JPH059592U - 制振装置付き遊具施設 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は遊具の揺れによる危険を減少させ、
安全性を高めることにより、施設の稼動率を向上させる
ことの可能な空中移動式遊具施設を提供するものであ
る。 【構成】 空中移動式遊具施設において、人が搭乗する
揺れの発生が自由な遊具本体に、それぞれ振り子式制振
装置を設けた制振装置付き遊具施設。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は制振装置の装備された遊具施設に関する。

【０００２】

【従来の技術】

遊園地等に設けられている回転式あるいは昇降観覧設備など空中移動式の遊具 施設は、風による揺動を生じ易く、風の強い日に運転を中止し、また運転途中に 強風が吹出し、揺れが大きくなったとき等は運転速度を落して搭乗者を地上に降 し、運転を中止する等によって事故防止にあたっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

空中移動式の遊具は、規模の大型化に伴って空中移動時間も長くなり、空中に 多数の観覧者を搭乗、移動させるようになって来ている。搭乗する遊具の風によ る振れ、水平ねじれに対しては遊具施設の形状によって、例えば単純な上下昇降 式などではガイドロープを張って遊具をガイドロープに係合させたりすることが できるが、回転式やロープウェイ式等の施設では従来部分的に遊具移動路の下に 安全ネットを設ける程度で、遊具の揺れ止めは施こされていない状況にある。

【０００４】 従って遊具施設の運転中に突然、強い降雨や突風に見舞われた場合、遊具の揺 れによって生じる事故の危険は大きくなって来ている。 本考案は、遊具の揺れによる危険を減少させ、安全性を高めることにより、施 設の稼動率を向上させることの可能な空中移動式遊具施設を提供することを目的 とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

揺れが自由に発生する空中移動遊具において、人が搭乗する遊具本体に、それ ぞれ振り子式制振装置を設置する。

【０００６】

【作用】

人が搭乗する遊具本体が風により揺れようとするとき、遊具本体に取付けた制 振装置の振り子式重錘が、逆方向に同周期で揺れ、それによって遊具本体の揺れ が著しく小さく抑制される。また制振装置の減衰器あるいは減衰用駆動手段は、 上記振動抑制作用を更に強力にする。

【０００７】

【実施例】

以下本考案を図に示す実施例について説明する。 図１は昇降型遊具施設の概略全体、図２はその搭乗用遊具本体の側面、図３，図 ４は遊具本体に取付けた振り子式制振装置の配置を示している。図１の遊具施設 は、地上に設けた円盤形の機械室建屋１と、建屋１の中央に設けた円筒状タワー 部２とタワー部２頂部に平面多角形に張り出した梁組３とからなる構造体４の、 上部梁組３と地上機械室建屋１間にウインチ５により正逆に循環移動する複数の 巻上ロープ６を張渡し、各巻上ロープ６上に人が搭乗する遊具本体７を固定した ものである。巻上ロープ６は各々ウインチ５からガイドシーブ６ａ，６ｂ，６ｃ ，６ｄ，６ｅを経てタワー部２の外と内に張り回され、タワー２内部側にカウン タウエイト８を備え、ウインチ５の正逆の駆動で、遊具本体７を機械室建屋１上 の乗り場１０から梁組３のシーブ６ｃ直下高さまで微速昇降させる。１１は梁組 ３から機械室建屋１へ張渡したガイドロープで、各遊具本体７の屋根周辺部を貫 通する。ガイドロープ１１は主として、昇降する遊具本体７の旋回ねじれを防止 する働らきを持つ。上記のような構成の遊具本体７に風などで発生する揺れの固 有周期は長周期のものである。

【０００８】 図２において、１２は遊具本体７の床７ａ下に形成した制振装置収容部であり 、図３，図４に示す１３は上記収容部１２内に装備した２組制振装置である。制 振装置１３としては、上述した長周期構造物用として本件出願人等により開発さ れた振り子式制振装置を用いることができる。 振子式制振装置１３は、直角２方向に２組設けられ、上端を遊具本体７の床７ ａの下面に枢着して鉛直下方へ延びる等長の左右一対の長尺リンク１４と、左右 の端が上記長尺リンク１４の下端に枢着された左右方向のつなぎ梁１５と、上記 つなぎ梁１５の左右端にそれぞれ下端が枢着され鉛直上方へ延びる等長の左右一 対の短尺リンク１６と、上記長短両リンク１４，１６のつなぎ梁１５側枢着端に それぞれ付設され鉛直線に対する長尺リンク１４の一方向への傾斜角を上記短尺 リンク１６の他方向への傾斜角に常に等しくする同一サイズの一対の噛合する連 動ギヤ１７，１７と，上記短尺リンク１４の上部に高さ調製可能に左右端部を枢 着した重錘１８と、つなき梁１５の揺れ方向の一端と収容室１２の対向部との間 に介装した減衰器１９とで構成されている。図示しないがつなぎ梁１５上には、 ギヤ１７駆動用モータを設けることもできる。

【０００９】 上述した制振装置１３は、上記した特有の構成によって、コンパクトな構成で 長周期の振動を発生し、長周期構造物の振動を制振する作用を持つ。 すなわち、今、図４において遊具本体７が風などの外力により左右への振動を 与えられると、図の右側の制振装置１３の長尺リンク１４上端が遊具本体７と共 に左右へ移動し、連動ギヤ１７，１７の噛合い連動作用で、つなぎ梁１５と重錘 １８が上記と反対方向へ相対移動し、減衰器１９で両者の相対移動が減衰される ことにより、振動が急速に抑制される働らきを生じる。また図の紙面と直角方向 の振動に対しては、図の左側の制振装置１３が同様に働らく。ギヤ１７駆動用モ ータを設けたものでは上記制振をアクティブに行なえる。

【００１０】 制振の対象となる遊具施設が、ロープウエイ式の移動装置のときにも、上記と 同様な制振装置の配置付設で、遊具本体７の前後、左右への振動を抑制すること ができる。 また観覧車式の２点枢支遊具では、振動方向に一組の制振装置１３を設ければ 良い。

【００１１】 また、制振装置１３自体は、長周期制振用として上記と天地を逆にしたもの、 方向性をなくし何の方向にでも制振作用を持つようにしたもの等、任意の構成を 用いることができる。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は空中移動式遊具施設において、人が搭乗する揺れの発生が自由な遊具 本体に、それぞれ振り子式制振装置を設けたことにより、次の効果を有する。人 が、搭乗して高所を移動する遊具の風等により生じる振動が遊具毎に制振され、 施設全体の共振などによる振動もなくなるから、索具の脱落や、遊具の他への衝 突などの危険は大幅に減少し安全性が高まる。

【００１３】 また運転中の突然の風などによる搭乗者の恐怖，パニック等もなくなり、施設 の運転稼動率を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の全体側面図である。

【図２】人が搭乗する遊具本体の側面である。

【図３】図２のＡ−Ａ矢視図である。

【図４】図３のＢ−Ｂ矢視図である。

【符号の説明】

１ 機械室建屋 ２ 円筒状タワー部 ３ 上部梁組 ６ 巻上ロープ ７ 遊具本体 １３ 制振装置

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 空中移動式遊具施設において、人が搭乗
   する揺れの発生が自由な遊具本体に、それぞれ振り子式
   制振装置を設けたことを特徴とする制振装置付き遊具施
   設。