JPH0681162A - 絶縁性と打抜性に優れた絶縁皮膜の形成方法と塗布液 - Google Patents

絶縁性と打抜性に優れた絶縁皮膜の形成方法と塗布液

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JPH0681162A
JPH0681162A JP23481992A JP23481992A JPH0681162A JP H0681162 A JPH0681162 A JP H0681162A JP 23481992 A JP23481992 A JP 23481992A JP 23481992 A JP23481992 A JP 23481992A JP H0681162 A JPH0681162 A JP H0681162A
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JP
Japan
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insulating film
chromic acid
coating solution
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forming
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JP23481992A
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Taisei Nakayama
大成 中山
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁鋼板用の電気絶縁皮膜に要求される打抜
性などの諸特性を良好に保持したまま、層間絶縁抵抗が
著しく増大した電気絶縁皮膜を形成する。 【構成】 クロム酸水溶液、有機還元剤、水性エマルジ
ョン型有機樹脂、および膨潤性層状シリケート化合物の
微粉末を含み、シリケート化合物の配合量が液中に含ま
れる全クロム酸がCr3+に還元された場合の電気化学当量
に対して1〜10%に相当するイオン交換当量となる量で
ある塗布液を電磁鋼板の表面に塗布・焼付けする。塗布
液は、さらにホウ酸および/または易溶性アルミニウム
化合物および/または2価金属の水酸化物、酸化物また
は炭酸塩をさらに含有していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属板、特に電磁鋼板
の表面に形成する電気絶縁皮膜の形成方法とそれに用い
る塗布液とに関する。本発明において、電磁鋼板とは珪
素鋼板と低炭素鋼板の総称である。本発明により形成さ
れる電気絶縁皮膜は、Cr基合金、Ni基合金などの電磁鋼
板以外の金属板にも適用できる。
【0002】
【従来の技術】一般に電磁鋼板(電気鉄板ともいう)の
表面には、渦電流による鉄損を減ずるために電気絶縁皮
膜が形成されている。電気絶縁皮膜を施した電磁鋼板
は、所定の形状に打抜かれ、場合によって歪取焼鈍を行
った後、積層して、端部をTIG溶接する等の加工工程
を経て、鉄芯などとして用いられる。
【0003】この電気絶縁皮膜に要求される特性として
は、電気絶縁性のほかに、打抜性、耐熱性、密着性、耐
食性、耐油性、耐フロンガス性、溶接性、スキュー性、
自動かしめ性、歪取焼鈍後の耐置錆性などの特性が良好
であること、占積率が高いことなどである。
【0004】無方向性電磁鋼板は、一方向性電磁鋼板と
は異なり、鋼板表面に酸化物(フォルステライト)の絶
縁層を形成しないために、一般に層間抵抗値は低い。し
かしながら、酸化物層がないために打抜性は良好であ
る。逆に、一方向性電磁鋼板は、絶縁性が良好で層間抵
抗値も高いが、打抜性が著しく劣る。
【0005】無方向性電磁鋼板においても、近年の技術
の進歩により、低鉄損のものが製造されるようになり、
従来の小型電気機器のみならず、大型の発電機等にも無
方向性電磁鋼板が使用されるようになってきた。大型機
器に使用する場合、層間抵抗値、即ち、電気絶縁性が重
要であり、より電気絶縁性の高い電気絶縁皮膜が求めら
れている。
【0006】電磁鋼板の電気絶縁皮膜の形成法に関し
て、特公昭50−15013 号公報には、2価金属の酸化物、
水酸化物または炭酸塩をクロム酸水溶液および有機樹脂
エマルジョンと混合した塗布液を使用することが提案さ
れている。特開昭59−205708号公報には、易溶性水酸化
アルミニウムでクロム酸を中和する方法が記載されてい
る。また、特公昭62−25750 号公報には、重クロム酸塩
水溶液 (これは無水クロム酸水溶液に2価金属の酸化
物、水酸化物または炭酸塩を溶解させることにより調製
できる) 、有機樹脂エマルジョン、還元剤として作用す
る多価アルコールを含む塗布液にポリエチレン粉末樹脂
を懸濁させ、これを電磁鋼板に塗布した後、特定の条件
で焼付を行う、打抜性と溶接性が良好な電気絶縁皮膜の
形成方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記を
含めた従来の方法により形成された電気絶縁皮膜は、層
間絶縁抵抗が小さく、特に大型電気機器に使用する場合
には、厚く塗布するか、打抜加工後にワニス塗布処理す
る必要があった。絶縁皮膜の厚肉化やワニス塗布処理
は、占積率の低下を招くので、組み立て後の機器の性能
低下につながり、好ましくない。
【0008】本発明の目的は、層間絶縁抵抗が大きく、
しかも電磁鋼板用の電気絶縁皮膜に要求される打抜性な
どの他の各種の特性も良好である電気絶縁皮膜の形成方
法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電気絶縁
用材料として高い絶縁抵抗を持つフッ素雲母などの層状
シリケートに着目し、これを電気絶縁皮膜中に含有させ
ることで層間絶縁抵抗を増大させることを試みた。
【0010】層状シリケートのうち膨潤性のものは、水
を含むと層間にカチオンをインターカレートする (層間
に挿入する) ことができる。この作用により、電気絶縁
皮膜形成用の塗布液に含まれるクロム酸が金属水酸化物
で中和されて生成したポリカチオンやクロム酸が還元さ
れて生成した3価クロムイオンが層状シリケートの層間
にインターカレートされて安定化し、これらのカチオン
が移動しにくくなるため、電気絶縁性が著しく向上する
ことが判明した。
【0011】また、従来の一方向性電磁鋼板の無機ガラ
ス質 (フォルステライト) からなる絶縁皮膜や、無方向
性電磁鋼板の無機質のみからなる絶縁皮膜が、電気絶縁
抵抗は高いものの、打抜性が悪いという欠点を持ってい
た。これに対し、層状シリケートは、高い電気絶縁抵抗
を有するばかりでなく、無機潤滑剤としても使用される
ほど潤滑効果が高いので、打抜性を著しく向上させる効
果もあり、電気絶縁抵抗と打抜性の両方の特性を同時に
満たすことができることも確認した。
【0012】ここに、本発明は、「クロム酸水溶液、有
機還元剤、水性エマルジョン型有機樹脂、および膨潤性
層状シリケート化合物の微粉末を含む混合液からなり、
該シリケート化合物の配合量が、液中に含まれる全クロ
ム酸がCr3+に還元された場合の電気化学当量に対して1
〜10%に相当するイオン交換当量となる量であることを
特徴とする、電気絶縁皮膜形成用塗布液」、および「こ
の塗布液を金属板表面に塗布し、加熱により塗膜を焼付
けることを特徴とする、絶縁性と打抜性に優れた電気絶
縁皮膜の形成方法」を要旨とする。
【0013】上記塗布液はさらにホウ酸を含有していて
もよく、および/または易溶性アルミニウム化合物なら
びに2価金属の水酸化物、酸化物および炭酸塩よりなる
群から選ばれた、クロム酸と中和反応して溶解しうる1
種もしくは2種以上の金属化合物を、M+ /CrO3のモル
比 (M+ は該化合物中の金属イオンの合計モル量) が1.
0 以下となる量でさらに含有していてもよい。
【0014】
【作用】本発明の電気絶縁皮膜形成用塗布液に配合され
る各成分について次に説明する。
【0015】クロム酸水溶液 無水クロム酸(CrO3)を水にとかして得られる水溶液で
ある。クロム酸は、遊離の酸の状態あるいは塩の状態の
いずれであってもよい。即ち、後述するように、易溶性
アルミニウム化合物ならびに2価金属の水酸化物、酸化
物および炭酸塩よりなる群から選ばれた、クロム酸と中
和反応して溶解しうる1種もしくは2種以上の化合物を
塗布液に配合した場合には、クロム酸はこれらの化合物
と反応して、クロム酸塩または重クロム酸塩などのポリ
クロム酸塩(以下、クロム酸塩とポリクロム酸塩を含め
てクロム酸塩と総称する)の形態で液中に存在する。
【0016】クロム酸は本発明の塗布液の主要皮膜形成
成分であって、塗布液中および塗布後の塗膜焼付時に還
元剤により3価クロムに還元され、酸化クロムからなる
電気絶縁性の皮膜を形成する。この皮膜は、母材金属板
に耐食性を付与する耐食性皮膜としての機能も果たす。
塗布液の中のクロム酸濃度は特に制限されないが、純水
1リットルに対してCrO3として5〜15重量%の範囲内が
通常は好ましい。
【0017】有機還元剤 クロム酸を還元して3価クロムを含む皮膜を形成するた
めに、クロム酸に対する有機還元剤を添加する。使用し
うる還元剤としては、多価カルボン酸(マレイン酸、コ
ハク酸、アジピン酸など)、多価アルコール(エチレン
グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールな
ど)、ヒドロキシカルボン酸(クエン酸、酒石酸な
ど)、ヒドロキシアミン(モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミンなど)などが例
示されるが、これらに制限されるものではない。
【0018】有機還元剤の配合量は、塗布液中の全クロ
ム酸(遊離クロム酸およびクロム酸塩をCrO3に換算した
量)100 重量部に対して10〜100 重量部とすることが好
ましい。10重量部未満ではクロム酸の3価クロムへの還
元が十分に起こらず、皮膜硬化が不十分であって、打抜
金型に悪影響を及ぼす上、有害な6価クロムが残存する
ため、実用とならない場合がある。一方、100 重量部を
超える多量の有機還元剤の配合は、打抜性の劣化を生ず
ることがある。
【0019】水性エマルジョン型有機樹脂 形成される絶縁皮膜の打抜性を改善するために有機樹脂
を配合する。塗布液が水性であるので、有機樹脂として
は水性エマルジョン型のものを使用する。エマルジョン
型樹脂としては、アクリル樹脂およびその共重合物、酢
酸ビニル樹脂およびその共重合物、スチレン樹脂および
その共重合物、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、フェノー
ル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、
エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルエーテル/マレイン酸共重合物、ポリ
ヒドロキシエチルセルロースなど、クロム酸系処理液に
従来より配合されている公知のエマルジョン型樹脂から
選んだ1種もしくは2種以上を使用することができる。
【0020】特に好ましい樹脂は、水性エマルジョン型
の酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂および
これらの共重合物である。市販品の例としては、ボンコ
ート3515、ボンコートEC-818、アクリセット210E (以
上、アクリル樹脂) 、ボンコートS410、ボンコートEC71
0 、アクリセット250E (以上、アクリル−スチレン共重
合樹脂) 、およびボーンコート9301 (酢酸ビニル樹脂)
などが例示される。なお、ボーンコートは大日本インキ
化学工業製、アクリセットは日本触媒化学工業製の製品
である。
【0021】水性エマルジョン型樹脂の配合量は特に制
限されないが、塗布液中の全クロム酸(CrO3に換算した
量)100 重量部に対して樹脂固形分として1〜10重量部
の範囲内とすることが好ましい。1重量部未満では打抜
性の改善が十分でなく、10重量部を超えると凝集が起こ
りやすくなり、塗装作業の障害となることがある。
【0022】膨潤性層状シリケート 層状シリケートはフィロ珪酸塩鉱物とも呼ばれ、Si-Oの
四面体が互いに結合して層状を形成した構造が基本構造
となっている鉱物のことである。そのうち、水中で膨潤
するものが膨潤性層状シリケートである。膨潤性層状シ
リケートは、水を含んで膨潤すると層間間隔が広がり、
層間にカチオンをインターカレートするというイオン交
換能を示す。この作用により、層状シリケートを塗布液
に配合すると、塗布液に含まれるクロム酸が金属水酸化
物で中和されて生成したポリカチオン或いはクロム酸が
還元されて生成した3価クロムイオンが層状シリケート
の層間にインターカレートされて閉じ込められ、これら
のカチオンが動きにくくなることにより、形成された絶
縁皮膜の絶縁抵抗が著しく高まる。
【0023】しかも、層状シリケートは無機潤滑剤とし
ても使用されるほど潤滑効果が高く、打抜性を著しく向
上させる効果もある。従って、絶縁皮膜の電気絶縁抵抗
と打抜性の両方の特性を同時に改善することができると
いう、非常に有利な特性を示す添加剤である。
【0024】膨潤性層状シリケートは任意のものが使用
でき、2種以上の混合物を使用してもよい。有用な層状
シリケートの例には、フッ素雲母、ヘクトライト、モン
モリロナイト、テニオライト、四フッ化シリケート雲母
(TSM) などがある。好ましい膨潤性層状シリケートは、
単位重量当たりのイオン交換能が高いことから四フッ化
シリケート雲母である。
【0025】本発明では、膨潤性層状シリケートを、塗
布液中に含まれる全クロム酸がCr3+に還元された場合の
電気化学当量に対して1〜10%に相当するイオン交換当
量となるような量で添加する。Cr3+の電気化学当量は1
モル当たり3eqであるので、使用する層状シリケートの
イオン交換当量(CEC) に3を乗じた値が、クロム酸のモ
ル数の0.01〜0.1 の範囲内となればよい。即ち、3CEC/
CrO3 (CEC は層状シリケートのイオン交換当量、CrO3
液中に存在する全クロム酸のモル数) の比が、0.01〜0.
1 の範囲内となるように、層状シリケートを添加する。
【0026】3CEC/CrO3の比が0.01より小さいと、電気
絶縁性や打抜性の向上効果が期待されるほどには得られ
ず、この比が0.1 を超えると電気絶縁皮膜の密着性が悪
化し、打抜性も低下する。好ましくは、3CEC/CrO3の比
が0.05〜0.1 となるように層状シリケートを添加する。
層状シリケートのイオン交換当量(CEC) の値は、水酸化
ナトリウムによる滴定法により決定できる。本発明者ら
がこの方法で求めたCEC のデータは、例えば、四フッ化
シリケート雲母(TSM) では1.5 meq/g 、ヘクトライトで
は1.0 meq/g 、モンモリロナイトでは0.8 meq/g であっ
た。従って、クロム酸 (CrO3) 濃度が1M である時の具
体的な層状シリケートの添加量は、TSMでは 8.9〜88.9
g/l、ヘクトライトでは10〜100 g/l 、モンモリロナイ
トでは16.7〜167 g/l となる。
【0027】膨潤性層状シリケートは、予め粉砕機で微
粉末状に粉砕されたものを使用する。例えば、ボールミ
ルなどの適当な粉砕機で層状シリケートを粉砕し、粒径
が5μm以下、好ましくは2μm以下の粒子のみをふる
い分けなどにより分離し、必要であれば乾燥することに
より、本発明で使用する微粉末状の層状シリケートを得
ることができる。粒径が大きすぎると、塗布液中に均一
に分散せず、絶縁皮膜の打抜性その他の特性も阻害され
る。
【0028】以上に述べた成分は、本発明の塗布液に配
合すべき必須成分である。本発明の塗布液には、さらに
任意成分としてホウ酸および或る種の金属化合物を添加
してもよい。
【0029】ホウ酸 ホウ酸は、絶縁皮膜の形成後に歪取焼鈍を行う場合、焼
鈍時の焼付を防止する効果があるので、用途に応じて塗
布液にホウ酸を添加してもよい。ホウ酸の添加量は特に
制限されないが、 H3BO3/CrO3のモル比 (CrO3は全クロ
ム酸をCrO3に換算したモル量) が1.5 以下となる量とす
ることが望ましい。このモル比が1.5 を超えると、絶縁
皮膜の密着性が低下することがある。ホウ酸の好ましい
添加量は、H3BO3 /CrO3のモル比で0.5 以下である。
【0030】中和用金属化合物 本発明の塗布液には、易溶性アルミニウム化合物ならび
に2価金属の水酸化物、酸化物および炭酸塩よりなる群
から選ばれた、クロム酸と中和反応して溶解しうる1種
もしくは2種以上の金属化合物を配合してもよい。それ
により、塗布液中のクロム酸が中和されてクロム酸塩
(前述のように重クロム酸塩などのポリクロム酸塩を含
む) に変換される。こうして、液中の遊離のクロム酸を
アルミニウムまたは2価金属のクロム酸塩にすると、皮
膜の密着性が向上するという効果が得られる。
【0031】易溶性アルミニウム化合物としては、水に
易溶性である任意のアルミニウム化合物でよく、その代
表例は、特開昭50−153799号および同59−205780号各公
報に記載されている易溶性水酸化アルミニウムである。
これは、少なくとも一方がアルミニウム化合物である酸
性物質と塩基性物質とを中和反応させ、析出する水酸化
アルミニウムを直ちに分離および水洗し、使用原料に由
来する不純物としてのアルカリ金属カチオンおよび無機
アニオンを除去することにより得た、CO2 基あるいはSO
2 基が結合した水酸化アルミニウムである。
【0032】2価金属化合物はZn、Mg、Caなどの2価金
属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選ぶことができ
る。このような化合物の具体例としては、ZnO 、MgO 、
CaOなどの酸化物、Zn(OH)2 、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 など
の水酸化物、およびZnCO3 、MgCO3 、CaCO3 などの炭酸
塩がある。
【0033】これらのアルミニウムおよび2価金属化合
物は1種もしくは2種以上を使用することができる。こ
れらの化合物を本発明の塗布液に配合する場合、その添
加量は、M+ /CrO3のモル比 (M+ は該化合物中の金属
イオンの合計モル量、CrO3は全クロム酸をCrO3に換算し
たモル量) で1.0 以下である。M+ /CrO3のモル比が0.
7 以下となるように添加することが好ましい。このモル
比が1.0 を超えると、クロム酸の完全な中和に必要な化
学量論量を超えるので、未反応の金属化合物が残存する
ことになり、それにより電気絶縁性の低下を生ずること
となる。
【0034】塗布液の調製 本発明の絶縁皮膜形成用塗布液は、使用する各成分を混
合し、必要であれば水を加えて塗布に適した濃度に希釈
することにより調製できる。調製された塗布液は長時間
放置しておくとゲル化することがあるので、調製後に貯
蔵する場合には、有機還元剤の全量または一部を加えず
に塗布液を調製し、使用前に必要な量の有機還元剤を添
加すればよい。
【0035】絶縁皮膜の形成方法 本発明の絶縁皮膜皮膜形成用塗布液は、ロールコート
法、スプレー法、浸漬法などの公知の任意の塗布方法に
より、母材の金属板表面に塗布することができる。塗膜
を次いで加熱によ焼付・乾燥すると、金属板上に電気絶
縁皮膜が形成される。焼付条件は特に制限されないが、
150〜400 ℃、好ましくは 250〜350 ℃程度の温度で20
秒〜2分程度の短時間焼付けとすることが望ましい。焼
付は、熱風オーブン、赤外線加熱などの任意の加熱装置
で実施することができる。
【0036】母材の金属板は、珪素鋼板と低炭素鋼板を
含む電磁鋼板でも、或いはCr基合金、Ni基合金などの他
の金属板であってもよい。本発明の塗布液では層間絶縁
抵抗の著しい増大が得られるので、無方向性電磁鋼板に
適用した場合にも、大型機器に使用可能な高い絶縁性を
有する絶縁皮膜を形成できるという利点がある。もちろ
ん、本発明により形成された絶縁皮膜は打抜性にも優れ
ているので、打抜性に劣る一方向性電磁鋼板にも適用で
きる。
【0037】絶縁皮膜の膜厚は特に制限されないが、乾
燥膜厚で 0.1〜2μmの範囲内とすることが一般に好ま
しい。0.1 μm以下の薄膜は均一に塗布することが困難
であり、膜厚が2μmを超えると、皮膜の密着性が低下
することがある。電気絶縁皮膜は母材金属板の両面に形
成するのが普通であるが、場合により片面のみに形成し
てもよい。本発明により形成される絶縁皮膜は層間絶縁
抵抗が大きいので、薄膜で十分な絶縁性を得ることがで
き、占積率や組み立て後の機器の性能も十分に確保でき
る。
【0038】金属板表面に電気絶縁皮膜を形成した後、
焼付け時に生じた歪を除去する目的で金属板を歪取焼鈍
してもよい。この焼鈍は、常法により、不活性ガス雰囲
気中で例えば 700〜800 ℃に1〜2時間程度加熱するこ
とにより実施できる。
【0039】こうして形成された電気絶縁皮膜は、従来
のクロム酸と有機樹脂とを含有する塗布液から形成した
ものに比べて、層状シリケートの添加により、打抜性を
良好に保持したまま、電気絶縁性が著しく向上してお
り、電気絶縁性と打抜性の両特性を同時に満たすことが
できる上、皮膜の密着性、耐油性などの他の特性も良好
である。
【0040】
【実施例】無水クロム酸100 重量部に対し、易溶性水酸
化アルミニウムと水酸化マグネシウムの混合物からなる
金属化合物 (Al:Mgのモル比1:1、総和をM+ で表
示)、ホウ酸および膨潤性層状シリケートをそれぞれ表
1に示す割合で配合し、さらにエマルジョン型樹脂とし
てアクリル−スチレン共重合樹脂 (ボーンコートS410)
を樹脂固形分として15重量部、還元剤としてエチレング
リコールを20重量部、純水 (イオン交換水) 500 重量部
を混合することにより、絶縁皮膜形成用の塗布液を調製
した。膨潤性層状シリケートとしては、四フッ化シリケ
ート雲母(TSM)、ヘクトライトおよびモンモリロナイト
を使用した。
【0041】調製された塗布液を、Si含有量0.5 重量%
の珪素鋼板 (板厚0.5 mmの無方向性電磁鋼板) の両面に
ロールコーターにより塗布し、280 ℃の熱風オーブンで
1分間焼付けた。焼付後の乾燥皮膜の厚みは1μmであ
った。その後、鋼板の一部を歪取焼鈍に付した。歪取焼
鈍は、750 ℃の 100%N2 雰囲気中において2時間行っ
た。
【0042】電気絶縁皮膜が形成された珪素鋼板の皮膜
特性を下記方法で測定した結果も表1に併せて示した。
なお、皮膜特性のうち、層間絶縁抵抗および皮膜密着性
は、歪取焼鈍前および焼鈍後の両方の試験片を用いて測
定し、打抜性と耐油性は歪取焼鈍前の試験片により測定
した。
【0043】打抜性 試験片を金型材質:SKD-11、クリアランス:8%、かみ
合わせ:0.5 mm、ストローク数:350 spm 、打抜油:灯
油、形状: 17 mm×17 mm の条件で打抜き、いずれかの
面のカエリ高さが50μmに達した時点での打抜回数で次
のように評価した。 ◎:200万回以上、○:150〜200 万回、△:100〜150 万
回、×:100万回未満。
【0044】層間絶縁抵抗 JIS C2550(1986) に準じて測定した。
【0045】皮膜密着性 試験片を所定の直径で 180°に折り曲げ、外側の絶縁皮
膜がセロファンテープ剥離により剥離しない最小曲げ直
径 (mm) により評価した。
【0046】耐油性 試験片を120 ℃の2号絶縁油中に72時間浸漬した後の重
量増減により、次のように評価した。 ◎: 重量増減が0.05 g/m2 未満、 ×: 重量増減が0.05
g/m2 以上。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示した試験結果からわかるように、
本発明の塗布液により絶縁皮膜を形成した電磁鋼板で
は、層状シリケートを配合しなかった従来例の塗布液を
使用した場合に比べて、層間絶縁抵抗が著しく増大し、
しかも打抜性、皮膜密着性、耐油性などの他の特性も良
好に保持している。これに対し、比較例に示すように、
層状シリケートの添加量が3CEC/CrO3の比で0.01より少
ないと、層間絶縁抵抗の向上があまり得られず、一方、
この比が0.1 を超えると、層間絶縁抵抗はさらに一層増
大するものの、皮膜密着性が低下して実用に耐えなくな
り、また打抜性も低下傾向にある。
【0049】
【発明の効果】本発明の塗布液を使用することにより、
電気絶縁性と打抜性を両立させた絶縁皮膜を形成するこ
とができ、得られる絶縁皮膜は、耐油性、皮膜密着性を
はじめとする他の諸特性も良好である。また、この絶縁
皮膜は層間絶縁抵抗が大きく、薄膜で十分な絶縁性を得
ることができるので、大型機器に使用する場合にも厚膜
化する必要がなく、厚膜化に伴う占積率低下や組み立て
後の機器の性能低下を避けることができる。従って、本
発明を利用して無方向性電磁鋼板に絶縁皮膜を形成する
ことにより、大型機器にも使用可能な高い絶縁性を示す
電磁鋼板を得ることができるので、本発明は無方向性電
磁鋼板の用途拡大に貢献する技術である。また、本発明
により形成される絶縁皮膜は打抜性にも優れ、一方向性
電磁鋼板に適用した場合に打抜性を改善することができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロム酸水溶液、有機還元剤、水性エマ
    ルジョン型有機樹脂、および膨潤性層状シリケート化合
    物の微粉末を含む混合液からなり、該シリケート化合物
    の配合量が、液中に含まれる全クロム酸がCr3+に還元さ
    れた場合の電気化学当量に対して1〜10%に相当するイ
    オン交換当量となる量であることを特徴とする、電気絶
    縁皮膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】 さらにホウ酸を含有する、請求項1記載
    の電気絶縁皮膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】 さらに易溶性アルミニウム化合物ならび
    に2価金属の水酸化物、酸化物および炭酸塩よりなる群
    から選ばれた、クロム酸と中和反応して溶解しうる1種
    もしくは2種以上の金属化合物を、M+ /CrO3のモル比
    (M+ は該化合物中の金属イオンの合計モル量) が1.0
    以下となる量で含有する、請求項1または2記載の電気
    絶縁皮膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の電
    気絶縁皮膜形成用塗布液を金属板表面に塗布し、加熱に
    より塗膜を焼付けることを特徴とする、絶縁性と打抜性
    に優れた電気絶縁皮膜の形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002164207A (ja) * 2000-11-22 2002-06-07 Nippon Steel Corp モールドコアに適し磁気特性に優れた電磁鋼板
KR100345726B1 (ko) * 1997-10-09 2002-09-18 주식회사 포스코 무방향성전기강판의절연피막형성용코팅액
KR100856815B1 (ko) * 2001-01-04 2008-09-05 엔엑스피 비 브이 가변 임계치 슬라이서를 갖는 수신기 및 그 수신기에서 dc 오프셋 보상 실행 방법과 신호 값 결정 방법

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