JPH0598389A - 耐火性に優れたボルトおよびナツト用鋼 - Google Patents
耐火性に優れたボルトおよびナツト用鋼Info
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- JPH0598389A JPH0598389A JP25813391A JP25813391A JPH0598389A JP H0598389 A JPH0598389 A JP H0598389A JP 25813391 A JP25813391 A JP 25813391A JP 25813391 A JP25813391 A JP 25813391A JP H0598389 A JPH0598389 A JP H0598389A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】ボルトおよびナット用鋼の高温特性を改善す
る。 【構成】重量%で、C:0.18〜0.33%、Si:0.10〜0.50
%、Mn:0.40〜1.30%、Cr: 0.45〜1.50%、Mo:0.25
〜0.65%、W:0.05〜0.80%、Nb: 0.005〜0.15%、A
l:0.005 〜0.10%、B:0.0003〜0.0050%を含有し、
更に、Nを下記(1)式で表されるN* として 0.005〜0.0
30 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルトおよび
ナット用鋼。 N* =N(%) −{B(%)/ 0.78 } ・・・ (1) これらの成分に加えて更に、V:0.01〜0.15%およびN
i:0.10〜0.60%のうちの1種以上を含有していてもよ
い。 【効果】上記鋼は常温特性が従来鋼と同等以上であり、
高温特性、特に 600℃で40kgf/mm2 以上の耐力を有して
いるので、耐火被覆を削減あるいは耐火被覆なしで使用
することができる。
る。 【構成】重量%で、C:0.18〜0.33%、Si:0.10〜0.50
%、Mn:0.40〜1.30%、Cr: 0.45〜1.50%、Mo:0.25
〜0.65%、W:0.05〜0.80%、Nb: 0.005〜0.15%、A
l:0.005 〜0.10%、B:0.0003〜0.0050%を含有し、
更に、Nを下記(1)式で表されるN* として 0.005〜0.0
30 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルトおよび
ナット用鋼。 N* =N(%) −{B(%)/ 0.78 } ・・・ (1) これらの成分に加えて更に、V:0.01〜0.15%およびN
i:0.10〜0.60%のうちの1種以上を含有していてもよ
い。 【効果】上記鋼は常温特性が従来鋼と同等以上であり、
高温特性、特に 600℃で40kgf/mm2 以上の耐力を有して
いるので、耐火被覆を削減あるいは耐火被覆なしで使用
することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築構造物に使用され
るボルトおよびナット用鋼であって、詳しくは、常温で
は高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10) (JIS B 118
6)鋼や高力トルシア形ボルト(F10T) (JSS II 09)鋼と同
等の特性を示し、高温、特に 600℃で40kgf/mm2 以上の
耐力を有する耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼に
関するものである。
るボルトおよびナット用鋼であって、詳しくは、常温で
は高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10) (JIS B 118
6)鋼や高力トルシア形ボルト(F10T) (JSS II 09)鋼と同
等の特性を示し、高温、特に 600℃で40kgf/mm2 以上の
耐力を有する耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築構造用鋼材の締結には、JIS
B 1186に定められる高力六角ボルト(F10T)、六角ナット
(F10) やJSS II 09 に定められるトルシア形ボルト(F10
T)などが使用されているが、この種の鋼材は 350℃以上
の高温にさらされると著しく耐力が低下するため、建築
物に火災が発生した場合でもこれらの鋼材の温度が350
℃を超えないように耐火被覆を施すことが法令によって
義務付けられている。
B 1186に定められる高力六角ボルト(F10T)、六角ナット
(F10) やJSS II 09 に定められるトルシア形ボルト(F10
T)などが使用されているが、この種の鋼材は 350℃以上
の高温にさらされると著しく耐力が低下するため、建築
物に火災が発生した場合でもこれらの鋼材の温度が350
℃を超えないように耐火被覆を施すことが法令によって
義務付けられている。
【0003】一方、昭和51年〜昭和61年に建設省で実施
された総合技術開発プロジェクト「建築物の防火設計法
の開発」の結果、「火災時の安定性」が数値シミュレー
ションおよび実験で確認されれば、耐火物の被覆厚さ
を薄くすること、鉄骨を無被覆で使用すること、が可
能となり、従来よりも鉄骨建築における耐火工法の選択
の自由度が大幅に改善された。即ち、この新耐火設計法
によれば、高温強度に優れた鋼材を使用することによ
り、法令で義務付けられる耐火被覆を削減或いは省略す
ることが可能となり、鉄骨建築の施工コスト、工数の削
減が期待される。
された総合技術開発プロジェクト「建築物の防火設計法
の開発」の結果、「火災時の安定性」が数値シミュレー
ションおよび実験で確認されれば、耐火物の被覆厚さ
を薄くすること、鉄骨を無被覆で使用すること、が可
能となり、従来よりも鉄骨建築における耐火工法の選択
の自由度が大幅に改善された。即ち、この新耐火設計法
によれば、高温強度に優れた鋼材を使用することによ
り、法令で義務付けられる耐火被覆を削減或いは省略す
ることが可能となり、鉄骨建築の施工コスト、工数の削
減が期待される。
【0004】しかしながら、ステンレス鋼や熱間金型用
の合金工具鋼で代表される周知の耐熱鋼材は、高温強度
に優れるものの常温強度が高すぎて加工性に劣るほか、
価格も非常に高いため経済性の面からも建築構造物の耐
火ボルトおよびナット用鋼としては適用が難しい。ま
た、JIS G 4107に定められている高温用合金鋼ボルト材
は、従来の高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10) 鋼
や高力トルシア形ボルト(F10T)鋼と同等の常温特性を示
すものの、新耐火設計法を満足できるような高温強度を
有しておらず、同じく建築構造物の耐火ボルトおよびナ
ット用鋼としては適用し難い。
の合金工具鋼で代表される周知の耐熱鋼材は、高温強度
に優れるものの常温強度が高すぎて加工性に劣るほか、
価格も非常に高いため経済性の面からも建築構造物の耐
火ボルトおよびナット用鋼としては適用が難しい。ま
た、JIS G 4107に定められている高温用合金鋼ボルト材
は、従来の高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10) 鋼
や高力トルシア形ボルト(F10T)鋼と同等の常温特性を示
すものの、新耐火設計法を満足できるような高温強度を
有しておらず、同じく建築構造物の耐火ボルトおよびナ
ット用鋼としては適用し難い。
【0005】このようなことから、特開平2−247355号
公報に、新耐火設計法に基づく締結部材として、高温特
性に優れたボルトおよびナットと、これらの経済的な製
造方法が提案されている。しかし、この発明のボルトお
よびナットでも 600℃での耐力は高々35.8kgf/mm2 程度
しかなく、建築構造物用耐火ボルトおよびナットとして
は高温耐力が十分にあるとは言い難い。
公報に、新耐火設計法に基づく締結部材として、高温特
性に優れたボルトおよびナットと、これらの経済的な製
造方法が提案されている。しかし、この発明のボルトお
よびナットでも 600℃での耐力は高々35.8kgf/mm2 程度
しかなく、建築構造物用耐火ボルトおよびナットとして
は高温耐力が十分にあるとは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高温
耐力をより高めたボルトおよびナット用鋼、具体的に
は、新耐火設計法に基づく建築用耐火鋼材の締結にあた
り、従来の高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10)鋼
や高力トルシア形ボルト(F10T)鋼と同等の常温特性を示
し、火災時における高温特性がこれらのボルトおよびナ
ット鋼よりも遙かに高い、 600℃で40kgf/mm2 以上の耐
力を有するボルトおよびナット用鋼を提供することにあ
る。
耐力をより高めたボルトおよびナット用鋼、具体的に
は、新耐火設計法に基づく建築用耐火鋼材の締結にあた
り、従来の高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10)鋼
や高力トルシア形ボルト(F10T)鋼と同等の常温特性を示
し、火災時における高温特性がこれらのボルトおよびナ
ット鋼よりも遙かに高い、 600℃で40kgf/mm2 以上の耐
力を有するボルトおよびナット用鋼を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を達成するため鋼材の化学組成および組織について研究
を行った結果、下記の知見を得た。
を達成するため鋼材の化学組成および組織について研究
を行った結果、下記の知見を得た。
【0008】1) MoおよびWを適正量添加したうえでC
の添加量を調整することにより、高温における耐力の低
下が抑制される。
の添加量を調整することにより、高温における耐力の低
下が抑制される。
【0009】2) NbをCr、Mo、WおよびBとともに複合
添加し、且つN量を適正に調整することにより、高温に
おける耐力の低下が著しく抑制される。
添加し、且つN量を適正に調整することにより、高温に
おける耐力の低下が著しく抑制される。
【0010】3) 含有成分を適正に調整したうえで鋼の
組織を焼入れ焼戻し組織にすることにより、常温強度お
よび高温強度が改善される。
組織を焼入れ焼戻し組織にすることにより、常温強度お
よび高温強度が改善される。
【0011】4) 上記の成分に加えて、VおよびNiの1
種以上を適正量添加すると、高温での耐力の低下が一層
抑制される。
種以上を適正量添加すると、高温での耐力の低下が一層
抑制される。
【0012】上記知見に基づく本発明は下記の化学組成
および組織を有するボルトおよびナット用鋼を要旨とす
る。
および組織を有するボルトおよびナット用鋼を要旨とす
る。
【0013】(I)重量%で、C:0.18〜0.33%、Si:
0.10〜0.50%、Mn:0.40〜1.30%、Cr:0.45〜1.50%、
Mo:0.25〜0.65%、W:0.05〜0.80%、Nb: 0.005〜0.
15%、Al: 0.005〜0.10%、B:0.0003〜0.0050%を含
有し、更に、Nを下記 (1)式で表されるN* として 0.0
05〜0.030 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
なり、焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルト
およびナット用鋼。
0.10〜0.50%、Mn:0.40〜1.30%、Cr:0.45〜1.50%、
Mo:0.25〜0.65%、W:0.05〜0.80%、Nb: 0.005〜0.
15%、Al: 0.005〜0.10%、B:0.0003〜0.0050%を含
有し、更に、Nを下記 (1)式で表されるN* として 0.0
05〜0.030 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
なり、焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルト
およびナット用鋼。
【0014】 N* =N(%) −{B(%)/ 0.78 } ・・・ (1) (II)上記(I)に記載の成分に加えて、更に、重量%
で、0.01〜0.15%のVおよび0.10〜0.60%のNiのうちの
1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に
優れたボルトおよびナット用鋼。
で、0.01〜0.15%のVおよび0.10〜0.60%のNiのうちの
1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に
優れたボルトおよびナット用鋼。
【0015】
【作用】以下に、本発明における鋼の化学組成および組
織を上記のように限定する理由を説明する(なお、
「%」は「重量%」を意味する)。
織を上記のように限定する理由を説明する(なお、
「%」は「重量%」を意味する)。
【0016】A)鋼の化学組成 C:Cは所望の強度を確保するために添加するが、その
含有量が0.18%未満では添加効果に乏しく、一方、Moお
よびWとの共存下でC含有量が0.33%を超えるとかえっ
て高温での耐力が低下することになるので、その含有量
を0.18〜0.33%とした。
含有量が0.18%未満では添加効果に乏しく、一方、Moお
よびWとの共存下でC含有量が0.33%を超えるとかえっ
て高温での耐力が低下することになるので、その含有量
を0.18〜0.33%とした。
【0017】Si:Siは鋼の脱酸および強度増加のために
有効な元素であるが、その含有量が0.10%未満では所望
の効果が得られず、0.50%を超えると靱性が劣化するの
みならず、冷間加工性も劣化するようになるので、その
含有量を0.10〜0.50%とした。
有効な元素であるが、その含有量が0.10%未満では所望
の効果が得られず、0.50%を超えると靱性が劣化するの
みならず、冷間加工性も劣化するようになるので、その
含有量を0.10〜0.50%とした。
【0018】Mn:Mnは脱酸のほか強度および靱性を確保
するのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.40
%未満では所望の強度が得られず、1.30%を超えると強
度および靱性の向上効果が飽和し、コストのみが上昇す
ることになるので、その含有量を0.40〜1.30%とした。
するのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.40
%未満では所望の強度が得られず、1.30%を超えると強
度および靱性の向上効果が飽和し、コストのみが上昇す
ることになるので、その含有量を0.40〜1.30%とした。
【0019】Cr:Crは常温強度および高温強度を向上さ
せる作用がある。特に、Mo、Nb、WおよびBとの複合添
加で著しく高温強度を向上させるが、その含有量が0.45
%未満では所望の効果が得られず、1.50%を超えると冷
間加工性が劣化するようになるので、その含有量を0.45
〜1.50%とした。
せる作用がある。特に、Mo、Nb、WおよびBとの複合添
加で著しく高温強度を向上させるが、その含有量が0.45
%未満では所望の効果が得られず、1.50%を超えると冷
間加工性が劣化するようになるので、その含有量を0.45
〜1.50%とした。
【0020】Mo:Moは高温強度の向上に極めて有効な元
素であり、特に、Cr、Nb、WおよびBとの複合添加でそ
の効果が著しい。しかし、その含有量が0.25%未満では
所望の高温強度が得られず、0.65%を超えると前記の効
果が飽和し、経済的に不利を招くことになるので、その
含有量を0.25〜0.65%とした。
素であり、特に、Cr、Nb、WおよびBとの複合添加でそ
の効果が著しい。しかし、その含有量が0.25%未満では
所望の高温強度が得られず、0.65%を超えると前記の効
果が飽和し、経済的に不利を招くことになるので、その
含有量を0.25〜0.65%とした。
【0021】W:Wは高温強度を向上させるのに有効な
元素であり、特に、Cr、Mo、NbおよびBとの複合添加で
その効果が著しい。しかし、その含有量が0.05%未満で
は所望の高温強度が得られず、0.80%を超えると前記の
効果が飽和する上に冷間加工性が劣化し、経済的に不利
となるので、その含有量を0.05〜0.80%とした。
元素であり、特に、Cr、Mo、NbおよびBとの複合添加で
その効果が著しい。しかし、その含有量が0.05%未満で
は所望の高温強度が得られず、0.80%を超えると前記の
効果が飽和する上に冷間加工性が劣化し、経済的に不利
となるので、その含有量を0.05〜0.80%とした。
【0022】Nb:Nbは本発明において重要な元素であ
り、微量の添加で高温強度を向上させる。
り、微量の添加で高温強度を向上させる。
【0023】特に、Cr、Mo、WおよびBとの複合添加で
高温強度を著しく向上させる。その効果を確保するため
には 0.005%以上の含有量を必要とする。しかし、0.15
%を超えて含有してもその効果は飽和するのみならず、
熱間加工性および冷間加工性を劣化させることになるの
で、その含有量を 0.005〜0.15%とした。
高温強度を著しく向上させる。その効果を確保するため
には 0.005%以上の含有量を必要とする。しかし、0.15
%を超えて含有してもその効果は飽和するのみならず、
熱間加工性および冷間加工性を劣化させることになるの
で、その含有量を 0.005〜0.15%とした。
【0024】Al:Alは鋼の脱酸の安定化および均質化を
図るのに有効な元素である。しかし、その含有量が 0.0
05%未満では所望の効果を得ることができず、0.10%を
超えて含有してもその効果は飽和してしまい、逆に介在
物の増大により疵が発生し、靱性を劣化させることにな
るので、その含有量を 0.005〜0.10%とした。
図るのに有効な元素である。しかし、その含有量が 0.0
05%未満では所望の効果を得ることができず、0.10%を
超えて含有してもその効果は飽和してしまい、逆に介在
物の増大により疵が発生し、靱性を劣化させることにな
るので、その含有量を 0.005〜0.10%とした。
【0025】B:Bは常温強度および高温強度を向上さ
せる作用がある。特に、Cr、Mo、WおよびNbとの複合添
加で著しく高温強度を向上させるが、その含有量が0.00
03%未満では所望の効果が得られず、0.0050%を超えて
含有すると鋼の靱性および高温強度が劣化するようにな
るので、その含有量を0.0003〜0.0050%とした。
せる作用がある。特に、Cr、Mo、WおよびNbとの複合添
加で著しく高温強度を向上させるが、その含有量が0.00
03%未満では所望の効果が得られず、0.0050%を超えて
含有すると鋼の靱性および高温強度が劣化するようにな
るので、その含有量を0.0003〜0.0050%とした。
【0026】N:Nは本発明鋼の成分系では高温強度の
向上に寄与する有効な元素であるが、Bとの結合力が強
い。Bと化合物を形成した残りのNであるN* は下記
(1)式で表されるが、このN* としての含有量が 0.005
%未満では所望の効果が得られず、一方、低合金鋼にお
いて、N* として 0.030%を超えるN量を含有させるこ
とは難しい。そのため、本発明では、Nの含有量はN*
として 0.005〜0.030 %とした。
向上に寄与する有効な元素であるが、Bとの結合力が強
い。Bと化合物を形成した残りのNであるN* は下記
(1)式で表されるが、このN* としての含有量が 0.005
%未満では所望の効果が得られず、一方、低合金鋼にお
いて、N* として 0.030%を超えるN量を含有させるこ
とは難しい。そのため、本発明では、Nの含有量はN*
として 0.005〜0.030 %とした。
【0027】 N* =N(%) −{B(%)/ 0.78 } ・・・ (1) VおよびNi:Vには常温強度および高温強度を向上させ
る作用があり、Niには強度と靱性を向上させる作用があ
るので、より以上の高強度や靭性を求められる場合は、
必要に応じて1種以上添加してもよい。しかし、Vの場
合には0.01%未満では所望の効果が得られず、0.15%を
超えるとその効果が飽和し、コストの上昇を招くのみな
らず、靭性の劣化をきたすので、Vを添加する場合は0.
01〜0.15%の含有量とするのがよい。一方、Niの場合に
も0.10%未満ではその効果に乏しく、0.60%を超えると
冷間加工性の劣化をきたすようになるので、Niを添加す
る場合は0.10〜0.60%の含有量とするのがよい。
る作用があり、Niには強度と靱性を向上させる作用があ
るので、より以上の高強度や靭性を求められる場合は、
必要に応じて1種以上添加してもよい。しかし、Vの場
合には0.01%未満では所望の効果が得られず、0.15%を
超えるとその効果が飽和し、コストの上昇を招くのみな
らず、靭性の劣化をきたすので、Vを添加する場合は0.
01〜0.15%の含有量とするのがよい。一方、Niの場合に
も0.10%未満ではその効果に乏しく、0.60%を超えると
冷間加工性の劣化をきたすようになるので、Niを添加す
る場合は0.10〜0.60%の含有量とするのがよい。
【0028】B)鋼の組織 上記の化学組成を有する鋼であっても、その組織がフェ
ライト、パーライト、高温ベイナイトといったいわゆる
高温変態生成物からなるものでは目的とする常温強度お
よび高温強度が得られない。常温強度が従来のボルトお
よびナット用鋼と同等以上で、高温強度、特に 600℃で
の耐力が40kgf/mm2 以上のものとするためには、焼入れ
および焼戻し処理して、鋼の組織を焼入れ焼戻し組織と
する必要がある。
ライト、パーライト、高温ベイナイトといったいわゆる
高温変態生成物からなるものでは目的とする常温強度お
よび高温強度が得られない。常温強度が従来のボルトお
よびナット用鋼と同等以上で、高温強度、特に 600℃で
の耐力が40kgf/mm2 以上のものとするためには、焼入れ
および焼戻し処理して、鋼の組織を焼入れ焼戻し組織と
する必要がある。
【0029】なお、鋼の組織を焼入れ焼戻し組織とする
際の焼入れ処理は、熱間加工後の高温の鋼を直ちに急冷
して焼入れするいわゆる直接焼入れ法によって行っても
よく、熱間加工後の高温の鋼を一旦室温まで冷却した
後、再加熱して焼入れする方法によって行ってもよい。
際の焼入れ処理は、熱間加工後の高温の鋼を直ちに急冷
して焼入れするいわゆる直接焼入れ法によって行っても
よく、熱間加工後の高温の鋼を一旦室温まで冷却した
後、再加熱して焼入れする方法によって行ってもよい。
【0030】
【実施例】表1に示す化学組成の鋼を通常の方法によっ
て溶製した。表1において、鋼A〜Gは本発明鋼、鋼H
〜Mは成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲
から外れた比較鋼である。
て溶製した。表1において、鋼A〜Gは本発明鋼、鋼H
〜Mは成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲
から外れた比較鋼である。
【0031】次いで、これらの本発明鋼および比較鋼を
連続鋳造法或いは造塊法によって鋼片となした後、1200
〜1250℃の温度に加熱してから、25mm径の丸棒に熱間圧
延し、一部のものは熱間圧延後、 920〜1020℃の温度か
ら直ちに焼入れを行った。他のものは熱間圧延後、一旦
室温まで冷却し、 850〜930 ℃の温度に再加熱して焼入
れを行った。しかるのち、全ての丸棒を 420〜680 ℃の
温度で焼戻しを行い、その組織が焼入れ焼戻し組織にな
るように調整した。
連続鋳造法或いは造塊法によって鋼片となした後、1200
〜1250℃の温度に加熱してから、25mm径の丸棒に熱間圧
延し、一部のものは熱間圧延後、 920〜1020℃の温度か
ら直ちに焼入れを行った。他のものは熱間圧延後、一旦
室温まで冷却し、 850〜930 ℃の温度に再加熱して焼入
れを行った。しかるのち、全ての丸棒を 420〜680 ℃の
温度で焼戻しを行い、その組織が焼入れ焼戻し組織にな
るように調整した。
【0032】こうして得られた焼入れ焼戻し後の丸棒か
ら試験片を切り出し、常温および600℃における引張特
性を調査した。その結果を焼入れおよび焼戻し温度とと
もに表2に示す。
ら試験片を切り出し、常温および600℃における引張特
性を調査した。その結果を焼入れおよび焼戻し温度とと
もに表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表2から、本発明鋼は常温強度および高温
強度ともに良好な特性値を有しており、新耐火設計法に
基づく締結部材(ボルト、ナット)用鋼として優れた鋼
であることがわかる。これに対して比較鋼は常温強度は
本発明鋼とほぼ同等であるが、高温強度が著しく低い。
強度ともに良好な特性値を有しており、新耐火設計法に
基づく締結部材(ボルト、ナット)用鋼として優れた鋼
であることがわかる。これに対して比較鋼は常温強度は
本発明鋼とほぼ同等であるが、高温強度が著しく低い。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明鋼は高温特
性が著しく改善されている上に、常温強度も高いから、
新耐火設計法に基づく建築用耐火鋼材の締結のためのボ
ルトおよびナット用鋼として利用することができる。
性が著しく改善されている上に、常温強度も高いから、
新耐火設計法に基づく建築用耐火鋼材の締結のためのボ
ルトおよびナット用鋼として利用することができる。
【0037】
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.18〜0.33%、Si:0.10〜
0.50%、Mn:0.40〜1.30%、Cr:0.45〜1.50%、Mo:0.
25〜0.65%、W:0.05〜0.80%、Nb: 0.005〜0.15%、
Al: 0.005〜0.10%、B:0.0003〜0.0050%を含有し、
更に、Nを下記 (1)式で表されるN* として 0.005〜0.
030 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルトおよび
ナット用鋼。 N* =N(%) −{B(%)/ 0.78 } ・・・ (1) - 【請求項2】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
%で、0.01〜0.15%のVおよび0.10〜0.60%のNiのうち
の1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組織を有する耐火性
に優れたボルトおよびナット用鋼。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25813391A JP2669220B2 (ja) | 1991-10-04 | 1991-10-04 | 耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25813391A JP2669220B2 (ja) | 1991-10-04 | 1991-10-04 | 耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0598389A true JPH0598389A (ja) | 1993-04-20 |
JP2669220B2 JP2669220B2 (ja) | 1997-10-27 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25813391A Expired - Fee Related JP2669220B2 (ja) | 1991-10-04 | 1991-10-04 | 耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2669220B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001016391A3 (de) * | 1999-08-30 | 2001-08-30 | Mannesmann Ag | Verwendung einer stahllegierung zur herstellung hochfester nahtloser stahlrohre |
-
1991
- 1991-10-04 JP JP25813391A patent/JP2669220B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2001016391A3 (de) * | 1999-08-30 | 2001-08-30 | Mannesmann Ag | Verwendung einer stahllegierung zur herstellung hochfester nahtloser stahlrohre |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2669220B2 (ja) | 1997-10-27 |
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