JPH06100416A - 淡色系ネイルエナメルの退色防止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 褪色しないネイルエナメルを提供する。 【構成】 淡色系のネイルエナメルに塩酸、硝酸、リン
酸等の無機酸又は酢酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸を
少量添加することを特徴とする色調の安定化並びに経時
での耐光性、耐熱性、耐中身性等を増してネイルエナメ
ルの退色を防止する方法、及び該方法によって得られる
淡色系ネイルエナメル。 【効果】 耐光性、耐熱性、耐中身性等を有し、耐褪色
性に優れた淡色系ネイルエナメルが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、通常マニキュアと言わ
れるネイルエナメルに関するもので、更に詳しくは、退
色（褪色）しやすい淡色のネイルエナメルの退色を抑制
する方法及び褪色を防止したネイルエナメルに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、市販されているネイルエナメルに
は、数多くの色があり、色材の組み合わせ、配合量によ
り無限といってよい程の色を揃えることが可能である。
市販品の色を大別するとピンク系、ローズ系、ワイン
系、レッド系、ダークレッド系、オレンジ系、ベージュ
系、ブラウン系、特殊色系等に分けられ、また中身の状
態で透明色、半透明色、不透明色がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ネイルエナメルは、通
常店頭に陳列されて市販されている。これら陳列された
商品の中には、同じ色番号でありながら新、旧の商品で
多少色が違うということがしばしば見られる。この現象
は経日による退色が主な原因であり、光や熱による劣
化、あるいは、ネイルエナメルの構成成分である中身の
影響によるもの等と考えられるが、有機色素量の少ない
ネイルエナメルで透明色や沈降防止剤（ゲル化剤）を含
んだ半透明又は不透明のいわゆる淡い色系の製品に多く
見られるもので、大きな問題点である。また、このよう
な淡色系の製品が多くの消費者から人気を得ている商品
でもあることから、その改善が求められていた。

【０００４】ネイルエナメルは購入に当たり、顧客がそ
の色を見て選択するため、容器を中身の見えない不透明
なものや着色透明ガラスなどの容器とすることはできな
い。そのためネイルエナメルの組成で調整する方法が提
案されている。そのための従来の技術としては、紫外線
吸収剤や酸化防止剤を加える方法が行われているが、淡
色系では充分な効果が得られていない。

【０００５】このほか、特公昭５６−３２２８３号公報
には、化粧品用色材ローダミンＢ並びにパール剤を含む
ネイルエナメル基剤に界面活性剤を加えて退色防止する
方法が示されており、特公昭５９−２３２８８号公報で
はローダミンＢをモンモリロナイトクレー（粘土鉱物）
とイオン交換させることにより、退色防止する方法が開
示されている。この２つの技術はローダミンＢ（赤色２
１３号）の退色改善に限ったものである。

【０００６】特開昭６２−１７４００３号公報の技術で
は、美爪料ベースに有機ベントナイト及び又は有機モン
モリロナイトと疎水性シリカとを同時に添加する技術が
開示されており、結果として、美爪料に含まれる無機顔
料やパール光沢材の沈降を防止し、有機顔料の変退色を
起こさないと述べられているが、透明色や淡色について
の状況は記述がない。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記事情
に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、淡色系ネイルエナメル
に無機酸又は、及び有機酸を添加することにより、色調
の安定化がはかられ、経時での耐光性、耐熱性、耐中身
性等を増して色変化特に退色が防止できることを見い出
して、本発明を完成した。

【０００８】本発明のネイルエナメルの退色防止方法
は、淡色系のネイルエナメルに無機酸又は、及び有機酸
を添加することを特徴とするものである。また本発明
は、ネイルエナメルに無機酸又は、及び有機酸を添加し
たことを特徴とする色調の安定化並びに経時での耐光
性、耐熱性、耐中身性等を増して退色を防止した淡色系
のネイルエナメルに関する。

【０００９】本発明はネイルエナメルの商品企画、開
発、販売の各担当者に共通の問題点である、いわゆる淡
色系の退色の防止を解決すべく研究してきたものであ
る。ネイルエナメルの構成成分はニトロセルロースなど
の皮膜形成剤、これを改質する樹脂類、可塑剤類、溶
剤、色材やパール光沢材及びこれらの沈降を防ぐ沈降防
止剤、添加剤等であり、透明色の場合には構成成分のう
ち沈降防止剤が殆どの場合使われていない。色材には有
機顔料、染料、無機顔料、天然色素などがあり、これら
の中から比較的、耐光性、耐熱性、耐中身性等の強い色
材を選択してネイルエナメルに使用している。淡色系ネ
イルエナメルを作るときには、この選択が必要になるの
は有機色素、天然色素である。また、これらの有機色材
の使用量も退色に関係し、使用量の多い、いわゆる濃い
色の製品は退色が目立たず、少ないもの（約 0.1重量％
以下）は退色が目立つ場合が多い。

【００１０】一般的にネイルエナメルに使われている無
機顔料は、酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、コンジョ
ウ、グンジョウ、黒酸化鉄、カーボンブラック等であり
有機顔料では赤色２０１号、赤色２０２号、赤色２２０
号、赤色２２６号、赤色４０５号、黄色４号アルミニウ
ムレーキ、黄色５号アルミニウムレーキ、黄色２０５
号、黄色４０１号、青色４０４号等であり、染料では赤
色１０６号、赤色２１３号、赤色２１５号、赤色２２５
号、赤色２２７号、赤色４０１号、黄色４号、黄色５
号、青色１号、緑色３号、紫色２０１号、紫色４０１
号、黒色４０１号等である。また天然色素ではカロチ
ン、カーサミン、シコン等である。

【００１１】本発明は上記有機顔料、染料、天然色素だ
けの系、あるいはこれらに無機顔料やパール光沢材が混
じった混合系のネイルエナメルで、有機色素量の少ない
淡色系のものに無機酸又は、及び有機酸を添加して退色
を防止するものである。本発明において添加された酸の
作用については不明であるが、酸の添加によって色材の
退色が抑制され、特に淡色系の場合に顕著な効果を奏す
る。使用される酸としては、比較的低分子量の酸が好ま
しい。本発明にて使用される無機酸の例としては塩酸、
硫酸、リン酸、塩素酸等があり、有機酸の例としては酢
酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、乳酸、オレイン酸
等が挙げられる。酸の使用量は種類によって異なるが、
他のネイルエナメル成分を侵さない範囲で使用するのが
好ましく、具体的には0.0001〜５重量％の範囲である
が、好ましくは 0.001〜２重量％の範囲である。

【００１２】

【実施例】次に本発明について実施例を挙げて更に詳述
するが、これらは本発明をなんら限定するものではな
い。下表に示される各成分を常法にしたがって配合して
各実施例及び比較例のネイルエナメルを調製した。な
お、使用したニトロセルロース、アルキッド樹脂及びそ
の他の可塑剤（カンフル）、溶剤等の成分はいずれもこ
の種の分野で使用される厚生省許可のものを用いた。ま
た、紫外線吸収剤はベンゾフェノン系のものを用いた。
表中の各成分の数値は重量部を示す。

【００１３】

【表１】

【００１４】上記表の記載からわかるように、実施例１
〜３及び比較例１は着色材として赤色２０２号を使用し
た着色透明エナメルの例で、実施例４と比較例２は赤色
２０１号を使用し、酸化チタンと有機ベントナイトを併
用した淡色半透明エナメルの例である。最も過酷な試験
とされている日光照射２週間でも実施例のものはいずれ
も赤色を呈しているが、比較例のものは赤味が無くなっ
ており、商品価値がなくなっていた。実施例のものは成
分の変化も認められなかった。これらの各実施例及び比
較例のエナメルを、室温３５℃で６０Ｗ蛍光灯下約３０
cmのところに置き３か月間の促進貯蔵試験した結果、実
施例のものは何等変色は認められず、上記と同様に成分
変化もなく使用上の不都合は見られなかった。

【００１５】

【発明の効果】本発明で使用される着色材は、通常、化
粧品に使われる有機色素である。従来から淡色系ネイル
エナメルには、これらの色素の中から比較的、耐退色性
の強いものを選択して使用してきたが、変色してしまう
ので、製造管理や製品管理並びに販売政策上でトラブル
があった。淡色系の色調が経時で変化が少なく安定した
ものができれば、この問題は改善される。本発明はこの
点に注目して種々、研究してきたものであり、本発明に
よればネイルエナメルの構成成分を変えることなく従来
の組成に、無機酸や有機酸を添加するだけで、色材の色
調の安定な系を作ることができ、耐光性、耐熱性、耐中
身性等にすぐれたネイルエナメルを得ることができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 淡色系のネイルエナメルに無機酸又は、
   及び有機酸を添加することを特徴とする色調の安定化並
   びに経時での耐光性、耐熱性、耐中身性等を増してネイ
   ルエナメルの退色を防止する方法。
2. 【請求項２】 ネイルエナメルに無機酸又は、及び有機
   酸を添加したことを特徴する色調の安定化並びに経時で
   の耐光性、耐熱性、耐中身性等を増して退色を防止した
   淡色系のネイルエナメル。