JPH0594631U - 冷却負荷部に搬送する混合液の流出制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 地域冷房システムにおいて、冷房負荷に加え
る冷熱を氷水により搬送するとき、配管中に氷塊が溜っ
たり氷塊による閉塞が生ずるのを防止する。 【構成】 貯氷槽１から氷水を流出する管３の取出し口
２を囲むように、貯氷槽１の内壁から離してパンチング
メタル４を設ける。パンチングメタル４を通過する氷水
の流速を十分に小さくして氷塊が溜らないようにパンチ
ングメタル４の寸法及び孔の大きさを決める。また攪拌
機５による噴流の方向をパンチングメタル４の面と平行
にしてその面に溜ろうとする氷塊を除去し、所定のＩＰ
Ｆで氷水を取り出す。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、地域冷房等において冷熱を潜熱物質と液体との混合液により搬送す る場合において、混合液貯溜部から混合液を流出する際の流出を制御する装置に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

地域冷房等で冷熱を冷却負荷部に搬送するにあたり、冷水のみを搬送する場合 に比べ、氷水を搬送する場合の方が搬送量あたりの冷熱量が多くなるので搬送動 力の削減などの利点がある。

【０００３】 図３は本考案者により考案された製氷及び氷水搬送による地域冷房システムを 示す概略図であって、製氷機12を具えた貯氷槽１の取出し口２から氷水が、搬送 ポンプ15により吸入、加圧され吐出され、吐出側に設けた氷充填率（以下、ＩＰ Ｆと記載）及び流量測定器18に応動するＩＰＦ調整器16により適当の水を返戻管 17により貯氷槽１に戻すことによりＩＰＦを調整され、搬送主管19を通りこれに 連結される複数の冷却媒体（氷水）受入設備21，22，23……に分岐管24を介して 導入され、冷房等の目的を遂行し水のみとなって分岐管25を介して還流主管26に 流出し、再び貯氷槽１に還流し、循環を繰返すのであるが、前記複数の冷却媒体 受入設備21，22，23……に分岐管24を以て連結される搬送主管19の下流部分は氷 水の流量が次第に減少するために管断面積が小となり縮流管（レジューサ）20と なっていること及び管系統には曲った部分（エルボ）や流量調整バルブ27等の氷 水通過隙間縮小部が存在しているため、通過隙間以上の大きさの氷、高ＩＰＦ（ 高い氷充填率）、低流速などの原因によって氷塊が停滞し、これが徐々に圧密さ れるため管系に閉塞が発生する。

【０００４】 この閉塞は氷塊によるものが主原因となっている。そしてこのような閉塞を防 ぐために、氷塊を発生させない方法や、氷塊を配管中に混入させない方法などが 試みられたが充分な効果が得られていない。

【０００５】 そして、前記の氷塊は、貯氷槽内の氷表面あるいは壁面近傍に空気中の水蒸気 が凝結したり、氷同士が固着したり、氷が融解後に再凍結するなどの原因により 発生るすのであるが、それを防ぐためには貯氷槽の防熱及び外気の遮断、攪拌に より氷を水と共存状態にするなどの方法があり、これらの方法が試みられたが、 何れも氷塊の発生を完全に防ぐことはできなかった。

【０００６】 また、氷塊を配管中に混入させない方法として、図４のように、氷水を貯氷槽 １から配管中へ取り出す取出し口２に、配管断面積と同じ面積の金網30を取り付 けることが試みられたが、金網30を通過する氷水の速さが大きいため、金網30の 部分に氷塊が停滞するばかりでなく氷の固着が生じて、金網の目の閉塞を起して しまうことを避けられなかった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

従来技術は前記のように氷塊により氷水の搬送を遂行するに際して、種々の支 障が生ずることを避けられなかった。本考案は貯氷槽の氷水取出し口附近におけ る氷水の流れを所定の限界状態に規制する氷水の混合液の流出制御装置を得るこ とにより従来技術の課題を解決することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案の混合液の流出制御装置は、その目的を達成するために、冷却負荷部に 搬送する潜熱物質と液体との混合液の混合液貯溜部から混合液を流出する管の取 出し口にその取出し口の内径よりも大きな寸法の金網またはパンチングメタルを 設け、その金網のメッシュまたはパンチングメタルの孔は搬送配管の混合液通過 隙間の最小のものよりも小さいものとするとともに、それらのメッシュまたは孔 の総面積を流出管の断面積よりも大とする。 また本考案の混合液の流出制御装置は、その目的を達成するために、請求項１ の装置において、金網またはパンチングメタルの面を混合液貯溜部の内壁面から 適当距離だけ離すとともに、金網またはパンチングメタルが流出管の取出し口を 囲むように設置し、また金網またはパンチングメタルの近傍に混合液の攪拌機を 設けてその攪拌機の噴流方向を金網またはパンチングメタルの面と平行になるよ うにする。

【０００９】

【作用】

請求項１の考案は、冷却負荷部に搬送する潜熱物質と液体との混合液の混合液 貯溜部から混合液を流出する管の取出し口にその取出し口の内径よりも大きな寸 法の金網またはパンチングメタルを設けるとともに、その金網のメッシュまたは パンチングメタルの孔を搬送配管の混合液通過隙間の最小のものよりも小さいも のとし、しかも、それらのメッシュまたは孔の総面積を流出管の断面積よりも大 とすることにより、金網またはパンチングメタルの部分における氷水の流速を小 さくし該部分に氷塊が停滞しないようにする。

【００１０】 請求項２の考案は金網またはパンチングメタルの面を混合液貯溜部の内壁面か ら適当距離だけ離すとともに、金網またはパンチングメタルを流出管の取出し口 を囲むように設置し、また金網またはパンチングメタルの近傍に混合液の攪拌機 を設けてその攪拌機の噴流方向を金網またはパンチングメタルの面と平行になる ようにすることにより、金網またはパンチングメタルの部分における氷塊の停滞 を防止する。

【００１１】

【実施例】

本考案の実施例を図面により説明する。

【００１２】 図１において、１は貯氷槽、２は氷水の取出し口、３は氷水の流出管、４は金 網またはパンチングメタル、５は攪拌機である。金網またはパンチングメタル４ の全体の寸法は取出し口２の断面積より大きく、また、金網のメッシュ（目）、 パンチングメタルの孔は、配管途中に設けられる流量調整バルブや氷水受入設備 での熱交換器の通過隙間より小さい大きさの寸法からなるとともに、前記メッシ ュまたは孔の氷水流通総面積は取出し口２の断面積より十分に大きなものとなっ ている。更に金網またはパンチングメタル４と取出し口２との間には５０mm以上 の間隙Ｌを設けている。

【００１３】 前記のように構造、寸法等の条件を設定することにより多少の氷塊がパンチン グメタル等の前に停滞しても、パンチングメタル等の面積が大きいので、その氷 水通過面積の減少する割合が小さくなり、前記の氷塊の停滞によって他の氷の停 滞することはない。したがって配管中に流出し搬送される氷粒の大きさが限定さ れ、配管中の通過隙間縮小部においても氷粒が停滞せず、閉塞を防ぐことができ る。また、金網またはパンチングメタル４を通過する氷水の速度は氷水の流通断 面積の関係で取出し口を通過する速度よりも十分に小さく、地域冷房システムの 負荷が最大の場合においても例えば０．１ｍ／ｓ以下にすることができるので、 金網またはパンチングメタル４の一部分において氷塊が溜って閉塞を起すことが 防止できる。

【００１４】 また前記の氷塊及び氷粒付着による閉塞防止は次のようにしても行なわれる。 すなわち、図１に示すように貯氷槽１中の金網またはパンチングメタル４の近傍 に設置される氷水の攪拌機５はその噴流方向が金網またはパンチングメタル４を 通過する氷水流に直角に、すなわち金網またはパンチングメタル４の表面に平行 となるように構成される。この噴流の力により金網またはパンチングメタル４の 前方で氷塊の停滞するのが防止でき、かつ撹拌機の台数及び回転数制御により、 所定のＩＰＦで氷水取り出しができる。その結果、従来の冷水のみの冷熱搬送と 比べ搬送動力を削減できることになる。

【００１５】 パンチングメタル８は孔の配列がハニカム形状をした例であるが、例えばその 孔９の径を５mmのものとしそのピッチを６mmのものとすれば、地域冷房システム が全負荷の場合でも氷水の通過速度を０．１ｍ／ｓ位のものとすることができる 。更に金網またはパンチングメタルの大きさを変えることにより、任意の流路隙 間において閉塞なく氷水を搬送することが可能となる。

【００１６】

【考案の効果】

請求項１の考案によれば、冷却負荷部に搬送する潜熱物質と液体との混合液の 混合液貯溜部から混合液を流出する管の取出し口にその取出し口の内径よりも大 きな寸法の金網またはパンチングメタルが設けられ、その金網のメッシュまたは パンチングメタルの孔は搬送配管の混合液通過隙間の最小のものよりも小さいも のとなっているとともに、それらのメッシュまたは孔の総面積が流出管の断面積 よりも大となっているから、金網またはパンチングメタルの部分において氷水の 流速が小さくなり、したがって該部分に氷塊が停滞せず、また氷の固着が生じな い。

【００１７】 請求項２の考案によれば、金網またはパンチングメタルの面が混合液貯溜部の 内壁面から適当距離だけ離れているとともに、金網またはパンチングメタルが流 出管の取出し口を囲むように設置され、また金網またはパンチングメタルの近傍 に混合液の攪拌機が設けられてその攪拌機の噴流方向が金網またはパンチングメ タルの面と平行になっているので、金網またはパンチングメタルの部分に氷塊が 停滞せず、また氷の固着を生じることなく、所定の氷水を取り出すことが可能と なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の一例を示す説明図である。

【図２】本考案のパンチングメタルの一実施例の部分図
である。

【図３】本考案の混合液流出制御装置が使用される製
氷、氷搬送による地域冷房システムの概略図である。

【図４】従来技術の一例の説明図である。

【符号の説明】

１ 混合液貯溜部としての貯氷槽 ３ 流出管 ４ 金網またはパンチングメタル ５ 攪拌機 21，22，23 冷却負荷部としての冷却媒体受入設備

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 大野 泰司 茨城県北相馬郡守谷町大字守谷甲17番地の １（シティハイムヨシダＡー202) (72)考案者 津幡 行一 茨城県北相馬郡守谷町大字立沢2123番地 (72)考案者 横山 卓史 大阪府大阪市城東区成育二丁目11番３号

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷却負荷部に搬送する潜熱物質と液体と
   の混合液の混合液貯溜部からの流出を制御する装置にお
   いて、混合液貯溜部から混合液を流出する管の取出し口
   にその取出し口の内径よりも大きな寸法の金網またはパ
   ンチングメタルを設け、その金網のメッシュまたはパン
   チングメタルの孔は搬送配管の混合液通過隙間の最小の
   ものよりも小さいものとするとともに、それらのメッシ
   ュまたは孔の総面積を流出管の断面積よりも大としたこ
   とを特徴とする混合液の流出制御装置。
2. 【請求項２】 金網またはパンチングメタルの面を混合
   液貯溜部の内壁面から適当距離だけ離すとともに、金網
   またはパンチングメタルが流出管の取出し口を囲むよう
   に設置し、また金網またはパンチングメタルの近傍に混
   合液の攪拌機を設けてその攪拌機の噴流方向を金網また
   はパンチングメタルの面と平行になるようにしたことを
   特徴とする請求項１記載の混合液の流出制御装置。