JPH0598036A - 膨潤軟化型プラスチツクフイルム - Google Patents

膨潤軟化型プラスチツクフイルム

Info

Publication number
JPH0598036A
JPH0598036A JP29071391A JP29071391A JPH0598036A JP H0598036 A JPH0598036 A JP H0598036A JP 29071391 A JP29071391 A JP 29071391A JP 29071391 A JP29071391 A JP 29071391A JP H0598036 A JPH0598036 A JP H0598036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plastic film
resin
film
swelling
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29071391A
Other languages
English (en)
Inventor
Yusuke Tsumura
村 雄 右 津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP29071391A priority Critical patent/JPH0598036A/ja
Publication of JPH0598036A publication Critical patent/JPH0598036A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】誤って飲んでも、体内臓器に損傷を与えない安
全なPTP包装に適した膨潤軟化型フイルムを提供する
こと。 【構成】(A)ガラス転移温度60℃以上のアクリル系樹
脂、(B)ガラス転移温度−5℃以下のアクリル系樹脂及
び(C)平均ケン化度60〜98モル%のポリビニルアル
コール系樹脂からなる組成をもち、かつ(A)、(B)の少
なくとも一方の樹脂はカルボキシル基を含有し、その含
有量は(A)と(B)との総重量に対して1〜30重量%で
あることを特徴とする。膨潤軟化型プラスチックフイル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、膨潤軟化型プラスチッ
クフイルムに関し、更に詳しくは医薬品等のPTP(Pr
ess Through Pack)包装用プラスチックフイルムに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】医薬品の包装形態で近年PTP包装とい
う包装方法が普及している。これはプラスチックフイル
ム(表面側包材)を真空ないし圧空成型加工して、収納
室を設け、これに錠剤やカプセル剤などの薬剤を収納す
るとともに裏打ち材としてアルミニウム箔(裏面側包
材)を用いて密封するものである。そして薬剤を使用す
る際には、該プラスチックフイルム外側より押圧し、裏
打ち材であるアルミニウム箔を破り収納薬剤を取り出す
ようにしている。通常、10〜50個程度の薬剤がそれ
ぞれ1つずつ薬剤収納室(以下、PTP小板という)に
収納されたシート状態(以下、PTP板という)で市販
されている。即ち、個々のPTP小板が上下、左右方向
にミシン目などを介して相互に連接されてPTP板を形
成している。従って、このミシン目にそって切り離せ
ば、必要個数だけPTP小板をPTP板より分離するこ
とが出来る。
【0003】しかし、小児や最近急増している高齢者、
特に老人性痴呆症の人が薬剤を経口摂取する際、切り離
したPTP小板を誤飲するケースが確実に増加してい
る。このPTP小板は、通常四角形をしており、各角が
鋭角でかつ該プラスチックフイルムにはポリ塩化ビニル
(PVC)やポリプロピレン(PP)等の硬い樹脂が使
用されているため、鋭利な刃物に匹敵する程鋭く、体内
臓器に突き刺さり、損傷を与える危険性が大きい。この
様な欠点を解決すべくPTP小板を円形に切り離せる
様、ミシン目を工夫する方法が特開昭60−23163
号公報に提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報の場合でも円形のPTP小板の切り離し部分にPTP
板との「チギレ」部分の痕跡が「バリ」として残り、誤
飲した場合には、体内臓器に損傷を与えることが考えら
れ、充分とは言い難い。本発明の目的とするところは、
誤って飲み込んで体内に入った場合でも、体内臓器に損
傷を及ぼさないPTP包装用の膨潤軟化型プラスチック
フイルムを提供することにある。言い換えれば、誤って
PTP小板を飲み込んだ場合に、体内で唾液、胃液等の
分泌液により膨潤軟化し、体内臓器に損傷を与えないプ
ラスチックフイルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、(A)ガラス
転移温度60℃以上のアクリル系樹脂、(B)ガラス転移
温度(以下、Tgと略記する)−5℃以下のアクリル系
樹脂及び(C)平均ケン化度60〜98モル%のポリビニ
ルアルコール系樹脂(以下、PVAと略記する)からな
る組成をもち、かつ(A)、(B)の少なくとも一方の樹脂
はカルボキシル基を含有し、その含有量は(A)と(B)と
の総重量に対して1〜30重量%である膨潤軟化型プラ
スチックフイルムを用いることによって達成される。以
下に、本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明で用いる(A)、(B)はいずれもアク
リル系樹脂であり(A)はTgが60℃以上、(B)はTg
が−5℃以下である。(A)のTgが60℃未満では該プ
ラスチックフイルムをPTP包材として成型する場合、
柔らかすぎ、充分な成型物を得ることが出来ず真空成型
加工時に型崩れが起こり易い。特に好ましくはTg=9
0℃以上である。(B)のTgが−5℃を越えると本発明
のプラスチックフイルムをPTP包材として使用した場
合、非常にもろく、脆弱となり、本発明の目的を達し得
ない。特に好ましくはTg=−20℃以下である。そし
て、本発明のアクリル系樹脂は(A)、(B)少なくとも一
方にカルボキシル基を含有させることが必須であり、そ
の含有量は(A)と(B)との総重量に対して1〜30重量
%であることが必要である。該酸成分含有量が1重量%
未満では、本発明のプラスチックフイルムが体内に入っ
た場合、唾液や胃液等の分泌液による膨潤軟化が困難と
なる。また、逆に30重量%を越えると耐水性が著しく
低下し、高湿時の吸湿や一時的な水の付着によりフイル
ム表面が汚れたり又表面凹凸ができ易くなったりして目
的を達成することが出来ない。好ましい範囲は4〜15
重量%である。
【0007】本発明で使用するアクリル系樹脂はアクリ
ル系の単量体の単独重合又は共重合によって製造され
る。Tgのコントロールはアクリル系単量体あるいは、
これらと共重合させられる他のエチレン性不飽和単量体
の種類及び共重合比率によって当業者が任意に実施出来
る。つまり、共重合体のTgは次式によって各単独重合
体のTgより近似的に決定することが出来る。 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2 Tg1,Tg2:各単独重合体のTg W1,W2:各成分の重量分率 即ち、Tgの低く柔らかい性質を与えるモノマー成分
(イ)やTgの高く硬い性質を与えるモノマー成分(ロ)を
任意に組合わせるのである。
【0008】(イ)のモノマー成分としては、エチレン、
ブタジエン、イソプレン、アクリル酸エチル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸iso-ブチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベン
ジル、アクリル酸シクロヘキシル等のアルキル基の炭素
数2〜12程度のアクリル酸アルキルエステルやメタク
リル酸n−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、メタク
リル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メ
タクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル等の
アルキル基の炭素数4〜12程度のメタクリル酸アルキ
ルエステルなどが挙げられ、前記(ロ)のモノマー成分
としては、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等のアルキル
基の炭素数1〜3のメタクリル酸アルキルエステル、酢
酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ス
チレンなどが挙げられる。
【0009】本発明の(A)、(B)においてカルボキシル
基を含有させるための共重合体単量体としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、
マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、グルタコン
酸、イタコン酸等の多価カルボン酸、及びこれらの無水
物等のカルボキシル基含有モノマーが挙げられる。その
他必要に応じて2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート
等やN−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基
含有モノマー等の他に(メタ)アクリルアミド、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、アリルグリシジルエーテル等の官能基含有モノマ
ーも併用され得る。
【0010】本発明中のアクリル系共重合体は、適当な
溶媒に、前述の様な単量体を溶解又は分散し、重合開始
剤を加えて昇温し、反応させるか、場合によっては反応
熱除去のためにこれらのモノマー又は重合開始剤を滴下
仕込みする等として反応させる。重合形式としては溶液
重合、乳化重合、懸濁重合等の任意の方法が実施可能で
あるが、溶液重合、乳化重合が実用的である。
【0011】溶液重合にあたって溶媒としては、一般に
酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン
等の脂環族炭化水素、及びアセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類等が単独又は混合して使用されるが、こ
れらに限定されない。溶媒の決定には、溶媒の沸点、得
られた共重合体の溶解性や分子量、更に作業性などを考
慮にいれることが必要で、例えば、酢酸エチルや酢酸エ
チルとトルエンとの混合溶媒等が特に好ましい。又、重
合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリ
ルパーオキサイド等の各種過酸化物、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ化合物等の公知の重合開始剤が単独
又は併用して使用される。これらは通常、モノマー10
0重量部に対して0.05〜0.5重量部の割合で使用さ
れる。
【0012】乳化重合に当たっては水、乳化剤及び重合
触媒の存在下にアクリル系単量体を一時又は連続的に添
加して加熱、撹拌する如き通常の乳化重合法が実施し得
る。乳化剤としては、例えば、非イオン活性剤、セルロ
ース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、(無水)マレイン
酸−ビニルエーテル共重合体、(無水)マレイン酸−酢
酸ビニル共重合体、PVA等を適宜併用することが出来
る。該乳化剤の添加量は、アクリル系単量体の種類や要
求される共重合体エマルジョンの樹脂分等により当業者
の知見より決定することが出来る。更にフタル酸エステ
ル、燐酸エステル等の可塑剤、炭酸ソーダ、酢酸ソー
ダ、燐酸ソーダ等のPH調整剤等の助剤も勿論併用可能
である。
【0013】本発明に用いられるPVAはケン化度が6
0〜98モル%であることが必須で60モル%未満では
本発明のプラスチックフイルムの機械的強度が低下し、
又変形が起こり易いという不都合がおこる。逆に98モ
ル%を越えるとアクリル樹脂との混和性が悪くなり、透
明性を損なったり、又溶解ないし溶融性が悪くなりフィ
ッシュアイを生じ易い等の不都合が起こり、本発明の目
的を達成出来ない。特に好ましい範囲は70〜90モル
%で該PVAはポリ酢酸ビニルをケン化したもののみに
限定されるものではなく、酢酸ビニルと他の共重合可能
なモノマーとの共重合体ケン化物、あるいはこれらのア
セタール化物等の変性ポリビニルアルコールも用いるこ
とが出来る。
【0014】酢酸ビニルと共重合させ得る成分として、
例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オク
テン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン
類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるい
はその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、ア
クリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレ
ンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン
酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキル
ビニルエステル類、N−アクリルアミドメチルトリメチ
ルアンモニアクロライド、ジメチルジアリルビニルケト
ン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン等が挙げられる。又、PVAをアセタール化、グリオ
キザール化、アセトアセチル化、エステル化、スルホン
化、カチオン化等の後変性したものも使用可能である。
また、重合度は特に限定されないがフイルムの機械的性
質(引張強伸度、フイルムインパクト強伸度)及び加工
性の容易さを考慮すると平均重合度が500〜1700
の範囲が適当である。
【0015】本発明のプラスチックフイルムは、(A)、
(B)、(C)の混合物を公知の方法で製膜することによっ
て製造されるが、(A)、(B)、(C)は粉末状、ペレット
状、溶融状、エマルジョン状、サスペンション状等のい
ずれの形態であっても良く、又混合順序も任意である。
(A)、(B)、(C)の配合重量比は、樹脂(固形)分換算
で(B)/(A)=0.1〜2.0、(C)/〔(A)+(B)〕=
0.1〜1.0であることが望ましく、(B)/(A)比が
0.1未満ではプラスチックフイルムがもろくなり脆弱
となり、また2.0を越えるとプラスチックフイルムが
常温で柔らかくなりすぎ成型物を得るのが難しくなる。
特に好ましくは、(B)/(A)=0.1〜0.5である。ま
た(C)/〔(A)+(B)〕比が0.1未満では、プラスチ
ックフイルムの製造時にバインダー効果を有する(C)成
分が少なすぎて該フイルムの成膜性が悪くなり、透明性
も低下する。また1.0を越える程多量に(C)成分を添
加しても、著しいバインダー効果は期待出来ない。特に
好ましくは(C)/〔(A)+(B)〕=0.1〜0.5であ
る。
【0016】以下に本発明のプラスチックフイルムの製
造方法、後処理方法及び積層方法を説明するが以下の方
法に限定されないことは言うまでもない。本発明のプラ
スチックフイルムの製造方法の一例を以下に示す。流延
製膜法としては公知の回転ドラム方式、エンドレスベル
ト方式がいずれも採用しうる。(A)、(B)、(C)成分の
他に必要に応じグリセリン、エチレングリコール、プロ
ピレングリコールなどの可塑剤や消泡剤や着色剤を加え
濃度10〜40%の溶液として流延に供される。最適の
濃度はこの範囲から(A)、(B)、(C)成分の種類や配合
比率、目的とする膜厚、乾燥効率等を考慮して決定され
る。原料水溶液の温度は室温〜80℃程度に保って流延
するのが普通であり、一方フイルムの乾燥温度は60〜
110℃程度に設定するのが通常である。
【0017】含水押出法としては、一般的にPVAフイ
ルムの押出製膜に用いられている、インフレ成形法、T
ダイ押出成形法が採用できる。これは、固形分濃度40
〜60重量%のPVAと水の混合物を100℃前後の温
度で成形加工する方法であるが、本法においては、PV
Aとアクリルエマルジョンの混合物を用いることを特徴
とし、固形分60重量%以上で成形加工する。通常の溶
融成形法と比較すると押出機は同様の物を用いるが、ダ
イ吐出後、乾燥ゾーンを設けること及び成形温度が低い
等の点で異なっている。
【0018】押出機に原料を供給する方法としては次の
様な方法がとられる。 1)予めニーダー等でPVA粉体とアクリルエマルジョ
ンを混練した粉体状の含水樹脂を用いる 2)PVA粉体とアクリルエマルジョンをそのまま押出
機に供給する。PVAはホッパー口より供給し、エマル
ジョンはシリンダー内にポンプで注入する。 又、製膜する場合は、一旦二軸押出機でコンパウンド化
したペレットを用いるのが好ましい。成形温度はコンパ
ウンド化、製膜いずれにおいても同様で、ダイ温度90
〜95℃、シリンダー温度100〜120℃の条件が適
当である。又、製膜時の乾燥温度は90〜100℃が好
ましく、揮発分10重量%以下、好ましくは3重量%以
下にする。熱処理は乾燥ゾーンの後に熱処理ゾーンを設
けて行うのが望ましいが、製膜と熱処理を別々に行うこ
とも可能である。熱処理方法は、送風方式あるいは熱ロ
ール方式等が適当である。
【0019】上記の様な水系キャスト法あるいは含水押
出成形法が好ましいが、その他溶融押出成形法、溶剤キ
ャスト法によっても本発明のプラスチックフイルムの製
造は可能である。例えば、本発明の(A)、(B)、(C)の
混合組成物を溶融押出成形するに当たっては、溶融成形
機は特に制限はなく通常の熱可塑性樹脂用の溶融成形機
が用いられ、押出機にインフレーションダイ、又はTダ
イ等を取付けて任意の形状のフイルムが製造される。押
出機の運転条件としては吐出部温度を160〜200
℃、スクリュー圧縮部温度を吐出部温度より10〜20
℃高い温度に調整することが必要である。吐出部温度が
上記の上限をはずれると樹脂の熱分解がおこりがちであ
り、一方下限をはずれると樹脂の流動性が低下するとい
う難点がある。バレルの加熱は電熱、油加熱あるいはス
チーム加熱などの手段によって行われ、加熱器はシリン
ダーを通常3〜5コの部分に区別してそれぞれ独立に温
度調整出来るようにセットされる。
【0020】本発明においては溶融成形時に必ずしも可
塑剤の添加は必要としないのであるが、必要とあれば少
量の水や可塑剤を添加してもよい。かかる可塑剤として
はグリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、トリメチロールエーテル、トリメ
チロールプロパン等が挙げられる。又溶融成形を実施す
るに当たってはクレー、シリカ、炭酸カルシウム等の無
機微粉末、あるいは着色剤、界面活性剤、酸化防止剤
等、通常成形品に添加される公知の配合剤を適宜使用す
ることが出来る。上記、溶融押出成形法は(C)のケン化
度が70モル%以下の場合に、特に有用な方法である。
かくして得られたプラスチックフイルムはそのままでも
充分実用に供し得るが、更に熱処理や積層を行うことに
より、より有用性の高いものとなる。
【0021】本発明のプラスチックフイルムは製造後、
熱処理や延伸処理を行うことにより、より強度が向上し
製膜後の水の溶出率も低減し、良好なプラスチックフイ
ルムを得ることが出来る。熱処理温度は150℃以上が
好ましく、特に好ましくは180℃以上である。熱処理
温度が低いと強度向上等、前記の効果が期待できない。
熱処理方法の一例を挙げれば以下の通りである。前記製
造のプラスチックフイルムを該フイルム温度80〜12
0℃、延伸倍率1.2〜2程度で延伸処理を行った後、
150〜200℃で数10秒ないし、数分間緊張下に該
フイルムを保ちながら熱処理を行う。
【0022】本発明のプラスチックフイルムをPTP用
包装材に用いる場合、より高い、不透湿性を要求され
る。その時は、本発明のプラスチックフイルムに不透湿
性に優れたポリオレフィン系樹脂又は塩化ビニリデン樹
脂を積層することが出来る、具体的には上記樹脂とのラ
ミネート法や該樹脂溶液の塗工等による方法が挙げられ
る。
【0023】ラミネート方法としては例えば、本発明の
プラスチックフイルムに、ポリオレフィン系樹脂や塩化
ビニリデン樹脂を溶融押出ラミネートする方法、逆に該
樹脂の基材に本発明の(A)、(B)、(C)から成る組成物
を溶融押出ラミネートする方法、本発明の(A)、(B)、
(C)から成る組成物と該樹脂とを共押出する方法、更に
は本発明のプラスチックフイルムと該樹脂フイルムとを
有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステ
ル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方
法等が挙げられる。
【0024】また該樹脂を塗工する方法としては、該樹
脂をメチレンクロリド等に溶解した溶液あるいはエマル
ジョンを本発明のプラスチックフイルム上に塗布乾燥す
る方法等が挙げられる。上記方法により5〜20μm厚
のPP層や塩化ビニリデン層を積層することにより透湿
度を3〜0.5(g/m2・24h)程度まで低下させるこ
とが出来る。次に本発明のプラスチックフイルムの用途
の一つである医薬品用PTP包装の工程例について述べ
る。
【0025】まず、PTP小板(薬剤収納室)となる本
発明のプラスチックフイルム(通常厚み150〜300
μm)を熱板により約120℃に余熱し、成型金型に沿
うように圧空又は真空で所定形状に成型する。次に成型
されたプラスチックフイルムのポケットに薬剤等の被包
装物をパーツフィーダ等により充填し、アルミフイルム
などの蓋(裏打ち)材をプラスチックフイルムとヒート
シール等の方法でシールする。そして、被包装物が10
〜50個程度の単位になる様に金型で打ち抜きPTP板
をつくる。最後に被包装物を1個ずつ分離するためのミ
シン目又はスリット処理を行う。必要に応じて製造年月
日等の印刷や刻印をする場合もある。以上の様な当業者
周知の方法によって容易に本発明のプラスチックフイル
ムをPTP包装に利用することが出来る。
【0026】
【作 用】本発明の膨潤軟化型プラスチックフイルム
は、常態では、ポリ塩化ビニルやポリプロピレン等のプ
ラスチックフイルムと同様成型加工性に優れた剛性をも
ったフイルムであるが、体内に入ると、体内分泌液によ
り膨潤軟化し剛性を失い、体内臓器に損傷を与えること
なく、ついには体外に排出される安全性の高いものであ
る。
【0027】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明
する。 実施例1 (A)成分としてメタクリル酸メチルとメタクリル酸共重
合体(共重合モル比=97/3、Tg=106℃、カル
ボキシル基含有量1.8重量%)のエマルジョン溶液
(固形分40重量%)、(B)成分としてアクリル酸、エ
チルアクリレートより成る共重合体(共重合モル比=9
5/5、Tg=−21℃、カルボキシル基含有量2.3
重量%)のエマルジョン溶液(固形分40重量%)及び
(C)成分としてゴーセノールGH−17(日本合成化学
工業(株)製、重合度1700、ケン化度88モル%の
PVA)の20重量%水溶液の3成分を固形分重量比で
(A)/(B)/(C)=56/21/30になるように混合
液を作製した。(A)と(B)との総重量中のカルボキシル
基含有量は20重量%であった。その後、この液をガラ
ス板に流延し、アプリケーターにより所定の厚みになる
様にキャストし、室温風乾後、厚み150μmのプラス
チックフイルムを得た。その後オーブンにて200℃、
2分間熱処理を行ってプラスチックフイルムの物性を調
べた。
【0028】実施例2,3,4 (A),(B)及び(C)成分として表1に示す樹脂を用い、
実施例1と同様にプラスチックフイルムを作製し、その
物性を調べた。
【0029】実施例5 表1に示す(A)、(B)及び(C)成分を用いて含水押出成
形法にてフイルムを作製した。 ○含水混合粉体作製 表−1に示した(A)成分及び(B)成分エマルジョン(固
形分濃度各50重量%)と(C)成分PVA(ゴーセノー
ルAH−17、日本合成化学工業(株)製、ケン化度96
モル%、重合度1700)粉体を固形分重量比42/1
8/40になる様に、秤量してニーダー中に一旦投入し
た。室温下約30分間ニーダー中で混練した結果、べと
つきのないややバルキーな粉体が得られた。該粉体の1
0Mesh以下ふるい品を押出に供した。最終的に得られた
粉体の固形分は、約65重量%であった。
【0030】○コンパウンド化 上記原料を用い、ベント型二軸押出機を用いコンパウン
ド化を行った。成形温度はダイの温度95℃、シリンダ
ー温度100〜120℃で行った。吐出後の冷却は空冷
で行い、ペレタイザーを用いてペレット化した。得られ
たペレットの固形分は73重量%であった。○製膜 40mmφ,L/D=28の単軸押出機を用いて押出製膜
した。ダイはコートハンガー型、スクリューはフルフラ
イト型圧縮比3のものを用いた。成形温度はダイ温度9
5℃、シリンダー温度100〜115℃で行い、リップ
クリアランス0.5mmにした。吐出後105℃に設定し
た乾燥ゾーンに通した後、巻き取った。得られたフイル
ムの厚みは250μm、揮発分は3重量%であり透明で
あった。○熱処理 実施例1と同じ方法で行った。
【0031】実施例6 表1に示す(A)、(B)及び(C)成分を用いて溶融押出成
形法にてフイルムを作製した。○エマルジョンの粉体化 表−1に示した(A)、(B)二種のエマルジョンを7/3
の重量比になる様にし、送風乾燥機中80℃で24h乾
燥した。得られた固形物を細川式粉砕機を用いて100
Mesh以下に粉砕した。この粉体を水洗浄し不純物を除去
した後、50℃で乾燥した。
【0032】○混合粉体作成 上記アクリル粉体とPVA(ゴーセノールNK−05、
日本合成化学工業(株)製、ケン化度70モル%、重合
度500)を80/20の重量比になる様、ヘンシェル
ミキサーで混合した。○コンパウンド化 上記混合粉体をベント型二軸押出機を用いコンパウンド
化を行った。ダイの温度200℃、シリンダ温度200
〜230℃で押出した。○押出製膜 実施例5と同じ成形機を用い、ダイ温度190℃、シリ
ンダー温度200〜230℃で押出成形を行い、200
μmの透明なフイルムが得られた。○熱処理 実施例1と同じ方法で行った。
【0033】比較例1〜4 表1に示す各成分を用い実施例1と同様にフイルムを作
製した。実施例及び比較例で得られたプラスチックフイ
ルムの物性を表2に示す。
【0034】
【表1】 註) ・(A)、(B)及び(C)各成分の配合量は樹脂(固形)分
重量部 ・MMA;メタクリル酸メチル、MAA;メタクリル
酸、AA;アクリル酸、BA;ブチルアクリレート、E
A;アクリル酸エチル、ST;スチレン、BD;ブタジ
エンを各々表す
【0035】
【表2】 註) ・実施例1′は実施例1でオーブンでの熱処理を行わな
かったもの ・物性測定法は以下の通り
【0036】○引張弾性率、強度、伸度 作製した試料フイルムを東洋精機製テンサイルテスター
を用いて測定した。 試験片形状:幅1.0cm、チャック間2.0cm、厚さ15
0〜300μm、短冊型 引張速度:4.0cm/min 調湿条件:20℃,65%RH 1週間養生 尚、測定雰囲気は以下に述べる様に、常態雰囲気及び水
中浸漬下での2種行った。・常態雰囲気下 20℃,65RH%で常法により測定、引張弾性率、引
張(破断)強度、同伸度を求めた・水中浸漬下 試料を常態下チャックに装着し、チャックごと36℃の
PH7の標準緩衝液中に15分浸漬後引張試験を行っ
た。弾性率は応力〜歪曲線の初期勾配より求めた。
【0037】○膨潤度 試料フイルム(15cm×15cm×厚み約200μm)を
36℃のPH7の標準緩衝液中に15分浸漬後、フイル
ム表面の付着液を濾紙で軽くふき取り重量を測定試験前
後の重量変化より下式の如く、膨潤度を算出した。 膨潤度(%)=〔(水浸漬後の重量−水浸漬前の重量)/水
浸漬前の重量〕×100
【0038】○成型加工性 作製したプラスチックフイルムを120℃で圧空成型機
((株)テクノ自動機製作所製PTP包装機、型式FM−
150V)を用いポケット加工を行い、ポケットの成型
性を調べた。 ○・・・良好なポケットを成型 △・・・ポケットがやや変性 ×・・・ポケット加工困難 表2より、本発明による実施例1〜6のプラスチックフ
イルムは、PTP包装用フイルムとして加工性に富み、
また、含水膨潤により軟化し、良好な特性をもってい
る。
【0039】
【発明の効果】かくして、本発明で得られた膨潤軟化型
プラスチックフイルムは、常態では包装用フイルムとし
て良好な物性を保ち、体内では剛性を失い、軟化するた
め、誤飲しても人体に対しては安全であり、薬剤のPT
P包装材として大変有用である。また、小児向け菓子や
玩具等の包装材としても有用で小児が誤って該包装材を
口にしても軟化し、人体を傷つけることなく安全であ
る。更に、用途的には各種食品包装材(トレー、箱、フ
イルム等)等にも利用出来る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ガラス転移温度60℃以上のアクリル
    系樹脂、(B)ガラス転移温度−5℃以下のアクリル系樹
    脂及び(C)平均ケン化度60〜98モル%のポリビニル
    アルコール系樹脂からなる組成をもち、かつ(A)、(B)
    の少なくとも一方の樹脂はカルボキシル基を含有し、そ
    の含有量は(A)と(B)との総重量に対して1〜30重量
    %であることを特徴とする膨潤軟化型プラスチックフイ
    ルム。
  2. 【請求項2】(A)、(B)、(C)の混合重量比が(B)/
    (A)=0.1〜2.0、(C)/〔(A)+(B)〕=0.1〜
    1.0であることを特徴とする請求項1記載の膨潤軟化
    型プラスチックフイルム
  3. 【請求項3】製膜後のプラスチックフイルムを150℃
    以上で熱処理することを特徴とする請求項1記載の膨潤
    軟化型プラスチックフイルム
  4. 【請求項4】ポリオレフィン系樹脂又は塩化ビニリデン
    樹脂が積層されてなることを特徴とする請求項1記載の
    膨潤軟化型プラスチックフイルム。
JP29071391A 1991-10-09 1991-10-09 膨潤軟化型プラスチツクフイルム Pending JPH0598036A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29071391A JPH0598036A (ja) 1991-10-09 1991-10-09 膨潤軟化型プラスチツクフイルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29071391A JPH0598036A (ja) 1991-10-09 1991-10-09 膨潤軟化型プラスチツクフイルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0598036A true JPH0598036A (ja) 1993-04-20

Family

ID=17759560

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29071391A Pending JPH0598036A (ja) 1991-10-09 1991-10-09 膨潤軟化型プラスチツクフイルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0598036A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010018678A (ja) * 2008-07-09 2010-01-28 Olympus Corp 熱可逆架橋性樹脂組成物及び該組成物を用いた軟質管状構造体
WO2011080206A3 (en) * 2009-12-28 2011-09-15 Akzo Nobel Chemicals International B.V. Functionalized polyvinyl alcohol films
JPWO2019073820A1 (ja) * 2017-10-10 2020-05-28 松本油脂製薬株式会社 二次電池スラリー用分散剤組成物及びその利用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010018678A (ja) * 2008-07-09 2010-01-28 Olympus Corp 熱可逆架橋性樹脂組成物及び該組成物を用いた軟質管状構造体
WO2011080206A3 (en) * 2009-12-28 2011-09-15 Akzo Nobel Chemicals International B.V. Functionalized polyvinyl alcohol films
JPWO2019073820A1 (ja) * 2017-10-10 2020-05-28 松本油脂製薬株式会社 二次電池スラリー用分散剤組成物及びその利用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3516808B2 (ja) 酢酸ビニル系重合体の製法、酢酸ビニル系重合体ケン化物の製法および樹脂組成物
JP4079723B2 (ja) 溶融成形品
JPWO2017043509A1 (ja) 水溶性フィルム、薬剤包装体及び水溶性フィルムの製造方法
JPH02124945A (ja) 水溶性フイルム
JP2005179390A (ja) 水溶性フィルム
JP2024069259A (ja) 水溶性フィルムおよび包装体
JP4565803B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法
JPWO2020138443A1 (ja) 水溶性フィルムおよび包装体
JPS63168437A (ja) アルカリ性物質包装用のポリビニルアルコ−ルフイルム
JP2016117794A (ja) 水溶性フィルム及び薬剤包装体
JP5122040B2 (ja) ポリビニルアルコール系水溶性フィルムおよびその製造法
JP4705209B2 (ja) エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法
JPH0680709A (ja) 分散剤
JPH0598036A (ja) 膨潤軟化型プラスチツクフイルム
WO2020138439A1 (ja) 水溶性フィルムおよび包装体
JP5307960B2 (ja) ロングラン性の改善されたエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物およびその成形物
JP2002053727A (ja) 水溶性樹脂組成物および水溶性フィルム
JP5456471B2 (ja) 塩化ビニリデンポリマー組成物の製造方法ならびにその組成物から得られるフィルムおよびパッケージング
JP3839534B2 (ja) エチレン−ビニルアルコール共重合体の製法
JP2002053674A (ja) 水溶性フィルム
JPS63108016A (ja) 変性ポリビニルアルコ−ル共重合体の製造法
JPH09278911A (ja) 高バリヤ−性塩化ビニリデン系延伸フィルム
WO2022004343A1 (ja) 水溶性フィルムおよび包装体
JP4433106B2 (ja) 高ニトリル共重合体を被覆したガスバリヤー性フィルム
JP3406009B2 (ja) 表面に親水性を付与した樹脂組成物