JPH0610276B2 - 防蟻剤入りポリスチレン樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、断熱材等に利用されるポリスチレン樹脂発泡
体の製造方法に係り、特に白ありを駆除できる防蟻剤入
りのポリスチレン樹脂発泡体の製造方法に関する。

［従来の技術とその問題点］ 従来のポリスチレン樹脂発泡体の製造方法は、第５図に
示すように原料としてのポリスチレン樹脂に発泡材、充
填材を添加した発泡性スチレンビーズを受け入れ検査し
た後、予備発泡（一次発泡）を行い、その後熟成によ
り、揮発性ガス或は空気が内部に拡散ないし侵入した前
記発泡性スチレンビーズを融着成型（二次発泡）してさ
らに膨張させ、隣り合うスチレンビーズの表面を隣接融
着させると同時に、金型キャビティ内に一杯に膨張させ
ることにより製造されていた。

上記方法により得られた例えば板状に形成したポリスチ
レン樹脂発泡体は軽量で断熱効果が高い、比較的安価に
得られる、取扱いや施工が容易である等の理由により、
コンクリート住宅用（畳）下地材、一般建築用（汎
用）、冷凍・冷蔵倉庫用、外（屋上）断熱防水用、木造
住宅用床下等の各種の建材用断熱材として広く利用され
ている。

このポリスチレン樹脂発泡体１を上記断熱材、例えば床
下に施工するときは、第３図に示すように大引２と根太
３で区画された空間に前記発泡スチロール板１を隙間な
く敷き詰め、その上に板材４を取付けるこのである。こ
れにより、板材４は直接外気と触れることがなく、床材
の地表温度が上がるので居住性が向上するとともに、室
内暖房の省エネルギー化に役立つものである（第４図参
照）。

一方、木造住宅等においては白ありから該木材を防ぐこ
とが大きな問題である。

白ありは床下等の暗い所にすみ、建物に使用されている
木材を食うものである。しかも白ありの被害は気付きに
くいため大きな害となることが多い。

この白ありの被害は前記のようにポリスチレン樹脂の断
熱材を利用した場合においても同様である。即ち、白あ
りはポリスチレン樹脂そのものを食べることはないが、
ポリスチレン樹脂は極めて柔らかいので容易に穴をあけ
て侵入し、その内部の木材を食べるからである。

白ありの被害に遭うと、単にポリスチレン樹脂を穿設さ
れて断熱効果が減少するだけでなく、柱、床、壁等で使
用されている木材を食われ、ひどいときには住宅が崩壊
するおそれもある。

そこで、白あり駆除用の防蟻剤を散布することが考えら
れるが、住宅に防蟻剤を散布することは単に煩雑である
だけでなく、防蟻剤は毒性があるので、貯蔵、輸送等の
取扱いに注意を要すると共に、床下等通風の悪い空間に
散布することが多くその作業は危険性が高かった。又近
隣への環境汚染、動植物への影響等種々の問題があっ
た。

この為、従来防虫剤を例えば一次発生後に添加して発泡
ビーズに防虫剤を含有した樹脂発泡体の製造方法が知ら
れている（特開昭６１−４４９３４号）。また防虫剤と
して防蟻剤を混入することも知られている（実開昭６１
−６９３０８号、実開昭６２−５２６０５号）。

しかし発泡体の製造工程に単に防蟻剤を混入させても、
ビーズの周囲に均等に塗布されることは極めて難しい。
また二次発泡後に型から取り出した発泡体は、その後も
発泡を続けるため通常水をかけて冷却するが、予備発泡
後のビーズに単に防蟻剤を塗布しただけではその防蟻剤
がほとんど流されてしまう欠点があった。

本発明は上記に鑑み、防蟻剤が発泡ビーズの周囲に充
分、且つ均等に塗布されると共に、二次発泡後に水をか
けても防蟻剤が流されないにした防蟻剤入りポリスチレ
ン樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的とする。

［発明の概要］ 上記目的と達成するために、本発明における防蟻剤入り
ポリスチレン樹脂発泡体の製造方法は、発泡スチレンの
原料ビーズを予備発泡させた後熟成させる第１工程と、
その熟成後のビーズに防蟻剤と接着剤を所定量混入して
撹拌する第２工程と、該第２工程で得られた発泡性ビー
ズを乾燥、粉砕した後、融着成型する第３工程とからな
るものである。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本発明のポリスチレン樹脂発泡体の製造方法の
一例を示す工程図である。

この図において、先ず原料としてポリスチレン樹脂に発
泡材、充填材を添加した発泡性ビーズを受入れ検査後、
９５〜１０５℃の生蒸気により加熱した約４０〜８０倍
に予め発泡する。

次に室温で６〜２４時間自然乾燥及び熟成を行ない、予
備発泡させたビーズの状態を安定させる（第１工程）。
この受入から熟成までの工程は前記第５図に示す従来の
ポリスチレン樹脂発泡体の製造方法と同様である。

一方、白あり駆除用の防蟻剤と接着剤を重量比略１：１
に計量し、前記熟成させたビーズと撹拌する（第２工
程）。予備発泡させた後に防蟻剤を添加するのは、予備
発泡前では防蟻剤が熱のためにその効果が減少するから
である。

また熟成されたビーズと防蟻剤及び接着剤との混合の重
量比は略１：２とすることが好ましい。更に防蟻剤は有
機塩素系、有機燐系、カーバメイト系、ピレスロイド
系、ＣＣＡ系、ホウ素系、クロルナフタリン系、有機ス
ズ系、ひ素系等どの防蟻剤でも良く、又接触毒剤、食毒
剤、呼吸毒剤等どのような作用によるものでもよい。但
し、建材として用いるものであるから、好ましくは食べ
ることによつて口から消化器を経て体内に入り作用する
食毒剤も防蟻剤より、薬剤に触れることにより皮膚から
体内に入り作用する接触毒剤の方が望ましく、又殺虫力
が強く、即効性で分解し易く、環境汚染の少ない有機燐
系の「クロルピリホス」が望ましい。

接着剤としては、液状の酢酸系接着剤（例えばセメンダ
イン１９８Ｌ）、エマルジョン系接着剤等が望ましい。

上記の撹拌工程により、第２図（Ａ）に示すように発泡
性ビーズの周囲には、接着剤によつて防蟻剤が均等に付
着されると共にビーズ同士が接着してかたまりとなる。
そこで接着剤を乾燥させた後同図（Ｂ）のように、一つ
一つの独立したビーズになるように乾燥させた後粉砕す
る。これにより次工程の金型に充填するとき機械化し易
くなる利点がある。

そして予備発泡させたビーズ７に防蟻剤と接着剤を適量
混合した後撹拌するので、図に示すようにビーズ７の周
囲に防蟻剤８が接着剤９により均等に塗布される。

その後、該ビーズを所定の金型内に充填したのち融着し
てポリスチレン樹脂発泡体を得て、５０〜６０℃で、１
０時間以上乾燥するものである（第３工程）。

上記工程により得られた防蟻剤、例えば「クロルピリホ
ス」入りのポリスチレン樹脂発泡体を従来と同様、第３
図、第４図に示すように床下に敷くと、断熱材としての
効果が得られると共に、万一白ありが地面５から土台６
等を伝わって登ってきてもポリスチレン樹脂発泡体１は
図において一番下側（外気と直接触れる側）に位置して
いるので、必ず板材４に触れる前に該発泡体１に接触
し、前記防蟻剤の働きにより駆除されるものである。こ
の為木材を白ありから保護することができる。

尚本実施例では本発明のポリエチレン樹脂発泡体を断熱
材として床下に施工した例を示したが、これに限らず住
居、倉庫の壁等種々の分野で利用できるものである。

［発明の効果］ 本発明の防蟻剤入りポリエチレン樹脂発泡体の製造方法
は、従来のように単に発泡性ビーズに防蟻剤を添加した
ものに比べ、予備発泡後に防蟻剤と接着剤を適量混合し
撹拌したのでビーズの表面に均等に防蟻剤が塗布される
だけでなく、接着剤の働きによって強固に固着される。
この為融着成型後に水をかけて冷却しても防蟻剤が流さ
れることがない。また各ビーズの周囲に均等に防蟻剤が
塗布されているので、そのビーズで成型された板材等は
防蟻剤のばらつきがなく、建築用の床材とし安心して利
用できる。

接着剤を混入、撹拌した後乾燥させて粉砕するので、そ
の後の成型工程、特に機械化するのに作業がしやすい等
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のポリスチレン樹脂発泡体の工程図、第
２図（Ａ）は第１図の撹拌工程における発泡性ビーズを
示した正面図、同図（Ｂ）は粉砕工程における発泡性ビ
ーズを示した拡大断面図、第３図はポリスチレン樹脂発
泡体を床材に利用した施工図、第４図その縦断断面図、
第５図は従来のポリスチレン樹脂発泡体の工程図であ
る。 １……ポリスチレン樹脂発泡体、 ７……発泡性ビーズ、８……防蟻剤 ９……接着剤。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−44934（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−69308（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−52605（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】発泡スチレンの原料ビーズを予備発泡させ
   た後熟成させる第１工程と、 その熟成後のビーズに防蟻剤と接着剤を所定量混入して
   撹拌する第２工程と、 該第２工程で得られた発泡性ビーズを乾燥、粉砕した
   後、融着成型する第３工程と、 からなることを特徴とする防蟻剤入りポリスチレン樹脂
   発泡体の製造方法。