JPH0610325A - 防波堤用消波構造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 河口付近に設けるのに適した防波堤用の消波
構造物を得る。 【構成】 水面下に設置されるケーソン部２に流水の通
過方向に沿って流水通路３を形成すると共に、ケーソン
部２の上面に多数の柱状体４を立設した。 【効果】 防波堤としての消波作用は柱状体によって十
分に発揮され、流水は流水通路によって比較的容易に通
過する。このため河川の流れや土砂の堆積場所に大きな
影響を与えることが少なく、河口付近に設ける防波堤用
として適した消波構造物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、河川の河口付近に設
けるのに適した防波堤用の消波構造物に関する。

【０００２】

【従来の技術】大きな河川の河口付近に防波堤を構築す
ると、流れを堰き止めた状態となって河川から流出する
大量の土砂の堆積場所が変化し、周辺の底質環境や航路
等に悪影響を与える可能性がある。このため、河口付近
に設けられる防波堤は単に波に対する消波作用が優れて
いるだけでなく、河川の流れに対する抵抗が少なくて土
砂を含んだ流水が比較的容易に通過できるような消波構
造物であることが必要であるが、従来はこのような観点
から防波堤が設計されておらず、設置後に上述のような
問題を起こすことがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この発明は上記のよう
な問題点に着目し、河口付近に設けるのに適した防波堤
用の消波構造物を得ることを課題としてなされたもので
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めに、この発明の消波構造物は、水面下に設置されるケ
ーソン部に流水の通過方向に沿って流水通路を形成する
と共に、ケーソン部の上面に多数の柱状体を立設してい
る。

【０００５】

【作用】水面下のケーソン部には流水通路が形成されて
いるので流水が比較的容易に通過でき、河川の流れや土
砂の堆積場所に対する影響は小さい。また、波はケーソ
ン部上面の柱状体に当たったり、その間を通過したりす
る間にエネルギーが吸収されて消波される。

【０００６】

【実施例】次に、図示の一実施例について説明する。図
において、１は消波構造物、２はケーソン部、３は流水
通路、４は柱状体である。ケーソン部２はコンクリート
製のブロックであって、流水通路３はケーソン部２の１
対の外壁面１ａ，１ａに平行に内部を貫通するように複
数個形成してあり、柱状体４は断面円形のものであって
ケーソン部２の上面に複数個が一体に形成されている。
これらの柱状体４は流水通路３に直角な方向に数本ずつ
整列させて柱状体列５を構成し、且つ隣接する列５を互
いに半ピッチずつ列方向にずらせた状態で並べてあり、
背の高い柱状体列５と背の低い柱状体列５が交互に並ぶ
ように各柱状体４の高さを異ならせて設けてあるが、そ
の高さは海中に設置された時に先端が水面上に突出する
ような寸法に選定されている。

【０００７】この実施例は上述のような構成であり、複
数個の消波構造物１を河口付近の海底の捨石６上に並べ
て沈設することによって防波堤が構築される。この時、
消波構造物１は河川から流れ出る流水の方向と流水通路
３の方向が一致するような向きで沈設される。図の矢印
Ａは流水の方向、Ｂは波の方向を示している。従って、
流水は流水通路３を経て比較的容易に通過することがで
き、流水に含まれて流れて来た土砂の堆積場所に対する
影響は小さく、堆積場所を変化させて底質環境や航路等
に悪影響を与える可能性が少なくなる。また、海から寄
せて来る波は柱状体４に当たってエネルギーが吸収さ
れ、更に柱状体４の間を通過することによってエネルギ
ーが吸収されるので、防波堤としての消波作用は十分に
発揮されるのであり、河口付近に設けるのに適した防波
堤が得られるのである。

【０００８】流水通路３はその総断面積が大きいほど流
水に対する抵抗が少なくなるが、消波構造物１は流水や
波浪のエネルギーによって移動しないだけの重量が必要
であるから、流水通路３の個数やその断面積は設置場所
の条件に応じて適切に選定される必要があり、その形状
も図示のものに限定されるものではない。なお、実施例
では各流水通路３をケーソン部２の上面に連通させる開
口部７，７…を各柱状体列５，５の間に形成してあり、
この開口部７によって流水に対する抵抗を減少させると
共に、開口部７に水が出入りすることによっても消波作
用が行われるようにしてある。また、図示した柱状体４
の形状や配置は一例であり、その断面形状や太さ及び高
さ、一列当たりの柱状体４の本数や間隔、柱状体列５の
間隔、柱状体４の全体の配置や本数なども設置場所の条
件などに応じて適宜選定することができる。

【０００９】

【発明の効果】上述の実施例から明らかなように、この
発明の消波構造物は、水面下に設置されるケーソン部に
流水の通過方向に沿って流水通路を形成すると共に、ケ
ーソン部の上面に多数の柱状体を立設したものである。
従って、防波堤としての消波作用は十分に発揮され、し
かも流水を比較的容易に通過させるので河川の流れや土
砂の堆積場所に大きな影響を与えることが少なくなり、
河口付近に設ける防波堤用として適した消波構造物を得
ることができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の斜視図である。

【図２】同実施例の正面図である。

【図３】同実施例の平面図である。

【符号の説明】

１ 消波構造物 ２ ケーソン部 ３ 流水通路 ４ 柱状体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水面下に設置されるケーソン部に流水の
   通過方向に沿って流水通路を形成すると共に、ケーソン
   部の上面に多数の柱状体を立設したことを特徴とする防
   波堤用消波構造物。