JPH0610096A - 化成処理性ならびに成形性に優れる高張力冷延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
化成処理性ならびに成形性に優れる高張力冷延鋼板及びその製造方法Info
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- JPH0610096A JPH0610096A JP16622692A JP16622692A JPH0610096A JP H0610096 A JPH0610096 A JP H0610096A JP 16622692 A JP16622692 A JP 16622692A JP 16622692 A JP16622692 A JP 16622692A JP H0610096 A JPH0610096 A JP H0610096A
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Abstract
1.0 〜3.5 %、Ni:0.05〜2.0 %、B:0.0010〜0.0080
%、P:0.040 〜0.18%及びAl:0.005 〜0.10%を下記
式(1) 及び(2) 関係のもとで含有し、かつ、Ti:0.003
〜0.10及びNb:0.003 〜0.10のうちから選んだ1種以上
を含む高張力冷延鋼板。 Si(mass%)/1.5÷P(mass%)/0.
3≧0.5…(1) 100Mn(mass%)+150Ni(mass%)
−200Si(mass%)−1000P(mass
%)≧−200…(2) 【効果】 化成処理性、成形性に優れる高張力冷延鋼板
が得られる。
Description
体用として、曲げ加工、プレス成形加工、絞り成形加工
などの用途に用いて良好で、さらに化成処理性も良好な
高張力冷延鋼板及びその製造方法を提案するものであ
る。
制などから、燃費向上のために自動車の軽量化の要請が
高まってきている。また、自動車事故による死者の増加
も問題となり自動車の安全性向上も重要な課題となって
いる。そこでこれらの問題の対応策の一つとして、材料
面で引張強さが400 〜700MPaで、かつ優れたプレス成形
性を有する冷延鋼板が要求されるようになってきてい
る。
にともないプレス成形性すなわち平均r値やTS−Elバラ
ンスが劣化し、さらには、高張力化にともない化成処理
性やめっき性などの表面特性も劣化する傾向にある。し
たがって自動車用として供するためには、高張力化とと
もに、プレス成形性及び化成処理性を向上させることが
重要になる。
形性改善のために、各種の方法が提案されている。たと
えば、特開昭56−139654号公報の成形性の優れた高張力
冷延鋼板およびその製造方法や特公昭59−42742 号公報
の降伏比の低い深絞り用高強度冷延鋼板などには、Cを
低減した極低炭素鋼をベースとして、加工性、時効性の
改善のために炭窒化物形成成分であるTi,Nbなどを添加
し、さらに加工性を害さないPでおもに高張力化をはか
る手段が開示されている。しかしながら、これらの強度
は引張強さが400MPa程度までであった。
特開昭63−100158号公報の成形性に優れる高強度冷延鋼
のようにさらにSiを多量添加した鋼板が開示されてい
る。しかしながら、多量のSi添加は表面特性の劣化が避
けがたく、化成処理性が著しく劣化するという問題があ
った。また、多量のP及びSiの同時添加では、しばしば
熱延板に異常組織が発生し、加工性が著しく劣化する場
合があるなどの問題があった。
問題点を有利に解決しようとするもので、自動車用に供
して好適なプレス成形等の加工性に優れ、かつ化成処理
性にも優れる高張力冷延鋼板及びその製造方法を提案す
ることを目的とする。
重ねた結果Si, Mn及びPに加えてNiを複合添加すること
及びその製造条件を限定することにより優れた化成処理
性とプレス成形性を有する高張力冷延鋼板が得られるこ
とを見出したことによるものである。
可避的不純物の組成よりなることを特徴とする化成処理
性ならびにプレス成形性に優れる高張力冷延鋼板であり
(第1発明)、
を含有させるものであり(第2発明)、
る鋼スラブを素材として、熱間圧延として750 ℃以上、
1000℃以下の温度範囲にて仕上げ圧延を終了し、さらに
酸洗後圧下率60%以上、95%以下の冷間圧延を行い、し
かるのち700 ℃以上、950 ℃以下の温度範囲にて再結晶
焼鈍を施すことを特徴とする化成処理性ならびにプレス
成形性に優れる高張力冷延鋼板の製造方法である(第3
発明、第4発明)。
て述べる。C:0.003mass %、B:0.0012mass%、P:
0.07mass%、Al:0.04mass%、Ti:0.04mass%及びNb:
0.03mass%の成分組成にSi, Mn及びNi含有量を変えて添
加した板厚0.8mm の冷延鋼板の、Si, Mn及びNiの含有量
と化成処理性の関係について調査した。
トバーを、820 〜910 ℃の仕上げ温度で熱間圧延を行
い、続いて酸洗後圧下後75〜82%の冷間圧延を行ったの
ち、焼鈍温度790 〜890 ℃で連続焼鈍を施し製造したも
のである。
洗、リン酸塩処理を施し、以下に述べるピンホールテス
トを行った時のピンホール面積率と結晶析出数で評価し
た。なお、リン酸処理液に日本パーカライジング(株)
製BT3112を用い、スプレーで120 秒間吹付けた。ピンホ
ールテストは、試験面に鉄イオンと反応して発色する試
薬(フェロオキシル溶液)を浸したろ紙を密着させて、
鋼板表面に残留するリン酸結晶未付着部分を検知し、そ
れを画像解析してピンホール面積率として数値化した。
また結晶析出数はSEM 観察により行った。そしてこれら
化成処理性の評価基準は以下のように定めた。まずピン
ホール面積率は2%未満を○,2〜9%では△,9%超
過については×、また結晶析出数(×104/mm2)は、5以
上で○,5未満3までが△,そして3未満では×として
評価した。
処理性の調査結果を示す。
化成処理性は良好であるが、鋼BからわかるようにSi含
有量を増加することによって化成処理性は劣化する。し
かしながら、鋼E及びFから、Si含有量が多くても適量
のMnとNiを複合添加することによって化成処理性が改善
されることが明らかとなった。
複合添加することにより化成処理性が改善された理由は
以下の如くであると考えられる。すなわち、Si量の増加
によって焼鈍後の鋼板の表面へのSi濃化が著しくなり、
これが原因で化成処理性が劣化したものと考えられる。
しかしながら、微量のNiと多量のMnを共存させることに
より、Siの表面濃化状態を押さえ、かつ高いMn濃化層を
形成させたために化成処理性が改善されたものと考えら
れる。
おこる熱延板の異常組織の改善についても検討を行っ
た。含有量がMn:0.01〜3.1mass %及びNi:0〜1.8mas
s %のそれぞれの範囲内で変化させたC:0.002mass
%、Si:1.0mass %、B:0.0014mass%、P:0.10mass
%、Al:0.04mass%、Ti:0.05mass%及びNb:0.03mass
%の成分組成になる板厚0.8mm の冷延鋼板について、Mn
及びNi含有量とプレス成形性とくに平均r値との関係に
ついて調査した。なお、これらの鋼板は、上記実験と同
様の方法で製造した。
用し、15%引張予歪を与えたのち、3点法にて測定し、
L方向(圧延方向)、D方向(圧延方向に対し45°の方
向)およびC方向(圧延方向に対し90°の方向) の平均
値として、 平均r値=(rL +2rD +rC )/4 から求めた。
びPの含有量との関係を図1に示す。図1より明らかな
ように、平均r値は、100Mn(mass%) +150Ni(mass%)
−200Si −1000P(mass%) によって整理でき、この式に
よって計算される値を−200以上とすることにより、す
なわちMn及びNiの含有量を増加することにより著しく向
上することがわかる。また、この発明においてMoを1%
以下で添加しても、この発明の特徴をそこなうことはな
いことが明らかとなった。
の増加により優れた平均r値が得られる理由は、以下の
ごとくであると考えられる。すなわち、Si及びPを大量
に添加すると鋳造時の偏析が増加し、また熱間圧延時に
さらにこの偏析を助長したために、熱延板に異常組織が
あらわれたものと思われる。しかしながら、Mn及びNiを
一定量以上添加することによって、拡散係数や変態点を
変化させたため、熱間圧延時の偏析の助長が抑制され、
これによって熱延板が均質化され平均r値が改善された
ものと考えられる。また、この発明においてMoを1%以
下で添加しても、この発明の特徴をそこなうことはない
ことが明らかとなった。
の限定理由について述べる。 C:0.0050 mass %以下 Cは、この発明において重要な成分であり、良好な加工
性、とくに良好なTS−Elバランスを有する冷延鋼板を得
るためには、0.0050%mass以下の極低炭素鋼でなければ
ならない。望ましくは0.0030 mass %以下が好ましい。
含有量は0.2 mass%以上必要とし所望の強度に応じて必
要量添加されるが、化成処理性を著しく劣化させる。し
かし、化成処理性はこの発明の特徴であるNiと高Mnの複
合添加で改善できるが、その含有量が2.5 mass%を超え
るとこの発明によっても改善不可能となるので2.5mass
%を上限とする。
加にて化成処理性を著しく改善する効果があり、その効
果が生じるためには含有量は1.0mass %が必要である。
またMnには鋼を強化する作用もあり、所望の強度に応じ
て必要量添加されるが、その含有量が3.5mass %を超え
ると加工性が劣化するのでその上限を3.5mass %とす
る。
に、加工性、とくに平均r値を向上する効果があり、所
望の強度に応じて積極的に添加する。その効果は含有量
が0.040 mass%以上の添加で顕著になる。しかしなが
ら、その含有量が0.18 mass %を超えると、鋳造時の凝
固偏析が著しく、内部割れも発生しやすくなるため、加
工性が劣化する。また粒界面に多く偏析して脆化もさせ
るので0.18mass%を上限とする。
有量で1.0mass %以上の複合添加にて化成処理性を著し
く改善する効果があり、0.05mass%以上でその効果があ
らわれる。したがって含有量の下限値を0.05mass%とす
る。またNiには鋼を強化する作用もあり、所望の強度に
応じて必要量添加される。またNiは異常組織改善の効果
がMnより大きいので積極的に添加したいが、Niの増量は
コストアップも大きく、また含有量が2.0 mass%を超え
ると加工性を劣化させるので、その上限を2.0 mass%と
する。
添加されるが、含有量が0.005 mass%未満では介在物が
増加してしまい良好な加工性が得られない。また、Al量
が多すぎると加工性を劣化させるばかりでなく、表面性
状をも劣化させるため含有量の上限を規制して0.10mass
%以下とする。
に必要に応じて添加されるが、0.0010mass%未満ではそ
の効果は得られない。また、B量が多すぎると再結晶温
度を極端に上昇させ、加工性を劣化させるため含有量の
上限を規制して0.0080mass%以下とする。
以上添加され、加工性を向上させるが、含有量がともに
0.003 mass%未満ではその効果は小さく、0.10mass%を
超えると逆に加工性を劣化させる。したがって、それら
の含有量はともに0.003mass %以上、0.10mass%以下と
する。
は、加工性を大きく劣化させることなしに鋼を強化する
ためにSiとPを有効に利用することが必要であり、この
発明の目標強度(TS:400 〜700MPa) を考慮して、Si(mas
s %) /1.5 +P(mass %)/0.3 の式から計算される
値を0.5(mass%) 以上に限定する。
を含有させると、熱延板に異常組織が生じる場合があ
り、この異常組織の発生を防止するために、この発明で
はMn,Ni, Si及びPの含有量、すなわち、100Mn(mass%)
+150Ni(mass%) −200Si(mass%) −1000P(mass%)
の式から計算される値を−200 以上に限定するものであ
るが、望ましくは−150 以上、100 以下とすることが好
ましい。 Mo : 1.0 mass %以下 Moは鋼を強化するのに有効な成分である。しかしながら
1mass%を超えて含有させると加工性を劣化させるため
その含有量は1.0 mass%以下とする。またMo添加して
も、この発明の特徴をそこなうことはない。
る。製鋼、鋳造条件は常法にしたがって行うことでよ
い。
を良好にするために最低で750 ℃を必要とする。これ未
満では、熱延板中の圧延組織の残存が顕著となり、平均
r値に良好な集合組織形成に不利となる。一方1000℃を
超えて圧延を終了すると、熱延板組織の粗大化が起こ
り、平均r値に有利な集合組織が得られない。したがっ
て、その温度は750 ℃以上1000℃以下とする。
上にしないと十分な加工性が得られないので60%以上と
する。好ましくは70%以上の冷延圧下率とすることが有
利である。一方、冷延圧下率を95%以上とすると逆に加
工性が劣化するのでその上限を95%とする。冷間圧延後
の再結晶焼鈍温度は、750 ℃以上950 ℃以下であればよ
いが、望ましくは800 ℃以上で焼鈍するのがよい。
インまたは連続溶融亜鉛めっきラインを用いてもよく、
溶融亜鉛めっき法としては、非合金化溶融亜鉛めっきま
たは合金化溶融亜鉛めっきのどちらにも適する。また、
この発明によって得られる冷延鋼板は、焼鈍後、電気め
っき等の表面処理を施してもよく、さらに表面について
は特殊な処理を施して、さらに化成処理性、溶接性、プ
レス成形性、および耐食性の改善を行ってもよい。さら
にこれらの冷延鋼板に、板形状矯正などの目的で調質圧
延を、通常常識の範囲内で行ってもかまわない。
ブを素材として、熱間圧延を行い、続いて酸洗後冷間圧
延により板厚0.8mm に圧延したのち、連続焼鈍ラインで
20秒間の再結晶焼鈍を施し、得られた冷延板について引
張特性及び化成処理性を調査した。
(FDT) 、冷間圧延圧下率及び焼鈍温度ならびに調査結果
を表3にまとめて示す。
して測定し、平均r値及び化成処理性は前記の実験の場
合と同様の方法で行い、同様の方法で評価した。
×Elで示されるTS−Elバランスに優れ、高い平均r値を
示すとともに優れた化成処理性を有していることがわか
る。一方、比較例は平均r値及びTS−Elバランスで劣
り、化成処理性も一例を除き劣っている。
及びPに加えてNiを複合添加することにより表面特性、
とくに化成処理性に優れ、かつプレス成形用としても好
適な特性を有する高張力冷延板を得るもので、自動車の
軽量化、安全性の向上に大きく寄与することができる。
示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】C:0.0050mass%以下、 Si:0.2mass %以上、2.5mass %以下、 Mn:1.0mass %以上、3.5mass %以下、 Ni:0.05mass%以上、2.0mass %以下、 B:0.0010mass%以上、0.0080mass%以下、 P:0.040mass %以上、0.18mass%以下及び Al:0.005mass %以上、0.10mass%以下 を下記式(1) 及び(2) の関係のもとで含有し、かつ Ti:0.003mass %以上、0.10mass%以下及び Nb:0.003mass %以上、0.10mass%以下 のうちから選んだ1種又は2種を含み、残部は鉄及び不
可避的不純物の組成よりなることを特徴とする化成処理
性ならびにプレス成形性に優れる高張力冷延鋼板。 【数1】 - 【請求項2】C:0.0050mass%以下、 Si:0.2mass %以上、2.5mass %以下、 Mn:1.0mass %以上、3.5mass %以下、 Ni:0.05mass%以上、2.0mass %以下、 Mo:1.0mass %以下、 B:0.0010mass%以上、0.0080mass%以下、 P:0.040mass %以上、0.18mass%以下及び Al:0.005mass %以上、0.10mass%以下 を下記式(1) 及び(2) の関係のもとで含有し、かつ Ti:0.003mass %以上、0.10mass%以下及び Nb:0.003mass %以上、0.10mass%以下 のうちから選んだ1種又は2種を含み、残部は鉄及び不
可避的不純物の組成よりなることを特徴とする化成処理
性ならびにプレス成形性に優れる高張力冷延鋼板。 【数2】 - 【請求項3】C:0.0050mass%以下、 Si:0.2mass %以上、2.5mass %以下、 Mn:1.0mass %以上、3.5mass %以下、 Ni:0.05mass%以上、2.0mass %以下、 B:0.0010mass%以上、0.0080mass%以下、 P:0.040mass %以上、0.18mass%以下及び Al:0.005mass %以上、0.10mass%以下 を下記式(1) 及び(2) の関係のもとで含有し、かつ Ti:0.003mass %以上、0.10mass%以下及び Nb:0.003mass %以上、0.10mass%以下 のうちから選んだ1種又は2種を含み、残部は鉄及び不
可避的不純物の組成よりなる鋼スラブを素材として、熱
間圧延して750 ℃以上、1000℃以下の温度範囲にて仕上
げ圧延を終了し、さらに酸洗後圧下率60%以上、95%以
下の冷間圧延を行い、しかるのち700 ℃以上、950 ℃以
下の温度範囲にて再結晶焼鈍を施すことを特徴とする化
成処理性ならびにプレス成形性に優れる高張力冷延鋼板
の製造方法。 【数3】 - 【請求項4】C:0.0050mass%以下、 Si:0.2mass %以上、2.5mass %以下、 Mn:1.0mass %以上、3.5mass %以下、 Ni:0.05mass%以上、2.0mass %以下、 Mo:1.0mass %以下、 B:0.0010mass%以上、0.0080mass%以下、 P:0.040mass %以上、0.18mass%以下及び Al:0.005mass %以上、0.10mass%以下 を下記式(1) 及び(2) の関係のもとで含有し、かつ Ti:0.003mass %以上、0.10mass%以下及び Nb:0.003mass %以上、0.10mass%以下 のうちから選んだ1種又は2種を含み、残部は鉄及び不
可避的不純物の組成よりなる鋼スラブを素材として、熱
間圧延して750 ℃以上、1000℃以下の温度範囲にて仕上
げ圧延を終了し、さらに酸洗後圧下率60%以上、95%以
下の冷間圧延を行い、しかるのち700 ℃以上、950 ℃以
下の温度範囲にて再結晶焼鈍を施すことを特徴とする化
成処理性ならびにプレス成形性に優れる高張力冷延鋼板
の製造方法。 【数4】
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