JPH06104522A - 半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents
半導体レーザ素子の製造方法Info
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- JPH06104522A JPH06104522A JP64091A JP64091A JPH06104522A JP H06104522 A JPH06104522 A JP H06104522A JP 64091 A JP64091 A JP 64091A JP 64091 A JP64091 A JP 64091A JP H06104522 A JPH06104522 A JP H06104522A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高出力動作可能な半導体レーザ素子を歩留り良
く製造する。 【構成】量子井戸を活性層とする半導体レーザ素子の発
光点を含む相対する共振器面にSiを含有する誘電体膜
を形成した後、800℃以上の高温に保持して、Siを
含有する誘電体膜より拡散したSiによって発光点を含
む端面近傍の量子井戸を無秩序化し、無秩序化された端
面近傍の活性層が、無秩序化していないレーザ素子の端
面近傍を除く中央部の活性層に比べ実効的に大きなバン
ドギャップを有する半導体レーザ素子を製造する。
く製造する。 【構成】量子井戸を活性層とする半導体レーザ素子の発
光点を含む相対する共振器面にSiを含有する誘電体膜
を形成した後、800℃以上の高温に保持して、Siを
含有する誘電体膜より拡散したSiによって発光点を含
む端面近傍の量子井戸を無秩序化し、無秩序化された端
面近傍の活性層が、無秩序化していないレーザ素子の端
面近傍を除く中央部の活性層に比べ実効的に大きなバン
ドギャップを有する半導体レーザ素子を製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】光情報処理システムあるいは光通
信システム等の光源として期待される高出力半導体レー
ザ素子の製造方法を提供する。
信システム等の光源として期待される高出力半導体レー
ザ素子の製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】発振波長0.7から0.8μm帯で50
mW以上の高出力で、しかも単一横モードで安定して動
作する半導体レーザ素子が多方面で求められている。例
えば光情報処理の分野では光ディスクの光源として40
mW以上の単一基本横モード出力で安定して動作する半
導体レーザ素子が求められている。また衛星間光通信の
光源としても同じ波長帯で100mW以上の光出力で安
定した基本横モード出力で動作するレーザ素子が将来必
要とされている。またこのような高出力レーザは固体レ
ーザや第2高調波光の励起用光源としても注目されてい
る。この波長帯で用いられる半導体の活性領域の材料と
してはAlGaAsの三元結晶が広く用いられている。
この材料を活性領域とするレーザの場合、共振器を形成
する端面において活性層のバンドギャップ内に表面準位
が多い。これを介した光吸収による端面部の活性領域の
発熱,融解によって端面部の活性領域が破壊されレーザ
素子が動作不良になることが知られている。また破壊に
まで至らなくても先の端面に於ける表面準位が高出力動
作時の劣化の大きな原因となっている。安定な横モード
を高出力まで維持するためには横方向の導波路幅を有限
な値にしなければならず、端面の活性領域における光密
度を下げるには限界がある。端面の活性層における表面
準位はこれらの材料とする単一横モードレーザの高出力
動作及び高出力動作時の信頼性に重大な影響を及ぼして
いる。
mW以上の高出力で、しかも単一横モードで安定して動
作する半導体レーザ素子が多方面で求められている。例
えば光情報処理の分野では光ディスクの光源として40
mW以上の単一基本横モード出力で安定して動作する半
導体レーザ素子が求められている。また衛星間光通信の
光源としても同じ波長帯で100mW以上の光出力で安
定した基本横モード出力で動作するレーザ素子が将来必
要とされている。またこのような高出力レーザは固体レ
ーザや第2高調波光の励起用光源としても注目されてい
る。この波長帯で用いられる半導体の活性領域の材料と
してはAlGaAsの三元結晶が広く用いられている。
この材料を活性領域とするレーザの場合、共振器を形成
する端面において活性層のバンドギャップ内に表面準位
が多い。これを介した光吸収による端面部の活性領域の
発熱,融解によって端面部の活性領域が破壊されレーザ
素子が動作不良になることが知られている。また破壊に
まで至らなくても先の端面に於ける表面準位が高出力動
作時の劣化の大きな原因となっている。安定な横モード
を高出力まで維持するためには横方向の導波路幅を有限
な値にしなければならず、端面の活性領域における光密
度を下げるには限界がある。端面の活性層における表面
準位はこれらの材料とする単一横モードレーザの高出力
動作及び高出力動作時の信頼性に重大な影響を及ぼして
いる。
【0003】このレーザ端面における光吸収をなくし、
より高出力までの動作及び高出力時の安定動作を可能に
するレーザ構造として、ウィンドウ構造と呼ばれるレー
ザ素子が提案、試作されている。これはレーザ素子の端
面近傍の活性領域のバンドギャップを選択的に広げ、発
光時に端面部の活性層領域での光の吸収をなくした構造
である。従来、エレクトロニクス レターズ誌(Electro
nics Letters) 20巻(1984年)383頁に図4に
示すような方法でウィンドウ構造が試作されている。活
性領域203は50オングストロームのAl0.2 Ga
0.8 Asバリア層で囲まれた150オングストローム厚
のGaAs井戸の8層よりなっており、これにSi3 N
4 203をマスクとして30μm幅のストライプ状に選
択的にZn拡散を行なう。このZn拡散により拡散領域
下の量子井戸活性領域210が選択的に無秩序化される
(図4(a))。拡散を行なった後、リッジをエッチン
グにより形成し導波路を作製する。p,n両電極25
0,251を形成した後、Zn拡散領域211の中央で
レーザ素子をへき開し(図4(b))、図4(c)に示
す半導体レーザ素子が完成する。
より高出力までの動作及び高出力時の安定動作を可能に
するレーザ構造として、ウィンドウ構造と呼ばれるレー
ザ素子が提案、試作されている。これはレーザ素子の端
面近傍の活性領域のバンドギャップを選択的に広げ、発
光時に端面部の活性層領域での光の吸収をなくした構造
である。従来、エレクトロニクス レターズ誌(Electro
nics Letters) 20巻(1984年)383頁に図4に
示すような方法でウィンドウ構造が試作されている。活
性領域203は50オングストロームのAl0.2 Ga
0.8 Asバリア層で囲まれた150オングストローム厚
のGaAs井戸の8層よりなっており、これにSi3 N
4 203をマスクとして30μm幅のストライプ状に選
択的にZn拡散を行なう。このZn拡散により拡散領域
下の量子井戸活性領域210が選択的に無秩序化される
(図4(a))。拡散を行なった後、リッジをエッチン
グにより形成し導波路を作製する。p,n両電極25
0,251を形成した後、Zn拡散領域211の中央で
レーザ素子をへき開し(図4(b))、図4(c)に示
す半導体レーザ素子が完成する。
【0004】へき開面にあたるZn拡散領域210では
無秩序化によって活性層のバンドギャップが、無秩序化
していない中央部の量子井戸活性層203に比べ広がっ
ており、端面近傍の活性層は中央部で発光したレーザ光
に対して吸収のない透明な領域となる。そのため高出力
動作時においても端面近傍でレーザ光が吸収され発熱す
ることなく、安定した動作を維持することができる。こ
の構造によりパルス駆動動作時の最大光出力としてZn
拡散なしの素子の約3倍の120mWが得られている。
この素子と同じ様な不純物拡散によるウィンドウレーザ
の例としてはジャパン ジャーナル オブ アプライド
フィジックス誌(japan Journal of Applied Physics)
24巻(1985年)L647頁、エレクトロニクスレ
ターズ誌(Electronics Letters) 23巻(1987年)
525頁がある。
無秩序化によって活性層のバンドギャップが、無秩序化
していない中央部の量子井戸活性層203に比べ広がっ
ており、端面近傍の活性層は中央部で発光したレーザ光
に対して吸収のない透明な領域となる。そのため高出力
動作時においても端面近傍でレーザ光が吸収され発熱す
ることなく、安定した動作を維持することができる。こ
の構造によりパルス駆動動作時の最大光出力としてZn
拡散なしの素子の約3倍の120mWが得られている。
この素子と同じ様な不純物拡散によるウィンドウレーザ
の例としてはジャパン ジャーナル オブ アプライド
フィジックス誌(japan Journal of Applied Physics)
24巻(1985年)L647頁、エレクトロニクスレ
ターズ誌(Electronics Letters) 23巻(1987年)
525頁がある。
【0005】これらの従来例ではいずれも活性層無秩序
化のための不純物拡散工程として試料と同時に、不純物
源となるZnAs2 をアンプル内で真空状態で封入し、
電気炉内で加熱して拡散を行なわせていた。
化のための不純物拡散工程として試料と同時に、不純物
源となるZnAs2 をアンプル内で真空状態で封入し、
電気炉内で加熱して拡散を行なわせていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の技
術では、Znの半導体中での拡散係数が大きく拡散が速
いために、その拡散深さや濃度の制御が難しい。拡散温
度,拡散時間,As圧,拡散領域の表面状態等の微妙な
違いによりZn拡散プロファイルが大きく変化してしま
う。このためn−GaAs基板にまでZn拡散が及ぶと
そこで接合電圧の低いGaAsのpn接合が形成される
ためにそこに電流が漏れてしまう可能性があった。また
逆に拡散が浅いと無秩序化が充分に行なわれず、良好な
高出力特性が得られない可能性があった。また半導体多
層構造体の表面からZnを拡散させるために表面から活
性層までの距離の許容範囲が狭く、ウェハ内の層厚の不
均一性により素子の歩留まりや特性の均一性が低下して
しまう心配があった。さらに複雑な導波路構造を有する
半導体レーザ素子には拡散深さや領域を制御することが
困難なために適応が難しく汎用性がない。
術では、Znの半導体中での拡散係数が大きく拡散が速
いために、その拡散深さや濃度の制御が難しい。拡散温
度,拡散時間,As圧,拡散領域の表面状態等の微妙な
違いによりZn拡散プロファイルが大きく変化してしま
う。このためn−GaAs基板にまでZn拡散が及ぶと
そこで接合電圧の低いGaAsのpn接合が形成される
ためにそこに電流が漏れてしまう可能性があった。また
逆に拡散が浅いと無秩序化が充分に行なわれず、良好な
高出力特性が得られない可能性があった。また半導体多
層構造体の表面からZnを拡散させるために表面から活
性層までの距離の許容範囲が狭く、ウェハ内の層厚の不
均一性により素子の歩留まりや特性の均一性が低下して
しまう心配があった。さらに複雑な導波路構造を有する
半導体レーザ素子には拡散深さや領域を制御することが
困難なために適応が難しく汎用性がない。
【0007】また、従来例の試料と不純物拡散源をアン
プル内に封入し、電気炉内で加熱して拡散させる方法で
は、アンプルを密閉する工程における残留ガスの排出や
ガラスの封じ切りが非常に複雑で専門的な技術を要する
上に、それらの状態によって拡散の深さが大きく変化し
てしまう可能性があった。またアンプルにピンホールが
あった場合加熱後の素子表面が荒れてしまったり拡散し
なかったりすることがあった。さらに電気炉では加熱,
冷却に時間がかかるため、スループットが悪い。
プル内に封入し、電気炉内で加熱して拡散させる方法で
は、アンプルを密閉する工程における残留ガスの排出や
ガラスの封じ切りが非常に複雑で専門的な技術を要する
上に、それらの状態によって拡散の深さが大きく変化し
てしまう可能性があった。またアンプルにピンホールが
あった場合加熱後の素子表面が荒れてしまったり拡散し
なかったりすることがあった。さらに電気炉では加熱,
冷却に時間がかかるため、スループットが悪い。
【0008】本発明は高い素子歩留まりと均一な素子特
性が得られ、複雑な導波路構造を有する半導体レーザ素
子にも容易に適応できる高出力半導体レーザ素子の製造
方法を提供することにある。
性が得られ、複雑な導波路構造を有する半導体レーザ素
子にも容易に適応できる高出力半導体レーザ素子の製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば量子井戸
を活性層とする半導体レーザ素子の共振器端面にSiを
含有する誘電体膜を形成した後、800℃以上の高温に
於て保持し、Siを含有する誘電体膜より拡散したSi
によって発光点を含む端面近傍の量子井戸を無秩序化
し、それにより無秩序化された端面近傍の活性層が、無
秩序化していないレーザ素子の端面近傍を除く中央部の
活性層に比べ実効的に大きなバンドギャップを有するこ
とを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法が得られ
る。
を活性層とする半導体レーザ素子の共振器端面にSiを
含有する誘電体膜を形成した後、800℃以上の高温に
於て保持し、Siを含有する誘電体膜より拡散したSi
によって発光点を含む端面近傍の量子井戸を無秩序化
し、それにより無秩序化された端面近傍の活性層が、無
秩序化していないレーザ素子の端面近傍を除く中央部の
活性層に比べ実効的に大きなバンドギャップを有するこ
とを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法が得られ
る。
【0010】また本発明によれば気相成長装置の反応炉
内に於てレーザ素子を構成するV族元素を含有するガス
を流しながら高周波により加熱しSiを拡散させること
を特徴とする高出力半導体レーザ素子の製造方法が得ら
れる。
内に於てレーザ素子を構成するV族元素を含有するガス
を流しながら高周波により加熱しSiを拡散させること
を特徴とする高出力半導体レーザ素子の製造方法が得ら
れる。
【0011】さらに本発明によれば量子井戸を活性層と
する半導体レーザ素子の発光点を含む相対する共振器端
面にSiを含有する誘電体膜を形成した後、Arレーザ
によって端面部の発光点を含む活性層の領域を選択的に
加熱し、Siを含有する誘電体膜より拡散したSiによ
り発光点を含む端面近傍の量子井戸を無秩序化し、それ
により無秩序化された端面近傍の活性層が、無秩序化し
ていないレーザ素子の端面近傍を除く中央部の活性領域
に比べ実効的に多きなバンドギャップを有することを特
徴とする半導体レーザ素子の製造方法が得られる。
する半導体レーザ素子の発光点を含む相対する共振器端
面にSiを含有する誘電体膜を形成した後、Arレーザ
によって端面部の発光点を含む活性層の領域を選択的に
加熱し、Siを含有する誘電体膜より拡散したSiによ
り発光点を含む端面近傍の量子井戸を無秩序化し、それ
により無秩序化された端面近傍の活性層が、無秩序化し
ていないレーザ素子の端面近傍を除く中央部の活性領域
に比べ実効的に多きなバンドギャップを有することを特
徴とする半導体レーザ素子の製造方法が得られる。
【0012】
【作用】量子井戸構造を有する半導体基板上に二酸化硅
素膜を形成し、800℃以上の高温で保持することによ
り二酸化硅素膜内のSiが半導体基板内に拡散し、内部
の量子井戸構造を無秩序化、組成を平均化し、バンドギ
ャップが実効的に拡大することがアプライド フィジッ
クス レターズ(Applied Physics Letters) 誌49巻
(1986年)510頁及びジャーナル オブ アプラ
イド フィジックス(Journal of Applied Physics)誌6
1巻(1987年)1372頁に述べられている。発光
点を含む半導体レーザ素子の共振器端面に二酸化硅素膜
を形成し、これを800℃以上の温度で熱処理すること
により、二酸化硅素膜内のSiが端面より活性層に拡散
し端面近傍の量子井戸活性層を無秩序化、組成を平均化
し、バンドギャップを実効的に拡大することができる。
Siの拡散が及ばず無秩序化していない中央部の量子井
戸活性層で励起されたレーザ光に対し、端面近傍の無秩
序化した活性層はバンドギャップが広がったために透明
な吸収のない領域になる。そのため従来の半導体レーザ
素子にみられるような活性層の端面部における光吸収や
発熱は起こり難く、より高出力まで動作でき、且つ高出
力動作時においても安定して動作できる高出力半導体レ
ーザ素子が形成できる。端面の活性層にSiの拡散源と
なる二酸化硅素を直接接触させることができるためにS
i拡散による無秩序化を効率良く行なうことができ、拡
散のための熱処理温度を低く、あるいは熱処理時間を短
く抑えることができる。それによって半導体中の他の不
純物の再分布を最小限に抑え、熱処理による半導体レー
ザ素子の特性の劣化を最小限に抑えることができる。ま
た端面より不純物を直接効率よく拡散させるため拡散条
件によって端面部の無秩序化が左右されることが少なく
歩留まりや均一性にも優れている。またもとになる半導
体レーザ素子の構造にまったく依存しない。さらにSi
の拡散ソースとして端面に形成した二酸化硅素はレーザ
光に対して透明なため拡散後も端面の反射率制御として
利用することができる。
素膜を形成し、800℃以上の高温で保持することによ
り二酸化硅素膜内のSiが半導体基板内に拡散し、内部
の量子井戸構造を無秩序化、組成を平均化し、バンドギ
ャップが実効的に拡大することがアプライド フィジッ
クス レターズ(Applied Physics Letters) 誌49巻
(1986年)510頁及びジャーナル オブ アプラ
イド フィジックス(Journal of Applied Physics)誌6
1巻(1987年)1372頁に述べられている。発光
点を含む半導体レーザ素子の共振器端面に二酸化硅素膜
を形成し、これを800℃以上の温度で熱処理すること
により、二酸化硅素膜内のSiが端面より活性層に拡散
し端面近傍の量子井戸活性層を無秩序化、組成を平均化
し、バンドギャップを実効的に拡大することができる。
Siの拡散が及ばず無秩序化していない中央部の量子井
戸活性層で励起されたレーザ光に対し、端面近傍の無秩
序化した活性層はバンドギャップが広がったために透明
な吸収のない領域になる。そのため従来の半導体レーザ
素子にみられるような活性層の端面部における光吸収や
発熱は起こり難く、より高出力まで動作でき、且つ高出
力動作時においても安定して動作できる高出力半導体レ
ーザ素子が形成できる。端面の活性層にSiの拡散源と
なる二酸化硅素を直接接触させることができるためにS
i拡散による無秩序化を効率良く行なうことができ、拡
散のための熱処理温度を低く、あるいは熱処理時間を短
く抑えることができる。それによって半導体中の他の不
純物の再分布を最小限に抑え、熱処理による半導体レー
ザ素子の特性の劣化を最小限に抑えることができる。ま
た端面より不純物を直接効率よく拡散させるため拡散条
件によって端面部の無秩序化が左右されることが少なく
歩留まりや均一性にも優れている。またもとになる半導
体レーザ素子の構造にまったく依存しない。さらにSi
の拡散ソースとして端面に形成した二酸化硅素はレーザ
光に対して透明なため拡散後も端面の反射率制御として
利用することができる。
【0013】またSi拡散の際、気相成長炉内で、半導
体レーザ素子を構成しているV族元素を含むガスを流し
ながら高周波により加熱することにより、アンプル封入
のような複雑な工程がなく容易に、しかも短時間に大量
の素子の加熱処理を行なうことができる。
体レーザ素子を構成しているV族元素を含むガスを流し
ながら高周波により加熱することにより、アンプル封入
のような複雑な工程がなく容易に、しかも短時間に大量
の素子の加熱処理を行なうことができる。
【0014】さらにアプライド フィジックス レター
ズ誌(Applied Physics Letters) 52巻(1988年)
1371頁によれば量子井戸構造を有する半導体基板上
に一様に窒化硅素の誘電体膜を形成した後、誘電体上方
よりArレーザ(発振波長488nm)出力200mW
を照射することにより、照射した領域のみが加熱され窒
化硅素よりSiが半導体基板内に拡散し、量子井戸構造
が無秩序化される報告がなされている。そこで半導体レ
ーザ素子の発光点を含む端面に二酸化硅素を形成してお
き、二酸化硅素上より端面の発光点を含む活性層にAr
レーザを照射し、端面よりSi拡散を行ない端面近傍の
量子井戸活性層を選択的に無秩序化することにより、端
面部で光吸収の少ないウィンドウ型半導体レーザ素子を
作製することができる。端面の活性層を含むごく表面領
域のみを選択的に加熱拡散させることができるので半導
体レーザ素子内部やクラッド層などの加熱する必要のな
い領域を加熱することなく、結晶成長時に半導体層中に
含ませた不純物の再拡散や熱的な結晶欠陥の導入による
半導体レーザ素子の特性の劣化を抑えることができる。
ズ誌(Applied Physics Letters) 52巻(1988年)
1371頁によれば量子井戸構造を有する半導体基板上
に一様に窒化硅素の誘電体膜を形成した後、誘電体上方
よりArレーザ(発振波長488nm)出力200mW
を照射することにより、照射した領域のみが加熱され窒
化硅素よりSiが半導体基板内に拡散し、量子井戸構造
が無秩序化される報告がなされている。そこで半導体レ
ーザ素子の発光点を含む端面に二酸化硅素を形成してお
き、二酸化硅素上より端面の発光点を含む活性層にAr
レーザを照射し、端面よりSi拡散を行ない端面近傍の
量子井戸活性層を選択的に無秩序化することにより、端
面部で光吸収の少ないウィンドウ型半導体レーザ素子を
作製することができる。端面の活性層を含むごく表面領
域のみを選択的に加熱拡散させることができるので半導
体レーザ素子内部やクラッド層などの加熱する必要のな
い領域を加熱することなく、結晶成長時に半導体層中に
含ませた不純物の再拡散や熱的な結晶欠陥の導入による
半導体レーザ素子の特性の劣化を抑えることができる。
【0015】
【実施例】図1及び図2は本発明の一実施例として高出
力半導体レーザ素子の製造方法を示したものである。n
型GaAs基板2上に順に、層厚1.5μmのn型Al
GaAsクラッド層3(アルミニウム組成0.5)、活
性領域4、層厚1.5μmのp型AlGaAsクラッド
層5(アルミニウム組成0.5)、層厚1μmのp型G
aAsキャップ層6を成長する。活性領域4は、図2
(b)に示すように、層厚0.06μmのAlGaAs
光ガイド層20(アルミニウム組成0.3)、層厚0.
005μmのAlGaAsバリア層22(アルミニウム
組成0.5)を挟む層厚0.008μmの2層のGaA
s量子井戸層21,23、層厚0.06μmのAlGa
As光ガイド層24(アルミニウム組成0.3)からな
る。次に3μm幅のメサをエッチングにより形成した
後、エッチングした領域をn型GaAs層7で埋め込み
電流注入領域および光の導波路を形成する。GaAs基
板2側を研磨し全体の層厚を80μm程度にする。スト
ライプ方向に500μm程度の長さでへき開し共振器を
形成し、その半導体レーザ素子を両端面にスパッタ装置
により二酸化硅素膜1を3000オングストローム形成
する。その後アンプル内に固体Asと一緒に真空状態で
封入し、電気内に導入し850℃で30分間加熱する。
この加熱により図1のように端面近傍の量子井戸活性領
域10は二酸化硅素中のSiの拡散により無秩序化さ
れ、無秩序化していない中央の活性領域4に比べ実効的
に広いバンドギャップを有するウィンドウ構造となる。
最後に図示の如くp,n両電極50,51を形成し半導
体レーザ素子が完成する。
力半導体レーザ素子の製造方法を示したものである。n
型GaAs基板2上に順に、層厚1.5μmのn型Al
GaAsクラッド層3(アルミニウム組成0.5)、活
性領域4、層厚1.5μmのp型AlGaAsクラッド
層5(アルミニウム組成0.5)、層厚1μmのp型G
aAsキャップ層6を成長する。活性領域4は、図2
(b)に示すように、層厚0.06μmのAlGaAs
光ガイド層20(アルミニウム組成0.3)、層厚0.
005μmのAlGaAsバリア層22(アルミニウム
組成0.5)を挟む層厚0.008μmの2層のGaA
s量子井戸層21,23、層厚0.06μmのAlGa
As光ガイド層24(アルミニウム組成0.3)からな
る。次に3μm幅のメサをエッチングにより形成した
後、エッチングした領域をn型GaAs層7で埋め込み
電流注入領域および光の導波路を形成する。GaAs基
板2側を研磨し全体の層厚を80μm程度にする。スト
ライプ方向に500μm程度の長さでへき開し共振器を
形成し、その半導体レーザ素子を両端面にスパッタ装置
により二酸化硅素膜1を3000オングストローム形成
する。その後アンプル内に固体Asと一緒に真空状態で
封入し、電気内に導入し850℃で30分間加熱する。
この加熱により図1のように端面近傍の量子井戸活性領
域10は二酸化硅素中のSiの拡散により無秩序化さ
れ、無秩序化していない中央の活性領域4に比べ実効的
に広いバンドギャップを有するウィンドウ構造となる。
最後に図示の如くp,n両電極50,51を形成し半導
体レーザ素子が完成する。
【0016】図2は第2の実施例を示したものである。
先の実施例に於て半導体レーザ素子の両共振器端面に二
酸化硅素膜を形成した後の試料をカーボン製の支持台1
00の上に乗せ、気相成長装置の反応炉内に導入し、A
sH3 を含むガス9を流しながら850℃で30分間高
周波により加熱する。の加熱により同図のように端面近
傍の量子井戸活性領域10は二酸化硅素中のSiの拡散
により無秩序化され、無秩序化していない中央の活性領
域4に比べ実効的に広いバンドギャップを有するウィン
ドウ構造となる。この素子に、p,n両電極50,51
を形成し図1に示した半導体レーザ素子が完成する。
先の実施例に於て半導体レーザ素子の両共振器端面に二
酸化硅素膜を形成した後の試料をカーボン製の支持台1
00の上に乗せ、気相成長装置の反応炉内に導入し、A
sH3 を含むガス9を流しながら850℃で30分間高
周波により加熱する。の加熱により同図のように端面近
傍の量子井戸活性領域10は二酸化硅素中のSiの拡散
により無秩序化され、無秩序化していない中央の活性領
域4に比べ実効的に広いバンドギャップを有するウィン
ドウ構造となる。この素子に、p,n両電極50,51
を形成し図1に示した半導体レーザ素子が完成する。
【0017】図3は、本発明による第3の実施例として
高出力半導体レーザの製造方法を示した図である。Ga
As基板2上に図1に示したレーザ素子と同じ半導体層
構造を形成した後、基板2側を研磨し全体層厚を80μ
m程度にする。p,n両電極50,51を全面に形成し
た後、ストライプ方向に500μmの長さでへき開し共
振器を形成する。へき開した両端面に3000オングス
トロームの二酸化硅素膜をスパッタ装置にて形成する。
200mWのArレーザの発振光70を対物レンズ71
を通して2μm程度のスポット径に集光し、100μm
/sの走査速度で端面の量子井戸活性領域4に二酸化硅
素膜の上方より照射し、端面の活性領域近傍のみを局部
的に加熱する。加熱された活性領域10は二酸化硅素膜
より拡散したSiによって無秩序化し、端面近傍以外の
活性層に比べ実効的に広いエネルギーギャップを有する
ウィンドウ構造の半導体レーザ素子が完成する。
高出力半導体レーザの製造方法を示した図である。Ga
As基板2上に図1に示したレーザ素子と同じ半導体層
構造を形成した後、基板2側を研磨し全体層厚を80μ
m程度にする。p,n両電極50,51を全面に形成し
た後、ストライプ方向に500μmの長さでへき開し共
振器を形成する。へき開した両端面に3000オングス
トロームの二酸化硅素膜をスパッタ装置にて形成する。
200mWのArレーザの発振光70を対物レンズ71
を通して2μm程度のスポット径に集光し、100μm
/sの走査速度で端面の量子井戸活性領域4に二酸化硅
素膜の上方より照射し、端面の活性領域近傍のみを局部
的に加熱する。加熱された活性領域10は二酸化硅素膜
より拡散したSiによって無秩序化し、端面近傍以外の
活性層に比べ実効的に広いエネルギーギャップを有する
ウィンドウ構造の半導体レーザ素子が完成する。
【0018】
【発明の効果】本発明により高出力まで動作し且つ安定
した光出力動作が可能な半導体レーザ素子を製造するこ
とができる。
した光出力動作が可能な半導体レーザ素子を製造するこ
とができる。
【図1】本発明の第1の実施例を示す図。
【図2】本発明による第2項の実施例を示す図。
【図3】第3の実施例として高出力半導体レーザの製造
方法を示した図。
方法を示した図。
【図4】高出力半導体レーザ素子の従来の製造方法の例
を示した図。
を示した図。
1 二酸化硅素膜(SiO2 膜) 2 n−GaAs基板 3 n−AlGaAsクラッド層(アルミニウム組成
0.5) 4 量子井戸活性領域 5 p−AlGaAsクラッド層(アルミニウム組成
0.5) 6 p−GaAsキャップ層 7 n−GaAsブロック層 9 AsH3 を含むガス 10 無秩序化した活性領域 20,24 AlGaAsガイド層(アルミニウム組
成0.3) 21,23 GaAs量子井戸 22 AlGaAsバリア層(アルミニウム組成0.
3) 50 n−電極 51 p−電極 70 Arレーザ光 71 対物レンズ 100 支持台 203 量子井戸活性領域 210 Zn拡散により無秩序化した活性領域 211 Zn拡散境界 250 n−電極(AuGeNi) 251 p−電極(Cr−Au)
0.5) 4 量子井戸活性領域 5 p−AlGaAsクラッド層(アルミニウム組成
0.5) 6 p−GaAsキャップ層 7 n−GaAsブロック層 9 AsH3 を含むガス 10 無秩序化した活性領域 20,24 AlGaAsガイド層(アルミニウム組
成0.3) 21,23 GaAs量子井戸 22 AlGaAsバリア層(アルミニウム組成0.
3) 50 n−電極 51 p−電極 70 Arレーザ光 71 対物レンズ 100 支持台 203 量子井戸活性領域 210 Zn拡散により無秩序化した活性領域 211 Zn拡散境界 250 n−電極(AuGeNi) 251 p−電極(Cr−Au)
Claims (3)
- 【請求項1】 量子井戸を活性層として含む半導体多層
構造を形成した後、へき開あるいはエッチングにより半
導体多層構造両端に共振器端面を形成し、この共振器端
面にSiを含有する誘電体膜を形成した後、800℃以
上の高温に保持し、Siを含有する誘電体膜より拡散し
たSiによって共振器端面近傍の量子井戸を無秩序化す
ることを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の製造方法において、前記
800℃以上の高温に保持する工程が、前記半導体多層
構造を構成するV族元素を含有するガス中にて高周波に
より加熱する工程である半導体レーザ素子の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の製造方法において、前記
800℃以上の高温に保持する工程が、レーザ光によっ
て共振器端面の活性層の領域を選択的に加熱する工程で
ある半導体レーザ素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP64091A JPH06104522A (ja) | 1991-01-08 | 1991-01-08 | 半導体レーザ素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP64091A JPH06104522A (ja) | 1991-01-08 | 1991-01-08 | 半導体レーザ素子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06104522A true JPH06104522A (ja) | 1994-04-15 |
Family
ID=11479310
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP64091A Pending JPH06104522A (ja) | 1991-01-08 | 1991-01-08 | 半導体レーザ素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06104522A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11121877A (ja) * | 1997-08-13 | 1999-04-30 | Mitsubishi Chemical Corp | 化合物半導体発光素子 |
JPH11307861A (ja) * | 1998-04-20 | 1999-11-05 | Nec Corp | 半導体レーザ素子およびその製造方法 |
US7687290B2 (en) | 2007-03-23 | 2010-03-30 | Mitsubishi Electric Corporation | Method for manufacturing semiconductor optical device |
-
1991
- 1991-01-08 JP JP64091A patent/JPH06104522A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11121877A (ja) * | 1997-08-13 | 1999-04-30 | Mitsubishi Chemical Corp | 化合物半導体発光素子 |
JPH11307861A (ja) * | 1998-04-20 | 1999-11-05 | Nec Corp | 半導体レーザ素子およびその製造方法 |
US7687290B2 (en) | 2007-03-23 | 2010-03-30 | Mitsubishi Electric Corporation | Method for manufacturing semiconductor optical device |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19980303 |