JPH0591866A - プロトクロロフイリドを生産するプレクトネマ属に属する微生物およびその微生物による該色素の製造法 - Google Patents

プロトクロロフイリドを生産するプレクトネマ属に属する微生物およびその微生物による該色素の製造法

Info

Publication number
JPH0591866A
JPH0591866A JP26907091A JP26907091A JPH0591866A JP H0591866 A JPH0591866 A JP H0591866A JP 26907091 A JP26907091 A JP 26907091A JP 26907091 A JP26907091 A JP 26907091A JP H0591866 A JPH0591866 A JP H0591866A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
frxc
genus
microorganism
plectnema
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP26907091A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Matsubara
央 松原
Yuichi Fujita
祐一 藤田
Yasuhiro Takahashi
康弘 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP26907091A priority Critical patent/JPH0591866A/ja
Publication of JPH0591866A publication Critical patent/JPH0591866A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 プレクトネマ属に属する微生物由来のfrx
C遺伝子およびその周辺配列を用い、該frxC遺伝子
に対して遺伝子破損処理を行って得た破損frxC遺伝
子および該周辺配列を含むDNAをプレクトネマ属に属
する宿主微生物に導入し、形質転換することにより得ら
れる、暗条件においてクロロフィルを実質的に生産せ
ず、かつプロトクロロフィリドを生産することを特徴と
するプレクトネマ属に属する変異株微生物、および該変
異株微生物を用いるプロトクロロフィリドの製造法。 【効果】 プロトクロロフィリドが効率的に製造し得
る。プロトクロロフィリドはポルフィリン環を有する抗
癌物質の出発原料となり得、また、天然色素として使用
できる有用なものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然色素プロトクロロフ
ィリドを生産するプレクトネマ属に属する変異株微生物
およびその微生物による該色素の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】天然色素プロトクロロフィリドは、クロ
ロフィリドaを経て葉緑素であるクロロフィルaに変換
される色素である。プロトクロロフィリドは、濃度及び
溶媒条件により、黄色から黄緑色、さらに茶色がかった
オレンジ色を呈する色素であり、エーテル中での特徴的
な吸収極大が、431-436,571-574 及び623-625nm 付近に
認められ、エーテル中での蛍光及び、励起スペクトルの
ピークの値は、625nm(励起光430nm)付近及び、431nm(蛍
光625nm)付近という物性を有する。構造としては、ポル
フィリン環の中心にMg原子が配位した化合物であり、
構造式も解明されており、モノビニル体とジビニル体が
知られている。近年、ポルフィリン環を有する抗癌物質
の研究も盛んに行われており、プロトクロロフィリドは
このポルフィリン環を有する抗癌物質の出発原料となり
得る有用なものである。また、濃度及び溶媒条件によ
り、黄色から黄緑色、さらに茶色がかったオレンジ色を
呈する天然色素として、食品等の添加物に利用できるも
のでもある。
【0003】プロトクロロフィリドからクロロフィリド
aへの変換は、高等植物では光条件下で起こり、したが
って従来、プロトクロロフィリドは、暗所にて発芽させ
た植物体の芽生え、例えばキュウリ、トウモロコシ、オ
オムギ等から、アセトン−アンモニア水混液中、ホモジ
ナイズして軽油やヘキサンで分配を行い、アセトン相よ
りエーテル抽出し、粗精製物を得、さらにTLC等のク
ロマトグラフィーにより精製採取していた(ジャーナル
・オブ・バイオロジカル・ケミストリー 225,第1266−
1272頁,1979年、およびバイオキミカ・エト・バイオフ
ィジュカ・アクタ 286 ,第36-54 頁,1972年)。一
方、下等光合成微生物におけるプロトクロロフィリドか
らクロロフィリドaへの変換経路は、あまり明確に解明
されていないが、ロドシュードモナス・スフェロイデス
(Rhodopseudomonas spheroides )の変異株MC−7ま
たは8−32株から、硫安沈澱、アセトン溶解、エーテ
ル抽出、MgCO3 飽和水添加による不純物除去等およ
びTLC分離等により精製していた(ジャーナル・オブ
・バイオロジカル・ケミストリー 225,第1266−1272
頁,1979年、およびメソッズ・エンザイモロジー 24 ,
第407-411 頁,1972年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来より、公知のプロ
トクロロフィリドの製造方法とは別の効率的な製造方法
の開発が待たれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため、プレクトネマ属に属する微生物を研
究し、天然色素プロトクロロフィリドを生産することを
特徴とするプレクトネマ属に属する変異株微生物を遺伝
操作的に作製することにより、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、暗条件においてクロロフィルを実
質的に生産せず、かつプロトクロロフィリドを生産する
ことを特徴とするプレクトネマ属に属する変異株微生
物、およびその微生物を用いたプロトクロロフィリドの
製造法である。
【0006】プレクトネマ属に属する微生物は、光合成
能を有するグラム陰性細菌であるラン藻類に分類されて
いる。プレクトネマ属は、Rippkaらの文献(ジャーナル
・オブ・ジェネラル・マイクロバイオロジー 111 ,1-16
(1979) )によれば、Lyngbya属や、Phorm
idium属と極めて近縁ないしは同一とされるべき属
であるとされており、Plectonema属との頭文
字をとって、LPPという分類学上の地位を与え、さら
にPlectonema属は、このなかでgroup
Bに属する。すなわち、本発明でいうPlectone
ma属はLPPgroup Bと同一の意味を持つ。P
lectonema属は、単細胞性ではなく、細胞が糸
状に並んだ糸状性の形態を持つものである。即ち、細胞
が繊維状に連結したトリコーム(trichome)と
呼ばれる形態を示し、そのトリコームは直鎖である。そ
の増殖は、トリコーム上のとびとびの細胞で分裂が起こ
った後、ランダムな部位でそのトリコームが切断されて
行われる。またトリコームは常に栄養体細胞(vegi
tative cell)により構成される。さらに、
トリコームは各細胞が直径の均一であるシリンダー状、
またはウイスキーの樽状の形状で、縦一列に繋がってい
る。
【0007】野性型のプレクトネマ属に属する微生物
は、光条件および暗条件のどちらにおいても、クロロフ
ィルを生産し、プロトクロロフィリドは殆ど認めること
ができないものであり、その自然変異株も従来知られて
おらず、またプレクトネマ属に属する微生物を含むヘテ
ロシスト(異型細胞)を形成しない糸状性のラン藻類に
おいては、形質転換を行った例がなく、適当な形質変換
体を遺伝子操作的に得ることの確認がなされていないも
のであった。
【0008】本発明のプレクトネマ属に属する変異株微
生物としては、暗条件においてクロロフィルを実質的に
生産せず、かつプロトクロロフィリドを生産することを
特徴とする微生物であれば、その由来について特に限定
されず、自然突然変異株、あるいは紫外線や変異剤処理
による人工的突然変異株あるいは、後記の遺伝子操作的
手法による変異株であってもよい。本発明においてプレ
クトネマ属の好まし例は、プレクトネマ・ボリアナム
(Plectonema boryanum )種に属する変異株微生物が挙
げられる。このプレクトネマ・ボリアナムの菌学的性質
および培養法については、文献(メソッズ・イン・エン
ザイモロジー 167, p28-67およびp68-93 (1988) 、ジャ
ーナル・オブ・ジェネラル・マイクロバイオロジー 11
1,1-16 (1979) )に記載の通りである。このプレクトネ
マ・ボリアナムのうち、さらに具体的な例としては、プ
レクトネマ・ボリアナム IAM−M101−YFC1
004(FERM P−12515)が挙げられる。
【0009】本発明の変異株微生物であるプレクトネマ
・ボリアナム IAM−M101−YFC1004と、
野性型の親株であるプレクトネマ・ボリアナム IAM
−M101とは、暗条件における色素の生産に顕著な差
があるものである。即ち、野性型のプレクトネマ属に属
する微生物が、光条件および暗条件において、クロロフ
ィルを生産し、プロトクロロフィリドの蓄積または菌体
外への漏出が殆どないのに対し、本発明の変異株微生物
は、暗条件においてクロロフィルを実質的に生産せず、
かつプロトクロロフィリドを生産するものである。本発
明の変異株微生物は、光条件下ではプロトクロロフィリ
ドを蓄積または菌体外への漏出をせず、クロロフィルは
生産するが、光条件下で一旦生成されたクロロフィルの
量は、その後微生物を暗条件においても殆ど変わらない
ため、微生物中のクロロフィル量を少なくする必要があ
る場合には、微生物を最初から暗条件で培養・増殖すれ
ばよい。なお、本発明の暗条件とは、場合によっては積
極的に光の照射下に置くことを避ける程度の条件も含む
が、通常は数10ルクス以下程度である。
【0010】本発明の変異株微生物を取得するには、下
記のプロトクロロフィリド生産能の簡便なチェック法に
従ってスクリーニングすることにより、本発明の目的の
自然突然変異株、あるいは紫外線や変異剤処理による人
工的突然変異株を取得することができるが、後記の方法
によればさらに効率よく変異株が取得できる。 <プロトクロロフィリド生産能の簡便なチェック法>3
0mMグルコース、20mM HEPES−NaOH
(pH7.5)、1mMチオ硫酸ナトリウム含有のBG
−11培地に、1.5%の寒天を添加した寒天培地をガ
ラス製のシャーレに調製する。この寒天培地に、暗所
下、30℃、20〜30日間静置培養してコロニーを形
成せしめ、このシャーレに下から紫外線を照射し、赤い
蛍光を発するコロニーをプロトクロロフィリドの生産が
期待される株として採取する。さらに菌体を熱アセトン
で菌体を粗抽出して、シリカゲルTLC(展開溶媒;ベ
ンゼン/酢酸エチル/エタノール=8:2:2v/v)
で検出する。なお、遺伝子操作的に形質転換株を作成
し、その過程において薬物耐性マーカー、例えばカナマ
イシン耐性マーカーを挿入した場合には、その薬物を培
地中に含有して選択する。含有させるカナマイシンの濃
度は、15μg/ml程度である。
【0011】また効率よく本発明の変異株微生物を取得
するには、下記の通りの遺伝子操作的技術を用いること
により、遺伝子破損したfrxC遺伝子を有することを
特徴とするプレクトネマ属に属する変異株微生物を作成
すればよい。即ち本発明は、プレクトネマ属に属する微
生物由来のfrxC遺伝子およびその周辺配列を用い、
該frxC遺伝子に対して遺伝子破損処理を行って得た
破損frxC遺伝子および該周辺配列を含むDNAをプ
レクトネマ属に属する宿主微生物に導入し、形質転換す
ることにより得られるプレクトネマ属に属する変異株微
生物である。
【0012】本発明でfrxC遺伝子とは、何もことわ
らない限り、プレクトネマ属に属する微生物由来のfr
xC(ferredoxinより命名)遺伝子を意味す
るものであるが、その機能は従来全く不明であった。本
発明者らは、frxC遺伝子に遺伝子破損を生じせしめ
たプレクトネマ・ボリアナムを作成したところ、意外に
も、暗条件においてクロロフィルを実質的に生産せず、
かつプロトクロロフィリドを生産する特徴を有すること
を発見し、本発明を完成するに至った。最初、ゼニゴケ
の葉緑体DNAの全塩基配列の決定の結果、ゼニゴケf
rxC遺伝子が見つかった。またこの遺伝子のコードす
るペプチドも検出されたが、その機能は全く不明であっ
た。その推定アミノ酸配列が、窒素固定酵素ニトロゲナ
ーゼのコンポーネントの一つであるFe−蛋白質(ni
fH遺伝子がコードする蛋白質)とアミノ酸レベルで3
5%前後の有意なホモロジーを示することから、何らか
の関連性が疑われたが、ニトロゲナーゼは原核生物に限
って分布しているとされており、事実、ゼニゴケの葉緑
体にもニトロゲナーゼ活性は検出されないことから、ニ
トロゲナーゼとの関連性は見出されない状況であった。
本発明者らは、ラン藻類の一種であるプレクトネマ・ボ
リアナム中に、ゼニゴケ由来のfrxC遺伝子とホモロ
ジーの高い塩基配列が存在することを確認し、ゼニゴケ
由来のfrxC遺伝子をプローブとすることにより、プ
レクトネマ・ボリアナムfrxC遺伝子を採取し、その
塩基配列を決定・報告した(日本植物生理学会1989
年度第29回シンポジウム)。このプレクトネマ・ボリ
アナム由来のfrxC遺伝子は、配列表に記載の塩基配
列を持つものであり(開始コドンGTG から終止コドンTA
A まで表示)、前述のゼニゴケfrxC遺伝子とは、ア
ミノ酸レベルで約83%のホモロジーを有するものであ
った。本発明のfrxC遺伝子については、プレクトネ
マ属に属する種々の種・株において変異を有することは
当然に考えられることであり、したがって、本願でいう
frxC遺伝子とは、上記配列表の配列と塩基配列レベ
ルで通常90%以上のホモロジーを有するものも含むも
のである。
【0013】frxC遺伝子を採取するに当たっては、
後記の必要から、frxC遺伝子の周辺配列を含めて採
取する必要があるが、プレクトネマ属に属する微生物か
ら公知の方法により遺伝子ライブラリーを調製し、上記
配列表に記載の適宜の塩基配列に対応するプローブを予
め調製し、このプローブを用いて遺伝子ライブラリーか
らfrxC遺伝子を採取すればよい。例示すれば、Hi
ndIII等の適宜の制限酵素を用い、プレクトネマ属
に属する微生物のゲノムDNAを切断し、一方Hind
III等の対応する適宜の制限酵素により開裂したプラ
スミド、例えばプラスミドpBR322、pBR32
5、pACYC184、pUC12、pUC18、pU
C19等の開裂断片とライゲーションして組換えプラス
ミドとし、宿主微生物、例えばコンピテント化したエシ
ェリヒア・コリー HB101、同DH1、同MV13
04、同W3110、同C600株等に導入して遺伝子
ライブラリーを調製し、予めPCR法、ランダムプライ
マーラベリング法、人工合成法等により、前記配列表記
載の配列の全部または一部の配列(またはそれに相補す
る配列)を有する標識プローブを作製し、このプローブ
で前記遺伝子ライブラリーから、コロニーハイブリダイ
ゼーション法によりポジティブ株を得、その株より必要
により適宜の制限酵素でfrxC遺伝子を切り出せばよ
い。
【0014】本発明でfrxC遺伝子の遺伝子破損処理
とは、frxC遺伝子でコードされる蛋白質を発現しな
いように該frxC遺伝子の全部または一部を改変、分
断、欠損、異質塩基配列の挿入等により変化させるもの
であり、且つその後の形質転換において2重相同組換え
を起こし得る程度の処理を意味する。例えば、frxC
遺伝子を削除する方法、プロモーターやリボゾームバイ
ンディングサイトを削除または改変する方法、開始コド
ンの削除または機能破損、frxC遺伝子上流域へのタ
ーミネーターの新たな作成、frxC遺伝子へ例えば1
または2個の塩基を挿入することによりフレームシフト
させる方法、frxC遺伝子でコードされる蛋白質の翻
訳を完結させない為に開始コドンより下流で且つ本来の
終止コドンより上流に新たな終止コドンを作製または挿
入する方法、異質塩基配列を挿入する方法等が例示され
るが、特に好ましくは異質塩基配列を挿入する方法が好
ましい。ここで異質塩基配列としては、薬剤耐性マーカ
ーDNAを用いると、プラスミドや最終的な変異株微生
物の選択が簡単になることから特に好ましい。薬剤耐性
マーカーとしては、例えばカナマイシン、アンピシリ
ン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン等の耐性
マーカーが例示され、例えばカナマイシン耐性マーカー
としては、プラスミドpKC7よりBamHIとEco
RIとのダブルダイジェッションで得られるDNA断片
を有利に利用できる(このカナマイシン耐性マーカーは
ネオマイシンの耐性マーカーでもある)。前記の削除や
切断、挿入、改変等のためには適当な制限酵素を用い
て、適当な制限酵素サイトを切断する方法が好ましい。
また、ポイントミューテーションを生ぜしめるには、紫
外線や変異剤により突然変異を生ぜしめてもよいし、適
当な制限酵素を用いて合成または天然由来の塩基配列の
DNAを挿入してもよい。
【0015】相同組換えとは、2本鎖DNAとその2本
鎖DNA配列とホモロジーの高い2本鎖DNA配列が存
在する場合、即ち互いに相同な配列が存在する場合に、
相同配列中の1ケ所において鎖の切断を経て互いに他方
の鎖への組換え連結が起こることをいい、また互いに相
同な1対の2本鎖DNA配列において異なる2ケ所でこ
の相同組換えが起こり、結果として上記2ケ所の組換え
点の間の配列が互いに置換することを2重相同組換えと
言う。即ち、本願においては、野性株のゲノムDNAの
frxC遺伝子に対し、遺伝子破損frxC遺伝子およ
びその周辺配列を含むDNAを外部から導入し、破損部
を挟む両遺伝子の相同領域における2重相同組換えによ
り、ゲノムDNAのfrxC遺伝子が遺伝子破損frx
C遺伝子となることを意味する。frxC遺伝子の周辺
配列とは、上記frxC遺伝子の周辺、即ち5’末端側
や3’末端側の塩基配列を意味し、5’末端側にはリボ
ゾームバインディングサイトやプロモーター部分が存在
している。
【0016】2重相同組換えを効率的に生ぜしめるため
には、遺伝子破損frxC遺伝子の遺伝子破損部分を挟
む両端において、ホモロジーの高いある程度の塩基長を
もつ相同領域が必要とされる。したがって、必要とされ
るfrxC遺伝子の周辺配列の塩基長は、遺伝子破損f
rxC遺伝子の非破損部分の配列の塩基長を加えて判断
すればよく、その相同領域の塩基長は、上流約0.5k
bp、下流約1.05kbpのpMC19(実施例1)
では、2重相同組換えは起こらず、上流約2.3kb
p、下流約1.05kbpのpYFC10(実施例1)
では、2重相同組換えは起こること、およびfrxC遺
伝子と配列として類似したnifH遺伝子における2重
相同組換えの本発明者らの実験において、上流約1.2
kbp、下流約1.5kbpのpYFH2においても2
重相同組換えは起こることから考えて、上流下流ともに
少なくとも0.5kbp以上必要であると結論され、特
に1.0kbp以上であればさらに好ましい。相同領域
のホモロジーは高ければ高いほど好ましいが、若干の変
異が入り若干低いホモロジーとなった場合には、適宜塩
基長を長くすればよい。
【0017】破損frxC遺伝子および該周辺配列から
なるDNAを作製する方法は、図1および図2の操作手
順に従えばよいが、概略化すると、以下の通りである。
即ち、前述の通り調製したプレクトネマ属に属する微生
物由来のfrxC遺伝子(周辺配列を含む)を、例えば
HindIII等の制限酵素によりfrxC遺伝子(周
辺配列を含む)を含むDNA断片となし、frxC遺伝
子に存在する適宜の制限酵素サイト、例えばHaeII
I等によりfrxC遺伝子を2分し、予め例えばpKC
7由来のカナマイシン耐性マーカー断片をBamHIと
EcoRIのダブルダイジェスションにより切り出して
おき、2分されたfrxC遺伝子の間にそのカナマイシ
ン耐性マーカー断片を適当な方法で挿入連結することに
より、破損frxC遺伝子および該周辺配列からなるD
NAが調製される。使用される制限酵素量は適当量であ
ればよいが、例えば、DNA1μg当たり約1〜10U
程度である。このようにして得た破損frxC遺伝子お
よび該周辺配列からなるDNAは、プラスミドに組み込
まれており、必要により必要な部分だけ切り出してもよ
いが、大腸菌等の宿主微生物中で簡単に増殖し得るもの
であり、環状のDNAの方が次のプレクトネマ属に属す
る宿主微生物への導入が容易であることから、組換えプ
ラスミドのまま用いることが好ましい。
【0018】本発明に用いられるプレクトネマ属に属す
る宿主微生物は、特に限定されないが、例えば、プレク
トネマ・ボリアナムが例示される。また、2重相同組換
えを効率的に起こさせるために、宿主のfrxC遺伝子
およびその周辺配列と、破損frxC遺伝子および該周
辺配列を含むDNAとの相同領域が十分に一致またはホ
モロジーが高いことが好ましく、したがってfrxC遺
伝子(周辺配列を含む)の供与微生物と宿主微生物は同
種とすることが好ましく、さらには親株を宿主微生物と
することが特に好ましい。
【0019】次いで破損frxC遺伝子および該周辺配
列からなるDNAを宿主生物に移入する方法としては、
例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム
法、コンピテントセル法、ポリエチレングリコール法等
が挙げられるが、特にエレクトロポレーション法が好ま
しく、その条件は本願の実施例を参考として適宜の条件
とすればよい。このようにして目的とした形質転換体を
得る場合には、耐性マーカーを挿入することによりfr
xC遺伝子を遺伝子破損した場合には、その耐性マーカ
ーを指標にして選択することができる。また、前述のプ
ロトクロロフィリド生産能の簡便なチェック法によりス
クリーニングし、さらに詳細に検討すればよい。斯くし
て選択された形質転換体である本発明の変異株微生物
は、通常のプレクトネマ属に属する宿主微生物の培養法
に従って培養すればよいが、プロトクロロフィリドの製
造に当たっては、暗条件により培養する。
【0020】本発明の変異株微生物プレクトネマ・ボリ
アナム IAM−M101−YFC1004は、100
mlのBG−11液体培地により30℃暗培養した結
果、プロトクロロフィリドとして約60〜80n mo
l程度がアセトン相に回収されるのに対し、野性型の親
株であるプレクトネマ・ボリアナム IAM−M101
では、その1000分の1程度であった。
【0021】プロトクロロフィリドの製造における微生
物の培養の形態は液体培養が好ましく、培地の栄養源と
しては、各種の無機塩のみで生育可能であるが、暗所下
においては、その他に同化または利用可能な炭素源、例
えばグルコース等や、窒素源等を添加すればよい。具体
的な培地としては、BG−11培地やMN培地(リップ
カ,アールら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・マイク
ロバイオロジー1979、111:1−61)、または
これに例えば30mM程度のグルコースを添加した培地
が例示される。場合によっては、培地中にTween8
0等の界面活性剤を添加してもよい。培養温度は、微生
物が生育し、プロトクロロフィリドを生産する範囲で適
宜変更できるが、通常20〜42℃程度、好ましくは3
0℃程度である。培養時間は、条件によって多少異なる
が、プロトクロロフィリドが最高収量に達する時間を見
計らって適当な時期に培養を終了すればよく、通常は5
〜30日間程度、好ましくは約10日間程度である。次
いで培養後、菌体または培養液を採取して分離、精製す
ればよい。 本発明の変異株微生物は通常、大部分のプ
ロトクロロフィリドを菌体内・菌体膜に蓄積し、一部分
は培地中に漏出する傾向を示すので、プロトクロロフィ
リドは主に菌体から採取すればよく、例えば濾過または
遠心分離等の手段にて菌体を回収し、次いでこの菌体を
ボールミルや超音波による機械的破砕方法やリゾチーム
等の酵素的破砕方法で破砕し、公知の方法、例えば硫安
沈澱、アセトン溶解、エーテル抽出、MgCO3 飽和水
添加不純物除去等およびTLC等の各種クロマトグラフ
ィーを適宜選択組み合わせて分離、精製すればよい。
【0022】
【発明の効果】本願によれば、プロトクロロフィリドが
効率的に製造し得る変異株微生物を容易に入手し得、該
色素の効率的な製造が可能である。プロトクロロフィリ
ドはポルフィリン環を有する抗癌物質の出発原料となり
得、天然色素として使用できる有用なものである。
【0023】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。 実施例1 遺伝子破損されたfrxC遺伝子を含むプラ
スミドpYFC10の構築 (1)プラスミドpFSC03の取得 <プレクトネマ・ボリアナムのDNAライブラリーの作
成>プレクトネマ・ボリアナム(Plectonema boryanum
)IAM−M101株(京都大学、加藤哲也博士より
分与)を、予め50mlのBG−11液体培地(リップ
カ,アールら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・マイク
ロバイオロジー1979、111:1−61)に30℃
にて蛍光灯照光下(約600ルクス)、約1週間振盪培
養して種培養液を得た。次いで、この種培養液を500
mlのBG−11液体培地に摂取し、30℃にて蛍光灯
照光下(約600ルクス)、10日間振盪培養をおこな
った。プラクトネマ・ボリアナムIAM−M101株菌
体を遠心分離により集菌し、この菌体よりチボニらの方
法(チボニ・オーら、ジャーナル・オブ・バクテリオロ
ジー1984、159:407−409)に従って染色
体DNAを得た。こうして得られた染色体DNA約10
μgを50単位の制限酵素HindIII(日本ジーン
社製)にて37℃、5時間、M緩衝液(50mM塩化ナ
トリウム、10mMトリス塩酸(pH7.5)、10m
M塩化マグネシウム、1mMジチオスレイトール)存在
下、合計約100μlの反応容積でDNA切断反応を行
った。こうして得られた染色体のHindIII切断反
応液を、マニアテスらの実験書(モルキュラー・クロー
ニング、ティー・マニアティス他、コールド・スプリン
グハーバー・ラボラトリー、1982、以下、実験書A
と略す)に示されたフェノール抽出及びエタノール沈殿
処理方法により処理し染色体のHindIII切断断片
の沈殿物を得た。こうして得られたDNA切断断片沈殿
物より残存するエタノール及び水分を減圧乾固により除
去後、この乾固物に対してTM緩衝液(100mMトリ
ス塩酸、pH7.5、5mM塩化マグネシウム)を、1
00μl加え溶解し、DNA切断断片溶液を得た。上記
のDNA切断断片溶液10μlにpBR322プラスミ
ド由来の線状プラスミドDNA(ファルマシア社より購
入;pBR322プラスミド(ボリバー,エフら ジー
ン 1977,2: 95)をHindIIIで完全切
断し、更に5’末端を脱リン酸化したもの)1μgを混
和し、更に宝酒造社製DNAライゲーションキットA液
50μl及び同キットB液15μlを混和しライゲーシ
ョン反応液を調製し、16℃一夜保温した。こうして得
られたライゲーション反応液の内50μlを、形質転換
能を賦与された大腸菌HB101菌体液(宝酒造より購
入)500μlに氷冷下にて混和し、約30分後、42
℃の水浴中を用いてヒートショックを2分間与え、LB
液体培地(バクトトリプトン10g/l,バクト酵母エ
キス5g/l,食塩10g/l)10mlを加え、37
℃1時間靜置した。得られた培養菌体液各100μl
を、50mg/lの濃度のアンピシリンを含有した合計
20枚のLB寒天培地プレート(バクトトリプトン10
g/l,バクト酵母エキス5g/l,食塩 10g/
l、バクトアガー1.5g/l)表面に滅菌スプレッダ
ーを用いできるだけ均一に広げた。この菌体塗布培地プ
レートを、37℃にて一夜培養した。こうして得られる
多数のアンピシリン耐性大腸菌コロニーは、pBR32
2のHidIII制限酵素部位にプレクトネマ・ボリア
ナム染色体DNAのHindIII切断断片を組み込ん
だプラスミドを保持した形質転換体であることが期待さ
れた。即ち、こうしてプレクトネマ・ボリアナム染色体
DNAのHindIII切断断片のDNAライブラリー
を得た。
【0024】<プレクトネマ・ボリアナム由来frxC
遺伝子の採取>一方、上記で得られた、DNAライブラ
リーから目的とする、プレクトネマ・ボリアナム由来f
rxC遺伝子を含むプラスミドを選択取得する為に、ハ
ナハンらの方法(メソッズ・イン・エンザイモロジー
1983、100:333−342)によるコロニーハ
イブリダイゼーションを行った。用いたプローブの作製
方法を以下に記述する。先ず、ゼニゴケ由来のfrxC
遺伝子をクローン化されたプラスミドDNAであるpU
CfrxC5(フジタ,ワイら プラント・モルキュラ
ー・バイオロジー1989、13:551−561)1
μgを、各々5単位の制限酵素HindIIIとEco
RI(いずれも日本ジーン社製)にて、M緩衝液(前
述)存在下、約20μlの反応体積で37℃5時間切断
反応を行なった。この酵素消化で得られたDNA断片
を、1%の低融点アガロースを用いたゲル電気泳動によ
り分離し、後述のマルチプライムDNAラベリングシス
テム(アマーシャム社)に添付されるマニュアルの方法
にしたがって、目的のバンドを切り出し、滅菌水(1g
のアガロース片に対し3mlの割合)を加え、7分間煮
沸した。こうして得た462bp(塩基対)のDNA断
片水溶液を、アマーシャム社製のマルチプライムDNA
ラベリングシステムと〔α−32P〕−dCTPを用いて
放射ラベルした。このゼニゴケ由来のfrxC遺伝子の
放射性プローブDNA(109 cpm/μg)用いて、
前述のごとくに得られたプレクトネマ ボリアナムのD
NAライブラリーから、前述したハナハンらの方法(メ
ソッズ・イン・エンザイモロジー1983、100:3
33−342)で、コロニーハイブリダイゼーションを
行なった。この際、コロニーをレプリカするのに、ニト
ロセルロースフィルター(HATF、ミリポア社製)を
用い、ハイブリダイゼーション溶液としては、6倍濃度
のSSC(塩化ナトリウム52.6g/l、クエン酸ナ
トリウム26.5g/l、pH7.0)、0.5%ラウ
リル硫酸ナトリウム、5倍濃度のデーンハルト溶液(フ
ィコール0.5g/l、ポリビニルピロリドン0.5g
/l、牛血清アルブミン(シグマ フラクション V)
0.5g/l)、10mMEDTA、熱変性サケ精子D
NA0.1mg/ml及び前述の放射性プローブ約10
ng(約107 cpm)を含むものをフィルター当り約
3ml溶液で用いた。ハイブリダイゼーション反応の温
度は、50℃とし一夜反応を行った。フィルターの洗浄
は、6倍濃度のSSC(前述)、0.5%ラウリル硫酸
ナトリウムの溶液で、65℃にて行った。洗浄されたフ
ィルターは、室温にて自然乾燥の後、X−線感光フィル
ム(フジフィルム社製)を用いて、感光カセット中にて
一晩感光した。感光したフィルムを現像し、放射性プロ
ーブがハイブリダイズしたコロニーが数個あることを確
認した。これらコロニーの内の1つに含まれるプラスミ
ドをpFSC03と命名した。元のDNAライブラリー
プレートよりpFSC03を保持する菌体をアンピシリ
ン50mg/l含むLB液体培地(前述)3mlにて3
7℃にて一晩振盪培養し、pFSC03を抽出(実験書
A、p.368−369)した。制限酵素切断により確
認したところpFSC03には、プレクトネマ ボリア
ナムDNA由来の約3.7kbpのHindIIIDN
A断片がpBR322のHindIII制限酵素部位に
挿入されていることが判明した。また、この3.7kb
pDNA断片中にはゼニゴケfrxC構造遺伝子産物の
もつアミノ酸一次配列と極めて相同性の高いアミノ酸一
次配列をコードする構造遺伝子が存在することを塩基配
列の決定により確認しており、その配列は配列表の通り
であった(ユーイチ フジタ、ヤスヒロ タカハシ、フ
ミオ ショナイ、 ユタカ オグラ、及び ヒロシマツ
バラ、プラント セル フィジオロジー1991、印刷
中)。そして、この構造遺伝子をプレクトネマ・ボリア
ナムに於いてもゼニゴケ同様、frxC遺伝子と呼び本
明細書中記載している。
【0025】(2)プラスミドpMC19の取得 <frxC遺伝子全部を含有するDNA断片材料の取得
>pFSC03プラスミド20μgを全量200μl
で、MH緩衝液(75mM塩化ナトリウム、10mMト
リス塩酸(pH7.5)、10mM塩化マグネシウム、
1mM ジチオスレイトール)中で、各々40単位の制
限酵素HindIII(東洋紡より購入)およびPst
I(東洋紡より購入)存在下、37℃一晩切断反応を行
った。こうして得られた反応液をアガロースゲル電気泳
動(アガロース1600、和光純薬工業、1%w/vゲ
ル、実験書A、p.150−170)を行い、約1.7
kbpのDNA切断断片を含むゲル小片をメスにて切り
出した。このゲル小片よりのDNA回収は、マックスフ
ィールドNP核酸タンパク質回収器(アトー科学機器社
製)を用い電気的に(定電圧50V、45分)行った。
得られた1.7kbpDNA断片を含む液を、エタノー
ル沈殿(実験書A、p.461−462)、減圧乾固処
理することにより、PstI及びHindIIIにより
切断を受けた1.7kbpのDNA断片乾燥物を得た。
このDNA断片乾燥物を50μlのTE緩衝液(10m
Mトリス塩酸、pH8.0、1mMEDTA)に可溶化
した。
【0026】<frxC遺伝子が分断されたDNA断片
混合物(frxC−Ha試料)の取得>更に、こうして
得られた、DNA断片水溶液に5.4μlの10倍濃度
の上記のM緩衝液と、5単位の制限酵素HaeIII
(東洋紡社製)を加え全量55μlとし、37℃一晩酵
素切断反応を行った。こうして得られた反応液を、フェ
ノール抽出(実験書A、p.458)、エタノール沈殿
(実験書A、p.461−462)、減圧乾固処理する
ことにより、約0.7kbpのPstIとHaeIII
制限酵素切断末端を有するDNA断片(以下、frxC
−UpDNA断片と呼ぶ)と約1kbpのHindII
とHaeIII制限酵素切断末端を有するDNA断片
(以下、frxC−DownDNA断片と呼ぶ)の混合
乾燥物を得た。このDNA断片混合乾燥物を50μlの
上記のTE緩衝液に可溶化し以下<frxC−Ha試料
>と呼ぶ試料を得た。
【0027】<pUC12由来のDNA断片(pUC1
2−HiHi試料)の取得>並行してpUC12プラス
ミド(ヤニッシュ−ペロン・シーら、ジーン(198
5)33:103−119)1μgを総反応体積10μ
lで、M緩衝液(前述)中で、5単位の制限酵素Hin
dIII(東洋紡社製)存在下、37℃12時間切断反
応を行った。更に制限酵素HincII(東洋紡社製)
5単位と10倍濃度のH緩衝液(100mM塩化ナトリ
ウム、50mMトリス塩酸(pH7.5)、10mM塩
化マグネシウム、1mM ジチオスレイトール)1μl
を上記反応液に添加し37℃、一晩酵素切断反応を継続
した。この反応液をフェノール抽出(実験書A、p.4
58)、エタノール沈殿(実験書A、p.461−46
2)、減圧乾固処理することにより、HincII及び
HindIIIにより切断を受けた約2.6kbpのD
NA断片乾燥物を得た。このDNA断片乾燥物を20μ
lのTE緩衝液(前述)に可溶化し、以下<pUC12
−HiHi試料>と呼ぶ試料を得た。
【0028】<pUC13由来のDNA断片(pUC1
3−PsHi試料)の取得>同じく、並行してpUC1
3プラスミド(ヤニッシュ−ペロン・シーら、ジーン
(1985)33:103−119)1μgを総反応体
積10μlで、制限酵素HincII(東洋紡社製)5
単位を及び制限酵素PstI(東洋紡社製)2.5単位
を含むH緩衝液(前述)中で、37℃、一晩酵素切断反
応を行った。この反応液をフェノール抽出(実験書A、
p.458)、エタノール沈殿(実験書A、p.461
−462)、減圧乾固処理することにより、PstI及
びHincIIにより切断を受けた約2.6kbpのD
NA断片乾燥物を得た。このDNA断片乾燥物を20μ
lのTE緩衝液(前述)に可溶化し、以下<pUC13
−PsHi試料>と呼ぶ試料を得た。
【0029】<pUCHH2−8の作製>上記のごとく
得られた、<frxC−Ha試料>24μl、<pUC
12−HiHi試料>10μl、宝酒造社製DNAライ
ゲーションキットのA液272μl及び同キットのB液
34μlを混和し、16℃、16時間保温した。得られ
た反応液を用いて、塩化カルシウム法(実験書A、p.
250−251)により形質転換能を賦与された大腸菌
TG1株(モレキュラー・クローニング・第2版、ジェ
ー・サムブルック他、コールド・スプリング・ラボラト
リー、1989、第3巻、p.A.12)を形質転換処
理し、50μg/mlのアンピシリン、1mMのIPT
G、及び0.02%w/vのX−galを含むLB寒天
培地上で37℃、一夜培養し、アンピシリン耐性を獲得
した白色のコロニーを多数得た。得られた白色コロニー
の内、数株より、各菌体をアンピシリン50mg/l含
むLB液体培地(前述)1mlに植菌し、37℃、一晩
振盪培養し、それぞれのプラスミドを抽出(実験書A、
p.368−369)した。それらプラスミドを制限酵
素切断により構造の確認をしたところ、いずれのプラス
ミドも<frxC−Ha試料>由来の約1kbpの前述
のfrxC−DownDNA断片が1つ、pUC12の
HindIIIとHincII制限酵素部位の間に挿入
されていることが判明した。その内の1つのプラスミド
を,pUCHH2−8と命名した。
【0030】<pUCPH1の作製> <frxC−Ha試料>1μl、<pUC13−PsH
i試料>9μlを用い、<pUCHH2−8の作成>と
同様の方法により、約0.7kbpのfrxC−UpD
NA断片が1つ、pUC13のPstIとHincII
制限酵素部位の間に挿入されているプラスミドが得ら
れ、その内の1つのプラスミドを、pUCPH1と命名
した。
【0031】<pUCKmHH7の作製>上述のごとく
得られたpUCHH2−8プラスミド2μgをH緩衝液
(前述)中で、5単位の制限酵素EcoRI(ニポンジ
ーン社製)及び5単位の制限酵素BamHI(東洋紡社
製)を加え、全量20μlにて、37℃、一晩切断反応
を行った。この反応液をフェノール抽出(実験書A、
p.458)、エタノール沈殿(実験書A、p.461
−462)、減圧乾固処理することにより、EcoRI
及びBamHIにより切断を受けた約3.6kbpのD
NA断片乾燥物を得た。このDNA断片乾燥物を20μ
lのTE緩衝液(前述)に可溶化し、以下<pUCHH
2−8−Ba−Ec試料>と呼ぶ試料を得た。一方、並
行して、pKC7プラスミド(ラオ・アール・エヌら、
ジーン(1979)7:79)1μgをH緩衝液(前
述)中で、5単位の制限酵素EcoRI(日本ジーン社
製)及び5単位の制限酵素BamHI(東洋紡社製)お
よび3単位の制限酵素ScaI(日本ジーン社製)を加
え、全量50μlにて、37℃、8時間切断反応を行っ
た。この反応液を、フェノール抽出(実験書A、p.4
58)、エタノール沈殿(実験書A、p.461−46
2)、減圧乾固処理することにより、EcoRI及びB
amHIにより切断を受けた約1.9kbpのカナマイ
シン耐性遺伝子含有DNA断片を含んだ3種のDNA断
片混合物の乾燥物を得た。このDNA断片乾燥物を20
μlのTE緩衝液(前述)に可溶化し、以下<pKC7
−Ba−Ec−Sc試料>と呼ぶ試料を得た。<pUC
HH2−8−Ba−Ec試料>3μl、<pKC7−B
a−Ec−Sc試料>4μl、宝酒造社製DNAライゲ
ーションキットのA液56μl及び同キットのB液7μ
lを混和し、16℃、16時間保温した。得られた反応
液を用いて、塩化カルシウム法(実験書A、p.250
−251)により形質転換能を賦与された大腸菌TG1
株(前述))を形質転換処理し、50μg/mlのアン
ピシリン、50μg/mlのカナマイシンを含むLB寒
天培地上で37℃、一晩培養し、アンピシリン耐性及び
カナマイシン耐性を獲得したコロニーを多数得た。得ら
れた耐性コロニーの内、14株より、各菌体をアンピシ
リン50mg/mlおよび50μg/mlのカナマイシ
ンを含むLB液体培地(前述)1mlに植菌し、37
℃、一晩振盪培養し、それぞれのプラスミドを抽出(実
験書A、p.368−369)した。それらプラスミド
を制限酵素切断により構造の確認をしたところ、14株
中2株から得たプラスミドに<pKC7−Ba−Ec−
Sc試料>由来の約1.9kbpの前述のカナマイシン
耐性遺伝子含有DNA断片が1つ、pUCHH2−8の
EcoRIとBamHI制限酵素部位の間に挿入されて
いることが判明した。その内の1つのプラスミドを、p
UCKmHH7と命名した。
【0032】<pMC19の構築>こうして得られた,
pUCPH1と、PUCKmHH7よりpMC19を以
下のようにして構築した。pUCPH1プラスミド2μ
gをH緩衝液(前述)中で、各々5単位の制限酵素Ec
oRI(日本ジーン社製)及びScaI(日本ジーン社
製)を加え、全量20μlにて、37℃、一晩切断反応
を行った。この反応液を、フェノール抽出(実験書A、
p.458)、エタノール沈殿(実験書A、p.461
−462)、減圧乾固処理することにより、EcoRI
により両端切断を受けた約0.5kbpのfrxC遺伝
子の5’側の一部を含有するDNA断片を含む3種のD
NA断片の乾燥物を得た。このDNA断片乾燥物を20
μlの滅菌蒸留水に可溶化し、以下<pUCPH1−E
c−Sc試料>と呼ぶ試料を得た。一方、並行して、p
UCKmHH7プラスミド2μgをEcoRI緩衝液
(50mM塩化ナトリウム、100mMトリス塩酸(p
H7.5)、7mM塩化マグネシウム、7mM 2−メ
ルカプトエタノール)中で、5単位の制限酵素EcoR
I(日本ジーン社製)を加え、全量20μlにて、37
℃、一晩切断反応を行った。この反応液を、フェノール
抽出(実験書A、p.458)、エタノール沈殿(実験
書A、p.461−462)、減圧乾固処理することに
より、EcoRIにより切断を受けたpUCKmHH7
プラスミドDNAの乾燥物を得た。このDNA乾燥物を
20μlの滅菌蒸留水に可溶化し、以下<pUCKmH
H7−Ec試料>と呼ぶ試料を得た。<pUCKmHH
7−Ec試料>4μl、<pUCPH1−Ec−Sc試
料>4μl、宝酒造社製DNAライゲーションキットの
A液40μl及び同キットのB液8μlを混和し、16
℃、16時間保温した。得られた反応液を用いて、塩化
カルシウム法(実験書A、p.250−251)により
形質転換能を賦与された大腸菌TG1株(前述)を形質
転換処理し、50μg/mlのアンピシリン、50μg
/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地上で37℃、
一晩培養し、アンピシリン耐性及びカナマイシン耐性を
獲得したコロニーを多数得た。得られた耐性コロニーの
内、24株より、各菌体をアンピシリン50mg/ml
および50μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培
地(前述)1mlに植菌し、37℃、一晩振盪培養し、
それぞれのプラスミドを抽出(実験書A、p.368−
369)した。それらプラスミドを制限酵素切断により
構造の確認をしたところ、その内の1つのプラスミドは
<pUCPH1−Ec−Sc試料>由来の約0.5kb
pの前述したfrxC遺伝子の5’側の一部を含有する
DNA断片が1つ、pUCKmHH7のEcoRI制限
酵素部位の間に挿入されていることが判明した。また、
挿入された0.5kbpのEcoRI断片の方向性を制
限酵素消化によって確認した。その結果、得るれたプラ
スミドは、本来のfrxC遺伝子のHaeIII部位に
カナマイシン耐性遺伝子がfrxCの転写方向と同じ向
きに挿入された構造を有していることがわかった。この
プラスミドをpMC19と命名した。このpMC19を
用い、プラクトネマ・ボリアヌムの形質転換を試みた
が、カナマイシン耐性の変異株が得られなかった。この
ことから、正常frxC遺伝子と破損frxC遺伝子と
の間で組換え(2重相同組換えとは限らない)が起こら
なかったと判断された。
【0033】(3)pYFC10の構築 <pUCHPH3の構築>pMC19で、プラクトネマ
・ボリアヌムの形質転換を行ったが、相同組換えが起こ
らなかったので、frxC遺伝子の5’側上流のDNA
部分をpMC19に追加することに決め、以下に示す手
順で、pYFC10の構築を行った。pFSC03プラ
スミド2μgをM緩衝液(前述)中で、各々5単位の制
限酵素HindIII(日本ジーン社製)、制限酵素P
vuII(BRL社製)及び制限酵素SspI(BRL
社製)を加え、全量20μlにて、37℃、一晩切断反
応を行った。こうして得られた反応液に制限酵素Pst
I(東洋紡社製)5単位と10倍濃度のH緩衝液(前
述)を2.1μl加え、37℃、5時間酵素切断反応を
行った。こうして得られた反応液を、フェノール抽出
(実験書A、p.458)、エタノール沈殿(実験書
A、p.461−462)、減圧乾固処理することによ
り、EcoRIにより切断を受けた約2kbpのfrx
C遺伝子より5’側の部分を含有するDNA断片を含む
6種のDNA断片の乾燥物を得た。このDNA断片乾燥
物を15μlのTE緩衝液(前述)に可溶化し、以下<
pFSC03−5’試料>と呼ぶ試料を得た。並行し
て、pUCPH1プラスミド0.5μgをM緩衝液(前
述)中で、5単位の制限酵素HindIII(日本ジー
ン社製)を加え、全量15μlにて、37℃、一晩切断
反応を行った。こうして得られた反応液に制限酵素Ps
tI(東洋紡社製)5単位と10倍濃度のH緩衝液(前
述)を1.6μl加え、37℃、5時間酵素切断反応を
行った。この反応液を、フェノール抽出(実験書A、
p.458)、エタノール沈殿(実験書A、p.461
−462)、減圧乾固処理して、pUCPH1のHin
dIII、PstI切断DNA断片の乾燥物を得た。こ
のDNA断片乾燥物を15μlのTE緩衝液(前述)に
可溶化し、以下<pUCPH1−HiPs試料>と呼ぶ
試料を得た。こうして得られた、<pUCPH1−Hi
Ps試料>5μl、<pFSC03−5’試料>5μl
を、ライゲーション緩衝液(BRL社製)中で、0.5
単位のT4DNAライゲース(BRL社製)を加え、全
量20μlで、16℃、16時間保温した。得られた、
ライゲーション反応液を用いて、塩化カルシウム法(実
験書A、p.250−251)により形質転換能を賦与
された大腸菌TG1株(前述)を形質転換処理し、50
μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地(前述)
上で37℃、一晩培養し、アンピシリン耐性を獲得した
コロニーを多数得た。得られた耐性コロニーの内、12
株より、各菌体をアンピシリン50mg/mlを含むL
B液体培地(前述)1mlに植菌し、37℃、一晩振盪
培養し、それぞれのプラスミドを抽出(実験書A、p.
368−369)した。それらプラスミドを制限酵素切
断により構造の確認をしたところ、その内の9つのプラ
スミドは<pFSC03−5’試料>由来の約2kbp
の前述したfrxC遺伝子の5’側上流の部分を含有す
るDNA断片が1つ、pUCPH1のHindIII−
PstI制限酵素部位の間に挿入されていることが判明
した。こうして得られたプラスミドをpUCHPH3と
命名した。
【0034】<pYFC10の構築>pMC19プラス
ミド2μgをSacI緩衝液(6mM塩化マグネシウ
ム、6mMトリス塩酸(pH7.5)、6mM 2−メ
ルカプトエタノール)中で、8単位の制限酵素SacI
(日本ジーン社製)を加え、全量100μlにて、37
℃、一晩切断反応を行った。この反応液を、60℃で7
分間加熱処理し、pMC19プラスミドDNAのSac
I切断溶液とした。この溶液に2倍濃度のMBN緩衝液
(40mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)、2m
M塩化亜鉛、100mM塩化ナトリウム、10%グリセ
ロール)100μlと、15単位のマングビーンヌクレ
アーゼ(宝酒造社製)を添加し、37℃15分間加温し
た。こうして得られた反応液を、フェノール抽出(実験
書A、p.458)、エタノール沈殿(実験書A、p.
461−462)、減圧乾固処理した。得られた、DN
A含有乾固物を20μlのTE緩衝液(前述)に溶解
し、制限酵素DraI(東洋紡社製)8単位と、3μl
の10倍濃度のM緩衝液(前述)、7μlの滅菌水を加
え、37℃、一晩酵素切断反応を行った。この反応液
を、フェノール抽出(実験書A、p.458)、エタノ
ール沈殿(実験書A、p.461−462)、減圧乾固
処理して、pMC19のSacI(但し、切断末端は、
平滑化されている。)、DraI切断DNA断片を含む
4種のDNA断片の乾燥物を得た。このDNA断片乾燥
物を20μlのTE緩衝液(前述)に可溶化し、以下<
pMC19−SaDr試料>と呼ぶ試料を得た。並行し
て、pUCHPH3プラスミド1μgをSmaI緩衝液
(20mM塩化カルシウム、6mMトリス塩酸(pH
7.9)、6mM塩化マグネシウム、6mM2−メルカ
プトエタノール)中で、15単位の制限酵素SmaI
(東洋紡社製)を加え、全量50μlにて、30℃、一
晩切断反応を行った。得られた反応液を、60℃で7分
間加熱してSmaIを失活させ、pUCHPH3プラス
ミドのSmaI切断DNA溶液とした。こうして、以下
<pUCHPH3−Sm試料>と呼ぶ試料を得た。<p
MC19−SaDr試料>5μl、<pUCHPH3−
Sm試料>5μlを、ライゲーション緩衝液(BRL社
製)中で、4単位のT4DNAライゲース(BRL社
製)を加え、全量20μlで、16℃、16時間保温し
た。得られた、ライゲーション反応液を用いて、塩化カ
ルシウム法(実験書A、p.250−251)により形
質転換能を賦与された大腸菌TG1株(前述)を形質転
換処理し、50μg/mlのアンピシリンと50μg/
mlのカナマイシンを含むLB寒天培地(前述)上で3
7℃、一晩培養し、アンピシリン耐性及びカナマイシン
耐性を獲得したコロニーを多数得た。得られた耐性コロ
ニーの内、12株より、各菌体をアンピシリン50mg
/mlと50μg/mlのカナマイシンを含むLB液体
培地(前述)1mlに植菌し、37℃、一晩振盪培養
し、それぞれのプラスミドを抽出(実験書A、p.36
8−369)し、得た。それらプラスミドを制限酵素切
断により構造の確認をしたところ、その内の1つのプラ
スミドは、frxC遺伝子の一部を含む5’側DNAを
クローン化しているpUCHPH3プラスミドのSma
I制限酵素部位に、pMC19由来のカナマイシン耐性
遺伝子及びfrxCの3’側遺伝子を含むDNA断片が
1つだけ、frxC遺伝子の転写方向から眺めて、同一
方向に挿入されていた。こうして得られたプラスミドを
pYFC10と命名した。
【0035】実施例2 プレクトネマ・ボリアナム(Pl
ectonema boryanum )IAM−M101−YFC100
4の作製 実施例1で得られたプラスミドpYFC10を、塩化セシウム
平衡密度勾配法(Sambrook et al. 1989)により精製し、
TE(10mM Tris-HCl;pH8.0,1mM EDTA)に溶解し(3.0mg/m
l)、以下方法により、プレクトネマ・ボリアナムを形質
転換した。まず、プレクトネマ・ボリアナムIAM−M
101を50mlのBG-11(Rippka etal. 1979)で静置培養
(10日間、30℃, 約600ルクス)した後、菌体を遠
心により集菌した。得られた菌体を、予め氷上で冷やし
ておいた1mM HEPES-KOH (pH7.5)(HEPES ;N-2-hydro
xy-ethylpiperazine-N'-2-ethane sulfonic acid) 50m
l で二回懸濁を繰り返し、さらに、氷冷した50mlの10%
(w/v)グリセロールで二回懸濁を繰り返し、最後に、遠
心によりグリセロールを除き、約1ml の菌体濃縮懸濁液
を得た。この菌体濃縮懸濁液40μlに2.0 μlのpYFC10
溶液を加え、エレクトロポレーション用キュベット(電
極間距離;1mm、 Bio-Rad社製)に移し、電気パルスを一
回与えた。電気パルスは、ジーン−パルサー(Bio-Rad社
製)を電界強度1.25kV、静電容量25μFに、パルス−コ
ントローラーを600 Ωにセットして出力した。その結
果、出力された減衰波は、初期電界強度1.26kV、時定数
9.3 msであった。電気パルスを与えた菌体は、直ちに3m
lのBG-11 (5mM グルコース含有)に懸濁し、3日間静
置培養を続けた(30 ℃,約600ルクス)。形質転換体
の選択のため、この培養液をBG-11 寒天プレート( 20m
M HEPES-NaOH;pH7.5,5mMグルコース,15 μg/ml 硫酸カ
ナマイシン含有)上に、3mlの3%(w/v) 寒天と混合して
接種した。約二週間後、5つのカナマイシン耐性変異株
が出現した。このうちの1株を、プレクトネマ・ボリア
ナム(Plectonema boryanum )IAM−M101−YF
C1004と命名した(微工研菌寄第12515、FE
RM P−12515)。なお実施例3の実験により、
その他の4株については1重相同組換えか不完全な2重
相同組換えが起こったものと判断された。
【0036】実施例3 YFC1004 株のfrxC遺伝子の
破損の同定 実施例2で得られたプレクトネマ・ボリアナム IAM
−M101−YFC1004(YFC1004 株と略記するこ
ともある)が、意図したfrxC遺伝子破損を伴ってい
るかを、YFC1004 株より抽出したゲノムDNAを試料と
し、frxC遺伝子断片に対応したプローブを調製し、
このプローブを用いてサザンブロット法による解析を行
なった。即ち、8ml のBG-11 (5mM グルコース, 15μg/
ml 硫酸カナマイシン含有)培地で二週間培養したYFC1
004 株から、アスベルらの記述(カレント・プロトコー
ルズ・イン・モレキュラー・バイオロジーpp2.4.
1−2.4.2,(1987))に従って、ゲノムDN
Aを調製した(収量;約5μg )。このゲノムDNA
(1.2 μg )を、制限酵素EcoRI (10単位;日本ジー
ン)又は、HindIII(14単位;日本ジーン)(或いは、両
方)で消化し、1%アガロースゲルで電気泳動を行ない、
キャピラリー法(サムブルークら;モレキュラー・クロ
ーニング・ア・ラボラトリー・マニュアル 2nd e
d.(1989))により、ナイトラン13膜( Schleic
her & Schnell 社)に転写した。以後のハイブリダイゼ
ーション及び検出法は、DNA Labelling and Detection
Kit Nonradioactive(Boehinger Mannheim社)に添付さ
れるマニュアルに従って行なった。又、プローブは、f
rxC遺伝子に相当する領域をポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)法で増幅し、ジゴキシゲニン-11-dUTPでラベ
ルすることにより調製した(DNA Labelling and Detect
ion Kit Nonradioactive; Boehinger Mannheim社)。こ
こでのPCR法では、GeneAmpTM DNA Amplification Re
agent Kit (宝酒造社製)を用い、プライマーとして、
プレクトネマ・ボリアナムのfrxC遺伝子のN末端及
びC末端に対応する2種の27塩基のオリゴヌクレオチ
ド(5’側プライマーとして 5'-CCGGATCCATGAAACCTCGC
AGTGTAT-3'、3’側プライマーとして5'-GCGGATCCGGTTA
GACCATCATCAAAT-3' )を自動DNA合成機Cyclone/Plus
(MilliGen/Biosearch社)で合成して用いた。又、fr
xCのクローン化プラスミドpFSC03をBamHIで消化した
断片を、鋳型DNAとして用いた。サザンハイブリダイ
ゼーションの結果、以下のことが判明した。即ち (1)EcoRIで消化されたYFC1004 株染色体には、プ
ローブにより検出されるバンドが元株と異なり2本検出
された。しかもそのサイズは元株が約2.8kbpであ
ったのに対し、YFC1004 株では約4.2kbpおよび約
0.49kbpであった。 (2)EcoRIおよびHindIIIで消化されたYFC10
04 株染色体には、プローブにより検出されるバンドが
元株と異なり2本検出された。しかもそのサイズは元株
が約1.5kbpであったのに対し、YFC1004 株では約
2.9kbpおよび約0.49kbpであった。これら
のことから明らかなように、対照とした野生株のパター
ンに比べ、YFC1004 株では、frxC遺伝子の制限酵素
切断パターンに変化が生じており、しかも、それは予想
される2重相同組換えのそれとよく一致していた。即
ち、実施例2の方法で、プレクトネマ・ボリアナムに対
して二重相同組換え(ダブルリコンビネーション)によ
るfrxC遺伝子の特異的破損を起こし得ることを確認
した。
【0037】実施例4 暗所におけるYFC1004 株の生育
及びプロトクロロフィリドの産生 実施例2で得られたYFC1004 株を、暗所で30℃にて液体
培養( 100ml,BG-11(30mM グルコース, 15μg/ml硫酸
カナマイシン含有):130rpm,エアレーション促進のた
め、300ml の羽根付フラスコ使用)した。その増殖を、
730nm の濁度(OD730 ;日立U-3200型分光光度計で計
測)及び、1ml の培養液中のクロロフィル量について測
定した。尚、クロロフィル量は、タンデュー・デ・マル
サクとホウマルドらの記述(メソッズ・エンザイモロジ
167:318−328(1988))の方法によ
り、菌体を90%(v/v)メタノールで抽出し、その上清の66
5nmの吸光度(OD665 ;日立U-3200型分光光度計で計
測)から、式; C(クロロフィル量;μg/ml)=OD665 ×13.9 により算出した。その結果以下のことが判明した。 (1)YFC1004 株、元株の両者ともに、OD730 の値が約
0.4から培養をはじめ(0日目)、4日、7日、10
日、14日、16日目の各時点で順に約0.7、約1.
3、約2.0、約3.0、約4.0の値を示した。 (2)同様に0日(培養開始日)、4日、7日、10日、
14日、16日目の各時点での両株の菌体中のクロロフ
ィルの含量は、元株が培養液1ml当たりにすると順に
約2μg(0日目)、約2μg、約3μg、約3μg、
約2.5μg、約2.5μgであった。 したがって、対照として行なった野生株と、YFC1004 株
との間で、OD730 で測定される増殖速度に大差は認め
られないが、クロロフィル量の増加には明らかな差が認
められた。即ち、野生株が、暗所でもクロロフィル合成
を行なうのに対し、YFC1004 株では、増殖に伴うクロロ
フィル量の増加が殆ど認められなかった。菌体のメタノ
ール抽出物の吸収スペクトルを比較すると、YFC1004 株
では、野生株には認められない626nm の吸収極大が観測
された。この吸収極大は、コツァバシスとセンジャーら
が報告(Z.Naturforsch 41c:100
1−1003(1986))しているクロロフィル合成
の中間体プロトクロロフィリドのメタノール中での吸収
極大の値によく一致していることから、YFC1004 の細胞
にプロトクロロフィリドが蓄積していることが示唆され
た。そこで、膜画分での色素分析を行なうため、上記と
同様に暗所で培養した野生株とYFC1004 株の培養液100m
l から菌体を遠心によって集菌し、10mlの水に懸濁し、
氷上にて細胞を超音波により破砕した(出力70%,間欠照
射30秒3回,Sonicator,W-225型,Heat Systems Ultrason
ics 社製)。未破砕細胞を低速遠心(最大3,000xg )で
除去し、得られた上清画分をさらに、超遠心(最大310,
000xg,1時間)することにより、膜画分を沈澱として回
収した。この膜画分に含まれる色素を、10mlのアセトン
− 0.1Nアンモニア( 9:1,v/v)で抽出し、遠心(最大
18,000xg)により蛋白質を除き、上清画分として回収し
た。次に、この上清画分を分液ロートに移し、等容のヘ
キサンを加えて相分配を行ない、下層のアセトン相を回
収し、再度、1/3容のヘキサンとの間で相分配を行な
った。ベランジャーとレベイツらの文献( Biochem. Bi
ophys.Res.Commun.88: 365-372. 1979 )に記載されて
いるように、この相分配によりフィトールによりエステ
ル化されたクロロフィル及びその前駆体は、ヘキサン相
に移り、エステル化されていないポルフィリンやプロト
クロロフィリド等は、アセトン相に残ることが知られて
いる。その結果、得られたYFC1004 からのアセトン相
は、濃い黄色を呈していた。この色素は、434, 573及び
629nm 付近に吸収極大(日立U-3200型分光光度計で計
測)を示し、又、データには示さないが、エーテル中で
の吸収極大が、432,573 及び624nm に認められた。この
吸収極大波長は、ベランジャーとレベイツら(ジャーナ
ル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー 225,第1266
−1272頁,1980年)が報告しているプロトクロロフィリ
ドのそれとよく一致している。また野生株についても同
様にスペクトルを測定したが、野生株の膜画分にはこの
色素は殆ど含まれていないことが判った。更に、本標品
の蛍光及び、励起スペクトルを測定した。蛍光及び、励
起スペクトルは、島津RF5000型分光蛍光計(1cm角セ
ル)を用いて測定した。蛍光スペクトルでは、440nm の
励起光で631nm のピークを示す蛍光が認められ、その励
起スペクトルは、430nm にピークを示した。データには
示さないが、エーテル中でのピークの値は、625nm(励起
光430nm)及び、431nm(蛍光625nm)であった。これらの値
は、ベランジャーとレベイツらの文献( Biochem. Biop
hys.Res.Commun. 88: 365-372. 1979 )が報告している
プロトクロロフィリドのそれとよく一致している。さら
に、公知の方法(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・
ケミストリー 225,第1266−1272頁,1979年)に従って
精製し、プロトクロロフィリドを得た。
【0038】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:861塩基対 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ゲノムDNA 起源 生物名:プレクトネマ・ボリアナム(Plectonema borya
num ) 株名:IAM−M101 配列の名称:プレクトネマ・ボリアナム由来frxC遺
伝子
【0039】 配列 GTGA AACTCGCAGT GTATGGCAAA 24 GGCGGCATCG GCAAATCGAC GACAAGCTGC AACATCTCAG TCGCATTGGC AAAACGCGGC 84 AAAAAGGTTT TACAAATCGG TTGCGATCCC AAGCACGATA GTACGTTTAC CTTGACTGGC 144 TTCTTGATTC CAACCATTAT TGATACGCTT CAGGAAAAGG ACTATCACTA TGAGGATGTC 204 TGGGCTGAAG ATGTTATCTA CAAAGGCTAT GGCGGTGTGG ACTGTGTAGA GGCAGGTGGG 264 CCTCCAGCAG GAGCAGGCTG CGGTGGTTAT GTAGTCGGTG AAACGGTCAA ACTGCTCAAA 324 GAACTGAACG CATTTGACGA ATATGATGTG ATTCTGTTTG ATGTCTTAGG AGACGTGGTT 384 TGTGGCGGAT TCGCTGCTCC ATTGAACTAT GCAGACTATT GCATGATCGT GACAGATAAC 444 GGATTTGATG CGTTGTTTGC AGCAAATCGG ATTGCGGCTT CGGTCAGAGA GAAAGCGCGG 504 ACACATCCAC TACGATTAGC AGGACTGATT GGTAATCGAA CCGCCAAGCG GGATTTGATT 564 GAAAAGTATG TCGATGCAGT TCCGATGCCG ATCTTGGAAG TGTTGCCTTT GATTGAAGAC 624 ATTCGCGTTT CGCGAGTCAA AGGAAAAACC TTGTTTGAAA TGGCGGAGTC TGATCCCTCA 684 TTGAACTATG TGTGTGATTA CTATCTGAAC ATTGCTGATC AGATTTTGGC AAATCCTGAA 744 GGAGTCGTTC CGAAAGATGC TGCCGATCGC GATTTATTCT CGTTGCTGTC TGACTTCTAT 804 CTCAATCCAC AACAGCCAAA AACTGCCGAG GAAGAATTAG ATTTGATGAT GGTCTAA 861
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、欠損frxC遺伝子を有するプラスミ
ドを構築する過程を示したフロー図である。
【0041】
【図2】図2は、図1に続くフロー図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:89) (C12P 9/00 C12R 1:89)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 暗条件においてクロロフィルを実質的に
    生産せず、かつプロトクロロフィリドを生産することを
    特徴とするプレクトネマ属に属する変異株微生物。
  2. 【請求項2】 遺伝子破損したfrxC遺伝子を有する
    ことを特徴とするプレクトネマ属に属する変異株微生
    物。
  3. 【請求項3】 プレクトネマ属に属する変異株微生物
    が、プレクトネマ属に属する微生物由来のfrxC遺伝
    子およびその周辺配列を用い、該frxC遺伝子に対し
    て遺伝子破損処理を行って得た破損frxC遺伝子およ
    び該周辺配列を含むDNAをプレクトネマ属に属する宿
    主微生物に導入し、形質転換することにより得られる微
    生物である請求項2に記載の微生物。
  4. 【請求項4】 プレクトネマ属に属する変異株微生物
    が、プレクトネマ・ボリアナムである請求項1または2
    に記載の微生物。
  5. 【請求項5】 プレクトネマ属に属する変異株微生物
    が、プレクトネマ・ボリアナム IAM−M101−Y
    FC1004(FERM P−12515)である請求
    項1または2に記載の微生物。
  6. 【請求項6】 遺伝子破損処理が、耐性マーカーを該f
    rxC遺伝子の中間部に挿入したものである請求項3に
    記載の微生物。
  7. 【請求項7】 暗条件においてクロロフィルを実質的に
    生産せず、かつプロトクロロフィリドを生産するプレク
    トネマ属に属する変異株微生物を、培地で暗条件下にて
    培養し、培養物よりプロトクロロフィリドを採取するこ
    とを特徴とするプロトクロロフィリドの製造法。
  8. 【請求項8】 遺伝子破損したfrxC遺伝子を有する
    ことを特徴とするプレクトネマ属に属する変異株微生物
    を、培地で暗条件下にて培養し、培養物よりプロトクロ
    ロフィリドを採取することを特徴とするプロトクロロフ
    ィリドの製造法。
  9. 【請求項9】 プレクトネマ属に属する変異株微生物
    が、プレクトネマ属に属する微生物由来のfrxC遺伝
    子およびその周辺配列を用い、該frxC遺伝子に対し
    て遺伝子破損処理を行って得た破損frxC遺伝子およ
    び該周辺配列を含むDNAをプレクトネマ属に属する宿
    主微生物に導入し、形質転換することにより得られる微
    生物である請求項8に記載の製造法。
  10. 【請求項10】 プレクトネマ属に属する変異株微生物
    が、プレクトネマ・ボリアナムである請求項7または8
    に記載の製造法。
  11. 【請求項11】 プレクトネマ属に属する変異株微生物
    が、プレクトネマ・ボリアナム IAM−M101−Y
    FC1004(FERM P−12515)である請求
    項7または8に記載の製造法。
JP26907091A 1991-09-19 1991-09-19 プロトクロロフイリドを生産するプレクトネマ属に属する微生物およびその微生物による該色素の製造法 Withdrawn JPH0591866A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26907091A JPH0591866A (ja) 1991-09-19 1991-09-19 プロトクロロフイリドを生産するプレクトネマ属に属する微生物およびその微生物による該色素の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26907091A JPH0591866A (ja) 1991-09-19 1991-09-19 プロトクロロフイリドを生産するプレクトネマ属に属する微生物およびその微生物による該色素の製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0591866A true JPH0591866A (ja) 1993-04-16

Family

ID=17467242

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26907091A Withdrawn JPH0591866A (ja) 1991-09-19 1991-09-19 プロトクロロフイリドを生産するプレクトネマ属に属する微生物およびその微生物による該色素の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0591866A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009069806A1 (ja) 2007-11-30 2009-06-04 Fukutome, Hirofumi テトラピロール化合物の製造方法およびテトラピロール化合物
WO2010018832A1 (ja) 2008-08-11 2010-02-18 福留 裕文 リグニン分解用触媒、芳香族炭化水素分解用触媒、ならびにポルフィリン

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009069806A1 (ja) 2007-11-30 2009-06-04 Fukutome, Hirofumi テトラピロール化合物の製造方法およびテトラピロール化合物
KR20100102118A (ko) 2007-11-30 2010-09-20 후쿠토메 히로후미 테트라피롤 화합물의 제조 방법 및 테트라피롤 화합물
EP2216411A4 (en) * 2007-11-30 2013-01-16 Fukutome Hirofumi METHOD FOR PRODUCING A PYRROL COMPOUND
US8628942B2 (en) 2007-11-30 2014-01-14 Hirofumi Fukutome Method for preparing tetrapyrrole compounds and tetrapyrrole compounds
WO2010018832A1 (ja) 2008-08-11 2010-02-18 福留 裕文 リグニン分解用触媒、芳香族炭化水素分解用触媒、ならびにポルフィリン

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR890003083B1 (ko) 테트라시클린 내성 유전자를 함유한 플라스미드, 이로 부터 유도된 dna단편, 및 이 dna단편을 함유한 미생물 및 이들의 제조방법
Zsebo et al. Genetic-physical mapping of a photosynthetic gene cluster from R. capsulata
Vargas et al. Isolation of cryptic plasmids from moderately halophilic eubacteria of the genus Halomonas. Characterization of a small plasmid from H. elongata and its use for shuttle vector construction
Donohue et al. Cloning and expression of the Rhodobacter sphaeroides reaction center H gene
EP0057976B1 (en) a process for cloning the gene coding for a thermostable alpha-amylase into escherichia coli and bacillus subtilis
KR20000060322A (ko) 슈도모나스 플루오레슨스 유래의 외래단백질 분비촉진유전자
JPS58180499A (ja) カテコ−ル2,3−オキシゲナ−ゼをコ−ドする遺伝子を含有する新規発現ベクタ−、得られた該酵素及びその適用
EP0373181A1 (en) ENZYME.
JP3289726B2 (ja) クラバラン酸の生合成遺伝子
Guthrie et al. Use of targeted insertional mutagenesis to determine whether chondroitin lyase II is essential for chondroitin sulfate utilization by Bacteroides thetaiotaomicron
KR100346293B1 (ko) 부티로베타인/크로토노베타인-l-카르니틴대사유전자와l-카르니틴의미생물학적제조에사용되는그것의용도
EP0206757A1 (en) Stabilization of unstably inherited plasmids II
JPH0591866A (ja) プロトクロロフイリドを生産するプレクトネマ属に属する微生物およびその微生物による該色素の製造法
EP0108301B1 (en) Method of heterologous cloning of gene in bacillus microorganism
CA1338605C (en) Gene encoding insecticidal protein and production of said protein using said gene
JPS60110292A (ja) セフアロスポリン・アシラ−ゼ産生遺伝情報を担うdνa断片
Enomoto Slow motile mutant in Salmonella typhimurium
EP0285949B1 (de) Genetische Kontrolleinheit und Klonierungs- und Expressionssystem
US20040241809A1 (en) Method for producing vitamin b12
EP0123522B1 (en) Preparation of plasmid dna and products thereof
USRE35714E (en) Production of insecticidal protein of Bacillus thuringiensis subsp. aizawai by the expression of insecticidal protein gene in host cells
JPS5878589A (ja) プラスミド含有微生物の培養法
JPH0139751B2 (ja)
Harmer Mutational analysis of the Rhodobacter Capsulates ORF162B gene
Johnston et al. Relationship between survival, photoproduct production and repair capacity in a variant of Bacillus cereus

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19981203