JPH059122A - スクラルフエート水性懸濁原液及びその製法 - Google Patents

スクラルフエート水性懸濁原液及びその製法

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JPH059122A
JPH059122A JP3220470A JP22047091A JPH059122A JP H059122 A JPH059122 A JP H059122A JP 3220470 A JP3220470 A JP 3220470A JP 22047091 A JP22047091 A JP 22047091A JP H059122 A JPH059122 A JP H059122A
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満夫 白鳥
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 平均粒径が50μm以下であるスクラルフェ
ート粒子を1〜2g/mlの濃度で含有する、スクラル
フェート製剤を製造するための水性懸濁原液及び合成さ
れたスクラルフェート湿性末を乾燥することなく水また
は水性媒体中に分散させ、分散状態のスクラルフェート
湿性末を平均粒径50μm以下に粉砕することを特徴と
する、スクラルフェート水性懸濁原液の製造方法を記述
している。 【効果】 この湿式方式により、湿性末から直接得られ
たスクラルフェート水性懸濁原液の従来の乾燥末からの
ものに比べ、物性及び薬理活性の両面で同等の値を示し
た。この湿式製造法は、従来の乾燥末を経る工程に比較
して経済性、操作性に優れ、汚染の問題も少くすること
ができる優れた工業的製法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショ糖ポリ硫酸エステ
ルアルミニウム塩(スクラルフェート)製剤を製造する
ための水性懸濁原液の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スクラルフェートは胃炎、胃及び十二指
腸潰瘍治療剤として使用されている医療用原体である。
【0003】スクラルフェートの治療効果の発現には、
潰瘍・炎症部位へ選択的にスクラルフェートを吸着させ
ることが必要である。スクラルフェートの生理活性の特
徴はスクラルフェートの粒子が組織タンパク質へ非特異
的に吸着し、胃液中の酸により粘度が増加して疾患部へ
のスクラルフェートが粘着し、更に胃内で分泌されるヘ
プシンを吸着不活性化する総合効果の発現により、組織
修復能が向上し、潰瘍・炎症の治癒に至る生体防御効果
を促進することにある。
【0004】スクラルフェートは特公昭44−1167
3号、特公昭44−16037号公報に記載されている
様に、ショ糖ポリ硫酸エステル塩にアルミニウムイオン
を反応させ、沈降してくる湿性末を分散させ、次いで加
熱乾燥(スプレードライ)を行い、得られた乾燥品を原
体として用いていた。この理由は乾燥品を用いると固形
製剤を製造する場合に有利であるためである。
【0005】スクラルフェートは水に不溶性であり、ま
たその粒子はタンパク質への吸着能を考慮すると、生体
に適用するときは可能な限り微細化し表面積の増大をは
かることが重要である。
【0006】スクラルフェートの水性懸濁液は内用剤や
外用剤として炎症又は潰瘍部位への適用が考えられてい
る。従来のスクラルフェート水性懸濁剤の調製は、上記
の加熱乾燥品を微粒子化し、次いで再度水を加え、混合
することにより行っていた。
【0007】
【解決しようとする課題】従来のスクラルフェート水性
懸濁液は、スクラルフェート湿性末を加熱乾燥した乾燥
末を機械的に粉砕し、微粉化したものを再度水に加え混
合して調製していた。この製法においては、(1)湿性
末を乾燥、粉砕、水懸濁する工程から成る製造方法は操
作性が悪くコストが高い、(2)乾燥末の粉砕による微
粒子化は粒径のバラツキが大きい、(3)乾燥末の粉砕
時に生じる微粉末による製造環境汚染の問題がある、
(4)微粉末化したスクラルフェートは容器への封入、
開封時、また製剤製造の操作時に散逸し易く汚染を招じ
ることがある、等の欠点を有しており、工業的に優れた
製法とは言えなかった。
【0008】本発明者等はこれらの欠点を解消すべく、
鋭意研究を重ねた結果、湿性末を湿式粉砕することによ
り、従来法より短い工程で、しかも低コストであり、微
粒子の粒径のバラツキも小さく、更にまた粉砕時の微粉
末による製造環境の汚染や包装、輸送、使用時における
微粉末の散逸による環境汚染もない工業的に極めて優れ
た製法を見いだし、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるスクラルフ
ェート製剤製造用水性懸濁原液は、スクラルフェート湿
性末を水又は添加物を含有する水に加えて分散させ、次
いで微粒子化することにより得られる。ここで用いられ
るスクラルフェート湿性末は、例えば特公昭44−11
673号公報及び特公昭44−16037号公報に記載
された方法により製造できる。すなわちショ糖ポリ硫酸
エステルの塩にアルミニウムイオン(アルミニウムヒド
ロキシクロライドやポリ塩化アルミニウム等)を反応さ
せ、析出したスクラルフェートに水洗操作を行い、分離
して得ることができる。スクラルフェート製造時のアル
ミニウム塩化反応液中には未反応の原料等が残存し、し
かも反応の結果生じる塩素イオンが多量に含まれている
ため、これらの除去のために水洗操作を行うことが必要
である。例えば、反応液を静置沈降−上澄液交換−撹拌
−静置沈降の繰返し操作により除去できる。更に、例え
ば遠心分離、デカンテーション等によりスクラルフェー
ト湿性末を得ることができる。
【0010】このようにして得られるスクラルフェート
湿性末を、乾燥することなく水又は水性媒体中に分散し
た後、粉砕することによりスクラルフェート製剤製造用
の水性懸濁原液を製造できる。また水に含有させる添加
物としては、微生物やカビ等の繁殖を抑制する適当な保
存剤、例えば安息香酸、p−オキシ安息香酸エステル
類、クロロブタノール等が挙げられる。このような保存
剤の存在により、スクラルフェート本来の特性を損なう
ことなく、製剤製造場所へ移送したり、原液として長期
間容器中に保存することができる。また保存剤添加に代
えて、又は保存剤添加に加えて、スクラルフェート懸濁
液に加熱殺菌の操作を加えてもよい。加熱の操作は通
常、原液を製造後、長期保存時や製剤製造場所等への移
動前に、例えば50〜100℃、10〜60分程度の条
件で殺菌操作を行うことができる。
【0011】使用する湿性末を分散させる水の量は、所
望のスクラルフェート原液濃度として設定可能な濃度と
なるように加えればよい。スクラルフェートの濃度とし
て1〜2g/mlの範囲内で加えられるのが好ましく、
さらに好ましくは1.1〜1.5g/ml、最も好まし
くは約1.2g/mlである。また微粒子化の工程にお
いて、微粒子の平均粒径は50μm以下にするのが好ま
しい。特に、この平均粒径のスクラルフェート濃度を
1.1〜1.5g/mlに設定すれば水層とスラリー層
との二層に分離しにくいスクラルフェートの均一で安定
な懸濁液を得ることができる。
【0012】スクラルフェートの微粒子化に用いる粉砕
装置は50μm以下の粒径が得られる機種であれば特に
制限はない。微粒子化に要する時間は使用する機種の能
力に依存するが、室温または水冷下(10〜25℃)に
おいて、3〜30分、好ましくは、5〜20分で行わ
れ、通常所望の粒径が得られるまで繰り返し微粒子化操
作を行う。
【0013】本発明によって得られた水性懸濁原液はそ
の濃度により、そのままか又は希釈して、スクラルフェ
ート懸濁製剤製造用として、また水性軟膏剤、パップ剤
製造用原液として用いることができる。
【0014】以下に参考例、実施例により、本発明を更
に詳しく説明する。本発明はこれらに限定されるわけで
はない。
【0015】参考例1:スクラルフェート湿性末の製法 ショ糖ポリ硫酸エステルナトリウム塩(硫黄含量11.
74%)10gを水200mlに溶解し、これにアルミ
ニウムジヒドロキシクロライド6gを水100mlに溶
解した溶液を撹拌下徐々に加えると、漸次白色沈澱が析
出してきた。次に1規定の苛性ソーダを加えて、pH
4.5〜5.0に調整し、約30分間室温で撹拌した後
白色沈澱を濾取した。これを水で数回洗浄して未反応の
ショ糖ポリ硫酸エステルを除去し、湿性末17.2gを
得た。アルミニウム含量14.2%、硫黄含量8.61
%であった。
【0016】参考例2:スクラルフェート乾燥末を用い
て水性懸濁液の調製(従来法) 参考例1により得られたスクラルフェート湿性末380
gに水800ml加え、高速撹拌(3000−4000
rpm)し、スクラルフェートのスラリーにした。この
スラリーを噴霧乾燥装置の上部より、加圧下に噴霧し、
装置の上部より155−220℃の熱風を吹き込み水分
を留去した。装置下部よりスクラルフェート乾燥末を取
り出し、これをロータリータイプのアトマイザーを使用
する衝撃式超微粉砕機を用いて微粒子化した。得られた
粉砕微粒子化スクラルフェート乾燥末1gを4mlの水
に懸濁してスクラルフェート水性懸濁液約5mlを得
た。
【0017】
【実施例】実施例1 スクラルフェート湿性末383gに水797mlを加え
て分散した後、卓上コロイドミル(ミルミックス:日本
精機製作所製)で湿式粉砕し、スクラルフェート製剤製
造用水性懸濁原液約1リットルを得た。粉砕後5分間隔
でサンプリングし、レーザー回折式粒度分布測定装置
(日機装製)により平均粒径、累積50%粒径及び粒径
50μm以下の粒子の割合を調べた。その結果を第1表
に示す。
【0018】 第 1 表 粉砕時間 平均粒径 累積50%粒径 50μ以下粒 (分) (μm) (μm) 径割合(%) 0 30.1 22.3 81.2 5 14.9 10.1 96.5 10 12.9 8.7 98.5 15 12.1 8.0 99.0 ───────────────────────────── 第1表から、約5分後には、50μm以下粒径の分布は
95%以上となり、約10分後には平均粒径および累積
50%粒径ともに、ほぼ一定の値を示した。
【0019】実施例2 参考例2により得られたスクラルフェート乾燥末の水性
懸濁液(従来品、以下ULD−Mという)及び実施例1
により得られたスクラルフェート湿性末の水性懸濁液
(本発明品、以下ULW−Mという)について沈降性を
調べた。
【0020】2種の水性懸濁原液を各々100mlのメ
スシリンダーに約100ml注入し、室温又は50℃に
静置した。スクラルフェートが沈降し、上部に水層、下
部にスクラルフェートのスラリー層が遊離してきた。ス
ラリー層の全体積に占める割合いは、水性懸濁液の種類
や静置温度によって異なるが、約1週間でほぼ一定にな
った。1週間及び2週間後の全体積に占めるスラリー層
の体積比、さらに2週間後の沈降スラリー部の密度(平
均密度)を測定した。結果を第2表に示す。
【0021】 第 2 表 沈降スラリー層の体積 沈降スラリー部の密度 1週間後 2週間後 ULW−M 64% 63% 1.18g/ml (59%) (59%)(1.19g/ml) ULD−M 62% 62% 1.16g/ml (55%) (55%)(1.20g/ml) ────────────────────────────── 注:( )内は50℃静置における値 2種の水性懸濁液のスラリー部の密度は共に約1.2g
/mlと同様な値であり、水層が分離しない限界スラリ
ー濃度が存在することが示唆された。限界スラリー濃度
はスクラルフェートの粒度に依存し、粒径が小さくなれ
ば低い濃度でも水層は分離しないといえる。第2表の結
果より、本発明により得られた水性懸濁液は粒子径を5
0μm以下に設定し、スクラルフェート濃度を1.2g
/ml以上に設定すれば、水層とスラリー層との二層に
分離しにくいスクラルフェートの均一な懸濁液を製造す
ることができる。
【0022】実施例3 実施例2と同じ2種の水性懸濁液を用いてそれぞれの安
定性を調べた。
【0023】各水性懸濁液(室温及び50℃)を経時的
にサンプリングし、濾過して得た湿性末約1g相当量を
硫酸・水酸化ナトリウム溶液10mlに溶解し、これに
0.1N水酸化ナトリウム液15mlを加えて均一溶液
とした後、液50μlを高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)法によりショ糖硫酸エステルを分析した。
結果を第3表に示す。
【0024】 第 3 表 オクタ硫酸エステルのHPLC面積比% 5日後 6日後 13日後 ULW−M 98.1 98.3 98.4 (1.9) (1.7) (1.6) 97.7 97.0 98.3 (2.3) (3.0) (1.7) ULD−M 97.0 95.8 97.0 (3.0) (4.2) (3.0) 97.5 96.3 96.6 (2.5) (3.7) (3.4) ──────────────────────────────── *各原液の上段は室温保存時の値、下段は50℃保存時
の値を示す。
【0025】( )内はヘプタ硫酸エステルのHPLC
面積比(%) いずれの水性懸濁液もオクタ体とヘプタ体との比率の経
時的変化は認められなかった。
【0026】またULD−Mはスクラルフェート湿性末
の乾燥工程においてヘプタ硫酸エステルへの分解がわず
かに生じているため、ULW−Mの方が安定性に優れて
いる。
【0027】実施例4 実施例2及び3と同じ2種の水性懸濁液を用いて、それ
ぞれの酸中和挙動を調べた。
【0028】室温下、各水性懸濁液150mlを蒸留水
80mlに分散し、撹拌した、0.1N塩酸を非常にゆ
っくりと滴下し、目視により懸濁状態の変化及びpH変
化を調べた。結果を第4表に示す。
【0029】 第 4 表 懸濁状態の変化(アメ状態) スクラルフェート 時の塩酸量及びpH 1mlあたりの塩酸量 ULW−M 4.5ml 0.029ml pH2.7 ULD−M 6.2ml 0.044ml pH3.2 ───────────────────────────────── 第4表より、本発明により得られたサスペンジョンは、
従来のものより、少ない塩酸量で粘性物(アメ状態)に
変化した。
【0030】実施例5 参考例1で製造したスクラルフェート湿性末513gに
水632mlを加えて分散した後、卓上コロイドミル
(ミルミックス:日本精機製作所製)を使用し、開度;
30°、500rpmの条件で20分間湿式粉砕し、ス
クラルフェート製剤製造用水性懸濁原液(ULW−M)
約1リットルを得た。粉砕後5分間隔でサンプリング
し、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装製)によ
り粒度分布及び沈降率経時変化を調べた。
【0031】比較のために、本実施例と同一原料につい
て湿式粉砕を行うことなく、単に撹拌した未粉砕水性懸
濁液(ULW)を調製した。
【0032】更に従来品との比較するため、噴霧乾燥し
たスクラルフェート粉末328gに水823mlを加え
た撹拌、混合し、約1リットルの懸濁液(ULD)を得
た。また、噴霧乾燥したスクラルフェート粉末を更に衝
撃式超微粉砕機を用いて微粒子化したスクラルフェート
粉砕品337gに水817mlを加えて撹拌、混合し、
約1リットルの懸濁液(ULD−M)を調製した。
【0033】これら各サンプルについても同様に粒度分
布及び沈降率の経時変化を測定した。
【0034】粒度分布の測定結果を第5表に、沈降率の
経時変化を第6表に示す。
【0035】 第 5 表 粒 度 分 布 サンプル 50μ以下(%) 平均値(μ) ULW 74.6 43.7 ULW−M 97.7 13.7 ULD 82.2 27.5 ULD−M 100.0 8.0 ───────────────────────── 第6表:沈降体積率 沈降体積率(%) 経 過 日 数 サンプル 0 1 2 4 6 10 ULW 100 64 62 62 62 62 ULW−M 100 83 71 70 70 70 ULD 100 98 83 85 84.5 84.5 ULD−M 100 98 86 82 81 80.5 第6表:沈降体積率(つづき) 沈降体積率(%) 経 過 日 数 サンプル 19 31 48 ULW 61 61 61 ULW−M 68 68 68 ULD 84 83 82.5 ULD−M 79 79 78 ───────────────────────実施例6 実施例5で調製した本発明のスクラルフェート水性懸濁
原液(ULW−M)及び比較サンプル(ULW,ULD
及びULD−M)のスクラルフェート粒子の粒度分布変
化を測定した。
【0036】各サンプルは室温で58日間又は50℃の
加速条件で43日間保存した後、レーザー回折式粒度分
布測定装置(日機装製)で平均粒径及び50μm以下の
粒径をもつ粒子の積算率(%)を測定した。
【0037】結果は第7表に示す。
【0038】 表7:粒度変化 調 製 時 室温保存58時間 サンプル 平均粒径(μm) 同 左 50μm以下積算% 同 左 ULW 43.7 41.8 74.6 78.9 ULD 27.5 25.4 82.2 84.5 ULW−M 13.7 13.7 97.7 97.7 ULD−M 8.0 7.8 100.0 100.0 実施例7 本発明のスクラルフェート水性懸濁液を室温で58日間
保存した後、塩酸酸性下での凝集性を検討した。
【0039】実施例5で調製した本発明のスクラルフェ
ート水性懸濁原液(ULW−M)及び従来品(ULD−
M)を室温で58日間保存した後、サンプル1g(スク
ラルフェート200mg相当量)に0.1N塩酸6ml
を添加し、撹拌しながらスクラルフェートが塊状になる
のを目視で観察し、その時間を測定した。凝集の判定は
30分とした。
【0040】結果を第8表に示す。但し、結果は3回の
測定平均である。
【0041】 第8表 サンプル 凝集時間 30分後の凝集状態 (室温保存58日間) (秒) ULW−M 264 凝集した ULD−M − 凝集せず ────────────────────────────────実施例8 (BSA)約6gを正確に秤り取り、クラークラークス
緩衝液(CLB)に溶解して正確に1000mlに調節
して標準原液とした。本発明のスクラルフェートの水性
懸濁原液(ULW−M)及び従来の乾燥微粉末から製造
したスクラルフェートの水性懸濁原液(ULD−M)を
0.15〜3.0gの異なる量で採取し、BSA標準原
液50mlを添加した。
【0042】混合液を37℃で30分間インキュベート
し、反応終了後、直ちにCLBで正確に200mlと
し、濾過して試料溶液とした。
【0043】別に、BSA標準液を希釈して0.1,
0.2,0.4,0.6,0.8,1.0mg/mlに
調製し標準溶液とした。
【0044】標準溶液及び試料溶液0.1mlを採取
し、蛋白検定試薬5mlを添加した。波長595nmの
吸光度を測定し、標準溶液の検量線から試料中の未反応
BSA量を定量し、横軸にショ糖オクタ硫酸エステル
(SOS)とBSAとの重量比、縦軸に比吸着蛋白量
(%)を設定した吸着曲線を作成した。
【0045】結果を図1に示した。
【0046】図1のグラフから明らかなように、本発明
の製品(ULW−M)と従来品(ULW−D)との間に
蛋白吸着能の実質的差異は認められなかった。
【0047】実験例1 本発明の湿性末から作られたスクラルフェート水性懸濁
原液(ULW−M)と従来の乾燥膜から作られた懸濁原
液(ULW−D)について、それらのin vivo薬
理活性を検討比較した。
【0048】7週令のSD系ラットを1群10匹の群に
分け、シエイ(Shay)潰瘍モデルとエタノール急性
胃粘膜病変モデルを作り、スクラルフェート製剤の薬効
を検討した。
【0049】(Shay潰瘍モデル)ラット48時間絶
食後、エーテル麻酔下に開腹し、幽門結紮し、スクラル
フェート懸濁調製液を投与量1ml/kgで経口投与し
た。結紮処置の18時間の間絶水し、その後に、ラット
を屠殺し、胃を摘出して抗潰瘍効果を評価した。評価
は、Adami等の方法に準じて0−5のスコアで行っ
た。
【0050】(エタノール急性胃粘膜病変モデル)スク
ラルフェート投与前24時間絶食し、更に18時間前か
らは絶水もさせたラットにスクラルフェート懸濁調製液
を1ml/kgで経口投与した。投与1時間後にエタノ
ールを投与し、更にその2時間後にラットを屠殺して胃
を摘出した。評価は胃粘膜損傷領域の長径の和(mm)
で表わした。
【0051】結果 (1)Shay潰瘍に対する発生の抑制効果を図2に示
した。本発明のサンプルであるULW−MとULD−M
とは共に100mg/kg以上の投与において対照であ
る担体(Vehicle)に比較して有意な抑制作用を
示した。一方、両者の間に全く差がなかった。
【0052】(2)エタノール急性胃粘膜病変。結果を
図3に示した。
【0053】この結果、2検体に有意差は認められなか
った。
【0054】実験例2:抗ペプシン活性 ペプシンをクラークラックス緩衝液(CLB)に溶解し
た液2.5ml(100μg/ml)とスクラルフェー
ト懸濁液0.5m(最終濃度:0,10,50mg/k
g)とを混合し、37℃で20分間インキュベートし
た。
【0055】次いで混合液を遠心分離器にかけ(300
0rpm、5分)、上清を回収した。
【0056】上清0.5mlづつ2サンプルとり、一方
のサンプルについて蛋白質の吸着量及びペプシン活性抑
制率を調べた。
【0057】結果を図4に示した。本発明のスクラルフ
ェート懸濁液(ULW−M)と従来品(ULD−M)と
の間にはほとんど差がなかった。
【0058】製造例1 成 分 配合量 スクラルフェート水性懸濁原液 100.0g相当量 85%グリセリン 100.0g キサンタンガム 2.5g リン酸1ナトリウム 2.5g精製水 適量 全 量 500ml 上記の各成分を混合してスクラルフェート水性懸濁液製
剤を調製した。pHは4.91、比重は1.16であ
り、291.7cpsの粘度を示し、良好な分散性、粘
着性を示した。
【0059】製造例2 成 分 配合量 スクラルフェート水性懸濁原液 50.0g相当量 HPS* 15.0g精製水 適量 全 量 500ml *HPS:ヒドロキシプロピル澱粉 上記各成分を混合してスクラルフェート水性懸濁液製剤
を得た。pH:4.21、比重1.06、粘度53.4
cpsであり、良好な分散性、粘着性を示した。
【0060】製造例3 成 分 配合量 スクラルフェート水性懸濁原液 50.0g相当量 85%グリセリン 100.0g HPS 15.0g リン酸1ナトリウム 2.5g精製水 適量 全 量 500ml 上記各成分を混合してスクラルフェート水性懸濁液製剤
を得た。pH:4.90、比重1.09、粘度44.2
cpsであり、良好な分散性及び粘着性を示した。
【0061】製造例4 成 分 配合量 スクラルフェート水性懸濁原液 50.0g相当量 85%グリセリン 100.0g HPS 12.5g リン酸1ナトリウム 2.5g精製水 適量 全 量 500ml 上記各成分を混合してスクラルフェート水性懸濁液製剤
を得た。pH:4.93、比重1.10、粘度40.6
cpsであり、良好な分散性及び粘着性を示した。
【0062】
【発明の効果】以上の結果から本発明により湿性末から
直接得られたスクラルフェート水性懸濁原液は従来の乾
燥末からのものに比べ、物性及び薬理活性の両面で同等
の値を示した。従って、従来製法による問題点を解決し
た上に物性及び薬理活性の両面で同等のスクラルフェー
ト水性懸濁原液を得ることができる。すなわち、本発明
は製造工程において、加熱乾燥−粉砕−水懸濁という操
作性の悪い工程を使うことなく、短い工程でかつ安価に
原液を得ることができる。更に、湿性末の粉砕では乾燥
末の粉砕により生じる微粉がなく、製造環境(製造者の
健康面等)の汚染がなく、さらに湿式粉砕は乾式粉砕よ
りも粒度の調整や製造工程の連続化が容易であり、工業
的に優れた製法である。また輸送時又は使用時にも微粉
末の散逸もなく、これに伴う製剤化工程による環境汚染
も抑えることができる等の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式法により製造されたスクラルフェ
ート水性懸濁原液(ULW−M)と従来の乾式法で製造
された原液(ULD−M)との蛋白吸着能を比較したグ
ラフである。
【図2】ラットのShay潰瘍に対するULW−MとU
LD−Mとのin vivo抑制効果を示すグラフであ
る。
【図3】エタノール急性胃粘膜損傷に対するin vi
vo抑制効果を示すグラフである。
【図4】ULW−MとULD−Mとの蛋白吸着能及びペ
プシン活性抑制の比較を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高久 栄 東京都北区浮間5丁目5番1号 中外製薬 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が50μm以下であるスクラル
    フェート粒子を1〜2g/mlの濃度で含有する、スク
    ラルフェート製剤を製造するための水性懸濁原液。
  2. 【請求項2】 上記濃度が1.1〜1.5g/mlであ
    る請求項1記載の水性懸濁原液。
  3. 【請求項3】 合成されたスクラルフェート湿性末を乾
    燥することなく水または水性媒体中に分散させ、分散状
    態のスクラルフェート湿性末を平均粒径50μm以下に
    粉砕することを特徴とする、スクラルフェート水性懸濁
    原液の製造方法。
  4. 【請求項4】 スクラルフェート湿性末を1〜2g/m
    lの濃度で水または水性媒体中に分散させることを特徴
    とする請求項3記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20160049960A (ko) 2014-10-28 2016-05-10 라이온 가부시키가이샤 액상 조성물

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