JPH0598347A - 靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法Info
- Publication number
- JPH0598347A JPH0598347A JP40066290A JP40066290A JPH0598347A JP H0598347 A JPH0598347 A JP H0598347A JP 40066290 A JP40066290 A JP 40066290A JP 40066290 A JP40066290 A JP 40066290A JP H0598347 A JPH0598347 A JP H0598347A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- martensitic
- stainless steel
- toughness
- temperature
- stress corrosion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Abstract
(57)【要約】
【目的】 マルテンサイト系13%Crステンレス鋼を
改質し、優れた靭性と耐応力腐食割れ性を得ることを目
的とする。 【構成】 マルテンサイト系13%Crステンレス鋼を
800℃以上の温度で圧下率5〜50%の加工を加え、
直ちに600〜350℃の冷却停止温度まで2℃/秒以
上の早い速度で冷却し、続いて常温まで空冷以上の速さ
で冷却した後、焼戻し処理することによりCr系炭化物
の析出を抑制し、組織を微細化して、高い靭性と、優れ
た耐応力腐食性を付与する。
改質し、優れた靭性と耐応力腐食割れ性を得ることを目
的とする。 【構成】 マルテンサイト系13%Crステンレス鋼を
800℃以上の温度で圧下率5〜50%の加工を加え、
直ちに600〜350℃の冷却停止温度まで2℃/秒以
上の早い速度で冷却し、続いて常温まで空冷以上の速さ
で冷却した後、焼戻し処理することによりCr系炭化物
の析出を抑制し、組織を微細化して、高い靭性と、優れ
た耐応力腐食性を付与する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、靭性と応力腐食割れ性
の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製
造方法に関する。
の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CO2 を多量に含む環境下で使用される
鋼板、形鋼、鋼管などの鋼は腐食が著しく進行するため
に、そのような環境下でも十分使用できる鋼として耐食
性の優れた13%Crステンレス鋼が用いられ、特に、
熱処理法により高強度が容易に得られるマルテンサイト
系13%Crステンレス鋼が多く使用されている。
鋼板、形鋼、鋼管などの鋼は腐食が著しく進行するため
に、そのような環境下でも十分使用できる鋼として耐食
性の優れた13%Crステンレス鋼が用いられ、特に、
熱処理法により高強度が容易に得られるマルテンサイト
系13%Crステンレス鋼が多く使用されている。
【0003】従来、マルテンサイト系13%Crステン
レス鋼の製造においては、特公昭63−60808号公
報に開示されているように「低Cマルテンサイトステン
レス鋼を900〜1000℃の温度域に加熱保持した後
徐冷する、あるいはさらに350℃以下の温度域に加熱
保持して徐冷する熱処理方法」や、また特公平1−25
810号公報第6欄に「一般に採用される熱処理は通常
の焼準−焼戻処理であり、溶製した鋼種を鍛練、圧延後
950℃以上で焼準し、次いで700℃以上Ac1 以下
の温度で焼戻す」と記載されているように、圧延後加熱
温度からの冷却を水冷のような急速冷却によって行なう
と割れが発生し易いため、空冷のごとき徐冷を施して製
造される。
レス鋼の製造においては、特公昭63−60808号公
報に開示されているように「低Cマルテンサイトステン
レス鋼を900〜1000℃の温度域に加熱保持した後
徐冷する、あるいはさらに350℃以下の温度域に加熱
保持して徐冷する熱処理方法」や、また特公平1−25
810号公報第6欄に「一般に採用される熱処理は通常
の焼準−焼戻処理であり、溶製した鋼種を鍛練、圧延後
950℃以上で焼準し、次いで700℃以上Ac1 以下
の温度で焼戻す」と記載されているように、圧延後加熱
温度からの冷却を水冷のような急速冷却によって行なう
と割れが発生し易いため、空冷のごとき徐冷を施して製
造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方
法で製造されたマルテンサイト系13%Crステンレス
鋼は残留応力や割れのない耐食性の優れた製品として得
られるが、一方、靭性と耐応力腐食割れ性は十分満足で
きるものが得られないという問題があった。
法で製造されたマルテンサイト系13%Crステンレス
鋼は残留応力や割れのない耐食性の優れた製品として得
られるが、一方、靭性と耐応力腐食割れ性は十分満足で
きるものが得られないという問題があった。
【0005】本発明は、このような従来の問題点を解消
するものであり、鋼中の成分を改質することにより靭
性、耐応力腐食割れ性を共にすぐれたマルテンサイト系
13%Crステンレス鋼の製造方法を提供することを目
的とする。
するものであり、鋼中の成分を改質することにより靭
性、耐応力腐食割れ性を共にすぐれたマルテンサイト系
13%Crステンレス鋼の製造方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した問題点の原因に
ついて本発明者らは種々検討した結果、マルテンサイト
系13%Crステンレス鋼をγ域の温度から空冷すると
マルテンサイトに変態するが、急冷とは異なりその結晶
粒界に2次元的には細長い棒状に見え、3次元的には薄
い板状であるCr系炭化物が析出する。このCr系炭化
物は主にM23C6 型(MはCrおよびFe)の炭化物で
あって、その周囲のマトリックスにCr欠乏層を形成
し、その部分のCr含有量が実質的に低下し選択的に腐
食されるため鋼の耐応力腐食割れ性が劣化する。さらに
この粗大な薄い板状の炭化物が割れの起点となるため鋼
の靭性が劣化する。また粗大な薄い板状の炭化物が析出
する温度を調査したところ800〜600℃であること
が判明した。
ついて本発明者らは種々検討した結果、マルテンサイト
系13%Crステンレス鋼をγ域の温度から空冷すると
マルテンサイトに変態するが、急冷とは異なりその結晶
粒界に2次元的には細長い棒状に見え、3次元的には薄
い板状であるCr系炭化物が析出する。このCr系炭化
物は主にM23C6 型(MはCrおよびFe)の炭化物で
あって、その周囲のマトリックスにCr欠乏層を形成
し、その部分のCr含有量が実質的に低下し選択的に腐
食されるため鋼の耐応力腐食割れ性が劣化する。さらに
この粗大な薄い板状の炭化物が割れの起点となるため鋼
の靭性が劣化する。また粗大な薄い板状の炭化物が析出
する温度を調査したところ800〜600℃であること
が判明した。
【0007】したがって、マルテンサイト系13%Cr
ステンレス鋼の靭性と耐応力腐食割れ性を改善するため
には、上記のような薄板状のCr系炭化物の生成を抑制
する方法として急速冷却を採用する必要がある。
ステンレス鋼の靭性と耐応力腐食割れ性を改善するため
には、上記のような薄板状のCr系炭化物の生成を抑制
する方法として急速冷却を採用する必要がある。
【0008】本発明は以上の知見を基に構成されたもの
であり、その要旨は、熱間加工したCr:12〜14%
を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼を温度930
〜1050℃に加熱した後、この加熱温度〜800℃の
温度で圧下率10〜50%の加工を加え、直ちに2℃/
秒以上の速さで600〜350℃の冷却停止温度まで冷
却し、続いて常温まで空冷以上の速さで冷却した後焼も
どし処理することを特徴とする靭性と耐応力腐食割れ性
の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製
造方法である。
であり、その要旨は、熱間加工したCr:12〜14%
を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼を温度930
〜1050℃に加熱した後、この加熱温度〜800℃の
温度で圧下率10〜50%の加工を加え、直ちに2℃/
秒以上の速さで600〜350℃の冷却停止温度まで冷
却し、続いて常温まで空冷以上の速さで冷却した後焼も
どし処理することを特徴とする靭性と耐応力腐食割れ性
の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製
造方法である。
【0009】以下に本発明の構成をさらに詳細に説明す
る。通常の溶製工程と熱間加工(圧延、鍛造)を施して
鋼管、形鋼、鋼板等に成形されたCr:12〜14%を
主非鉄成分とするマルテンサイト系ステンレス鋼を温度
930〜1050℃に加熱する。本発明においてマルテ
ンサイト系ステンレス鋼に含有されるCr量を12〜1
4%に限定した理由は、これがマルテンサイト系ステン
レス鋼として必要な基本的要件であって、その量が12
%未満の少ない含有量ではステンレスとしての耐食性を
有さず、また14%を越える過剰な含有量では完全なマ
ルテンサイト組織を得ることができないからである。ま
た、加熱温度を930〜1050℃とした理由は、上記
鋼をオーステナイト化して冷却後得られる鋼組織の均一
化を図るためであって、930℃未満の低い温度ではオ
ーステナイト中に残存する析出物が多量であり、また1
050℃を越えるとオーステナイト結晶粒が粗大化し靭
性を著しく劣化するからである。
る。通常の溶製工程と熱間加工(圧延、鍛造)を施して
鋼管、形鋼、鋼板等に成形されたCr:12〜14%を
主非鉄成分とするマルテンサイト系ステンレス鋼を温度
930〜1050℃に加熱する。本発明においてマルテ
ンサイト系ステンレス鋼に含有されるCr量を12〜1
4%に限定した理由は、これがマルテンサイト系ステン
レス鋼として必要な基本的要件であって、その量が12
%未満の少ない含有量ではステンレスとしての耐食性を
有さず、また14%を越える過剰な含有量では完全なマ
ルテンサイト組織を得ることができないからである。ま
た、加熱温度を930〜1050℃とした理由は、上記
鋼をオーステナイト化して冷却後得られる鋼組織の均一
化を図るためであって、930℃未満の低い温度ではオ
ーステナイト中に残存する析出物が多量であり、また1
050℃を越えるとオーステナイト結晶粒が粗大化し靭
性を著しく劣化するからである。
【0010】本発明においてマルテンサイト系13%C
rステンレス鋼とは、下記式:◎ A=Ni+Co+0.5×Mn+0.3×Cu+2.5×N+30×C◎ B=Cr+2.5×Si+1.5×Mo+5×V+5.5×Al+1.75× Nb+1.5×Ti+0.75×W◎ (各元素記号は含有量を重量%で示したもの)で定義さ
れる量AおよびBの間に A≧1.57B−16.5, A≦−0.8B+19.3◎ ただしCr≧12.0なる関係を満足する組成を有する
鋼であって、その代表的な鋼としてJIS SUS40
3鋼(C:0.15%以下、Si:0.5%以下、M
n:1.0%以下、P:0.040%以下、S:0.0
3%以下、Cr:11.5〜13.0%)、JIS S
US410J1 鋼(C:0.08〜0.18%、Si:
0.6%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以
下、S:0.03%以下、Ni:0.60%以下、C
r:11.5〜14.0%)、JISSUS420J1
鋼(C:0.16〜0.25%、Si:1.0%以下、
Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.0
30%以下、Ni:0.60%以下、Cr:12.0〜
14.0%)が挙げられる。
rステンレス鋼とは、下記式:◎ A=Ni+Co+0.5×Mn+0.3×Cu+2.5×N+30×C◎ B=Cr+2.5×Si+1.5×Mo+5×V+5.5×Al+1.75× Nb+1.5×Ti+0.75×W◎ (各元素記号は含有量を重量%で示したもの)で定義さ
れる量AおよびBの間に A≧1.57B−16.5, A≦−0.8B+19.3◎ ただしCr≧12.0なる関係を満足する組成を有する
鋼であって、その代表的な鋼としてJIS SUS40
3鋼(C:0.15%以下、Si:0.5%以下、M
n:1.0%以下、P:0.040%以下、S:0.0
3%以下、Cr:11.5〜13.0%)、JIS S
US410J1 鋼(C:0.08〜0.18%、Si:
0.6%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以
下、S:0.03%以下、Ni:0.60%以下、C
r:11.5〜14.0%)、JISSUS420J1
鋼(C:0.16〜0.25%、Si:1.0%以下、
Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.0
30%以下、Ni:0.60%以下、Cr:12.0〜
14.0%)が挙げられる。
【0011】前記規定した温度に加熱されたマルテンサ
イト系ステンレス鋼にその加熱温度〜800℃までの加
工温度にて圧下率10〜50%の加工を加え、その後直
ちに2℃/秒以上の速さで600〜350℃の冷却終了
温度まで冷却する。この制御冷却条件の設定理由は、前
述の薄い板状のCr系炭化物が析出する温度すなわち8
00〜600℃を短時間で通過させ炭化物の析出量を抑
制するためである。また、加熱後に加工を施す理由は、
加工により導入される転位のセル組織を冷却時における
炭化物の析出サイトとして作用させ、結晶粒界への炭化
物の析出を抑制するためと、マルテンサイト変態時にサ
ブグレインとして作用させ組織の微細化をもたらすため
と、その後の焼もどし処理における炭化物の再分配と回
復フェライトの微細粒化をもたらすためである。
イト系ステンレス鋼にその加熱温度〜800℃までの加
工温度にて圧下率10〜50%の加工を加え、その後直
ちに2℃/秒以上の速さで600〜350℃の冷却終了
温度まで冷却する。この制御冷却条件の設定理由は、前
述の薄い板状のCr系炭化物が析出する温度すなわち8
00〜600℃を短時間で通過させ炭化物の析出量を抑
制するためである。また、加熱後に加工を施す理由は、
加工により導入される転位のセル組織を冷却時における
炭化物の析出サイトとして作用させ、結晶粒界への炭化
物の析出を抑制するためと、マルテンサイト変態時にサ
ブグレインとして作用させ組織の微細化をもたらすため
と、その後の焼もどし処理における炭化物の再分配と回
復フェライトの微細粒化をもたらすためである。
【0012】加工温度である加熱温度〜800℃は炭化
物が十分固溶される温度であり、ここで圧下率10〜5
0%の加工を加えると、導入される転位は、相互作用
し、微細なセル構造を形成する。ここで歪量を10〜5
0%に限定した理由は歪量が10%以下では導入される
転位密度が小さいために転位網の形成速度よりも合体消
滅する速度が大きく、炭化物析出サイトとして有効なセ
ル構造は形成されず、また、50%以上の加工の場合に
は転位はオーステナイト粒界近傍に高密度に堆積してし
まい、炭化物の粒内析出サイトとしての効果は失われる
からである。次にこのように加工を施した後に、600
〜350℃の冷却停止温度まで2℃/秒以上の速度で冷
却する。これは、800〜600℃では、炭化物の核形
成、成長が早く2℃/秒より遅い冷却速度では前記の細
長い棒状の粗大な炭化物が結晶粒界に析出するためであ
る。ただし、350℃以下まで急冷すると割れが生じる
ので、急冷の冷却停止温度上限は350℃以上でなけれ
ばならない。こうして冷却停止温度まで2℃/秒以上の
速度で冷却された鋼をさらに常温まで空冷以上の速度で
冷却を施し、マルテンサイト変態させると、加工により
結晶粒内に導入された転位のセル構造に対応した微細な
下部構造を有するマルテンサイト組織が形成される。
物が十分固溶される温度であり、ここで圧下率10〜5
0%の加工を加えると、導入される転位は、相互作用
し、微細なセル構造を形成する。ここで歪量を10〜5
0%に限定した理由は歪量が10%以下では導入される
転位密度が小さいために転位網の形成速度よりも合体消
滅する速度が大きく、炭化物析出サイトとして有効なセ
ル構造は形成されず、また、50%以上の加工の場合に
は転位はオーステナイト粒界近傍に高密度に堆積してし
まい、炭化物の粒内析出サイトとしての効果は失われる
からである。次にこのように加工を施した後に、600
〜350℃の冷却停止温度まで2℃/秒以上の速度で冷
却する。これは、800〜600℃では、炭化物の核形
成、成長が早く2℃/秒より遅い冷却速度では前記の細
長い棒状の粗大な炭化物が結晶粒界に析出するためであ
る。ただし、350℃以下まで急冷すると割れが生じる
ので、急冷の冷却停止温度上限は350℃以上でなけれ
ばならない。こうして冷却停止温度まで2℃/秒以上の
速度で冷却された鋼をさらに常温まで空冷以上の速度で
冷却を施し、マルテンサイト変態させると、加工により
結晶粒内に導入された転位のセル構造に対応した微細な
下部構造を有するマルテンサイト組織が形成される。
【0013】次にこの鋼にAc1 変態点以下の温度で焼
もどし処理を行う。すなわち、微細な下部組織と高密度
の転位をもつこのマルテンサイト鋼に焼もどし処理を行
うと、炭化物の析出と転位の回復が微細な下部組織に対
応して生じるために、極めて微細な回復フエライトと析
出炭化物を有し、旧オーステナイト粒界には炭化物の析
出がない組織となる。
もどし処理を行う。すなわち、微細な下部組織と高密度
の転位をもつこのマルテンサイト鋼に焼もどし処理を行
うと、炭化物の析出と転位の回復が微細な下部組織に対
応して生じるために、極めて微細な回復フエライトと析
出炭化物を有し、旧オーステナイト粒界には炭化物の析
出がない組織となる。
【0014】
【実施例】以下に実施例を示し本発明をさらに詳細に説
明する。
明する。
【0015】
【表1】
【0016】表1に示した代表的な化学組成のマルテン
サイト系13%Crステンレス鋼を通常の方法で溶製、
鋳造した後熱間加工で肉厚16mmの鋼管を製造し、加熱
処理、冷却処理(気水混合冷却を使用)、焼戻し処理
後、強度、靭性、応力腐食割れ性を調査した。その時の
処理条件、材質特性を表2に示す。靭性は、0℃でVノ
ッチシャルピー試験を行いその吸収エネルギー(vEo 繰
返し数n=3での平均値)で示す。応力腐食割れ性は、
25℃の5%NaCl溶液中に1気圧の90%CO2 +
10%H2 S混合ガスを飽和した腐食環境中で丸棒引張
試験片に引張応力を加え、720時間で破壊しない最大
初期応力と降伏強度の比(Rs 値)を求めた。Rs 値が
0.8以上であれば優れた応力腐食割れ性と判断でき
る。
サイト系13%Crステンレス鋼を通常の方法で溶製、
鋳造した後熱間加工で肉厚16mmの鋼管を製造し、加熱
処理、冷却処理(気水混合冷却を使用)、焼戻し処理
後、強度、靭性、応力腐食割れ性を調査した。その時の
処理条件、材質特性を表2に示す。靭性は、0℃でVノ
ッチシャルピー試験を行いその吸収エネルギー(vEo 繰
返し数n=3での平均値)で示す。応力腐食割れ性は、
25℃の5%NaCl溶液中に1気圧の90%CO2 +
10%H2 S混合ガスを飽和した腐食環境中で丸棒引張
試験片に引張応力を加え、720時間で破壊しない最大
初期応力と降伏強度の比(Rs 値)を求めた。Rs 値が
0.8以上であれば優れた応力腐食割れ性と判断でき
る。
【0017】
【表2】
【0018】表2の結果から、本発明法によれば靭性と
応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系13%Crス
テンレス鋼が得られるのに対し、従来法で又は本発明の
範囲から外れた比較法ではこれらの特性が劣っているこ
とが分かる。
応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系13%Crス
テンレス鋼が得られるのに対し、従来法で又は本発明の
範囲から外れた比較法ではこれらの特性が劣っているこ
とが分かる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の処理を行
うことによって鋼を改質して靭性と共に耐応力腐食性の
極めて優れた高強度耐食性のあるマルテンサイト系13
%Crステンレス鋼を得ることができ、この結果幅広い
用途に供することが可能となる。
うことによって鋼を改質して靭性と共に耐応力腐食性の
極めて優れた高強度耐食性のあるマルテンサイト系13
%Crステンレス鋼を得ることができ、この結果幅広い
用途に供することが可能となる。
Claims (1)
- 【請求項1】 Cr:12〜14%を含有するマルテン
サイト系ステンレス鋼を温度930〜1050℃に加熱
した後、この加熱温度〜800℃までの温度で圧下率1
0〜50%の加工を加え、直ちに2℃/秒以上の速さで
600〜350℃の冷却停止温度まで冷却し、続いて常
温まで空冷以上の速さで冷却した後、焼もどし処理する
ことを特徴とする靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテ
ンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40066290A JPH0598347A (ja) | 1990-12-06 | 1990-12-06 | 靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40066290A JPH0598347A (ja) | 1990-12-06 | 1990-12-06 | 靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0598347A true JPH0598347A (ja) | 1993-04-20 |
Family
ID=18510546
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP40066290A Withdrawn JPH0598347A (ja) | 1990-12-06 | 1990-12-06 | 靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0598347A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002099150A1 (fr) * | 2001-06-01 | 2002-12-12 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Acier inoxydable martensitique |
JP2006068757A (ja) * | 2004-08-31 | 2006-03-16 | Jfe Steel Kk | マルテンサイト系ステンレス鋼管円周溶接継手の製造方法 |
JP2010029941A (ja) * | 2009-08-24 | 2010-02-12 | Jfe Steel Corp | マルテンサイト系ステンレス鋼管円周溶接継手の製造方法 |
JP2015218384A (ja) * | 2014-05-21 | 2015-12-07 | Jfeスチール株式会社 | 靭性と加工性に優れた高強度13Cr系ステンレス厚鋼板およびその製造方法 |
JP2015218383A (ja) * | 2014-05-21 | 2015-12-07 | Jfeスチール株式会社 | 靭性と加工性に優れた高強度13Cr系ステンレス厚鋼板およびその製造方法 |
-
1990
- 1990-12-06 JP JP40066290A patent/JPH0598347A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002099150A1 (fr) * | 2001-06-01 | 2002-12-12 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Acier inoxydable martensitique |
AU2002258259B2 (en) * | 2001-06-01 | 2004-12-16 | Nippon Steel Corporation | Martensitic stainless steel |
US7361236B2 (en) | 2001-06-01 | 2008-04-22 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Martensitic stainless steel |
CZ300026B6 (cs) * | 2001-06-01 | 2009-01-14 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Martenzitická antikorozní ocel |
JP2006068757A (ja) * | 2004-08-31 | 2006-03-16 | Jfe Steel Kk | マルテンサイト系ステンレス鋼管円周溶接継手の製造方法 |
JP2010029941A (ja) * | 2009-08-24 | 2010-02-12 | Jfe Steel Corp | マルテンサイト系ステンレス鋼管円周溶接継手の製造方法 |
JP2015218384A (ja) * | 2014-05-21 | 2015-12-07 | Jfeスチール株式会社 | 靭性と加工性に優れた高強度13Cr系ステンレス厚鋼板およびその製造方法 |
JP2015218383A (ja) * | 2014-05-21 | 2015-12-07 | Jfeスチール株式会社 | 靭性と加工性に優れた高強度13Cr系ステンレス厚鋼板およびその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006517259A (ja) | 細粒マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 | |
JP3851147B2 (ja) | 非調質高強度・高靭性鍛造品およびその製造方法 | |
JP2000256795A (ja) | 表面割れのない連続鋳造鋳片およびこの鋳片を用いた非調質高張力鋼材の製造方法 | |
JPH07331381A (ja) | 高強度高靭性継目無鋼管およびその製造法 | |
JPH0598347A (ja) | 靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法 | |
JP3328967B2 (ja) | 靭性および耐応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法 | |
JPH10306315A (ja) | 低温靱性に優れた非調質高張力鋼材の製造方法 | |
KR20160078675A (ko) | 저온인성이 우수한 다중 열처리형 에너지용 강재 및 그 제조방법 | |
Boyd | The microstructure and properties of a quenched and tempered low-carbon-manganese-niobium steel | |
JPH09217149A (ja) | 耐食性および靱性に優れた二相ステンレス鋼の大型鋳造品、鍛造品およびその製造方法 | |
JP3426036B2 (ja) | 強度及び靭性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 | |
JP3250263B2 (ja) | 靭性および耐応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法 | |
JPH0688130A (ja) | 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法 | |
JPH0617504B2 (ja) | 焼入れ処理に適した高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法 | |
JPH1088230A (ja) | 靱性に優れた高張力鋼材の製造方法 | |
JP4517459B2 (ja) | 超微細マルテンサイト組織を有する鋼材の製造方法 | |
JPS6196030A (ja) | 耐水素誘起割れ性及び耐応力腐食割れ性にすぐれた高強度高靭性熱延鋼板の製造方法 | |
JP2672430B2 (ja) | 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法 | |
JP3692565B2 (ja) | B添加高張力鋼の製造方法 | |
JPH093595A (ja) | 靱性の優れた低降伏比厚鋼板及びその製造方法 | |
JPH07118741A (ja) | 極厚調質型高強度鋼板の製造方法 | |
JPH09271830A (ja) | 強靭で均質な高強度厚鋼板の製造方法 | |
JP2597980B2 (ja) | 熱延鋼材の製造方法 | |
JPH0375308A (ja) | 靭性と応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系13%Crステンレス鋼の製造方法 | |
JP2648709B2 (ja) | 高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19980312 |