量に含
有する製品を効率良く得ることができる新規なβ晶核剤
を配合してなる実用的な結晶性ポリプロピレン系樹脂組
成物を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を達成し得るβ晶核剤を提案すべく鋭意検討の結果、
特定の構造を有するアミド系化合物が所定の効果を奏し
得ることを見いだし、かかる知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0007】即ち、本発明に係る結晶性ポリプロピレン
系樹脂組成物は、一般式(1)で示されるアミド系化合
物を含有することを特徴とする。
【化6】 [式中、R1は炭素数1〜24の脂肪族ジアミン残基、
脂環族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基(但し、キ
シリレンジアミン残基を除く。)を表し、R2、R3は同
一又は異なって炭素数3〜14のシクロアルキル基、シ
クロアルケニル基、
【化7】
【化8】
【化9】 又は
【化10】 で示される基を表す。R4、R5は水素原子あるいは炭素
数1〜4の直鎖状或いは分岐鎖状のアルキル基、アルケ
ニル基を表し、R6、R7は炭素数1〜3の直鎖状或いは
分岐鎖状のアルキレン基を表す。]
【0008】一般式(1)で示されるアミド系化合物
は、所定の脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン又は芳香族
ジアミンと所定のモノカルボン酸とを常法に従ってアミ
ド化することにより容易に調製することができる。
【0009】本発明に係る脂肪族ジアミンとしては、下
記の一般式(2)で表される飽和又は不飽和の脂肪族ジ
アミンが例示され、より具体的には、1,2−ジアミノプ
ロパン、1,3−ジアミノプロパン, 1,4−ジアミノブタ
ン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、
1,6−ジアミノヘキサン等が例示される。
【化11】 [式中、R8は飽和若しくは不飽和の炭素数1〜24の
アルキレン基を表す。]
【0010】脂環族ジアミンとしては、下記の一般式
(3)で表される脂環族ジアミン、例えば、1,2−ジア
ミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、
4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4'−ジアミ
ノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,3−ビ
ス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサン等の他、イソフォロンジアミ
ン、メンセンジアミン等の脂環族ジアミンが例示され
る。
【化12】 [式中、R9
【化13】 又は
【化14】 を表す。R10、R11は同一又は異なって水素原子或いは
炭素数1〜3のアルキレン基を、R12、R13は同一又は
異なって水素原子或いは炭素数1〜4のアルキレン基を
表す。]
【0011】芳香族ジアミンとしては、下記の一般式
(4)で表される芳香族ジアミンが例示され、より具体
的には、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレ
ン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフ
ォン等が例示される。尚、芳香族ジアミンであってもキ
シリレンジアミンは所定の効果を得ることができない。
【化15】 [式中、Xは
【化16】
【化17】 又は
【化18】 を表す。Yは−CH2−、−O−、−SO2−、−S−、
−CO−又は−C(CH32−を表す。]
【0012】上記モノカルボン酸としては、フェニル酢
酸、シクロヘキシル酢酸、シクロプロパンカルボン酸、
シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、
シクロヘキサンカルボン酸、2−メチル−シクロヘキサ
ンカルボン酸、3−メチル−シクロヘキサンカルボン
酸、4−メチル−シクロヘキサンカルボン酸、4−tert−
ブチル−シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、o−メ
チル−安息香酸、m−メチル−安息香酸、p−メチル−安
息香酸、p−エチル−安息香酸、p−ブチル安息香酸、p
−tert−ブチル安息香酸等が例示される。
【0013】上記ジアミン及びモノカルボン酸より得ら
れるジアミド化合物のうち、より好ましい化合物として
は、N,N'−ジシクロヘキサンカルボニル−p−フェニレ
ンジアミン、N,N'−ジベンゾイル−1,5−ジアミノナフ
タレン、N,N'−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘ
キサン、N,N'−ジシクロヘキサンカルボニル−1,4−ジ
アミノシクロヘキサン等が例示される。
【0014】当該β晶核剤をポリプロピレン系樹脂に配
合する方法としては、重合時に配合する方法と、別途調
製した重合物に添加混合する方法のいずれも適用するこ
とができる。
【0015】β晶核剤の適用量は、所定の効果が得られ
る限り適宜選択することができるが、通常、ポリプロピ
レン100重量部に対し、0.0001〜5重量部程
度、より好ましくは0.001〜1重量部程度である。
0.0001重量部未満ではβ晶が生成しにくく、5重
量部を越えて含有しても効果上の優位差が認められず、
経済的に不利となって、いずれも好ましくない。
【0016】このように、本願に係るβ晶核剤は、極め
て微量で結晶性ポリプロピレン系樹脂をβ晶に変換せし
めることができ、通常の成形条件下で20〜92重量%
のβ晶を含有する成形物を得ることができる。
【0017】本発明に係るポリプロピレン系樹脂とは、
プロピレンを主要な構成成分としてなる重合体であっ
て、プロピレン単独重合体のみならず他のα−オレフィ
ン(炭素数2〜12)との共重合体も含まれる。具体的
には、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレンを主体
としたプロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロ
ピレン−エチレンブロックコポリマー及び前記ポリプロ
ピレン系樹脂と少量の熱可塑性樹脂、例えば、高密度ポ
リエチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテ
ン−1とのブレンドポリマー等が例示される。
【0018】かかる重合体は、所定のモノマーを触媒の
存在下に重合して得られる。当該触媒としては、一般に
使用されているチーグラー・ナッタ型触媒はもちろん、
遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン
等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハ
ロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してな
る触媒と、アルキルアルミニウム化合物(トリエチルア
ルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組
み合わせてなる触媒系も使用できる。
【0019】結晶性ポリプロピレン系樹脂成分のメルト
フローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 6758
-1981)は、その適用する成形方法により適宜選択さ
れ、通常、0.1〜100g/10分程度、好ましくは
0.5〜50g/10分程度である。
【0020】本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じ
て安定剤(エポキシ化合物等)、酸化防止剤(フェノー
ル系化合物、亜リン酸エステル系化合物等)、紫外線吸
収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系
化合物)、中和剤、造核剤、帯電防止剤、アンチブロッ
キング剤、滑剤(脂肪族炭化水素、高級脂肪酸及びその
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸アマイド、ロジン誘導体等)、着色剤、
エラストマー、無機鉱物(タルク、ハイドロタルサイト
等)の各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で併
用することができる。
【0021】適用できる成形方法としては、射出成形、
押出成形、圧縮成形等が例示される。
【0022】本願に係る樹脂組成物は、α晶のポリプロ
ピレンと比べて融点が低く、加熱下において変形に要す
る力が小さい等の特徴を有し、二次加工性の改善等に非
常に有用であり、所望する混合方法、成形加工条件下に
て成形することにより、容易にβ晶を従来になく高度
(現在、92重量%の含有比率を確認している。)に含
有した色相の良好な成形品を得ることができる。このポ
リプロピレン成形品は、容器、シート、フィルム等の幅
広い分野への応用が可能である。
【0023】又、本発明に係る樹脂組成物は、成形条
件、例えば冷却条件を選択することによりα型結晶構造
とβ型結晶構造の含有比率を制御することが可能であ
り、この特性は、特に二軸延伸フィルムの表面粗面化等
に効果的である。得られた表面粗面化フィルムはブロッ
キング防止性、印刷性、接着性等に優れ、包装用フィル
ム、印刷用紙、トレーシングペーパー、油浸型プラスチ
ックコンデンサー等の分野で非常に有用である。
【0024】
【実施例】以下に実施例及び比較例を掲げ、本発明を詳
しく説明する。尚、β晶含有率は以下の測定方法により
求めた。
【0025】[β晶含有率の測定]試料5〜10mgをD
SCの試料ホルダーにセットし、窒素雰囲気下で230
℃で5分間溶融した後、20℃/分で室温近くまで降温
する。次いで、20℃/分で昇温し、このとき得られた
DSCサーモグラムのα晶とβ晶のピーク面積よりβ晶
含有率(面積%)を求める。尚、β晶の生成は、X線回
折により確認している。
【0026】実施例1 プロピレンホモポリマー粉末(MFR=14g/10
分)100重量部にN,N'−ジシクロヘキサンカルボニル
−p−フェニレンジアミンを0.05重量部添加し、ヘ
ンシェルミキサーで混合後、20mmφの一軸押出機でペ
レット化した。次に、得られたペレットを230℃×1
0分の条件下で圧縮成形し、厚さ0.5mmのシートとし
た。得られた試料のβ晶含有率は84%であり、シート
の着色は認められなかった。
【0027】実施例2 β晶核剤としてN,N'−ジベンゾイル−1,5−ジアミノナ
フタレンを適用した他は実施例1と同様にしてシートを
調製した。得られた試料のβ晶含有率は44%であり、
シートの着色は認められなかった。
【0028】実施例3 β晶核剤としてN,N'−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシ
クロヘキサンを適用した他は実施例1と同様にしてシー
トを調製した。得られた試料のβ晶含有率は92%であ
り、シートの着色は認められなかった。
【0029】実施例4 β晶核剤としてN,N'−ジシクロヘキサンカルボニル−1,
4−ジアミノシクロヘキサンを適用した他は実施例1と
同様にしてシートを調製した。得られた試料のβ晶含有
率は85%であり、シートの着色は認められなかった。
【0030】比較例1 N,N'−ジシクロヘキサンカルボニル−p−フェニレンジ
アミンを添加しない他は実施例1と同様にしてシートを
調製し、そのβ晶含量を求めた。得られた試料のβ晶含
有率は痕跡量であった。尚、シートの着色は認められな
かった。
【0031】比較例2 β晶核剤としてγ−キナクリドンを適用した他は実施例
1と同様にしてシートを調製した。しかしながら、当該
条件下では得られた試料中のβ晶は痕跡量であった。
尚、シートは赤色に着色した。
【0032】
【発明の効果】本発明に係る結晶性ポリプロピレン系樹
脂組成物を適用することにより、工業的な条件下で、効
率よくβ晶を多量に含有する成形品を製造することがで
きる。
フロントページの続き (72)発明者 定光 清 京都府京都市伏見区葭島矢倉町13番地 新 日本理化株式会社内 (72)発明者 池田 直紀 京都府京都市伏見区葭島矢倉町13番地 新 日本理化株式会社内 (72)発明者 北川 宏 京都府京都市伏見区葭島矢倉町13番地 新 日本理化株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で示されるアミド系化合物
    を含有することを特徴とする結晶性ポリプロピレン系樹
    脂組成物。 【化1】 [式中、R1は炭素数1〜24の脂肪族ジアミン残基、
    脂環族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基(但し、キ
    シリレンジアミン残基を除く。)を表し、R2、R3は同
    一又は異なって炭素数3〜14のシクロアルキル基、シ
    クロアルケニル基、 【化2】 、 【化3】 、 【化4】 又は 【化5】 で示される基を表す。R4、R5は水素原子或いは炭素数
    1〜4の直鎖状或いは分岐鎖状のアルキル基、アルケニ
    ル基を表し、R6、R7は炭素数1〜3の直鎖状或いは分
    岐鎖状のアルキレン基を表す。]
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