JPH0593006A - 珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物からなるアニオン重合開始剤 - Google Patents

珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物からなるアニオン重合開始剤

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JPH0593006A
JPH0593006A JP28058291A JP28058291A JPH0593006A JP H0593006 A JPH0593006 A JP H0593006A JP 28058291 A JP28058291 A JP 28058291A JP 28058291 A JP28058291 A JP 28058291A JP H0593006 A JPH0593006 A JP H0593006A
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章 鷲見
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記一般式〔I〕で示される、珪素原子に結合
した加水分解性基を有する化合物からなるアニオン重合
開始剤。 【化1】 (式中M+ は4級アンモニウムイオンであり、R1 およ
びR2 は炭素数が1〜6のアルキル基またはフェニル基
であり、R3 およびR4 は共にカルバニオンC- を安定
化する電子吸引基であるか、または一方が前記電子吸引
基で他方が炭素数が1〜6個のアルキル基もしくはフェ
ニル基であり、lは0〜2の整数であり、またmは2〜
6の整数である。) 【効果】分子の末端に加水分解性基を有するビニル重合
体の合成が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、珪素原子に結合した加
水分解性基を有する化合物からなるアニオン重合開始剤
に関するものであり、該アニオン重合開始剤は、分子の
末端に加水分解性基を有する重合体を合成するために使
用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、分子の末端に加水分解性基を有す
る重合体として、ジメトキシメチルシシリル基を有する
プロピレンオキシド系重合体が知られており、該プロピ
レンオキシド系重合体は、その末端基の反応性を活かし
て例えばシーリング材などに使用されていた。これに対
して、ビニル重合体では、分子鎖における不規則な箇所
に上記のような加水分解性基を導入させることはしばし
ば行われているが、上記プロピレンオキシド系重合体の
ように分子の末端に加水分解性基を有するものは一般に
は知られていない。例えばポリ(メタ)アクリル酸エス
テルのように、耐候性に優れさらに皮膜形成性などにも
優れており、主として塗料および接着剤などに使用され
る重合体であって、末端に加水分解性基を有する重合体
が得られれば、その実用的価値は大きい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ビニル単量
体の重合において使用することにより、分子の末端に珪
素原子に結合した加水分解性基を有するビニル重合体
を、合成することができるアニオン重合開始剤を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、3−(トリエトキシ
シリル)プロピルマロン酸ジエチルのような、分子中に
珪素原子に結合した加水分解性基を有するマロン酸アル
キルエステルなどから誘導される、下記一般式〔I〕で
表される化合物を重合開始剤として使用することによっ
て、分子の末端に珪素原子に結合した加水分解性基を有
するビニル重合体が得られることを見出し、本発明を完
成するに至った。本発明は、テトラブチルアンモニウム
エチルマロン酸ジエチル等の4級アンモニウム塩を開始
剤として(メタ)アクリル酸エステル単量体をアニオン
重合するという、特開昭64−69605号公報開示の
技術思想を部分的に利用しているが、下記一般式〔I〕
で表される化合物からなる本発明の重合開始剤は、同公
報には全く記載されておらず、本発明によれば、分子の
末端に加水分解性基を有するビニル重合体が得られると
いう、上記公報記載の発明から予想できない優れた効果
が奏されるのである。
【0005】すなわち、本発明は、下記一般式〔I〕で
示される、珪素原子に結合した加水分解性基を有する化
合物からなるアニオン重合開始剤である。
【0006】
【化2】 (式中M+ は4級アンモニウムイオンであり、R1 およ
びR2 は炭素数が1〜6のアルキル基またはフェニル基
であり、R3 およびR4 は共にカルバニオンC- を安定
化する電子吸引基であるか、または一方が前記電子吸引
基で他方が炭素数が1〜6個のアルキル基もしくはフェ
ニル基であり、lは0〜2の整数であり、またmは2〜
6の整数である。)
【0007】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明のアニオン重合開始剤として使用する化合物
は、前記一般式〔I〕で表わされる化合物であり、該式
におけるR1 およびR2 として使用されるアルキル基
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基およびヘキシル基であり、好ましくはメチル基お
よびエチル基である。また、上記一般式〔I〕における
3 およびR4 として用いられる電子吸引基の具体例と
しては、−COOR、−COR、−CON(R)2 、−
COSR、−CNまたは−NO2 等が挙げられる。これ
らの−COOR、−COR、−CON(R)2 および−
COSRにおけるRは、アルキル基またはアリール基で
あり、好ましくは、炭素数が1〜6個のアルキル基また
はフェニル基である。R3 およびR4 は共に、上記電子
吸引基であってもよく、R3 またはR4 のどちらか一方
が電子吸引基であり、他方が炭素数が1〜6個のアルキ
ル基もしくはフェニル基であってもよい。さらにR3
よびR4 が共に電子吸引基である場合、それらは同一で
あっても異なっていても良い。
【0008】上記一般式〔I〕で表わされる化合物にお
けるカルバニオンC- の負電荷は、上記電子吸引基が1
個または2個結合しているために、非局在化されてい
る。負電荷が非極在化された状態にあるカルバニオン
は、そうでないカルバニオンと比較して、より安定であ
る。本発明においては、かかる安定なカルバニオンC-
の4級アンモニウム塩を使用することにより、室温を含
む広範な重合温度における(メタ)アクリル酸エステル
などのビニル単量体のアニオン重合を可能にしている。
【0009】一般式〔I〕で表される化合物のアニオン
の前駆化合物としては、以下に示す化合物が挙げられ
る。これらの前駆化合物は、エーテル系溶剤中で水素化
ナトリウムと反応させることにより、ナトリウム陽イオ
ンを対イオンとするカルバニオンにイオン化することが
でき、得られたカルバニオンと4級アンモニウムハライ
ドを反応させることにより、上記ナトリウム陽イオンが
4級アンモニウムイオンに置き換えられた一般式〔I〕
で表される化合物が得られる。 前駆化合物:3−(トリエトキシシリル)プロピルマロ
ン酸ジエチル、3−(トリメトキシシリル)プロピルマ
ロン酸ジエチル、3−(ジメトキシメチルシリル)プロ
ピルマロン酸ジエチル、3−(ジエトキシメチルシリ
ル)プロピルマロン酸ジエチル、3−(トリメトキシシ
リル)プロピルマロン酸ジメチル、3−(トリエトキシ
シリル)プロピルマロン酸ジメチル、3−(ジメトキシ
メチルシリル)プロピルマロン酸ジメチル、3−(ジエ
トキシメチルシリル)プロピルマロン酸ジメチル、3−
(トリメトキシシリル)ブチルマロン酸ジエチル、3−
(トリメトキシシリル)ペンチルマロン酸ジエチル、3
−(トリメトキシシリル)ヘキシルマロン酸ジエチル、
3−(ジメトキシメチルシリル)ブチルマロン酸ジエチ
ル、3−(ジメトキシメチルシリル)ペンチルマロン酸
ジエチル、3−(ジメトキシメチルシリル)ヘキシルマ
ロン酸ジエチル、3−(トリメトキシシリル)プロピル
アセチルアセトン、3−(トリエトキシシリル)プロピ
ルアセチルアセトン、3−(ジメトキシメチルシリル)
プロピルアセチルアセトン、3−(ジエトキシメチルシ
リル)プロピルアセチルアセトン、3−(トリメトキシ
シリル)プロピルアセト酢酸エチル、3−(トリエトキ
シシリル)プロピルアセト酢酸エチル、3−(ジメトキ
シメチルシリル)プロピル酢酸エチル、3−(ジエトキ
シメチルシリル)プロピル酢酸エチル、3−(トリメト
キシシリル)プロピルシアノ酢酸メチル、3−(トリエ
トキシシリル)プロピルシアノ酢酸メチル、3−(ジメ
トキシメチルシリル)プロピルシアノ酢酸メチル、3−
(ジエトキシメチルシリル)プロピルシアノ酢酸メチ
ル、3−(トリメトキシシリル)プロピルシアノ酢酸エ
チル、3−(トリエトキシシリル)プロピルシアノ酢酸
エチル、3−(ジメトキシメチルシリル)プロピルシア
ノ酢酸エチル、3−(ジエトキシメチルシリル)プロピ
ルシアノ酢酸エチル、1−〔3−(トリメトキシシリ
ル)プロピル〕−1−ニトロエタン、1−〔3−(トリ
エトキシシリル)プロピル〕−1−ニトロエタン1−
〔3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル〕−1−ニ
トロエタン、1−〔3−(ジエトキシメチルシリル)プ
ロピル〕−1−ニトロエタン、1−〔3−(トリメトキ
シシリル)プロピル〕−1−ニトロプロパン、1−〔3
−(トリエトキシシリル)プロピル〕−1−ニトロプロ
パン、1−〔3−(ジメトキシメチルシリル)プロピ
ル〕−1−ニトロプロパン、1−〔3−(ジエトキシメ
チルシリル)プロピル〕−1−ニトロプロパンおよび3
−(トリメトキシシリル)プロピルジシアノメタン、3
−(トリエトキシシリル)プロピルジシアノメタン、3
−(ジメトキシメチルシリル)プロピルジシアノメタン
および3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルジシア
ノメタン等のアルコキシシリル化合物等。好ましくは、
3−(トリエトキシシリル)プロピルマロン酸ジエチ
ル、3−(トリメトキシシリル)プロピルマロン酸ジエ
チル、3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルマロン
酸ジエチルおよび3−(ジメトキシメチルシリル)プロ
ピルマロン酸ジエチルである。
【0010】上記前駆化合物は、以下に示す方法等によ
って合成できる。すなわち、例えばマロン酸アルキルエ
ステル誘導体に属する化合物であれば、3−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、4−ハロゲノブチルトリメト
キシシラン、5−ハロゲノペンチルトリメトキシシラン
または6−ハロゲノヘキシルトリメトキシシランと、マ
ロン酸アルキルエステルのナトリウム塩とを、乾燥エタ
ノール中で還流温度で5〜10時間程度反応させること
により、前記3−(トリエトキシシリル)プロピルマロ
ン酸ジエチル、4−(トリメトキシシリル)ブチルマロ
ン酸ジエチル、5−(トリメトキシシリル)ペンチルマ
ロン酸ジエチルおよび6−(トリメトキシシリル)ヘキ
シルマロン酸ジエチル等が合成できる。4−ハロゲノブ
チルトリエトキシシラン、5−ハロゲノペンチルトリエ
トキシシランまたは6−ハロゲノヘキシルトリエトキシ
シラン等の化合物は、アルコキシシランとCH2=CH
−(CH2n −X(式中nは1〜4の正数、Xはハロ
ゲン原子)を、トルエン等の炭化水素系溶剤中で白金触
媒の存在下に反応させることによって得られる。また、
3−クロロプロピルトリメトキシシランは、例えば東京
化成工業(株)製等の市販品を使用することもできる。
【0011】4級アンモニウムハライドとしては、テト
ラメチルアンモニウムハライド、テトラエチルアンモニ
ウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライ
ド、トリメチルドデシルアンモニウムハライド、テトラ
ブチルアンモニウムおよびジメチルピペリジニウムハラ
イド等が挙げられ、ハライドとしてはクロライドまたは
ブロマイドが好ましい。好ましい4級アンモニウムハラ
イドは、テトラメチルアンモニウムハライド、テトラエ
チルアンモニウムハライドおよびテトラブチルアンモニ
ウムハライドの如きテトラアルキルアンモニウムハライ
ドである。
【0012】前記一般式〔I〕で示される化合物の製法
について、更に詳細に説明する。例えば、上記前駆化合
物として3−(トリエトキシシリル)プロピルマロン酸
ジエチルを使用する場合であれば、乾燥アルゴンガス雰
囲気下で、反応容器に水素化ナトリウムを仕込み、テト
ラヒドロフランなどのエーテル系溶媒中に懸濁分散させ
た液中に、3−(トリエトキシシリル)プロピルマロン
酸ジエチルを等モル加え、室温〜50℃で10〜20分
程度反応させることにより、3−(トリエトキシシリ
ル)プロピルマロン酸ジエチルのマロン酸構造に位置す
る酸性水素原子がNaに置換された化合物を得る。得ら
れた反応液中に、テトラアルキルアンモニウムクロライ
ド等のアンモニウムハライドを等モル添加して、6〜2
4時間室温で反応させることにより、前記一般式〔I〕
で示される化合物の一種であるテトラブチルアンモニウ
ム−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ジエトキ
シカルボニルメタニドを合成でき、反応生成液からは、
有機溶媒の留去及び再結晶等の操作によって単離するこ
とができる。
【0013】本発明のアニオン重合開始剤は、各種ビニ
ル単量体のアニオン重合に使用できるが、好ましいビニ
ル単量体は(メタ)アクリル酸エステルである。(メ
タ)アクリル酸エステル単量体としては、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレ
ート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、オク
チル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、
イソボロニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)
アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロ
ヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アク
リレート、2−アセトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2,
2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレートおよ
び2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。
【0014】重合反応は、不活性ガス中で水分の非存在
下に行うことが必要であり、重合溶剤としては、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル、酢
酸エチルのようなエステル、アセトニトリル、ジメチル
ホルムアミド、ベンゼン、トルエンなどが使用でき、重
合溶液中の単量体の好ましい濃度は10〜60重量%で
ある。重合反応の温度としては、通常−78〜75℃が
採用でき、好ましくは−78〜25℃である。重合時間
は通常1時間以内程度で良い。
【0015】上記重合によって得られる重合体は、その
重合開始端に、本発明の重合開始剤のカルバニオンが結
合しており、従って大気中の水分と容易に加水分解し得
る基を分子の片末端に有している。さらに、希塩酸など
の重合停止剤を添加する前に、重合系にα,α’−ジク
ロロ−p−キシレンなどの2官能性ハロゲン化合物を添
加すれば、2個のポリマーの重合成長端をカップリング
することができ、両末端に加水分解性基を有する重合体
を得ることも可能である。かかる重合体は、反応性に富
む点で、シーリング材、粘着剤または塗料用基材として
有用である。
【0016】
【実施例】以下、参考例および実施例を示すことによ
り、本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例1】 “テトラブチルアンモニウム−〔3−(トリエトキシシ
リル)プロピル〕ジエトキシカルボニルメタニド”の合
成 (イ)3−(トリエトキシシリル)プロピルマロン酸ジ
エチルの合成 アルゴン雰囲気下、乾燥エタノール200ml中にナトリ
ウムエトキシド10.0g(0.146モル)、ジエチルマ
ロネート60ml(0.40モル)および3−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン27.5g(0.138モル)を仕込
み、還流温度下で6時間反応させた。得られた反応液に
純水200mlを加え、生成した塩化ナトリウムを溶解し
た後、塩化メチレン200mlで3回抽出して、生成した
3−(トリエトキシシリル)プロピルマロン酸ジエチル
を塩化メチレン溶液として得た。塩化メチレン溶液を無
水硫酸マグネシウムで脱水乾燥し、次いで減圧蒸留して
158℃/5mmHgの留分37.72g(収率75.0%)を
得た。この留分は、NMRスペクトルから3−(トリエ
トキシシリル)プロピルマロン酸ジエチルであることが
確認された。
【0017】(ロ)上記(イ)の化合物の4級アンモニ
ウム塩化 アルゴン雰囲気下、室温で水素化ナトリウム(NaH)
0.55g(0.023モル)の入った100ml容2口フラ
スコに、無水テトラヒドロフラン(以下THFと略す)
40mlを加え、撹拌しながら前記3−(トリエトキシシ
リル)プロピルマロン酸ジエチル7.29g(0.020モ
ル)を滴下した。水素ガスの発生が終了した後、テトラ
ブチルアンモニウムクロライド7.29g(0.028モ
ル)を添加し、さらに一昼夜撹拌した。得られた反応液
中に含まれる塩化ナトリウム結晶をアルゴン雰囲気下
で、シンダードグラスフィルターでろ過して除去した。
ろ液のTHF溶液にエーテル20mlを加え、−20℃の
ストッカー中で再結晶を行い、目的とするテトラブチル
アンモニウム−〔3−(トリエトキシシリル)プロピ
ル〕ジエトキシカルボニルメタニドを、白色針状晶とし
て7.65g(収率63.1%)得た。目的物の同定は、 1
H−NMRによった(表1)。
【0018】下記化3で示される化学構造を有すると予
測される実施例1の最終生成物について、その 1H−N
MRスペクトルにおけるケミカルシフト値とその帰属を
表1に示す。なお、NMR測定条件は、周波数:100
MHz、溶媒:CDCl3 および基準物質:TMSであ
る。
【0019】
【表1】 シグナル δ・ppm スピリット 強 度 a 1.03 t 14H b 1.22〜1.96 m 31H c 2.84〜3.03 m 2H d 3.34〜3.50 m 8H e 4.27 q 6H f 5.16 q 4H g 5.56〜6.06 m 2H
【0020】
【化3】
【0021】
【実施例2】 “テトラブチルアンモニウム−〔3−(ジエトキシメチ
ルシリル)プロピル〕ジエトキシカルボニルメタニド”
の合成 実施例1で使用した3−クロロプロピルトリメトキシシ
ランに代えて、3−クロロプロピルジメトキシメチルシ
ラン25.2g(0.138モル)を使用した以外は、実施
例1と同じ条件で3−(ジエトキシメチルシリル)プロ
ピルマロン酸ジエチルを合成し、減圧蒸留して140℃
/3mmHgの留分33.3g(収率72.2%)を得た。次
に、上記3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルマロ
ン酸ジエチルを使用して、実施例1と同じ条件でテトラ
ブチルアンモニウム−〔3−(ジエトキシメチルシリ
ル)プロピル〕ジエトキシカルボニルメタニドを合成し
た。白色の針状晶のテトラブチルアンモニウム−〔3−
(ジエトキシメチルシリル)プロピル〕ジエトキシカル
ボニルメタニド7.12g(収率61.8%)を得た。
【0022】実施例2で得られた化合物の同定も 1H−
NMRスペクトルによった。その結果は表2のとおりで
あった。
【表2】 シグナル δ・ppm スピリット 強 度 a 0.32 s 3H b 0.56〜0.76 m 2H c 0.85〜1.12 t 12H d 1.20〜1.98 m 30H e 3.32〜3.52 m 8H f 3.80 q 4H g 4.21 q 4H h 4.95 m 2H
【0023】
【化4】
【0024】
【参考例1】 アクリル酸ブチルの重合 アルゴン雰囲気下で、100ml容2口フラスコに、実施
例1で得られたテトラブチルアンモニウム−〔3−(ト
リエトキシシリル)プロピル〕ジエトキシカルボニルメ
タニド1.20g(2.00ミリモル)と無水THF40ml
を仕込み、−78℃で撹拌しながらアクリル酸ブチルを
5.12g(39.9ミリモル)滴下した。滴下後、直ちに
重合反応が起こり、溶液が増粘した。15分間撹拌した
後、10%塩酸を加え、重合開始剤を失活させた。その
反応液から生成重合体をエチルエーテルで抽出し、次い
で抽出物を3回水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。エチルエーテル溶液を蒸発乾固して、ポリアクリ
ル酸ブチル5.70gを得た。
【0025】得られたポリアクリル酸ブチルについて、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC
という)を測定することにより、Mn=2500,Mw
=4100、Mw/Mn=1.64であることが分かっ
た。また、NMRスペクトルを測定することにより、得
られたポリアクリル酸ブチルには、分子の片末端にトリ
エトキシシリルを有するポリアクリル酸ブチルが90モ
ル%の割合で含まれていることが分かった。
【0026】
【参考例2】参考例1で使用した重合開始剤に代えて、
テトラブチルアンモニウム−〔3−(ジエトキシメチル
シリル)プロピル〕ジエトキシカルボニルメタニド1.1
5g(2.00ミリモル)を使用する以外は、参考例1と
同様に操作して、アクリル酸ブチルを重合した。ポリア
クリル酸ブチル5.53gが得られた。GPCの結果か
ら、得られたポリアクリル酸ブチルは、Mn=240
0、Mw=4200、Mw/Mn=1.75であることが
わかり、またNMRスペクトルの測定から、分子の片末
端にジエトキシメチルシリルを有するポリアクリル酸ブ
チルの含有割合は89モル%であることが分かった。
【0027】
【参考例3】 分子両末端に反応性シリル基を有するポリアクリル酸ブ
チルの製造 アルゴン雰囲気下、100ml容2口フラスコに、実施例
1で得られたテトラブチルアンモニウム−〔3−(トリ
エトキシシリル)プロピル〕ジエトキシカルボニルメタ
ニド0.44g(0.77ミリモル)とTHF15mlを仕込
み、−78℃で撹拌しながらアクリル酸ブチル2.00g
(15.60ミリモル)滴下した。直ちに、反応が起こ
り、溶液が増粘した。15分撹拌した後、反応溶液の一
部を分取し、分取した溶液に少量のメタノールを加えた
溶液について、GPCの測定を行うことにより、Mn=
2600、Mw=4100、Mw/Mn=1.58のポリ
アクリル酸ブチルが生成していることを確認した。
【0028】残余の反応溶液にα,α’−ジクロロ−p
−キシレン0.070g(0.40ミリモル)加え室温で1
時間撹拌した後、純水を加え、更に10分間撹拌した。
次いで、反応生成物をヘキサンで抽出し、無水硫酸ナト
リウムにより乾燥した後、ポリアクリル酸ブチル2.27
gを得た。GPCの結果から、このポリアクリル酸ブチ
ルは、Mn=5100、Mw=8200、Mw/Mn=
1.60であることが分かり、またNMRスペクトルの測
定から、分子の両末端にトリエトキシシリルを有するポ
リアクリル酸ブチルを有するポリアクリル酸ブチルの含
有割合は91モル%であることが分かった。
【0029】
【発明の効果】本発明のアニオン重合開始剤によれば、
分子の末端に大気中の水分などで容易に加水分解し得る
基を有するビニル重合体が容易に得られる。特に、本重
合開始剤を(メタ)アクリル酸エステルの重合に適用し
て得られるポリ(メタ)アクリル酸エステルは、基本的
に耐候性に優れる重合体であり、しかも分子の末端に上
記のような反応性基を有するため、シーリング剤、塗料
および接着剤等の分野で好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 ▲ただお▼ 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成化学 工業株式会社つくば研究所内 (72)発明者 木村 馨 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔I〕で示される、珪素原子
    に結合した加水分解性基を有する化合物からなるアニオ
    ン重合開始剤。 【化1】 (式中M+ は4級アンモニウムイオンであり、R1 およ
    びR2 は炭素数が1〜6のアルキル基またはフェニル基
    であり、R3 およびR4 は共にカルバニオンC- を安定
    化する電子吸引基であるか、または一方が前記電子吸引
    基で他方が炭素数が1〜6個のアルキル基もしくはフェ
    ニル基であり、lは0〜2の整数であり、またmは2〜
    6の整数である。)
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