JPH0598042A - ポリ−フエニレンスルフイド樹脂含浸繊維シート - Google Patents

ポリ−フエニレンスルフイド樹脂含浸繊維シート

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JPH0598042A
JPH0598042A JP3256762A JP25676291A JPH0598042A JP H0598042 A JPH0598042 A JP H0598042A JP 3256762 A JP3256762 A JP 3256762A JP 25676291 A JP25676291 A JP 25676291A JP H0598042 A JPH0598042 A JP H0598042A
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sheet
pps
impregnated
fiber sheet
resin
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JP3256762A
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Shinichiro Miyaji
新一郎 宮治
Tomoaki Ueda
智昭 上田
Koji Kozuka
興治 小塚
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、熱寸法安定性、低吸湿率性、難燃
性、高周波特性などの諸特性がバランスし、かつ平滑
性、スルーホール加工性の優れた、特に回路基板(多層
回路基板も含む)に用いて最適な耐熱基材を提供する。 【構成】 繊維シート(A)にポリ−フェニレンスルフ
ィドを主成分とする樹脂組成物(B)が含浸されてなる
シートであって、平均表面粗さ(Ra )を0.80以下
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリ−フェニレンスル
フィド樹脂を繊維シートに含浸せしめた樹脂含浸シート
に関する。
【0002】
【従来の技術】電気、電子部品分野において、機器の小
型化、高機能化の観点から、耐熱性、熱寸法安定性、低
吸湿率性、難燃性、高周波特性などの諸特性が高次元で
バランスした絶縁基材の要求が増加している。中でも回
路基板の要求特性は、平滑性(ファインパターン化から
必要)、スルーホールの加工性、、薄肉化などまで望ま
れる。
【0003】この分野の基材として、ガラスクロスにエ
ポキシ樹脂を含浸した基材(以下ガラエポと略称するこ
とがある。)、ポリイミドフィルム、弗素系フィルムな
どがある。更に、ポリ−フェニレンスルフィド(以下P
PSと略称することがある。)の未延伸シート及び二軸
配向フィルムが最近特に注目を浴びている。また、二軸
配向ポリ−フェニレンスルフィド(以下PPSフィルム
と略称することがある。)を用いた積層フィルムや積層
体としては、(1)ポリエステルフィルムとの積層フィ
ルム(特開昭62−292431号公報)、(2)芳香
族ポリアミドの繊維シートと接着剤を介して積層したも
の(特開昭60−63158号公報)、(3)300℃
の温度で不融で、かつ150℃の温度下での熱膨張係数
が50×10-61/℃以下の繊維シートの積層体(特開
平1−95585号公報)などが知られている。また、
(4)PPSの未延伸シート(以下PPSシートと略称
することがある。)とPPSフィルムとの積層体も知ら
れている(特開平2−45144)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のフィル
ムや積層体は、それぞれ下記のような問題点を有してい
る。
【0005】ガラエポは、低吸湿率性、高周波特性に劣
り、薄肉化が難しい。ポリイミドフィルムは耐熱性に富
むが、低吸湿率性、高周波特性が劣る。また、弗素系フ
ィルムは接着性に乏しく、スルーホールの加工時に導電
ペーストが乗り難い。
【0006】一方、PPSシート単体としては、熱寸法
安定性、低吸湿率性、難燃性、高周波特性などの諸特性
は満足しているが、二軸配向フィルムに比べると耐熱温
度が低く(ガラス転移点を越えると熱変形し易い。)、
加熱工程が増加する程結晶化が進み脆くなる。プリント
基板として用いる場合は、結晶サイズ等をコントロール
して、耐熱性と脆さををある程度満足させているが、急
激に熱が加わると熱変形し易いと言う問題点を有してい
る。
【0007】また、PPSフィルム単体としては、熱収
縮による寸法変化を起こすため、例えば回路基板の製造
工程で熱が加わると回路のズレが生じ易い。また積層回
路基板のスルーホール加工時に裂け易いなどの問題点を
有している。
【0008】また(1)項のポリエステルフィルムとの
積層フィルムは、上記のスルーホール加工時の裂け易さ
は改善されるが、熱寸法安定性、耐熱性は改善されな
い。(2)項芳香族ポリアミドの繊維シートと接着剤を
介して積層したものは、耐熱性は改善されるが、接着剤
の耐熱性が該基材に悪影響を与え(つまり接着剤の耐熱
性が基材全体としての耐熱性を支配する)、PPSの優
れた特性を活かしきれない。更にスルーホール加工時に
導電ペーストが芳香族ポリアミドの繊維シートに染み込
んでしまい、スルーホール加工ができない。PPSフィ
ルムと繊維シートを熱融着で積層した(3)項の積層体
は、接着力が乏しく、折曲げ等の力が加わった時に剥が
れ易い。更にスルーホール加工時に導電ペーストが繊維
シートに染み込んでしまい、スルーホール加工ができな
い。また、(4)項の積層体はPPSフィルム単体と同
様に熱寸法安定性、耐熱性に欠ける。
【0009】本発明は、PPSの優れた低吸湿率性、難
燃性、高周波特性に注目し、これらの特性を保持しつ
つ、耐熱性及び熱寸法安定性を向上させ、しかも平滑
性、スルーホール加工性の優れた、特に回路基板(多層
回路基板も含む)に用いて最適な耐熱基材を提供せんと
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下の構成、すなわち、繊維シート(A)
にポリ−フェニレンスルフィドを主成分とする樹脂組成
物(B)が含浸されてなるシートであって、平均表面粗
さ(Ra )が0.80μm以下であることを特徴とする
ポリ−フェニレンスルフィド樹脂含浸繊維シート、とす
るものである。
【0011】本発明における繊維シートとは、繊維の集
合体によって構成された薄葉体であって、クロス、布、
フェルト、不織布、紙などの総称で、厚さ10〜500
μm(好ましくは10〜300μm)のものである。該
繊維シートは、易接着、着色などの加工及び2種以上の
素材を混合したり積層してあってもよい。繊維シートの
中でもクロスが好ましく、特にガラス繊維のクロスが、
耐熱性、寸法安定性及び加工性の点で好ましい。ここで
含浸とは、繊維シートを構成する素繊維の周りに樹脂が
入り込んで該素繊維と接着固化していることを意味す
る。
【0012】上記繊維シートは、400℃の温度まで融
点を有しないものが好ましく、この繊維シートとは、4
00℃の温度に対して不融である繊維シートを言う。こ
こで不融とは400℃の温度にさらされたときに、溶融
したり、軟化したりしない状態を言う。本発明に用いる
繊維シートが上記の特性を有しないと、本発明の含浸シ
ートが300℃付近の温度までさらされたとき、熱寸法
安定性が不足する。
【0013】本発明において、ポリ−フェニレンスルフ
ィド(以下PPSと略称することがある。)とは、繰り
返し単位の70モル%以上(好ましくは85モル%以
上)が下記構成式(化1)で示される構成単位からなる
重合体をいう。かかる成分が70モル%未満ではポリマ
の結晶性、熱転移温度等が低くPPSを主成分とする樹
脂組成物の特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性等
を損なう。
【0014】
【化1】
【0015】上記PPSにおいて、繰り返し単位の30
モル%未満、好ましくは15モル%未満であれば共重合
可能なスルフィド結合を含有する単位が含まれていても
差し支えない。また該重合体の共重合の仕方は、ランダ
ム、ブロック型を問わない。
【0016】本発明において、ポリ−フェニレンスルフ
ィドを主成分とする樹脂組成物(以下PPS系組成物と
略称することがある。)とは、ポリ−フェニレンスルフ
ィドを60重量%以上含む組成物をいう。PPSの含有
量が60重量%未満では、該組成物からなる樹脂含浸シ
ートの機械特性、耐熱性、繊維との含浸性等を損なう。
また、該組成物中の残りの40重量%未満はPPS以外
のポリマ、無機または有機のフィラー、滑剤、着色剤な
どの添加物を含むことができる。さらに、PPS系組成
物の溶融粘度は、温度300℃、剪断速度200sec -1
のもとで、700〜20000ポイズの範囲が含浸の加
工性の点で好ましい。
【0017】本発明のPPS樹脂含浸繊維シートは、該
繊維シートを上記のPPS系組成物で含浸せしめたシー
トで、含浸とは繊維シートを構成する素繊維の周りに樹
脂が入り込んで該素繊維と接着固化している状態をい
う。含浸状態は例えばインキの染み込み度により測定す
ることができる。本発明のPPS樹脂含浸繊維シートは
以下に記載するインキの染み込み度が2.0以下(より
好ましくは1.5以下)であることが好ましい。該染み
込み度が2.0を越えると、熱寸法変化率が大きくなっ
たり、スルーホール加工が難しくなり、本発明の目的を
達成しにくくなる。ここでインキの染み込み度とは、該
含浸シートの断面方向(厚み方向)の面にマジックイン
キを付けたとき、該インキが内部に染み込むが、その染
み込んだ長さ(マジックインキを付けた位置から該イン
キが到達した最長距離)を該シートの表面から測定した
長さ(mm)で表わした値であり、該シートの含浸度合
いを表わすパラメーターである。
【0018】該含浸シートのPPS樹脂層と繊維層の比
率の限定は特にないが、該含浸シートの断面から各層厚
みを顕微鏡等で測定した時に、PPS樹脂単体からなる
層の厚み(b)とPPSが含浸された繊維シート層の厚
み(a)の比(b/a)が0.25〜2.5の範囲が含
浸性と熱寸法安定性の点で好ましい。また本発明の樹脂
含浸シートの(a)層が必ずしも該含浸シート厚み方向
の中央に存在する必要はなく、ずれた位置にあっても良
い。
【0019】また本発明のPPS樹脂含浸繊維シートの
平均表面粗さ(Ra)は0.8μm以下(好ましくは
0.6μm以下)である。該表面粗さは、JIS−R−
0601に規定されるもので、カットオフ0.08mm
の条件で測定した値である。本発明の含浸シートの該表
面粗さが0.8μmを越えると、該含浸シートに電気回
路をシルク印刷などで形成させる場合、回路が歪んだ
り、回路間距離(線間距離)が均一に保てなくなる。特
に、回路幅が200μm以下のファインパターン化時に
問題が生じ、高密度回路基板の製造が難しい。
【0020】さらに、本発明のPPS樹脂含浸繊維シー
トは該含浸シートの同一平面内である方向を基準軸にし
て、該含浸シートのPPS樹脂層の分子配向度の角度依
存性を求めたときに表われる最大値(x)と最小値
(y)の比(x/y)が4.0以下(より好ましくは
3.5以下)であることが、寸法変化率、機械特性等の
等方性の点で好ましい。ここでいう等方性とは、該含浸
シートの特性に方向性が少ないことを意味し、上記の
(x/y)が4.0を越えると本発明の含浸シートの寸
法変化率、機械特性等の方向性が大きくなり高密度回路
基板の製造が難しくなる傾向にある。
【0021】(製造方法)次に本発明のPPS樹脂含浸
繊維シートの製造方法について述べる。
【0022】まず、本発明に用いるPPSは、硫化アル
カリとパラジハロベンゼンとを極性溶媒中で高温高圧下
に反応させて得られる。特に、硫化ナトリウムとパラジ
クロルベンゼンを、N−メチルピロリドン等のアミド高
沸点極性溶媒中で反応させるのが好ましい。この場合、
重合度を調整するために、カ性アルカリ、カルボン酸ア
ルカリ金属塩等のいわゆる重合助剤を添加して、230
〜280℃で反応させるのが最も好ましい。重合系圧力
および重合時間は使用する助剤の種類や量および所望す
る重合度等によって適宜決定する。得られた粉状または
粒状のポリマを、水または/および溶媒で洗浄して、副
生塩、重合助剤、未反応モノマー等を分離する。
【0023】このポリマを繊維シートに含浸するには種
々の方法を使用できるが、代表的な方法としては次の3
つを例示することができる。
【0024】(1)上記のポリマを未延伸、未配向のシ
ートに成形したPPSシートを繊維シートに熱圧着して
含浸シートを製造する方法。
【0025】該方法で製造するにあたり、まずPPSの
未延伸シートの製造方法を説明する。上記のPPSをエ
クストルーダーに代表される溶融押出機に供給し、該ポ
リマの融点以上(好ましくは300〜350℃の範囲)
の温度に加熱し充分混練した後、スリット状のダイから
連続的に押出し、該シートのガラス転移点以下の温度ま
で急速冷却することにより、実質的に無配向のPPSシ
ートが得られる。
【0026】次にPPSシートと繊維シートを重ね合わ
せて、PPSの融点以上の温度(好ましくは285〜3
50℃)で、圧力1〜30kg/cm2 の条件下で、加
熱ロールプレスまたは熱板プレスで熱圧着する。さらに
含浸シートの平面性の保持等を目的に冷却ロール、冷却
板、フレッシュエアー、水等を介して冷却する。上記の
含浸温度がPPSの融点未満の温度では、含浸性が乏し
い。また含浸圧力が1kg/cm2 未満では含浸性が乏
しく、逆に30kg/cm2 を越えると含浸シートの平
面性が悪化する傾向にある。また繊維シートとPPSシ
ートを熱圧着するとき、繊維シートとPPSシートの2
層の場合と、PPSシート、繊維シート、PPSシート
の3層をこの順序に重ね合わせて行なう場合があるが、
含浸性から後者の方が好ましい。また、熱圧着前の繊維
シート(A)とPPSシート(B)の厚み比(B/A)
は0.3〜3.0の範囲が本発明の目的を達成するうえ
で好ましい。
【0027】(2)スリット状のダイからPPSを押し
出し、下方の繊維シート上に積層しながら圧着するか、
またはその後熱圧着して含浸する方法。
【0028】該方法の熱圧着の条件は(1)の方法と同
様である。
【0029】(3)二軸配向PPSフィルムを繊維シー
トに熱圧着して、含浸シートを製造する方法。
【0030】該方法で製造するにあたり、まず二軸配向
PPSフィルムの製造方法を説明する。(1)の方法で
得られるPPSシートを周知の方法で二軸延伸する。た
とえば、逐次二軸延伸法を用いると、延伸条件は長手方
向および幅方向とも、延伸温度90〜120℃で2.0
〜4.5の範囲である。続いて必要に応じて熱処理が行
なわれる。熱処理の方法としては、テンター法を用い
る。熱処理条件は200〜290℃の温度範囲で定長ま
たは15%以下の制限収縮下で通常行なわれる。さらに
該フィルムの熱寸法安定性を向上させるため両方向をリ
ラックスしてもよい。
【0031】このようにして得られた二軸配向PPSフ
ィルムと繊維シートを重ね合わせて、PPSの融点以上
の温度(好ましくは285〜350℃)で、圧力1〜3
0kg/cm2 の条件下で、加熱ロールプレスまたは熱
板プレスで熱圧着する。さらに含浸シートの平面性の保
持等を目的に冷却ロール、冷却板、フレッシュエアー、
水等を介して冷却する。上記の含浸温度がPPSの融点
未満の温度では、含浸性が乏しい。また含浸圧力が1k
g/cm2 未満では含浸性が乏しく、逆に30kg/c
2 を越えると含浸シートの平面性が悪化する傾向にあ
る。また繊維シートとPPSシートを熱圧着するとき、
繊維シートとPPSシートの2層の場合と、PPSシー
ト、繊維シート、PPSシートの3層をこの順序に重ね
合わせて行なう場合があるが、含浸性から後者の方が好
ましい。また、熱圧着前の繊維シート(A)とPPSシ
ート(B)の厚み比(B/A)は0.3〜3.0の範囲
が本発明の目的を達成するうえで好ましい。
【0032】また粉状、粒状またはペレット状のPPS
ポリマを、繊維シートに直接接触させて、上記(1)〜
(3)の条件で含浸させる方法もある。
【0033】さらに、上記の方法またはそれ以外の方法
で、繊維シートにPPS系樹脂組成物を樹脂含浸した
後、該樹脂含浸シートの表面の樹脂層を物理的又は化学
的な方法で研磨したりエッチングしたりしても、最終製
品が本発明の構成を満足し、目的を達成するものであれ
ば差支えない。
【0034】
【特性の評価方法】次に本発明の記述に用いた、特性の
評価方法および評価基準を述べる。
【0035】(1)耐熱性 280℃の温度にセットしたはんだ浴中に、2cm角の
試料を浮かべ、次の基準で評価した。 ○ : 全く変化なし。 △ : 一部に軟化、変形、剥がれ、シワが見られる。 × : 全面が波打ちまたは曲がりなどの変形または剥
離があり、各層の寸法変化率が大きく異なる。
【0036】(2)インキの染み込み度 含浸シートの断面方向(厚み方向)の面にマジックイン
キ(マジックのインキ部分)を3秒間接触させたとき、
該インキが内部に染み込む。その染み込んだ長さ(マジ
ックインキを接触した位置から該インキが到達した最長
距離)を該シートの表面から測定した長さ(mm)で表
わした。なお使用したマジックはペンテル社(ペンテル
ペン中字N50の油性)のものである。
【0037】(3)平均表面粗さ(Ra) JIS−R−0601に規定された、触針式表面粗さ計
による測定値(μm)を示す。(カットオフ0.08m
m、測定長4mmでの値)
【0038】(4)熱収縮率 試料のある方向を基準方向とし、該基準方向、基準方向
の45度方向、基準方向の−45度方向、基準方向の9
0度方向にそれぞれ100mm×10mmに切り出し、
該長手方向の長さを顕微鏡で正確に読み取る(km
m)。次に260℃の温度に加熱した炉(熱風方式)で
30分間エージングした後、上記の長さを正確に測定す
る(lmm)。次式で各方向の熱収縮率(%)を求め
る。 熱収縮率(%)=((k−l)/k)×100 熱収縮率の各方向の表わし方は、0°、45°、−45
°、90°とする。
【0039】(5)密着性 試料を180度に5回折曲げ、その折曲げ部分を観察
し、次の基準で評価した。 ○ : 折曲げ部分の剥がれや折曲げ部分の剥離強さの
低下が全くない。
【0040】△ : 折曲げ部分が部分的に剥がれ、剥
離強さが少し低下している。 × : 折曲げ部分が剥がれる。
【0041】(6)誘電特性(誘電損失) 周波数を変えて、誘電損失の変化を調べた。(JIS−
C−6481に準じて測定した。)
【0042】(7)PPS層の配向度の最大値(x)と
最小値(y)の比(x/y) 樹脂含浸シートをマイクロ波(4GHz)による分子配
向計(MOA−2001A,KSシステム(株)製)
で、マイクロ波透過強度の角度依存性を求め、その最大
値(x)、最小値(y)を読み取って、その比(x/
y)を求めた。マイクロ波と樹脂を構成する極性分子と
相互作用を反映する該マイクロ波透過強度の角度依存性
から、分子の配向パターンを知ることができる。
【0043】(8)回路のズレ 回路基板を240℃の温度にセットした炉(遠赤外線方
式)に5秒間通過させ、該炉を通過させていないものと
の回路のズレを見た。
【0044】(9)回路の印刷性 試料に導電性塗料をシルク印刷で、200μm幅(線間
幅200μm)の回路を印刷し、乾燥後、顕微鏡で回路
の状態を観察し次の基準で評価した。 ○ : 回路の幅の膨れ、線間幅の変化がほとんどな
い。 △ : 回路の幅の膨れ、線間幅の変化が一部見られ
る。 × : 回路の幅の膨れ、線間幅の変化した個所が多く
見られる。
【0045】(10)スルーホール性 スルーホール加工したサンプルのスルーホール部を顕微
鏡で観察し、導電性塗料の密着性を調べた。
【0046】(11)熱膨張係数 差動トランスと加熱炉を組み込んだ天秤を用い、200
℃の温度まで昇温した後、100℃まで降温し、その降
温時の温度変化に対する試料の寸法変化量をプロット
し、その勾配より求める。試料のサイズは50mm×5
mmとし、0.2g/5mm幅の荷重を加えて測定し
た。また測定は、熱収縮率の測定時の方向で行なった。
【0047】(12)樹脂含浸シートのPPSが含浸さ
れた繊維シート層の厚み(a)とPPS樹脂単体からな
る層の厚み(b)の厚み比(b/a)の測定 樹脂含浸シートの断面写真を電子顕微鏡で撮り、繊維シ
ートに樹脂が含浸している層の厚みを(a)、樹脂(P
PS)のみからなる層の厚みを(b)とし、各層の厚み
を該写真から求め、(b/a)を算出した。
【0048】
【実施例】次に本発明を実施例を挙げて詳細に説明す
る。
【0049】実施例1、比較例1 (1)本発明に用いるPPSの調整 オートクレーブに、硫化ナトリウム32.6kg(25
0モル、結晶水40重量%を含む)、水酸化ナトリウム
100g、安息香酸ナトリウム36.1kg(250モ
ル)、およびN−メチル−ピロリドン(以下NMPと略
称することがある)76.2kg,を仕込み205℃で
脱水した後、1,4ージクロルベンゼン37.1kg
(255モル)、およびNMP20.0kgを加え、2
65℃で4時間反応させた。反応生成物を水洗、乾燥し
て、p−フェニレンスルフィドユニット100モル%か
らなり、溶融粘度3100ポイズのポリ−p−フェニレ
ンスルフィド21.1kg(収率78%)を得た。
【0050】(2)PPS未延伸シートの調整 上記の組成物に、平均粒径0.7μmの微粒粉末0.1
重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加
し、40mm径のエクストルーダによって310℃で溶
融し、金網繊維を用いた95%カット孔径10μmのフ
ィルタで瀘過した後長さ400mm,間隙0.5mmの
直線状のリップを有するTダイから押し出し、表面温度
25℃に保った金属ドラム上にキャストし、厚さ25μ
mの未延伸シートを得た(PPSシート−1)。
【0051】(3)繊維シートの調整 ガラスクロス(EPC030 有沢製作所製)の34μ
mを用いた(繊維シート−1)。
【0052】(4)樹脂含浸シートの製造 上記の繊維シート−1の両側にPPSシート−1を重ね
合わせて、熱板プレス法で熱圧着した。熱圧着条件は、
温度300℃、圧力10kg/cm2 であり、プレス時
間は1時間とし、その後50℃まで急冷した(含浸シー
ト−1とする)。
【0053】同様の方法で、熱圧着条件の温度を290
℃、285℃、260℃と変更して、3種類の含浸シー
トを得た(順番に含浸シート2〜4)。
【0054】実施例2、比較例2 実施例1のPPSシートに変えて、二軸配向PPSフィ
ルムを用い、実施例1の条件で4種類の含浸シートを得
た。なお、該二軸配向PPSフィルムは東レ(株)製二
軸配向PPSフィルム(“トレリナ”タイプ3030)
の25μmを用いた。熱圧着温度が300℃、290
℃、285℃、260℃の4種類の含浸シートを得た
(順番に含浸シート−5〜8)。
【0055】実施例3 実施例1の熱圧着の構成で、離型処理した加熱プレスロ
ールで熱圧着した。熱圧着条件は、300℃の温度で、
10kg/cm2 の圧力であり、ライン速度は0.5m
/分であった。さらに後続する冷却ロール(表面温度4
℃)で冷却した(含浸シート−9)。
【0056】実施例4 実施例1のPPSシート−1を製造する時に、該製造時
に用いるTダイ直下に繊維シート−1を通過させ、PP
Sを積層しながら巻き取った。該積層体のもう片方の面
にも同様にして、PPSを積層させた。さらに該積層体
を実施例1の条件で、300℃の温度で熱圧着した(含
浸シート−10)。
【0057】実施例5 実施例1の方法で、PPSシートの厚みの異なった5種
類のものを採り、実施例1の条件で、300℃の温度で
熱圧着し、PPS層と繊維シート層の厚み比が異なった
5種類の含浸シートを得た(含浸シート11〜15)。
【0058】実施例6 テフロンシートの上に、実施例1のPPSの粉末を置
き、その上に繊維シート−1を置き、さらにその上にP
PSの粉末を置いて、300℃の温度で実施例1の方法
で熱圧着した(含浸シート−16)。
【0059】比較例3 実施例1の方法で100μm厚みのPPSシートを得
た。さらに該シートを250℃の温度で5分間熱処理し
た(PPSシート−2)。
【0060】比較例4 東レ(株)社製“トレリナ”タイプ3030の100μ
m厚さの二軸配向PPSフィルムを準備した(PPSフ
ィルムー1)。
【0061】比較例5 実施例2または比較例2の基材構成で、エポキシ系の接
着剤(“ケミットエポキシ”TE−5920 東レ
(株)製)を介して積層した。接着剤をPPSフィルム
のコロナ処理面にグラビアロール法で10μm(ドライ
条件)塗布し、繊維シート−1の両面に積層した。接着
剤の乾燥条件は、100℃の温度で3分間、積層条件
は、120℃の温度で3kg/cm2 のプレス圧であっ
た。さらに150℃の温度で2時間熱硬化せしめた(積
層体−1)。
【0062】(実施例、比較例の評価)実施例1〜6、
比較例1〜5の樹脂含浸シート、ポリマシート、フィル
ム及び積層体の評価結果を表1に示す。
【0063】実施例1〜6までのPPS樹脂含浸繊維シ
ートは、熱寸法安定性、誘電特性、耐熱性、密着性に優
れており、特に回路基板に最適であることが判る。ま
た、スルーホール加工性、回路の印刷性も全く問題なか
った。さらに印刷回路基板を加熱(240℃)したが、
回路のズレも発生しなかった。
【0064】また、実施例1、2からPPSの未延伸シ
ートからでも、二軸配向PPSフィルムからでも本発明
の含浸シートを製造することが可能であり、実施例3、
4、6の方法を用いることも可能であることが判る。さ
らに実施例5から、PPSが含浸された繊維シート層の
厚み(a)とPPS樹脂単体からなる層の厚み(b)の
比(b/a)が0.5〜2.5の範囲が本発明の目的を
達成させるうえで好ましいことが判る。
【0065】一方、本発明でいうインキの染み込み度が
2.0を越える、比較例1及び比較例2の含浸シート
は、繊維シートにPPS樹脂が含浸されておらず、この
ためにスルーホールの加工性が悪く(特に低粘度のレジ
スト)、高性能の回路基板には使用できない。
【0066】また、本発明でいう平均表面粗さが0.8
μmを越える、比較例2の含浸シートは回路の印刷性が
悪く、200μm以下のファインパターン化ができな
い。
【0067】さらに、PPS層の配向度の最大値(x)
と最小値(y)の比(x/y)が4.0(好ましくは
3.5)を越える、比較例2の含浸シートは熱寸法特性
の方向性が大きくなる傾向にあることが判る。
【0068】また、比較例3のPPSシートは耐熱性に
乏しく、比較例4のPPSフィルムは熱寸法変化率が大
きい。
【0069】また、比較例5の積層体は、接着剤を介し
ているため接着剤が耐熱性や誘電特性を低下させる。さ
らに該積層体は二軸配向PPSフィルムを用いているの
で、加熱した時に接着剤が軟化して、PPS層が熱収縮
し回路のズレが大きく発生する。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【発明の効果】本発明は、以上の構成としたため、耐熱
性、寸法安定性(熱、湿度)、難燃性、高周波特性等が
高次元でバランスした素材となり、さらにスルーホール
の加工性、平滑性も優れた、特に高機能、高密度な回路
基板(多層回路基板も含む)に用いて最適な耐熱基材と
なった。
【0074】(用途)本発明のPPS樹脂含浸繊維シー
トは、回路基板、積層回路基板以外にも、トランス、モ
ータなどの耐熱絶縁材、高温高圧部分などに用いられる
ケーブルの被覆材、耐熱粘着テープ、プリプレグ基材、
耐熱ラベル、スピーカコーン、シールド基材等に最適で
ある。
【0075】また、本発明のPPS樹脂含浸繊維シート
の少なくとも片方の面に別の素材(金属、シートなど)
が積層されてあったり、別の樹脂やコート剤がコーテイ
ングされたり、モールドされてあってもよい。さらに本
発明のPPS樹脂含浸繊維シートを、熱や紫外線などで
酸化架橋してあってもよい。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維シート(A)にポリ−フェニレンス
    ルフィドを主成分とする樹脂組成物(B)が含浸されて
    なるシートであって、平均表面粗さ(Ra )が0.80
    μm以下であることを特徴とするポリ−フェニレンスル
    フィド樹脂含浸繊維シート。
  2. 【請求項2】 前記繊維シート(A)が、400℃まで
    実質的に融点を有しないものである請求項1のポリ−フ
    ェニレンスルフィド樹脂含浸繊維シート。
  3. 【請求項3】 前記繊維シート(A)が、ガラスクロス
    である請求項2のポリ−フェニレンスルフィド樹脂含浸
    繊維シート。
JP3256762A 1991-10-03 1991-10-03 ポリ−フエニレンスルフイド樹脂含浸繊維シート Pending JPH0598042A (ja)

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