JPH05280020A - 導波型潮吹き防波構造体及びそれを用いた防波構造 - Google Patents

導波型潮吹き防波構造体及びそれを用いた防波構造

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JPH05280020A
JPH05280020A JP4106175A JP10617592A JPH05280020A JP H05280020 A JPH05280020 A JP H05280020A JP 4106175 A JP4106175 A JP 4106175A JP 10617592 A JP10617592 A JP 10617592A JP H05280020 A JPH05280020 A JP H05280020A
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Toshifumi Sato
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウォーターフロントにおける親水を高め、か
つ、防波機能を有する導波型潮吹き防波構造体およびそ
れを用いた防波構造を提供すること。 【構成】 ケーソン10の波受面12には第1開口16
が開口し、天面14には第2開口18が開口している。
そして、各開口16,18を結ぶ連通孔20は、第2開
口18に向かうに従いその孔横断面積が連続的に小さく
なるようなラッパ状に形成されている。第1開口16の
下縁は干潮時の水面高さよりも低く、その上縁は満潮時
の水面高さよりも高い。第1開口16より浸入した海水
は連通孔20に沿って第2開口18に導かれ、この第2
開口18より鉛直上方に向けて海水が噴出することで、
親水性の高い演出ができる。さらに、ケーソン10の沖
側に、ケーソン10に向かうに従い水深が浅くなるよう
に傾斜したマウンド60を形成することで、ケーソン1
0に到達する以前に砕波させて、波浪エネルギーを効率
よく噴水の吹上げに利用させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防波機能を有し、か
つ、ウォーターフロントにおける親水性を高めることの
できる導波型潮吹き防波構造体およびそれを用いた防波
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】護岸あるいは離岸における防波堤は、ケ
ーソンと称される構造体により広く知られている。この
ケーソンは形状,機能などに応じて多種多様のものがあ
り、例えば上部斜面ケーソン堤,曲面スリットケーソン
堤,縦スリットケーソン堤あるいは有孔ケーソン堤など
のタイプが知られている。
【0003】さらに、特開平2-112516号公報には、波浪
エネルギーを空気ピストンにより空気エネルギーに変換
して吸収する波浪エネルギー吸収装置を有する防波構造
体が開示されている。
【0004】さらには、防波堤の内外の水域で海水の流
通を可能とし、防波堤内側の湾内の浄化機能を有するも
のも多く提案されている。その一つに、実開平3-65721
がある。これは、壁体間の礫層中に管を埋設し、この管
の一端をラッパ状として上記壁体の外海側を貫通させて
海水中に露出し、その他端を上方の外気中に露出したも
のである。外海の海水は管を通って吹上げられた後に礫
層に導かれ、礫層通過中に浄化されて内海側に導かれ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のケーソンはいず
れも、防波あるいは消波機能を主目的において設計され
ている。しかしながら近年のウォーターフロント開発に
おいては、水辺に人間を呼び戻すことが主目的の1つに
掲げられ、上述した防波構造体であるケーソンにも親水
性を高めることが要求されつつある。しかしながら、従
来のケーソンはいずれも、防波あるいは消波を主目的と
することから、親水性を高める設計としては単にそのデ
ザインを変更するのみであり、たとえ遊歩道を水辺に配
設したとしても、人間を水辺に呼び戻すことができるよ
うな魅力的な演出は到底実現できなかった。
【0006】この種の演出に関しては、上述の実開平3-
65721 にて、管に進水した海水が上方に吹き上がること
で一種の自然噴水を実現し、景観を高めることができる
としている。しかし、上記公報に開示された技術では、
噴水の取り入れ口となるラッパ状の開口が常に水没して
いることから、親水性を高めるに足る演出効果を期待で
きないと思われる。
【0007】そこで、本発明の目的とするところは、水
辺での演出効果として潮吹き乃至は噴水に着目し、しか
も水域において余りある波浪エネルギーを効果的に利用
して年間を通して海水を吹上げ、親水性が高くしかも軽
量化を図りながらも防波効果の高い導波型潮吹き防波構
造体およびそれを用いた防波構造を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る導波型潮吹
き防波構造体は、波受面に開口する第1開口より天面に
開口する第2開口まで連通し、かつ、前記第1開口より
前記第2開口に向かうに従い孔横断面積が小となるテー
パ領域を含む連通孔を有し、前記第1開口は、その開口
の下縁が干潮時の平均水位よりも低く、その開口の上縁
が満潮時の平均水位よりも高い位置に設定されているこ
とを特徴とする。
【0009】この防波構造体は、前記波受面の異なる高
さ位置に前記第1開口をそれぞれ有する複数の前記連通
孔を有することもでき、この場合には、、最上位置の前
記第1開口の上縁が満潮時の平均水位よりも高く、最下
位置の前記第1開口の下縁が干潮時の平均水位よりも低
く設定されている。
【0010】本発明に係る防波構造は、請求項1又は2
に記載の防波構造体と、この防波構造体が設置される水
域底部の基礎工事領域に、沖に向かうに従い水深が深く
なる勾配を持ち、前記構造体の前記波受面に達する以前
に波を砕波させるマウンドと、を有することを特徴とす
る。
【0011】このマウンドは、好ましくは防波構造体の
波受面より沖に向けて放射状に広がる集波マウンドとし
て構成することが好ましい。
【0012】
【作用】防波構造体の波受面に波が到達すると、この波
受面で防波作用が行われると共に、一部の波は第1開口
より進水することになる。進水した波は、連通孔に沿っ
て案内されて防波構造体の天面に開口する第2開口に到
達することになる。このとき、この連通孔は、第2開口
に向かうに従い孔横断面積が小となるように形成されて
いるので、連通孔を案内される水は加速され、しかも上
方に向かって案内されるので、第2開口より上方に向け
て吹出され、それが潮吹き乃至は噴水として演出効果を
醸し出すことになる。このように海水を吹き上げること
は、波浪エネルギーの一部を潮吹き又は噴水としてエネ
ルギー消費できるので、波を消波させることもでき、し
かも防波構造体の強度をさほど高めなくても、十分に耐
え得る防波構造体を実現できる。また、連通孔を形成し
ているので防波構造体の軽量化も図れる。また、第1開
口は完全に水没しているよりも、水面より上方に開口部
分がある方が、海水を吹き上げるのために波浪エネルギ
ーを十分に利用できる。しかも、干満にもかかわらず、
一日中、さらには年間を通して常時噴水を吹き上げるた
めに、第1開口の開口位置を本発明のように定義するこ
とが不可欠である。
【0013】噴水効果を高めるためには、角形断面の開
口より、円形断面とする方が円滑な水の案内を行うこと
ができる点で好ましく、さらにその円形の横断面積を連
続的に小さくさせることで、連通孔移動中のエネルギー
ロスを少なくし、効果的な噴水の吹き上げに寄与させる
ことができる。
【0014】このような導波型潮吹き防波構造体の第1
開口に波を導く際に、防波構造体の前方にて砕波させる
ことがよく、このために沖に向かうに従い水深が深くな
る勾配を持つ所定長さのマウンドを形成するとよい。こ
のマウンドを放射状に形成することで、防波構造体の第
1開口に対して、その開口幅よりも広い範囲の波を集め
ることができ、より噴水効果を高く確保できる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を適用した1実施例について、
図面を参照して具体的に説明する。
【0016】図1は本実施例に係る防波構造体の一例で
あるケーソン10を示している。このケーソン10は、
コンクリート製の直方体形状をなし、その中央の中空部
には砂などが詰められている。このケーソン10は、沖
側に臨む例えば垂直な波受面12と、例えば水平な天面
14とを有し、波受面12には第1開口16が、天面1
4には第2開口18が形成され、両開口16,18は連
通孔20を介して連通している。なお、波受面12を水
平面に対して鈍角となる角度で傾斜して配置することも
できる。
【0017】本実施例では、図2(A),(B)に示す
ように、1つのブロックを構成するケーソン10の波受
面12に複数例えば3つの第1開口16を形成し、天面
14にも同様に3つの第2開口18を形成している。第
1,第2開口16,18を連通する連通孔20はラッパ
状をなし、第1開口16より第2開口18に向かうに従
い、円形の孔横断面積が連続して小さくなるように形成
されている。このような連通孔20を形成するため、図
1の断面上で表れる連通孔20の下縁22は、例えば一
定の曲率にて1/4の円弧長さで形成されている。一方
連通孔20の上縁24は、第1開口16側より所定長さ
の直線部24aを有し、この直線部24aと第2開口1
8との間が1/4の円弧長さによる湾曲部24bとして
形成されている。
【0018】さらにケーソン10の天面14には、垂直
上方への吹出案内を行うための吹出路延長用ブロック2
6が、ケーソン10と一体または別体にて設けられてい
る。なお、天面14に開口する潮吹き通路は、必ずしも
鉛直上方に伸びるものに限らず、好ましくは水平面に対
して鈍角となる角度で後方に傾斜しているものでも良
い。さらに、この天面14上であって、かつ、波受面1
2側の縁部には、波返し用ブロック28がケーソン10
と一体または別体にて設けられている。
【0019】第1開口16の開口高さ及びその大きさに
関しては、図2(A),(B)に示す通りである。ま
ず、第1開口16の下縁16aは、干潮時の平均的水面
高さH1 よりも低い位置に設定される。一方、第1開口
16の上縁16bは、満潮時の平均的水面高さH2 より
も高い位置に設定される。換言すれば、第1開口16の
中心高さ位置をほぼ平均水面位置に設定し、第1開口1
6の直径を干満差以上の長さに設定すると良い。このよ
うに、干満の潮位をカバーできる第1開口16の径とし
ては、例えば太平洋に臨んで設置する場合には最大直径
150cm以下、好ましくは130〜150cmの範囲で十
分である。太平洋よりも潮位の変化の少ない日本海側の
場合は、太平洋設置用のものを兼用できるが、日本海に
臨んで設置する専用タイプの場合には最大直径50cm以
下、好ましくは40〜50cmの範囲で十分である。
【0020】次に、このケーソン10の作用について説
明する。
【0021】ケーソン10の波受面12に沖側からの波
圧力が繰り返し作用すると、この波は波受面12で受け
止められ、岸側への波の浸入を防止することができる。
【0022】このとき、波の圧力により波受面12に開
口する第1開口16に海水が浸入する。この海水は、ラ
ッパ状の連通孔20に沿って移動し、第2開口18に向
けて案内されることになる。このとき、連通孔20の断
面形状が、第1開孔16より第2開口18に向かうに従
い連続的に断面積が小さくなる形状であるため、連通孔
20に沿って案内された海水が加速されることになる。
さらに、この連通孔20は、第1開口16より水平方向
に浸入した海水を徐々に鉛直上方に向かうように案内す
るため、第2開口18からは海水が潮吹き又は噴水の如
く吹き上げられた形で吹き出すことになる。特に、本実
施例では連通孔20の下縁22および上縁24の湾曲部
24bを1/4の円弧部分として利用するため、第2開
口18より吹き出す海水はその円弧の接線方向である鉛
直上方に向けて遠心力が付与された形で吹き上げられる
ことになる。従って、第2開口18よりかなりの高さの
潮吹き又は噴水を実現することが可能となる。
【0023】特に、第1開口16が干満時に拘らず常に
水没しない位置に開口し、波浪エネルギーの高い水面付
近の海水を第1開口16に導けるようにしているので、
効率的にしかも年間を通して海水を吹き上げることがで
きる。
【0024】このように自然力である波力を利用した噴
水は、下記の効果を奏することができる。その1つは、
ウォーターフロントにおける親水性を高めることであ
る。すなわち、波力を利用した第2開孔18からの潮吹
き又は噴水は、年間を通してほぼ波の周期にて繰り返し
実現され、しかも上述した作用によりかなりの高さの吹
上げが実現されるので、夏期にあっては公園の噴水のよ
うに涼しさを醸し出し、冬期にあっては荒波の激しさを
醸し出すことができ、水辺における親水性を効率的に高
めることができる。なお、このような演出効果を夜間に
おいて確保するため、照明などの付帯設備をケーソン1
0に設けるものでもよい。
【0025】他の一つは、上記の噴水効果により、すな
わち第1開口16より受け入れられた波を第2開口18
より放出することにより、波浪エネルギーを噴水として
消費させることである。このことは、ケーソン10の防
波構造体を設計する際、防波に耐え得るケーソン10の
機械的強度を低減できる効果につながる。また、潮吹き
又は噴水として波浪エネルギーを消費させることで、消
波機能をも奏することが可能となる。
【0026】なお、ケーソン10の天面14に吹出路延
長用ブロック26を形成することで、鉛直上方に吹き出
されるべき潮吹き又は噴水の通路を延長確保することが
でき、鉛直上方以外の散乱成分を低減して噴水高さをよ
り高く確保することができる。また、波返し用ブロック
28を設置することで、第2開口18より吹き上げられ
る噴水に作用する越波の影響を低減させることができ
る。
【0027】なお、上方に湾曲した連通孔20は、海水
の吹上作用に寄与するほか、その湾曲面に作用する水圧
の分力によって、ケーソン10を鉛直下方に安定設置す
る力としても利用できる。
【0028】図3は、ケーソン30の波受面32の高さ
方向で異なる位置に、複数例えば2つの第1開口36
a,36bを形成した構造を示している。同図の実線は
上方の第1開口36aの真下に下方の第1開口36bを
形成したものであり、この場合天面34に開口する2つ
の第2開口38a,38bは、沖側および岸側にずれた
位置に開口している。この実施例に代えて、下方の第1
開孔36bを上方の第1開口36aとは図面の表裏方向
でずれた位置に形成すれば、2つの第2開口38a,3
8bを波受面32より等しい距離だけ離れた同一線上に
開口させることもできる(図3の鎖線を参照)。図3に
おいて、各開口を連通する連通孔40a,40bは、図
1に示す連通孔20と同様に第2開口38a,38bに
向かうに従い横断面積が連続的に小さくなるようなラッ
パ形状となっている。
【0029】このように、波受面32の高さ方向で異な
る位置に2つの第1開口36a,36bを設けること
で、下記の2つの効果を奏することができる。その1つ
は、第2開口38a,38bで高さの異なる2種類の潮
吹き又は噴水を実現できることである。すなわち、上方
の第1開口36aより浸入する海水の方が、波浪エネル
ギーが大きいことから、第2開口38aより吹き上げら
れる高さを他方の第2開口38bより吹き上げられる高
さよりも高く確保できる。この結果、潮吹き又は噴水に
よる演出効果をより高めることが可能となる。他の1つ
は、海水の潮位に対応させることができることである。
すなわち、潮位が低くなると、上方の第1開孔36aに
浸入する海水が少なくなるため、このときには下方の第
1開孔36bより浸入する海水を利用し、これと対応す
る第2開孔38bより所定高さの潮吹き又は噴水を実現
することができる。
【0030】ここで、高さの異なる複数種の連通孔を設
ける場合には、干満時いずれの場合にも少なくとも一つ
の連通孔を利用して噴水を吹き上げる必要上、最上位置
の第1開口の上端が満潮時の水面H2 より高く、かつ、
最下位置の第1開口の下縁を干潮時の水面高さH1 より
も低くする必要がある。このことを考慮すると、第3図
のようにケーソン幅方向の同一箇所の上下に2つの第1
開口を形成するよりもむしろ、図8に示す構造とすると
さらに良い。これは、高さ位置の異なる例えば2種の連
通孔40a,40bを、ケーソン幅方向の位置をもずら
して配置した場合を示している。こうすると、各連通孔
40a,40bの第1開口36a,36bの2つで、同
図に示す干潮時の平均的水面高さ位置H1 と満潮時の平
均的水面高さ位置H2 をカバーし易くなる。これによ
り、上述した潮位に対応しやすい構造を実現できる。
【0031】次に、上記実施例におけるケーソン10ま
たはケーソン30を利用した防波構造について、図4お
よび図5を参照して説明する。
【0032】図4に示す防波構造は、岸より沖に向けて
伸びる中央突堤50の先端にケーソン10または30を
配置し、その両側に離岸堤52,52を設けたものであ
る。中央突堤50および離岸堤52は、図1に示すよう
に比較的大きな自然石を利用した自然道として構成でき
る。そして、各堤およびケーソン10または30の設置
領域を含む周辺領域が基礎工事エリア54となる。
【0033】この防波構造の特徴的なことは、ケーソン
10または30の前面より沖に向けて所定長さでかつ所
定の勾配のマウンド60を形成したことである。このマ
ウンド60は例えばケーソン10(30)の幅と同一幅
を有し、ケーソン10(30)と隣接する数メートルの
エリアは、図1に示すように被覆ブロック62を配置し
た水平エリアとなっている。そしてマウンド60は、こ
の被覆ブロック62を最大高さとするほぼ一定の勾配で
沖に向けて傾斜する傾斜部64として構成されている。
【0034】この傾斜部64の長さをLとし、最大高さ
をHとすると、勾配はH/Lとして表される。以下に、
傾斜部64の長さLおよび勾配H/Lについて、マウン
ド60の機能の説明しつつ考察する。
【0035】このマウンド60を設ける理由は、ケーソ
ン10(30)の前方にて、押し寄せる波を砕波させる
ことにある。すなわち、砕波されない波の振幅のみが波
受面12または32に到達した場合には、第2開口から
効果的な噴水が吹き上げられないからである。ケーソン
10(30)の前方に傾斜したマウンド60を設ける
と、ケーソン10(30)に波が近づくに従い水深が浅
くなり、波の波高が徐々に高くなってついには砕波が生
ずるのである。マウンド60の傾斜部64の長さを過度
に長く設けることは、基礎工事エリアが拡大するので経
済的でなく、ケーソン10(30)のはるか前方にて砕
波が生じてしまう。逆に、この傾斜部64の長さを過度
に短くすると、ケーソン10(30)に到達する前に砕
波を実現することができない。
【0036】本実施例の場合、波の周期を5.5秒、波
長を40m、沖波の波高が1m以下、にてシミュレーシ
ョンしたところ、Lが20m、H/Lが1/10で、ケ
ーソン10(30)の直前にて砕波を行うことができ、
波浪エネルギーを効果的に利用した噴水の吹上を実現で
きることがわかった。
【0037】上記の点から本発明者らが傾斜部64の長
さLについて考察した結果、好ましくは、15m≦L≦
50m、さらに好ましくは20m≦L≦30mに設定す
るのがよい。上記範囲により短いとケーソンの直前で破
砕する程波高が成長せず、上記範囲より長いとマウンド
設置コストが増大して経済的でないからである。
【0038】次に、マウンド60の勾配H/Lについて
考察すると、上記距離Lを経済的理由から比較的短く設
定する観点から、1/30≦H/L≦1/8、特に1/
10前後に設定するものが望ましい。
【0039】図5は、ある幅のケーソン10(30)に
効果的に波浪エネルギーを集めて、噴水の吹上効率を高
く確保するものである。
【0040】同図に示す防波構造は、中央突堤72およ
び離岸堤74からなるT字型突堤70で構成され、その
離岸堤74とほぼ面一にて中央突堤72の前面にケーソ
ン10(30)を配設した構造である。そして、このケ
ーソン10(30)より沖側に集波マウンド76を基礎
工事により形成している。この集波マウンド76は、ケ
ーソン10(30)を中心位置とした場合、ほぼ半円乃
至は半楕円のエリアにて略放射方向に傾斜面が形成さ
れ、この傾斜面は図4の場合と同様に、ケーソン10よ
り離れるに従い水深が深くなるように形成される。
【0041】このような集波マウンド76によれば、波
は水深が浅くなる方向に向かって進むため、ケーソン1
0(30)のほぼ前面領域に波が集まり、この集波され
た波の波浪エネルギーを効率的に利用してケーソン10
(30)に設けた連通孔20または40a,40bを介
して噴水を吹き上げることが可能となる。
【0042】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0043】上記の各実施例は、ケーソン10(30)
を中央突堤50または70の先端側に配置したいわゆる
離岸タイプとして構成したが、護岸タイプとして構成す
ることもできる。さらには、離岸,護岸のいずれのタイ
プの場合にも、一ブロックで構成されるケーソン10
(30)を横方向に所定の長さに亘って連設することも
できる。また、離岸タイプとして構成する場合、ケーソ
ン10(30)を海面に浮くように構成し、ワイヤーお
よび重りなどを利用して所定位置に浮設することも可能
である。
【0044】図6および図7は、ケーソン10を他の目
的に利用する変形例を示している。
【0045】図6に示す構造体は、ケーソン10の天面
14に、波受面12側にのみ開口する断面L字状のガイ
ドブロック80を設けた構造を示している。この構造に
よれば、第1開口16より浸入した海水は連通孔20を
介して第2開口18より吹出し、さらにガイドブロック
80により案内されて沖側に排水されることになる。こ
の構造体は消波構造体として利用でき、第1開口16よ
り浸入した海水を連通孔20およびガイドブロック80
を介して案内することで、波浪エネルギーを消費させて
消波機能を実現することができる。
【0046】図7に示す構造体は、ケーソン10の天面
14に、岸側に開口する断面L字状のガイドブロック8
2を設け、さらにケーソン10の下側領域に、岸側より
沖側に貫通する海水交換孔84を設けたものである。こ
の場合には、第1開口16より浸入した海水は、連通孔
20およびガイドブロック82を介して岸側に案内する
ことになるが、岸側で増水した分の海水は海水交換孔8
4を介して沖側に戻されることになる。したがって、こ
の構造体を離岸タイプとして設置すれば、図6の場合と
同様にして消波機能を有すると共に、沖側岸側での海水
交換機能を併せ持つことができる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
年間を通して自然力である波浪エネルギーを利用して効
果的に海水を吹き上げることができる構造体を実現で
き、ウォーターフロントでの親水性を高め、しかも防波
構造体として利用できる。
【0048】さらにこの防波構造体の前方にマウンドを
形成することで、防波構造体に到達する以前に砕波させ
て、波浪エネルギーをより効率的に海水の吹上力として
利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造体の一実施例の概略断面図で
ある。
【図2】(A)は図1に示す構造体の平面図、(B)は
その正面図である。
【図3】高さ方向で異なる位置に2つの第1開口を形成
した構造体の変形例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る防波構造の一実施例の平面図であ
る。
【図5】集波マウンドを有する防波構造の一実施例の平
面図である。
【図6】本発明に係る構造体にガイドブロックを追加し
て構成される消波構造体の概略断面図である。
【図7】本発明に係る構造体にガイドブロックおよび海
水交換孔を設けて構成される海水交換機能を持つ防波構
造体の概略断面図である。
【図8】第1開口の高さ位置及び横方向位置を共に異な
らせた2種の連通孔を有する変形例の概略説明図であ
る。
【符号の説明】
10,30 防波構造体(ケーソン) 12,32 波受面 14,34 天面 16,36a,36b 第1開口 18,38a,38b 第2開口 20,40a,40b 連通孔 60 マウンド 62 被覆ブロック 64 傾斜部 76 集波マウンド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 敏文 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 西山 桂司 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波受面に開口する第1開口より、水面よ
    り上方に突出した天面に開口する第2開口まで連通し、
    かつ、前記第1開口より前記第2開口に向かうに従い孔
    横断面積が小となるテーパ部分を含む連通孔を有し、前
    記第1開口は、その開口の下縁が干潮時の平均水位より
    も低く、その開口の上縁が満潮時の平均水位よりも高い
    位置に設定されていることを特徴とする導波型潮吹き防
    波構造体。
  2. 【請求項2】 波受面に開口する第1開口より、水面よ
    り上方に突出した天面に開口する第2開口まで連通し、
    かつ、前記第1開口より前記第2開口に向かうに従い孔
    横断面積が小となるテーパ部分をそれぞれ含み、前記波
    受面の異なる高さ位置にそれぞれ前記第1開口を有する
    複数の連通孔を有し、最上位置の前記第1開口の上縁が
    満潮時の平均水位よりも高く、最下位置の前記第1開口
    の下縁が干潮時の平均水位よりも低く設定されているこ
    とを特徴とする導波型潮吹き防波構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の防波構造体と、 この防波構造体が設置される水域底部の基礎工事領域
    に、沖に向かうに従い水深が深くなる勾配を持ち、前記
    構造体の前記波受面に達する以前に波を砕波させるマウ
    ンドと、 を有することを特徴とする防波構造。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記マウンドは、前記構造体の前記波受面より沖に向け
    て略放射状に形成されたことを特徴とする防波構造。
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