JPH0610149A - 歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜 - Google Patents

歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜

Info

Publication number
JPH0610149A
JPH0610149A JP16795292A JP16795292A JPH0610149A JP H0610149 A JPH0610149 A JP H0610149A JP 16795292 A JP16795292 A JP 16795292A JP 16795292 A JP16795292 A JP 16795292A JP H0610149 A JPH0610149 A JP H0610149A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
relief annealing
chromium
annealing
steel sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP16795292A
Other languages
English (en)
Inventor
Taisei Nakayama
大成 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP16795292A priority Critical patent/JPH0610149A/ja
Publication of JPH0610149A publication Critical patent/JPH0610149A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 水酸化マグネシウムおよび/または易溶性水
酸化アルミニウム、水性エマルジョン樹脂 (例、アクリ
ル−スチレン共重合体樹脂) 、ホウ酸、および有機還元
剤 (例、グリコール、ジカルボン酸) を含有する処理液
の塗布と焼付により形成され、歪取焼鈍を受けた電磁鋼
板用絶縁皮膜であって、歪取焼鈍後に、X線光電子分光
法で測定して、皮膜の外面側最表層に存在するクロムが
6価クロムからなることを特徴とする、歪取焼鈍後の耐
置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜。 【効果】 箱焼鈍を採用しても、歪取焼鈍後に置錆の発
生が確実に防止され、絶縁皮膜に要求される他の皮膜性
能も良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歪取焼鈍後の耐置錆性
に優れた電磁鋼板用の電気絶縁皮膜(以下、絶縁皮膜と
いう)に関する。なお、電磁鋼板とは珪素鋼板および低
炭素鋼板を包含する意味である。
【0002】
【従来の技術】一般に電磁鋼板の表面には渦電流による
鉄損を減ずるために絶縁被膜が施されている。絶縁皮膜
を施した電磁鋼板は、所定の形状に打抜かれ、必要によ
り歪取焼鈍処理した後、積層して端部をTIG 溶接する等
の加工工程を経て、トランスやモータの鉄芯等として用
いられる。
【0003】歪取焼鈍は、近年の特に小型機器における
高効率化の要請により、多数の用途における電磁鋼板で
採用されるようになってきた。歪取焼鈍は不活性ガス雰
囲気中 700〜850 ℃の温度で行われる。焼鈍方式として
は、連続焼鈍法と箱焼鈍法があるが、連続焼鈍炉は高価
なため、電磁鋼板の歪取焼鈍のほとんどはバッチ式の箱
焼鈍法により行われているのが現状である。
【0004】この絶縁皮膜には、電気絶縁性という基本
的性能のほかに、打抜性、溶接性、耐熱性、耐焼付性、
密着性、耐油性、耐フロン性、自動かしめ性、高い占積
率、および歪取焼鈍前の防錆性と歪取焼鈍後の耐置錆性
等といった防食性および加工性に関する性能が要求され
る。例えば、絶縁皮膜が油やフロンに侵されると、電気
絶縁性が低下する。同様に、置錆が発生しても、電気絶
縁性が悪くなる。このように、防食性能と電気絶縁性は
密接に関連している。
【0005】従来の絶縁皮膜は、歪取焼鈍により耐食性
が低下し、容易に置錆を発生するという問題があった。
この置錆により電気絶縁性が著しく悪化し、その結果、
電磁鋼板をトランスやモータに組み立てた時に、積層し
た鋼板間に渦電流が流れ、機器としての鉄損が増大す
る。従って、歪取焼鈍が不可欠となってきた近年の状況
において、電磁鋼板用絶縁皮膜の歪取焼鈍後の耐置錆性
の改善が強く求められている。
【0006】先に本発明者は、特開平3−36284 号公報
において、クロム酸、エマルジョン型樹脂、有機還元
剤、易溶性アルミニウム化合物、ホウ酸、および場合に
より2価金属化合物を含有する処理液の塗布と焼付によ
る、歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた絶縁皮膜の形成方法
を提案した。しかし、この方法では、絶縁皮膜の歪取焼
鈍後の耐置錆性の改善の機構が不明であったため、耐置
錆性の改善を確実に達成することができなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、歪取焼鈍後の
置錆の発生を確実に防止できる電磁鋼板用の絶縁皮膜を
提供することを目的とする。より詳しくは、上記特開平
3−36284 号公報に記載のような絶縁皮膜において、耐
置錆性の改善を確実に達成することのできる改良手段を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、その後のX
線光電子分光法による研究で、歪取焼鈍後に良好な耐置
錆性を示す絶縁皮膜がいずれも、皮膜最表層で6価のク
ロム酸化物を形成していることに気づき、歪取焼鈍後の
絶縁皮膜の最表層の組成をクロムが6価クロムとして存
在するように制御することにより、上記目的が達成でき
ることを知り、本発明を完成した。
【0009】ここに、本発明は、クロム酸、易溶性の2
価および/または3価塩基性金属化合物、水性エマルジ
ョン樹脂、ホウ酸、および有機還元剤を含有する処理液
の塗布と焼付により形成され、歪取焼鈍を受けた電磁鋼
板用絶縁皮膜であって、歪取焼鈍後に、X線光電子分光
法で測定して、皮膜の外面側最表層に存在するクロムが
6価クロムからなることを特徴とする、歪取焼鈍後の耐
置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜を要旨とする。
【0010】なお、本発明において、皮膜の最表層と
は、X線光電子分光法により分析可能な厚さの表層部分
を意味し、具体的には表面から10 nm 程度の厚みを言
う。
【0011】
【作用】本発明の絶縁皮膜は、クロム酸、易溶性の2価
および/または3価塩基性金属化合物、水性エマルジョ
ン樹脂、ホウ酸、および有機還元剤を含有する処理液の
塗布と焼付により形成される。
【0012】塩基性金属化合物はクロム酸を中和するた
めに添加され、それにより皮膜の耐置錆性を含む耐食性
が改善される。好適な塩基性金属化合物の例は、水酸化
カルシウム、水酸化マグネシウムなどの2価金属水酸化
物、および水酸化アルミニウムなどの3価金属の水酸化
物、ならびにこれらの金属の酸化物、炭酸塩などであ
り、いずれもクロム酸水溶液に易溶性のものを使用す
る。易溶性水酸化アルミニウムとしては、特開昭50−15
3799号および同59−205780号に記載のものを使用するこ
とができる。これらの化合物は1種もしくは2種以上を
添加することができる。耐置錆性の改善効果は、2価金
属化合物より3価金属化合物の方が大きいので、好まし
くは易溶性水酸化アルミニウムなどの3価塩基性金属化
合物を単独で、またはこれを2価塩基性金属化合物を組
合わせて使用する。塩基性金属化合物として、2価金属
化合物と酸化金属化合物とを併用する場合、モル比で3
価金属の量が2価金属の量より多くなるように配合する
ことが好ましい。
【0013】水性エマルジョン樹脂は、主に皮膜の打抜
性と耐食性の改善のために添加される。適当なエマルジ
ョン樹脂の例には、アクリル系、酢酸ビニル系、スチレ
ン系の各単独重合体樹脂および共重合体樹脂などがあ
り、いずれでもよい。クロム酸系処理液に対する添加物
として公知のその他の水性エマルジョン樹脂を用いるこ
ともできる。
【0014】ホウ酸は、歪取焼鈍時に皮膜最表層のクロ
ムの原子価を6価状態に保持するのに有効であり、その
結果、歪取焼鈍後の皮膜の耐置錆性が確実に改善され
る。また、ホウ酸が存在すると、歪取焼鈍時に皮膜がガ
ラス化し、皮膜の焼付が防止できる。
【0015】有機還元剤は、処理液の塗装後の焼付時に
処理液中の6価クロムを3価クロムに還元して造膜させ
るのに必須である。本発明で用いるのに適した有機還元
剤としては、多価カルボン酸類 (マレイン酸、フマル
酸、コハク酸、アジピン酸等)、多価アルコール類 (エ
チレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコー
ル等) 、アミン類 (モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン等) などがある。
【0016】以上の各成分の配合割合は、歪取焼鈍後に
皮膜の最表層のクロムが6価クロムとなり、絶縁皮膜に
要求される上述した他の皮膜性能も著しく阻害されない
限り、特に限定されないが、好ましい配合割合は次の通
りである。
【0017】塩基性金属化合物の量 (2種以上の塩基性
金属化合物を使用する場合には、その合計量) は、クロ
ムに対するモル比 (塩基性金属/Crモル比) が 0.1〜1.
0 となる範囲が好ましい。このモル比が1.0 を超える
と、Crが相対的に不足し、耐置錆性の改善が不十分とな
る。一方、このモル比が0.1 未満では、皮膜形成時の中
和が不十分で良好な皮膜を形成することができない。
【0018】水性エマルジョン樹脂は、クロム酸100 重
量部に対して、樹脂固形分として1〜20重量部の範囲内
で配合するのが好ましい。この量が1重量部未満で打抜
性と耐食性の改善が不十分であり、20重量部を超える
と、歪取焼鈍後に皮膜中のクロムが多孔質のクロム化合
物となり、皮膜密着性が劣化する。
【0019】有機還元剤は、クロム酸100 重量部に対し
て10〜100 重量部の範囲内の量が好ましい。この量が10
重量部未満では還元が十分に起こらず、100 重量部超で
は打抜性が劣化すると共に、歪取焼鈍後に皮膜の最表層
のクロムを6価状態とすることが困難となる。
【0020】ホウ酸の配合割合は、一般にクロムに対す
るモル比 (B/Cr比) が 0.1〜2.0となる範囲が好まし
い。B/Cr比が2.0 を超えると、歪取焼鈍前の皮膜密着
性が劣化し、この比が0.1 未満では、歪取焼鈍時に焼付
が起こり、支障を来すからである。ただし、本発明にお
いては、ホウ酸の配合量の下限は、次に述べるようにさ
らに制限される。
【0021】前述したように、ホウ酸は歪取焼鈍時に最
表層のクロムの原子価を6価状態に保持するのに有効で
あり、ホウ酸の配合量が不足すると、歪取焼鈍後の皮膜
の最表層のクロムが6価クロムに保持されない。従っ
て、ホウ酸の配合量の下限は、この点から制限される。
歪取焼鈍後に最表層のクロムを6価クロムとするのに必
要なホウ酸の配合量の下限は、歪取焼鈍の雰囲気や塩基
性金属化合物の種類によっても異なり、実験的に決定す
ることができる。
【0022】目安として、バッチ式の箱焼鈍法で歪取焼
鈍を行う場合で、塩基性金属化合物が水酸化マグネシウ
ムである場合にはB/Crで0.5 以上、塩基性金属化合物
が水酸化アルミニウムである場合にはB/Crで0.2 以上
のホウ酸を添加すると、歪取焼鈍後に最表層のクロムの
実質的に全てが3価クロムから6価クロムに酸化され、
本発明の目的を達成できる。密閉空間内で行われる箱焼
鈍法では、絶縁皮膜の分解により発生したガス (CO、CH
4 、H2) により歪取焼鈍の雰囲気が還元性となるため、
上記のように比較的多量のホウ酸を皮膜中に混入してお
かないと、歪取焼鈍時に皮膜の最表層を6価クロムとす
ることができない。
【0023】一方、連続焼鈍法の場合には、焼鈍雰囲気
が密閉されておらず、若干の空気が焼鈍雰囲気中に必然
的に混入してくるため、歪取焼鈍時に皮膜の最表層を6
価クロムに酸化するのに必要なホウ酸の配合量は、上記
よりかなり少なくてよい。目安としては、塩基性金属化
合物が水酸化マグネシウムである場合でB/Crが 0.3以
上、塩基性金属化合物が水酸化アルミニウムである場合
にはB/Crが 0.1以上のホウ酸を添加すればよい。
【0024】本発明で用いる処理液中のクロム酸濃度は
特に制限されないが、0.5 〜15g/l程度の濃度が好まし
い。この処理液には、クロム酸と上記の各添加成分以外
に、任意添加剤として界面活性剤、消泡剤などを含有し
ていてもよい。この処理液の電磁鋼板への塗布は、ロー
ルコート、スプレー、浸漬などの均一塗布が可能な任意
の公知方法で行うことができる。塗布後、 150〜400
℃、好ましくは 250〜350 ℃で短時間 (通例20秒〜2分
程度) の焼付を行うと、電磁鋼板上に本発明の絶縁皮膜
を形成することができる。この焼付により、クロム酸の
大部分が有機還元剤により3価に還元され、造膜が行わ
れる。この状態での皮膜の最表層のクロムは3価の状態
であり、3価クロムには防錆力はない。一般に、本発明
の絶縁皮膜の厚みは 0.1〜2μmである。膜厚が2μm
を超えると密着性が低下し、0.1 μmより薄膜では均一
塗装が困難である。電磁鋼板の絶縁皮膜は通常は両面に
施されるが、所望により片面被覆でもよい。
【0025】本発明の絶縁皮膜は、通常は所定形状に打
抜き後、歪取焼鈍が施される。そして、この歪取焼鈍に
より絶縁皮膜最表層の3価クロムが皮膜中のホウ酸等に
より供給される酸素により6価クロムに酸化され、皮膜
の外面側最表層に存在するクロムが6価クロムからなる
防錆性に優れた絶縁皮膜が歪取焼鈍後に得られる。この
点が本発明の皮膜の最大の特徴である。歪取焼鈍後に皮
膜の最表層が6価クロムとなるようにするには、前述の
ようにクロム酸に対するホウ酸の配合量を比較的多く
し、有機還元剤の配合量を過大にならないようにすれば
よい。
【0026】従来のクロム酸系絶縁皮膜の多くは、不活
性雰囲気で行われる歪取焼鈍を受けると逆に表層に3価
のクロムが生成し、耐食性が劣化した。皮膜の最表層の
クロムの原子価状態は、皮膜をX線光電子分光法で分析
することにより決定できる。この皮膜最表層にクロムが
6価クロムとして存在することにより、後で実施例にお
いて例証するように、耐置錆性が常に確保され、置錆の
発生により電気絶縁性の低下が防止されるのである。歪
取焼鈍は、前述したように、不活性ガス雰囲気中 700〜
850 ℃の温度で、箱焼鈍法または連続焼鈍法により実施
することができる。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。水1300重量部にとかした無水クロム酸100 重量部
に対し水酸化マグネシウムおよび/または易溶性水酸化
アルミニウムを種々の量で反応させて溶解した後、水性
エマルジョン樹脂としてアクリル−スチレン樹脂 (大日
本インキ製、ボンコートS410) を固形分として8重量
部、有機還元剤としてエチレングリコール50重量部を配
合し、さらにホウ酸を種々の量で加えて十分に混合する
ことにより、絶縁皮膜形成用の処理液を調製した。表1
に、処理液中のホウ酸 (H3BO3)、水酸化マグネシウム[M
g(OH)2] および易溶性水酸化アルミニウム[Al(OH)3] の
量を、無水クロム酸(CrO3)1モルに対するモル比として
示す。
【0028】この処理液を、最終仕上げ焼鈍の済んだ電
磁鋼板 (板厚 0.5mmの 0.5%Si含有珪素鋼板) の両面に
ロールコーターにより塗布し、270 ℃のオーブンで1分
間焼付けて、絶縁皮膜を形成した。焼付後の絶縁皮膜の
厚みは 0.5μmであった。
【0029】こうして得た絶縁皮膜を施した珪素鋼板を
所定の寸法 (30×280 mm) に切断し、切断した試験材を
用いて、100 %窒素雰囲気中750 ℃で2時間の歪取焼鈍
を行った。その後、この歪取焼鈍材の一部を、X線光電
子分光法により皮膜表面状態を分析して、絶縁皮膜の最
表層部でのクロムの原子価状態を判定した。この分析で
は、最表層でのクロムの結合エネルギーが測定でき、測
定された結合エネルギーが 578.2 eV 以上である時にク
ロムの原子価が6価であると判定した。クロムの結合エ
ネルギーの測定値を併せて示す。歪取焼鈍材の残りは湿
潤試験 (試験片2枚を重ねて温度30℃、相対湿度80%の
雰囲気に放置) に供し、500 時間放置後の赤錆発生面積
率で、歪取焼鈍後の耐置錆性を評価した。
【0030】一方、絶縁皮膜を施した珪素鋼板のうち、
歪取焼鈍を施さなかった試験材を用いて、耐焼付性、皮
膜の密着性、耐フロン性、耐油性、打抜性、歪取焼鈍前
の防錆性、絶縁抵抗について調査した。
【0031】耐焼付性は、2枚の試験片を重ね合わせ、
この積層鋼板に 0.5 kgf/cm2の荷重をかけて 100%N2
で750 ℃×2時間の歪取焼鈍を行った後、皮膜の融着状
態により次の基準で評価した。 ◎:融着なし、△:わずかに融着、×:融着大。
【0032】密着性は、試験片に10 mm 直径の 180°曲
げ加工を施し、曲げ部の皮膜のセロハンテープでの剥離
状況により次の基準で評価した。 ◎:剥離なし、△:ごくわずかに剥離、×:剥離した。
【0033】以上の試験結果を、表1に合わせて示す。
表1からわかるように、皮膜の最表層でのクロムの原子
価が6価である本発明の絶縁皮膜は、歪取焼鈍後の湿潤
試験での発錆率が低く、耐置錆性に優れていることがわ
かる。また、耐焼付性や皮膜の密着性も良好であった。
なお、耐置錆性は、塩基性化合物が3価化合物の水酸化
アルミニウム単独であるか、水酸化アルミニウムと2価
化合物の水酸化マグネシウムとの混合物であって、水酸
化アルミニウムのモル量の方が多い場合に、特に改善効
果が大きかった。
【0034】
【表1】
【0035】耐フロン性は、試験片をフロンR-22中に12
0 ℃で100 時間浸漬した後の重量増減により評価した。
本発明の絶縁皮膜はいずれも0.05 g/m2 以下の減量しか
示さず、耐フロン性は良好であった。また、フロンガス
の分解も認められなかった。
【0036】耐油性は、2号絶縁油中に120 ℃で72時間
浸漬した後の重量増減により評価した。本発明の絶縁皮
膜はいずれも0.05 g/m2 以下の減量しか示さず、耐油性
も良好であった。
【0037】打抜性は、金型材質SKD-11、クリアランス
8%、かみ合わせ0.5 mm、ストローク数350 spm で灯油
を打抜油として形状17×17 mm の打抜きを250 万回行っ
て調べた。本発明の絶縁皮膜を有する電磁鋼板は、いず
れも250 万回の打抜き後もかえり高さが50μm以下で、
打抜性が良好であった。
【0038】歪取焼鈍前の防錆性は、35℃で20時間の塩
水噴霧試験により調べた。本発明の絶縁皮膜は、この塩
水噴霧後も錆の発生がなく、歪取焼鈍前の防錆性も良好
であった。
【0039】層間絶縁抵抗をJIS C 2550により調べたと
ころ、本発明の絶縁皮膜は歪取焼鈍前で5〜40Ω・cm2/
枚、歪取焼鈍後で2〜10Ω・cm2/枚であり、満足すべき
電気絶縁性を示した。
【0040】
【発明の効果】本発明により、電磁鋼板用の絶縁皮膜の
最表層のクロムを6価クロムに制御するという新規な手
段により、特に電磁鋼板の箱焼鈍による歪取焼鈍の場合
に問題であった、歪取焼鈍後の耐置錆性を確実に改善す
ることが可能となり、歪取焼鈍後の耐置錆性にすぐれ、
その他の電磁鋼板用絶縁皮膜に要求される性能も良好な
絶縁皮膜を設けた、実用性に優れた電磁鋼板部材を、箱
焼鈍によって安価に供給することが可能となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロム酸、易溶性の2価および/または
    3価塩基性金属化合物、水性エマルジョン樹脂、ホウ
    酸、および有機還元剤を含有する処理液の塗布と焼付に
    より形成され、歪取焼鈍を受ける電磁鋼板用絶縁皮膜で
    あって、歪取焼鈍後に、X線光電子分光法で測定して、
    皮膜の外面側最表層に存在するクロムが6価クロムから
    なることを特徴とする、歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた
    電磁鋼板用絶縁皮膜。
JP16795292A 1992-06-25 1992-06-25 歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜 Withdrawn JPH0610149A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16795292A JPH0610149A (ja) 1992-06-25 1992-06-25 歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16795292A JPH0610149A (ja) 1992-06-25 1992-06-25 歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0610149A true JPH0610149A (ja) 1994-01-18

Family

ID=15859093

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16795292A Withdrawn JPH0610149A (ja) 1992-06-25 1992-06-25 歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0610149A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003526727A (ja) * 2000-03-16 2003-09-09 ポーハング アイアン アンド スティール シーオー.,エルティディ. 絶縁膜を形成するための被覆組成物、その被覆組成物で被覆された無方向性電気鋼板、及びその鋼板上に絶縁膜を形成する方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003526727A (ja) * 2000-03-16 2003-09-09 ポーハング アイアン アンド スティール シーオー.,エルティディ. 絶縁膜を形成するための被覆組成物、その被覆組成物で被覆された無方向性電気鋼板、及びその鋼板上に絶縁膜を形成する方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100537122B1 (ko) 무기/유기 절연 피복된 무방향성 전기 강판
KR101608572B1 (ko) 절연 피막이 형성된 전기 강판
JP6524448B2 (ja) 電磁鋼板、および、電磁鋼板の製造方法
US20120301744A1 (en) Electrical steel sheet provided with insulating coating which has inorganic with some organic materials
JP2009041074A (ja) 方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜処理液および絶縁被膜付方向性電磁鋼板の製造方法
EP1291451A1 (en) Electrical sheet having insulating coating and insulating coating
JPH06330338A (ja) 被膜特性の極めて良好な無方向性電磁鋼板の製造方法
JP5811285B2 (ja) 絶縁被膜付き電磁鋼板
US20220028576A1 (en) Method of making an electrical steel sheet provided with insulating coating
JP3509475B2 (ja) 歪取焼鈍後の耐焼付き性とすべり性に優れた絶縁被膜を有する無方向性電磁鋼板
JP5522013B2 (ja) クロムフリー絶縁皮膜付き電磁鋼板
JPH06104905B2 (ja) 歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電気絶縁皮膜の形成方法
JPH0610149A (ja) 歪取焼鈍後の耐置錆性に優れた電磁鋼板用絶縁皮膜
JP3572938B2 (ja) 耐スティッキング性及び耐食性に優れた電磁鋼板
JP4283652B2 (ja) 電磁鋼板用水系表面処理液、それを用いた絶縁皮膜付き電磁鋼板の製造方法、および絶縁皮膜付き電磁鋼板
JP3471642B2 (ja) 絶縁皮膜形成用処理液と絶縁皮膜形成方法
JP3381632B2 (ja) 耐臭気性、耐スティッキング性及び耐食性に優れた電磁鋼板
JPH06240185A (ja) 歪取焼鈍後の磁気特性に優れた電気絶縁皮膜の形成
JP5708435B2 (ja) 半有機絶縁被膜付き電磁鋼板
JP2000034574A (ja) 耐臭気性、耐スティッキング性及び耐食性に優れた電磁鋼板
JP2569860B2 (ja) 電磁鋼板への絶縁皮膜の形成方法
JP2009194314A (ja) 絶縁被膜を有する電磁鋼板
JP3555336B2 (ja) 積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法
JPH0681162A (ja) 絶縁性と打抜性に優れた絶縁皮膜の形成方法と塗布液
JP3370261B2 (ja) 高速塗装、低温焼付で製造でき、tig溶接性及び焼鈍後性能に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990831