JPH059709Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、電磁力駆動式フオーカルプレンシヤ
ツタ、特に実用新案登録請求の範囲の前文に記載
した形式のフオーカルプレンシヤツタの改良に関
する。

〔従来の技術〕

近年、カメラの自動化が進みフオーカルプレン
シヤツタにおいても、羽根群の駆動力源としてバ
ネを用いずに電磁アクチユエータ等を用いる試み
がなされている。駆動力源としてバネを用いてい
る従来のフオーカルプレンシヤツタでは露出毎に
作動の終つた羽根群をスタート位置へ戻して駆動
バネをチヤージしてやる必要があるため、露出時
の羽根群の作動方向は一定であつた。これに対
し、駆動力源として電磁アクチユエータを用いる
形式のもの（特開昭53−69029号公報参照）では、
アクチユエータに供給される駆動電流の方向を反
転させてやれば、羽根群の露出作動終了位置がそ
のまま露出スタート位置として利用できるので好
都合である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、一般的に羽根群を用いる形式のフオ
ーカルプレンシヤツタでは、露出作動終了時にお
ける羽根群のバウンドによつても再露出が行われ
ることのないようにするため、閉鎖羽根群のスリ
ツト形成羽根は開放羽根群のスリツト形成羽根よ
りもアパーチヤ形成縁からより深く進入した位置
で停止するように設計されている。従つて、羽根
群の露出作動終了位置すなわち上記停止位置をそ
のまま露出スタート位置として利用すると、アパ
ーチヤを開放するまでの羽根群の助走距離が長く
なるため実際の露出に関与する羽根群の速度すな
わち幕速は、正規の開放羽根群の露出作動終了位
置を露出スタート位置として利用する場合よりも
速くなり、結果、同じ設定秒時でも実際には一回
置きに露出時間が異なると云う即ち露出ムラが生
じると云う不都合があつた。

本考案は、かかる不都合をなくしたこの種形式
のフオーカルプレンシヤツタを提供することを目
的とする。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

この目的は、本考案によれば、一方の羽根群の
ためのアクチユエータと他方の羽根群のためのア
クチユエータにおいて回転子と固定子の相対位置
を基準の位置よりずらして各羽根群のアパーチヤ
開放時と閉鎖時とで回転子の初速に差が出るよう
にすると共に、各羽根群の作動方向に対して作用
が対称になるように構成することにより達成され
る。

〔実施例〕

以下、図示した一実施例に基づき本考案を具体
的に説明すれば、第１図及び第２図において、１
はアパーチヤ１ａを有するシヤツタプレート、２
は軸２ａによりシヤツタプレート１上に枢着され
た第一羽根駆動アーム、３は軸３ａによりシヤツ
タプレート１上に枢着された第一羽根支持アー
ム、４は軸４ａによりシヤツタプレート１上に枢
着された第二羽根駆動アーム、５は軸５ａにより
シヤツタプレート１上に枢着された第二羽根支持
アーム、６，７は第一羽根駆動アーム２と第一羽
根支持アーム３とにより少なくとも長辺に沿う一
部分が重合するように枢支されていて図示した展
開位置においてアパーチヤ１ａを完全に覆い得る
ように大きさの第一の羽根群、８，９は第二羽根
駆動アーム４と第二羽根支持アーム５とにより図
示した折りたたみ位置において短辺方向には完全
に重合してアパーチヤ１ａより下方へ完全に退避
し得るような大きさの第二の羽根群である。第１
図から明らかなように、第一羽根駆動アーム２と
第一羽根支持アーム３と第一の羽根群６，７とか
ら成る第一羽根アツセンブリと、第二羽根駆動ア
ーム４と第二羽根支持アーム５と第二の羽根群
８，９とから成る第二羽根アツセンブリとは、何
れも平行リンク機構を構成していて互いに裏返し
の関係に配置されており、第一羽根アツセンブリ
が図示の展開位置からアパーチヤ１ａより退避す
る図示しない上方の折りたたみ位置まで移動し又
第二羽根アツセンブリが図示した折りたたみ位置
からアパーチヤ１ａを覆う図示しない展開位置ま
で移動することによつて一回の露出が行われ、更
に第二羽根アツセンブリと第一羽根アツセンブリ
との上記とは逆の移動により一回の露出が行われ
る。この説明から明らかなように、羽根７の下縁
７ａと羽根９の上縁９ａとにより露出スリツトが
形成され、又羽根停止時のバウンドによる露出終
了後の再露出を防止するため羽根７の下縁７ａの
アパーチヤ１ａの下辺よりの進入深さＤは羽根８
及び９のアパーチヤ１ａの下辺よりの退避深さ
D′よりは!?かに大きい、１０はシヤツタプレー
ト１上に配設されていて第一羽根支持アーム３と
協働して第一羽根アツセンブリが展開位置にある
か折りたたみ位置にあるかを検知する位置検出セ
ンサ、１１はシヤツタプレート１上に配設されて
いて第二羽根支持アーム５と協働して第二羽根ア
ツセンブリが展開位置にあるか折りたたみ位置に
あるかを検知する位置検出センサである。第２図
において、１２はシヤツタプレート１と所定の間
隔を置いてシヤツタプレート１上に重ねた状態で
固着されていてアパーチヤ１ａに整合するアパー
チヤ１２ａと軸２ａ及び４ａとそれぞれ同心の円
弧状スロツト１２ｂ，１２ｃとを有するカバープ
レート、１３はカバープレート１２上に軸２ａと
同心的に取付けられていてヨーク１３ａと励磁コ
イルより成る固定子１３ｂと軸２ａと同心的に回
動可能の永久磁石より成る回転子１３ｃと開放ロ
ツク用鉄ピン１３ｄと閉鎖ロツク用鉄ピン１３ｅ
とを含む第一のアクチユエータ、１４は一端が回
転子１３ｃの主軸に固着され又他端がスロツト１
２ｂを通して第一羽根駆動アーム２に枢着された
第一作動レバー、１５はカバープレート１２上に
軸４a′と同心的に取付けられていてヨーク１５ａ
と励磁コイルより成る固定子１５ｂと軸４ａと同
心的に回転可能の永久磁石より成る回転子１５ｃ
と開放ロツク用鉄ピン１５ｄと閉鎖ロツク用鉄ピ
ン１５ｅとを含む第二のアクチユエータ、１６は
一端が回転子１５ｃの主軸に固着され又他端がス
ロツト１２ｃを通して第二羽根駆動アーム４に枢
着された第二作動レバーである。

この場合、第一のアクチユエータ１３の励磁コ
イル１３ｂへの給電回路には位置検出センサ１０
が接続されていて、第一羽根支持アーム３との協
働作用により、回転子１３ｃが閉鎖ロツク用鉄ピ
ン１３ｅによりロツクされている図示位置にある
時と回転子１３ｃが開放ロツク用鉄ピン１３ｄに
よりロツクされた位置（図示せず）にある時と
で、シヤツタレリーズに際し励磁コイル１３ｂに
供給されるべき電流の方向を反転させ得るように
なつており、又前記進入深さＤと退避深さD′と
の差を考慮して、回転子１３ｃの図示した閉鎖ロ
ツク位置において、回転子１３ｃの作動角αの二
等分線Ａと直交する回転子中心を通る線分Ｂ（基
準位置）より励磁コイル１３ｂの巻線中心を通る
二等分線Ｃが角度θだけ反時計方向へずれた位置
を占めるように固定子１３ｂの取付け位置が選定
されている。第二のアクチユエータ１５の励磁コ
イル１５ｂへの給電回路には位置検出センサ１１
が接続されていて、第二羽根支持アーム５との協
働作用により、回転子１５ｃが開放ロツク用鉄ピ
ン１５ｄによりロツクされている図示位置にある
時と回転子１５ｃが閉鎖ロツク用鉄ピン１５ｅに
よりロツクされた位置（図示せず）にある時と
で、シヤツタレリーズに際し励磁コイル１５ｄに
供給されるべき電流の方向を反転させ得るように
なつており、又、前記進入深さＤと退避深さ
D′との作動を考慮して、回転子１５ｃの図示し
た開放ロツク位置において、回転子１５ｃの作動
角αの二等分線Ａと直交する回転子中心を通る線
分Ｂ（基準位置）より励磁コイル１５ｂの巻線中
心を通る二等分線Ｃが角度θだけ時計方向へずれ
た位置を占めるように固定子１５ｂの取付け位置
が選定されている。

本案フオーカルプレンシヤツタは上記のように
構成されているから、図示位置においてシヤツタ
レリーズを行えば、先づ第一のアクチユエータ１
３の励磁コイル１３ｂに回転子１３ｃを反時計回
転せしめるべき方向の電流が供給されて、第一の
羽根群６，７はアパーチヤ１ａ，１２ａを開放す
る上方の折りたたみ位置（図示せず）まで移動せ
しめられ、露出を開始させる。次に、例えば図示
しない周知の露出時間制御回路により設定秒時経
過後第二のアクチユエータ１５の励磁コイル１５
ｂに回転子１５ｃを反時計回転せしめるべき方向
の電流が供給されて、第二の羽根群８，９はアパ
ーチヤ１ａ，１２ａを閉鎖する展開位置（図示せ
ず）まで移動せしめられ、露出を終了させる。か
くして一回目の露出作動を終了し、各回転子１３
ｃ，１５ｃはロツク用鉄ピン１３ｄ，１５ｅによ
つてその位置にロツクされる。この時、位置検出
センサ１０上には第一羽根支持アーム３の尾部が
進入し、又位置検出センサ１１上からは第二羽根
支持アーム５の尾部が退避して、励磁コイル１３
ｂ，１５ｂへ供給されるべき電流の方向をそれぞ
れ反転させるように各給電回路へ制御信号を出力
する。次に再びシヤツタレリーズを行えば、第一
及び第二のアクチユエータ１３，１５は、上述と
は逆の順序でそれぞれ逆転して第一及び第二羽根
アツセンブリをそれぞれ図示位置まで移動させ、
二回目の露出作動を終了させる。以後はシヤツタ
レリーズ毎に上述の作動を交互に繰り返す。

以上の説明で明らかなように、一回目の露出作
動に際して、第一のアクチユエータ１３において
回転子１３ｃが起動後所定の最大トルクに達する
までの回転角は第二のアクチユエータ１５におい
て回転子１５ｃが起動後所定の最大トルクに達す
るまでの回転角より角度θだけ大きくなる（第３
図参照）から、Ｄ−D′を考慮してθを適用に選
定すれば、実際に露出に関与する第一の羽根群
６，７の走行特性は第４図ａにＦで示す如くな
り、これに対応する第二の羽根群８，９の走行特
性はＲで示す如くなる。即ち、第４図ａにおい
て、t₀は設定秒時に対応して露出時間制御回路に
より決定される所謂アンプ秒時、t₁は実際の露出
開始時の露出秒時、t₂はセンター露出秒時（基準
秒時、t₃は露出終了時の露出秒時であつて、本考
案では、t₀をt₂よりも長くとることにより、t₁，
t₃とほぼ等しくし、極めて良好な露出特性を得る
ことができるようにしたものである。この関係は
二回目の露出の際もそのまま成り立つから、常に
設定秒時に対応したムラのない露出を行なうこと
ができる。第４図ｂは上記θの補正を加えない場
合における第４図ａと同様の第一及び第二の羽根
群の走行特性を比較のために示したものである
が、第３図及び第４図中に示された記号は第１図
及び第２図中に示された記号に対応するものであ
る。

以上、実施例では第一及び第二の羽根群はそれ
ぞれ二枚で構成されているが、これらは三枚以上
であつてもよいし、又固定子を永久磁石で回転子
をコイルでそれぞれ構成してもよいことは云うま
でもない。この場合、永久磁石の着磁方向を第一
及び第二のアクチユエータで基準位置よりそれぞ
れ角度θだけ対照的にずらすようにすればよい。

〔考案の効果〕

上述の如く本考案によれば、一回目と二回目と
で露出ムラの生じることのない極めて高性能のこ
の種フオーカルプレンシヤツタを提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるフオーカルプレンシヤ
ツタの第一羽根アツセンブリと第二羽根アツセン
ブリの展開状態と折りたたみ状態を示す平面図、
第２図は第１図に対応する本考案に係るフオーカ
ルプレンシヤツタの一部破断平面図、第３図は第
一及び第二のアクチユエータにおける回転子の変
位角とトルクの関係を示す特性線図、第４図は第
一及び第二の羽根群の走行特性を示す特性線図で
ある。 １……シヤツタプレート、１ａ……アパーチ
ヤ、２……第一羽根駆動アーム、３……第一羽根
支持アーム、４……第二羽根駆動アーム、５……
第二羽根支持アーム、６，７……第一の羽根群、
８，９……第二の羽根群、１０，１１……位置検
出センサ、１２……カバープレート、１２ａ……
アパーチヤ、１３……第一のアクチユエータ、１
４……第一作動レバー、１５……第二のアクチユ
エータ、１６……第二の作動レバー、１３ｂ，１
５ｂ……固定子、１３ｃ，１５ｃ……回転子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アパーチヤと開閉する第一の羽根群及び第二の
   羽根群と、第一の羽根群に連結された回転子と該
   回転子に電磁駆動力を付与するための固定子とを
   備えていてアパーチヤを開閉するため第一の羽根
   群を往復動させる第一のアクチユエータと、第二
   の羽根群に連結された回転子と該回転子に電磁駆
   動力を付与するための固定子とを備えていてアパ
   ーチヤを開閉するため第二の羽根群を往復動させ
   る第二のアクチユエータとを具備し、第一及び第
   二の羽根群の同一方向への往動時と復動時毎に露
   出を行うようにしたフオーカルプレンシヤツタに
   おいて、第一及び第二のアクチユエータの各回転
   子に対する各固定子の取付け位置を、第一及び第
   二の羽根群をアパーチヤ閉鎖位置から開放位置へ
   夫々持ち来たすのに必要な各回転子の回動角の1/
   ２に対応する基準位置より同一角度だけ対称的に
   ずらすことにより、第一及び第二の羽根群の往動
   時と復動時における初速に差が夫々生じるように
   すると共に、初速の差の生じ方が反対になるよう
   に構成し、第一及び第二のアクチユエータの各固
   定子に、第一及び第二の羽根群を夫々アパーチヤ
   閉鎖位置と開放位置とに休止させるため各回転子
   を磁気的にロツクし得る一対のロツク部材を夫々
   設けたことを特徴とするフオーカルプレンシヤツ
   タ。