JPH06100328B2 - 温風暖房機における煙室部の結露水発生による腐食防止方法および装置 - Google Patents

温風暖房機における煙室部の結露水発生による腐食防止方法および装置

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JPH06100328B2
JPH06100328B2 JP4134494A JP13449492A JPH06100328B2 JP H06100328 B2 JPH06100328 B2 JP H06100328B2 JP 4134494 A JP4134494 A JP 4134494A JP 13449492 A JP13449492 A JP 13449492A JP H06100328 B2 JPH06100328 B2 JP H06100328B2
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篤 遠藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は温風暖房機における煙室
部の結露水発生による腐食防止方法および装置、特に施
設園芸温室の暖房に用いる農業用の温風暖房機の煙室が
配置された部分に結露水が発生しこの結露水によって当
該部分に酸により腐食が発生することを防止する方法と
そのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は図7(A) の正面断面図と図7
(A) のB−B線に沿う側断面図である図7(B) に示す温
風暖房機を製造販売する者であり、図中、10は温風暖房
機、11はバーナ(例えばガンタイプバーナ)、12は燃焼
室、13は火炎、14は煙管、15はスクリュープレート、16
は煙室、17は煙突、18は空気吸込口、19は送風機、20は
温風吹出口、21は煙室ふた、22は煙道エルボ、23は制御
盤、24はダクト、25は遮熱板、26は煙室胴、27はチュー
ブプレートである。
【0003】図7に示す温風暖房機10においては、ガン
タイプのバーナ11内で燃料と空気を混合して噴出し、着
火して燃焼室12内に火炎を作り、そのとき発生する燃焼
ガスは煙管14を通り煙室16を経由して矢印1で示すよう
に流れ、煙道エルボ22によって流れ方向を変えられ、煙
突17を通して温風暖房機10が配置された温室外へ排出さ
れ、一方、送風機19の回転により空気吸込口18から取込
まれる温室内の空気は煙管14および燃焼室12のまわりを
流れて加温され、温風となって矢印2で示すように温風
吹出口20からダクト24によって温室内へ供給され温室を
暖房する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】煙管14を通過した燃焼
ガスは煙室16を要部とする煙室部16A に集まり、煙突17
を通して温室外へ排出されるのであるが、煙室部16A で
の燃焼ガスの流れは、煙室部16A を構成するチューブプ
レート27、煙室胴26の壁面 (鉄板面である。) に沿って
流れるのではなくて、図7に矢印1で示すようにそのま
ま煙突17へと流れる。このため、送風機19により取込ま
れる温室の冷気により冷却される前記壁面は、燃焼ガス
の通過による温度上昇が低く、そのため燃焼ガス中の水
蒸気が壁面で結露する。こうしてつくられた結露水に燃
焼ガス中のSO2 、SO3 などが溶けてH2SO4 がつくられ、
このH2SO4 によって煙室部16A が腐食する。
【0005】煙室部の前記した冷却を抑えるため、煙室
部に当たる空気の流れを整流板によって遮蔽する方法が
試みられたが、十分な結露水発生防止の効果が得られな
いことが判明した。
【0006】前記壁面温度を上げるには、煙室に流入す
る燃焼ガス温度を上げる方法も試みた。しかし、この方
法では排出する燃焼ガスの温度を上昇させることとな
り、排ガス損失を増大させ、熱効率を低下させる結果と
なり、省エネルギーに反することとなった。
【0007】このような状況の下で、本出願人は温風暖
房機の缶体腐食防止法(特願平1-144137 号公報、特開
平3-11264号) を開発した。この方法は、図7に示す如
き温風暖房機の運転において、バーナの燃焼開始後所定
の時間経過後に送風機の運転を開始することを特徴とす
るものであり、当該方法の実施においては、バーナ制御
回路と送風機制御回路を用いなければならない。
【0008】本願発明者らは、煙室部における結露水の
発生を防止することにより煙室部の酸による腐食を防止
するにあたり、その目的を達成するについて下記に着目
した。すなわち、燃焼ガス中の水蒸気の露点は、燃料油
中の硫黄分の割合によって異なり、硫黄分が多いほど露
点温度は高くなり、燃焼ガス中にSO3 などを含むものは
露点温度が高い。
【0009】そこで本発明の課題は、同じ壁面温度で硫
黄分の多い燃料油を使用すると結露し易いので、硫黄分
の多い燃料油を燃焼したときでも結露し難い方法と装置
を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、温風暖
房機10の煙室部16A にバッフル28を設けて燃焼ガスを煙
室部16A を構成するチューブプレート27および煙室胴26
の壁面に沿って流し煙突17から排出し、チューブプレー
ト27および煙室胴26の壁面の温度を上昇させ、それによ
って燃焼ガス中の水蒸気の煙室部16A での結露を防止す
ることを特徴とし、また本発明の装置は、ほぼ中央部に
中空部28A をあけたドーナツ状のバッフル28を取付具29
によりチューブプレート27に連結された煙室フランジ34
に取付け、バッフル28のチューブプレート27の反対側に
はパッキン33を介して煙室ふた21が配置されてなること
を特徴とする。
【0011】
【作用】すなわち、本発明は、(1) 缶体の煙室部にバッ
フルを設けることにより、燃焼ガスが煙室部を構成する
チューブプレート、煙室胴などの壁面に沿って流れるよ
うにし、(2) 壁面に沿って燃焼ガスが流れることにより
壁面の温度上昇を実現し、(3) 壁面の温度上昇により燃
焼ガス中の水蒸気の壁面での結露を防止し、(4)煙室部
で発生する結露水が燃焼ガスのSO2 と反応してH2SO4
なり、その酸により煙室部が腐食することを防止するも
のであり、(イ) 煙室部のバッフルは煙室内での燃焼ガ
スの流れを変え、(ロ)バッフルがないと燃焼ガスは煙
室を通過し煙室に入った燃焼ガスは煙室部を構成するチ
ューブプレート、煙室胴の壁面に沿って流れずその多く
はそのまま煙突へと流れ温室外に排ガスとして排出され
たのであるが、そのようなことが改善され、(ハ)煙室
部での燃焼ガスの流れをチューブプレート、煙室胴に沿
って流れるようにすることによりこれらの壁面温度を上
昇させ、(ニ)チューブプレート、煙室胴の表面温度
(壁面温度)が燃焼ガスの露点よりも高くなることによ
りこれらの表面での結露が防止される。
【0012】
【実施例】以下、本発明を添付の図により具体的に説明
しよう。図1(A) は本発明実施例の正面断面図、同図
(B) は同図(A) のB−B線断面図で、図中、図7に示し
た部分と同じ部分は同一符号で表示し、28はバッフルで
ある。図1において、バッフル28は図の簡明化のため簡
略して示す。
【0013】バッフル28とそれに組合わされる部品は図
2に示され、同図(A) は本発明にかかるバッフルなどの
分解斜視図、同図(B) は平面図、同図(C) は同図(B) を
矢印方向に見た図、同図(D) は同図(C) の円Dの部分の
拡大図で、図中、29は取付具、30は溝、31は固定部品、
33はパッキン、34は煙室フランジである。バッフル28は
周縁が浅く立止ったドーナツ状のもので、中央部に中空
部 (孔)28Aが形成されている。取付具29はバッフル28が
ねじ/座金/ナットからなる固定部品31で固定される底
辺部29A と底辺部29A の上方で底辺部29A と反対方向に
延在する上辺部29B とを含み、取付具の上辺部29B につ
ながる部分に溝30が形成されている。同図でパッキン33
は多角形状で示されるが、それは後述するようにバッフ
ルと組合わされるときは円形になる。
【0014】バッフルをセットする方法は図3の正面断
面図に示され、同図(A) はバッフル取付前の図、同図
(B) はバッフル取付後の図、同図(C) は同図(A) の円C
の部分の拡大図、同図(D) は同図(B) の円Dの部分の拡
大図である。先ず取付具29に取付けられたバッフル28を
図3(A) と(C) に示されるようにチューブプレート27に
対面させて配置し、次いで同図(B) に示されるようにチ
ューブプレート27に連結された煙室フランジ34が溝30に
入るまでバッフルを同図(C) に白抜矢印で示すように押
し込み、次いでパッキン33 (パッキン33は交換可能な部
品である。) と煙室ふた21を取付ける。
【0015】バッフル28は図4(A) の平面図と同図(B)
の正面図に詳細に示される。中空部28A の径Dは100mm
、バッフルの周縁部の高さTは10mm、周縁部の厚さt
は0.6mm 、外径は525mm に設定した。取付具の底辺部は
同図(A) にFで示すバッフルの外縁から38mmのところま
で延在する。
【0016】図5(A) 、(B) および(C) は取付具29のそ
れぞれ平面図、正面図および側面図で、図中、32は固定
部品31のための孔である。取付具29の底辺部29A と上辺
部29B とはコの字型の補強部からなり、補強部は2つの
側部29C とこれらの側部の連結部29D から成る。両側部
29C の両外側間の距離Wは21.6mm、内側間の距離dは20
mmに、側部29C の最外側と内側の間の距離Lは24.5mm、
側部29C の底部の長さl は18.5mmに、溝30の深さDは2
mmに、側部29C の高さHは99.6mm、溝30の高さhは4mm
に、底辺部29A と上辺部29B のそれぞれの外側間の距離
Mは78mm、底辺部29A の長さm1 は48mm、上辺部の長さ
m2 は30mm、2つの孔32の中心間の距離m3 は28mmにそ
れぞれ設定し、側部29C の外側の上下部にはアールを付
けた。
【0017】図6は取付具29に取付けられたバッフル28
を示す図で、同図(A) 、(B) および(C) はそれぞれ平面
図、正面図および同図(A) のC−C線断面図である。前
記したようにバッフル28の内径Dは525mm 、取付けられ
た相対する取付具の互いの外側部間の幅Wは585mm 、取
付具29の取付けられたときの高さHは99.6mmに設定し
た。また、バッフル28の周縁部と取付具29の背面とは同
図(C) に示されるように密着させた。
【0018】図示の実施例において、煙室16に入った燃
焼ガスは、矢印1で示すように、煙室内に取付けたバッ
フル28によりその流れが変えられ、チューブプレート2
7、煙室胴26の壁面に沿って流れ、それによって前記壁
面の温度が上昇する。チューブプレート27、煙室胴26の
壁面温度が上昇することにより、これらの壁面で燃焼ガ
ス中の水蒸気が結露することが防止され、その結果結露
水に含まれる酸により腐食が発生することが防止され
る。なお、矢印2で示す温風の流れは図7の例の場合と
同様である。
【0019】バッフル28は前記したように中央に中空部
(孔)28Aがあけられたドーナツ状の円盤であるので、煙
室に流れ込んだ燃焼ガスは、 (イ) バッフルの孔28A 、
(ロ) バッフル28と煙室胴26の間の隙間を流れる。図1
(B) でこの隙間にはチューブプレート27が示されるが、
チューブプレートは同図(A) に示されるように煙管14の
燃焼ガス出口端より燃焼ガスの流れに見て後方に配置さ
れているから、前述した燃焼ガスの矢印1で示す流れに
は関係しない。
【0020】図1と図7に示す温風暖房機10は本出願人
が製作し販売している商品で、熱出力87,000Kcal/hの
ものであるが、その1つに同図に示すようにバッフル28
を取付け、他方のものには図7に示すようにバッフルな
しで、両者の比較実験を行った。その結果は表1に示
す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明によると、結露水発生量は、空気
比 1.29 のときバッフルなしで6.3 mlであるのに対し、
バッフルありで0mlとなり、空気比 1.16 のとき、バッ
フルなしで12.4mlであったものがバッフルを付けると1.
4ml(約1/9)となり、煙室胴26およびチューブプレート27
の平均温度はバッフル28を付けることにより40〜60℃の
上昇が計測され、熱効率は、バッフルを付けることによ
り約1%上昇した。また、バッフルを付けても、燃焼室
12内の圧力は変化がないかまたは僅かに上昇しただけで
あり、バッフルは燃焼ガスの流れに対して大きな抵抗と
はならないことが確認された。
【0023】空気比について説明すると、燃油の過剰空
気のない完全燃焼における必要空気量を理論空気量Lo
〔Nm3/kg〕という。実際の燃焼では、完全燃焼させるた
めに、理論空気量より多く空気を必要とし、これを実際
空気量 L〔Nm3/kg〕という。空気比mとは、実際空気量
と理論空気量の比で次式で示される。
【数1】
【0024】空気比は、燃焼ガス( 排ガス) 中のCO2
積比を測定することにより求められ、次式で示される。
【数2】 ここで、CO2 :燃焼ガス中のCO2 容積比〔%〕 CO2max:過剰空気なしで、完全燃焼した燃焼ガス中のCO
2 容積比〔%〕
【0025】一般のA重油のCO2maxは、15〜16%である
ので、ここでは、CO2max=15.5%として扱う。CO2maxは
燃油の組成と C、H の比などにより異なる。燃焼ガス中
の CO2とO2との関係は、オストワルド燃焼三角形によ
り、
【数3】 ここで、O2 :燃焼ガス中のO2容積比〔%〕 で示される。
【0026】よって、燃焼ガス(排ガス)中のO2濃度を
測定することにより、数3でCO2 を求め、数2により空
気比を求めることができる。直接CO2 を測定しないの
は、O2測定が簡便で、正確であるためである。
【0027】空気比は、暖房機の熱効率算定に用いる。
熱効率μ〔%〕は、暖房機の煙突より屋外へ排失される
熱量の割合(排ガス損失ε〔%〕)より求められる。
【数4】
【0028】排ガス損失の算定法は、出願人は理論と実
際とから以下の近似式を用いている。
【数5】 ここで、 m : 空気比 tg : 排ガス温度〔℃〕 to : 大気温度 〔℃〕
【0029】暖房機の熱効率を上げるには、数4からε
を小にすればよく、εを小にするには数5および数1よ
り 空気比(m) を小さくする( 理論空気量に近い空気量
で完全燃焼させる) 排ガス温(tg)を下げる( 熱交換器の効率を上げる) ことが考えられる。ところが、一般に空気比を下げると
排ガス温は下がる傾向にあり、空気比を小さくすること
は、排ガス損失を下げ、熱効率を上げるのに有効な手段
となる。
【0030】結露水発生と空気比との関係についていう
と、空気比を小さくし効率を上げていくと、排ガス温が
下がる。排ガス温が下がると煙突部壁面温度が下がり、
結露し易くなる。このような厳しい条件の下で表1のデ
ータを得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の図で、同図(A) は正面断面図、
同図(B) は同図(A) のB−B線断面図である。
【図2】本発明にかかるバッフルと取付具の図で、同図
(A) は分解斜視図、同図(B) は平面図、同図(C) は同図
(B) を矢印方向に見た図、同図(D) は同図(C) の円Dの
部分の拡大図である。
【図3】本発明のバッフルを煙室に固定する順序を示す
図で、同図(A) は固定前の正面断面図、同図(B) は固定
後の正面断面図、同図(C) は同図(A) の円Cの部分の拡
大図、同図(D) は同図(B) の円Dの部分の拡大図であ
る。
【図4】本発明のバッフルの図で、同図(A) は平面図、
同図(B) は正面断面図である。
【図5】本発明のバッフルのための取付具の図で、同図
(A) は平面図、同図(B) は正面図、同図(C) は側面図で
ある。
【図6】本発明のバッフルに取付具を固定した状態を示
す図で、同図(A) は平面図、同図(B) は正面断面図、同
図(C) は同図(A) のC−C線断面図である。
【図7】本出願人の開発にかかる温風暖房機の正面断面
図である。
【符号の説明】
10 温風暖房機 11 バーナ 12 燃焼室 13 火炎 14 煙管 15 スクリュープレート 16 煙室 16A 煙室部 17 煙突 18 空気吸込口 19 送風機 20 温風吹出口 21 煙室ふた 22 煙道エルボ 23 制御盤 24 ダクト 25 遮熱板 26 煙室胴 27 チューブプレート 28 バッフル 28A 中空部 (孔) 29 取付具 29A 底辺部 29B 上辺部 29C 側部 29D 連結部 30 溝 31 固定部品 32 孔 33 パッキン 34 煙室フランジ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温風暖房機(10)の煙室部(16A) にバッフ
    ル(28)を設けて燃焼ガスを煙室部(16A) を構成するチュ
    ーブプレート(27)および煙室胴(26)の壁面に沿って流し
    煙突(17)から排出し、 チューブプレート(27)および煙室胴(26)の壁面の温度を
    上昇させ、それによって燃焼ガス中の水蒸気の煙室部(1
    6A) での結露を防止することを特徴とする温風暖房機に
    おける煙室部の結露水発生による腐食防止方法。
  2. 【請求項2】 ほぼ中央部に中空部(28A) をあけたドー
    ナツ状のバッフル(28)を取付具(29)によりチューブプレ
    ート(27)に連結された煙室フランジ(34)に取付け、 バッフル(28)のチューブプレート(27)の反対側にはパッ
    キン(33)を介して煙室ふた(21)が配置されてなることを
    特徴とする温風暖房機における煙室部の結露水発生によ
    る腐食防止装置。
JP4134494A 1992-04-28 1992-04-28 温風暖房機における煙室部の結露水発生による腐食防止方法および装置 Expired - Lifetime JPH06100328B2 (ja)

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