JPH059060B2 - - Google Patents

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JPH059060B2
JPH059060B2 JP59144311A JP14431184A JPH059060B2 JP H059060 B2 JPH059060 B2 JP H059060B2 JP 59144311 A JP59144311 A JP 59144311A JP 14431184 A JP14431184 A JP 14431184A JP H059060 B2 JPH059060 B2 JP H059060B2
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JP
Japan
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serum
medium
cells
culture
free synthetic
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JP59144311A
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Noritsugu Yabe
Mitsuru Takada
Yutaka Matsutani
Isao Yamane
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Nissui Pharmacetuical Co Ltd
Original Assignee
Nissui Pharmacetuical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nissui Pharmacetuical Co Ltd filed Critical Nissui Pharmacetuical Co Ltd
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Publication of JPH059060B2 publication Critical patent/JPH059060B2/ja
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は細胞用の無血清合成培地に係り、殊に
安定で高頻度に生理活性物質を産生する細胞を増
殖させるための無血清合成培地に係る。 (従来の技術) 動物細胞が産生する生理活性物質を得るために
は、この生理活性物質を合成分泌する細胞を培養
系に移さなければならない。一般に培養系におい
て、初代細胞は固有の寿命を有しているので、生
理活性物質の取得を目的とする場合には薬剤、ウ
イルス等で処理し突然変更を誘発させて当該細胞
を永代増殖細胞として株化させるのが有利であ
る。しかしながら、目的とする細胞がすべてこの
ような条件付けを満足させるものではなく、又高
単位の生理活性物質を安定に分泌させるためには
培養系での栄養要求性、増殖因子等を充分に考慮
し、又培養液に関する吟味、工夫が必要であり、
殊に試験管やシヤーレを用いた少量培養から大量
培養に移行するには条件設定その他に種々の困難
がある。 翻えつて、互いに異なる機能形質を保有する動
物細胞同志を融合させ、これにより永続的に特定
の生理活性物質を産生しようとする試みが従来か
らなされて来ており、これは細胞融合法による単
一抗体産生融合細胞、即ち、ハイブリドーマの作
製に代表されている。この方法は予め抗原で免疫
させた動物の脾細胞と、核酸合成系に部分的な関
与をする酵素であるHPRT(ヒポキサンチングア
ニジンホスホリボシル転移酵素)又はTK(チミ
ジン活性化酵素)等を人為的に欠損させておいた
同種動物起原の骨翻腫株化細胞とを混ぜ、これを
ポリエチレングリコールで処理して細胞融合を行
わせるものである。形成されたハイブリドーマは
この特定のハイブリドーマのみが増殖し得る選択
培地で培養される。この選択培地としては通例所
謂HAT培地(H:ヒポキサンチンと、A:アミ
ノプテリンと、T:チミジンとを適当濃度で含有
する培地)が用いられる。即ち、上記酵素の内の
1つでも合成能を欠いている細胞はHAT培地中
のアミノプテリンの作用により生育できないが、
ハイブリドーマは上記酵素産生を受持つ遺伝子や
抗体合成及び分泌能が脾細胞側から与えられてお
り且つ永続増殖性が骨髄腫株化細胞側から与えら
れているので、HAT培地中のヒポキサン及びチ
ミジンを利用して生育し増殖し得るのである。 上記HAT培地を基本として培養液を調製する
ためには、これに栄養物等としての各種添加物や
浸透圧調整剤が添加されるが、経験上から適当濃
度の血清、一般的には成牛、牛新生児又は牛胎児
血清の添加が必須とされて来た。 一方、無血清培地も従来から知られている。こ
れらの従来技術による無血清培地は例えばダルベ
コ変法イーグルMEM、ダルベコ変法イーグル
MEMとハムF12との混合物、RPMI1640とダル
ベコ変法イーグルMEMとハムF12との混合物を
基本とするものである。 (発明が解決しようとする問題点) 従来の血清添加培地を用いて培養液を調製して
生理活性物質産生細胞(単独細胞又はハイブリド
ーマ)を生育増殖させようとする場合に血清に依
存して、殊にその種類や濃度に依存して細胞増殖
支持能力は著しく異なる。極論すれば、増殖させ
ようとする細胞に対する毒性が高く死滅させるに
至る血清すら存在する。血清が如何なる作用機序
で細胞増殖に影響を及ぼすのか並びにその程度如
何は現在の処未解決の課題であり、従つて或る特
定細胞を安定に増殖させて生理活性物質の分泌を
もたらすためにどの血清を使用するかを決定する
には機多の予備試験が必要とされる。更に、用い
られる血清の種類等によつては、マウス、ラツト
等の胸腺細胞、脾細胞又は腹腔細胞、若しくは増
殖はしないが生存はするように予めX線照射等に
より処理された線維芽細胞等を支持細胞(所謂フ
イーダ細胞)としてHAT培地での培養中に所期
の特定細胞と共存させておく必要性が生じる場合
もある。 従つて、本発明が解決しようとする基本的問題
点は細胞用の培地であつて、血清添加を要件とし
ない培地を提供し、これによつて血清に基因する
上記課題の発生を無からしめることにある。 更に、従来の細胞用無血清培地はハイブリドー
マ用であつて、特定の骨髄腫(ミエローマ)株化
細胞を親株とした場合にのみ適用し得るに過ぎ
ず、且つ低密度細胞培養に用いるには不適当とさ
れて来た。 従つて、本発明が解決しようとする本質的問題
点は細胞用無血清培地であつて、従来の無血清培
地における上記適用規制を有しない培地を提供す
ることにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明によれば、上記問題点は、イーグル
MEMとRPMI1640との混合物を基本培地とし、
これに培養添加物を加え、ジヒドロキシエチルグ
リシン溶液及びβ−グリセロリン酸ニナトリウム
溶液の少なくとも1方の溶液により浸透圧が265
〜300mOs/Kgに調整されている細胞用無血清合
成培地により解決される。 本発明による無血清合成培地における培養添加
物としては亜セレン酸ナトリウム、プトレスシ
ン・2塩酸、チミジン、ヒポキサンチン、ピルビ
ン酸ナトリウム、トランスフエリン、インシユリ
ン、モノエタノールアミン等を挙げることができ
る。 本発明による無血清合成培地には安定化剤とし
てコハク酸及びその塩例えばコハク酸ナトリウム
塩を添加することができる。 本発明による無血清合成培地のPHは約7.2〜7.4
であることが好ましく、これは炭酸水素ナトリウ
ムの添加により設定することができる。 本発明による無血清合成培地はその浸透圧が
285±5mOs/Kgに調整されているのが殊に好ま
しい。浸透圧の調整は既述のようにジヒドロキシ
エチルグリシン又はβ−グリセロリン酸ニナトリ
ウムの添加により行われるが何れの浸透圧調整剤
を用いても効果に有意の差は認められない。 (作 用) 一般に無血清培養又は低血清濃度培養において
は培養液の緩衝能及び浸透圧を保持するために、
培地に10〜25mM程度のN−2−ヒドロキシエチ
ルビペラジン−N′−2−エタンスルホン酸
(HEPES)を添加して培養液のPHを7.2〜7.4に且
つ浸透圧を280〜290mOs/Kgに調整している。 しかしながら、イーグルMEMとRPMI1640と
を基本培地とする場合に上記のようにHEPESを
用いると細胞増殖に悪影響を及ぼす虞れがある
が、HEPESをジヒドロキシエチルグリシン又は
β−グリセロリン酸ニナトリウムに代替すること
によりその可能性を解消することができる(ジヒ
ドロキシエチルグリシンは培地に従来用いられて
いなかつた成分であることに留意され度い)。 本発明による培地中において、モノエタノール
アミン、リノール酸、インシユリン及びトランス
フエリンは細胞の増殖性を向上させるのに寄与す
る。 (発明の効果) 本発明による培地は無血清培地であるので、細
胞、殊に融合細胞の培養に用いる場合に細胞の増
殖性を阻害しない。本発明による培地を使用すれ
ば、従来無血清培地の使用が不適当とされて来た
単個乃至低密度細胞培養が可能となる。 本発明による培地は細胞融合用に用いる場合に
種々の利点をもたらす。即ち、先ず第1に融合に
用いる増殖用の細胞としての原則的条件は血清添
加培地中で増殖可能であつて本無血清培地中で死
滅する細胞であり、従つてこの増殖用細胞は、
HPRT、TK等の核酸合成系に関与する酵素の有
無を問わず、又細胞内代謝に係る一切の阻害剤耐
性を保持していなくとも良いのであり、このこと
は融合の親株として殆んど全ての株化細胞を選択
し得ることを意味し、本発明による培地が汎用性
を有することを意味している。第2には本発明に
よる培地を用いて形成された融合細胞は当然のこ
とながら無血清培地中で増殖できるので、抗体等
の免疫制御物質のみならず、抗原の成長因子等に
代表される各種の生理活性物質を産生分泌する融
合細胞として増殖させることができるのである。 (製造例、使用例及び試験例) 次に、本発明による無血清合成培地の製造例、
この培地を用いての各種細胞の培養例及び各種試
験例について具体的に説明する。 製造例 1 下記諸成分、即ち 成分 イーグルMEM 4.56g RPMI1640 5.04g 亜セレン酸ナトリウム 0.0017mg プトレスシン・2塩酸 0.03125mg チミジン 6.9mg ヒポキサンチン 3.25mg ビオチン 0.0025mg ビタミンB 0.0025mg ピルビン酸ナトリウム 110mg −グルタミン 450mg トランスフエリン(ヒト・ホロ型) 10mg インシユリン(牛) 2mg モノエタノールアミン 0.02mg ジヒドロキシエチルグリシン 1.6g (1)及び(2): 容量で等量。出願人会社から市販のイーグル
MEM培地(商品コード05900)及び
RPMI1640培地(商品コード05911)をそれ
ぞれ使用。一般に市販の濾過滅菌品を使用する
場合にはそれぞれ上記使用量の0.48倍量を用い
且つ安定化剤としてコハク酸75mg及びコハク酸
ナトリウム(6水塩)100mgを更に添加するこ
ともできる。 (3): アポ型のトランスフエリンに代替することも
できるが、この場合には硫酸第一鉄を0.8mg添
加することが必要である (4): 予め1/20規定程度の塩機に溶解させたもの ビオチン、ビタミンB12及びL−グルタミンは
基本培地であるイーグルMEMやRPMI1640に
添加されているが、これらは増量分として添加
された に再蒸留水を添加して全量を1000mlとなし、炭酸
ガスを導通する。次いで炭酸水素ナトリウム1.6
gを添加してPHを7.2〜7.4に調整すれば浸透圧
285±5mOsを有する所望の無血清合成培地が調
製される。 製造例 2 製造例1と同様にして、但し ブドウ等(増量剤) 0.5g リノール酸 1mg及び 塩化コリン(増量剤) 25mg (5): 予めエタノール10mlに溶解させた上で分散さ
せる を更に添加し全量を再蒸留水で1000mlとなした上
で同様の処理を行なつて285±5mOsを有する所
望の無血清合成培地が調製された。 製造例 3 製造例1と同様にして、但しジヒドロキシエチ
ルグリシンの代りにβ−グリセロリン酸ニナトリ
ウムを添加して浸透圧を285±5mOsに調整する
ことにより所望の無血清合成培地が調製された。 使用例 1 マウス−マウス ハイブリドーマの作製 マウスを予め抗原で免疫しておき、最終抗原の
注射後3〜4日目に脾臓を剔出し、その脾細胞
106〜107個を準備する。予め血清添加培地で対数
期に増殖させておいたマウス骨髄腫株化細胞106
〜5×106個を上記脾細胞と混合し、細胞塊の沈
渣を取得する。無血清培地を用いて30〜50(w/
w)%濃度に調整されたポリエチレングリコール
(分子量1000〜6000)液を上記沈渣に適量添加し、
20〜37℃で1〜8分間程度反応させる。次いで、
無血清培地で細胞凝集塊を稀釈し、直ちに遠心処
理して上清を除去して沈渣を得る。 製造例1による無血清合成培地を適量上記沈渣
に添加し攪拌して均一な細胞懸濁液を調製する。
この懸濁液を96穴の培養用マルチウエルプレート
に分注し、37℃、5%炭酸ガス卵子卵器により培
養する。3日毎に各穴における培地の半量を新鮮
な無血清培地(製造例1)と交換する。融合細胞
(ハイブリドーマ)は2〜4週間で充分に発育し
抗体を分泌する。この抗体は例えば酵素免疫測定
法により検出することができる。 抗体活性陽性である増殖ハイブリドーマを採取
し、マウスの腹腔細胞が予め支持細胞として播い
てある別の96穴培養マルチウエルプレートに培養
穴当り1個以下となるように、上記ハイブリドー
マを播いた。2週間後、増殖してくるハイブリド
ーマのコロニーが認められた。 結果は後記表1に示される通りであり、本発明
を培地を用いることにより単個細胞からでも増殖
可能であることが判明した。尚、対照として公知
の無血清培地であるRITC55−9を用いた処コロ
ニーの発生は全く認められなかつた。更に
KSLM変法培地を用いた対照区では増殖コロニ
ーが出現したが、その頻度が極めて低かつた。 使用例 2 ヒト−ヒト融合細胞の作製 比重遠心法により予め調製されたヒト末梢血リ
ンパ球106〜107個と、血清添加培地で増殖するヒ
ト由来のリンパ株化細胞106〜107個とを使用例1
に準じて、ポリエチレングリコールを用いて融合
させる。得られたハイブリドーマに製造例1によ
る無血清合成培地を添加して細胞懸濁液を調製す
る。この懸濁液を使用例1におけると同様に培養
用マルチウエルプレートに分注し、次いで培養し
た。細胞が充分に発育した段階で採取して染色体
分析及び螢光抗体法による細胞膜の表面抗原解析
を行なつた処、これがハイブリドーマであること
が確認された。 使用例 3 抗ヒトインシユリン抗体産生ハイブリドーマの
作製 ヒトインシユリン0.2単位をフロインドの完全
アジユバンドで乳化させ、これを6〜7週令の
BALB/C系マウスの腹腔内に注射する。2週
間後に、同様にして再度注射する。更に2週間後
に、0.2単位のヒトインシユリンを上記マウスの
尾静脈に注射し、その3日後に脾臓を剔出し、脾
細胞2×107個を整え、この脾細胞とマウス骨髄
腫株化細胞P3−×63−Ag8−U14×106個とを50
%ポリエチレングリコール(分子量4000)にて処
理して細胞融合させる。得られた細胞凝集塊を二
等分し、その一方を従来法に従つて血清含有培地
(HATが添加され10%濃度で牛胎児血清を含有
するRPMI1640培地)に懸濁させ且つ他方を本発
明による無血清合成培地(製造例1)に懸濁させ
る。これら懸濁液をそれぞれ96穴培養用マルチウ
エルプレートに播いた。各穴における培地の半量
の3日毎に交換して2週間培養を行ない、細胞の
発育が認められた穴の上清における抗体活性を、
ヒトインシユリンが予め吸着されている96穴マル
チウエルプレートとペルオキシダーゼ標識抗マウ
ス免疫グロブリン(カツペル社製)を用いた酵素
免疫測定法により調べる。結果は後記表2に示さ
れる通りであつた。 尚、対照培地を用いたマルチウエルプレートの
各穴にはフイーダ層としてマウス腹腔細胞を播い
ておいた、蓋し、フイーダ層が存在しないとハイ
ブリドーマの出現頻度が零又は極めて少ないから
である。この表から明らかなように、本発明によ
る無血清培地は従来の有血清培地と比較する場合
にハイブリドーマの成育や増殖を著しく促進し、
その結果として抗体分泌を高めるのである。 使用例 4 抗ヒツジ赤血球抗体産生ハイブリドーマの作製 生理食塩液で5(v/v)%濃度に調整された
ヒツジ赤血球浮遊液0.2〜0.3mlを6〜7週令の
BALB/C系マウスの腹腔内に注射する。1ケ
月後に同量のヒツジ赤血球浮遊液を上記マウスの
尾静脈に注射した。3日後に使用例3と同様にし
て細胞融合及び培養を行なう。2週間後に細胞発
育の認められる穴の上清における抗体活性を、ヒ
ツジ赤血球、抗体(即ち培養上清)及びモルモツ
ト補体を用いた溶血反応系により調べる。結果は
後記表3に示される通りであつた。 この表から、本発明による培地を使用すること
により、ハイブリドーマの生育や増殖性が向上
し、抗体の分泌が促進されることが判る。 使用例 5 抗C反応性蛋白産生ハイブリドーマの作製 ヒト腹水より抽出され精製されたC反応性蛋白
50μgをフロインドの完全アジユバンドで乳化
し、6〜7週令のBALB/C系マウスの腹腔内
に注射した。2週間後に上記蛋白25μgを生理食
塩液に溶解して上記マウスの尾静脈に注射し、そ
の3日後に脾臓を剔出し、これより得られた脾細
胞と骨髄腫株化細胞であるP3−×63−Ag8−U1
及びP3−NCI/1−Ag4−1を用いてそれぞれ細
胞融合を行ない、又抗体活性検出を使用例3に準
じて行なつた処、後記表4に示される通りの結果
が得られた。この表から、C反応性蛋白を抗原と
する場合のハイブリドーマの生育や増殖性は、本
発明による無血清培地を用いても従来の含血清培
地を用いても同様であることが判る。 使用例 6 ヒト−ヒト融合細胞の作製 (1) 胎児線維芽細胞×末梢血リンパ球 血清培地において対数増殖期にあるヒト胎児
の初代線維芽細胞(フアイブロブラスト)を常
法により1×106個集めた。一方、比重1.077の
フアイコール・コンレイ混合液との比重差遠心
分離操作処理により末梢血よりリンパ球層を得
て、1×107個のリンパ球を整えた。これら両
細胞を50%ポリエチレングリコール(分子量
4000)にて細胞融合させ、96穴培養用マルチウ
エルプレートを用い製造例1の無血清培地に分
散させ、5%CO2、37℃卵子卵器により培養を
継続して行なつた。この培養中において、3目
毎に各培養穴の培地の半量を新鮮培地(製造例
1)に変換した。この培地にはフアイブロブラ
ストの成長因子であるエピダーマル・グロー
ス・フアクタ(EGF)を必要に応じて添加し
た。 培養開始後3週間目からフアイブロブラスト
やリンパ球とは寸法や形態の全く異なる細胞が
出現した(96穴中の16穴)。 フアイブロブラスト及びリンパ球の単独培養
並びにこれら両細胞の混合培養も同時に行なわ
れたが、これらの対照培養では、上記の如き特
殊細胞の形成は認められなかつた。 (2) 培養株RPMI8226×末梢血リンパ球 ヒト骨髄腫培養株であるRPMI8226の1×
106個と末梢血リンパ球1×107個との組合せで
上記第1項の操作処理を行つた処、ポリエチレ
ングリコール処理系にのみ増殖細胞が認められ
た(96穴中20穴)。 (3) 培養株CEM×末梢リンパ球 ヒトTリンフオーマ培養株であるCEMの1
×106個と末梢血リンパ球1×107個との組み合
わせでも上記第2項の事例が認められた(96穴
中の96穴全部)。 使用例 7 マウス−ヒト ハイブリドーマの作製 マウス骨髄腫培養株P3−×63−Ag8−U1×ヒ
ト末梢血リンパ球 P3−×63−Ag8−UIの1×106個とヒト末梢血
リンパ球1×107個との組合せで使用例6第1項
に記載に準じて操作処理を行なつた処、ポリエチ
レングリコール処理系において増殖してくる細胞
が認められた(96穴中の59穴)。 使用例 8 マウス骨髄腫細胞及びハイブリドーマの培養 製造例1の培地成分中よりインシユリン及びト
ランスフエリンを除いた培地を用い、各種細胞を
5%CO2、37℃の培養器中で48時間培養して細胞
周期を停止させておく。次に、各細胞の細胞数を
5×104個/培養皿宛整えて製造例1の培地に播
き、その後の増殖を調べる。結果は後記表5に示
される通りである。これから本発明による培地を
使用すればこれらハイブリドーマの種類が増殖性
に影響を殆どもたらさないことが判る。 試験例 1 細胞増殖と抗体産生試験 製造例1による無血清合成培地及び対照培地と
してRPMI1640−10%牛胎児血清添加培地とをそ
れぞれ調製する。これらの各培地に抗体C反応性
蛋白抗体産生ハイブリドーマである2D7−C2aを
播種して予め継代培養する。新たな培養皿に更め
て各培地をセツトし、継代培養された上記ハイブ
リドーマを細胞数が5×104個/培養皿となるよ
うに上記新鮮培地に播種して再度培養し、以降の
増殖及び抗体産生を調べる。結果は添附図面のグ
ラフに示される通りであつた。このグラフにおい
て、抗体産生は培養上清の稀釈系列を組み、これ
を酵素免疫測定法で判定し、その時に陽性となる
最終稀釈培数で示されている。このグラフから、
本発明による培地はハイブリドーマの増殖性及び
抗体産生において、従来の血清添加培地と等しい
か、ほぼ等しく、従つて血清添加培地を代替し得
るものであることが判る。 試験例 2 本発明による無血清合成培地と従来の無血清合
成培地との細胞増殖性に関する比較試験 各培地を用いて種々のハイブリドーマを予め継
代培養する。新たな培養皿に更めて各培地をセツ
トし、継代培養された各ハイブリドーマを細胞数
がそれぞれ5×104個/培養皿となるように上記
各培地に播種し、37℃、5%CO2培養器内で3日
間培養する。各培地における細胞数を、
RPMI1640−10%牛胎児血清添加培地に各ハイブ
リドーマを5×104個/培養皿播種して同様に培
養した場合の細胞数で除算することにより各培地
による増殖効率を測定する。結果は後記表6に示
される通りであつた。この結果から、従来の培地
を使用する場合と比較して、本発明の培地によれ
ばハイブリドーマの増殖性がその種類の如何を問
わず良好であることが判る。 試験例 3 インシユリン及びトランスフエリンの効果 製造例1による無血清合成培地からインシユリ
ン及びトランスフエリンを除いた培地を準備し、
この培地を用い5%CO2、37℃の培養器中でマウ
スハイブリドーマである2D7−C2aを48時間培養
してこのハイブリドーマの細胞周期を停止させて
おく。次に、製造例1に準じて調製され、但しイ
ンシユリン及びトランスフエリン濃度を種々変化
させた各培地を調製し、又対照培地として10%牛
胎児血清の添加されたRPMI1640培地を調製し、
上記ハイブリドーマの細胞数を1×105/培養皿
に整えてこれらの各培地に播き、3日の増殖細胞
数を調べた。結果は後記表7に示される通りであ
り、この表からインシユリン及びトランスフエリ
ンの添加量はそれぞれ1〜10μg/ml及び10μ
g/mlが適当なことが判る。 試験例 4 エタノールアミンの効果 製造例1による無血清合成培地からエタノール
アミン除いた培地及び対照培地としての血清添加
培地(10%牛胎児血清添加RPMI1640培地)を調
製し、これら培地を用い5%CO2、37℃の培養器
中で各種のハイブリドーマを継代培養しておく。
次いで製造例1による培地、製造例1に準じた但
しエタノールアミン成分を欠損させた培地及び上
記血清添加培地をそれぞれ調製し、上記の継代培
養させたハイブリドーマを1×105個/培養皿に
整えてこれらの各培地に播き3日間培養して増殖
細胞数を調べた。結果は後記表8に示される通り
であり、エタノールアミンが細胞増殖に有意の影
響を及ぼすことが判る。 試験例 5 脂質成分(リノール酸)の効果 マウスハイブリドーマである2D7−C2aを製造
法2の但し、リノール酸を含有しない培地を用い
て5%CO2、37℃の培養器中で継代培養してお
く。次いで対照培地(RPMI1640+10%牛胎児血
清)及び製造2による培地並びに製造例2に準じ
た但しリノール酸量が異なつたり、リノール酸が
他の脂質に代替された倍地をそれぞれ調製し、上
記の継代培養されたハイブリドーマを1×105
個/培養皿に整えてこれらの各培地に播き、5%
CO2、37℃の培養器で3日間培養して増殖細胞数
を調べた。結果は後記表9に示される通りであ
り、脂質成分としてはリノール酸が有効であり、
その添加量は1μg/mlが適当であることが判る。 試験例 6 浸透圧調整剤としてのジヒドロキシエチルグリ
シンの効果 製造例1に準じて但しジヒドロキシエチルグリ
シンの添加量を変化させて浸透圧が種々異なる無
血清合成培地を調製し、又対照培地として血清添
加培地(10%牛胎児血清添加RPMI1640培地)を
調製し、これら培地でマウスハイブリドーマであ
る2D7−C2aを継代培養する。その後に、各々の
培地のハイブリドーマを1×105個/培養皿に整
え、5%CO2、37℃の培養器中で3日間培養して
増殖細胞数を培養皿4枚の平均±標準偏差を調べ
た。結果は後記表10に示される通りであり、浸透
圧としては285mOs/Kg付近が好適であることが
判る。 尚、上記血清添加培地及び上記無血清合成培地
Cを選択し、且つ対照培地として製造例1に準じ
但しジヒドロキシエチルグリシンの代りに汎用の
HEPES及び生理食塩液を浸透圧調整剤とする培
地を調製して上記と同様にハイブリドーマ2D7−
C2aを培養して細胞増殖を調べた。結果は後記表
11に示される通りであり、これからジヒドロキシ
エチルグリシンが細胞増殖に好影響を与えること
並びに汎用のHEPESが好ましいものではないこ
とが判る。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
添附図面は本発明による無血清合成培地及び対
照培地としての牛胎児血清添加培地を用いて抗C
反応性蛋白抗体ハイブリドーマである2D7−C2a
を培養した場合の細胞増殖及び抗体産生を示すグ
ラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 イーグルMEMとRPMI1640との混合物を基
    本培地とし、これに培養添加物を加え、ジヒドロ
    キシエチルグリシン溶液及びβ−グリセロリン酸
    二ナトリウム溶液の少なくとも1方の溶液により
    浸透圧が265〜300m Os/Kgに調整されているこ
    とを特徴とする、細胞用の無血清合成培地。 2 基本培地が等容量のイーグルMEMと
    RPMI1640との混合物であることを特徴とする、
    特許請求の範囲第1項に記載の無血清合成培地。 3 培養添加物が亜セレン酸ナトリウムと、プト
    レスシン・2塩酸と、トランスフエリンと、モノ
    エタノールアミンとを少なくとも含有しているこ
    とを特徴とする、特許請求の範囲第1又は第2項
    に記載の無血清合成培地。 4 培養添加物がチミジン、ヒポキサンチン、ピ
    ルビン酸ナトリウム及びインシユリンを更に含有
    していることを特徴とする、特許請求の範囲第3
    項に記載の無血清合成培地。 5 培養添加物がチミジン、ヒポキサンチン、ピ
    ルビン酸ナトリウム、インシユリン及びリノール
    酸を更に含有していることを特徴とする、特許請
    求の範囲第3項に記載の無血清合成培地。 6 培養添加物が安定化剤としてのコハク酸及び
    コハク酸塩を含有していることを特徴とする、特
    許請求の範囲第4項に記載の無血清合成培地。 7 炭酸水素ナトリウムを含有しており、これに
    よりPHが約7.2−7.4に調整されていることを特徴
    とする、特許請求の範囲第1〜6項の何れか1つ
    に記載の無血清合成培地。
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