JPH06105730A - 車両のシート構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車体側部をなすドアに近接するシートを、ドア
にその外部から衝撃が加えられたとき、ドアの車室内へ
の侵入を抑制するものとなす。 【構成】シート（５）のシートバック（５Ｂ）を形成す
るフレーム部材（１１）に接続され、シート（５）に近
接した位置をとるドア（６）に向かって突出する第１の
補強部材（１５）と、フレーム部材（１１）における第
１の補強部材（１５）との接続部分とフレーム部材（１
１）における他の部分とを連結し、第１の補強部材（１
５）に作用する荷重をフレーム部材（１１）における他
の部分に伝達する第２の補強部材（１６）とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車室内に配されたシー
トにおけるシートバックを形成するフレーム部材が、補
強部材を備えるものとされて成る車両のシート構造に関
する。

【０００２】

【従来の技術】車両においては、種々の状況下における
乗員の安全性をより高めるべく、各種対策が採られてい
る。このような対策の一つとして、例えば、実開昭63-1
8363号公報にも示される如くのシートベルトが挙げられ
る。斯かる公報においては、シートにおけるシートバッ
クからそのシートに近接する位置に配されたドアに向か
って突出するベルトガイド部材に、それに設けられた切
欠部を通じて挿通せしめられて、シートに着座した乗員
に装着されるとき、取り扱いが容易とされた肩掛け式の
シートベルトが開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述の如くに、シート
バックからそれに近接して配されたドアに向かって突出
するベルトガイド部材にあっては、車体側部にその外部
から衝撃が加えられたとき、変形するもしくは破損する
等の虞がある。斯かる問題は、シートにおいても同様と
されるが、シートにあっては、それに近接する車体側
部、例えば、ドアにその外部から比較的大なる衝撃が加
えられた場合にも、容易に変形等を生じることなく、ド
アの車室内への侵入を抑制することができる剛性を有す
るものとされることが要求される。しかしながら、この
ようなドアにその外部から加えられる衝撃に対して、ド
アにインパクトバーを収納する、あるいは、ドアとシー
トとの間にエアバック機構を備える等の対策を採ること
は知られているが、シート自体が上述の如くの要求に応
じたものとなされた対策は見当たらない。

【０００４】斯かる点に鑑み、本発明は、車室内に配さ
れたシートに近接する車体側部、例えば、ドアにその外
部から比較的大なる衝撃が加えられたとき、シートがド
アの車室内への侵入を抑制することができるようにされ
た車両のシート構造を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成すべ
く、本発明に係る車両のシート構造は、車室内に配され
たシートを形成するフレーム部材と、フレーム部材にお
けるシートバックを形成する部分に接続され、シートに
近接する位置に配されたドアに向かって突出する第１の
補強部材と、フレーム部材における第１の補強部材との
接続部分とフレーム部材における他の部分とを連結する
第２の補強部材とが備えられ、第２の補強部材が、第１
の補強部材に作用する荷重をフレーム部材における他の
部分に伝達するものとされて、構成される。

【０００６】

【作用】このように構成される本発明に係る車両のシー
ト構造においては、シートに近接する車体側部、例え
ば、ドアがその外部から衝撃が加えられて車室内に侵入
する事態がまねかれると、先ず、第１の補強部材がドア
に当接し、斯かる際においてその第１の補強部材に作用
する荷重が第２の補強部材を通じて、フレーム部材にお
ける第１の補強部材から離隔した部分に伝達される。従
って、第１の補強部材及びフレーム部材における第１の
補強部材との接続部分に荷重が集中する事態が回避さ
れ、それにより、シート全体が、ドアの車室内への侵入
を効果的に抑制するものとなる。

【０００７】

【実施例】図２は、本発明に係る車両のシート構造の一
例を、それが適用された車両と共に示す。

【０００８】図２において、車両の車体１に設けられた
車室２には、シート５が配されている。シート５は、例
えば、左着座部を形成するものとされ、その左方に位置
するドア６に対向する側部には、図示が省略されたリク
ライニング機構が配されている。シート５は、それを形
成するフレーム部材が、シート５におけるシートクッシ
ョン５Ａの骨組を形成するシートクッション側フレーム
部材１０と、シート５におけるシートバック５Ｂの骨組
を形成し、シートクッション側フレーム部材１０に揺動
可能に連結されたシートバック側フレーム部材１１とか
ら成り、リクライニング機構により、シートバック５Ｂ
のシートクッション５Ａに対する傾き角を、図２におい
て実線及び一点鎖線により示される如くに調整できるよ
うにされている。また、シートバック５Ｂには、ヘッド
レスト８が取り付けられている。

【０００９】シートバック側フレーム部材１１は、図１
に示される如く、車幅方向に伸びる上側パイプ状部１１
Ａ及び下側パイプ状部１１Ｂと、車体上下方向に伸びる
左側パイプ状部１１Ｃ及び右側パイプ状部１１Ｄとを有
し、さらに、パイプ状とされた第１及び第２の補強部材
１５及び１６が設けられたものとされている。第１の補
強部材１５は、シートバック側フレーム部材１１の上側
パイプ状部１１Ａにおけるドア６に近接した部分に一端
部１５ａが接続されるとともに、シートバック側フレー
ム部材１１の左側パイプ状部１１Ｃにおける上側パイプ
状部１１Ａに近接した部分に他端部１５ｂが接続され、
全体が、シートバック５Ｂとの間に空間部１８を形成し
てドア６に向かって突出する湾曲形状を有している。ま
た、シートバック側フレーム部材１１における上側パイ
プ状部１１Ａには、図示が省略された肩掛け式のシート
ベルトが挿通せしめられるベルト挿通孔１９ａを有した
ベルト支持部材１９が、ヘッドレスト８と第１の補強部
材１５との間に位置をとって配されている。

【００１０】第２の補強部材１６は、シートバック側フ
レーム部材１１の左側パイプ状部１１Ｃにおける第１の
補強部材１５における一端部１５ａとの接続部分に一端
部１６ａが接続されるとともに、シートバック側フレー
ム部材１１の下側パイプ状部１１Ｂにおけるドア６から
離隔した部分に他端部１６ｂが接続され、全体が、ドア
６から離隔する方向をもって下方に傾斜して伸びる形状
を有している。

【００１１】上述の如くの第１及び第２の補強部材１５
及び１６が設けられたシートバック用フレーム部材１１
においては、ドア６がその外部から比較的大なる衝撃が
加えられて、第１の補強部材１５に当接する事態がまね
かれると、その第１の補強部材１５に作用する荷重が、
第２の補強部材１６を通じて下側パイプ状部１１Ｂに伝
達され、シートバック用フレーム部材１１における下側
パイプ状部１１Ｂを含む周囲部分において吸収される。
それにより、第１の補強部材１５、及び、シートバック
用フレーム部材１１の左側パイプ状部材１１Ｃにおける
第１の補強部材１５の一端部１５ａとの接続部分に荷重
が集中する事態が回避される。

【００１２】その結果、第１及び第２の補強部材１５及
び１６に相当する補強部材が設けられていないシートバ
ック用フレーム部材を備えたシートにあっては、それに
近接するドアにその外部から比較的大なる衝撃が加えら
れたとき、例えば、図１において二点鎖線Ａにより示さ
れる如くの位置までドアを車室内に侵入させてしまうも
のとなるが、本発明の一例を成すシート５にあっては、
ドア６にその外部から比較的大な衝撃が加えられたと
き、例えば、図１において一点鎖線Ｂにより示される如
くに、二点鎖線Ａにより示される位置より車体外方側と
なる位置において、ドア６の車室内への侵入を阻止する
ものとなる。

【００１３】なお、第１の補強部材１５は、例えば、シ
ートバック５Ｂのシートクッション５Ａに対する傾き角
の調整が行われるとき、その調整を行う者によりグリッ
プとして用いられて、シートバック５Ｂの調整が容易に
行われるようになすものともされる。さらに、第１の補
強部材１５は、ベルト支持部材１９に代えて、肩掛け式
とされたシートベルトのベルト支持部材としての役割も
果たすものとされ、斯かる場合には、第１の補強部材１
５とシートバック５Ｂとの間に形成された空間部１８
が、肩掛け式とされたシートベルトに対するベルト挿通
孔として利用される。

【００１４】

【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明に
係る車両のシート構造によれば、シートに近接する車体
側部、例えば、ドアがその外部から衝撃が加えられて第
１の補強部材に当接したとき、第１の補強部材に作用す
る荷重が、第２の補強部材によってフレーム部材におけ
る第１の補強部材との接続部分からフレーム部材におけ
る他の部分に伝達され、それにより、第１の補強部材及
びフレーム部材における第１の補強部材との接続部分に
荷重が集中する事態を回避することができる。その結
果、シート全体が、ドアの車室内への侵入を効果的に抑
制するものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車両のシート構造の一例を示す構
成図である。

【図２】本発明に係る車両のシート構造の一例をそれが
適用された車両と共に示す側面図である。

【符号の説明】

２ 車室 ５ シート ５Ａ シートクッション ５Ｂ シートバック ６ ドア １０ シートクッション側フレーム部材 １１ シートバック側フレーム部材 １５ 第１の補強部材 １６ 第２の補強部材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車室内に配されたシートを形成するフレー
   ム部材と、 該フレーム部材におけるシートバックを形成する部分に
   接続され、上記シートに近接する位置に配されたドアに
   向かって突出する第１の補強部材と、 上記フレーム部材における上記第１の補強部材との接続
   部分と上記フレーム部材における他の部分とを連結し、
   上記第１の補強部材に作用する荷重を上記フレーム部材
   における他の部分に伝達する第２の補強部材と、を備え
   て構成される車両のシート構造。
2. 【請求項２】第１の補強部材が、上記シートバックに設
   けられたグリップ部を形成することを特徴とする請求項
   １記載の車両のシート構造。
3. 【請求項３】第１の補強部材が、上記シートに肩掛け式
   とされて設けられたシートベルトに対する支持部材とし
   ての役割を果たすことを特徴とする請求項１記載の車両
   のシート構造。