JPH06100720B2 - 光デイスク用対物レンズ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は光ディスク用対物レンズ、特に波長の異なる２
つの光源から発した光を光ディスク記録面上に微小スポ
ットとして照射するための対物レンズに関するものであ
る。

現在、書き換え可能な光ディスクシステムにおいては波
長の異なる２つの半導体レーザの光を用い、一方で信号
の記録・再生を、他方で信号の消去を行う方法が提案さ
れている。このとき、ディスク上に良好な微小光スポッ
トを形成するためには、使用する対物レンズが高NAで、
かつ良好に収差補正されている必要がある。同時に、波
長の異なる２つの光たとえば780nmと830nmの光をディス
ク面上に照射するためには、色収差が良好に補正されて
いなければならない。更に、高速で回転するディスクは
通常、偏芯及び面振れを有しており、これに光スポット
を追従させ、フォーカシング及びトラッキングの制御を
行うためには、対物レンズは小型・軽量でなければなら
ない。また、対物レンズと光ディスクの接触を避けるた
め、作動距離をできるだけ大きくとる必要がある。

従来の技術 従来の光ディスク用対物レンズの中で、高NA（開口数）
でかつ軸上収差が良好に補正されたものの例として、特
開昭55−4068号公報，特開昭58−72114号公報に記載の
ものが掲げられる。

発明が解決しようとする問題点 特開昭55−4068号公報のレンズ系は、小型・軽量化のた
め２枚接合型２群３枚構成としており、作動距離も大き
いが、色収差補正に対する考慮即ち、適切な硝材の選択
がなされていない。また第２図に示した特開昭58−7211
4号公報のレンズ系は色収差補正を主な目的としてお
り、適切な硝材の選択と３枚接合型２群４枚構成を特徴
としているが、各レンズの肉厚が厚く、また４枚構成と
いうこともあって小型・軽量化に対し難点がある。ま
た、構成レンズが製造の非常に困難な形状を有している
点も、実用化に対する大きな制約となると思われる。

上記のように、従来の光ディスク用対物レンズは要求さ
れる諸特性を全て満足し、かつ実用に供するものはなか
った。

問題点を解決するための手段 本発明では小型・軽量化のためにレンズタイプとして２
群３枚構成を選び、色消し効果を上げるために１群を接
合型とした。さらに収差補正、780nmから830nmの間の波
長に対する色消しのため、次の条件を満足するよう構成
した。

（１）49＜ν_１ （２）ν_２＜26 （３）40＜ν_３ （４）1.65＜n₁＜1.75 （５）1.78＜n₂ （６）1.77＜n₃ （７）0.78＜｜r₂|/f＜1.02 （８）0.65＜r₄/f＜0.76 ただし、ν_１，ν_２，ν_３はそれぞれ光源側から見た第
1,第2,第３レンズのアッベ数、n₁，n₂，n₃は同様のｄ線
における屈折率、r₂は第１レンズ，第２レンズの接合面
の曲率半径、r₄は第３レンズ光源側凸面の曲率半径、ｆ
はレンズ全系の焦点距離である。

作用 条件（１），（２），（３）は色消しのための条件で、
第１レンズ，第３レンズのように正のパワーをもつレン
ズには条件（１），（３）のようにアッベ数の大きな硝
材を用いる必要があり、第２レンズのような負のパワー
をもつレンズには条件（２）のようにアッベ数の小さな
硝材を用いる必要がある。各条件に示した範囲外では、
色消しの効果が著しく低下する。条件（５），（６）は
収差補正、特に軸上波面収差の良好な補正を行うための
条件である。一般に各レンズの屈折率を大きくとれば、
所望の焦点距離を与えるレンズ面の値曲率半径を大きく
することができ、収差発生を小さくすることができる。
条件（５），（６）は、この原理に基くものであり、本
発明のように高NAで、構成枚数の少ないレンズでは、供
に下限値を下回ると収差補正効果が著しく低下する。ま
た、条件（４）は、軸上波面収差補正と色消しの両方に
影響を与えるもので、条件（５）に示した第２レンズの
屈折率と強い関連を持つものである。即ち、波面収差補
正の観点からはn₁とn₂の値がある程度離れている必要が
あり、一方、色消しの観点からはn₁とn₂の値は近い方が
良い。いずれも条件（４）に示した適切な範囲を越える
と軸上波面収差の補正が困難となる。条件（７），
（８）は軸上波面収差補正と、製造性を良好に保つため
の条件である。いずれも、上限を越えると軸上波面収差
の補正が困難となり、下限を越えると安定した製造性を
確保できない。以上の構成により、従来のものに比べ色
消しの状態が１桁改善され、かつ高NAで軸上波面収差が
良好に補正された小型・軽量な光ディスク用対物レンズ
を実現できる。

実施例 以下、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。第１図において、１光ディスクの記録面、２は同光
ディスクのカバーガラス、３は光源、４は両凸レンズで
ある第１レンズ、５は負メニスカスレンズである第２レ
ンズ、６は光ディスク側に凹面を向けた正メニスカスレ
ンズである第３レンズである。r₁，r₂……r₅はレンズ面
曲率半径、n₁，n₂，n₃はレンズ4,5,6のｄ線における屈
折率、ν_１，ν_２，ν_３はそれぞれ光源側から見た第1,
第2,第３レンズ4,5,6の硝材のアッベ数、ｆはレンズの
全系の焦点距離、d₁，d₂…d₄はレンズ面中心間隔、W.D
はレンズ最終面とカバーガラス２間の距離、ｔはカバー
ガラス２の肉厚である。

実施例１ r₁＝2.244 d₁＝0.475 n₁＝1.71300 ν_１＝53.9 r₂＝−0.941 d₂＝0.329 n₂＝1.84666 ν_２＝23.8 r₃＝−7.266 d₃＝0.160 r₄＝0.720 d₄＝0.353 n₃＝1.80420 ν_３＝46.5 r₅＝2.244 ｆ＝１ ｔ＝0.282 nt＝1.58 WD＝0.413 NA＝0.53 WA（軸上波面収差）＝0.021（λ−RMS） δＺ（830nmと780nmにおける軸上色収差） ＝4.12×10^-4 実施例２ r₁＝2.575 d₁＝0.454 n₁＝1.74100 ν_１＝52.6 r₂＝−0.869 d₂＝0.464 n₂＝1.84666 ν_２＝23.8 r₃＝−7.349 d₃＝0.024 r₄＝0.750 d₄＝0.457 n₃＝1.80420 ν_３＝46.5 r₅＝2.204 ｆ＝１ ｔ＝0.282 nt＝1.58 WD＝0.386 NA＝0.53 WA＝0.027（λ−RMS） δＺ＝2.87×10^-4 実施例３ r₁＝1.945 d₁＝0.514 n₁＝1.67000 ν_１＝57.3 r₂＝−1.000 d₂＝0.339 n₂＝1.84666 ν_２＝23.8 r₃＝−7.262 d₃＝0.024 r₄＝0.752 d₄＝0.424 n₃＝1.80420 ν_３＝46.5 r₅＝2.401 ｆ＝１ ｔ＝0.282 nt＝1.58 WD＝0.392 NA＝0.53 WA＝0.019（λ−RMS） δＺ＝4.40×10^-4 実施例４ r₁＝2.063 d₁＝0.391 n₁＝1.69680 ν_１＝55.5 r₂＝−0.918 d₂＝0.339 n₂＝1.84666 ν_２＝23.8 r₃＝−6.886 d₃＝0.024 r₄＝0.726 d₄＝0.444 n₃＝1.80420 ν_３＝46.5 r₅＝2.211 ｆ＝１ ｔ＝0.282 nt＝1.58 WD＝0.388 NA＝0.53 WA＝0.019（λ−RMS） δＺ＝4.26×10^-4 実施例５ r₁＝2.824 d₁＝0.418 n₁＝1.77250 ν_１＝49.6 r₂＝−0.800 d₂＝0.286 n₂＝1.84666 ν_２＝23.8 r₃＝−6.789 d₃＝0.286 r₄＝0.668 d₄＝0.355 n₃＝1.77250 ν_３＝49.6 r₅＝1.818 ｆ＝１ ｔ＝0.267 nt＝1.51 WD＝0.391 NA＝0.5 WA＝0.028（λ−RMS） δＺ＝3.04×10^-4 実施例６ r₁＝2.739 d₁＝0.426 n₁＝1.74100 ν_１＝52.6 r₂＝−0.800 d₂＝0.219 n₂＝1.84666 ν_２＝23.8 r₃＝−6.858 d₃＝0.192 r₄＝0.754 d₄＝0.394 n₃＝1.80610 ν_３＝40.7 r₅＝2.738 ｆ＝１ ｔ＝0.263 nt＝1.51 WD＝0.431 NA＝0.5 WA＝0.028（λ−RMS） δＺ＝4.27×10^-4 実施例７ r₁＝2.612 d₁＝0.397 n₁＝1.71300 ν_１＝53.9 r₂＝−0.799 d₂＝0.239 n₂＝1.80518 ν_２＝25.5 r₃＝−6.970 d₃＝0.246 r₄＝0.754 d₄＝0.397 n₃＝1.80610 ν_３＝40.7 r₅＝2.639 ｆ＝１ ｔ＝0.265 nt＝1.51 WD＝0.410 NA＝0.5 WA＝0.032（λ−RMS） δＺ＝5.74×10^-4 実施例８ r₁＝2.503 d₁＝0.489 n₁＝1.69680 ν_１＝55.5 r₂＝−0.799 d₂＝0.222 n₂＝1.78472 ν_２＝25.7 r₃＝−7.102 d₃＝0.223 r₄＝0.720 d₄＝0.398 n₃＝1.80610 ν_３＝40.7 r₅＝2.248 ｆ＝１ ｔ＝0.266 nt＝1.51 WD＝0.391 NA＝0.5 WA＝0.029（λ−RMS） δＺ＝6.26×10^-4 実施例９ r₁＝2.427 d₁＝0.444 n₁＝1.74100 ν_１＝52.6 r₂＝−0.889 d₂＝0.267 n₂＝1.84666 ν_２＝23.8 r₃＝−7.111 d₃＝0.341 r₄＝0.667 d₄＝0.333 n₃＝1.77250 ν_３＝49.6 r₅＝2.055 ｆ＝１ ｔ＝0.267 nt＝1.58 WD＝0.390 NA＝0.5 WA＝0.019（λ−RMS） δＺ＝2.42×10^-4 ただし、r₁，r₂，r₃，r₄，r₅は光源側からの各レンズ球
面の曲率半径、d₁，d₂，d₃，d₄は同様に各レンズ面間
隔、n₁，n₂，n₃は同様に各レンズｄ線における屈折率、
ν_１，ν_２，ν_３は同様に各レンズの硝材のアッベ数、
ｔはカバーガラスの肉厚、ntはカバーガラスの屈折率、
W.Dは第５面の中心からカバーガラス表面までの距離、
N.Aは開口数、W.Aはλ＝830nmにおける軸上波面収差のR
MS値である。第３図〜第11図には実施例１〜９に対応す
る特性図である。

発明の効果 以上のように本発明によれば従来のものに比較して色消
しの状態が改善され、かつ、高NAで軸上波面収差が良好
に補正された小型・軽量な光ディスク用対物レンズを得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における光ディスク用対物レ
ンズの断面及び光路図、第２図は従来の対物レンズの断
面及び光路図、第３図から第11図は、それぞれ、実施例
１から９の収差曲線図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−35311（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−174810（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−87521（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−4068（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】両凸レンズと負メニスカスレンズの接合レ
   ンズからなる第一群と、ディスク側へ凹面を向けた正メ
   ニスカスレンズの第二群とからなり （１）49＜ν_１ （２）ν_２＜26 （３）40＜ν_３ （４）1.65＜n₁＜1.75 （５）1.78＜n₂ （６）1.77＜n₃ （７）0.78＜｜r₂|/f＜1.02 （８）0.65＜r₄/f＜0.76 （ただし、ν_１，ν_２，ν_３はそれぞれ光源側から見た
   第1,第2,第３レンズ硝材のアッベ数、n₁，n₂，n₃は同様
   のｄ線における屈折率、r₂は第１レンズ，第２レンズの
   接合面の曲率半径、r₄は第３レンズ光源側凸面の曲率半
   径、ｆはレンズ全系の焦点距離である）の条件を備えた
   光ディスク用対物レンズ。