JPH0595955A - 超音波治療装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】振動伝達部材とシ−スが摺接しても、摩擦によ
り振動伝達部材の側面が磨耗するのを防止できる超音波
治療装置を提供すること。 【構成】超音波振動子６と、超音波振動子６に連結され
た振動伝達部材１２と、超音波振動子６を覆う振動子カ
バ−１０と、振動子カバ−１０に連結され、振動伝達部
材１２の先端部を除いて振動伝達部材１２を覆うシ−ス
３２とを備え、超音波振動子６で発生した超音波振動に
よる被処置部の治療と、振動伝達部材１２に高周波電流
を流し、高周波電流による被処置部の治療とが可能な超
音波治療装置において、振動伝達部材１２の側面の少な
くとも一部分に表面硬化処理を施したことを特徴として
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、超音波振動によって生
体内の患部組織を切除する等の処置を行う超音波治療装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、超音波治療装置は、超音波振動
子の先端に振動伝達部材を連結して構成され、超音波振
動子と振動伝達部材とは、振動子カバ−とシ−スによっ
て各々覆われている。そして、振動伝達部材の先端を患
部組織に接触させ、超音波振動子で発生する超音波振動
を振動伝達部材から患部組織に伝達し、それによって例
えば患部組織を切除するように構成されている。

【０００３】このような超音波治療装置を用いて生体組
織を切除する際には、切除した組織から出血がしばしば
起こる。そこで、特開平３−１３９３４３号公報には、
出血が発生した際に振動伝達部材に高周波電流を流すこ
とで、組織の止血を行う技術が示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の超音波治療装置
を用いて生体組織を切除し、止血を行う場合、超音波振
動している振動伝達部材の側面と振動伝達部材を覆うシ
−スの内面とが接触すると、その摩擦により接触した部
分の振動伝達部材が磨耗し、破損に至るおそれがある。

【０００５】本発明は上記課題に着目してなされたもの
であり、その目的は振動伝達部材とシ−スとが接触して
も、摩擦により振動伝達部材の側面が磨耗するのを防ぐ
とともに、組織から出血した際に振動伝達部材に高周波
電流を流すことで、組織の止血を行うことが可能な超音
波治療装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】発明の超音波治療装置
は、超音波振動子と、この超音波振動子に連結された振
動伝達部材と、前記超音波振動子を覆う振動子カバ−
と、この振動子カバ−に連結され、前記振動伝達部材の
先端部を除いて振動伝達部材を覆うシ−スとを備え、前
記超音波振動子で発生した超音波振動による被処置部の
治療と、前記振動伝達部材に高周波電流を流し、この高
周波電流による被処置部の治療とが可能な超音波治療装
置において、前記振動伝達部材の側面の少なくとも一部
分に表面硬化処理を施したことを特徴としている。

【０００７】

【作用】本発明の超音波治療装置では、振動伝達部材の
側面に施された表面硬化処理により、例えば被処置部の
治療中に振動伝達部材に横方向の強い力が作用したり、
ハンドピ−ス組立て時に振動伝達部材の中心軸とシ−ス
の中心軸がずれて、振動伝達部材とシ−スが摺接して
も、表面の摩擦により振動伝達部材が磨耗することはな
い。

【０００８】

【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例に
ついて説明する。

【０００９】図１及び図２は本発明の第１の実施例を示
している。

【００１０】図１に示すように、この超音波治療装置は
生体内の患部組織の治療時に使用されるハンドピ−ス２
を備え、このハンドピ−ス２の把持部４には、ランジュ
バン型の超音波振動子６が設けられ、この超音波振動子
６は、超音波振動の振幅を増幅するためのホ−ン９と、
圧電素子と電極とを交互に積層して形成された振動発生
部８とを備えている。振動発生部８は図示しないボルト
とナットによってホ−ン９に締め付け固定されている。
ホ−ン９の後端部外周にはフランジ９ａが突設され、こ
のフランジ９ａは、超音波振動子６を覆う振動子カバ−
１０に対して固定されている。振動発生部８の電極に
は、超音波電源コ−ド１１のリ−ド線１１ａが接続さ
れ、超音波電源ユニット１５に接続されている。

【００１１】また、ホ−ン９の先端には、金属製の中空
パイプからなる振動伝達部材１２が固着されている。ホ
−ン９および振動発生部８には貫通孔が形成され、この
貫通孔と連通する振動伝達部材１２の中空孔と共に吸引
通路１４を形成している。この吸引通路１４は、振動子
カバ−１０を貫通して設けられた吸引口金１６に連通
し、この吸引口金１６には、吸引チュ−ブ１８を介して
吸引ビン２０が接続されている。さらに、吸引ビン２０
には、吸引ポンプユニット２２が接続されている。 上
記ホ−ン９には、高周波電源コ−ド２４のリ−ド線２４
ａが接続され、この高周波電源コ−ド２４を介して高周
波電源ユニット２６が接続されている。従って、ホ−ン
９に固着されている振動伝達部材１２に高周波電流を通
電することができる。また、高周波電源ユニット２６に
はＰコ−ド２８を介して生体側電極としてのＰプレ−ト
３０が接続されている。このＰプレ−ト３０は、生体組
織Ａに接触させて使用される。

【００１２】上記振動子カバ−１０の前部には、振動伝
達部材１２を覆うシ−ス３２が装着されている。このシ
−ス３２の後端部には、シ−ス３２と振動伝達部材１２
との間の送水路３３に連通する送水口金３４が設けら
れ、この送水口金３４には送水チュ−ブ３６を介して送
水タンク３８が接続されている。この送水チュ−ブ３６
の途中には、ロ−ラ−ポンプからなる送水ポンプ４０が
取付けられ、この送水ポンプ４０により送水路３３に生
理食塩水等の灌流液を供給し、シ−ス３２の先端から放
出することができる。

【００１３】上記振動伝達部材１２は、チタン合金等の
金属で形成され、ホ−ン９に通電された高周波電流をシ
−ス３２から突出している先端部１２ａまで伝達できる
ようになっている。そして、振動伝達部材１２の側面全
体には、イオンプレ−ティング、スパッタリング等の物
理蒸着（ＰＶＤ）法やプラズマＣＶＤ等の化学蒸着（Ｃ
ＶＤ）法等によりセラミックコ−ティング４２が施され
ている。コ−ティングの材質は窒化チタン、炭化チタ
ン、炭窒化チタン等が用いられる。これらの材質は電気
抵抗が小さく金属と同程度なので、高周波電流はコ−テ
ィング４２を通して通電可能である。

【００１４】また、コ−ティングの代わりに振動伝達部
材１２の側面にイオン窒化、イオン注入、侵炭等の浸透
拡散処理を施して表面を硬化させてもよい。

【００１５】このように構成された超音波治療装置で
は、振動発生部８で励起された超音波振動は、ホ−ン９
によって増幅され、振動伝達部材１２を介して伝達され
る。そして、振動伝達部材１２の先端が超音波振動する
ことにより、これに接触する患部組織Ａの切除を行い、
また、これと同時にシ−ス３２と振動伝達部材１２との
間の送水路３３を通じて送水タンク３８から灌流液を供
給するとともに、吸引通路１４を通じて吸引ポンプユニ
ット２２によって吸引を行うことができる。

【００１６】そして、このような生体組織の切除時にお
いて、生体組織から出血した場合には、ホ−ン９を介し
て振動伝達部材１２に高周波電流を流すと、高周波電流
が出血を起こしている組織に通電され、その凝固作用に
よって止血することができる。 上記振動伝達部材１２
には、セラミックコ−ティングが施されているため、例
えば治療操作中に振動伝達部材１２に横方向に強い力が
作用したり、ハンドピ−ス組立て時に振動伝達部材１２
の中心軸とシ−ス３２の中心軸とがずれる等によって、
振動伝達部材１２とシ−ス３２とが接触し、この状態で
振動伝達部材１２が超音波振動したとしても、振動伝達
部材１２の側面は磨耗することがない。

【００１７】また、コ−ティングの材質としては、電気
抵抗の小さいものが使用されているので、コ−ティング
４２が施されている振動伝達部材１２の側面を出血して
いる組織に当てて、高周波電流を通電することにより止
血することができる。

【００１８】図３は上記振動伝達部材の変形例を示して
いる。この変形例では、振動伝達部材１２のシ−ス３２
から突出している先端部１２ｂを除く側面全体にアルミ
ナ等の電気抵抗の大きい材質でセラミックコ−ティング
４３が施されている。

【００１９】このような構成により振動伝達部材１２の
表面は、先端部１２ｂを除いて絶縁されるので高周波電
流の漏れを防ぎ、電気安全性が向上する。また、コ−テ
ィングが施されていない部分は、振動伝達部材の先端部
１２ｂのみであるため、高周波電流が通電する範囲が狭
く、正常組織を含む広い範囲を焼灼してしまうのを防ぐ
ことができる。さらに、高周波電流は狭い範囲に集中し
て流れるため凝固の効率が良くなる。

【００２０】図４は本発明の第２の実施例を示してい
る。この第２実施例では、シ−ス３２の先端部がセラミ
ックス等の耐熱絶縁部材３５で形成され、振動伝達部材
１２に高周波電流を流した時に発生する熱や振動伝達部
材１２の超音波振動により発生する熱によって、シ−ス
先端が焼け焦げたり、溶けたりするような損傷を防止す
ることができる。

【００２１】振動伝達部材１２の側面には、第１の実施
例と同様にセラミックコ−ティング４２が施されてい
る。また、シ−ス先端の耐熱絶縁部材３５は、アルミ
ナ、ジルコニア等の非常に硬い材質で形成されている。
従って、絶縁部材と金属製の振動伝達部材が摺接した場
合には、振動伝達部材の表面が簡単に磨耗してしまう
が、本実施例では振動伝達部材の側面に施されたセラミ
ックコ−ティング４２により、表面の磨耗はほとんど防
止できる。

【００２２】なお、コ−ティングの範囲は必ずしも振動
伝達部材１２の側面全体に施さなくても良く、図４に示
すように耐熱絶縁部材３５と摺接する部分付近のみに施
しても十分な効果が得られる。

【００２３】上記第２の実施例の超音波治療装置を内視
鏡下手術で用いる場合、耐熱絶縁部材３５は、白色系の
酸化物系セラミックスでできているため、内視鏡で術部
を観察しているとハレ−ションが発生し、観察が困難に
なり危険である。そこで、耐熱絶縁部材３５を窒化ケイ
素、炭化ケイ素、サイアロン等の黒色あるいは灰色の非
酸化物系セラミックスで形成することにより、ハレ−シ
ョンを防止することができる。

【００２４】また、ハレ−ションはシ−ス３２でも発生
する可能性がある。そこで、シ−スを黒く着色した弗素
樹脂やポリサルホン、変性ＰＰＥ等の樹脂で形成した
り、ガラス繊維やカ−ボン繊維、セラミックス繊維等を
混ぜて表面に凹凸を形成すると共に、強度を向上させた
繊維強化プラスチックで形成することにより、シ−スに
よるハレ−ションを防止してより良い視野を得ることも
できる。

【００２５】なお、ハレ−ションの防止には、シ−ス３
２や耐熱絶縁部材３５の材質を変更する代わりに黒色も
しくは灰色の塗装を施してもよい。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の超音波治
療装置では、振動伝達部材の側面の少なくとも一部分に
表面硬化処理を施したので、例えば患部組織の治療中に
振動伝達部材に横方向の強い力が作用したり、ハンドピ
−ス組立時に振動伝達部材の中心軸とシ−スの中心軸と
がずれて振動伝達部材とシ−スが接触し、この状態で振
動伝達部材を超音波振動させても、振動伝達部材の磨耗
による破損を防止することができる。また、生体組織か
ら出血した時には、振動伝達部材に高周波電流を流して
組織の止血を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係わる超音波治療装置の
部分断面図である。

【図２】本発明の第１実施例に係わる超音波治療装置の
全体構成を示すブロック図である。

【図３】第１実施例に係わる超音波治療装置の変形例を
示す要部断面図である。

【図４】本発明の第２実施例に係わる超音波治療装置の
部分断面図である。

【符号の説明】

２…ハンドピ−ス、６…超音波振動子、１０…振動子カ
バ−、１２…振動伝達部材、３２…シ−ス、４２…コ−
ティング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 超音波振動子と、この超音波振動子に連
   結された振動伝達部材と、前記超音波振動子を覆う振動
   子カバ−と、この振動子カバ−に連結され、前記振動伝
   達部材の先端部を除いて振動伝達部材を覆うシ−スとを
   備え、前記超音波振動子で発生した超音波振動による被
   処置部の治療と、前記振動伝達部材に高周波電流を流
   し、この高周波電流による被処置部の治療とが可能な超
   音波治療装置において、前記振動伝達部材の側面の少な
   くとも一部分に表面硬化処理を施したことを特徴とする
   超音波治療装置。